JP4878895B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維やグラファイト、カーボンブラック等の炭素系導電性フィラーを配合した導電性樹脂組成物において、従来の導電性樹脂組成物に比べて、著しく導電性に優れ、また、耐熱性と流動性のバランス、耐衝撃性、引張伸度にも優れ、難燃化も容易で、さらに成形条件に左右されずに安定した導電性能を示す導電性樹脂組成物に関する。
近年、家電分野や事務機、情報機器分野において、パソコン、携帯電話、プリンターなどの電気・電子部品の構成部材には、導電性を有することに加えて、高耐熱性、高強度、また多くの場合、難燃性を有することが求められている。熱可塑性樹脂に導電性を付与する方法として、従来、炭素繊維やカーボンブラック、グラファイト等の炭素系フィラーを必要とされる導電レベルに応じて配合することが知られている。
しかし、熱可塑性樹脂にグラファイトやカーボンブラックを配合して十分な導電性を得るためには、多量に配合する必要があり、そのため機械強度や流動性、耐衝撃性等を著しく悪化させるため、好ましくなかった。一方、炭素繊維を使用した場合は、繊維を樹脂中に良好に分散させることによって、導電経路が形成されて良好な導電性が付与される反面、やはり十分な導電性を付与するためには、それなりの配合量が必要であり、そのため樹脂組成物の流動性や表面外観を悪化させ、難燃化の困難を招く等、必ずしも十分ではなかった。
ところで、熱可塑性樹脂に有機スルホン酸金属塩を配合した樹脂組成物はすでに公知である。たとえば、ポリフェニレンエーテル系樹脂にアルキルスルホン酸金属塩を添加して、ポリフェニレンエーテル系樹脂の溶融体挙動を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。一般に熱可塑性樹脂にこのようなアルキルスルホン酸金属塩を添加することにより帯電防止性能が付与されることは既に広く知られている。しかしこのような樹脂成形品は水洗することによって成形品表面にブリードしたアルキルスルホン酸金属塩が洗い流され、帯電防止性能がたやすく消失してしまうため、長期帯電防止性能の持続の点で十分ではなかったといえる。
芳香族ポリカーボネート樹脂に、無機質充填剤と有機スルホン酸金属塩を配合したポリカーボネート樹脂組成物に関する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、無機質充填剤を配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂に、難燃剤としての有機スルホン酸金属塩を微量添加して、ブロム系やリン系の難燃剤を配合することなく難燃性を付与するための技術である。
カーボンブラック等の炭素生成物の表面を有機スルホン酸金属塩で予め表面改質したものを樹脂に配合したポリマー生成物に関する技術も開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしこの技術は、炭素生成物を配合したポリマー生成物の衝撃強さや引張強度を改善するための技術である。
有機ポリマーマトリックスと、カーボンフィブリル、カーボンブラック、炭素繊維などの導電性充填材からなる樹脂組成物に、導電性向上剤としてステアリン酸金属塩などの有機イオン種を比較的少量添加する技術もまた開示されている(例えば、特許文献4)。しかし、本願に示されるような物性バランスに優れ、なおかつ著しく導電性が改良された樹脂組成物に関しては、先の特許文献には十分な開示がなされておらず、またこれらの文献を元にして本願発明を想到することは極めて困難であるといえる。
特開昭62−143967 特開2003−105184 特表2002−527564 特表2004−513216
本発明は、熱可塑性樹脂に配合する導電性フィラーの配合量を極力少なくして、なおかつ著しく良好な導電性能を付与すると同時に、成形品表面外観、耐熱性と成形流動性のバランス、耐衝撃性、引張伸度に優れ、安定した導電性能を示し、難燃化も容易な導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、環境に悪影響を及ぼさず、極力少なめの導電性フィラーの配合で熱可塑性樹脂に、従来にない良好で安定的な導電性能を発現させることを目的として鋭意検討した結果、導電助剤としてアルキルスルホン酸金属塩を用いることによって、驚くべきことに、従来の炭素系導電性フィラーのみを配合した導電性樹脂組成物に比べて導電性能が劇的に改良され、更に成形品を水洗してもアルキルスルホン酸金属塩の溶出による導電性能の低下が見られず逆に向上する傾向が見られること、成形条件等の変化による導電性能の変化のバラツキが極めて少ないこと、耐熱性と流動性のバランスが改良されること、剛性を低下させずに耐衝撃性や引張伸度等の靭性が改良されることを見出して、更に、配合する炭素系導電性フィラーとしてグラファイト単独又は、炭素繊維とグラファイトを特定の比率で併用して用いることによって、良好な導電性能、物性バランスを保持し、かつ成形体の表面外観に優れて、難燃化も容易な導電性樹脂組成物を作成することが可能であることを見出した。
即ち、本発明は、
1.ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかから選ばれる熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、グラファイト(B1)10〜90質量%と炭素繊維(B2)90〜10質量%からなる炭素系導電性フィラー(B)5〜100質量部、アルキルスルホン酸金属塩(C)1〜15質量部、前記(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して更に芳香族リン酸エステル系難燃剤、フォスファゼン系難燃剤のいずれかの難燃剤(D)5〜40質量部、を含有してなる導電性樹脂組成物、
