JP2008195801A - 樹脂組成物及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性が同時に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂45〜95重量部、(b)分散相を形成するポリフェニレンエーテル系樹脂55〜5重量部と、(a)成分(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を、水素添加してなる水添ブロック共重合体5〜30重量部、さらに(d)平均直径が3〜20μmである繊維状無機フィラー及び(e)平均フレーク径が10〜700μmである板状無機フィラーからなり、(d)成分と(e)成分の合計が50〜140重量部であり、且つその重量比が70/30〜30/70からなる樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野で利用できる耐油性、耐薬品性、耐熱性、剛性、成形加工性に優れた樹脂組成物に関し、さらには成形品の反り及び成形サイクルを改良した樹脂組成物及びその製法に関するものである。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、優れた難燃性、耐熱性、寸法安定性、非吸水性及び電気特性に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られているが、溶融流動性が悪く成形加工性に劣り、かつ、耐溶剤性、耐衝撃性に劣る欠点がある。一方、ポリオレフィン樹脂は、低比重で安価なプラスチックであり、耐薬品性、耐溶剤性、成形加工性などに優れるため自動車部品や電気・電子機器部品及び家庭用電気製品などの各種分野に使用されている。そこで、この両樹脂を混ぜ合わせ、互いの短所を補い、長所を引き出すことにより、成形性、耐熱性、難燃性に優れた樹脂組成物が得られることが予測され、利用分野の広い優れた樹脂材料が期待できる。
このため、このポリオレフィン/ポリフェニレンエーテル系ポリマーアロイに関して数多くの提案がなされている。例えば、ポリフェニレンエーテルをポリオレフィンとブレンドすることにより、耐溶剤性、耐衝撃性を改良する提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエーテル及びスチレン系樹脂を水添ブロック共重合体とブレンドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関する記載があり(例えば、特許文献2参照)、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエーテル及びスチレン系樹脂をポリオレフィン/水添ブロック共重合体=20〜80重量部/80〜20重量部からなる予備混合物及び水添ブロック共重合体とブレンドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関する記載がある(例えば、特許文献3参照)。
さらに、ポリフェニレンエーテルを水添ブロック共重合体及びポリオレフィンとブレンドすることによる耐衝撃性の改良が記載されている(例えば、特許文献4〜5参照)。そして、ポリフェニレンエーテルをポリオレフィン及び水添ブロック共重合体とブレンドすることにより耐衝撃性を改良するという記載がなされている(例えば、特許文献6〜7参照)。
また、ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなる樹脂組成物の改質に特定の水添ブロック共重合体を配合し、耐薬品性、加工性に優れた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献8〜13参照)。
また、本出願人は、ポリフェニレンエーテルとポリオレフィン及び特定の水添ブロック共重合体からなる相溶性、剛性と耐熱性に優れ、耐溶剤性に優れた樹脂組成物を提案した(例えば、特許文献14〜21参照)。
さらにまた、ポリフェニレンエーテルとポリオレフィン及び水添ブロック共重合体またはゴム状重合体からなる、機械的物性、特に衝撃強度と剛性のバランスに優れた樹脂組成物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献22〜23参照)。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン系の相溶性が良好で、優れた機械特性、特に耐衝撃性を有する樹脂組成物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献24参照)。そして、より高い耐熱性及び寸法精度の要求に対しては、繊維状、板状及び粒状の無機フィラーを少なくとも1種以上添加することが提案されている(例えば、特許文献25〜27参照)。
米国特許第3361851号明細書 米国特許第3994856号明細書 米国特許第4145377号明細書 米国特許第4166055号明細書 米国特許第4239673号明細書 米国特許第4383082号明細書 ヨーロッパ公開特許第115712号明細書 特開昭63−113058号公報 特開昭63−225642号公報 米国特許第4863997号明細書 特開平3−72512号公報 特開平4−183748号公報 特開平5−320471号公報 特開平2−225563号公報 特開平3−185058号公報 特開平5−70679号公報 特開平5−295184号公報 特開平6−9828号公報 特開平6−16924号公報 特開平6−57130号公報 特開平6−136202号公報 特開平4−28739号公報 特開平4−28740号公報 特開平7−166026号公報 特開平7−90183号公報 特開2000−119454号公報 特開2005−105037号公報
上記の先行技術で特許文献26、特許文献27にはポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテルと芳香族ビニル化合物重合体とから実質的になる樹脂組成物と、オレフィン系樹脂及び水添ブロック共重合体またはゴム状重合体、さらに無機フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかし、ポリプロピレン系樹脂組成物の場合、その成形品は反り、変形が発生しやすく、反りを抑えるには金型冷却時間を長くする等の必要があるため成形サイクルが長くなる、という欠点がある。上記の熱可塑性樹脂組成物においては、組成物中に含まれるポリオレフィン系樹脂の含有量が増えると、その改良効果は必ずしも十分ではない。本発明の目的は、従来提案されている上記の熱可塑性樹脂組成物では改善できなかった成形品の反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性が同時に優れる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、このような現状に鑑み、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂、混和剤としての水添ブロック共重合体、繊維状、板状の無機フィラーからなる樹脂組成物に高いレベルの剛性、耐熱性を付与させるため、鋭意検討を進め、特定の繊維状、板状の無機フィラーを併用し、かつ使用する繊維状、板状無機フィラーの重量比を特定することにより、従来の技術では達成できなかった、反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性が同時に優れた樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に記載する樹脂組成物、その製造方法及びこれを用いた容器に関するものである。
