JP6165013B2 - 樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(c)第一の水
添ブロック共重合体系樹脂、及び(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂を含み、
前記(c)及び(d)成分が、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合
体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとか
らなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体及び/又は該水添ブロ
ック共重合体の変性物であり、
前記(c)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)が、20,000以上22,000以下であり、
前記(d)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MndA)が、5,300以上5,700以下である、樹脂組成物。
[2]
前記(c)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が45〜90%である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記(d)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が25%以上70%未満である、[1]又は[2]に記載
の樹脂組成物。
[4]
前記(c)成分が、ビニル芳香族化合物単位を30〜50質量%含む、[1]〜[3]
のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記(d)成分が、ビニル芳香族化合物単位を10〜30質量%含む、[1]〜[4]
のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記(c)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が50〜100%である、[1]〜[5
]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
前記(d)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が50〜100%である、[1]〜[6
]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]
前記(a)及び(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(c)及び(d)
成分の合計含有量が1〜50質量部であり、
前記(a)及び(b)成分の質量比率((a):(b))が、25:75〜99:1で
あり、
前記(c)及び(d)成分の質量比率((c):(d))が、1:99〜99:1であ
る、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]
(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂をさらに含み、
前記(e)成分の含有量が、前記(a)及び(b)成分の合計含有量100質量部に対
して、1〜15質量部であり、
前記(e)成分が、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック
Aと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロ
ック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体及び/又は該水添ブロック共重合
体の変性物であり、
前記(e)成分が、ビニル芳香族化合物単位を20〜70質量%含み、
前記(e)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が25%以上60%未満であり、
前記(c)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が80〜100%であり、
前記(d)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が80〜100%であり、
前記(e)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が10%以上80%未満である、[1]
〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]
前記(c)成分の数平均分子量(Mnc)が、100,000以下である、[1]〜[
9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]
前記(d)成分の数平均分子量(Mnd)が、100,000以下である、[1]〜[
10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12]
前記(d)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が40〜60%である、[1]〜[11]のいずれかに記
載の樹脂組成物。
[13]
前記(a)成分が、ホモポリプロピレン及び/又はブロックポリプロピレンであり、
前記(a)成分のメルトフローレート(MFR:JIS K7210に準拠し、230
℃、2.16kgの荷重で測定)が0.1〜100g/10分である、[1]〜[12]
のいずれかに記載の樹脂組成物。
[14]
前記(a)成分を含むマトリックス相と、前記(b)成分を含む分散相とを有する、[
1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15]
下記測定方法により得られる−45℃の損失正接(−45℃tanδ)と、0℃の損失
正接(0℃tanδ)との比(−45℃tanδ/0℃tanδ)が0.41以上である
、[1]〜[14]のいずれかに記載の樹脂組成物;
<損失正接(tanδ)の測定>
樹脂組成物から得られるISO試験片について、粘弾性測定機を用いて、引張りモード、
振動周波数:10Hz、静的負荷歪み:0.2%、動的負荷歪み:0.1%、接触荷重:
0.5N、昇温速度:3℃/分、温度範囲:−100℃〜160℃の温度掃引モードにお
いて測定した際の−45℃及び0℃における損失正接(tanδ)。
[16]
[1]〜[15]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
本実施の形態の樹脂組成物は、
(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂、及び(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂を含み、
前記(c)及び(d)成分が、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体及び/又は該水添ブロック共重合体の変性物であり、
前記(c)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)が、8,000以上であり、
前記(d)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MndA)が、4,000以上8,000未満である。
本実施の形態に用いる(a)ポリプロピレン系樹脂(以下、「(a)成分」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、後述する(a1)ポリプロピレン樹脂と(a2)変性ポリプロピレン樹脂とが挙げられる。
(a1)ポリプロピレン樹脂とは、構成する単量体の50モル%以上がプロピレンである重合体をいい、それ以外は特に限定されない。例えば、結晶性プロピレンホモポリマー;重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と、重合の第二工程以降でプロピレン、エチレン及び/又は少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体部分とを有する、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体等の結晶性プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。(a1)ポリプロピレン樹脂を構成する単量体においてプロピレンが占める割合は70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。これらの(a1)ポリプロピレン樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の例としては、特に限定されないが、例えば、結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体との混合物が挙げられる。(a1)ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン及び/又はブロックポリプロピレンであることが好ましい。
(a2)変性ポリプロピレン樹脂とは、例えば、前記(a1)ポリプロピレン樹脂と、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態或いは溶液状態で30〜350℃で反応させることによって得られる樹脂をいう。(a2)変性ポリプロピレン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、前記(a1)ポリプロピレン樹脂に、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%グラフト化又は付加した変性ポリプロピレン樹脂が挙げられる。前記α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の例としては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミドが挙げられる。
