JPWO2004106400A1 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、官能基としてアルケニル基を有する重合体も硬化性組成物として利用される。ヒドロシリル基を有する化合物を硬化剤として用いることにより耐熱性や耐久性、深部硬化性に優れた硬化物を与えることが知られている。このような、アルケニル基を有する重合体の主鎖骨格としては、種々のものが知られており、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル系重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレンあるいはそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル系重合体、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系重合体等が例示される。
これらの重合体を用いた硬化性組成物にも、改善すべき点がある。例えば、ポリエーテル系硬化物では、用途によっては耐熱性や耐候性が不十分な場合がある。ポリブタジエンやポリイソプレン等の炭化水素系硬化物では、主鎖中に残った内部二重結合のために、用途によっては若干耐熱性や耐候性が不足することがある。内部二重結合を持たないポリイソブチレン系硬化物では耐候性は優れているものの、比較的粘度が高くハンドリングが困難な場合がある。ポリエステル系の硬化物も、用途によっては耐候性が不足することがある。シリコーン系硬化物は耐候性、耐熱性、耐寒性、作業性の点で非常に優れているものの、塗料付着性や汚染性などに問題を残している。
一方、官能基を有するビニル系の重合体についても種々のものが知られている。例えば、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用いる、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法(特許文献1参照)や、ヒドロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらにヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法(特許文献2参照)、また、ヒドロキシル基を有するポリスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらにヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法(特許文献3参照)が既に開示されている。
また他方で、従来、成形用のアクリルゴム組成物には活性塩素基とかエポキシ基を導入したアクリル系ゴム重合体が用いられ、耐熱性、耐油性の良い成形品が得られていたが、さらに耐熱性を向上したいというニーズに対処するため、ビニル基含有有機ケイ素基を導入する技術が提案された(特許文献4参照)。
これらの方法により得られたアルケニル基や架橋性シリル基を側鎖に有する重合体を含有する硬化性組成物は高耐候性の塗料等に利用されている。
しかし、これらの方法では容易に重合体を製造することができるが、確実に重合体の両末端に官能基を導入することが困難であり、その硬化物は、伸び等のゴム物性が不十分であり、満足な特性を有する硬化性組成物を得ることができなかった。両末端に確実に官能基を導入するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければならず、製造工程上問題であった。また、これらの方法では通常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合体の分子量、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)のコントロールは困難であった。
架橋性官能基を分子鎖末端に有するビニル系重合体を簡便な方法で得ることができれば、側鎖に架橋性基を有するものに比較して硬化物物性の優れた硬化物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者によって、その製造法が検討されてきたが、それらを工業的に製造することは容易ではない そこで、この問題を解決するために、末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法が開発されてきた。特にリビングラジカル重合を利用して合成された重合体は、分子量や分子量分布を任意に制御でき、末端にも定量的に官能基の導入が可能であり、その結果、耐候性、耐熱性、耐油性等に優れ、上記のポリエーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいはポリエステル系重合体では得られない良好な機械物性を有する硬化性組成物に利用できる(特許文献5参照)。
ところが、このリビングラジカル重合を利用して合成されたビニル系重合体では側鎖の置換基によっては主鎖に比較して大きいため分子間の絡み合いが少なく分子量から期待される程の硬化物物性は得難いことがあり、充填材等によりかなり補強する必要があることがあった。
官能基を有する重合体を含有する硬化性組成物の強度向上方法としてエポキシ樹脂とブレンドしたりポリエーテル系重合体とブレンドしたりと幾つかの方法が開示されている(特許文献6参照)。
しかしながら、これら前述の公開された報文では、本発明で示される、架橋性官能基を有するビニル系重合体、及び、イソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物については言及されていない。また、硬化後の強度向上についてその解決策を示したものはない。
特開平11−116617号公報、特開平11−130931号公報、
特開平12−086999号公報、特開平12−191912号公報、
特開2000−038404号公報、特開2000−044626号公報、
特開2000−072804号公報
一方、ポリエーテルポリウレタンに代表される活性水素を有する有機重合体は、一般に、凝集力が強いため非常に高い機械強度が得られるが、耐熱性や耐候性には劣る傾向にあった。
本発明の目的は、架橋性官能基を有するビニル系重合体とイソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体の特徴をそれぞれ活かしたバランスの取れた各種物性を有する、硬化性組成物を提供することである。つまり、硬化物の破断時強度を向上させ、耐熱性、耐候性、耐油性が良好な硬化性組成物を提供することである。
すなわち、本発明は、架橋性官能基を有するビニル系重合体、及び、イソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物に関するものである。
ビニル系重合体(I)は特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が、1.8未満であるのが好ましい。
更に、ビニル系重合体(I)の主鎖は、特に限定されないが、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるのが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル系モノマー、更に好ましくはアクリル系モノマー、もっと好ましくはアクリル酸エステル系モノマーであり、一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候、耐熱性等の物性が要求される点から、アクリル酸ブチル系モノマーを用いて重合して製造されるのが最も好ましい。また、一方で耐油性や耐熱性、高強度等を要求される自動車のエンジン周りや機械等の用途においては、アクリル酸エチル系モノマーを用いて重合して製造されるのが好ましく、更には耐寒性等の兼合いからアクリル酸エチル系モノマーを主としてアクリル酸2−メトキシエチル系モノマー、アクリル酸ブチル系モノマーを用いて共重合して製造されるのがより好ましい。耐油性や低温特性等の物性を考慮し、共重合するモノマーの比率を変化させることが可能である。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルをいう。
また、このビニル系重合体(I)の主鎖は、限定はされないが、リビングラジカル重合により製造されることが好ましく、原子移動ラジカル重合であることがより好ましい。さらに、原子移動ラジカル重合は、限定はされないが、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒とすることが好ましく、銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体がより好ましく、中でも銅の錯体が特に好ましい。
ビニル系重合体(I)の架橋性官能基の位置は、限定はされないが、末端が好ましい。その他に主鎖内部に同様の官能基を有しても構わないが、架橋させた硬化物にゴム弾性を求める場合等には末端のみに官能基を有することが好ましい。
ビニル系重合体(I)の架橋性官能基の数は、特に限定されないが、より架橋性の高い硬化物を得るためには、平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.1個以上4.0以下、さらに好ましくは1.2個以上3.5個以下である。
有機重合体(II)のイソシアネート基と反応し得る基は、特に限定はされないが、活性水素であっても良く、また、活性水素を発生し得るエポキシ基であっても良い。これらのイソシアネート基と反応し得る基は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基の群から選ばれる何れか1個ないしは2個以上の官能基であることが好ましい。また、有機重合体(II)は、ポリオールおよび有機ポリイソシアネートを反応させて得られたウレタンプレポリマーであっても良い。
有機重合体(II)の主鎖は、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものであるビニル系重合体の群から選ばれる何れか1個ないしは2個以上の主鎖であることが好ましい。
主鎖が上記のビニル系重合体である場合には、その主鎖が、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましく、連続重合法により得られた(メタ)アクリル系重合体であることがより好ましく、アクリル系重合体であることが、なお好ましく、アクリル酸エステルであることが更に好ましい。
以下に、本発明の硬化性組成物について詳述する。
<<ビニル系重合体(I)について>>
<主鎖>
発明者らは、これまでに様々な架橋性官能基を重合体末端に有するビニル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関して数々の発明を行ってきた(特開平11−080249、特開平11−080250、特開平11−005815、特開平11−116617、特開平11−116606、特開平11−080571、特開平11−080570、特開平11−130931、特開平11−100433、特開平11−116763、特開平9−272714号、特開平9−272715号等を参照)。本発明のビニル系重合体(I)としては特に限定されないが、上に例示した発明で開示される重合体をすべて好適に用いることができる。
本発明のビニル系重合体(I)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジパーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。
ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以上、好ましくは70モル%以上が、上記モノマーであることを意味する。
なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーである。一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候、耐熱性等の物性が要求される点から、アクリル酸ブチル系モノマーが更に好ましい。一方、自動車用途等の耐油性等が要求される用途においては、アクリル酸エチルを主とした共重合体が更に好ましい。このアクリル酸エチルを主とした重合体は耐油性に優れるが低温特性(耐寒性)にやや劣る傾向があるため、その低温特性を向上させるために、アクリル酸エチルの一部をアクリル酸ブチルに置き換えることも可能である。ただし、アクリル酸ブチルの比率を増やすに伴いその良好な耐油性が損なわれていくので、耐油性を要求される用途にはその比率は40モル%以下にするのが好ましく、更には30モル%以下にするのがより好ましい。また、耐油性を損なわずに低温特性等を改善するために側鎖のアルキル基に酸素が導入されたアクリル酸2−メトキシエチルやアクリル酸2−エトキシエチル等を用いるのも好ましい。ただし、側鎖にエーテル結合を持つアルコキシ基の導入により耐熱性が劣る傾向にあるので、耐熱性が要求されるときには、その比率は40モル%以下にするのが好ましい。各種用途や要求される目的に応じて、必要とされる耐油性や耐熱性、低温特性等の物性を考慮し、その比率を変化させ、適した重合体を得ることが可能である。例えば、限定はされないが耐油性や耐熱性、低温特性等の物性バランスに優れている例としては、アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−メトキシエチル(モル比で40〜50/20〜30/40〜20)の共重合体が挙げられる。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
本発明のビニル系重合体の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、なお好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
本発明におけるビニル系重合体の数平均分子量は特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。
<主鎖の合成法>
本発明における、ビニル系重合体の合成法は、限定はされないが、制御ラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合がより好ましく、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。以下にこれらについて説明する。
制御ラジカル重合 ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
本発明において、これらのリビングラジカル重合のうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、原子移動ラジカル重合法が好ましい。
以下にリビングラジカル重合について詳細に説明していくが、その前に、後に説明するビニル系重合体の製造に用いることができる制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
以下に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカル捕捉剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカル捕捉剤はラジカル発生剤と併用される。捕捉剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカル捕捉剤1モルに対し、ラジカル発生剤0.1〜10モルが適当である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生かしうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,P.2993で報告されているように、ラジカル捕捉剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
原子移動ラジカル重合
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2
(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R1−C(H)(X)−CO2R2、R1−C(CH3)(X)−CO2R2、R1−C(H)(X)−C(O)R2、R1−C(CH3)(X)−C(O)R2、
(式中、R1、R2は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R1−C6H4−SO2X
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(1)に示す構造を有するものが例示される。
R4R5C(X)−R6−R7−C(R3)=CH2 (1)
