JPWO2004067669A1 - 帯電防止剤、塗料用または成形用合成樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
技術背景
従来、成形用樹脂に混合する帯電防止剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩(例えば、特許文献1参照)、第4級アンモニウム塩(例えば、特許文献2参照)、リン酸塩等を有する界面活性剤、あるいはカーボンブラック(例えば、特許文献3および4参照)、金属酸化物(例えば、特許文献5参照)、アルカリ金属塩(例えば、特許文献6参照)等の無機化合物が使用されている。
また主鎖に不飽和結合を有するゴム(例えば、ブタジエン系ゴム)を配合する樹脂(例えば、ABS、HIPS、変性PPE)においては、繰り返しリサイクルを行うと、樹脂の物性が著しく低下する(例えば、特許文献7および8参照)。
上記カーボンブラックや金属塩等の無機化合物は、ある程度の量を添加しないと有効に帯電防止が出来ないが、該無機化合物は添加対象の樹脂と非相溶性であるため、該無機化合物を多量に添加すると樹脂溶融物の流動性を阻害し、成形作業性を劣化させる。また、カーボンや金属酸化物は、樹脂成形物を着色し、樹脂成形物を任意の色に着色することが困難になる。
上記該帯電防止剤は、芳香環を有する熱可塑性樹脂に添加されることが望ましい。
該芳香環を有する熱可塑性樹脂は、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂である。
また本発明は、アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体を帯電防止剤として5質量%〜50質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供するものである。
また更に本発明は、アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体を帯電防止剤として5質量%〜50質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供するものである。
更に、本発明は、ニトロセルロースを除く繊維素誘導体を帯電防止剤として5質量%以上含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供する。
更に、本発明は、リン酸エステル系化合物を帯電防止剤として5質量%〜35質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供する。
また本発明は、更にアクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体と、リン酸エステル系化合物とを10:90〜50:50質量比で混合した混合物からなる帯電防止剤を5質量%〜35質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供する。
更に、本発明は、アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体と、リン酸エステル系化合物とを10:90〜50:50質量比で混合した混合物からなる帯電防止剤を5質量%〜35質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂を提供する。
上記合成樹脂は芳香環を有する熱可塑性樹脂であることが望ましい。
該塗料用または成形用合成樹脂の芳香環を有する熱可塑性樹脂は、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂である。
(作用)
本発明の帯電防止剤において、アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体、またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体、あるいはアクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体、またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体は、特にスチレン系単量体またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体鎖と同一または類似の構造を有する対象樹脂に均一に混和し、耐久性のある帯電防止効果を発揮する。また帯電防止剤が樹脂から分離して樹脂の機械的強度を劣化させるようなことがない。
主体がアクリルゴムからなる本発明の帯電防止剤は可撓性、耐久性に優れ、対象樹脂に添加すれば却って耐衝撃性等の機械的特性が改良される。またアクリルゴムからなる帯電防止剤は熱安定性が良く、繰り返しリサイクルを行っても帯電防止効果やゴムとしての性質等は損なわれない。
〔帯電防止剤〕
