JP6276145B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリプロピレンは、成形加工性、耐水性、耐油性、耐酸性、耐アルカリ性等において優れているものの、耐熱性、剛性に劣ることが知られている。そのため、ポリプロピレンにポリフェニレンエーテルを配合することによって、耐熱性、剛性等の特性を改良する樹脂組成物を得る手法が知られている。
この樹脂組成物に更に難燃性を付与する手法として、一般的に、ハロゲン系化合物と三酸化アンチモンとを添加する手法等が用いられている。しかしながら、上記のハロゲン系化合物や三酸化アンチモン等の難燃剤は、環境衛生の観点から好ましくないため、ハロゲン系化合物や三酸化アンチモン等を含まない難燃剤を用いる手法等の改善された難燃化手法が求められている。
上記の要求に応えるものとして、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂にホスフィン酸金属塩等の難燃剤を配合する手法が知られている(特許文献1〜3参照)。
特表2010−540716号公報 国際公開第2011/129129号 特開2013−14691号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載される樹脂組成物では、難燃性は得ることができるものの、長時間に亘って連続的に成形したときに、金型内にモールドデポジット(MD)が生じて、成形の歩留まりを低下させる虞や、樹脂組成物を溶融させたときに、腐食性のガスが発生して、成形体の生産に悪影響を与えてしまう虞がある。
そこで、本発明は、優れた難燃性を保持しながら、連続成形時にモールドデポジットが生じにくく、溶融時に腐食性のガスが発生しにくい、樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、特定の構造を有する水素添加ブロック共重合体、及び難燃剤としてホスフィン酸塩及びリン酸エステル系化合物を特定の配合割合で含む樹脂組成物であり、樹脂組成物中の金属元素に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合が特定の範囲である樹脂組成物が上記課題を有利に解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
ポリプロピレン系樹脂(II)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が30〜90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
Figure 0006276145
[式中、R11及びR12は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;M1は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;aは、1〜3の整数であり;mは、1〜3の整数であり;a=mである]
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
Figure 0006276145
[式中、R21及びR22は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;R23は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、炭素原子数6〜10のアルキルアリーレン基又は炭素原子数6〜10のアリールアルキレン基であり;M2は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;bは、1〜3の整数であり;nは、1〜3の整数であり;jは、1又は2の整数であり;b・j=2nである]
からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(IV)と、
リン酸エステル系化合物(V)と、
を含有し、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50〜99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1〜50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)1〜20質量部、前記ホスフィン酸塩類(IV)3〜15質量部、前記リン酸エステル系化合物(V)5〜30質量部を含む樹脂組成物であり、
前記樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合が、3300〜5000質量ppmである
ことを特徴とする、樹脂組成物。
[2]前記樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合は、3600〜4800質量ppmである、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が、65〜90%であり、
前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、
[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記リン酸エステル系化合物(V)は、縮合リン酸エステルを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記ポリプロピレン系樹脂(II)のメルトフローレートが、0.1〜3g/10分である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
][1]〜[]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
本発明によれば、優れた難燃性を保持しながら、連続成形時にモールドデポジットが生じにくく、溶融時に腐食性のガスが発生しにくい、樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(樹脂組成物)
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、ポリプロピレン系樹脂(II)と、水素添加ブロック共重合体(III)と、リン酸エステル系化合物(IV)と、リン酸エステル系化合物(V)と、任意選択的に、成分(I)及び成分(II)以外の熱可塑性樹脂(VI)と、成分(I)〜成分(VI)以外のその他の添加剤(VII)とを含有する。
以下、本実施形態の樹脂組成物の成分について記載する。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れる、すなわち、UL94垂直燃焼試験において難燃レベルV−1以上である、モールドデポジット(以下、「MD」ともいう)性が良好である、すなわち、連続成形時にモールドデポジットが生じにくい、金属腐食性が良好である、すなわち、溶融時に腐食性のガスが発生しにくい、という特性を有する。
−ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)−