.前記1において、前記(C)成分が、アルキル芳香族スルホン酸金属塩である、導電性樹脂組成物、
.前記において、前記(C)成分のアルキル部分が、C7〜C16成分である、導電性樹脂組成物、
.前記またはのいずれかにおいて、前記(C)成分の芳香族部分がベンゼン環である、導電性樹脂組成物、
.前記のいずれかにおいて、前記(C)成分の主成分が、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩である、導電性樹脂組成物、
.前記1〜のいずれかにおいて、前記(C)成分の金属塩が、ナトリウム塩またはリチウム塩である、導電性樹脂組成物、
.前記1〜のいずれかにおいて、前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂である、導電性樹脂組成物、
.前記1〜のいずれかにおいて、前記(A)、(B)、(C)成分の合計100質量部に、更に、芳香族リン酸エステル系難燃剤(D)5〜40質量部を含有してなる、導電性樹脂組成物、
.前記1〜のいずれかにおいて、前記(A)、(B)、(C)成分の合計100質量部に、更に、フォスファゼン系難燃剤(E)5〜40質量部を含有してなる、導電性樹脂組成物。
10.前記1〜のいずれかに記載の導電性樹脂組成物によって得られた、成形体。
を提供するものである。
本発明によって、従来の導電性樹脂組成物に比べて、著しく導電性に優れ、また、耐熱性と流動性のバランス、耐衝撃性、引張伸度にも優れ、難燃化も容易で、さらに成形条件等に左右されずに安定した導電性能を示す導電性樹脂組成物が得られた。また、本発明によって得られた樹脂組成物は、成形加工性や成形品の表面外観にも優れ、家電OA機器、事務機、情報機器分野、自動車分野等に有効に使用することができる。
本発明を更に詳細に説明する。
本発明の(A)成分の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、あるいはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン三元共重合体等の汎用樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル樹脂、あるいは飽和ポリエステル等の汎用性のエンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンあるいはポリアリレート等の特殊エンジニアリングプラスチックが挙げられる。本発明においては、これら熱可塑性樹脂の中でも、導電性改良の度合いや成形加工性、十分な難燃性付与の観点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート、飽和ポリエステル樹脂が好適に用いられ、更にはポリフェニレンエーテル系樹脂が特に好適に用いられる。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂とは、ポリフェニレンエーテル樹脂単独、または必要に応じて、ポリフェニレンエーテル樹脂にスチレン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂を配合した樹脂のことを示す。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次に示す一般式(1)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の〔a〕または〔b〕からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
Figure 0004878895
(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5 ,R6 は同時に水素ではない)
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられ、その中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
ポリフェニレンエーテル共重合体としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。
また、本発明のポリフェニレンエーテルには、本発明の主旨に反しない限り、他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。これらフェニレンエーテルユニットとしては、例えば、特開平01−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
更に例えば、その一部または全部を不飽和カルボン酸或いはその官能的誘導体で変性した官能化ポリフェニレンエーテルで置き換えることも可能である。この場合、変性は不飽和カルボン酸やその官能的誘導体の中の1種により行われても良いし、2種以上の組み合わせによって行われても良い。
本発明に用いられるポリフェニレンエーテルの固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)は0.3〜0.9の範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜0.6の範囲にあることである。十分な物性付与の観点から0.3以上が好ましく、成形加工性の観点から0.9以下が好ましい。
本発明で使用されるスチレン系樹脂とは、スチレン系化合物、スチレン系化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン系化合物とは、一般式〔2〕で表される化合物を意味する。
Figure 0004878895