本発明の帯電防止剤として使用されるポリマーはアクリル系ゴムである。該アクリル系ゴムとは、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の望ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアクリレートの単独重合体、あるいは上記アクリレートの二種以上の共重合体、あるいは上記アクリレートの一種または二種以上とブタジエンあるいは、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、4,7,8,9−テトラヒドロ−インデン、イソプロピリデンテトラヒドロインデン−インデン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトルエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2´−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン等の非共役ジエン化合物、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、プロピレン等の他の単量体の一種または二種以上との共重合体、さらにはアクリル酸、メタクリル酸、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の官能性単量体、あるいはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシッシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等の重合性シランカップリング剤との共重合体である。
汎用のアクリル系ゴムとしては、例えばポリn−ブチルアクリレート、若干の上記官能性単量体を共重合したポリエチルアクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート−アクリロニトリル共重合体、n−ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体、n−ブチルアクリレート−エチレン共重合体、n−ブチルアクリレート−γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン共重合体、n−ブチルアクリレート−ビニルトリメトキシシラン共重合体等であり、望ましいアクリル系ゴムとしてはn−ブチルアクリレート/ブタジエンのモル比が70/30以上であるn−ブチルアクリレート−ブタジエン共重合体がある。上記アクリル系ゴムは通常サスペンション重合、エマルション重合等によって製造される。
上記アクリル系ゴムには、スチレン系単量体あるいはスチレン系単量体とニトリル系単量体とが、グラフト共重合および/またはブロック共重合および/またはランダム共重合されて、特にスチレン系単量体あるいはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖と同一または類似の構造を有する対象樹脂との相溶性が付与される。
アクリル系ゴムにグラフト共重合および/またはブロック共重合および/またはランダム共重合させるスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(たとえばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、α−メチルジアルキルスチレン等)、環置換アルキルスチレン(たとえばo、m、またはp−ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−第三級ブチルスチレン等)、環置換ハロスチレン(たとえばo−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−プロモスチレン、2,4−ジクロスチレン等)、環−アルキル,環ハロ−置換スチレン(たとえば2−クロロ−4−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレン等)ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン系単量体の一種、またはこれらの混合物が用いられる。また一般にアルキル置換基は1〜4個の炭素原子を有し、直鎖および分岐アルキル基の両方が含まれる。
上記スチレン系単量体と共に上記アクリル系ゴムにグラフト共重合および/またはブロック共重合および/またはランダム共重合させるニトリル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリルおよびこれらの混合物があげられる。
上記スチレン系単量体およびニトリル系単量体以外にエチレン、プロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類等の他の単量体を共重合させてもよい。
本発明の帯電防止剤としては、更に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PEN)に代表されるポリエステル、ポリカーボネート(PC)に代表されるポリ炭酸エステル、ポリアミド樹脂、EVAやEEA、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリエステルまたはポリエーテルを原料とした熱可塑性ポリウレタンエラストー、ポリエステル系やポリアミド系の熱可塑性エラストー、ポリ乳酸のような生分解性の樹脂、アラソープ,KIゲル,アクアキープ,ランシール,Fアクアパール(何れも商品名)に代表される高吸水性樹脂等が挙げられる。