本実施の形態に用いる(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、単に「(b)成分」又は「PPE」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、後述する(b1)ポリフェニレンエーテル樹脂と(b2)変性ポリフェニレンエーテル樹脂とが挙げられる。
(b1)ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記式(1)で表される繰返し単位構造を含むホモ重合体及び/又は共重合体である。(b1)ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度(0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜2.50の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.30〜2.00、さらに好ましくは0.35〜2.00の範囲である。
(b2)変性ポリフェニレンエーテル樹脂とは、例えば、前記(b1)ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系モノマー及び/又はα,β−不飽和カルボン酸若しくはその誘導体(例えば、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのビニル化合物等が挙げられる。)とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で80〜350℃で反応させることによって得られる樹脂をいう。(b2)変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、前記(b1)ポリフェニレンエーテル樹脂に、スチレン系モノマー又はその誘導体が0.01〜10質量%グラフト化又は付加した変性ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、又はスチレンの水素分子の単数若しくは複数個を、ハロゲン原子、炭素数1〜7の第1級若しくは第2級のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択される置換基で置換した化合物をいう。
本実施の形態に用いる(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂(以下、「(c)成分」ともいう。)は、後述する(c1)第一の水添ブロック共重合体及び/又は(c2)第一の変性水添ブロック共重合体である。
(c1)第一の水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとを含むブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であって、前記重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)が8,000以上の水添ブロック共重合体である。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、重合体ブロックA中にビニル芳香族化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、ビニル芳香族化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックである。重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、重合体ブロックB中に共役ジエン化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、共役ジエン化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
ブロック共重合体としては、前記重合体ブロックAを「A」とし、前記重合体ブロックBを「B」とすると、例えばA−B−A型、A−B−A−B型、B−A−B−A型、(A−B−)n−X型(ここでnは1以上の整数、Xは四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能カップリング剤の反応残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)、A−B−A−B−A型等のブロック単位が結合した構造を有するビニル芳香族−共役ジエン化合物ブロック共重合体が好ましい。中でもA−B−A−B型、B−A−B−A型の構造を有するブロック共重合体は、A−B−A型の構造を有するブロック共重合体と比べ、(c)成分としての流動性に優れるためより好ましい。
また、(c1)第一の水添ブロック共重合体において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率としては、50〜100%であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。該水素添加率が上記範囲内であると、良好な耐熱性及び耐候性を有する樹脂組成物を得る観点から好ましい。
(c1)第一の水添ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法が挙げられる。
また、(c2)第一の変性水添ブロック共重合体は、例えば、前記の(c1)第一の水添ブロック共重合体と、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物)とをラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃で反応させることによって得られる変性水添ブロック共重合体をいう。この場合、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%の割合で前記(c1)第一の水添ブロック共重合体にグラフト化又は付加していることが好ましい。
(c)成分の数平均分子量(Mnc)は、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは100,000以下である。Mncを1,000,000以下とすると、樹脂組成物における(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂の役割があくまでも、ポリマー(ポリプロピレン)−ポリマー(ポリフェニレンエーテル)間の乳化分散剤(混和剤)としての役割となる傾向にある。すなわち、粘度が高いポリマー(ポリプロピレン)−ポリマー(ポリフェニレンエーテル)の溶融バルク状態での乳化の際に、乳化分散剤(混和剤)としての(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂を、溶融混合系内で好ましく拡散させるため、(c)第一の水添ブロック共重合体の溶融粘度を考慮して、(c)成分の数平均分子量(Mnc)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。
また、(c)成分中におけるビニル芳香族化合物単位(ビニル芳香族化合物由来の水添ブロック共重合体構成単位)の含有量は、30〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜48質量%、さらに好ましくは35〜45質量%である。該ビニル芳香族化合物単位の含有量が30質量%以上であると、樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあり、該ビニル芳香族化合物単位の含有量が50質量%以下であると、耐熱性と耐衝撃性とのバランスに優れる樹脂組成物が得られる傾向にある。なお、本実施の形態において、ビニル芳香族化合物単位の含有量の測定は、紫外分光光度計(UV)によって行うことができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法により行うことができる。
本実施の形態の樹脂組成物は、耐衝撃性改良の観点から、前記(c)成分とは異なる少なくとも1種の(d)水添ブロック共重合体系樹脂をさらに含む。本実施の形態に用いる(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂(以下、「(d)成分」ともいう。)は、後述する(d1)第二の水添ブロック共重合体及び/又は(d2)第二の変性水添ブロック共重合体である。
(d1)第二の水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとを含むブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であって、前記(d1)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MndA)が、4,000以上8,000未満である。