[1] (a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂45〜95重量部、(b)分散相を形成するポリフェニレンエーテル系樹脂55〜5重量部と、(a)成分(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を、水素添加してなる水添ブロック共重合体5〜30重量部、さらに(d)平均直径が3〜20μmである繊維状無機フィラー及び(e)平均フレーク径が10〜700μmである板状無機フィラーからなり、(d)成分と(e)成分の合計が50〜140重量部であり、且つその重量比が70/30〜30/70からなる樹脂組成物、
[2](a)成分のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重21.2N)が0.1〜30g/10分であることを特徴とする[1]記載の樹脂組成物、
[3] ポリプロピレン系樹脂が、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体と反応させることにより得られる変性ポリプロピレン系樹脂である[1]または[2]記載の樹脂組成物、
[4] (c)成分がスチレン重合体ブロック(A)とブタジエン重合体ブロック(B)とからなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物であり、且つブタジエン重合体ブロック(B)の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が65〜90%であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[5] (d)成分がガラス繊維であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[6] (e)成分がマイカ、ガラスフレーク、グラファイト及びタルクの中から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[7] 変性ポリプロピレン系樹脂が無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする[2]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物、
[8] (b)成分の全量及び(a)成分、(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して、(a)成分、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法、
[9] (b)成分の全量及び(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して、(a)成分の全量、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法、
[10] [8]〜[9]のいずれか1項に記載された製造方法で得られる樹脂組成物、
[11] [1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて成形された耐水蒸気透過性を有する容器。
本発明の樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、水添ブロック共重合体、繊維状無機フィラー及び板状無機フィラーで構成され、使用する繊維状無機フィラー及び板状無機フィラーの配合量、重量比を特定することにより、従来技術では得ることが困難であった、反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性のバランスに優れた樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体を提供することができる。
本発明の樹脂組成物のマトリックスを形成している(a)成分として用いるポリプロピレン系樹脂としては、結晶性プロピレンホモポリマー又は重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と重合の第二工程以降でプロピレン、エチレン及び/もしくは少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましく、さらにこれら結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の混合物であってもかまわない。かかるポリプロピレン系樹脂は、通常、三塩化チタン触媒または塩化マグネシウムなどの担体に担持したハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物の存在下に、重合温度0〜100℃の範囲で、重合圧力3〜100気圧の範囲で重合して得られる。
この際、重合体の分子量を調整するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能であり、また重合方法としてバッチ式、連続式いずれの方法でも可能で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒下での溶液重合、スラリー重合等の方法も選択でき、さらには無溶媒下モノマー中での塊状重合、ガス状モノマー中での気相重合方法などが適用できる。また、さらには、上記した重合触媒の他に得られるポリプロピレンのアイソタクティシティ及び重合活性を高めるため、第三成分として電子供与性化合物を内部ドナー成分または外部ドナー成分として用いることができ、これらの電子供与性化合物としては公知のものが使用できる。
例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチルなどのエステル化合物、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸エステル、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのリン酸誘導体などや、アルコキシエステル化合物、芳香族モノカルボン酸エステル及び/または芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭化水素アルコキシシラン、各種エーテル化合物、各種アルコール類及び/または各種フェノール類などが挙げられる。