更に、本発明の帯電防止剤として、例えば、トリクレジル・フォスフェート、ジフェニルクレジル・フォスフェート、トリオクチル・フォスフェート、トリブチル・フォスフェート、トリフェニル・フォスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)フォスフィンオキシド、トリス(トリブロモ)ホスフェート、トリス・β−クロロプロピルホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、テトラキシ(2−クロロエチル)ホスフェネート、ジメチルエチルホスフェネートトリス(2−クロロエチル)オルト燐酸エステル、芳香族縮合燐酸エステル(例えば、PX−200、CR−733S、CR−735等、大八化学製)、含ハロゲン縮合燐酸エステル(例えばCR−505、CR−509、CR−512、CR−380、CR−504、CR−507、CR−387,CR−106等、大八化学製)、エチレン・ビス・トリス(2−シアノエチル)ホスフォニウム・ブロミド、ポリ燐酸アンモミウム、β−クロロエチルアシッドホスフェート、β−クロロプロピルホスフェート、ブチルプロホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート等に代表される燐酸エステルや燐化合物、又メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンボレート、メラミンシアヌレート等の代表されるメラミン燐酸塩、燐酸エステル(例えば、K−19A、Mobil Chem製)、燐化合物、ジプロモネオペンチルグリコール、2,4,6−トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、テトレブロモビスフェノールA誘導体(例えば、ファイヤーガード3000、ファイヤーガード3100、ファイヤーガード3200、ファイヤーガード7000、ファイヤーガード7500等、以上帝人化成製、アンフラームFSB−330、アンフラームFSB−310等、以上日本油脂製、BA−50、BA−50P等、以上Great Lakes Chem.製)、テトラブロモ・ビスフェノールS、トリス−(2,3ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、ポリ(ペンタブロモベンジル/アクリレート)、トリブロモフェニルマレイミド、トルブロモネオペンチル・アルコール、テトラブロモジペンタエリスリトール、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモジフェニルオキシド、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、マグネシウムヒドロキシド、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フタルマレイミド、N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン、含ハロゲンポリホスフェート、臭素化エポキシ(例えば、SR−SB、SR−TBA350、SR−TBA400、SR−TBA400T、SR−TBA400M、T−20000等以上坂本薬品工業製、エピクロン152、エピクロン160、エピクロン165、エピクロン1120、以上大日本インク化学製、ブロムライトBR−128、ブロムライトBR−156、ブロムライトBR−133、ブロムライトBR−140、ブロムライトBR−343、以上日立化成製、EBR−700、EBR−107、EB−242MT、EB−300、以上マナック製、F−2000、F−2300、F−2310、F−2400、F−2300H、F−2400E、F−2001、以上Dead Sea Bromine製)等のハロゲン含有の化合物、無水クレインド酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモビスフェノールA、ジエトキシ−ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル・ホスフェート、ジブロモ・クレジル・グリシジルエーテル、ジブロモフェノール、ジブロモクレゾール、トルブロモフェノール、フェニル・ホスフィン酸、フェニル・ホスフィン酸ジクロリド、ジエチルフェニル・ホスフォネート、ジメチルフェニル・ホスフォネート等が使用することができる。
上記帯電防止剤は、三酸化アンチモン等のアンチモンの酸化物、アンチモン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム硼酸亜鉛等の無機化合物と併用される場合が多い。
また本発明の帯電防止剤として、フタル酸誘導体、例えばジメチルフタレート、ジエチルフラレート、高級アルコールフタレート、ジイソオクチルフタレート、ベンジルフタレート、ブチルベBBジルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジノルマルアルキルフタレート等や、テトラヒドロフタル酸誘導体、又、ジブチルアジペート、ジエチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジイシブチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−n−アルキルアジペートに代表されるアジピン酸誘導体、ジ−n−ヘキシルアゼテート、ジメチルアゼテート、ジベンジルアゼテート等に代表されるアゼライン酸誘導体、ジ−n−ブチルセバケート、ジメチルセバケート、ジブトキシエチルセバケート等に代表されるセバシン酸誘導体、又、ドデカン−2−酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート等に代表されるマレイン酸誘導体、ジ−n−ブチルフマレート等に代表されるフマル酸誘導体、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等に代表されるトリメッリト酸誘導体やその他ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、ステアリン酸誘導体や、ポリエチレングリコール200モノラウレート、ポリエチレングリコール400モノラウレート、脂肪族二塩基酸エステル等に代表される脂肪酸誘導体、フェノール系アルキルスルフォン酸エステル、N,N−ベンゼンスルフォンアミド等に代表されるスルフォン酸誘導体、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジイソデシルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、テトラキシ(2,4−ジ第三ブチリフェニル)4,4‘−ビフェニレンジホスフォネート等に代表される燐酸誘導体、ジデシルグルタレートや、ジブトキシエチルグルタレート等に代表されるグルタール酸誘導体、ジペンタエリスリトール、脂肪族モノカルボン酸エステル等に代表されるモノエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールベンゾエート代表されるグリコール誘導体、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート等代表されるグリセリン酸誘導体や、アジピン酸ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、アジピン酸−1,3ブチルグリコール系(例えば大八化学の製品 BAA−15等)、ポリエステルセバケートに代表されるポリエステル類、ポリエーテル、エーテルチオエーテル、エステルチオエステル、ステアリン酸エステルアミド、フタル酸系エステル等、更には亜燐酸エステルや、ステアリン酸ホスフェートの金属塩、アミノ酸とカルボン酸と多価アルコールとのエステル、ベンゼンスルフォン酸とアルカリ金属、或いはアルカリ土類金属やその他金属との塩、モンタン酸エステル、モンタン酸とアルカリ金属、或いはアルカリ土類金属やその他金属との塩、ステアリン酸とアルカリ金属、或いはアルカリ土類金属やその他金属との塩、ヒドリキシステアリン酸、n−ブチルステアレート、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、芳香族アルコール脂肪酸エステル、高級アルコール、高級アルコールエステル(理研ビタミンの製品、Henkelの製品)、グリセリン脂肪酸エステルステアリン酸モノグリセリド、リノール酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、カルボン酸エステル、脂肪酸塩類とポリエーテルの縮合物、ソルダビン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、メチルメタクリレートブタジエンスチレン樹脂、EVA−PVC−グラフト共重合体、アクリル系樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、無水マレイン酸変性ポリブタジエン樹脂、相溶化剤(例えば、モディパーA4100、モディパーA5100、モディパーA6100、モディパーA8100、モディパーA1200、モディパーA4200、モディパーA5200、モディパーA6200、モディパーA8200、モディパーA4400、モディパーA5400、モディパーA6400、モディパーA8400、以上、日本油脂製)、ポリアクリル酸ソーダ、ポリカルボン酸Na、アルキルアリルスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩等)、アルキルアリルスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ペンタクロロフェノール、繊維素誘導体(例えば硝酸セルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースアセテート、メチルセルロースメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、変性ポリアクリル酸Na、ポリアクリル酸アンモニウム、部分ケン化ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸Na/ポリアクリル酸アミド共重合体、ポリアクリルアミド、カルボキシ化スチレンブタジエンポリマー、カルボキシ化ビニルポリマー、メチレンビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレンアルキルエーテル誘導体などを使用することができる。
〔対象樹脂〕
本発明の帯電防止剤が添加される対象樹脂は全ての熱可塑性樹脂である。本発明の帯電防止剤が添加される望ましい対象樹脂としては、特にスチレン系単量体あるいはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖と同一または類似の構造を有する熱可塑性樹脂、例えば、スチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の芳香族環を有する熱可塑性樹脂がある。