(式中、R3は水素、またはメチル基、R4、R5は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または他端において相互に連結したもの、R6は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R7は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R4、R5の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R4とR5は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式(1)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2)nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
H2C=C(R3)−R7−C(R4)(X)−R8−R5 (2)
(式中、R3、R4、R5、R7、Xは上記に同じ、R8は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
R7は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R8としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R7が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R8としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(2)の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C2H5、CH2=CHC(H)(X)CH(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C6H5、CH2=CHC(H)(X)CH2C6H5、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)8C(H)(X)−CO2R、CH2=CHCH2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C6H4−SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C6H4−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(3)に示す構造を有するものが例示される。
R4R5C(X)−R6−R7−C(H)(R3)CH2−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a (3)
(式中、R3、R4、R5、R6、R7、Xは上記に同じ、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(CH3)(OCH3)2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(4)で示される構造を有するものが例示される。
(R10)3−a(Y)aSi−[OSi(R9)2−b(Y)b]m−CH2−C(H)(R3)−R7−C(R4)(X)−R8−R5 (4)
(式中、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)3Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
H2N−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
生長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
(式中、C6H4はフェニレン基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラ
ルキル基、nは0〜20の整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
(式中、nは1〜20の整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
(式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、さらに好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行なうことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行なうことができ、好ましくは50〜150℃である。
本発明の原子移動ラジカル重合には、いわゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバース原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例えば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用させ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡状態を生み出す方法である(Macromolecules 1999,32,2872参照)。
<活性水素について>
本発明の活性水素とは、イソシアネート基と反応し得る活性水素を含有する官能基の事である。その具体例としては、特に限定はしないが、例えば、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、チオカルボキシル基等である。ビニル系重合体(I)の架橋性官能基が活性水素であるとは、該架橋性官能基が上記例示の様な官能基であることをいう。
また、活性水素以外の架橋性官能基とは、例えば、架橋性シリル基やアルケニル基、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基等の基をいう。
<官能基>
架橋性官能基の数
ビニル系重合体(I)の架橋性官能基の数は、特に限定されないが、組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観点から、平均して1個以上有することが好ましく、より好ましくは1.1個以上4.0以下、さらに好ましくは1.2個以上3.5個以下である。
架橋性官能基の位置
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性官能基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性官能基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
以下にこれらの官能基について説明する。
架橋性シリル基
本発明の架橋性シリル基としては、一般式(5);
−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a (5)
{式中、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
で表される基があげられる。
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基…の順に反応性が低くなり、目的や用途に応じて選択できる。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(6);
−Si(R10)3−a(Y)a (6)
(式中、R10、Yは前記と同じ、aは1〜3の整数。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
なお、特に限定はされないが、硬化性を考慮するとaは2個以上が好ましい。
このような架橋性シリル基を有するビニル系重合体は珪素原子1つあたり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性珪素基を有する重合体が用いられることが多いが、接着剤の用途等や低温で使用する場合等、特に非常に速い硬化速度を必要とする場合、その硬化速度は充分ではなく、また硬化後の柔軟性を出したい場合には、架橋密度を低下させる必要があり、そのため架橋密度が充分でないためにべたつき(表面タック)があることもあった。その際には、aが3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)であるのが好ましい。
また、aが3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)は2個のもの(例えばジメトキシ官能基)よりも硬化性が速いが、貯蔵安定性や力学物性(伸び等)に関しては2個のものの方が優れている場合がある。硬化性と物性バランスをとるために、2個のもの(例えばジメトキシ官能基)と3個のもの(例えばトリメトキシ官能基)を併用してもよい。
例えば、Yが同一の場合、aが多いほどYの反応性が高くなるため、Yとaを種々選択することにより硬化性や硬化物の機械物性等を制御することが可能であり、目的や用途に応じて選択できる。
アルケニル基
本発明におけるアルケニル基は、限定はされないが、一般式(7)で表されるものであることが好ましい。
H2C=C(R11)− (7)
(式中、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基である)
一般式(7)において、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH2)n−CH3、−CH(CH3)−(CH2)n−CH3、−CH(CH2CH3)−(CH2)n−CH3、−CH(CH2CH3)2、−C(CH3)2−(CH2)n−CH3、−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2)n−CH3、−C6H5、−C6H5(CH3)、−C6H5(CH3)2、−(CH2)n−C6H5、−(CH2)n−C6H5(CH3)、−(CH2)n−C6H5(CH3)2(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
これらの内では、水素原子が好ましい。
さらに、限定はされないが、重合体(I)のアルケニル基が、その炭素−炭素二重結合と共役するカルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化されていないことが好ましい。
アルケニル基と重合体の主鎖の結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されていることが好ましい。
アミノ基
本発明におけるアミノ基としては、限定はされないが、
−NR12 2
(R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。ただし、架橋性官能基であるためには少なくともひとつは水素であることが好ましい。)
が挙げられるが、
−(NR12 3)+X−
(R12は上記と同じ。X−は対アニオン。)
に示されるアンモニウム塩であっても何ら問題はない。
上記式中、R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、例えば、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。2個のR12は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する基
本発明における重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、好ましくは、一般式(8);
−OC(O)C(R13)=CH2 (8)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
で表される基であり、更に好ましくは、R13が、水素、または、メチル基である基である。
一般式(8)において、R13の具体例としては特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。
架橋性官能基の導入法
以下に、本発明のビニル系重合体(I)への架橋性官能基の導入法について説明するが、これに限定されるものではない。
まず、末端官能基変換により架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基を導入する方法について記述する。これらの官能基はお互いに前駆体となりうるので、架橋性シリル基から遡る順序で記述していく。
架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法としては、
(A)アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体に架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法
(B)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基を有する化合物のような、水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させる方法
(C)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、1分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる方法
(D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法
(E)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に1分子中に架橋性シリル基と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法;などが挙げられる。
(A)の方法で用いるアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は種々の方法で得られる。以下に合成方法を例示するが、これらに限定されるわけではない。
(A−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式(9)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
H2C=C(R14)−R15−R16−C(R17)=CH2 (9)
(式中、R14は水素またはメチル基を示し、R15は−C(O)O−、またはo−,m−,p−フェニレン基を示し、R16は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。R17は水素、または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(A−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどのような重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させる方法。
(A−c)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えばアリルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫のようなアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を反応させてハロゲンを置換する方法。
(A−d)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(10)に挙げられるようなアルケニル基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
M+C−(R18)(R19)−R20−C(R17)=CH2 (10)
(式中、R17は上記に同じ、R18、R19はともにカルバニオンC−を安定化する電子吸引基であるか、または一方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基、またはフェニル基を示す。R20は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。M+はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す)