本発明で供するポリプロピレン系樹脂は上記した方法で得られるものであれば、いかなる結晶性や融点を有するものでも単独でも併用でも用いることができる。また、このポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重21.2N)は、0.01〜300g/10分が好ましく、より好ましくは0.1〜100g/10分、特に好ましくは0.1〜30g/10分の範囲である。また、これらの範囲のMFRであれば、単独でも、併用しても用いることができる。
さらに、後述するフィラーと上記したポリプロピレン系樹脂との密着性を改善する目的で、上記のポリプロピレン系樹脂のほかに、該ポリプロピレン系樹脂とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態で30〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)ポリプロピレン系樹脂を用いてもよく、さらに上記したポリプロピレン系樹脂と該変性ポリプロピレン系樹脂の任意の割合の混合物であってもかまわない。
本発明で用いる(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、単にPPEと略記)は、下記式(1)で示される繰返し単位構造からなるホモ重合体及び/または共重合体である。そしてその還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)は、0.15〜2.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.30〜2.00、更に好ましくは0.35〜2.00の範囲である。ポリフェニレンエーテル系樹脂は、それ自体公知の化合物である。
Figure 2008195801
(ここで、R,R,R,及びRはそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい)
このPPEの具体的な例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるPPEの製造方法は公知のものであれば特に限定されるものではない。例えば、米国特許第3306874号記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306875号、同第3257357号及び同第3257358号、特公昭52−17880号及び特開昭50−51197号及び同63−152628号公報等に記載された方法で容易に製造できる。
また、本発明で用いるPPEは、上記したPPEのほかに、該PPEとスチレン系モノマーまたはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該スチレン系モノマーまたはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)PPEであってもよく、さらに上記したPPEと該変性PPEの任意の割合の混合物であってもかまわない。また、本発明で用いるPPEは上記したPPEのほかに、これらPPE100重量部に対してポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレンまたはハイインパクトポリスチレンを400重量部を超えない範囲で加えたものも好適に用いることができる。
次に本発明で(c)成分として用いることができる水添ブロック共重合体は、(a)成分のポリプロピレン系樹脂と(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂の混和剤及び耐衝撃性付与剤として作用し、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体をかかる共役ジエン化合物に由来する二重結合の50%以上を水素添加反応してなる水添ブロック共重合体である。
例えばA−B、A−B−A、B−A−B−A、(A−B−)Si、A−B−A−B−A等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物である。
この(c)成分の水添ブロック共重合体は、その水素添加する前のブロック共重合体が結合したビニル芳香族化合物を20〜95重量%、さらに好ましくは30〜80重量%含む。またブロック構造に言及すると、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAが、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロックまたは、ビニル芳香族化合物を50重量%を超え好ましくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、そしてさらに共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロックまたは、共役ジエン化合物を50重量%を超え好ましくは70重量%以上含有する共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックの構造を有するものである。
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせで成っていてもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA及び該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
このブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
そして共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)は1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量(以下ビニル結合量と略す)が混和性の観点から、45〜90%、好ましくは50〜85%である。ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいてはビニル結合量が65〜90%であることが好ましく、さらにその場合ビニル芳香族化合物がスチレンであることが好ましい。かかる全ビニル結合量が45%未満であると得られる樹脂組成物に分散するポリフェニレンエーテル系樹脂の分散性が悪化し好ましくない。全ビニル結合量が90%を超えてもポリフェニレンエーテル系樹脂の分散性の改良は顕著でない。これらの共役ジエン化合物の結合形態は通常、赤外分光光度計やNMR等で知ることができる。