(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級アルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数である。)
これらの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物と共に使用される。また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴムおよび共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはこれらの水添物あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。本発明のために特に好適なポリスチレン系樹脂はポリスチレンおよびゴム強化ポリスチレンである。
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン化合物の少なくとも1種の重合体である。その具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖状α−オレフィンや2−メチルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等の分岐状α−オレフィン等の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの中で特に好適なのは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を過半重量含む共重合体または単独重合体である。
本発明で使用されるポリカーボネートは、4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンをはじめとする4,4−ジオキシジアリルアルカン系ポリカーボネートである。本発明のために特に好適なのは4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンのポリカーボネートである。
本発明で使用される飽和ポリエステル樹脂は、公知の熱可塑性ポリエステルである。その具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
本発明の(B)成分である、炭素系導電性フィラー成分は、グラファイト(B1)単独又は、特定比率のグラファイト(B1)と炭素繊維(B2)との組み合わせからなる。具体的にはグラファイト(B1)100〜5質量%と炭素繊維0〜95質量%の範囲より、グラファイト(B1)と炭素繊維(B2)との合計量が100質量%となるような比率で選ばれる。本発明(B)成分である、炭素系導電性フィラー成分は、グラファイトを単独で用いても良いが、グラファイトと炭素繊維とをこのような特定の比率で併用した場合、導電性能が改良されるので、好ましい。
しかし、炭素繊維(B2)の比率が95質量%を上回り、グラファイト(B1)の比率が5質量%を下回る場合は、導電性能は良好である反面、引張伸度の低下や成形品表面外観の悪化が顕著になり、また難燃化も困難になる。本発明を達成するためにより好ましい比率は、グラファイト(B1)95〜5質量%と炭素繊維(B2)5〜95質量%の組み合わせの範囲から選ばれ、更に好ましくはグラファイト(B1)90〜10質量%と炭素繊維(B2)10〜90質量%の組み合わせの範囲から選ばれ、特に好ましくはグラファイト(B1)70〜30質量%と炭素繊維(B2)30〜70質量%の組み合わせの範囲から選ばれる。
本願(B)成分を構成するグラファイト(B1)は、人造品および天然品から、目的に応じて適宜選択することができる。本願で使用されるグラファイト粉末の形状は、鱗片状、塊状、球状等いずれでもよいが、より良好な導電性発現の観点から、鱗片状の天然グラファイトが最も好ましい。本願で使用されるグラファイト粉末の平均粒子径は、1〜1000μmの範囲が好ましい。より好ましくは5〜500μm、更に好ましくは10〜300μmの範囲より選ばれる。十分な導電性発現の観点から1μm以上が好ましく、取り扱い性と成形品表面外観の保持の観点から1000μm以下が好ましい。
本願(B)成分を構成する炭素繊維(B2)は、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、気相成長炭素繊維等から選ばれる。また、原糸をウレタン系あるいはエポキシ系等の収束剤で10k〜20kの本数の範囲で収束した、カット長3〜6mm程度のチョップドストランドが取り扱い性の面から好適に用いられる。繊維径は0.5〜15μmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜10μmの範囲である。また、本願の導電性樹脂組成物(成形体中)の炭素繊維の繊維長は50〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは200〜400μmの範囲である。十分な導電性能発現の観点から50μm以上が好ましく、成形品の表面外観保持と成形加工性等の観点から500μm以下が好ましい。
本願の導電性樹脂組成物には、更なる導電性付与を目的としてニッケル等の金属で被覆した炭素繊維を配合することもできる。
本願(C)成分のアルキルスルホン酸金属塩は、化学式R−SOX(R:炭素数C8〜C34のアルキル基および/またはアリール基、X:アルカリ金属またはアルカリ土類金属)で示される化合物を示す。このようなアルキルスルホン酸金属塩の中でも、導電性改良および物性改良の観点から、アルキル芳香族スルホン酸金属塩が好ましい。
アルキル芳香族スルホン酸金属塩のアルキル部分は、樹脂との混和性の観点から、炭素数C7〜C16の範囲の成分であることがより好ましく、最も好ましいのはドデシル基である。芳香族部分は、樹脂との混和性および導電性、物性改良の観点からベンゼン環であることがより好ましい。