(スチレン系樹脂)
本発明の対象とするスチレン系樹脂とは、重合体中に上記したスチレン系単量体を少なくとも25質量%以上含有する樹脂であり、該スチレン系単量体の単独重合体または該スチレン系単量体の二種以上の共重合体、該スチレン系単量体と該スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体の一種または二種以上との共重合体、ジエン系ゴムにスチレン系単量体の単独もしくは二種以上をグラフト重合せしめたグラフト共重合体等のことでる。また本発明のスチレン系樹脂にはスチレン系樹脂とジエン系ゴムおよび/またはオレフィン系ゴムおよび/またはアクリル系ゴムとのミクロブレンドあるいはポリマーブレンド等も含まれる。
上記スチレン系樹脂の代表的なものとしては、スチレン単独重合体であるポリスチレン(PS)、ジエン系ゴムにスチレンをグラフト重合したゴム状重合体とポリスチレンとのポリマーブレンドポリマーである耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・α−メチルスチレン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン・エチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、ブタジエンゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したグラフト重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とのブレンドポリマーであるABS、塩素化ポリエチレンとアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるACS、オレフィン系ゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したオレフィン系ゴム含有のアクリロニトリルとスチレンとの三元共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるAES、アクリル系ゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリル系ゴム含有のアクリロニトリルとスチレンとの三元共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との混合樹脂であるAAS、アクリロニトリル・ジメチルシロキサン・スチレン共重合体とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体との混合樹脂であるASiS等がある。
(ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂)
本発明が対象とするPPE系樹脂の代表的なものとしては、2,6−キシレノールを銅触媒で酸化重合して得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)があるが、さらに2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテルと2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテルとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等がある。また上記PPE系樹脂にスチレン系樹脂および/またはアミド系樹脂等で変性した変性PPEも本発明のPPE系樹脂に含まれる。
(ポリカーボネート樹脂(PC樹脂))
本発明においてPC樹脂は、単独で成形材料として使用される他、上記スチレン系樹脂やPPE系樹脂等と混合してポリマーアロイ、ポリマーブレンドとされても使用される。
上記PC樹脂(芳香族PC樹脂)としては、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されたポリ炭酸エステルであれば特に制限はない。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAとも言う)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロムルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を使用することができるが、通常はビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物が選択され、特にビスフェノールA、またはビスフェノールAと他の芳香族ジヒドロキシ化合物との組み合わせが好ましい。
(ポリエステル樹脂)
本発明の対象とされるポリエステル樹脂とは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルである。
本発明の帯電防止剤は、上記対象樹脂に対して通常0.1〜85質量%、好ましくは1〜40質量%の割合で添加される。
アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体からなる帯電防止剤の場合、塗料用樹脂または成形用合成樹脂に5質量%〜50質量%含有せしめることが望ましい。
また、アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体からなる帯電防止剤の場合、塗料用樹脂または成形用合成樹脂に5質量%〜50質量%含有せしめることが望ましい。