また、上記の構造を有するブロック共重合体の数平均分子量は5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜800,000、さらに好ましくは30,000〜500,000の範囲であり、分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〕は10以下である。さらに、このブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
このような構造を持つブロック共重合体は、上記したブロック共重合体の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの脂肪族系二重結合を水素添加した水添ブロック共重合体として本発明の(c)成分として用いることができる。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率は50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。この水素添加率は通常、赤外分光光度計やNMR等によって知ることができる。
これらの上記した(c)成分の水添ブロック共重合体は、上記した構造を有するものであればどのような製造方法で得られるものであってもかまわない。公知の製造方法の例としては、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218、英国特許第1130770号及び米国特許第3281383号及び同第3639517号に記載された方法や英国特許第1020720号及び米国特許第3333024号及び同第4501857号に記載された方法がある。
また、本発明で用いる(c)成分の水添ブロック共重合体は、上記した水添ブロック共重合体のほかに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物)とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる変性水添ブロック共重合体であってもよく、この場合、該α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10重量%の割合で水添ブロック共重合体にグラフト又は付加していることが好ましい。さらに上述の水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共重合体との任意の割合の混合物であってもよい。
次に本発明の(d)成分として用いる繊維状無機フィラーの形状には制約はなく公知の繊維状無機フィラーを使用できる。また、使用する本発明(d)成分に合わせた表面処理、例えばシラン系やチタネート系等の種々のカップリング剤や集束剤としてエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等で処理を施したものを用いることが好ましい。
繊維状無機フィラーの一例として、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム等のウイスカー類、ワラストナイト等が挙げられる。これらの繊維状無機フィラーはその補強効果の観点から、繊維の平均直径は3〜20μmで、より好ましくは5〜20μmである。
次に本発明の(e)成分の板状無機フィラーの一例としては、ガラスフレーク、マイカ、タルク、グラファイト等が挙げられる。これらの板状無機フィラーは、反りと補強効果の観点から、平均フレーク径は10〜700μmであり、より好ましくは80〜680μm、特に好ましくは100〜680μmである。また、板状無機フィラーは、上記した繊維状無機フィラーとの相乗効果によって、本発明の樹脂組成物に優れた反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性を付与する。
本発明の樹脂組成物は、上記した(a)成分〜(e)成分を基本成分として構成される。本発明において(a)成分の配合量は、マトリックスがポリプロピレン系樹脂となり、流動性、耐溶剤性及び耐熱性の観点から、45〜95重量部である。次に(b)成分の配合量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂が分散相を形成し、流動性、耐溶剤性及び耐熱性の観点から、55〜5重量部である。
次に、(c)成分の配合量は(a)成分、(b)成分100重量部に対して耐衝撃性付与及び耐熱性、耐溶剤性、剛性及び機械的強度の観点から、5〜30重量部である。
次に(d)成分と(e)成分の合計の配合量は(a)成分と(b)成分100重量部に対し成形品の反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性の観点から、50〜140重量部で、かつその重量比(d)/(e)が70/30〜30/70、好ましくは65/35〜35/65、より好ましくは60/40〜40/60の範囲より選ばれる。(d)成分と(e)成分の重量比が上記の範囲以外の場合、例えば(e)成分が多く(d)成分が少ない場合は、反り及び成形サイクルには優れるが、補強効果及び耐熱性が低下する。また、(d)成分が多く、(e)成分が少ない場合、反りの改良効果が低下し好ましくない。
本発明では、上記の成分の他に本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の付加的成分、例えば、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体やオレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
本発明の樹脂組成物は、種々の溶融混機及び混練押出機を用いて製造することができ、これらの方法を行う溶融混練機として例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。具体的には、WERNER&PFLEIDERER社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられる。