本願のアルキルスルホン酸金属塩の金属塩部分は、具体的には、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩が挙げられる。これらの中で、導電性発現の観点から特に好ましいのは、ナトリウム塩およびリチウム塩である。
本願に用いるアルキルスルホン酸金属塩の形状は特に限定されるものではないが、取り扱い性の観点から、平均粒子径が2〜10mmのペレット形状のものが好ましい。尚、ここでいう平均粒子径とは、ペレット50個を無作為に抽出して、その最長径と最短径を測定し、各々のペレットの最長径と最短径の和を2で割った値を合計した数値を50で割って求めた値のことを示す。平均粒子径が2mm以下の粉体または顆粒状のものは、大気中の水分等で吸湿しやすく、生産条件によっては、二軸押出機等を利用した大量生産時に、吸湿したアルキルスルホン酸金属塩成分が、配合原料間に塊を生じさせたり、原料ホッパーから押出機の原料入り口までの搬送ライン間で原料のツマリによる搬送不良を引き起こす場合もある。本願において特に好ましいアルキルスルホン酸金属塩の平均粒子径は3〜7mmの範囲である。
本発明(D)成分の芳香族リン酸エステル系難燃剤は、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスフェノールホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスフォスフェート等のトリフェニル置換タイプの芳香族リン酸エステル類が特に好適に用いられ、トリフェニルホスフェートとビスフェノールAビスホスフェート がより好適に用いられる。これらは単独でも二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明(E)成分のフォスファゼン系難燃剤は、一般式〔3〕
Figure 0004878895
〔式中、XはPh(フェニル基)、又はOPh(フェニルオキシ基)を示す〕で表される構成単位を含有するものであれば特に制限されず、例えば、環状フォスファゼン化合物、鎖状フォスファゼン化合物、架橋基で架橋した架橋フォスファゼン化合物等が挙げられる。
本発明においては、より良好な難燃性付与の観点から環状フォスファゼン化合物が好ましく、より好ましくは環状フェノキシフォスファゼン化合物である。また、本発明においては成型加工性、難燃性の観点から、三量体が70質量%以上、特に好ましくは85質量%以上を含有する環状フェノキシフォスファゼン化合物であることが望ましい。
本発明の(B)成分である、グラファイト(B1)単独、又はグラファイト(B1)と炭素繊維(B2)とからなる炭素系導電性フィラー成分の配合量は、(A)成分である熱可塑性樹脂100質量部に対して、5〜100質量部の範囲から選ばれる。好ましくは10〜80質量部の範囲であり、更に好ましくは20〜60質量部の範囲である。導電性付与の観点から5質量部以上、成形品の表面外観、成型加工性の観点から100質量部以下の範囲となる。
本発明(C)成分である、アルキルスルホン酸金属塩の配合量は、(A)成分である熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部の範囲より選ばれる。好ましくは1〜10質量部の範囲であり、更に好ましくは2〜6質量部の範囲である。導電性改良および物性改良の観点から0.5質量部以上、成形品の剥離や表面外観の悪化、機械物性低下等の観点から15質量部以下の範囲となる。
本発明(D)成分である、芳香族リン酸エステル系難燃剤の配合量は、本願(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して、5〜40質量部の範囲が好ましい。より好ましくは10〜30質量部の範囲であり、更に好ましくは15〜25質量部の範囲である。十分な難燃性付与の観点から5質量部以上の配合が望ましく、耐熱性低下の観点から40質量部以下の配合が望ましい。
本発明(E)成分である、フォスファゼン系難燃剤の配合量は、本願(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して、5〜40質量部の範囲が好ましい。より好ましくは10〜35質量部の範囲であり、更に好ましくは15〜25質量部の範囲である。十分な難燃性付与の観点から5質量部以上の配合が望ましく、耐熱性低下の観点から40質量部以下の配合が望ましい。
本発明の導電性樹脂組成物において、更なる耐衝撃性の付与が必要とされる場合には、熱可塑性エラストマーを配合することができる。
本発明に使用される熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、弗素系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でスチレン系熱可塑性エラストマーが本発明では特に好適に用いられる。スチレン系熱可塑性エラストマーとは、ポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有するブロック共重合体であり、ゴム中間ブロックとしてはポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン・ブチレン)、ポリ(エチレン・プロピレン)、ビニル−ポリイソプレン等が挙げられる。ゴム中間ブロックはこれらの組み合わせであっても良い。配列様式はリニアタイプでもラジアルタイプでも良い。またポリスチレンブロックとゴム中間ブロックにより構成されるブロック構造は二型、三型、四型の何れであっても良い。本発明の目的のために特に好適なのはポリスチレン−ポリ(エチレン・ブチレン)−ポリスチレン構造で構成される三型のリニアタイプのブロック共重合体であるが、ゴム中間ブロック中に30質量%を超えない範囲でブタジエン単位が含まれたものであっても良い。