なお本発明の帯電防止剤を塗料に添加して使用しても良い。帯電防止剤を含む塗料を成形品に塗装すると、塗装を施した個所のみならず、その近傍もホコリ等が付着し難くなる。
本発明の帯電防止剤を含む塗料を上記対象樹脂から得られる成形品に塗装する場合、該塗料のビヒクルとしては、アクリル樹脂、スチレン変性アクリル樹脂を使用することが望ましい。
上記アクリル樹脂とはアクリル酸エステルからなる共重合体であり、スチレン変性アクリル樹脂とはスチレンとアクリル酸エステルからなる共重合体である。該アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のアクリレートが例示される。
また、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリレートが使用されても良い。
尚、上記スチレン変性アクリル樹脂は、成形物等の熱可塑性樹脂との相溶性を損なわない程度で、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪族ビニル、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアルコール等の水酸基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノ基含単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有単量体、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等の加水分解性シリル基含有ビニル単量体等の単量体が、共重合されても良い。尚上記単量体は単独で、又は二種以上組合せて使用されても良い。然もこのようにして得られたビヒクルは二種以上混ぜ合わせ併用しても良い。
或いは単独で使用する場合や、二種以上混ぜ合わせ使用する場合に同種類でのビヒクルであるが分子量の異なるモノを混ぜ合わせ使用する事もある。
塗料に添加して使用される帯電防止剤としては、例えば、セルロース、およびその誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテート、アセチルセルロース、ベンジルセルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、硝酸セルロース(NC)等が挙げられる。これらは単独で、あるいは二種以上混ぜ合わせ使用される。
ところで、上記セルロースアセテートブチレートの分散しやすい最適な粘度(塗料を製造する時の最適な粘度)は、0.1〜0.55秒の範囲内であるが、粘度がこの範囲よりも低くなると溶剤過多となる。一方、粘度がこの範囲よりも高くなるとセルロースアセテートブチレートの分散を上手く出来なくなる場合がある。又、セルロースアセテートブチレートのアセチル基含有量は、0〜15.0%の範囲が好ましい。該アセチル基の含有量が高い程、耐グリース性、引っ張り強度、固さ、融点、比重が高くなる。一方、ブチリル基含有量は30.0〜55.0%の範囲内が最適である。該ブチリル基の含有量が多くなると、セルロースアセテートブチレートの溶解性、耐希釈性、相溶性、柔軟性、耐水性が向上する。
前記酢酸セルロースは二酢酸セルロースであり、その酸酢化度は50〜60%、好ましくは54〜56%である。酢化度がこの範囲内であると、二酢酸セルロースはエステル類、ケトン類、酢酸ハイソロブ、ハロゲン化炭化水素に可溶であり、塗料の製造工程での溶解が容易となる。
前記エチルセルロースのエトキシ基含有量は、45〜50%の範囲内が好ましい。エトキシ基含有量がこの範囲内であると、エチルセルロースと、塗料用、印刷インク用樹脂との相溶性が良い。
前記メチルセルロースのメトキシ基含有量が19〜31.5%の範囲内であることが望ましい。メトキシ基含有量がこの範囲内であると、メチルセルロースの界面活性が高く、保護コロイド性、懸濁安定性、乳化安定性が優れる。
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースのヒドロキシプロポキシ基含有量が4〜12%の範囲内であることが望ましい。該ヒドロキシプロポキシ基含有量がこの範囲内であると、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは耐塩性、耐PH性、耐酵素性に優れる。
前記ヒドロキシエチルメチルセルロースのヒドロキシエトキシ基含有量の最適な範囲は4〜12%である。この範囲内であると、耐塩性、耐PH性、耐酵素性に優れる。又、該ヒドロキシエチルセルルースの2質量%水溶液の粘度は、20〜100000cps(mPa・s)の範囲内である。
セルロースアセテートブチレートを帯電防止剤として塗料に使用した場合、該セルロースアセテートブチレートを含む塗膜を有する成形品を粉砕し、粉砕物を加熱溶融してペレット化しても得られるペレットが黄変することは無い。
塗料に対する帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤が得られる乾燥塗膜中での含有量が5質量%以上、好ましくは15質量%以上となるように設定される。
乾燥塗膜中の帯電防止剤の含有量が5質量%よりも少ないと制電効果は望めない。
