JPWO2004086102A1 - 二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路および共振器 - Google Patents

二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路および共振器 Download PDF

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Abstract

円柱構造体101によって正方格子104が形成されており、フォトニック結晶100は、その正方格子104が周期的に配列した周期構造を有している。各円柱構造体101における中心点間の距離を単位長さaとし、これを正方格子104の格子定数とする。そして、正方格子104の略中心部には円柱構造体102が配置されており、円柱構造体101と円柱構造体102の周囲には誘電体領域103が設けられている。この構造を採用することにより、ある共通する周波数領域において、TE波に対するフォトニックギャップと、TM波に対するフォトニックギャップとが形成され、完全バンドギャップを形成することができる。

Description

本発明は、光などの電磁波を制御する素子として使用されるフォトニック結晶に係り、特に、特定の波長領域の電磁波に対し完全フォトニックバンドギャップを形成する二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路および共振器に関する。
近年、光などの電磁波を制御する素子としてフォトニック結晶の重要性が高まっている。フォトニック結晶は、結晶を構成する領域間の誘電率を周期的に変化させた周期構造体であり、光などの電磁波の波長と同程度の周期的な誘電率変化を内部に持ち、人工周期構造により新たな電磁波特性を実現し得るものである。このような構造では、半導体において原子核の周期ポテンシャルによって電子がブラック反射を受けバンドギャップが形成されるのと同様に、周期的な屈折率分布によって光などの電磁波がブラック反射を受け、光などの電磁波に対するバンドギャップが形成されるという特徴がある。フォトニック結晶においては、このバンドギャップのことをフォトニックバンドギャップという。このフォトニックバンドギャップでは、光などの電磁波の存在自体が不可能となるため、光などの電磁波を自由に制御することが可能となる。
また、すべての方向に対して光などの電磁波の伝播が禁じられているときのバンドギャップは、完全バンドギャップと呼ばれている。この完全バンドギャップを形成することができれば、フォトニック結晶内に点欠陥や線欠陥を形成することにより、極微小素子を作製することが可能となる。例えば、フォトニック結晶中の周期性を一部人為的に乱した場合はフォトニックバンドギャップ中に欠陥準位が形成され、光などの電磁波はこの欠陥準位でのみ存在が許容されることになり、例えば共振器に用いることができる。また線欠陥を形成した場合は、光などの電磁波は欠陥列に沿って伝搬することが可能となるが、欠陥以外の領域には電磁波は伝搬不可能なため、極微小の導波路を形成することができる。
従って、フォトニックバンドギャップの特性を活かすためには完全バンドギャップを持つフォトニック結晶を作成することが必要となる。
広い完全バンドギャップを持つフォトニック結晶の構造として、ヤブロノバイト(例えば、特許文献1)やウッドパイル構造(例えば、非特許文献1)などの三次元周期構造を有するフォトニック結晶(以下、三次元フォトニック結晶)が知られている。これらは、広い完全バンドギャップを有するが、その構造上作製することが非常に困難であった。また、フォトニック結晶を構成する複数の誘電体の1種類を空気とすると、例えばある種のダイヤモンド構造やオパール構造のように誘電体が三次元的に非接触で配列している場合、三次元周期構造を保持することができない。
これに対して、二次元周期構造を有するフォトニック結晶(以下二次元フォトニック結晶)は、三次元フォトニック結晶に比べて作製が容易である。例えば、完全バンドギャップを有する二次元フォトニック結晶として、円形孔によって形成された三角格子配列によって構成された二次元フォトニック結晶が知られている(例えば、特許文献2)。また、作製が比較的容易な構造として、円形孔または円柱によって形成された正方格子配列を有する二次元フォトニック結晶が知られている。
また、フォトニック結晶は2種類以上の誘電体から形成される。通常は2種類の材料が使用され、そのうちの1種類は、作製が容易で損失が少ないことから空気が使用されていた。例えば、前述した三角格子配列または正方格子配列によって構成された二次元フォトニック結晶においても、その三角格子または正方格子は空気によって形成されていた。
:米国特許第5172267号明細書 :特開2001−272555号公報(段落[0023]、図1) :E.Knobloch、A.Deane、J.Toomre、and D.R.Moore、Contemp.Math.56、203(1986)
しかしながら、特許文献2に記載されている、三角格子配列によって構成されている二次元フォトニック結晶の場合、最も広い完全バンドギャップが得られるのは、r/aが0.48のときである(rは円形孔の半径、aはフォトニック結晶の格子定数)。従って、各円形孔間の厚さは0.04aと非常に薄くなってしまい、このフォトニック結晶の作製は非常に困難であった。
