JP7433548B1 - 熱可塑性樹脂組成物、それを用いた成形品、及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、それを用いた成形品、及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方と、セルロース繊維(D)と、相溶化樹脂(E)と、を含む。熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のうちの少なくとも一方である。イオン液体(B)は、ホスホニウム塩である。セルロース繊維(D)は、平均繊維径が3nm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上400μm以下である。相溶化樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)とを相溶化するための樹脂である。

Description

本開示は、熱可塑性樹脂組成物、それを用いた成形品、及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
家電製品、並びに、複写機及びコンピュータ等のOA機器の筐体及び部品には、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、又はポリカーボネート系樹脂等をベース樹脂とした熱可塑性樹脂組成物の成形品が用いられている。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂であるポリプロピレン(Polypropylene;略してPP)及びポリエチレン(Polyethylene;略してPE);スチレン系樹脂であるハイインパクトポリスチレン(High Impact Polystyrene;略してHIPS)及びポリスチレン(General Purpose Polystyrene;略してGPPS);アクリロニトリル系樹脂であるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene;略してABS)及びアクリロニトリル-スチレン樹脂(Acrylonitrile-Styrene;略してAS)が挙げられる。OA機器の筐体及び部品に用いられる熱可塑性樹脂の多くは、アクリロニトリル系樹脂(例えばABS、AS)、ポリカーボネート(Polycarbonate;略してPC)系樹脂、ポリカーボネート/アクリロニトリル系樹脂、又は難燃系樹脂である。
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物に帯電防止性を付与するために、樹脂組成物に帯電防止剤を添加することがある。例えば、特許文献1(特開平7-18137号公報)には、ほこり等が付着する可能性のある成形品に用いられる樹脂組成物に、スルホン酸ホスホニウム塩である帯電防止剤を添加することが開示されている。特許文献2(特開2020-50857号公報)及び特許文献3(特開2021-193169号公報)には、ドナー・アクセプター系帯電防止剤を含む樹脂組成物が開示されている。
特開平7-18137号公報 特開2020-50857号公報 特開2021-193169号公報
成形品を清潔に保ったり、成形品を容易に清掃したりするために、防汚性が付与された成形品の開発が進められている。帯電防止剤を含む樹脂組成物を用いることにより、成形品にほこり等の付着を抑制する防汚性を付与できる。成形品の防汚性を持続して発揮させるために、成形品の優れた帯電防止性が持続することが求められる。しかしながら、特許文献1~3では、成形品の帯電防止性の経時劣化について検討されておらず、成形品の防汚性を持続しにくいと考えられる。
本開示の目的は、優れた帯電防止性を持続して発揮することができる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本開示の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方と、セルロース繊維(D)と、相溶化樹脂(E)と、を含む。
熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のうちの少なくとも一方である。イオン液体(B)は、ホスホニウム塩である。セルロース繊維(D)は、平均繊維径が3nm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上400μm以下である。相溶化樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)とを相溶化するための樹脂である。
本開示の熱可塑性樹脂組成物によれば、優れた帯電防止性を持続して発揮する成形品を提供することができる。
実施の形態1.
(熱可塑性樹脂組成物)
本実施の形態の熱可塑性樹脂組成物(以下、「本組成物」ということがある。)は、熱可塑性樹脂(A)と、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方と、セルロース繊維(D)と、相溶化樹脂(E)と、を含む。熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のうちの少なくとも一方である。イオン液体(B)は、ホスホニウム塩である。セルロース繊維(D)は、平均繊維径が3nm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上400μm以下である。相溶化樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)とを相溶化するための樹脂である。
イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)は、本組成物を用いて形成した成形品に帯電防止性を付与することができる。イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)は、少ない含有量で成形品に優れた帯電防止性を付与することができる。そのため、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)の添加により熱可塑性樹脂(A)の物性が低下することを抑制できる。
成形品が帯電防止性を有することにより、成形品に粉塵が付着することを抑制できるため、成形品は優れた防汚性を有することもできる。本組成物を用いて形成された成形品は、砂埃及び埃等の親水性の粉塵も、油煙等の疎水性の粉塵も、付着しにくい。
イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が成形品から消失すると、成形品の帯電防止性が低下し、防汚性も低下する。成形品の表面近傍に存在するイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が、成形品の拭き取り等の清掃及び経時変化によって消失すると、成形品の帯電防止性が低下するおそれがある。本組成物は、セルロース繊維(D)を含むため、成形品からイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が消失することを抑制し、優れた帯電防止性を持続して発揮できる成形品を提供することができる。
この理由は、次のように推測される。イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)は、アニオン成分とカチオン成分とを有する。セルロース繊維(D)は、セルロース骨格にある水酸基の結びつきにより親水性を示す。親水性を示すセルロース繊維(D)と、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)とは親和性に優れており、両者が静電気的引力によって結びつきやすい。熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)とは、相溶化樹脂(E)が存在することによって良好に混ざり合った状態にあると考えられる。このような状態にあるセルロース繊維(D)にイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が結びついているため、成形品内にイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が留まりやすくなっていると考えられる。また、成形品中のセルロース繊維(D)が障壁となり、成形品表面からイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が漏出することも抑制していると考えられる。これらの点から、本組成物を用いて形成された成形品は、その表面の拭き取り等の清掃及び経時変化等によってイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が消失しにくく、優れた帯電防止性及び防汚性を持続して発揮できると推測される。
イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)は低分子量であるため、成形品の表面近傍に存在させたり、成形品の表面にブリードさせたりすることにより、成形品の帯電防止性及び防汚性を向上させることがある。このような場合においても、本組成物を用いることにより、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が消失しにくく、優れた帯電防止性及び防汚性を持続して発揮できる成形品が得られることが期待できる。
本組成物は、後述する成形品を形成するために用いることができる。本組成物は、熱可塑性樹脂(A)として、好ましくはオレフィン系樹脂又はスチレン系樹脂を含む。本組成物は、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方を含んでいればよく、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)の両方を含んでいてもよい。本組成物は、上記した成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。本組成物の組成の具体例については後述する。
本組成物を用いて、縦100mm×横100mm×厚み2mmの大きさの平板片を形成したとき、当該平板片の温度23℃、相対湿度50%における表面固有抵抗率は、好ましくは1.0×1012Ω/sq以下であり、より好ましくは1.0×1011Ω/sq以下であり、5.0×1010Ω/sq以下であってもよい。平板片の上記表面固有抵抗率は、通常1.0×10Ω/sq以上である。ここでいう平板片の表面固有抵抗率は、平板片に対して後述する加速試験を行う前の初期の表面固有抵抗率である。平板片の初期の表面固有抵抗率が上記の範囲内であることにより、本組成物を用いて得られた成形品は、粉塵の付着が抑制され、優れた防汚性を有することができる。初期の表面固有抵抗率は、例えば、本組成物に含まれるイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)の種類及び含有量等によって調整することができる。上記平板片は、後述する実施例に記載の方法によって作製することができる。初期の表面固有抵抗率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
加速試験後の上記平板片の温度23℃、相対湿度50%における表面固有抵抗率は、好ましくは1.0×1012Ω/sq以下であり、より好ましくは5.0×1011Ω/sq以下であり、1.0×1011Ω/sq以下であってもよい。平板片の加速試験後の上記表面固有抵抗率は、通常1.0×10Ω/sq以上である。平板片の加速試験後の表面固有抵抗率が上記の範囲内であることにより、本組成物を用いて得られた成形品は、粉塵の付着を持続的に抑制することができ、優れた防汚性を持続して発揮することができる。加速試験後の表面固有抵抗率は、例えば、本組成物に含まれるイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)の種類及び含有量、並びに、セルロース繊維(D)の種類及び含有量等によって調整することができる。加速試験後の表面固有抵抗率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。加速試験は、実使用環境を想定した試験であり、後述する実施例に記載の方法によって行うことができる。
以下、本組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂(A))
熱可塑性樹脂(A)は、本組成物のベース樹脂である。熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のうちの少なくとも一方であり、好ましくはオレフィン系樹脂又はスチレン系樹脂である。熱可塑性樹脂(A)は、使用済みの家電製品、並びに、複写機及びコンピュータ等のOA機器等の筐体又は部品等の成形品から回収され、リサイクルされた熱可塑性樹脂であってもよい。
オレフィン系樹脂は、繰り返し構成単位としてオレフィン単位を有する樹脂である。オレフィン系樹脂は、炭素(C)及び水素(H)のみで構成され、分子鎖を構成する全構成単位に対してオレフィン単位を合計で50モル%を超えて100モル%以下含む樹脂をいう。オレフィン単位は、単量体であるオレフィンを重合して得られる重合体の構成単位をいう。熱可塑性樹脂(A)は、1種又は2種以上のオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ホモポリエチレン及びエチレン-α-オレフィン共重合体(但し、繰り返し構成単位としてプロピレン単位を含むものを除く。)等のポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-ブテンブロック共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィングラフト共重合体等のポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。オレフィン系樹脂は、好ましくはポリプロピレン系樹脂である。
スチレン系樹脂は、繰り返し構成単位としてスチレン系単位を有する樹脂である。スチレン系樹脂は、分子鎖を構成する全構成単位に対してスチレン系単位を合計で50モル%を超えて100モル%以下含む樹脂をいう。スチレン系単位は、ベンゼン環の水素原子の一つがビニル基に置換された骨格を有するスチレン系単量体を重合して得られる重合体の構成単位をいう。スチレン系単量体は、ベンゼン環の水素原子のうち、ビニル基に置換された水素原子以外の水素原子が官能基により置換されていてもよい。熱可塑性樹脂(A)は、1種又は2種以上のスチレン系樹脂を含んでいてもよい。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン等のモノビニル系芳香族単量体を重合して得られる重合体;ポリブタジエン(PBD)及びスチレン-ブタジエン共重合体(SBR)等のゴム状物質をスチレン系単量体に溶解し、塊状重合法又は塊状懸濁重合法等により製造したゴム変性スチレン系重合体;並びに、アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体を重合して得られる重合体からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
モノビニル系芳香族単量体を重合して得られる重合体としては、例えば、ポリスチレン(GPPS)が挙げられる。ゴム変性スチレン系重合体としては、例えば、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)及びミドルインパクトポリスチレン(MIPS)のうちの少なくとも一方が挙げられる。シアン化ビニル系単量体を重合して得られる重合体としては、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル、ブタジエン、及びスチレンを重合して得られるアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)の含有量は、本組成物の総量に対して、例えば30重量%以上95重量%以下であってもよく、40重量%以上90重量%以下であってもよく、50重量%以上85重量%以下であってもよく、60重量%以上80重量%以下であってもよい。熱可塑性樹脂(A)が2種以上の熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂(A)の含有量はその合計量をいう。