R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(A−e)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にハロゲンやアセチル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有するイソシアネート化合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等の、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させる方法。
(A−f)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一般式(11)あるいは(12)に示されるようなアルケニル基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
H2C=C(R17)−R21−O−M+ (11)
(式中、R17、M+は上記に同じ。R21は炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
H2C=C(R17)−R22−C(O)O−M+ (12)
(式中、R17、M+は上記に同じ。R22は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい)
などが挙げられる。
上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
またアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体から得ることも可能であり、以下に例示する方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の水酸基に、
(A−g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用させ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法。
(A−h)アリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシアネート化合物を反応させる方法。
(A−i)(メタ)アクリル酸クロリドのようなアルケニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の塩基存在下に反応させる方法。
(A−j)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる方法;等が挙げられる。
本発明では(A−a)(A−b)のようなアルケニル基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御がより容易である点から(A−b)の方法がさらに好ましい。
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することによりアルケニル基を導入する場合は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から(A−f)の方法がさらに好ましい。
また、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示すと、一般式(13)で示される化合物が例示される。
H−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a (13)
{式中、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(14)
H−Si(R10)3−a(Y)a (14)
(式中、R10、Yは前記に同じ、aは1〜3の整数)
で示される架橋性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
上記の架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物をアルケニル基に付加させる際には、遷移金属触媒が通常用いられる。遷移金属触媒としては、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(O)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、
RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。
(B)および(A−g)〜(A−j)の方法で用いる水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
(B−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、例えば下記の一般式(15)に挙げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
H2C=C(R14)−R15−R16−OH (15)
(式中、R14、R15、R16は上記に同じ)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(B−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールを反応させる方法。
(B−c)例えば特開平5−262808に示される水酸基含有ポリスルフィドのような水酸基含有連鎖移動剤を多量に用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−d)例えば特開平6−239912、特開平8−283310に示されるような過酸化水素あるいは水酸基含有開始剤を用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−e)例えば特開平6−116312に示されるようなアルコール類を過剰に用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
(B−f)例えば特開平4−132706などに示されるような方法で、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(B−g)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(16)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
M+C−(R18)(R19)−R20−OH (16)
(式中、R18、R19、R20、は上記に同じ)
R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
(B−h)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(B−i)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一般式(17)あるいは(18)に示されるような水酸基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
HO−R21−O−M+ (17)
(式中、R21およびM+は前記に同じ)
HO−R22−C(O)O−M+ (18)
(式中、R22およびM+は前記に同じ)
(B−j)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(19)に示される化合物等が挙げられる。
H2C=C(R14)−R21−OH (19)
(式中、R14およびR21は上述したものと同様である。)
上記一般式(19)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
本発明では(B−a)〜(B−e)及び(B−j)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御がより容易である点から(B−b)の方法がさらに好ましい。
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から(B−i)の方法がさらに好ましい。
また、一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基を有する化合物のような、水酸基と反応し得る基を有する化合物としては、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、必要により一般に知られているウレタン化反応の触媒を使用できる。
(C)の方法で用いる一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物としては、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのような、下記一般式(20)で示すものが挙げられる。
H2C=C(R14)−R15−R23−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a (20)
(式中、R9、R10、R14、R15、Y、a、b、mは上記に同じ。R23は、直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。)
一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に特に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(D)の連鎖移動剤法で用いられる、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては例えば特公平3−14068、特公平4−55444に示される、架橋性シリル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有するヒドロシランなどが挙げられる。
(E)の方法で用いられる、上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。一分子中に架橋性シリル基と安定化カルバニオンを併せ持つ化合物としては一般式(21)で示すものが挙げられる。
M+C−(R18)(R19)−R24−C(H)(R25)−CH2−[Si(R9)2−b(Y)bO]m−Si(R10)3−a(Y)a (21)
(式中、R9、R10、R18、R19、Y、a、b、m、は前記に同じ。R24は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい、R25は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。)
R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好ましい。
エポキシ基
本発明において反応性官能基を末端に有するビニル系重合体は、限定はされないが、以下の工程:
(1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することによってビニル系重合体を製造し;
(2)続いて反応性官能基とエチレン性不飽和基を併せ持つ化合物を反応させる;
ことにより製造される。
また、原子移動ラジカル重合において、重合終期にアリルアルコールを反応させ、その後、水酸基とハロゲン基でエポキシ環化させる方法も挙げられる。
アミノ基
アミノ基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重合体を製造する方法としては、以下の工程が挙げられる。
(1)ハロゲン基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重合体を製造し、
(2)末端ハロゲンを、アミノ基含有化合物を用いてアミノ基を有する置換基に変換する。
アミノ基を有する置換基としては、特に限定されないが、一般式(22)に示される基が例示される。
−O−R26−NR12 2(22)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。)
上記一般式(22)において、R26は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられるが、
−C6H4−R27−
(式中、C6H4はフェニレン基、R27は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す。)
または、
−C(O)−R28−
(式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す。)
が好ましい。
ビニル系重合体の末端ハロゲンを変換することにより、重合体末端にアミノ基を導入することができる。置換方法としては特に限定されないが、反応を制御しやすいという点からアミノ基含有化合物を求核剤とする求核置換反応が好ましい。このような求核剤として例えば、一般式(23)に示される水酸基とアミノ基を併せ持つ化合物が挙げられる。
HO−R26−NR12 2(23)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。)
上記一般式(23)において、R26は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられる。これらの水酸基とアミノ基を併せ持つ化合物の中で、R26が、
−C6H4−R27−
(式中、C6H4はフェニレン基、R27は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す)
で表されるアミノフェノール類;
−C(O)−R28−
(式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す)で表されるアミノ酸類;が好ましい。
具体的な化合物として、例えばエタノールアミン;o,m,p−アミノフェノール;o,m,p−NH2−C6H4−CO2H;グリシン、アラニン、アミノブタン酸等が挙げられる。
アミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合物を求核剤として用いることもできる。このような化合物としては特に限定されないが、例えば、一般式(24)に示される化合物が挙げられる。
M+O−−R26−NR12 2(24)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。M+はアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオンを表す。)
上記一般式(24)において、M+は、オキシアニオンの対カチオンであり、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。上記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。上記4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。
上記のアミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合物のうち、置換反応のコントロールがし易い、入手が容易であるという点から、一般式(25)に示すアミノフェノール類の塩、または一般式(26)に示すアミノ酸類の塩が好ましい。
M+O−−C6H4−R27−NR12 2(25)
M+O−−C(O)−R28−NR12 2(26)
(式中、C6H4はフェニレン基、R27は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。M+は上記と同じ。)
一般式(24)〜(26)に示されるオキシアニオンを有する化合物は、一般式(23)に示される化合物を塩基性化合物と作用させることにより容易に得られる。
塩基性化合物としては各種のものを使用できる。例示すると、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。上記塩基の使用量は、特に制限はないが、上記前駆体に対して、0.5〜5当量、好ましくは0.8〜1.2当量である。
上記前駆体と上記塩基を反応させる際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
M+が4級アンモニウムイオンであるオキシアニオンを有する化合物は、M+がアルカリ金属イオンであるものを調製し、これに4級アンモニウムハライドを作用させることによって得られる。上記4級アンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデシルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等が例示される。
重合体末端ハロゲンの置換反応に用いられる溶媒は各種のものが使用されてよい。例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
反応温度は0〜150℃で行なうことができる。また、アミノ基含有化合物の使用量は、特に制限されないが、重合体末端ハロゲンに対して、1〜5当量であり、好ましくは1〜1.2当量である。