本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(I)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(I)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(I)の還元粘度は、樹脂組成物の難燃性を更に向上させる観点から、0.25dL/g以上であることが好ましく、0.28dL/g以上であることが更に好ましく、また、0.45dL/g以下であることが好ましく、0.36dL/g以下であることが更に好ましく、0.35dL/g以下であることが特に好ましい。還元粘度は、重合時間や触媒量により制御することができる。
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
−−ポリフェニレンエーテル−−
ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位構造からなる単独重合体及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
Figure 0006276145
[式中、R31、R32、R33、及びR34は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7の第1級のアルキル基、炭素原子数1〜7の第2級のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群より選ばれる一価の基である]
このようなポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。ポリフェニレンエーテルの具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等の単独重合体;2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール等の他のフェノール類との共重合物等の共重合体;が挙げられ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合物が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が更に好ましい。
ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されることなく、従来公知の方法を用いることができる。ポリフェニレンエーテルの製造方法の具体例としては、例えば、第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として用いて、例えば、2,6−キシレノールを酸化重合することによって製造する、米国特許第3306874号明細書等に記載される方法や、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開昭63−152628号公報等に記載される方法等が挙げられる。
−−変性ポリフェニレンエーテル−−
変性ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリフェニレンエーテルに、スチレン系重合体又はその誘導体をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリフェニレンエーテル100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態において、80〜350℃の条件下で、上記のポリフェニレンエーテルとスチレン系重合体又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(I)が、ポリフェニレンエーテルと変性ポリフェニレンエーテルとの混合物である場合には、上記のポリフェニレンエーテルと上記の変性ポリフェニレンエーテルとの混合割合は、特に限定されることなく、任意の割合としてよい。
−ポリプロピレン系樹脂(II)−
本実施形態で用いられるポリプロピレン系樹脂(II)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(II)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(II)の重量平均分子量(Mw)は、樹脂組成物について、燃焼時のドローダウンを抑制し、流動性と機械的強度とのバランスを高める観点から、400,000以上であることが好ましく、700,000以上であることが更に好ましく、750,000以上であることが特に好ましく、また、1,500,000以下であることが好ましく、1,300,000以下であることが更に好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いて、従来公知の方法により求めることができ、ここで、移動相としては、特に限定されることなく、例えば、o−ジクロロベンゼンを用いることができ、標準物質としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレンを用いることができる。重量平均分子量(Mw)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
−−ポリプロピレン−−
ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレンを繰り返し単位構造とする単独重合体及び/又は共重合体等が挙げられ、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体との混合物が好ましい。
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体としては、特に限定されることなく、例えば、結晶性プロピレン単独重合体部分とプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とを有するもの等が挙げられる。
ポリプロピレンのメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう)は、樹脂組成物について、燃焼時のドローダウンを抑制し、流動性と機械的強度とのバランスを高める観点から、0.1g/10分以上であることが好ましく、0.3g/10分以上であることが更に好ましく、また、10g/10分以下であることが好ましく、6g/10分以下であることが更に好ましく、3g/10分以下であることが特に好ましい。
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定することができる。MFRは、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。
ポリプロピレンの製造方法の具体例としては、例えば、三塩化チタン触媒又は塩化マグネシウム等の担体に担持されたハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物とを含む重合触媒組成物の存在下で、温度0〜100℃、圧力3〜100気圧の条件下で、プロピレンを重合する方法等が挙げられる。