また、正方格子配列によって構成されている二次元フォトニック結晶においては、円形孔によって正方格子を形成した場合は、入射する電磁波のTE波(Transverse Electric Wave)に対してはバンドギャップが存在するが、TM波(Transverse Magnetic Wave)に対しては存在しない。一方、円柱によって正方格子を形成した場合は、TM波に対してはバンドギャップが存在するが、TE波に対しては存在しない。従って、これらの正方格子によって構成されていた二次元フォトニック結晶では、完全バンドギャップを得ることはできなかった。
従って、容易に作製できるとともに、完全バンドギャップを得るために、すべての入射角度およびTE波とTM波の両方に対してバンドギャップが存在する二次元フォトニック結晶を作製する必要がある
一方、一般的にフォトニック結晶は半導体製造技術や光造形技術を用いて作製されるため、使用される材料は半導体材料や光硬化樹脂に限定されてしまう。しかしながら、これらの材料は比誘電率が比較的小さく、広いバンドギャップを得ることは困難であった。また、光硬化樹脂にセラミックス粉末を混合する方法も知られているが、比誘電率は対数混合則によって決まるため樹脂の比誘電率の影響が大きく、結局高い比誘電率を得ることはできないため、広いバンドギャップを得ることはできなかった。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、製造が容易で、かつ、すべての入射角度およびTE波、TM波に対して完全バンドギャップを有する二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路及び共振器を提供することを目的とする。
また、比誘電率が高いセラミック材料を単独で使用することにより、広い完全バンドギャップを有する二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路及び共振器を提供することを目的とする。
また、材料として空気以外の誘電体を使用することにより、二次元フォトニック結晶自体の強度を強くし、容易に作製することができる二次元フォトニック結晶を提供することを目的とする。さらに、空気以外の誘電体を使用することにより、より広い完全バンドギャップを形成することができるとともに、二次元フォトニック結晶を用いた素子サイズを比較的小さくすることを可能とするものである。また、高い比誘電率を持つセラミック材料を使用することにより、バンドギャップを開き易くし、損失を少なくすることが可能となる二次元フォトニック結晶、ならびにそれを用いた導波路および共振器を提供するものである。
本発明に係る二次元フォトニック結晶は、複数の単位格子が周期的に二次元配列された二次元フォトニック結晶であって、前記単位格子の各格子点に配置された柱状の第1の誘電体領域と、前記単位格子の略中心に配置された柱状の第2の誘電体領域と、前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域に隣接し、かつ、前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域の周囲に配置された第3の誘電体領域とを備えたことを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る二次元フォトニック結晶は、前記第3の誘電体領域の比誘電率は、前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域の比誘電率とは異なることを特徴とするものである。
本発明においては、前記単位格子は、正方格子であることが望ましい。
また、前記第1の誘電体領域の形状および前記第2の誘電体領域の形状は略円柱状であり、前記第1の誘電体領域の円柱半径をr1とし、前記第2の誘電体領域の円柱半径をr2とし、前記正方格子の格子軸の単位長さをaとしたときに、
0.4a≦r1+r2≦0.6a
の関係にあることが望ましい。
さらに、前記第1の誘電体領域の比誘電率ε1と前記第2の誘電体領域の比誘電率ε2が等しくてもよく、また前記第1の誘電体領域の比誘電率ε1は、前記第2の誘電体領域の比誘電率ε2より小さくてもよい。
前記第3の誘電体領域の比誘電率をε3としたとき、少なくともε3>ε1の関係にあることが望ましい。
また、前記第1の誘電体領域の比誘電率をε1とし、前記第2の誘電体領域の比誘電率をε2とし、前記第3の誘電体領域の比誘電率をε3としたとき、
ε3>ε1かつε2/ε1≧20
の関係にあることが望ましい。
前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域は、空気で形成され、前記第3の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成されていてもよい。
また、前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成され、前記第3の誘電体領域は、空気で形成されていてもよい。
前記第1の誘電体領域、前記第2の誘電体領域および前記第3の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成されていてもよい。
前記正方格子の格子軸の単位長さaは、二次元フォトニック結晶に入射する光または電磁波の周波数により異なることが望ましい。
また本発明に係るフォトニック結晶導波路は、上記二次元フォトニック結晶を有し、前記二次元フォトニック結晶の周期的な格子配列に線状の欠陥が形成されていることを特徴とするものである。
