JP2017179786A - 雨水貯留槽用のブロック部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のより好適な態様の一つは、(3)C成分の官能基が、カルボン酸無水物基および/またはカルボキシル基であることを特徴とする上記構成(2)に記載の雨水貯留槽用のブロック部材である。
(A成分:官能基を有さないポリプロピレン樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリプロピレン樹脂は官能基を有さないポリプロピレン樹脂である。一般的にポリプロピレン樹脂は、プロピレンの重合体であるが、本発明のA成分として用いられるポリプロピレン樹脂は、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のA成分として用いられるポリプロピレン樹脂の例には、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。なお、「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
ポリプロピレン共重合体に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンの例には、1−ブテン、1−ペンテン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンが含まれる。
ポリプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体、またはプロピレンと1−ブテンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物は、B成分として、ガラス繊維(B−1成分)および炭素繊維(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材を含有する。
B−1成分として用いるガラス繊維としては、丸型断面を有するガラス繊維、繊維長断面の長径の平均値が7〜50μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維、ガラスミルドファイバーが好適に例示される。
B−2成分として用いる炭素繊維としては、例えば金属コートカーボンファイバー、カーボンミルドファイバー、気相成長カーボンファイバー等のカーボンファイバー、およびカーボンナノチューブ等が挙げられる。カーボンナノチューブは繊維径0.003〜0.1μm、単層、2層、および多層のいずれであってもよく、多層(いわゆるMWCNT)が好ましい。これらの中でも機械的強度に優れる点において、カーボンファイバーが好ましい。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物は、C成分として、官能基を有するオレフィン系ワックスおよびオレフィン系重合体より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することができる。このC成分の添加により、本発明の課題に挙げる低クリープ変形特性をより高次元で満足させることが可能となる。
C成分の融点は、例えば、70〜170℃程度の範囲から選択でき、好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは90〜150℃程度であってもよい。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部であり、最も好ましくは10〜20重量部である。C成分の含有量が1重量部未満では更なるクリープ変形特性の向上が不十分である場合があり、30重量部を超える場合には、耐薬品性が低下する場合がある。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材の熱安定性、光安定性、耐衝撃性、難燃性の向上のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤などが挙げられる。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には、加水分解性を促進させない程度において、リン系安定剤が配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。本発明において、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好適に用いられ、さらに加工時の熱分解による機械特性低下の抑制に優れるものとして、下記式(1)で表される(3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、および下記式(2)で表される1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンがより好適に用いられる。
リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、それぞれA成分100重量部に対し、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。かかるエポキシ化合物の添加量としては、A成分100重量部に対して0.003〜0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004〜0.15重量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物はその光安定性の改良のために、ヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。ヒンダードアミン系光安定剤は一般にHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)と呼ばれ、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を構造中に有する化合物であり、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
上記化合物の中でも、本発明において、下記式(3)で表される化合物がより好適に用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、A成分100重量部に対し、0.05〜1重量部が好ましく、0.08〜1重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.7重量部、特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が1重量部より多いとガス発生による外観不良や物性低下が起こる場合があり好ましくない。また、0.05重量部未満であると、十分な耐光性が発現しない場合がある。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には公知の衝撃改質材を配合することができる。
衝撃改質材としては、ブタジエン系熱可塑エラストマー、シリコーン系熱可塑エラストマー、スチレン系熱可塑エラストマーなどが挙げられ、中でもスチレン系熱可塑エラストマーがポリプロピレン樹脂との相溶性の面から好ましい。
本発明で衝撃改質材として用いられるスチレン系熱可塑性エラストマーは下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X−(Y−X)n …(I)
(X−Y)n …(II)
前記ブロック共重合体におけるX成分の含有量は20〜80重量%、好ましくは30〜75重量%、より好ましくは40〜70重量%の範囲にあることが望ましい。この量が20重量%未満では樹脂組成物の剛性および衝撃強度が低下し、また80重量%を超えると衝撃強度が低下する場合があるため、いずれも好ましくない。
衝撃改質材の含有量は、A成分100重量部に対し、1〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜14重量部、さらに好ましくは3〜13重量部である。衝撃改質材の含有量が1重量部より少ないと衝撃改質材としての効果が充分でなくなる場合があり、15重量部より多いとクリープ変形特性が悪化する場合がある。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には難燃剤を配合して難燃性を付与することができる。かかる難燃剤としては従来、熱可塑性樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素化ポリカーボネート化合物など)(ii)リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物など)、(iii)金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(iv)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。これらの難燃剤は単独または二種以上を併用して使用することができる。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物には、他の充填材を本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。