上記方法では、重合体の分子量を調整するため、水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、上記方法では、重合系に、上記の重合触媒組成物以外に、得られるポリプロピレンのアイソタクティシティ及び重合系の重合活性を高めるため、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として、更に含めることができる。これらの電子供与性化合物としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。電子供与性化合物の具体例としては、例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のリン酸誘導体;アルコキシエステル化合物;芳香族モノカルボン酸エステル;芳香族アルキルアルコキシシラン;脂肪族炭化水素アルコキシシラン;各種エーテル化合物;各種アルコール類;各種フェノール類等が挙げられる。
上記方法における重合方式としては、バッチ式、連続式いずれの方式としてもよく、重合方法としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒を用いた溶液重合やスラリー重合、更には、無溶媒で、単量体中での塊状重合やガス状重合体中での気相重合方法等としてよい。
ポリプロピレンの製造方法の中でも、特に、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、結晶性プロピレン単独重合体部分を得る第一工程と、該結晶性プロピレン単独重合体部分と、エチレン及び必要に応じて加えられる他のα−オレフィンと、を共重合することによって、結晶性プロピレン単独重合体部分と結合したプロピレン−エチレンブロック共重合体部分を得る第二工程と、を含む方法等が挙げられる。ここで、他のα−オレフィンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
−−変性ポリプロピレン−−
変性ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリプロピレンに、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリプロピレン100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性ポリプロピレンの製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下で、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態において、30〜350℃の条件下で、上記のポリプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
本実施形態で用いられるポリプロピレン系樹脂(II)が、ポリプロピレンと変性ポリプロピレンとの混合物である場合には、上記のポリプロピレンと変性ポリプロピレンとの混合割合は、特に限定されることなく、任意の割合としてよい。
−水素添加ブロック共重合体(III)−
本実施形態で用いられる水素添加ブロック共重合体系樹脂(III)としては、特に限定されることなく、例えば、未変性水素添加ブロック共重合体、変性水素添加ブロック共重合体、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(III)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(III)は、前述の成分(I)と前述の成分(II)との混和剤又は耐衝撃性付与剤として作用する。
水素添加ブロック共重合体系樹脂(III)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されたものである。ここで、重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計(以下、「全ビニル結合量」ともいう、後述)が30〜90%である。
以下、未変性及び変性水素添加ブロック共重合体に関する事項について記載する。
−−−ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA−−−
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、特に限定されることなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。上記のビニル芳香族化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
重合体ブロックAの数平均分子量(Mn)は、樹脂組成物の耐熱クリープ性を向上させる観点から、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、25,000以上であることが特に好ましく、また、100,000以下であることが好ましい。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
−−−共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB−−−
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックが挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物部分の含有量が、50質量%超であることを指し、樹脂組成物の流動性を高める観点から、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、特に限定されることなく、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましく、ブタジエンが更に好ましい。上記の共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ここで、重合体ブロックBのミクロ構造(共役ジエン化合物の結合形態)において、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計(全ビニル結合量)は、重合体ブロックBの成分(II)への相溶性を高める観点から、30%以上であり、45%以上であることが好ましく、65%以上であることが更に好ましく、また、90%以下である。
なお、1,2−ビニル結合量及び3,4−ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計の、1,2−ビニル結合量と、3,4−ビニル結合量と、1,4−共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出することができる。
上記の重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の合成方法としては、特に限定されることなく、例えば、アニオン重合等の公知の方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体のブロック構造としては、特に限定されることなく、例えば、重合体ブロックAを「A」と、重合体ブロックBを「B」と表すと、成分(III)としては、A−B、A−B−A、B−A−B−A、(A−B−)4M、A−B−A−B−A等の構造が挙げられる。ここで、(A−B−)4Mは、四塩化ケイ素(M=Si)、四塩化スズ(M=Sn)等といった多官能カップリング剤の反応残基、又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基等である。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体のブロック共重合体の分子構造としては、特に限定されることなく、例えば、直鎖状、分岐状、放射状、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