本発明の帯電防止剤が添加された樹脂には、本発明の帯電防止剤の効果が損なわれない範囲において、顔料、染料、補強剤(硝子繊維、炭素繊維等)、充填剤(カーボンブラック、知シリカ、酸化チタン、タクル等)、耐熱剤、老化防止剤、酸化劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、耐候(光)剤(紫外線吸収剤、光安定剤)、可塑剤、発泡剤、発泡助剤、滑剤、内部離型剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、流動性改良剤、相溶化剤等を添加してもよい。
〔塗料用合成樹脂、成形用合成樹脂〕
上記本発明の帯電防止剤を上記対象樹脂に添加して得られる塗料用および成形用合成樹脂は、帯電防止性に優れる。
上記合成樹脂としては、芳香環を有する熱可塑性樹脂であることが望ましい。該芳香環を有する熱可塑性樹脂とは、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等がある。
塗料用合成樹脂または成形用合成樹脂に帯電防止剤として繊維素誘導体を含有する場合、その含有量は5質量%〜35質量%であることが望ましい。
また塗料用合成樹脂または成形用合成樹脂に帯電防止剤としてリン酸エステル系化合物を含有する場合、その含有量は5質量%〜35質量%であることが望ましい。
以下、本発明を実施例によって説明する。なお、本発明は以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
得られた帯電防止剤を、100質量部のAS樹脂に15質量部添加して樹脂成形物を製造した。得られた樹脂成形物を屋内に六ヶ月間放置し、チリ、ホコリ等の付着状況を目視にて観察した。その結果は表1に示した。表1においてホコリ等が付着している場合は×とし、ホコリ等の付着量が相対的に少ない場合には○とした。
また比較例として、ブタジエンゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリロニトリル・スチレン−グラフト−ブタジエンゴム(AnSt−g−ブタジエンゴム)(比較例1)と、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)にアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリロニトリル・スチレン−グラフト−エチレンプロピレンジエンゴム(AnSt−g−EPDM)(比較例2)を添加して得られた樹脂成形物のホコリ等の付着状況も上記実施例1と同様の条件で観察した。その結果は表1に示した。
AS樹脂にAnSt−g−アクリル系ゴムを添加して得られる樹脂成形物(AAS樹脂成形物)は、AS樹脂にAnSt−g−ブタジエンゴム、AnSt−g−EPRを添加して得られる樹脂成形物(ABS樹脂成形物、AES樹脂成形物)よりも帯電防止効果に優れることがわかった。
該帯電防止剤を100質量部のPSおよびPPEに対してそれぞれ10質量部添加して樹脂成形物を製造した。得られた樹脂成形物を屋内に六ヶ月間放置し、チリ、ホコリ等の付着状況を目視にて観察した。その結果は表2に示した。表2においてホコリ等が付着している場合は×とし、ホコリ等の付着量が相対的に少ない場合には○とした。
また比較例として、ブタジエンゴムにスチレンをグラフト重合したスチレン−グラフト−ブタジエンゴム(St−g−ブタジエンゴム)(比較例3)と、エチレンプロピレンゴムにスチレンをグラフト重合したスチレン−グラフト−エチレンプロピレンゴム(St−g−EPR)(比較例4)を添加して得られた樹脂成形物のホコリ等の付着状況も上記実施例と同様の条件で観察した。その結果は表2に示した。
St−g−アクリル系ゴムを添加したHIPS、変性PPE樹脂成形物は、St−g−ブタジエンゴム、St−g−EPRを添加した樹脂成形物よりも帯電防止効果に優れることがわかった。
又St−g−アクリル系ゴムの添加量を10%から20%に多くした場合、10%添加の場合に比べホコリ等の付着量が相対的に少ない事も確認した。
〔参考例1〕
AS樹脂に、前記実施例1のAnSt−g−アクリル系ゴム20質量%添加して、溶融混練して、樹脂ペレットを製造し、該樹脂ペレットを射出成形機の加熱筒内において250度で1時間滞留させ、熱ストレスを与え、熱ストレスを与えた樹脂のIzod衝撃強度を測定し、加熱溶融前のバージン樹脂と比較した。その結果、バージン樹脂のIzod衝撃強度を100とした場合、相対値で97を示し、熱安定性が高い事、即ち繰り返しリサイクルが可能であることが確認された。
ABSを同様に熱ストレスを与えた場合のIzod衝撃強度の相対値は46を、ABSに市販の制電防止剤である三洋化成工業(株)製の親水性ポリマー〔ポリエーテルエステルアミド{ペレスタットNC6321(商品名)}〕を20質量%添加し、同様に250度で1時間滞留の熱ストレスを与えた場合のIzod衝撃強度の相対値は19を、前記ASにAnSt−g−アクリル系ゴム20質量%添加して、溶融混練した樹脂に、同じくペレスタットNC6321を20質量%添加し同様に熱ストレスを与える加熱溶融試験を行った結果Izod衝撃強度は21にまで低下した。この結果からリサイクル性に優れた樹脂(AnSt−g−アクリル系ゴム含有の樹脂)にペレスタットNC6321を添加すると、熱安定性が乏しくなることが確認され、ポリエーテルエステルアミドを添加、制電性を持たせた樹脂はリサイクル性が乏しい事が確認された。
ポリエーテルエステルアミドを添加し、永久制電性を持たせた市販の樹脂{東レのパレル(商品名)や、エイ・アンド・エムスチレンスチレンのアディオン(商品名)}でも同様な加熱溶融試験を行った結果著しい物性低下が認められ、リサイクル性が乏しいとの結果を得た。