(イオン液体(B))
イオン液体(B)はホスホニウム塩であり、本組成物を用いて形成される成形品に帯電防止性及び防汚性を付与することができる。本組成物がドナー・アクセプター系化合物(C)を含む場合、本組成物は、イオン液体(B)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。本組成物は、1種又は2種以上のイオン液体(B)を含むことができる。
イオン液体(B)としては、例えば、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルペンチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラートからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。イオン液体(B)は、好ましくはトリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、及びドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムからなる群より選択される1種以上である。これらの化合物を含む本組成物は、成形品に優れた帯電防止性及び防汚性を付与することができる。
トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとして、富士フィルム和光純薬株式会社製の化合物、及び、広栄化学工業株式会社製「IL-AP3」を用いることができる。トリブチルドデシルホスホニウムブロミドとして、富士フィルム和光純薬株式会社製の化合物を用いることができる。ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムとして、竹本油脂株式会社製「エレカットS-418」を用いることができる。
本組成物中のイオン液体(B)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、例えば0.5重量部以上5.0重量部以下であり、好ましくは0.5重量部以上4.0重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以上3.0重量部以下である。イオン性液体(B)の含有量が5.0重量部を超えると、高温環境下での熱安定性が著しく低下し、成形品が黄変しやすくなる傾向にあり、成形品の機械的特性が大幅に低下することがある。イオン性液体(B)の含有量が0.5重量部未満であると、成形品に粉塵が付着しやすくなり、成形品の防汚性が低下する傾向にある。本組成物が2種以上のイオン性液体(B)を含む場合、イオン性液体(B)の含有量はその合計量をいう。
(ドナー・アクセプター系化合物(C))
ドナー・アクセプター系化合物(C)は、電子供与基と電子吸引性基とを併せ持った化合物をいう。ドナー・アクセプター系化合物(C)は、本組成物を用いて形成される成形品に帯電防止性及び防汚性を付与することができる。本組成物がイオン液体(B)を含む場合、本組成物は、ドナー・アクセプター系化合物(C)を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。本組成物は、1種又は2種以上のドナー・アクセプター系化合物(C)を含むことができる。
ドナー・アクセプター系化合物(C)は、電子供与基と電子吸引性基とを有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)ということがある。」)である。
Figure 0007433548000001
化合物(1)として、株式会社ボロン研究所製「ビオミセルBN-105」(化学式:C4281B・C2348ON)を用いることができる。ドナー・アクセプター系化合物(C)として、化合物(1)に類似した構造を有する株式会社ボロン研究所製「ビオミセルBN-77」(化学式:C4281B・C2348ON)を用いることもできる。これらの化合物を含む本組成物は、成形品に優れた帯電防止性及び防汚性を付与することができる。
本組成物中のドナー・アクセプター系化合物(C)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、例えば0.5重量部以上5.0重量部以下であり、好ましくは0.5重量部以上4.0重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部以上3.0重量部以下である。ドナー・アクセプター系化合物(C)の含有量が5.0重量部を超えると、成形品の機械的特性が大幅に低下することがある。ドナー・アクセプター系化合物(C)の含有量が0.5重量部未満であると、成形品に粉塵が付着しやすくなり、成形品の防汚性が低下する傾向にある。本組成物が2種以上のドナー・アクセプター系化合物(C)を含む場合、ドナー・アクセプター系化合物(C)の含有量はその合計量をいう。
(セルロース繊維(D))
セルロース繊維(D)は、平均繊維径が3nm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上400μm以下である。本組成物がセルロース繊維(D)を含むことにより、成形品の拭き取り等の清掃及び経時変化等によってイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が消失しにくくなり、成形品の優れた帯電防止性及び防汚性を持続させやすくなると考えられる。
セルロース繊維(D)は、ナノファイバー及びマイクロファイバーのうちの少なくとも一方を含むことができる。セルロース繊維(D)は、ナノファイバーを含んでいてもよく、マイクロファイバーを含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。ナノファイバーは、平均繊維径が3nm以上200nm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上1000nm以下である。ナノファイバーは、セルロース分子が数十本束になった微小繊維(セルロースミクロフィブリル)であってもよい。マイクロファイバーは、平均繊維径が1μm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が10μm以上400μm以下である。
セルロース繊維(D)の平均繊維径及び平均繊維長は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。ナノファイバーが微小繊維である場合、微小繊維の平均繊維径は、セルロース分子の束の幅(径)をいう。
セルロース繊維(D)は表面に水酸基を有することができる。セルロース繊維(D)の結晶形、結晶化度、重合度等は特に限定されない。
セルロース繊維(D)は、パルプ等を原料として用い、原料の解繊処理によって得ることができる。解繊処理としては、機械的な解繊方法及び化学的な解繊方法が挙げられる。
機械的な解繊方法では、パルプ等の原料の水懸濁液又はスラリーを調整し、リファイナー、高圧ホモジナイザー、ディクスミル(グラインダー)、混練機(押出機)、ボールミル、又はビーズミル等を用いて機械的に摩砕することによって、ナノファイバー及びマイクロファイバーを得ることができる。あるいは、原料の水懸濁液又はスラリーを凍結させた状態でボールミル等により解繊する凍結粉砕法;原料の懸濁液を加圧して互いに高速衝突させ、衝突力、圧力差、及びマイクロキャビテーションにより解繊する水中対向衝突法;原料の懸濁液を最大245MPaまで加圧して噴射することにより、マッハ2のウォータージェットを作り出し、このウォータージェット同士を斜向衝突させることによって解繊するウォータージェット法であってもよい。微小繊維であるナノファイバーを得る場合、繊維の損傷を抑制する観点から、原料に対して化学的な前処理となる精製処理を行った後、機械的な解繊処理を行うことが好ましい。