ブロック共重合体に含まれる重合体ブロックAにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物、及び重合体ブロックBにおける分子鎖中の共役ジエン化合物の分布としては、特に限定されることなく、例えば、ランダム、テーパード(分子鎖に沿って単量体部分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状、又はこれらの組み合わせ挙げられる。
ブロック共重合体中に重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが複数個以上含まれる場合には、複数の重合体ブロックA又は複数の重合体ブロックB同士は、それぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
重合体ブロックAと重合体ブロックBとを含むブロック共重合体全体について、水素添加ブロック共重合体(III)の流動性、耐衝撃性、外観性を向上させ、ウェルド発生を低減する観点から、水素添加前のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましく、また、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることが更に好ましく、500,000以下であることが特に好ましい。
なお、数平均分子量は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、10以下であることが好ましく、8以下であることが更に好ましく、5以下であることが特に好ましい。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
ブロック共重合体を水素添加する方法としては、特に限定されることなく、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒を用いて、例えば、反応温度0〜200℃、水素圧力0.1〜15MPaの条件下で、水素添加する方法が挙げられる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体中の重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物部分に対する水素添加率は、特に限定されることなく、樹脂組成物の耐熱性を高める観点から、共役ジエン化合物に由来する二重結合の総量に対して、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
未変性及び変性水素添加ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法の具体例としては、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書、及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法等が挙げられる。
以下、特に、変性水素添加ブロック共重合体に関する事項について記載する。
(変性水素添加ブロック共重合体)
変性水素添加ブロック共重合体は、上記の未変性水素添加ブロック共重合体に、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたものである。
グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、未変性水素添加ブロック共重合体100質量%に対して、0.01以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
変性水素添加ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃の条件下で、上記の未変性水素添加ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体とを反応させる方法等が挙げられる。
−ホスフィン酸塩類(IV)−
本実施形態で用いられるホスフィン酸塩類(IV)としては、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
Figure 0006276145
[式中、R11及びR12は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;M1は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;aは、1〜3の整数であり;mは、1〜3の整数であり;a=mである]
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
Figure 0006276145
[式中、R21及びR22は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;R23は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、炭素原子数6〜10のアルキルアリーレン基又は炭素原子数6〜10のアリールアルキレン基であり;M2は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;bは、1〜3の整数であり;nは、1〜3の整数であり;jは、1又は2の整数であり;b・j=2nである]
からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
また、ホスフィン酸塩類(IV)は、上記式(1)で表されるホスフィン酸塩と上記式(2)で表されるジホスフィン酸塩との混合物としてもよい。
このようなホスフィン酸塩類(IV)としては、特に限定されることなく、例えば、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられ、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛であることが好ましく、ジエチルホスフィン酸アルミニウムであることが更に好ましい。
ホスフィン酸塩類(IV)の市販品としては、特に限定されることなく、例えば、クラリアントジャパン社製のExolit(登録商標) OP1230、OP1240、OP1311、OP1312、OP930、OP935等が挙げられる。
−リン酸エステル系化合物(V)−