また本発明に係るフォトニック結晶共振器は、上記二次元フォトニック結晶を有し、前記二次元フォトニック結晶の周期的な格子配列に点状の欠陥が形成されていることを特徴とするものである。
図1は、本発明の実施形態のフォトニック結晶構造を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態における誘電体領域の配置を説明するための平面図である。
図3は、本発明の第1の実施例におけるフォトニック結晶に対するシミュレーション結果を示す表である。
図4は、本発明の第2の実施例におけるフォトニック結晶に対するシミュレーション結果を示す表である。
図5は、本発明の第3の実施例におけるフォトニック結晶に対するシミュレーション結果を示す表である。
図6は、本発明の第1の実施例におけるフォトニック結晶の製造工程を示す図である。
図7は、本発明の第2の実施例におけるフォトニック結晶の製造工程を示す図である。
図8は、本発明の第3の実施例におけるフォトニック結晶の製造工程を示す図である。
図9は、別の実施形態におけるフォトニック結晶を示す模式図である。
図10は、さらに別の実施形態におけるフォトニック結晶を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態の一例について、図1乃至図8を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態のフォトニック結晶構造を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施形態における誘電体領域の配置を説明するための平面図である。図3および図6は、本発明の第1の実施例に関する図である。図4および図7は、本発明の第2の実施例に関する図である。図5および図8は、本発明の第3の実施例に関する図である。
(用語)
まず、本明細書において用いられる用語について説明する。
「二次元フォトニック結晶」とは、所定の平面に略平行な方向に二次元周期的な誘電率構造を有する周期構造体を指す。
また、「単位格子」とは、上記二次元フォトニック結晶を構成する最小の周期単位からなる構造体を指し、最外郭の角部に配置された構造体または誘電体領域を結ぶことにより形成された二次元形状を有する。
また、「完全バンドギャップ」とは、上記二次元フォトニック結晶に対して上記所定の平面に略平行な方向に入射する電磁波の入射角全てに対して光などの電磁波を所定量以下減ずることが可能な状態を指し、具体的にはフォトニック結晶内に点欠陥や線欠陥を形成することにより、共振器や導波路等の極微小素子を作製することが可能な程度に入射する電磁波を減衰させることが可能なバンドギャップを指す。
(構成)
以下、本発明の実施形態におけるフォトニック結晶の構成について図1および図2を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態におけるフォトニック結晶100は、複数の第1の円柱構造体101と、複数の第2の円柱構造体102と、円柱構造体101と円柱構造体102の周囲に設けられている誘電体領域103とによって構成されている。第1の円柱構造体101が第1の誘電体領域を構成し、第2の円柱体構造102が第2の誘電体領域を構成する。これらにより、フォトニック結晶100は二次元周期構造を有することとなる。以下に、本実施形態の構造について更に詳細な説明をする。
図2に示すように、第1の円柱構造体101によって正方格子104が形成されており、本実施形態のフォトニック結晶は、その正方格子104が周期的に配列した周期構造を有している。従って、フォトニック結晶100において、正方格子104は単位格子となっている。また、その正方格子104の一辺の長さを“a”とし、これを格子定数とする。そして、各正方格子104の略中心部には第2の円柱構造体102が配置されており、第1の円柱構造体101と第2の円柱構造体102の周囲には誘電体領域103が設けられている。なお、図2は、本発明のフォトニック結晶の一部のみが記載されており、実際は、図2に示した構造が周期的に配列されている。
また、第1の円柱構造体101および第2の円柱構造体102は略円柱状になるように形成されており、第1の円柱構造体101の円柱半径をr1とし、第2の円柱構造体102の円柱半径をr2とする。また、第1の円柱構造体101の比誘電率をε1とし、第2の円柱構造体102の比誘電率をε2とし、第3の誘電体領域103の比誘電率をε3とする。
そして、第1の円柱構造体101の誘電率ε1と円柱半径r1、第2の円柱構造体102の誘電率ε2と円柱半径r2および第3の誘電体領域の誘電率ε3を適当な条件に基づいて変化させることにより、完全バンドギャップを形成することが可能となる。その具体的な構造については、後述する実施例に基づいて説明する。
また、第1の誘電体領域、第2の誘電体領域および第3の誘電体領域には、セラミック材料、半導体材料、樹脂などの材料の他、空気を使用することができる。例えば、セラミック材料としては、BaO−TiO系、BaO−Nd−TiO系、TiO系、Al系材料などを使用することができる。また、半導体材料としては、GaAs、Si、SiOなどを使用することができる。また、樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂などの高誘電率高分子材料を使用することができる。
(作用)
以上のような結晶構造を有する本実施形態のフォトニック結晶によれば、次のような好適な作用が奏されることとなる。