求核置換反応を加速するために、反応混合物中に塩基性化合物を添加してもよい。このような塩基性化合物としては既に例示したもののほかに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン;ピリジン、ピコリン等のピリジン系化合物等が挙げられる。
求核置換反応に用いられるアミノ基含有化合物のアミノ基が、求核置換反応に影響を及ぼす場合には、適当な置換基により保護することが好ましい。このような置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が例示される。
また、アジドアニオンによりビニル系重合体のハロゲン末端を置換した後、LAH等により還元する方法が挙げられる。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する基 本発明の重合体(I)に重合性の炭素−炭素二重結合を有する基を導入する方法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。
▲1▼ビニル系重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法。具体例としては、一般式(27)で表される構造を有するビニル系重合体と、一般式(28)で示される化合物との反応による方法。
−CR29R30X (27)
(式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
M+−OC(O)C(R13)=CH2 (28)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
▲2▼水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(29)で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R13)=CH2 (29)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
▲3▼水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(30)で示される化合物との反応による方法。
HO−R31−OC(O)C(R13)=CH2 (30)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
上記▲1▼の方法について説明する。
▲1▼一般式(27)で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式(28)で示される化合物との反応による方法。
−CR29R30X (27)
(式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
M+−OC(O)C(R13)=CH2 (28)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(27)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(28)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(28)のオキシアニオンの使用量は、一般式(27)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行なう温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行なう。
上記▲2▼の方法について説明する。
▲2▼水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(29)で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R13)=CH2 (29)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
一般式(29)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
水酸基を、好ましくは末端に、有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。これらの方法により水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法が例示される。
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式(31)等で表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
H2C=C(R32)−R33−R34−OH (31)
(式中、R32は炭素数1〜20の有機基で水素またはメチル基が好ましく、互いに同一であっても異なっていてもよい。R33は−C(O)O−(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R34は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R33がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R33がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(32)に示される化合物等が挙げられる。
H2C=C(R32)−R35−OH (32)
(式中、R32は上述したものと同様である。R35は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式(32)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式(27)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(27)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(33)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
M+C−(R36)(R37)−R35−OH (33)
(式中、R35は上述したものと同様である。R36およびR37はともにカルバニオンC−を安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R36およびR37の電子吸引基としては、−CO2R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基である。R36およびR37としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(27)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式(27)で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(34)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(35)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R35−O−M+ (34)
(式中、R35およびM+は上述したものと同様である。)
HO−R35−C(O)O−M+ (35)
(式中、R35およびM+は上述したものと同様である。)
本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。
また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
上記▲3▼の方法について説明する。
▲3▼水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(36)で示される化合物との反応による方法。
HO−R31−OC(O)C(R13)=CH2 (36)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
一般式(36)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。具体的な化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上記の通り。
ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロシジイソシアネート等のイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。またブロックイソシアネートを使用しても構わない。
よりすぐれた耐候性を生かすためには、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
<<イソシアネート基と反応し得る基を有し(A)成分と異なる主鎖構造を有する有機重合体(II)について>>
本発明のイソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体(II)とは、イソシアネート基と反応しうる活性水素を有する有機重合体であっても良く、活性水素を発生し得るエポキシ基であっでも良い。あるいは、活性水素を有する化合物と有機ポリイソシアネートを反応させて得られるウレタンプレポリマーであっても良い。
本発明の活性水素とは、イソシアネート基と反応し得る活性水素を含有する官能基の事である。その具体例としては、特に限定はしないが、例えば、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、チオカルボキシル基等である。活性水素が複数ある場合、それらは同一でも良く、異なっていても良い。
なお、エポキシ基も他の活性水素化合物により水酸基を生じるため、上記の活性水素と同様、イソシアネート基と反応でき、同列に扱うことができる。つまり、エポキシ基とその他の活性水素が複数あっても良く、エポキシ基だけであっても良く、複数のエポキシ基、あるいはエポキシ基とその他の活性水素は同一であっても異なっていても良い。
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、特に限定はされないが、活性水素を分子内に1〜3個有するのが好ましく、1個以下あるいは3個以上でも良い。また、その場合に、活性水素は少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖末端に有するものであるが、この限りではない。
本発明における異なる主鎖構造とは、構成するモノマー種や分子量、分岐構造、官能基の位置、リビング重合やランダム重合などの重合方法等が異なっていることをいう。すなわち本発明においては、(A)成分のビニル系重合体(I)と異なる主鎖構造を有する有機重合体(II)とは、通常、以下のもののうち少なくともどれか一つに該当するものをいう。
・有機重合体(II)のGPCで測定した数平均分子量が、ビニル系重合体(I)の2分の1以下であるか2倍以上である場合。
・GPCで測定した有機重合体(II)のMw/Mn値が、ビニル系重合体(I)のそれと比較して0.5以上差がある場合。
・ビニル系重合体(I)と有機重合体(II)の重合仕込み時のモノマー種が異なる場合。
・ビニル系重合体(I)と有機重合体(II)の重合仕込み時のモノマー種の組成比が1重量%以上異なる場合。
・ビニル系重合体(I)と有機重合体(II)のモノマー配列が異なる場合。この配列としては、例えば、ランダム、ブロック、グラディエント等がある。
・ビニル系重合体(I)と有機重合体(II)の分岐構造が異なる場合。この分岐構造としては、例えば、直鎖、グラフト、星型、ハイパーブランチ等が例示され、同じ分岐構造の分類でもその枝の数や長さが異なる場合は異なる主鎖構造であるとする。
なお、特に限定されないが、(A)成分と異なる主鎖構造を有する有機重合体(II)の例としては、例えば、(A)成分であるビニル系重合体(I)が、架橋性官能基を有するリビング重合によって得られたアクリル酸エチルエステルであるのに対し、(B)成分である有機重合体(II)が水酸基を有するポリエーテル系重合体やアミノ基を有するランダム重合によって得られたアクリル酸エチルエステルである場合等が挙げられる。
本発明の有機重合体(II)の主鎖構造としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンポリオールやポリエチレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等に代表されるポリエーテル系、アジピン酸系ポリエステルポリオールやフタル酸系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリエステルポリオール等に代表されるポリエステル系、ポリブタジエンポリオールや水添ポリブタジエンポリオール、水添イソプレンポリオール等に代表されるポリオレフィン系、水酸基を持つヒドロキシメタクリレート等のアクリルモノマーと(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等との共重合体であるアクリルポリオールに代表されるビニル系等が挙げられる。他にも限定はされないが、本発明の有機重合体(II)として芳香族ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールに代表される特殊ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、エポキシポリオール、含ハロゲン、含リンポリオールやフェノール系ポリオールに代表される難燃性ポリオール等が挙げられる。
ポリオールについて以下に更に詳細に説明する。ポリオールとは、一般にウレタン化合物の製造に用いられる種々のポリヒドロキシ化合物であり、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、水酸基末端ポリブタジエンなどがあげられる。ポリエーテルポリオールとは、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドの1種もしくは2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させた生成物である。ここにおける2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば多価アルコール類、アミン類、アルカノールアミン類、多価フェノール類があげられ、多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが、アミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが、アルカノールアミン類としてはエタノールアミン、プロパノールアミンなどが、また、多価フェノール類としては、レゾルシン、ビスフェノールなどがあげられる。ポリエステルポリオールとは、多価アルコールと多塩基性カルボン酸との縮合物、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物、ラクトンの重合物などであり、これらに使用される多価アルコール類としては先にポリエーテルポリオールの項で例示した化合物などが、多塩基性カルボン酸としては、例えばアジピン酸、グルタール酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸などがあげられる。さらに、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物として、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコールの反応生成物、ヒマシ油とプロピレングリコールの反応生成物なども有用である。また、ラクトンの重合物とは、ε−カプロラクタム、α−メチル−ε−カプロラクタム、ε−メチル−εカプロラクタンなどを適当な重合開始剤で開環重合させたものである。ポリマーポリオールとは、例えば前記ポリエーテルポリオールないしはポリエステルポリオールに、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させたもの、1,2−もしくは1,4−ポリブタジエンポリオール、またはこれらの水素添加物などである。ポリオールとしては上記のものが例示されるが、1種単独あるいは2種以上を併用してもよい。また、平均分子量は100〜10000程度のものが好ましく、500〜5000程度のものが更に好ましいが、分子量分布の狭いポリマー等において、場合によってはゴム弾性等の面から10000〜50000のものが好ましいこともある。