化学的な解繊方法としては、セルロース分子の2位、3位、6位の水酸基に、リン酸基を導入し、分子鎖反発により高分散液を得るリン酸エステル化法;TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)を触媒に用い、セルロース分子の非晶領域にある6位の水酸基に選択的にカルボキシ基を導入し、分子鎖反発により高分散液を得るTEMPO触媒酸化法等が挙げられる。
あるいは、未乾燥の状態にあるパルプ等の原料に対し、セルロース分子の6位の水酸基をアセチル化、シラン化、又はイソシアネートと反応させるウレタン化することにより、熱可塑性樹脂(A)と相溶化させる化学的処理を行い、押出機内で熱可塑性樹脂(A)と混練することにより、原料を解繊してもよい。
セルロース繊維(D)として、中越パルプ工業株式会社製「Nanoforest」、モリマシナリー株式会社製「CellFim P」、GSアライアンス株式会社製「GS CNF」、及び、レッテンマイヤージャパン株式会社製「ARBOCEL」等を用いることができる。
本組成物中のセルロース繊維(D)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、例えば1.0重量部以上50重量部以下であり、好ましくは1.0重量部以上40重量部以下であり、より好ましくは1.0重量部以上30重量部以下である。セルロース繊維(D)の含有量が上記の範囲内であることにより、成形品において、粉塵が付着することを持続的に抑制しやすく、優れた防汚性を持続的に発揮しやすい。本組成物が2種以上のセルロース繊維(D)を含む場合、セルロース繊維(D)の含有量はその合計量をいう。
(相溶化樹脂(E))
相溶化樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)とを相溶化するための樹脂である。異なる樹脂とは、樹脂を構成する構成単位の組成が互いに異なることをいう。相溶化するとは、本組成物を用いて形成した成形品における熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)との相分離が、相溶化樹脂(E)を含まないこと以外は本組成物と同じである組成物を用いて形成した成形品における熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)との相分離よりも抑制されていることをいう。相溶化樹脂(E)は、好ましくは、セルロース繊維(D)の水酸基(-OH)と相溶し得る酸素原子(O)を含む。
本組成物が相溶化樹脂(E)を含むことにより、本組成物を用いて得られる成形品において、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)との相分離を抑制し、これらが均質に混ざり合いやすくなる。これにより、成形品の機械的特性が著しく低下することを抑制することができる。
本組成物は、1種又は2種以上の相溶化樹脂(E)を含むことができる。相溶化樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(A)の種類によって選択すればよい。例えば、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系樹脂を含む場合には、オレフィン系相溶化樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂を含む場合には、スチレン系相溶化樹脂を用いることが好ましい。
オレフィン系相溶化樹脂としては、好ましくはカルボキシ基(-CO)及び水酸基(-OH)のうちの少なくとも一方を含む樹脂である。オレフィン系相溶化樹脂は、例えば、オレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸によって変性した酸変性オレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
酸変性オレフィン系樹脂は、構成単位としてオレフィン単位と不飽和カルボン酸単位とを含む重合体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられ、好ましくは(無水)マレイン酸である。(無水)マレイン酸はマレイン酸又は無水マレイン酸をいい、(無水)イタコン酸はイタコン酸又は無水イタコン酸をいう。
オレフィン系相溶化樹脂は、好ましくは酸変性オレフィン系樹脂であり、より好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂である。無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂は、好ましくは、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂及び無水マレイン酸変性エチレン-プロピレン樹脂のうちの少なくとも一方である。無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂として、ビックケミージャパン株式会社製「SCONA TSPP 10213」、ビックケミージャパン株式会社製「SCONA TPPP 9212」、及び、三洋化成工業株式会社製「ユーメックス1010」等を用いることができる。
熱可塑性樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂である場合、相溶化樹脂(E)は、好ましくはオレフィン系相溶化樹脂であり、より好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂である。
スチレン系相溶化樹脂としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPE-S)、並びに、メチルメタクリレート、ブタジエン、及びスチレンを重合して得られるメチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS樹脂)のうちの少なくとも一方が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、強度を付与するための「ハードセグメント」とゴムの弾性を有する「ソフトセグメント」とが結合した構造を有する。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)樹脂及びSIS(スチレン・イソプレン・スチレン)樹脂、並びに、これらを水添したSEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)樹脂及びSEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)樹脂等が挙げられる。上記したスチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン(PS)構造がハードセグメントであり、ソフトセグメントの構造が異なっている。
スチレン系相溶化樹脂として、JSR株式会社製「TR2003」、旭化成株式会社製「アサプレンT-438」、三菱化学株式会社製「ラバロンA1801N-K」、及び、三菱ケミカル株式会社製「メタブレンC323A」等を用いることができる。
熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂である場合、相溶化樹脂(E)は、好ましくはスチレン系相溶化樹脂であり、より好ましくはスチレン系エラストマーである。
本組成物中の相溶化樹脂(E)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、例えば0.5重量部以上20重量部以下であり、好ましくは1.0重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは1.0重量部以上10重量部以下である。相溶化樹脂(E)の含有量が20重量部を超えると、成形品の機械的特性が大幅に低下することがある。相溶化樹脂(E)の含有量が0.5重量部未満であると、熱可塑性樹脂(A)とセルロース繊維(D)との相溶性が低下し、成形品の機械的特性が大幅に低下することがある。本組成物が2種以上の相溶化樹脂(E)を含む場合、相溶化樹脂(E)の含有量はその合計量をいう。
(他の成分)