〔参考例2〕
前記実施例3の塗料A,塗料B,塗料C,塗装成形品を其々粉砕し、ペレット化して再成形して塗膜混入による影響を確認した結果、塗料A,塗料Bが混ざった再生樹脂ではIzod衝撃強度が示す相対値が塗料Aの場合が98、塗料Bの場合は97と熱安定性に優れている事を示した。
塗料Cの場合は、94を示したが、樹脂の変色(褐色の変化)が確認され、硝酸セルロース(NC)は熱安定性が悪いことが判明した。
観察の結果、何れの成形品も親水性樹脂がブレンドされていないABS、HIPSと比較してホコリ等の付着量が相対的に少なく「○」と評価した。
観察の結果、何れの帯電防止剤を含む成形品は、帯電防止剤を含まないABS、HIPSからなる成形品と比較してホコリ等の付着量が相対的に少なかった。
観察の結果、何れの帯電防止剤を含む成形品は、帯電防止剤を含まないAS、PSからなる成形品と比較してホコリ等の付着量が相対的に少なかった。
何れの帯電防止剤を含む成形品は、帯電防止剤を含まないAS、PSからなる成形品と比較してホコリ等の付着量が相対的に少なかった。
一方、上記リサイクルペレット100質量部に、帯電防止剤(PX−200)を12質量部添加し、再び溶融混練してペレットを得た。このペレットを射出成形加工して更に成形品を得た。これらの成形品に対するホコリ等の付着量を評価した。結果は表3に示した。
塗膜を有する成形品Bを粉砕ペレット化し、再び成形加工して成形品Cを得た。また得られた成形品Cに、塗料D(塗料AにCABを35質量%加えたもの)を塗装し、成形品Dを得た。
得られた成形品A、B、CおよびDに対するホコリ等の付着量を評価(屋内に6ヶ月間放置)した。比較としてABS樹脂のみからなる成形品に対するホコリ等の付着量を評価した。
これらの成形品A、B、CおよびDは、ABS樹脂のみからなる成形品と比較して相対的にホコリ等の付着量が少なく、これらの成形品は制電効果を有することが確かめられた。このような結果が得られた理由は、成形品AにおいてはPET樹脂が存在すること、成形品Bにおいては塗膜にCABが存在すること、成形品CにおいてはPETおよびCABが存在すること、成形品Dにおいては塗膜にCABが存在すること、と考えられる。
同様な方法でAnSt−g−アクリル系ゴム/AS/PX−200=50/15/35のマスターバッチBを得た。
それぞれのマスターバッチA、およびBを前記実施例8記載のリサイクル材に20質量部を添加し、成形加工後、屋内で6ヶ月間放置し、該成形品に対するホコリ等の付着量を評価し、マスターバッチAおよびBが添加された成形品は明らかにホコリ等の付着は少なく「○」と評価した(評価の判断基準は上記実施例と同様)。
Claims (11)
- アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体、アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体、ニトロセルロースを除く繊維素誘導体、リン酸エステル系化合物、ポリエステル、ポリカーボネート、フタル酸エステル、アジピン酸エステルからなる群から選ばれた一種または二種以上の混合物であることを特徴とする帯電防止剤
- 該帯電防止剤は、芳香環を有する熱可塑性樹脂に添加される請求項1に記載の帯電防止剤
- 該芳香環を有する熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂である請求項2に記載の帯電防止剤
- アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体を帯電防止剤として5質量%〜50質量%含有することを特徴とする塗料用または成形用合成樹脂
- アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体を帯電防止剤として5質量%〜50質量%含有することを特徴とする塗料用または成形用合成樹脂
- ニトロセルロースを除く繊維素誘導体を帯電防止剤として5質量%含有することを特徴とする塗料用または成形用合成樹脂
- リン酸エステル系化合物を帯電防止剤として5質量%〜35質量%含有することを特徴とする塗料用または成形用合成樹脂
- アクリル系ゴムを主鎖とし、スチレン系単量体またはスチレン系単量体とニトリル系単量体を主体とする重合体鎖を枝部としたグラフト共重合体と、リン酸エステル系化合物とを10:90〜50:50質量比で混合した混合物からなる帯電防止剤を5質量%〜35質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂
- アクリル系ゴムブロックと、スチレン系単量体またはスチレン系単量体およびニトリル系単量体を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体と、リン酸エステル系化合物とを10:90〜50:50質量比で混合した混合物からなる帯電防止剤を5質量%〜35質量%質量%含有する塗料用または成形用合成樹脂
- 上記合成樹脂は芳香環を有する熱可塑性樹脂である請求項4〜請求項9に記載の塗料用または成形用合成樹脂
- 上記芳香環を有する熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂である請求項10に記載の塗料用または成形用合成樹脂
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