押出機を用いた本発明の好ましい態様を以下に述べる。押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は20以上75以下の範囲であり、好ましくは30以上60以下の範囲である。押出機は原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2原料供給口を設け、さらにその下流に第2真空ベントを設けたものや、上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2、第3原料供給口を設け、さらにその下流に第2真空ベントを設けたものが好ましい。中でも、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、また第2原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものや、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、さらに第2原料供給口と第3原料供給口にニーディングセクションを設け、第2原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。第2、第3原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されるものでは無いが、押出機第2、第3供給口開放口よりの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方が安定で好ましい。
特に本発明の樹脂組成物のように、粉体、フィラー等が含まれる場合は、押出機サイドから供給する強制サイドフィーダーの方がより好ましく、押出機第2、第3供給口の上部開放口は同搬する空気を抜くため開放とすることもできる。この際の溶融混練温度、スクリュー回転数は特に限定されるものではないが、通常溶融混練温度200〜370℃、スクリュー回転数100〜1200rpmの中から任意に選ぶことができる。
本発明の特に好ましい製造方法は、上記した(b)成分の全量、及び(a)成分、(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して(a)成分、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法や、(b)成分の全量及び(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して(a)成分の全量、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練を続ける方法である。これらの製法によって、得られる樹脂組成物は(a)成分中に(b)成分、(c)成分の混合物と(d)成分、(e)成分が各々優れた分散形態を得ることができ、(d)成分、(e)成分の溶融混練中の破砕を最小限に抑えることで、成形品の反り、剛性及び耐熱性が同時に優れる樹脂組成物を得ることが出来る。
より具体的な製造方法は、二軸押出機の第1原料供給口より(b)成分の全量と(a)成分45〜95重量%の一部あるいは全量、好ましくは全(a)成分配合量の5〜100重量%と、(a)成分、(b)成分の合計100重量部に対して、(c)成分5〜30重量部の一部あるいは全量、好ましくは全(c)成分配合量の30〜100重量%を供給して、これらの(a)成分、(b)成分、(c)成分の溶融混練状態下に、第2原料供給口より(a)成分、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分の全量を強制サイドフィーダーを用いて供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法である。
また、二軸押出機の第1原料供給口より(b)成分の全量と(a)成分45〜95重量%の一部あるいは全量、好ましくは全(a)成分配合量の5〜100重量%と、(a)成分、(b)成分の合計100重量部に対して、(c)成分5〜30重量部の一部あるいは全量、好ましくは全(c)成分配合量の30〜100重量%を供給して、これらの(a)成分、(b)成分、(c)成分の溶融混練状態下に、第2原料供給口より(a)成分、(c)成分の残量及び(e)成分、第3原料供給口より(d)成分の全量を強制サイドフィーダーを用いて供給し、さらに溶融混練を続けて行う方法がある。これらの製造方法より得られる樹脂組成物は(a)成分中に(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分が各々優れた均一分散形態を得ることができ、さらに(e)成分の添加効果を最も顕著に発現させ、(d)成分の溶融混練中の破砕を最小限に抑えることができる。この様な製法を取ることは、成形品の反り、剛性及び耐熱性が同時に優れる樹脂組成物を得るにあたり、非常に重要である。
一方、(a)〜(e)成分全てを第1原料供給口より供給した場合の得られる樹脂組成物の成形品は、反り、剛性及び耐熱性において不十分である。
このようにして得られる本発明の樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形により各種部品の成形体として成形できる。これら各種部品としては、例えば自動車部品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品、さらに自動車、電気自動車及びハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品に適している。
また、電気機器の内外装部品としても好適に使用でき、具体的には各種コンピューター及びその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシ、冷蔵庫、エアコン、液晶プロジェクター、工業用部品用途では各種ポンプケーシング、ボイラーケーシング等の部品用途に適している。
本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、これらの実施例により限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で用いた原料成分について述べる。
<原料成分>
(a)成分:ポリプロピレン系樹脂
(a−1) プロピレンホモポリマー 融点=167℃、MFR=6
(a−2) プロピレンホモポリマー 融点=168℃、MFR=2.8
(a−3) プロピレンコポリマー 融点=170℃、MFR=2.5
(a−4) 無水マレイン酸変性ポリプロピレン 融点=163℃、MFR=100
ポリプロピレンのMFRはASTM D−1238に準拠し、230℃、21.2Nの荷重で測定した。
(b)成分:PPE
2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.43のPPE
(c)成分:水添ブロック共重合体
ポリスチレン(1)−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン(2)の構造を有し、結合スチレン量43%、数平均分子量95,000、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量80%、ポリスチレン(1)の数平均分子量30,000、ポリスチレン(2)の数平均分子量10,000、ポリブタジエン部水素添加率99.9%のスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物
(d)成分:繊維状無機フィラー
(d−1) 平均直径13μ、チョップ長3.5mmのガラス繊維