本組成物は、上記した成分以外に他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、無機充填剤、熱可塑性樹脂(A)及び相溶化樹脂(E)以外の他の熱可塑性樹脂、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)以外の帯電防止剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料等を含んでいてもよい。本組成物中の他の成分の含有量は、目的とする物性が得られるように適宜調整すればよい。
無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、珪砂、けし石、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、アスベスト、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、カオリナイト、及び黒鉛からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
他の熱可塑性樹脂は、本組成物に含まれる熱可塑性樹脂(A)及び相溶化樹脂(E)以外の熱可塑性樹脂であればよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、ニトリル樹脂、オレフィンビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、及びニトリルゴムからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
耐熱安定化剤は、本組成物の熱安定性を向上させるために用いることができる。耐熱安定化剤としては、好ましくはヒンダードフェノール系、リン系、又はイオウ系等の酸化防止剤である。耐熱安定化剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びトリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤は、耐熱安定性の観点から、好ましくはテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリルβ-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及び3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンからなる群より選ばれる1種以上である。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリ(モノノニルフェニル)ホスファイト、アルカノール(C=12~16)4,4’-イソプロピリデンジフェノールトリフェニルホスファイト重縮合物、ビス[2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル]エチルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニルホスファイト)、トリアリルホスファイト、及びテトラキス(2,4-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニルジホスフォネートからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
リン系の酸化防止剤は、耐熱安定性の観点から、好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ペンタエリトリトールビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニルホスファイト)、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイトからなる群より選ばれる1種以上である。
イオウ系の酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル-3,3’-チオジプロピオネートからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。イオウ系の酸化防止剤は、耐熱安定性の観点から、好ましくはペンタエリトリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)である。
本組成物中の耐熱安定化剤の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上3重量部以下である。本組成物が2種以上の耐熱安定化剤を含む場合、耐熱安定化剤の含有量はその合計量をいう。
紫外線吸収剤は、成形品が屋外等で使用された際に紫外線により黄変することを抑制するために用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ヒドロキシビス(ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、及び2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
紫外線吸収剤は、耐候安定性の観点から、好ましくは2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、及び2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)からなる群より選ばれる1種以上である。紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上3重量部以下である。本組成物が2種以上の紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量はその合計量をいう。
光安定剤は、成形品が屋外等で使用された際に紫外線により黄変することを抑制するために用いることができる。光安定剤としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート;テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
光安定剤は、耐候安定性の観点から、好ましくは(1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と、1,2,3,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールと、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物であることが好ましい。光安定剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本組成物中の光安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上3重量部以下である。本組成物が2種以上の光安定剤を含む場合、光安定剤の含有量はその合計量をいう。
イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)以外の他の帯電防止剤としては、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(スリーエムジャパン株式会社製「FC-4400」)等のアンモニウム塩系イオン液体;N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(日本カーリット株式会社製「CIL-312」)等のピリジニウム塩系イオン液体;イミダゾリウム塩系イオン液体;ピロリジニウム塩系イオン液体;リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド/ポリエーテルポリオール(三光化学工業株式会社製「PEO-20R」)等のリチウムイオン液体;側鎖に4級アンモニウム塩を有するポリマー型帯電防止剤(大成ファインケミカル株式会社製「1SX-1090」及び「1WX-1020-NS」);ジグリセリンモノラウレート(理研ビタミン株式会社製「ポエムDL-100」)等のグリセリン脂肪酸エステル;及び、高分子型永久帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製「ペレクトロンHS」、「ペレクトロンAS」及び「ペレスタットNC6321」、株式会社ADEKA製「アデカスタブAS-302」)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。他の帯電防止剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、及びミネラルオイルからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。可塑剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、シリコーンオイル、ステアリルホスファイト、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩、及び、1価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。離型剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
難燃剤としては、例えば、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスファイト)、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、及びトリス-3-クロロプロピルホスフェート等のリン系難燃剤;2,2-ビス[4-(3,3-ジブロモプロポキシル)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン、ビス(3,5-ジブロモ-4-ジブロモプロピルオキシフェニル)スルホン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、及びヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤;シリコーン系難燃剤;並びに、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。難燃剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物が挙げられる。難燃助剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
本組成物は、以下に示す組成であってもよい。以下の組成において各成分の含有量は、上記した範囲であってもよい。以下に示す本組成物は、さらに上記した他の成分を含んでいてもよい。
(組成1)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系樹脂であり、
イオン液体(B)、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのオレフィン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成2)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系樹脂であり、
イオン液体(B)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのオレフィン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成3)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系樹脂であり、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのオレフィン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成4)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)としてのオレフィン系樹脂100重量部に対して、
イオン液体(B)を0.5重量部以上3.0重量部以下、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)を0.5重量部以上3.0重量部以下、
セルロース繊維(D)を1.0重量部以上30重量部以下、及び、
相溶化樹脂(E)としてのオレフィン系相溶化樹脂を1.0重量部以上10重量部以下含むものであってもよい。
(組成5)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂であり、
イオン液体(B)、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのスチレン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成6)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂であり、
イオン液体(B)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのスチレン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成7)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂であり、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)、
セルロース繊維(D)、及び、
相溶化樹脂(E)としてのスチレン系相溶化樹脂を含むものであってもよい。
(組成8)
本組成物は、熱可塑性樹脂(A)としてのスチレン系樹脂100重量部に対して、
イオン液体(B)を0.5重量部以上3.0重量部以下、
ドナー・アクセプター系化合物(C)としての化合物(1)を0.5重量部以上3.0重量部以下、
セルロース繊維(D)を1.0重量部以上30重量部以下、及び、
相溶化樹脂(E)としてのオレフィン系相溶化樹脂を1.0重量部以上10重量部以下含むものであってもよい。
実施の形態2.
(成形品)
本実施の形態の成形品は、本組成物を用いて形成される。上記したように、成形品は、その表面の拭き取り等の清掃及び経時変化等によってイオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)が消失しにくく、優れた帯電防止性及び防汚性を持続して発揮することができる。成形品は、親水性の粉塵も疎水性の粉塵も付着しにくいという防汚性を有することができる。
成形品は、本組成物を溶融混練してペレット化し、各種の成形方法により成形することによって得ることができる。あるいは、成形品は、溶融混練した本組成物をペレット化することなく、押出機を用いて成形することによって得てもよい。成形方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ-ティング)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法、及びこれらの1又は2以上の組み合わせ等が挙げられる。
成形品の形状は特に制限されず、成形品の用途及び使用目的等に応じて選択することができる。成形品の形状は、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、中空形状、枠状、箱状、パネル状、及びこれらのうちの1又は2以上の組み合わせであってもよい。成形品は、例えば、家電製品及びOA機器等の各種装置の筐体及び部品、自動車内装用パネル、二輪車等の自動車のヘッドランプレンズ、並びに照明のカバー等であってもよい。成形品の表面は、凹凸形状が転写されていてもよく、三次元曲面を有していてもよい。成形品は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。成形品が多層構造を有する場合、少なくとも1層が本組成物を用いて形成された層であればよく、すべての層が本組成物を用いて形成された層であってもよい。
実施の形態3.