本発明におけるポリウレタンプレポリマーの製造法としては、例えば、活性水素を有する化合物、および過剰量のポリイソシアネート化合物を窒素フロー下において常圧下で反応温度70〜90℃、反応時間1〜3時間で、反応させることにより得られるが、これに限定されるものではない。これら反応成分の割合は通常、NCO/OHの当量比が1.2〜1.9、好ましくは1.4〜1.7の範囲となるように設定すれば良い。1.2未満ではウレタンプレポリマーの粘度が著しく高くなり、また1.9を超えると粘度は低いが、湿気硬化時のCO2による発泡が著しくなる傾向がある。
<<ポリイソシアネート化合物について>>
本発明で用いられる硬化性組成物にはイソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体(II)の硬化剤としてポリイソシアネート化合物を用いても良い。ポリイソシアネート化合物としては、従来公知の、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる種々のものを何れも使用することができる。特に限定はされないが、例えば、以下に列記するもの等が挙げられる。2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジイソシアネート−3,3−ジメチルジフェニル、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−または1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロキサン、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリス−4−フェニルイソシアネートチオホスフェート、3,3’,4,4’ジフェニルメタンテトライソシアネート、ポリプロピレングリコールまたはトリオールとトリレンジイソシアネート付加反応物、トリメチロールプロパン1モルとトリレンジイソシアネート3モルとの付加反応物、前記活性水素含有高分子とポリイソシアネートとのプレポリマー、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアネートシクロヘキサン、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製)の如きビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製)、コロネートEH(日本ポリウレタン工業(株)製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン(株)社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物、コロネートHL(日本ポリウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物等である。これらは、1種単独で使用し得るほか、2種以上を併用することもできる。また、ブロックイソシアネートを使用しても構わない。
ポリイソシアネート化合物を添加する場合の配合量は、NCO基と前記活性水素基との当量比(NCO基/活性水素基)で0.5〜3.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.7〜2.0の範囲、最も好ましくは0.8〜1.5の範囲とされるが、用途などによって適宜決定すれば良い。さらに硬化促進の為に、必要に応じて、ジ−n−ブチルスズジラウレート、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチルアミン、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属塩などの触媒を用いることが出来る。
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物においては、硬化触媒や硬化剤が必要になるものがある。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<硬化触媒・硬化剤>
ビニル系重合体(I)の架橋性官能基と有機重合体(II)のイソシアネート基と反応し得る基が同一の場合には同じ硬化触媒・硬化剤を用いることが可能である。また、両者の基が異なる場合でも同じ硬化触媒・硬化剤を用いることが可能な場合もある。なお、有機重合体(II)の硬化触媒・硬化剤として、前のポリイソシアネート化合物の項に記載した、触媒やポリイソシアネート化合物を用いても良い。
以下に、ビニル系重合体(I)の架橋性官能基がそれぞれの場合の硬化触媒・硬化剤について詳細に説明する。
架橋性シリル基の場合
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
このような縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫等の2価のスズ化合物類;モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。なお、特に限定はされないが、硬化性を制御するために錫系硬化触媒を用いるのが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、アミン系化合物と同様に、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤を助触媒として使用することも可能である。このアミノ基含有シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基という)及びアミノ基を有する化合物であり、この加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
これらのアミン化合物の配合量は、ビニル系重合体(I)の有機重合体100重量部に対して0.01〜50重量部程度が好ましく、更に0.1〜20重量部がより好ましい。アミン化合物の配合量が0.01重量部未満であると硬化速度が遅くなる場合があり、また硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、アミン化合物の配合量が30重量部を越えると、ポットライフが短くなり過ぎる場合があり、作業性の点から好ましくない。
これらのアミン化合物は、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
更に、下記一般式(37)
R49 aSi(OR50)4−a (37)
(式中、R49およびR50は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3の何れかである。)で示されるアミノ基やシラノール基をもたないケイ素化合物を助触媒として添加しても構わない。
前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(37)中のR49が、炭素数6〜20のアリール基であるものが
、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、ビニル系重合体100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
なお、硬化触媒・硬化剤の種類や添加量は、本発明の一般式(1)や(6)で表されるビニル系重合体のYの種類やaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。Yがアルコキシ基である場合、炭素数の少ない方が反応性が高く、またaが多い方が反応性が高いため少量で充分硬化させることが可能である。
アルケニル基の場合
アルケニル基を用いて架橋させる場合は、限定はされないが、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤とし、ヒドロシリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応により架橋させることが好ましい。
ヒドロシリル基含有化合物としては、アルケニル基を有する重合体と架橋により硬化できるヒドロシリル基含有化合物であれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。例えば、一般式(38)または(39)で表される鎖状ポリシロキサン;
R51 3SiO−[Si(R51)2O]a−[Si(H)(R52)O]b−[Si(R52)(R53)O]c−SiR51 3 (38)
HR51 2SiO−[Si(R51)2O]a−[Si(H)(R52)O]b−[Si(R52)(R53)O]c−SiR51 2H (39)
(式中、R51およびR52は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R53は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)
一般式(40)で表される環状シロキサン;
(式中、R54およびR55は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R56は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)
等の化合物を用いることができる。
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する下記一般式(41)、(42)で表される鎖状シロキサンや、一般式(43)、(44)で表される環状シロキサンが好ましい。
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C6H5)2O]h−Si(CH3)3 (41)
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3){CH2C(H)(R57)C6H5}O]h−Si(CH3)3 (42)
(式中、R57は水素またはメチル基を示す。gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。C6H5はフェニル基を示す。)
(式中、R57は水素、またはメチル基を示す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+j≦10を満たす整数を示す。C6H5はフェニル基を示す。)
ヒドロシリル基含有化合物としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、一般式(38)から(44)に表されるヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられる。
上記一般式(38)から(44)に示した過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることができる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらにはビニル系重合体(I)への相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
(nは2〜4の整数、mは5〜10の整数)
重合体と硬化剤は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.4であることが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
重合体と硬化剤との硬化反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(O)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、ビニル系重合体(I)のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ましい。
硬化温度については特に制限はないが、一般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜150℃で硬化させるのがよい。
水酸基の場合
本発明の水酸基を有する重合体は、水酸基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用することができる。
アミノ基の場合
本発明のアミノ基を有する重合体は、アミノ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用することができる。
エポキシ基の場合
本発明のエポキシ基を有する重合体の硬化剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族アミン類、脂環族アミン類、芳香族アミン類;酸無水物;ポリアミド;イミダゾール類;アミンイミド;ユリア;メラミンとその誘導体;ポリアミンの塩;フェノール樹脂;ポリメルカプタン、ポリスルフィド;芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩等の光・紫外線硬化剤等が用いられる。
重合性の炭素−炭素二重結合の場合
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体は、その重合性の炭素−炭素二重結合の重合反応により架橋させることができる。
架橋の方法としては、活性エネルギー線で硬化するもの、あるいは、熱で硬化するものが挙げられる。活性エネルギー線硬化性組成物においては、光重合開始剤が光ラジカル開始剤、あるいは、光アニオン開始剤であることが好ましい。熱硬化性組成物においては、熱重合開始剤が、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸物、及びレドックス開始剤からなる群より選択されるものであるが好ましい。
以下に詳細にこれらの架橋反応について説明する。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体を架橋させる場合には、その目的に応じて、重合性のモノマー及び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用しても構わない。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリル基を持つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかでも、アクリル官能性基を持つものが好ましい。
上記のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーなどが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物などを挙げることができる。
(式中、nは1〜1000の整数。)
(式中、nは1〜1000の整数。)
(式中、nは1〜1000の整数。)
スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン等が、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が、共役ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソプレン等が、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビニルケトン等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
これらのモノマー及びオリゴマーは、用いられる開始剤及び硬化条件により選択される。
また、アクリル官能性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、2000以下であることが好ましく、1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体の架橋の方法としては、UVや電子線などの活性エネルギー線によることが好ましい。
活性エネルギー線により架橋させる場合には、光重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる光重合開始剤としては特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの組合せ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
また、近赤外光重合開始剤として、近赤外光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成物の重合体100部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
また、重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体の架橋の方法としては、熱によることが好ましい。