本実施形態で任意選択的に用いられるリン酸エステル系化合物(IV)としては、特に限定されることなく、樹脂組成物の難燃性向上の効果を有するリン酸エステル化合物全般(リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等)としてよく、例えば、トリフェニルフォスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5’−トリメチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)−p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)−p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルフォスフェート、1−ナフチルジフェニルフォスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
特に、リン酸エステル系化合物(IV)としては、
下記式(4)
Figure 0006276145
[式中、Q41、Q42、Q43、Q44は、各々独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基であり;R41、R42は、各々独立して、メチル基であり;R43、R44は、各々独立して、水素原子又はメチル基であり;xは0以上の整数であり;p1、p2、p3、p4は、それぞれ、0〜3の整数であり;q1、q2は、それぞれ、0〜2の整数である]
又は
下記式(5)
Figure 0006276145
[式中、Q51、Q52、Q53、Q54は、各々独立して、炭素原子数1〜6のアルキル基であり;R51は、メチル基であり;yは0以上の整数であり;r1、r2、r3、r4は、それぞれ、0〜3の整数であり;s1は、それぞれ、0〜2の整数である]
で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするもの好ましい。
なお、上記式(4)及び上記式(5)で表される縮合リン酸エステル化合物は、それぞれ複数種の分子を含んでよく、各分子について、nは、1〜3の整数であることが好ましい。
上記式(4)及び上記式(5)で表される縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする好適なリン酸エステル系化合物(IV)では、全体として、nの平均値が1以上であることが好ましい。上記の好適なリン酸エステル系化合物(IV)は、一般に、nが1〜3である化合物を90%以上含む混合物として入手することができ、nが1〜3である化合物以外に、nが4以上である多量体やその他の副生成物を含む。
−成分(I)及び成分(II)以外の熱可塑性樹脂(VI)−
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)及び成分(II)以外の熱可塑性樹脂(VI)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等が挙げられる。
−成分(I)〜成分(VI)以外のその他の添加剤(VII)−
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)〜成分(VI)以外のその他の添加剤(VII)としては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、成分(IV)及び成分(V)以外の難燃剤(ポリリン酸アンモニウム系化合物、水酸化マグネシウム、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ホウ酸亜鉛等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、成分(IV)以外の無機又は有機の充填材や強化材(カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ガラス繊維、ガラスフレーク、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
以下、本実施形態の樹脂組成物の成分の割合について記載する。
本実施形態の樹脂組成物における成分(I)の含有量は、樹脂組成物の難燃性、成形流動性を高める観点から、成分(I)と成分(II)との合計100質量部に対して、50質量部以上であり、60質量部以上であることが好ましく、65質量部以上であることが更に好ましく、また、99質量部以下であり、80質量部以下であることが好ましく、75質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における成分(II)の含有量は、樹脂組成物の難燃性、成形流動性を高める観点から、成分(I)と成分(II)との合計100質量部に対して、1質量部以上であり、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることが更に好ましく、また、65質量部以下であり、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における成分(III)の含有量は、成分(I)と成分(II)との合計100質量部に対して、樹脂組成物の難燃性、成形流動性を高める観点から、1質量部以上であり、2質量部以上であることが更に好ましく、3質量部以上であることが特に好ましく、また、成形片からの剥離を抑制する観点から、20質量部以下であり、15質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における成分(IV)の含有量は、樹脂組成物の難燃性、モールドデポジット性、金属腐食性を高める観点から、3質量部以上であり、4質量部以上であることが好ましく、また、15質量部以下であり、12質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における成分(V)の含有量は、樹脂組成物の難燃性、モールドデポジット性を高める観点から、5質量部以上であり、10質量部以上であることが好ましく、また、30質量部以下であり、25質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物における成分(VI)の含有量は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されることなく、例えば、0〜400質量部としてよい。
本実施形態の樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基に対するナトリウム(Na)及びカルシウム(Ca)の合計の割合は、優れた難燃性及びモールドデポジット性を得る観点から、3300質量ppm以上であり、3600質量ppm以上であることが好ましく、また、優れた難燃性及び良好な金属腐食性を得る観点から、5000質量ppm以下であり、4800質量ppm以下であることが好ましい。
樹脂組成物中のマグネシウム等の金属元素、並びにナトリウム及びカルシウムの定量方法としては、特に限定されないが、例えば、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いる方法等が挙げられる。
なお、本実施形態の樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基には、成分(IV)のM1及びM2の他に、成分(IV)以外の成分に僅かに含まれる金属元素も含まれる。また、本実施形態の樹脂組成物中のナトリウム及びカルシウムには、各成分に僅かに含まれるもの、製造工程中に混入するもの等が含まれる。
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の樹脂組成物は、前述の成分(I)〜成分(V)、及び必要に応じて、成分(VI)〜成分(VII)を溶融混練することによって製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、成分(I)〜成分(V)、及び必要に応じて、成分(VI)〜成分(VII)を溶融混練することができる限り、特に限定されない。より詳細には、本実施形態の樹脂組成物の製造方法としては、下記の第1の製造方法、第2の製造方法が好ましい。
第1の製造方法は、成分(I)の全量、並びに、成分(II)及び成分(III)の全部又は一部を溶融混練して、混練物を得る工程(1−1)と、該工程(1−1)で得られた混練物に対して、成分(IV)の全部又は一部、並びに、成分(II)及び成分(III)の残部(但し、工程(1−1)で成分(II)及び成分(III)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1−2)と、該工程(1−2)で得られた混練物に対して、成分(IV)の残部(但し、工程(1−2)で成分(IV)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1−3)と、を含む。
第2の製造方法は、成分(I)の全量、並びに、成分(II)及び成分(III)の全部又は一部を溶融混練して、混練物を得る工程(2−1)と、該工程(2−1)で得られた混練物に対して、成分(II)及び成分(III)の残部(但し、工程(2−1)で成分(II)及び成分(III)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(2−2)と、該工程(2−2)で得られた混練物に対して、成分(IV)の全部を添加し、更に溶融混練する工程(2−3)と、を含む。
上記第1の製造方法、上記第2の製造方法において、成分(V)を添加するタイミングは、特に限定されることなく、例えば、第1の製造方法では、工程(1−3)のときとしてよく、また、第2の製造方法では、工程(2−3)のときとしてよい。
この製造方法のように、溶融混練時において、成分(IV)の添加のタイミングを遅くすることによって、成分(IV)の分解を効果的に抑制することができ、その結果、難燃性に優れた樹脂組成物を得ることができる。なお、成分(IV)の添加のタイミングを遅くする手法としては、例えば、溶融混練機の下流側の原料供給口からこれらを添加する手法等が挙げられる。
前述の製造方法において各成分の溶融混練を行うために好適に用いられる溶融混練機としては、特に限定されることなく、例えば、単軸押出機や二軸押出機等の多軸押出機等の押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機等が挙げられるが、特に、混練性の観点から、二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては、具体的には、コペリオン社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズが挙げられる。
以下、単軸押出機や二軸押出機等の多軸押出機等の押出機を用いた場合の好適な実施形態について記載する。
押出機の種類や規格等は、特に限定されることなく、公知のものとしてよい。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上であることが好ましく、30以上であることが更に好ましく、また、75以下であることが好ましく、60以下であることが更に好ましい。
押出機の構成は、特に限定されることなく、例えば、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、該第1真空ベントよりも下流に第1液添ポンプ(後述)、該第1液添ポンプよりも下流に第2原料供給口、該第2原料供給口よりも下流に第2真空ベント、該第2真空ベントよりも下流に第2液添ポンプ(後述)を備えるものとすることができる。
また、第2原料供給口における原料の供給方法としては、特に限定されることなく、原料供給口の上部開放口から単に添加する方法としても、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法としてもよく、特に、安定供給の観点から、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法が好ましい。
各成分を溶融混練する際、溶融混練温度は、特に限定されることなく、通常200〜370℃としてよく、スクリュー回転数は、特に限定されることなく、通常100〜1200rpmとしてよい。
液状の原料を添加する場合、押出機シリンダー部分において液添ポンプ等を用いて、液状の原料をシリンダー系中に直接送り込むことによって、添加することができる。液添ポンプとしては、特に限定されることなく、例えば、ギアポンプやフランジ式ポンプ等が挙げられ、ギアポンプが好ましい。このとき、液添ポンプにかかる負荷を小さくし、原料の操作性を高める観点から、液状原料を貯めておくタンク、該タンクと液添ポンプ間との配管や、該ポンプと押出機シリンダーと間の配管等の液状の原料の流路となる部分、をヒーター等を用いて加熱して、液状の原料の粘度を小さくしておくことが好ましい。
上記第1の製造方法や上記第2の製造方法により溶融混練した樹脂組成物は、例えば、押出機のダイを通過させることによってストランドにし、該ストランドを冷却水を張ったストランドバスの中を通過させることによって冷却することができる。ここで、冷却水中に含まれるカルシウム及びナトリウムの量を調整することによって、冷却後の樹脂組成物に含まれるカルシウム及びナトリウムの量を調整することができる。冷却水中のカルシウム及びナトリウムの含有量の調整は、例えば、ミネラル分添加量調整機構を備える浄水器を通した水を冷却水に用いることによって行うことができる。
(成形体)
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物からなる。
本実施形態の樹脂組成物の成形体としては、特に限定されることなく、例えば、自動車部品、電気機器の内外装部品、その他の部品等が挙げられる。自動車部品としては、特に限定されることなく、例えば、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装部品;インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品;自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品;リチウムイオン二次電池部品等が挙げられる。また、電気機器の内外装部品としては、特に限定されることなく、例えば、各種コンピューター及びその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシ、冷蔵庫、エアコン、液晶プロジェクターに用いられる部品等が挙げられる。その他の部品としては、金属導体又は光ファイバーに被覆を施すことによって得られる電線・ケーブル、固体メタノール電池用燃料ケース、燃料電池配水管、水冷用タンク、ボイラー外装ケース、インクジェットプリンターのインク周辺部品・部材、家具(椅子等)、シャーシ、水配管、継ぎ手等が挙げられる。