(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
本組成物の製造方法は、本組成物に含まれる各成分を混練する工程を含むことができる。本組成物は、熱可塑性樹脂(A)、イオン液体(B)及び前記ドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方、セルロース繊維(D)、並びに、相溶化樹脂(E)を含み、必要に応じて上記した他の成分を含んでいてもよい。
混練方法としては、好ましくは物理的ブレンド法であり、例えば、溶融混練、溶媒キャストブレンド、ラテックスブレンド、及びポリマーコンプレックスからなる群より選ばれる1以上の方法が挙げられる。混練方法は、より好ましくは溶融混練である。溶融混練の温度は、本組成物に含まれる成分に応じて選択すればよいが、例えば180℃以上320℃以下とすることができる。
混練装置としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ロータリーミキサー、スーパーミキサー、リボンタンブラー、及びVブレンダーからなる群より選ばれる1以上が挙げられる。
本組成物の製造方法は、溶融混練によって本組成物に含まれる成分を均一に分散させた混練物を得、この混練物をペレット化してもよい。ペレット化には、例えば、単軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー、ローラ、コニーダ、ブラストミル、及びプラベンダーブラウトグラフからなる群より選ばれる1以上の装置を用いればよい。これらの装置は、回分的に運転してもよく、連続的に運転してもよい。
本組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)のペレット、イオン液体(B)及び前記ドナー・アクセプター系化合物(C)のうちの少なくとも一方、セルロース繊維(D)、並びに、相溶化樹脂(E)を混合し、この混合物を成形機の加熱筒内で溶融混練する工程(いわゆるモールドブレンド)を含むものであってもよい。
以下、実施例及び比較例等により、本開示をさらに詳しく説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
〔実施例1~13、比較例1~5〕
表1~表4に示す組成となるように各成分を混合し、二軸混練押出機(芝浦工業株式会社製「TEX-26SX」)を用い、180~220℃にて溶融混練することにより、3~5mmの長さの熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。ペレットを電気式射出成形機(日精樹脂工業株式会社製「NEX110IV-9EG」)を用いて、成形品として、縦100mm×横100mm×厚さ2mm)の平板片を得た。射出成形条件は、樹脂温度200~240℃、金型温度50℃とした。
表1~表4中、各記号が示す成分は次のとおりである。
(熱可塑性樹脂(A))
A-1:ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製「ノバテックBC03B」)
A-2:ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製「ノバテックMA3H」)
A-3:スチレン系樹脂(PSジャパン株式会社製「PS-JポリスチレンH8672」)
(イオン液体(B))
B-1:トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(富士フィルム和光純薬株式会社製)
B-2:ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム(竹本油脂株式会社製「エレカットS-418」)
B-3:トリブチルドデシルホスホニウムブロミド(富士フィルム和光純薬株式会社製)
(ドナー・アクセプター系化合物(C))
C-1:化合物(1)(株式会社ボロン研究所製「ビオミセルBN-105」)
(セルロース繊維(D))
D-1:中越パルプ工業株式会社製「Nanoforest」
D-2:モリマシナリー株式会社製「CellFim P」
D-3:GSアライアンス株式会社製「GS CNF」
D-4:レッテンマイヤージャパン株式会社製「ARBOCEL」
上記D-1~D-3は、いずれも、平均繊維径が3nm以上200nm以下の範囲内であり、平均繊維長が100nm以上1000nm以下の範囲内であり、上記D-4は、平均繊維径が1μm以上50μm以下の範囲内であり、平均繊維長が10μm以上400μm以下の範囲内であった。
(相溶化樹脂(E))
E-1:オレフィン系相溶化樹脂(ビックケミージャパン株式会社製「SCONA TPPP 9212」)
E-2:オレフィン系相溶化樹脂(三洋化成工業株式会社製「ユーメックス1010」)
E-3:スチレン系相溶化樹脂(JSR株式会社製「TR2003」)
実施例及び比較例で用いた材料、並びに、実施例及び比較例で得た樹脂組成物の平板片について、次の手順で評価を行った。
[セルロース繊維(D)の平均繊維径及び平均繊維長の測定]
実施例及び比較例で作製した平板片(縦100mm×横100mm×厚さ2mm)を2つ又は4つに等分割した。等分割した分割片を液体窒素中で凍結破断し、破断面を作製した。破断面に白金を蒸着して評価試験片を得た。走査型電子顕微鏡を用いて評価試験片の蒸着面を観察し、視野内のセルロース繊維の繊維径及び繊維長を50本以上測定し、これを平均して平均繊維径及び平均繊維長とした。
[加速試験]
実使用環境を想定して平板片の加速試験を行った。加速試験は、JIS K7368:1999に準ずる方法で行った。当該JIS規格では、寿命と温度との関係を推定する場合、推奨試験温度が100~150℃に設定されているため、本試験では、試験温度を100℃とし、試験時間を800時間に設定した。
[表面固有抵抗率の測定]
抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製「Hiresta UP MCP-HT450」)を用い、下記に示す試験条件で加速試験前(初期)及び加速試験後における平板片の表面固有抵抗率を測定した。表面固有抵抗率の数値が小さいほど、帯電防止性に優れていることを表す。結果を表1~表4に示す。
(試験条件)
電圧:1000V
時間:60秒
温度:23℃
相対湿度:50%
[粉塵付着性の評価]
粉塵付着性の評価では、JIS Z8901:2006の「試験用粉体及び試験用粒子」に準拠した粉体を使用した。親水性の粉塵として、関東ローム(JIS試験用粉体の11種)を使用し、疎水性の粉塵として、カーボンブラック(JIS試験用粉体1の12種)を使用した。