第1の誘電体領域を格子点とした正方格子を単位格子とし、その略中心に第2の誘電体領域を設け、それらに隣接して第3の誘電体領域を設けて二次元フォトニック結晶構造を構成しているため、ある共通する周波数領域において、すべての入射角度に対して、TE波に対するフォトニックバンドギャップと、TM波に対するフォトニックバンドギャップとが形成され、完全バンドギャップを形成することができる。
また、第1の誘電体領域および第2の誘電体領域の材料として空気以外の誘電体を使用することにより、作製が容易で、さらに広い完全バンドギャップを有する二次元フォトニック結晶を製造することが可能となる。尚、空気以外の誘電体を使用すると、空気を使用した場合と比べて損失が大きくなるが、低損失である比誘電率が高いセラミック材料を使用することにより、損失を少なくすることが可能である。
次に、具体的に実施例を用いて本実施形態におけるフォトニック結晶について説明する。
[第1の実施例]
まず、第1の実施例について説明する。この第1の実施例におけるフォトニック結晶100は、第1の誘電体領域である第1の円柱構造体101が存在する部分と、第2の誘電体領域である第2の円柱構造体102が存在する部分は空隙となっており、空気によって構成されている。従って、第1の円柱構造体101と第2の円柱構造体102の部分の比誘電率はε1=ε2=1.0となる。また、第3の誘電体領域103は比誘電率ε3=10.4となる材料によって構成されている。
この第1の実施例において、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の円柱半径r2を変化させてシミュレーションを行い、完全バンドギャップ幅の計算を行った。具体的には、円柱半径r1と円柱半径r2をそれぞれ「0.1a〜0.5a」と変化させてシミュレーションを行い、完全バンドギャップ幅の値を計算した。この計算結果を図3の表にまとめて示す。
この図3の表において、完全バンドギャップ幅の値の単位は「%」である。なお、完全バンドギャップ幅の詳細な算出方法については後述するが、ここでは、完全バンドギャップがある周波数に対して連続して存在している場合、その周波数幅を周波数幅の中心周波数で割った値を完全バンドギャップ幅(%)とした。なお、図3の表において、“−”が挿入されているコラムは、そのコラムに対応する円柱半径r1及び円柱半径r2に対して完全バンドギャップが形成されなかったことを示している。
シミュレーションを行った結果、「円柱半径r1が0.1aのとき、円柱半径r2を0.35aにすると完全バンドギャップ幅6.39%となり、円柱半径r2を0.40aにすると完全バンドギャップ幅2.70%」となった。また、「円柱半径r1が0.2aのとき、円柱半径r2を0.25aとすると完全バンドギャップ幅2.48%となり、円柱半径r2を0.3aとすると完全バンドギャップ幅2.65%となり、円柱半径r2を0.35aとすると完全バンドギャップ幅2.69%」となった。また、「円柱半径r1が0.3aとき、円柱半径r2を0.2aとすると完全バンドギャップ幅4.07%となり、円柱半径r2を0.25aとすると完全バンドギャップ幅2.23%となり、円柱半径r2を0.3aとすると完全バンドギャップ幅1.96%」となった。また、「円柱半径r1が0.4aのとき、円柱半径r2を0.05aにすると完全バンドギャップ幅2.70%となり、円柱半径r2を0.1aにすると完全バンドギャップ幅1.81%」となった。
従って、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の円柱半径r2との関係が「0.4a≦r1+r2≦0.6a」となる範囲において完全バンドギャップが得られた。
また、使用される材料は特に限定する必要はなく、第3の誘電体領域103の比誘電率がε3=10.4となるような材料であれば同様の結果が得られる。セラミック材料が好適であるが、これに限らず比誘電率がε3=10.4となるような材料であれば、セラミック材料のほか、半導体材料を使用してもよく、さらに樹脂を使用してもよい。さらに、比誘電率がε3=10.4でなくても、同様の結果が得られると考えられる。例えばサファイアなどのセラミック材料が使用された場合、サファイアの比誘電率はε=9.4であるため、広いバンドギャップを得られると考えられる。また、材料はセラミック材料に限られず、GaAsなどの半導体材料であってもよい。GaAsの比誘電率はε=12〜13であるため、セラミック材料と同様、広いバンドギャップが得られると考えられる。
ここで、使用する電磁波の周波数(電磁波の波長の長さ)に応じて格子定数aを変化させることにより、完全バンドギャップを形成することができる。例えば、ミリ波の例として周波数が300GHzの電磁波に対して、格子定数をa=0.5mmとすることにより完全バンドギャップを得ることができる場合、マイクロ波の例として周波数が3GHzの電磁波に対しては、格子定数をa=50mmとすることにより、完全バンドギャップを得ることが可能となる。従って、使用する電磁波によって本発明のフォトニック結晶の格子定数aを適度に変化させることにより、ミリ波領域からマイクロ波領域までの電磁波に対して、完全バンドギャップを形成することが可能となる。なお、使用する材料の比誘電率εを高くすることにより、同じ周波数の電磁波に対して格子定数を小さくすることができる。従って、例えば、本発明のフォトニック結晶を導波路や共振器などの素子に用いる場合、比誘電率が高い材料を使用することによって、素子の寸法を小型化することができる。
[第2の実施例]