(成形体の製造方法)
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
本実施形態の成形体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成形等が挙げられ、本発明の効果をより効果的に得る観点から、射出成形が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例の樹脂組成物及び成形体に用いた原材料を以下に示す。
−ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)−
(I−i):2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.33のポリフェニレンエーテル
(I−ii):2,6−キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.42のポリフェニレンエーテル
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下測定した。
−ポリプロピレン系樹脂(II)−
(II−i):MFR=0.4g/10分のポリプロピレン単独重合体
(II−ii):MFR=5.9g/10分のポリプロピレン単独重合体
(II−iii):MFR=15g/10分のポリプロピレン単独重合体
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
−水素添加ブロック共重合体(III)−
(III):下記の通り、合成される重合体
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、B−A−B−Aのブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:44%、
水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):95,000、
ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):41,800、
ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):53,200、
水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.06、
水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2−ビニル結合量):75%、
ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定した。数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出した。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出した。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。
−ホスフィン酸塩類(IV)−
(IV−i):クラリアント社製「Exolit OP1230」(式(1)に該当)(製品中のアルミニウム量=9.64質量%、カルシウム量=15質量ppm、ナトリウム量=質量200ppm)
(IV−ii):クラリアント社製「Exolit OP1312」(式(1)に該当)(製品中のアルミニウム量=6.17質量%、カルシウム量=質量8ppm、ナトリウム量=200質量ppm)
−リン酸エステル系化合物(V)−
(V):大八化学社製「E890」(縮合リン酸エステル化合物)
特に、実験の便宜のために用いた材料を以下に示す。
−成分(I)〜成分(VI)以外のその他の添加剤(VII)−
(VII):ジエチルホスフィン酸カルシウム
実施例及び比較例における物性の測定方法(1)〜(4)を以下に示す。
(1)樹脂組成物中の金属元素に対するナトリウム(Na)及びカルシウム(Ca)の合計の割合の算出
得られた樹脂組成物ペレットについて、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いて、樹脂組成物中の、金属元素(マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基)、並びに、ナトリウム及びカルシウムの定量を行い、樹脂組成物中の金属元素に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合(質量ppm)を算出した。
(2)難燃性
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度240℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS−100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度70℃、射出圧力60MPaの条件で成形し、UL94垂直燃焼試験測定用試験片(1.6mm厚み)を5本作製した。UL94垂直燃焼試験方法に基づいて、これら5本の試験片の難燃性を評価した。10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt1(秒)とし、再び10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt2(秒)とし、各5本について、t1及びt2の平均を平均燃焼時間として求めた。一方、t1及びt2を合わせた10点の燃焼時間のうち最大のものを最大燃焼時間として求めた。そして、UL94規格に基づいて、V−0、V−1、V−2、HBの判定を行った。特に、難燃レベルV−1以上の判定の場合に、望ましい樹脂組成物と判定した。
(3)モールドデポジット(MD)性
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS−100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度70℃、射出圧力70MPa、射出時間60秒、冷却時間15秒の条件で射出成形し、厚さ2mm、幅(縦×横)80mm×80mmのシボ付平板の試験片を作製した。
上記条件で連続的に射出成形した後に金型内に付着していた堆積物(MD)の状態を、射出成形50ショット毎に目視にて観察し、MDが確認できるようになったときの射出成形のショット数(MD確認時のショット数)を記録した。MD確認時のショット数が多いほど、モールドデポジット性が良好であり、連続成形時にモールドデポジットが生じにくいと判定した。
また、上記条件で連続的に射出成形500ショットを行った後に金型内に付着していた堆積物を除去する作業を行い、MDの除去容易性の判定を行った。判定は下記判定基準に従って4段階で行った。判定点が高いほど、モールドデポジット性が良好であり、連続成形時にモールドデポジットが生じにくいと判定した。
<判定基準(「判定点:MDの除去の様子」にて示す)>
1:ティッシュで軽く乾拭きするだけで完全に除去できる
2:ティッシュで強く乾拭きすることで完全に除去できる
3:金型洗浄剤を使用すればすぐに除去できる
4:金型への固着性が強く、金型洗浄剤を使用してもすぐには除去できない
(4)金属腐食性