(d−2) 直径0.5〜1.0μm、繊維長10〜30μmの塩基性硫酸マグネシウム無機繊維
(e)成分:板状無機フィラー
(e−1) 平均フレーク径280μmのマイカ
(e−2) 平均フレーク径130μmのグラファイト
(e−3) 平均フレーク径130μmのガラスフレーク
(e−4) 平均フレーク径650μmのマイカ
(e−5) 平均フレーク径5μmのグラファイト
[実施例1〜10及び比較例1〜4]
二軸押出機ZSK−25(WERNER&PFLEIDERER社製)を用い、原料の流れ方向に対し上流側に第1原料供給口、これより下流に第2原料供給口を設け、さらにその下流に真空ベントを設けた。また、第2供給口への原材料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する。上記のように設定した押出機を用い、(a)ポリプロピレン、(b)ポリフェニレンエーテル、(c)混和剤としての水添ブロック共重合体、(d)繊維状無機フィラー、(e)板状無機フィラーを表1に示した組成で配合し、押出温度270〜320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量12kg/時間の条件にて溶融混練し、ペレットとして得た。
また、上記で得た樹脂ペレットを用いて240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で、曲げ弾性率測定用テストピース及び荷重たわみ温度測定用テストピースを射出成形し、ギアーオーブンを用い80℃の環境下に24時間静置し、熱履歴処理を行った。反りの測定用成形品は、樹脂ペレットを190〜270℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度40℃の条件で、長さ100mm×幅75mm×高さ42mmの箱型の成形品を成形した。また、箱型の成形品の金型冷却時間は10秒、30秒、60秒とした。
次に、これらのテストピースを用いて、曲げ弾性率(ASTM D−790)及び荷重たわみ温度(ASTM D−648)を測定した。反りは各々の冷却時間における箱型成形品を、温度23℃、湿度50%の条件下で24時間静置させ、内反りの最大変位を測定し、これを反り量とした。
成形サイクルは、得られる成形品の反り量が0.60mm以下になるまでに要する金型冷却時間を指標とし、次の3段階の評価を行った。
◎:冷却時間30秒以下
○:冷却時間31〜60秒以下
×:冷却時間61秒以上
耐水蒸気透過性(JIS K7129)は、射出成形によって得られた厚さ1mmの平板を用い、40℃の水蒸気透過度試験より、水蒸気透過度〔g/(m・24Hr)〕を測定した。
また総合評価として、反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性のバランスを比較し、バランスの良い場合を○、悪い場合を×として評価した。
以上の結果を併せて表1に載せた。表1より、本発明の樹脂組成物は、繊維状、板状無機フィラーを併用することにより、反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性が同時に優れるが、本発明の組成が範囲外である場合、反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性を同時に改良する事が出来ないことが明らかになった。
Figure 2008195801
本発明で得られた樹脂組成物及び該樹脂組成物は、成形品の反り、成形サイクル、剛性、耐熱性及び耐水蒸気透過性が同時に優れるため、これらの特性が要求される用途に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. (a)マトリックス相を形成するポリプロピレン系樹脂45〜95重量部、(b)分散相を形成するポリフェニレンエーテル系樹脂55〜5重量部と、(a)成分(b)成分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を、水素添加してなる水添ブロック共重合体5〜30重量部、さらに(d)平均直径が3〜20μmである繊維状無機フィラー及び(e)平均フレーク径が10〜700μmである板状無機フィラーからなり、(d)成分と(e)成分の合計が50〜140重量部であり、且つその重量比が70/30〜30/70からなる樹脂組成物。
  2. (a)成分のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重21.2N)が0.1〜30g/10分であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリプロピレン系樹脂が、α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体と反応させることにより得られる変性ポリプロピレン系樹脂である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. (c)成分がスチレン重合体ブロック(A)とブタジエン重合体ブロック(B)とからなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物であり、且つブタジエン重合体ブロック(B)の1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合量の合計量が65〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. (d)成分がガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. (e)成分がマイカ、ガラスフレーク、グラファイト及びタルクの中から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 変性ポリプロピレン系樹脂が無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (b)成分の全量及び(a)成分、(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して、(a)成分、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  9. (b)成分の全量及び(c)成分の一部あるいは全量を溶融混練し、その溶融混練物に対して、(a)成分の全量、(c)成分の残量及び(d)成分、(e)成分を供給し、さらに溶融混練することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載された製造方法で得られる樹脂組成物。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて成形された耐水蒸気透過性を有する容器。
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