次に第2の実施例について説明する。この第2の実施例におけるフォトニック結晶100は、第1の誘電体領域である第1の円柱構造体101は比誘電率がε1=10となる材料によって構成されており、第2の円柱構造体102の円柱半径r2は第1の円柱構造体101の円柱半径r1と同じとなるように構成されている。また、第3の誘電体領域103は空隙となっており、空気によって構成されている。従って、第3の誘電体領域103の比誘電率はε3=1.0なる。
この第2の実施例において、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の比誘電率ε2を変化させてシミュレーションを行い、完全バンドギャップ幅の計算を行った。具体的には、円柱半径r1(=円柱半径r2)を「0.2a〜0.3a」と変化させ、比誘電率ε2の値を「10〜50」と変化さてシミュレーションを行い、完全バンドギャップ幅の値を計算した。この計算結果を図4にまとめて示す。なお、図4の表において、“−”が挿入されているコラムは、そのコラムに対応する円柱半径r1及び比誘電率ε2に対して完全バンドギャップが形成されなかったことを示している。
シミュレーションを行った結果、「円柱半径r1が0.2aのとき、比誘電率ε2を20にすると完全バンドギャップ幅2.65%となり、比誘電率ε2を30にすると完全バンドギャップ幅2.84%となり、比誘電率ε2を40にすると完全バンドギャップ幅1.35%となり、比誘電率ε2を50にすると、完全バンドギャップ幅2.72%」となった。また、「円柱半径r1が0.25aのとき、比誘電率ε2を20にすると完全バンドギャップ幅1.03%となり、比誘電率ε2を30にすると完全バンドギャップ幅2.05%となり、比誘電率ε2を40にすると、完全バンドギャップ幅1.72%となり、比誘電率ε2を50にすると完全バンドギャップ幅1.88%」となった。また、「円柱半径r1が0.3aのとき、比誘電率ε3を40にすると完全バンドギャップ幅1.96%となり、比誘電率ε3を50にすると完全バンドギャップ幅5.61%」となった。
従って、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の円柱半径r2との関係が「0.40a≦r1+r2≦0.60a」となる範囲で、かつ、第1の円柱構造体101の比誘電率ε1と第2の円柱構造体102の比誘電率ε2との関係が「ε2/ε1≧2」となる範囲において完全バンドギャップが得られた。
また、前述した第1の実施例と同様に、入射させる電磁波の周波数(波長の大きさ)に応じてフォトニック結晶の格子定数aを変化させれば、ミリ波からマイクロ波までの周波数領域において完全バンドギャップを得ることが可能となる。
[第3の実施例]
次に第3の実施例について説明する。この第3の実施例における二次元フォトニック結晶100は、第1の誘電体領域である第1の円柱構造体101の存在する部分は空隙となっており、空気によって構成されている、従って、第1の円柱構造体101の部分の比誘電率はε1=1.0となる。また、第2の円柱構造体102の円柱半径r2は第1の円柱構造体101の円柱半径r1と同じになるように構成されている。また、第3の誘電体領域103には比誘電率がε3=10.4となる材料によって構成されている。
この第3の実施例において、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の比誘電率ε2を変化させて、完全バンドギャップ幅の計算を行った。具体的には、円柱半径r1(=円柱半径r2)を「0.2a〜0.3a」と変化させ、比誘電率ε2の値を「4.0〜50」と変化させてシミュレーションを行い、完全バンドギャップ幅の値を計算した。この計算結果を図5にまとめて示す。なお、図5の表において、“−”が挿入されているコラムは、そのコラムに対応する円柱半径r1(=円柱半径r2)及び比誘電率ε2に対して完全バンドギャップが形成されなかったことを示している。
シミュレーションした結果、「円柱半径r1が0.25aのとき、比誘電率ε2を50にすると完全バンドギャップ幅12.67%」となった。また、「円柱半径r1が0.3aのとき、比誘電率ε2を22にすると完全バンドギャップ幅3.56となり、比誘電率ε2を32にすると完全バンドギャップ幅11.95%となり、比誘電率ε2を50にすると完全バンドギャップ幅20.87%」となった。
従って、第1の円柱構造体101の円柱半径r1と第2の円柱構造体102の円柱半径r2との関係が「0.50a≦r1+r2≦0.60a」となる範囲で、かつ、第1の円柱構造体101の比誘電率ε1と第2の円柱構造体102の比誘電率ε2との関係が「ε2/ε1≧20」となる範囲において完全バンドギャップが得られた。
また、前述した第1の実施例と同様に、入射させる電磁波の周波数(波長の大きさ)に応じてフォトニック結晶の格子定数aを変化させれば、ミリ波からマイクロ波までの周波数領域において完全バンドギャップを得ることが可能となる。
(完全バンドギャップ幅の算出方法)
次に、前述したシミュレーションによる完全バンドギャップ幅の算出方法について説明する。本発明の実施形態におけるフォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの算出には、フォトニック結晶の透過特性シミュレータである「トランスライト(Translight)」を使用した。このソフトウェアは、アンドリュー・レイノルズ(Andrew Reynolds)氏がグラスコー(Glasgow)大学に在籍中に開発したものである。計算方法としては、トランスフォーマトリックス法(Transfer Matrix Method)を使用している。そして、円柱および角柱を自由に配置し、これらの集合体であるフォトニック結晶構造に対して、任意の入射角度で電磁波(TE波およびTM波)を入射させたときの反射および透過特性を計算するものである。