活性エネルギー線により架橋させる場合には、熱重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明に用いられる熱重合開始剤としては特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸酸、及びレドックス開始剤が含まれる。
適切なアゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレート)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
適切な過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
適切な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
適切なレドックス(酸化還元)開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤のメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組合せ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
他の開始剤としては、限定されるわけではないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコール等が挙げられる。
好ましい熱ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレート)、t−ブチルパーオキシピバレート、及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
本発明に用いられる熱開始剤は触媒的に有効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、典型的には、本発明の少なくとも一つの末端にアクリル官能性基を有する重合体及び他に添加されるモノマー及びオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される場合には、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1種の開始剤が使用されるかのような量である。
本発明の熱硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始剤、重合体(I)及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間は、使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。
<接着性付与剤>
本発明の組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。接着付与剤を添加すると、外力により目地幅等が変動することによって、シーリング材がサイディングボード等の被着体から剥離する危険性をより低減することができる。また、場合によっては接着性向上の為に用いるプライマーの使用の必要性がなくなり、施工作業の簡略化が期待される。シランカップリング剤の具体例としてはアミノ基や、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等の官能基をもったシランカップリング剤が例示でき、その具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、ブロックイソシアネートシラン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、架橋性シリル基含有ビニル系重合体100部に対し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、0.5〜10部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果
を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。特に限定はされないが、接着性、特にオイルパンなどの金属被着面に対する接着性を向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカップリング剤を0.1〜20重量部、併用することが好ましい。
接着性付与剤の種類や添加量は、本発明の一般式(1)や(6)で表されるビニル系重合体のYの種類やaの数によって選択することが可能であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御することが可能である。特に硬化性や伸びに影響するためその選択には注意が必要である。
<可塑剤>
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填材を混合できたりするためより有利となるが、必ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。
なかでも数平均分子量500〜15000の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアルキッド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000と記載したが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、また、アルキッド塗装性が改善できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207、特公平5−58005、特開平1−313522、USP5010166)にて作製されるため本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、ビニル系重合体100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
<充填材>
本発明の硬化性組成物には、各種充填材を必要に応じて用いても良い。充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、シリカ(フュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸等)、カーボンブラックのような補強性充填材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等のような繊維状充填材等が挙げられる。
これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。
特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。なかでも、比表面積(BET吸着法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシランやオルガノシラザン、ジオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが更に好ましい。
補強性の高いシリカ系充填材のより具体的な例としては、特に限定されないが、フュームドシリカの1つである日本アエロジル社のアエロジルや、沈降法シリカの1つである日本シリカ社工業のNipsil等が挙げられる。
また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果はより大きくなる。
更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤が用いられている。具体例としては、以下に限定されるものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコール硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシウムに対して、0.1.〜20重量%の範囲で処理するのが好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
特に限定はされないが、炭酸カルシウムを用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性等の改善効果を特に期待する場合には膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
一方、重質炭酸カルシウムは配合物の低粘度化や増量、コストダウン等を目的として添加することがあるが、この重質炭酸カルシウムを用いる場合は必要に応じて下記のようなものを使用することができる。
重質炭酸カルシウムとは、天然のチョーク(白亜)、大理石、石灰石などを機械的に粉砕・加工したものである。粉砕方法については乾式法と湿式法があるが、湿式粉砕品は本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性を悪化させることが多いために好ましくないことが多い。重質炭酸カルシウムは、分級により、様々な平均粒子径を有する製品となる。特に限定されないが、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果を期待する場合には、比表面積の値が1.5m2/g以上50m2/g以下のものが好ましく、2m2/g以上50m2/g以下が更に好ましく、2.4m2/g以上50m2/g以下がより好ましく、3m2/g以上50m2/g以下が特に好ましい。比表面積が1.5m2/g未満の場合には、その改善効果が充分でないことがある。もちろん、単に粘度を低下させる場合や増量のみを目的とする場合などはこの限りではない。
なお、比表面積の値とは、測定方法としてJIS K 5101に準じて行なった空気透過法(粉体充填層に対する空気の透過性から比表面積を求める方法。
)による測定値をいう。測定機器としては、島津製作所製の比表面積測定器SS−100型を用いるのが好ましい。
これらの充填材は目的や必要に応じて単独で併用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に限定はされないが、例えば、必要に応じて比表面積の値が1.5m2/g以上の重質炭酸カルシウムと膠質炭酸カルシウムを組み合わせると、配合物の粘度の上昇を程々に抑え、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が大いに期待できる。
充填材を用いる場合の添加量は、ビニル系重合体100重量部に対して、充填材を5〜1000重量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低下することがある。充填材は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
<微小中空粒子>
また、更に、物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的として、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用しても良い。
このような微少中空粒子(以下バルーンという)は、特に限定はされないが、「機能性フィラーの最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成された中空体が挙げられる。特に、真比重が1.0g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましく、更には0.5g/cm3以下である微少中空体を用いることが好ましい。
前記無機系バルーンとして、珪酸系バルーンと非珪酸系バルーンとが例示でき、珪酸系バルーンには、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン等が、非珪酸系バルーンには、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等が例示できる。これらの無機系バルーンの具体例として、シラスバルーンとしてイヂチ化成製のウインライト、三機工業製のサンキライト、ガラスバルーンとして日本板硝子製のカルーン、住友スリーエム製のセルスターZ−28、EMERSON&CUMING製のMICRO BALLOON、PITTSBURGE CORNING製のCELAMIC GLASSMODULES、3M製のGLASSBUBBLES、シリカバルーンとして旭硝子製のQ−CEL、太平洋セメント製のE−SPHERES、フライアッシュバルーンとして、PFAMARKETING製のCEROSPHERES、FILLITE U.S.A製のFILLITE、アルミナバルーンとして昭和電工製のBW、ジルコニアバルーンとしてZIRCOA製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEES、カーボンバルーンとして呉羽化学製クレカスフェア、GENERAL TECHNOLOGIES製カーボスフェアが市販されている。
前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーンは、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配合後に発泡させてバルーンとしても良い。
これらの有機系バルーンの具体例として、フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド製のUCAR及びPHENOLIC MICROBALLOONS、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES、尿素バルーンとしてEMERSON&CUMING製のECCOSPHERES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHEMICAL製のSARAN MICROSPHERES、日本フィラメント製のエクスパンセル、松本油脂製薬製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルーンとしてARCO POLYMERS製のDYLITE EXPANDABLE POLYSTYRENE、BASF WYANDOTE製の EXPANDABLE POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム製のSX863(P)が、市販されている。
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらの、バルーンは配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性および伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
バルーンの含有量は、特に限定されないがビニル系重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜50部、更に好ましくは0.1〜30部の範囲で使用できる。この量が0.1部未満では軽量化の効果が小さく50部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50部、更に好ましくは5〜30部が好ましい。
<物性調整剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。
物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<シラノール含有化合物>
本発明の硬化性組成物には、硬化物の物性を変える等の必要に応じてシラノール含有化合物を添加しても良い。シラノール含有化合物とは、分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用いてもよい。
シラノール含有化合物の一つである分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定されず、下記に示した化合物、
(CH3)3SiOH、(CH3CH2)3SiOH、(CH3CH2CH2)3SiOH、(n−Bu)3SiOH、(sec−Bu)3SiOH、(t−Bu)3SiOH、(t−Bu)Si(CH3)2OH、(C5H11)3SiOH、(C6H13)3SiOH、(C6H5)3SiOH、(C6H5)2Si(CH3)OH、(C6H5)Si(CH3)2OH、(C6H5)2Si(C2H5)OH、C6H5Si(C2H5)2OH、C6H5CH2Si(C2H5)2OH、C10H7Si(CH3)2OH
(ただし、上記式中C6H5はフェニル基を、C10H7はナフチル基を示す。)
等のような(R”)3SiOH(ただし式中R”は同一または異種の置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基)で表わすことができる化合物、