本願において、熱可塑性エラストマーの配合量は(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。より好ましくは1〜5質量部、である。耐衝撃性改良の観点から0.1質量部以上の配合が好ましく、剛性、耐熱性保持の観点から10質量部以下の配合が好ましい。
更に、本発明の導電性樹脂組成物には、必要に応じてガラス繊維、ガラスフレーク、シリカ、ワラストナイト、アルミナ、タルク、マイカ、クレー類、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機質充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤等も添加することができる。
本発明の製造方法によって製造された樹脂組成物を用いて成形体を成形する場合、特に成形法に制限は無いが、射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形など既に広く知られた成形法が好適に用いられる。
本発明について、実施例に基づき以下具体的に説明する。本発明がこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の用いる部は質量部である。
実施例および比較例中の各測定値は以下の方法によって求めた。
(1)荷重たわみ温度(HDT)
ASTM D−648に準拠し、厚み0.64cm、荷重18.6kg/cmで測定した。
(2)流動性(MI)
(株)東洋精機製作所製メルトインデクサーP−111を用いて、250℃、10kg荷重にてメルトインデックスを測定した。
(3)引張伸度
ASTMのD−638に定められた形状の引張試験片(形式I)を用いて、チャック間距離115mm、標点間距離50mm、引張試験速度5mm/minの条件で引張試験を行い、引張伸度(破壊時歪%)を測定した。
(4)ノッチ付きアイゾッド衝撃値(耐衝撃性)
ASTMのD−256に基づき23℃にて測定した。
(5)曲げ強度、曲げ弾性率
ASTMのD−790による曲げ試験法に基づいて三点曲げ試験を23゜Cで測定した。
(6)成形片剥離
ASTMに定められた形状の引張試験片(形状I)を用いて、折り曲げ試験を行い、引っ張り試験片の表層剥離の有無を目視で判定した。判定は、折り曲げ試験によって表層剥離が認められないものを○とし、認められたものを×とした。
(7)表面外観
50mm×90mm×2.5mm(厚み)の平板試験片の表面外観を目視で観察し、判定を行った。判定は、導電性フィラー成分の試験片表層への浮きが目立ち難く、平滑で外観良好なものを○、導電性フィラー成分の試験片表層への浮きが目立ち、明らかに外観不良と判断されるものを×とした。
(8)導電性(表面抵抗値)
50mm×90mm×2.5mm(厚み)の平板成形片を用いて、前記成形片の90mm辺の両端から20mmの所に、それぞれの線が平行になるように幅1〜2mmの銀線を、銀ペーストを用いて引き、10時間放置後、23℃で、カスタム社製電気テスターM−02を用いて表面抵抗値の測定を行った。水洗後の表面抵抗値の測定は、上記で作成した試験片を超音波洗浄機で3分間洗浄したのち、ペーパータオルで水滴を拭き取り、23℃で3時間放置した後、上記と同様な方法で測定を行った。
(9)難燃性
1.6mm厚みの試験片を用いて、UL−94試験法に基づいて測定した。
実施例および比較例に使用した原材料を以下に示す。
原材料1 熱可塑性樹脂(A)
(A−1)固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)が0.43dl/gの、ポリマー片末端鎖がフェノール性水酸基を有するポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
(A−2)住友ダウ社製のポリカーボネート(商品名:カリバー301−10)
(A−3)帝人化成社製のPC/ABS(商品名:マルチロンT−3011)
(A−4)住友ダウ社製のPC/PET(商品名:SDポリカCR−3241)
(A−5)旭化成ケミカルズ社製のハイインパクトポリスチレン(商品名:H9405)
(A−6)旭化成ケミカルズ社製のゼネラルパーパスポリスチレン(商品名:685)
(A−7)旭化成ケミカルズ社製のスチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂(商品名:T9701、AN約9wt%)
(A−8)日本ポリプロピレン社製のポリプロピレン(商品名:SA510)
原材料2 炭素系導電性フィラー(B)
(B−1)日本黒鉛工業社製の平均粒子径130μmの鱗片状グラファイト粉末(商品名:F♯2)
(B−2)東レ社製の炭素繊維チョップドストランド(商品名:トレカTS12−006−C) 繊維径7μm
原材料3 アルキルスルホン酸金属塩(C)
(C−1)日本油脂社製のアルキルスルホン酸ナトリウム(商品名:エレガンA2000SP)平均粒子径約5mm
(C−2)竹本油脂社製のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:AKS−518−2M)平均粒子径約5mm
(C−3)竹本油脂社製のドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(商品名:AKS−533)液状
原材料4 芳香族リン酸エステル系難燃剤(D)
(D−1)大八化学社製のビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(商品名:CR741)
原材料5 フォスファゼン系難燃剤(E)
(E−1)下記化学式〔4〕において、
Figure 0004878895
n=3が93.6質量%、n=4が4.0質量%、n≧5が2.4質量%であるフェノキシフォスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7質量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm
原材料6 熱可塑性エラストマー(F)
(F−1)旭化成ケミカルズ社製の水添スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:タフテックH1043)
[実施例1]
ポリフェニレンエーテル(A−1)34部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)20部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)13部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)1部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)12部とを、ZSK25二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数10)の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部を押出機溶融混練ゾーン途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−1に示す。
[実施例2]
実施例1のゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)13部の内の2部を、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)に置き換えて、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)の配合量を3部にした以外は、実施例1を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−1に示す。
[実施例3]
実施例1のゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)13部の内の4部を、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)に置き換えて、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)の配合量を5部にした以外は、実施例1を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−1に示す。
[実施例4]
ポリフェニレンエーテル(A−1)34部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)17部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)8部、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂(A−7)7部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)12部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−1に示す。
[実施例5]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)16部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)11部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)5部および炭素繊維(B−2)25部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−2に示す。
[実施例6]
実施例5のグラファイト(B−1)の配合量を5部から25部に増やし、逆に炭素繊維(B−2)の配合量を25部から5部に減らした以外は、実施例5の操作を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−2に示す。
[実施例7]
実施例5のグラファイト(B−1)の配合量を5部から15部に増やし、炭素繊維(B−2)の配合量を25部から15部に減らした以外は、実施例5の操作を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−2に示す。
[実施例8]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)18部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)9部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)30部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−2に示す。
[実施例9]
実施例1のアルキルスルホン酸金属塩(C−2)1部を、(C−1)1部に替えた以外は実施例1の操作を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−3に示す。
[実施例10]
実施例1のアルキルスルホン酸金属塩(C−2)1部を、(C−3)1部に替えた以外は実施例1の操作を繰り返して、導電性樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−3に示す。
[実施例11]