ここで、図1を参照しつつ電磁波の入射角度について説明する。ここでは、円柱構造体101が正方格子状に周期的に配置された面に垂直な方向を、便宜的にz軸方向と称する。また、電磁波105がフォトニック結晶100に垂直に入射する方向をy軸と称し、y軸およびz軸に直角に交わる方向をx軸方向と称する。そして、電磁波105の入射角度θは、電磁波105がフォトニック結晶100に垂直に入射する方向(y軸方向)を90°とし、x軸方向に傾くにつれて入射角度θは小さくなり、x軸方向と平行になる角度を0°とする。電磁波105の入射角度はθ=0〜90°の任意の角度範囲で行うことができ、任意の周波数領域に対して反射および透過特性を得ることができる。
そして、シミュレータは、反射および透過特性を計算したいフォトニック結晶構造の形状、周波数領域、電磁波(TE波とTM波)の入射角範囲、および使用する材料の比誘電率を用いることにより、フォトニック結晶構造の反射および透過特性を計算する。このとき、入射角度範囲をθ=0〜90°とした。本発明の実施形態におけるフォトニック結晶100は、x−y平面に対して対称形であるため、この入射角でx−z面から入射するすべての電磁波入射について計算することが可能となる。
そして、そのシミュレータによって計算することにより、電磁波(TE波とTM波)の各入射角度において、周波数に対する反射および透過減衰量が得られた。この透過減衰量が20dB以上である場合にバンドギャップが生じたと認定した。ある周波数に対してTE波およびTM波のすべての入射角(θ=0〜90°)に対し、バンドギャップが生じているとき、その周波数で完全バンドギャップが形成されたことになる。完全バンドギャップがある周波数に対して連続して存在している場合、その周波数幅を、周波数幅の中心周波数で割った値を完全バンドギャップ幅(%)とした。また、完全バンドギャップが離れた周波数領域に別々に存在している場合は、規格化周波数0.001〜1.000の間に存在しているバンドギャップ幅を合計することにより完全バンドギャップ幅を算出した。
(二次元フォトニック結晶の製造方法)
次に、本実施形態における二次元フォトニック結晶の製造方法について説明する。例えば、材料にセラミック材料を使用して二次元フォトニック結晶を製造するには、同時焼成技術が用いられ、半導体材料を使用して二次元フォトニック結晶を製造するには、半導体成膜方法が用いられる。また、光硬化樹脂を使用して二次元フォトニック結晶を製造するには、光造形法が用いられる。
まず、セラミック材料を使用して二次元フォトニック結晶を製造する場合の製造方法について説明する。図6に、第1の実施例におけるフォトニック結晶100の製造工程を示す。まず、図6(a)に示すように、第3の誘電体領域103を構成するセラミック材料を用いて複数枚のグリーンシート601を作製する。そして、図6(b)に示すように、その複数枚のグリーンシート601を重ねて金型へ投入して熱圧着により積層化を行う。そして、図6(c)に示すように、所定のマスクを用いてドライエッチングにより基板上面からエッチングを行い、周期的に配列された複数の円筒状の孔602および円筒状の孔603を形成する。第1の実施例においては、この円筒状の孔602が第1の誘電体領域を構成し、円筒状の孔603が第2の誘電体領域を構成する。
次に、第2の実施例について図7を参照しつつ説明する。図7(a)に示すように、第1の誘電体領域を構成する第1の円柱構造体101であるセラミック材料を用いてグリーンシート701を作製する。同様に、第2の誘電体領域を構成する第2の円柱構造体102であるセラミック材料を用いてグリーンシート702を作製する。そして、図7(b)に示すように、第1の円柱構造体101のグリーンシート701上に、第2の円柱構造体102の複数枚のグリーンシート702を重ねて金型へ投入して熱圧着により積層化を行う。
そして、図7(b)の断面図である図7(c)に示すように、所定のマスクを用いてドライエッチングによりエッチングを行い、所定領域の第2の誘電体領域を第1の誘電体領域が露出するまで除去し、周期的に配列された複数の円筒状の孔703を形成する。そして、図7(d)に示すように、エピタキシャル結晶成長法を用いて基板上面まで第1の誘電体領域となる円柱704を円筒状の孔内に形成する。同様に、エピタキシャル結晶成長法を用いて第2の誘電体領域となる円柱705を円筒状の孔内に形成する。次に、所定のマスクを用いてドライエッチングにより、図7(e)に示すように、円柱704と円柱705を形成する。この円柱704が第1の円柱構造体101を構成し、円柱705が第2の円柱構造体102を構成する。
次に、第3の実施例におけるフォトニック結晶100の製造方法について、図8を参照しつつ説明する。図8(a)に示すように、第2の誘電体領域を構成する第2の円柱構造体102であるセラミック材料を用いてグリーンシート801を作製する。同様に、第3の誘電体領域103であるセラミック材料を用いてグリーンシート802を作製する。そして、図8(b)に示すように、第2の円柱構造体102のグリーンシート801上に、第3の誘電体領域の複数枚のグリーンシート802を重ねて金型へ投入して熱圧着により積層化を行う。