かかる他の充填材としてはチタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミナ繊維
、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、ワラストナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填材が挙げられる。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材に用いられる樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜B成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
本発明の雨水貯留槽用のブロック部材は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
実施例で示される樹脂組成物のペレットを90〜100℃にて6時間熱風乾燥機で乾燥した後、成形機としてシリンダ径110mmφ、型締め力15,700kNの名機製作所製M1600NS−DM射出成形機及び金型を使用し、射出成形法により図1で表されるベース部(550×550×50(mm)平均肉厚:4mm)および脚部(φ25(ベース部側)、φ20(対ベース部側)、高さ500mm、平均肉厚:4mm)で構成される雨水貯留槽用のブロック部材を作成した。成形はシリンダ温度260℃、ホットランナー設定温度260℃、金型温度は固定側、可動側ともに60℃で行った。
(i)クリープ変形特性
実施例で示される樹脂組成物のペレットから得られた雨水貯留槽用のブロック部材を図2で表されるようにベース部を底にして置き、その上にもう一つのブロック部材を脚部同士が重なるように積層した。その上に650×650×400(mm)の鋼鉄(比重約7.87、重さ1.3トン)を置き30℃ 50%RH雰囲気下で静置した。鋼鉄を置いて、100時間後の成形品の高さh1および5000時間後の高さh2より、以下の式で表されるクリープ変形特性を算出した。
実施例で示される樹脂組成物のペレットから得られた雨水貯留槽用のブロック部材に、マジックリン、バスマジックリンおよびトイレマジックリン(全て、花王(株)製)を含浸させた布をかけ、30℃ 50%RHの条件で5000時間放置した後に、外観変化の有無を確認した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観変化が見られないもの
△:微細なクラックの発生が見られるもの
×:破断にいたるような大きなクラックが見られるもの
表1および表2に示す組成で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30XSST(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は240〜260℃とした。なお、B成分の繊維状充填材を添加する場合は、上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、残りの樹脂および添加剤は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。得られたペレットを90〜100℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、上記の条件で雨水貯留槽用のブロック部材を作成した。
(A成分)
A−1:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:2.0g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーPL400A(製品名))
A−2:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:0.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVS200A(製品名))
A−3:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:10g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVS700A(製品名))
A−4:ポリプロピレン樹脂(ブロックポリマー、MFR:1.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVB370BA(製品名))
(B−1成分)
GF−1:円形断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;CSG 3PE−455(商品名)、長径13μm、カット長3mm、ウレタン系集束剤)
GF−2:円形断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;CSG 3PE−937(商品名)、長径13μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
GF−3:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;CSG 3PA−830(商品名)、長径27μm、短径4μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
(B−2成分)
CF−1:炭素繊維(東邦テナックス(株)製;HT C422、径7μm)
C−1:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学(株)製;ダイヤカルナ30M(商品名))
C−2:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(クラリアント(株)製;Licolub CE 2 TP(商品名))
IM−1:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:65wt%、MFR:0.4g/10min、(株)クラレ製 セプトン2104(製品名))
HP−1:フェノール系安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量531、BASFジャパン(株)製 Irganox 1076(製品名))
HP−2:フェノール系安定剤(3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、分子量775、BASFジャパン(株)製 Irganox 1330(製品名))
HP−3:フェノール系安定剤(1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、分子量784、BASFジャパン(株)製 Irganox 3114(製品名))
2 脚部
3 重り
h 雨水貯留槽用のブロック部材を二つ重ねた時の高さ
Claims (3)
- (A)官能基を有さないポリプロピレン樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ガラス繊維(B−1成分)および炭素繊維(B−2成分)からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材(B成分)1〜100重量部を含む強化ポリプロピレン樹脂組成物からなる雨水貯留槽用のブロック部材。
- A成分100重量部に対し、(C)官能基を有するオレフィン系ワックスおよびオレフィン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(C成分)1〜30重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の雨水貯留槽用のブロック部材。
- C成分の官能基が、カルボン酸無水物基および/またはカルボキシル基であることを特徴とする請求項2に記載の雨水貯留槽用のブロック部材。
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