ポリフェニレンエーテル(A−1)45部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)14部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)7部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードし、更に、芳香族リン酸エステル系難燃剤(D−1)12部をバレル9から液添して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−3に示す。
[実施例12]
ポリフェニレンエーテル(A−1)34部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)20部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)9部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)12部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部、東邦テナックス社製のニッケルコート炭素繊維(商品名:ベスファイトMC−HTA−C6−US)3部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−3に示す。
[実施例13]
ポリフェニレンエーテル(A−1)15部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)17部、熱可塑性エラストマー(F−1)6部、ポリプロピレン(A−8)40部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−4に示す。
[実施例14]
ポリカーボネート(A−2)78部を、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−4に示す。
[実施例15]
PC/ABS(A−3)78部を、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−4に示す。
[実施例16]
PC/PET(A−4)78部を、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)2部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−4に示す。
[比較例1]
実施例1のアルキルスルホン酸金属塩(C−2)1部を抜き、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)の配合量を14部にした以外は、実施例1の操作を繰り返して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果を表−5に示す。
[比較例2]
比較例1のゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)14部を4部に減らし、替わりにアルキルスルホン酸金属塩(C−2)を10部配合した以外は、実施例1の操作を繰り返して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性試験結果を表−5に示す。
[比較例3]
ポリフェニレンエーテル(A−1)34部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)20部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)13部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、炭素繊維(B−2)20部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−5に示す。
[比較例4]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)16部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)11部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、炭素繊維(B−2)30部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−5に示す。
[比較例5]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)18部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)13部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)9部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)30部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−6に示す。
[比較例6]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)16部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)10部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)11部、デグサエンジニアードカーボン社製のカーボンブラック(商品名:N990)30部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−6に示す。
[比較例7]