そして、図8(b)の断面図である図8(c)に示すように、所定のマスクを用いてドライエッチングによりエッチングを行い、所定領域の第3の誘電体領域103を第2の誘電体領域を形成する材料が露出するまで除去し、周期的に配列された複数の円柱状の孔803を形成する。そして、図8(d)に示すように、エピタキシャル結晶成長法を用いて基板上面まで第2の誘電体領域804を円筒状の孔内に形成する。次に、所定のマスクを用いてドライエッチングによりエッチングを行い、図8(e)に示すように、第1の誘電体領域となる周期的に配列された複数の円筒状の孔805を形成する。
その後、所望の形状に分割してから焼成することにより、異種の誘電体を一度に焼成したフォトニック結晶を作製することが可能となる。この工程により、第1の誘電体領域には空気が存在し、第2の誘電体領域にはセラミック材料である第2の円柱構造体102が形成され、それらの周辺には第2の誘電体領域のセラミック材料とは異なるセラミック材料である第3の誘電体領域103が形成される。
また、半導体材料を用いて本発明の二次元フォトニック結晶を製造する場合は、フォトリソグラフィー技術によってマスクパターンを形成し、エッチングによって所望の形状を形成すればよい。
また、光造形法は、液状の光硬化性樹脂に紫外光ビームを走査し、照射領域のみ重合反応させて光硬化性樹脂を所望の形状に硬化させる方法である。
(他の実施形態)
上記説明では、二次元フォトニック結晶の単位格子は、正方格子であるとして説明を行ったが、これに限られることはない。
図9は、本実施形態のフォトニック結晶の別の実施形態を示す図である。
図9に示すフォトニック結晶900は、複数の第1の円柱構造体901と、複数の第2の円柱構造体902と、第1の円柱構造体901と第2の円柱構造体902の周囲に設けられている誘電体領域903とによって構成されている。ここでは、第1の円柱構造体901が第1の誘電体領域を構成し、第2の円柱体構造902が第2の誘電体領域を構成している。
図9に示すように、第1の円柱構造体901は、正三角形の頂点に配置されており、全体として三角格子904を形成している。すなわちフォトニック結晶900は、単位格子である三角格子904が周期的に配列した周期構造を有している。そして、各三角格子904の略中心部(重心位置近傍)には第2の円柱構造体902が配置されており、第1の円柱構造体901と第2の円柱構造体902の周囲には誘電体領域903が設けられている。なお、図9は、フォトニック結晶900の一部のみが記載されており、実際は、図9に示した構造が周期的に配列されている。
そして、第1の円柱構造体901の誘電率ε1と円柱半径r1、第2の円柱構造体902の誘電率ε2と円柱半径r2および第3の誘電体領域の誘電率ε3を適当な条件に基づいて変化させることにより、三角格子を用いた場合であっても、完全バンドギャップを形成することが可能となる。
また、図10は、本実施形態のフォトニック結晶のさらに別の実施形態を示す図である。
図10に示すフォトニック結晶950は、複数の第1の円柱構造体951と、複数の第2の円柱構造体952と、第1の円柱構造体951と第2の円柱構造体952の周囲に設けられている誘電体領域953とによって構成されている。ここでは、第1の円柱構造体951が第1の誘電体領域を構成し、第2の円柱体構造952が第2の誘電体領域を構成している。
図10に示すように、第1の円柱構造体951は、正六角形の頂点に配置されており、全体として六角格子954を形成している。すなわちフォトニック結晶950は、単位格子である六角格子954が周期的に配列した周期構造を有している。そして、各六角格子954の略中心部(重心位置近傍)には第2の円柱構造体952が配置されており、第1の円柱構造体951と第2の円柱構造体952の周囲には第3の誘電体領域である誘電体領域953が設けられている。なお、図9は、フォトニック結晶950の一部のみが記載されており、実際は、図9に示した構造が周期的に配列されている。
そして、第1の円柱構造体951の誘電率ε1と円柱半径r1、第2の円柱構造体952の誘電率ε2と円柱半径r2および第3の誘電体領域の誘電率ε3を適当な条件に基づいて変化させることにより、六角格子を用いた場合であっても、完全バンドギャップを形成することが可能となる。
以上のように、正多角形の単位格子を用いた場合でも、第1の誘電体領域、第2の誘電体領域及び第3の誘電体領域の誘電率及び円柱半径を適宜調節することにより、完全バンドギャップを形成することができる。
なお、第1の誘電体領域、第2の誘電体領域及び第3の誘電体領域の形状は、円柱に限られず、例えば角柱形状を有していてもよい。また、単位格子の形状としても必ず正多角形の単位格子に限られるものではなく、二次元配列が容易な単位格子形状を有していてもよく、また複数種類の単位格子からフォトニック結晶全体が構成されていてもよい。
(応用例)
本発明のフォトニック結晶は、様々な素子に応用することが可能であり、フォトニック結晶を使用することにより素子の寸法を極微小とすることができる。例えば、本発明のフォトニック結晶を用いて導波路を作製することが可能である。その場合、フォトニック結晶に線状の欠陥を導入することにより、この線欠陥部分には欠陥準位が形成され、この欠陥準位でのみ電磁波は存在する。従って、フォトニックバンドギャップによって導波路が形成されたことになる。
例えば、光を使用した光導波路の場合、この光導波路の大きさは数百nm以下となるため、光ファイバに比べて一桁以上小さな寸法に光を閉じ込めておくことが可能となる。また、フォトニック結晶によって作製された導波路は急角度に曲げても外側に光が漏れ散乱が生じないため、回路の極微小化が可能となる。