耐圧2.0MPa、内容量100mLのSUS314製オートクレーブに、得られた樹脂組成物ペレット20gを加え、次いで、厚さ2.0mm、幅(縦×横)10mm×20mmであり、表面が粒度#2000の研磨微粉を用いて研磨された炭素鋼試験片(材質:SS400)を更に加え、続いて、前述の樹脂組成物ペレット20gを更に加え、炭素鋼試験片を樹脂組成物ペレット中に埋没させた。次に、オートクレーブの内部を窒素置換し、オートクレーブを密閉し、その後、オートクレーブを330℃に設定した恒温槽内に5時間静置した。オートクレーブを取り出し、流水下で室温まで冷却し、その後、オートクレーブを開放した。
次に、上記の通り溶融固化した樹脂組成物中から炭素鋼試験片を取り出し、該炭素鋼試験片に付着した樹脂を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)及びo−ジクロロベンゼンに溶解させることによって、除去した。風乾後の炭素鋼試験片を0.1mg単位で秤量し、該質量を予め測定しておいた腐食工程前の炭素鋼試験片の質量で除算して、炭素鋼試験片の腐食工程前後での質量減少率(質量ppm)を求めた。質量減少率が低いほど、金属腐食性が良好であり、溶融時に腐食性のガスが発生しにくいと判定した。
以下、各実施例及び各比較例について詳述する。
各実施例及び各比較例の樹脂組成物の製造に用いる溶融混練機として、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)を用いた。押出機のL/Dは、35とした。
二軸押出機の構成は、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第2原料供給口、該第2原料供給口よりも下流に液添ポンプを備え、第1原料供給口と第2原料供給口との間、及び第2原料供給口と液添ポンプとの間に真空ベントを備えるものとした。また、二軸押出機の構成は、必要に応じて、該第1原料供給口よりも下流に液添ポンプを備えるものとした。
(実施例1〜10、比較例1〜9)
上記の通り設定した二軸押出機に、成分(I)〜成分(V)、成分(VII)を表1に示す組成で供給し、これらを溶融混練して、ペレット体の樹脂組成物を製造した。混練条件は、押出機バレル温度:290℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間とした。
各実施例及び各比較例について、前述の測定方法(1)〜(4)により物性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006276145
Figure 0006276145
表1に示す通り、実施例1〜10の樹脂組成物は、比較例1〜9の樹脂組成物と比較して、優れた難燃性を保持しながら、連続成形時にモールドデポジットが生じにくく、溶融時に腐食性のガスが発生しにくいことが分かった。
本発明によれば、優れた難燃性を保持しながら、連続成形時にモールドデポジットが生じにくく、溶融時に腐食性のガスが発生しにくい樹脂組成物及び成形体を提供することができる。本発明の樹脂組成物を含む成形体は、自動車部品、電気機器の内外装部品、その他の部品等として好適に用いられる。

Claims (6)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
    ポリプロピレン系樹脂(II)と、
    ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が30〜90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
    下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
    Figure 0006276145
    [式中、R11及びR12は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;M1は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;aは、1〜3の整数であり;mは、1〜3の整数であり;a=mである]
    及び
    下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
    Figure 0006276145
    [式中、R21及びR22は、各々独立して、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜6のアルキル基及び/又は炭素原子数6〜10のアリール基であり;R23は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数6〜10のアリーレン基、炭素原子数6〜10のアルキルアリーレン基又は炭素原子数6〜10のアリールアルキレン基であり;M2は、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり;bは、1〜3の整数であり;nは、1〜3の整数であり;jは、1又は2の整数であり;b・j=2nである]
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(IV)と、
    リン酸エステル系化合物(V)と、
    を含有し、
    前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50〜99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1〜50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)1〜20質量部、前記ホスフィン酸塩類(IV)3〜15質量部、前記リン酸エステル系化合物(V)5〜30質量部を含む樹脂組成物であり、
    前記樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合が、3300〜5000質量ppmである
    ことを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物中のマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス、マンガン、カリウム及び窒素塩基に対するナトリウム及びカルシウムの合計の割合は、3600〜4800質量ppmである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計が、65〜90%であり、
    前記重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、
    請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記リン酸エステル系化合物(V)は、縮合リン酸エステルを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂(II)のメルトフローレートが、0.1〜3g/10分である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
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