親水性及び疎水性の粉塵をそれぞれ用いて、加速試験前(初期)及び加速試験後の平板片それぞれの粉塵付着性の評価を次の手順で行った。平板片の表面(片面)に5gの粉塵を吹き付けた後、平板片の表面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX-5000」)を用いて100倍の倍率で観察し、画像処理により粉塵付着率(粉塵が付着した面積割合)を求め、下記の評価基準(1)及び(2)で評価した。結果を表1~表4に示す。
(評価基準(1))
A:平板片の表面における粉塵付着率が4%未満である。
B:平板片の表面における粉塵付着率が4%以上である。
(評価基準(2))
A:初期及び加速試験後の平板片の表面における親水性及び疎水性の粉塵の粉塵付着率がいずれも5%未満である。
B:初期及び加速試験後の平板片の表面における親水性及び疎水性の粉塵の粉塵付着率のうちの5%以上である。
Figure 0007433548000002
Figure 0007433548000003
Figure 0007433548000004
Figure 0007433548000005
実施例1~13で得た成形品は、優れた帯電防止性及び防汚性を持続して発揮できることがわかる。比較例1、2、4、及び5で得た成形品は、セルロース繊維(D)を含まない組成物を用いて形成されているため、加速試験後に、表面固有抵抗率が上昇し、粉塵付着性の評価が悪化していることがわかる。比較例3で得た成形品は、セルロース繊維(D)を含むが、イオン液体(B)及びドナー・アクセプター系化合物(C)を含まないため、表面固有抵抗率が大きく、帯電防止性に劣っていることがわかる。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、ドナー・アクセプター系化合物(C)と、セルロース繊維(D)と、相溶化樹脂(E)と、を含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂のうちの少なくとも一方であり、
    前記セルロース繊維(D)は、ナノファイバー及びマイクロファイバーを含み、
    前記ナノファイバーは、平均繊維径が3nm以上200nm以下であり、かつ、平均繊維長が100nm以上1000nm以下であり、
    前記マイクロファイバーは、平均繊維径が1μm以上50μm以下であり、かつ、平均繊維長が10μm以上400μm以下であり、
    前記相溶化樹脂(E)は、前記熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂であって、前記熱可塑性樹脂(A)と前記セルロース繊維(D)とを相溶化するための樹脂であり、
    前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、
    前記ドナー・アクセプター系化合物(C)の含有量は、0.5重量部以上3.0重量部以下であり、
    前記セルロース繊維(D)の含有量は、11.0重量部以上31.0重量部以下であり、
    前記ナノファイバーの含有量は、10重量部以上30重量部以下であり、
    前記マイクロファイバーの含有量は、1.0重量部以上10重量部以下であり、
    前記相溶化樹脂(E)の含有量は、1.0重量部以上10重量部以下である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して
    記セルロース繊維(D)の含有量は、11.0重量部以上30重量部以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. さらに、イオン液体(B)を含み、
    前記イオン液体(B)は、ホスホニウム塩である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記イオン液体(B)は、トリブチルドデシルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、及びドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムからなる群より選択される1種以上である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、前記イオン液体(B)の含有量は、0.5重量部以上3.0重量部以下である、請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ドナー・アクセプター系化合物(C)は、下記式(1)で表される化合物である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0007433548000006
  7. 前記熱可塑性樹脂(A)は、ポリプロピレン系樹脂を含み、
    前記相溶化樹脂(E)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂(A)は、スチレン系樹脂を含み、
    前記相溶化樹脂(E)は、スチレン系エラストマーを含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記熱可塑性樹脂組成物を用いて縦100mm×横100mm×厚み2mmの大きさに形成した平板片の温度23℃、相対湿度50%における表面固有抵抗率は、1.0×1012Ω/sq以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて形成された成形品。
  11. 請求項1、2、6~9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂(A)と、前記ドナー・アクセプター系化合物(C)と、前記セルロース繊維(D)と、前記相溶化樹脂(E)とを溶融混練する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  12. 請求項3~5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂(A)と、前記イオン液体(B)と、前記ドナー・アクセプター系化合物(C)と、前記セルロース繊維(D)と、前記相溶化樹脂(E)とを溶融混練する、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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