また、本発明のフォトニック結晶構造に点欠陥を導入することにより、極微小型の共振器として応用することができる。これは、点欠陥部分のみに電磁波が存在し、周囲のバンドギャップにより電磁波が閉じ込められるからである。
本発明のフォトニック結晶によると、第1の誘電体領域によって形成され、周期的に配列している各正方格子の略中心に、第2の誘電体領域を設け、さらに、それらの周囲に第3の誘電体領域を設けることにより、完全バンドギャップを有することが可能となる。また、正方格子配列を単位格子とした二次元フォトニック結晶であるため、容易に作製することができる。
また、比誘電率が高い材料、特にセラミック材料を単独で使用することにより、広い完全バンドギャップを有する二次元フォトニック結晶を作製することができる。
また、使用する電磁波の波長の長さに応じて、正方格子の格子定数を変えることにより、ミリ波からマイクロ波までの波長領域の電磁波に対して完全バンドギャップを形成することが可能となる。
また、周期的に配列している正方格子を空気以外の誘電体によって形成することにより、広い完全バンドギャップを形成することができ、フォトニック結晶を使用した素子のサイズを小さくするが可能となる。
さらに、本発明のフォトニック結晶は導波路または共振器に応用することができるため、それらの素子を極微小化することが可能となる。

Claims (14)

  1. 複数の単位格子が周期的に二次元配列された二次元フォトニック結晶であって、
    前記単位格子の各格子点に配置された柱状の第1の誘電体領域と、
    前記単位格子の略中心に配置された柱状の第2の誘電体領域と、
    前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域の周囲に隣接配置された第3の誘電体領域とを備えたことを特徴とする二次元フォトニック結晶。
  2. 前記第3の誘電体領域の比誘電率は、前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域の比誘電率とは異なることを特徴とする請求項1記載の二次元フォトニック結晶。
  3. 前記単位格子は、正方格子であることを特徴とする請求項2記載の二次元フォトニック結晶。
  4. 前記第1の誘電体領域の形状および前記第2の誘電体領域の形状は略円柱状であり、前記第1の誘電体領域の円柱半径をr1とし、前記第2の誘電体領域の円柱半径をr2とし、前記正方格子の格子軸の単位長さをaとしたときに、
    0.4a≦r1+r2≦0.6a
    の関係にあることを特徴とする請求項3記載の二次元フォトニック結晶。
  5. 前記第1の誘電体領域の比誘電率ε1と、前記第2の誘電体領域の比誘電率ε2が等しいことを特徴とする請求項3記載の二次元フォトニック結晶。
  6. 前記第1の誘電体領域の比誘電率ε1は、前記第2の誘電体領域の比誘電率ε2より小さいを特徴とする請求項3記載の二次元フォトニック結晶。
  7. 前記第3の誘電体領域の比誘電率をε3としたとき、少なくともε3>ε1の関係にあることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の二次元フォトニック結晶。
  8. 前記第1の誘電体領域の比誘電率をε1とし、前記第2の誘電体領域の比誘電率をε2とし、前記第3の誘電体領域の比誘電率をε3としたとき、
    ε3>ε1かつε2/ε1≧20
    の関係にあることを特徴とする請求項2記載の二次元フォトニック結晶。
  9. 前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域は、空気で形成され、前記第3の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の二次元フォトニック結晶。
  10. 前記第1の誘電体領域および前記第2の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成され、前記第3の誘電体領域は、空気で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の二次元フォトニック結晶。
  11. 前記第1の誘電体領域、前記第2の誘電体領域および前記第3の誘電体領域は、セラミック材料を含む誘電体材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の二次元フォトニック結晶。
  12. 前記正方格子の格子軸の単位長さaは、二次元フォトニック結晶に入射する光または電磁波の周波数に応じて設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の二次元フォトニック結晶。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の二次元フォトニック結晶を有し、前記二次元フォトニック結晶の周期的な格子配列に線状の欠陥が形成されていることを特徴とするフォトニック結晶導波路。
  14. 請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の二次元フォトニック結晶を有し、前記二次元フォトニック結晶の周期的な格子配列に点状の欠陥が形成されていることを特徴とするフォトニック結晶共振器。
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