等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン化合物、
(式中、nは1〜1000の整数。)
等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン化合物、
(式中、nは1〜1000の整数。)
等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物、
(式中、nは1〜1000の整数。)
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
(式中、mは1〜1000の整数、nは1〜1000の整数。)
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物等が例示できる。このうち下記一般式(45)で表される化合物が好ましい。
(R58)3SiOH (45)
(式中、R58は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR58は同一であってもよく又は異なっていてもよい。)
R27は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
中でも、入手が容易であり、効果の点から分子量の小さい(CH3)3SiOH等が好ましい。
上記、分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、ビニル系重合体の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。また本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、水分と反応して生成する分子内に1個のシラノール基を有する化合物(加水分解生成物)が、上記一般式(45)で表される化合物が好ましい。例えば、特に限定されるわけではないが、後述するような一般式(46)で表される化合物以外に下記の化合物を挙げることができる。
N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2−エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CH3)3SiNHSi(CH3)3、(CH3)3SiNSi(CH3)2、
等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CH3)3SiNHSi(CH3)3が特に好ましい。
さらには本発明の成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式(46)で表される化合物が好ましい。
((R58)3SiO)nR59 (46)
(式中、R58は上述したものと同様である。nは正数を、R59は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。)
R58は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
(R58)3Si基は、3個のR58が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。また、nは1〜5が好ましい。
上記R59の由来となる活性水素含有化合物としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾール等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸アミド類、尿素、N,N’−ジフェニル尿素等の尿素類;アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式(46)で表される水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t−ブチル)クロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる(R58)3Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない(ただし、R58は上述したものと同様である。)。
上記一般式(46)で表される化合物を具体的に例示すると、アリロキシトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、
N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2−エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、一般式(((R60)3SiO)(R61O)5)tZで表わすことができるような化合物、CH3O(CH2CH(CH3)O)5Si(CH3)3、CH2=CHCH2(CH2CH(CH3)O)5Si(CH3)3、(CH3)3SiO(CH2CH(CH3)O)5Si(CH3)3、(CH3)3SiO(CH2CH(CH3)O)7Si(CH3)3
(式中、R60は同一または異種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子、R61は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、tは正の整数で、sは1〜6、s×tは5以上、Zは1〜6価の有機基)
等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後に生成する活性水素含有化合物はフェノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素含有化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコール類が更に好ましい。
上記の化合物の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2−エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好ましい。
この水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応することにより、分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成する。この様にして生成した分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合体の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
シラノール含有化合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能である。シラノール含有化合物は、ビニル系重合体100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重量部未満では添加効果が現れず、50重量部を越えると架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下しすぎる。
また、シラノール含有化合物をビニル系重合体に添加する時期は特に限定されず、ビニル系重合体の製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添加してもよい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。
また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<光硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光硬化性物質を添加しても良い。光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この光硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。この光硬化性物質は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日間、室温で静置することにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのものが知られており、その種類は特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物は、下記一般式(47)で表される不飽和基を有する単量体、オリゴマーあるいはこれらの混合物である。
CH2=CHR62CO(O)− (47)
式中、R62は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。
不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシドやプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させることにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、93頁〜、106頁から、117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
上記の光硬化性物質の中では、取り扱い易いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
光硬化性物質は、ビニル系重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
<空気酸化硬化性物質>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良い。空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化合物である。この空気酸化硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減できる。
本発明における空気酸化硬化性物質は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中で室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得られる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンを、C5〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが具体例として挙げられる。これらのうちでは桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン系重合体)やその変性物が特に好ましい。
上記液状ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化合物等が例示される。
空気酸化硬化性物質は、ビニル系重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。
<酸化防止剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
例えば、MARK PEP−36、MARK AO−23等のチオエーテル系(以上いずれもアデカア−ガス化学製)、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも日本チバガイギー製)等のようなリン系酸化防止剤等が挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
商品名で言えば、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−80、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化学製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー製)、SumilizerGM、SumilizerGA−80(以上いずれも住友化学製)等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
酸化防止剤は後述する光安定剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐熱性が向上することがあるため特に好ましい。予め酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)などを使用しても良い。
酸化防止剤の使用量は、ビニル系重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、5重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<光安定剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
特に限定はされないが、光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、
N,N’−ビス(3アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリディニル)エステル等が挙げられる。商品名で言えば、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL、Irgafos168、(以上いずれも日本チバガイギー製)、MARK LA−52、MARK LA−57、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−82、MARK LA−87、(以上いずれもアデカア−ガス化学製)、サノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114、サノールLS−744、サノールLS−440(以上いずれも三共製)などが例示できるがこれらに限定されるものではない。
更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組合せはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。
光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)などを使用しても良い。
光安定剤の使用量は、ビニル系重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、5重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
その他の添加剤
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂、鎖延長剤、整泡剤、架橋剤などが挙げられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製しても良く、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整しても良い。2成分型にすると、2成分の混合時に着色剤を添加することができ、例えば、サイディングボードの色に合わせたシーリング材を提供する際に、限られた在庫で豊富な色揃えをすることが可能となるなど、市場から要望されている多色化対応が容易となり、低層建物用等により好ましい。着色剤は、例えば顔料と可塑剤、場合によっては充填材を混合しペースト化したものを用いると作業し易い。また、更に2成分の混合時に遅延剤を添加することにより硬化速度を作業現場にて微調整することができる。
<<硬化物>>
<用途>
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材シーラントや複層ガラス用シーリング材等におけるシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、反応性ホットメルト接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、缶蓋等のシール材、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、人工大理石、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車や船舶、家電等に使用される防振・制振・防音・免震材料、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤、等の様々な用途に利用可能である。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、本実施例において「トリアミン」とは、ペンタメチルジエチレントリアミンをいう。