ポリフェニレンエーテル(A−1)30部、ハイインパクトポリスチレン(A−5)16部、ゼネラルパーパスポリスチレン(A−6)13部、アルキルスルホン酸金属塩(C−2)3部、フォスファゼン系難燃剤(E−1)11部、デグサエンジニアードカーボン社製のカーボンブラック(商品名:N990)20部とを、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、炭素繊維(B−2)10部を押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−6に示す。
[比較例8]
実施例10のアルキルスルホン酸金属塩を、日本油脂社製のステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレートS)に置き換えた以外は、実施例10の操作を繰り返して樹脂組成物を得た。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−6に示す。
[比較例9]
ポリカーボネート(A−2)80部を、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−7に示す。
[比較例10]
PC/ABS(A−3)80部を、実施例1のZSK25二軸押出機の駆動部側供給口(トップフィード口)から押出機に供給し、グラファイト(B−1)10部および炭素繊維(B−2)10部とを押出機溶融混練ゾーンの途中のバレル6からサイドフィードして、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmで押出した。得られた導電性樹脂組成物の物性試験結果を表−7に示す。
Figure 0004878895
Figure 0004878895
Figure 0004878895
Figure 0004878895
Figure 0004878895
Figure 0004878895
Figure 0004878895
本発明によって、導電性が従来のものに比べて著しく改善され、成形条件等の変化による導電性能のバラツキも極めて少なく、成形体の表面外観や、耐熱性と流動性のバランス、剛性、耐衝撃性等に優れ、難燃化も容易な導電性樹脂組成物を提供することが可能となった。家電OA機器、事務機、情報・通信機器、電気電子部品、ゲーム機器、自動車部品等に広く用いることができる。例えば、テレビハウジング、テレビシャーシ、デフレクションヨーク等のテレビ部品、ACアダプター、電源ボックス、エアコン部品、オーディオ部品、照明カバー、TVゲーム機部品、モニターハウジング、モニターシャーシ、ノート型PCハウジング、ノート型PCバッテリー、MDシャーシ類、DVDシャーシ類、車載用CDチェンジャートレー、車載用DVDデッキフレーム、モーターカバー、ギアボックス、液晶プロジェクターハウジング、PDAハウジング、アンテナカバー、プリンターハウジング、プリンターシャーシ、プリンター光学箱、トナーカートリッジ、インクタンク、給紙用トレー、スキャナーハウジング、スキャナーフレーム、携帯電話ハウジング、携帯電話バッテリー等の家電OA機器や電気電子部品、ポンプハウジング、空気清浄機部品、パイプ類、遮音壁、窓枠、サッシ、信号機部品、パチンコ部品、おもちゃ類、スポーツ用品、公園遊具、釣具、機械カバー、デジタルカメラ周辺部品、フラッシュメモリーカード部品等の情報通信機器、インストルメントパネル、センタークラスター、メータークラスター、グローブボックス、デフロスターガーニッシュ、エアーダクト、ヒーターコントロール、ステアリングコラムカバー、ニーボルスター、エアーデフロスター、ドアトリム、サンシェード、ルーフライナー、リアパーセルシェルフ、ピラーカバー、ピラーインパクトアブソーバー、ボンネットエアスコープ、ラジエターグリル、ヘッドランプ部品、シグナルランプ部品、フォグランプ部品、バンパー、ヘッドランプフィニッシャー、ライセンスプレートフィニシャー、フェンダー、ドアミラー、ドアパネル、リアクオーターパネル、リアコンビネーションランプ部品、テールゲートパネル、ラゲッジルームトリム、ホイールカバー、サイドリアカバー、センターキャップ、スポイラー、リアフィニシャー、バッテリートレイ、バッテリーハウジング、フロントエンドモジュール等の自動車部品の用途等が挙げられる。

Claims (7)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかから選ばれる熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、グラファイト(B1)10〜90質量%と炭素繊維(B2)90〜10質量%からなる炭素系導電性フィラー(B)5〜100質量部、アルキルスルホン酸金属塩(C)1〜15質量部、前記(A)、(B)、(C)成分の合計量100質量部に対して更に芳香族リン酸エステル系難燃剤、フォスファゼン系難燃剤のいずれかの難燃剤(D)5〜40質量部、を含有してなる導電性樹脂組成物。
  2. 前記(C)成分が、アルキル芳香族スルホン酸金属塩である、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分のアルキル部分が、C7〜C16成分である、請求項に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分の芳香族部分がベンゼン環である、請求項2または3に記載の導電性樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分の主成分が、ドデシルベンゼンスルホン酸金属塩である、請求項2〜4のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分の金属塩が、ナトリウム塩またはリチウム塩である、請求項1〜のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の導電性樹脂組成物によって得られた、成形体。
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