下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
(製造例1)
攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2g)、アセトニトリル(27.3g)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸n−ブチル(100g)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(8.8g)、アセトニトリル(16.6g)を添加し、よく攪拌混合した。トリアミン(0.17g)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル(400g)を連続的に滴下した。アクリル酸n−ブチルの滴下途中にトリアミン(0.68g)を分割添加した。
モノマー反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮した後、1,7−オクタジエン(53.7g)、アセトニトリル(132g)、トリアミン(1.69g)を添加し、引き続き70℃で加熱攪拌し、アルケニル基を有する重合体を含有する混合物を得た。
混合物中のアセトニトリル、未反応の1,7−オクタジエンを加熱脱揮し、メチルシクロヘキサンで希釈した。不溶な重合触媒を遠心分離機で沈降させ除去した。重合体100部に対して吸着剤6部(キョーワード500SH 3部/キョーワード700SL 3部:共に協和化学(株)製)を重合体のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することでアルケニル基を有する重合体(重合体[1])を得た。
得られた重合体[1]を180℃で12時間攪拌しながら加熱脱揮(減圧度10torr以下)し、更にその重合体100部をメチルシクロヘキサン400部で希釈し、固形分を除去した後、溶液を濃縮して重合体[2]を得た。この重合体[2]の数平均分子量は24800、分子量分布は1.36であった。重合体1分子当たりに導入されたアルケニル基の数は平均1.8個であった。
この重合体[2]に、オルトギ酸メチル(アルケニル基に対して1モル当量)、白金触媒(白金金属量として重合体1kgに対して10mg)、1−(2−トリメトキシシリルエチニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(アルケニル基に対して1.5モル当量)を順に加え混合し、窒素雰囲気下、100℃で0.5時間加熱攪拌した。アルケニル基が反応により消失したことを1H−NMRで確認し、反応混合物を濃縮して目的とするメトキシシリル基含有重合体[P1]を得た。数平均分子量は27900、分子量分布は1.32であった。
重合体1分子当たりに導入されたシリル基の数は平均1.7個であった。
(製造例2)
還流管および攪拌機付きの300mLのフラスコに、CuBr(1.01g、7mmol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(11.5mL)を加え、オイルバス中70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(33.6mL、234mmol)、アクリル酸エチル(46.7mL、431mmol)、アクリル酸2−メトキシエチル(34.9mL、272mmol)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(2.81g、7.8mmol)、トリアミン(0.05mL、0.04g、0.2mmol)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、途中にトリアミン(0.20mL、0.16g、0.9mmol)を追加した。反応開始より180分経過時、モノマー転化率98%で5−ヘキセン−1−オール(14.1mL、11.7g、117mmol)、トリアミン(0.49mL、0.41g、2.3mmol)を加え、引き続き80℃で480分加熱攪拌した。
反応混合物の揮発分を減圧留去した後、トルエン(500g)で希釈し濾過により固形物を除去した。引き続き、酸性珪酸アルミ(5g、協和化学製、キョーワード700SL)、塩基性珪酸アルミ(5g、協和化学製、キョーワード500SH)を仕込み、窒素気流下100℃で4時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより水酸基末端共重合体{末端に水酸基を有するアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸メトキシエチルの共重合体:重合体[P2]}を得た。得られた共重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により17800、分子量分布は1.16であった。共重合体1分子当たりに導入された平均の水酸基の数を1H−NMR分析により求めたところ、約2.5個であった。
(比較例1)
実施例2で用いた重合体[P1]を用いなかった以外は実施例2と同様にしてシート状の硬化物を得た。
(評価)
実施例2及び比較例1で得られた硬化物の耐候性を、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SUN−DC型、ブラックパネル温度63℃、照射2時間中降雨18分)を用いてテストした。200時間、耐候性試験をおこなった後の表面状態を観察したところ、実施例2は変化がなかったが、比較例2の方は溶けて原形がなくなっていた。
架橋性官能基を有するビニル系重合体、及び、イソシアネート基と反応し得る基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物は、良好な耐候性を示した。
Claims (50)
- 以下の二成分:
(A)架橋性官能基を有するビニル系重合体(I)、及び、
(B)イソシアネート基と反応し得る基を有し(A)成分と異なる主鎖構造を有する有機重合体(II)
を含有する硬化性組成物。 - ビニル系重合体(I)の架橋性官能基が活性水素である、請求の範囲第1項に記載の硬化性組成物。
- ビニル系重合体(I)が活性水素以外の架橋性官能基を有する、請求の範囲第1項に記載の硬化性組成物。
- ビニル系重合体(I)と有機重合体(II)の官能基が異なる、請求の範囲第1項〜第3項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 有機重合体(II)のイソシアネート基と反応し得る基が活性水素である、請求の範囲第1項〜第4項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 活性水素が水酸基である、有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第5項に記載の硬化性組成物。
- 活性水素がアミノ基である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第5項に記載の硬化性組成物。
- 活性水素がカルボキシル基である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第5項に記載の硬化性組成物。
- イソシアネート基と反応し得る基がエポキシ基である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第4項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 有機重合体(II)が、活性水素を有する化合物と有機ポリイソシアネートを反応させて得られたウレタンプレポリマーである、請求の範囲第1項〜第4項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がポリエーテル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第10項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がポリエステル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第10項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖が(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものであるビニル系重合体である、有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第10項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖が(メタ)アクリル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第13項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖が連続重合法により得られた(メタ)アクリル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第14項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がアクリル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第14項または15項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がアクリル酸エステル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第16項に記載の硬化性組成物。
- 分子量分布が1.8未満であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第17項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖が(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものである、ビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第18項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖が(メタ)アクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第19項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がアクリル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第20項に記載の硬化性組成物。
- 主鎖がアクリル酸エステル系重合体であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第21項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が主鎖末端にあるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第22項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が架橋性シリル基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がアルケニル基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が水酸基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がアミノ基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が重合性の炭素−炭素二重結合を有する基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がエポキシ基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れかに記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がアミノ基であるビニル系重合体(I)を含有する、請求の範囲第1項〜第23項の何れかに記載の硬化性組成物。
- ビニル系重合体(I)の主鎖がリビングラジカル重合により製造されるものである、請求の範囲第1項〜第30項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である、請求の範囲第31項に記載の硬化性組成物。
- 原子移動ラジカル重合が、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒として用いて行われる、請求の範囲第32項に記載の硬化性組成物。
- 触媒として用いられる金属錯体が銅、ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体である、請求の範囲第33項に記載の硬化性組成物。
- 触媒として用いられる金属錯体が銅の錯体である、請求の範囲第34項に記載の硬化性組成物。
- 更にポリイソシアネート化合物を含有する、請求の範囲第1項〜第35項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が水酸基であるビニル系重合体(I)と、イソシアネート基と反応し得る基が水酸基であり、かつ、主鎖がポリエーテル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第36項のうち何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基が架橋性シリル基であるビニル系重合体(I)と、イソシアネート基と反応し得る基が水酸基であり、かつ主鎖がポリエーテル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第36項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がエポキシ基であるビニル系重合体(I)と、イソシアネート基と反応し得る基が水酸基であり、かつ、主鎖がポリエーテル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第36項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 架橋性官能基がアミノ基であるビニル系重合体(I)と、イソシアネート基と反応し得る基が水酸基であり、かつ、主鎖がポリエーテル系重合体である有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第1項〜第36項の何れか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求の範囲第1項〜第40項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた接着剤。
- 請求の範囲第1項〜第40項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた反応性ホットメルト接着剤。
- 請求の範囲第1項〜第40項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いたシーリング材。
- 請求の範囲第1項〜第40項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた液状ガスケット。
- 以下の二成分:
(A)架橋性シリル基を有するビニル系重合体(I)、及び
(B)水酸基を有し(A)成分と異なる主鎖構造を有する有機重合体(II)を含有する硬化性組成物。 - 前記主鎖がポリエーテル系重合体である、有機重合体(II)を含有する、請求の範囲第45項に記載の硬化性組成物。
- 請求の範囲第45項〜第46項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた接着剤。
- 請求の範囲第45項〜第46項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた反応性ホットメルト接着剤。
- 請求の範囲第45項〜第46項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いたシーリング材。
- 請求の範囲第45項〜第46項の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いた液状ガスケット。
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