(d1)第二の水添ブロック共重合体の構造は、前記重合体ブロックAを「A」とし、前記重合体ブロックBを「B」とすると、特に限定されないが、例えば、A−B−A型、A−B−A−B型、(A−B−)n−X型(ここで、nは1以上の整数、Xは四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能カップリング剤の反応残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)、A−B−A−B−A型等のブロック単位が結合した構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。中でも、A−B−A−B型の構造を有する水添ブロック共重合体がA−B−A型水添ブロック共重合体と比べて流動性に優れるためより好ましい。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、重合体ブロックA中にビニル芳香族化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、ビニル芳香族化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックである。重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、重合体ブロックB中に共役ジエン化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、共役ジエン化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
ブロック共重合体の構造としては、前記重合体ブロックAを「A」とし、前記重合体ブロックBを「B」とすると、例えばA−B−A型、A−B−A−B型、B−A−B−A型、(A−B−)n−X型(ここでnは1以上の整数、Xは四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能カップリング剤の反応残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)、A−B−A−B−A型等のブロック単位が結合した構造を有するビニル芳香族−共役ジエン化合物のブロック共重合体が好ましい。中でもA−B−A−B型、B−A−B−A型の構造を有するブロック共重合体は、A−B−A型の構造を有するブロック共重合体と比べ(d1)成分としての流動性に優れるためより好ましい。
また、(d1)第二の水添ブロック共重合体において、前記ブロック共重合体中のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率としては、50〜100%であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。該水素添加率が上記範囲内であると、良好な耐熱性及び耐候性を有する樹脂組成物を得る観点から好ましい。
(d1)第二の水添ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法が挙げられる。
また、(d2)第二の変性水添ブロック共重合体は、例えば、前記(d1)第二の水添ブロック共重合体と、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物)とをラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃で反応させることによって得られる変性水添ブロック共重合体をいう。この場合、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%の割合で前記(d1)第二の水添ブロック共重合体にグラフト化又は付加していることが好ましい。
(d)成分の数平均分子量(Mnd)は、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは100,000以下である。Mndを1,000,000以下とすると、樹脂組成物における(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂の役割があくまでも、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂及び(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂からなる群より選択される2種以上の樹脂間の耐衝撃付与剤としての役割となる傾向にある。すなわち、粘度が高いポリマー(ポリプロピレン)−ポリマー(ポリフェニレンエーテル)−ポリマー(水添ブロック共重合体)の溶融バルク状態での乳化の際に、耐衝撃付与剤としての(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂が溶融混合系内で好ましく拡散させるため、(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂の溶融粘度を考慮して、(d)成分の数平均分子量(Mnd)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。
また、(d)成分中におけるビニル芳香族化合物単位(ビニル芳香族化合物由来の水添ブロック共重合体構成単位)の含有量は、10〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜25質量%、さらに好ましくは13〜22質量%である。(d)成分中におけるビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上であると、樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあり、30質量%以下であると、耐熱性と耐衝撃性とのバランスに優れる樹脂組成物が得られる傾向にある。
本実施の形態の樹脂組成物において、(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂と(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂との質量比率((c):(d))は、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂が(a)ポリプロピレン系樹脂マトリックス中に安定した乳化分散状態となったポリマーアロイを得る観点から、好ましくは1:99〜99:1であり、より好ましくは10:90〜90:10であり、さらに好ましくは20:80〜80:20であり、特に好ましくは30:70〜70:30である。
本実施の形態の樹脂組成物は、耐衝撃性改良の観点から、任意成分として、(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂(以下、「(e)成分」ともいう。)をさらに含んでいてもよい。本実施の形態に用いる(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂とは、後述する(e1)第三の水添ブロック共重合体及び/又は(e2)第三の変性水添ブロック共重合体である。なお、本実施の形態の樹脂組成物において、(e)成分を含有させる場合は、前記(c)第二の水添ブロック共重合体系樹脂において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率を80〜100%とし、前記(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率を80〜100%とする。
(e1)第三の水添ブロック共重合体とは、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとを含むブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であって、ビニル芳香族化合物単位を20〜70質量%含み、共役ジエン化合物単位(共役ジエン化合物由来の水添ブロック共重合体構成単位)の全結合において、1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合が25%以上60%未満である。また、前記(e1)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率は10%以上80%未満である。
(e1)第三の水添ブロック共重合体の構造は、前記重合体ブロックAを「A」とし、前記重合体ブロックBを「B」とすると、特に限定されないが、例えばA−B型、A−B−A型、B−A−B−A型、(A−B−)n−X型(ここでnは1以上の整数、Xは四塩化ケイ素、四塩化スズなどの多官能カップリング剤の反応残基又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)、A−B−A−B−A型等の構造が挙げられる。また、ブロック構造について言及すると、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック、又は共役ジエン化合物を50質量%を超え、好ましくは70質量%以上含有する、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックの構造を有しており、そしてさらにビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAが、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物を50質量%を超え、好ましくは70質量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有することが好ましい。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、重合体ブロックA中にビニル芳香族化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、ビニル芳香族化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックである。重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、重合体ブロックB中に共役ジエン化合物単位を50質量%を超えて含有することを言い、共役ジエン化合物単位を70質量%以上含有することが好ましい。
前記重合体ブロックAと前記重合体ブロックBとを含むブロック共重合体の分子構造としては、特に制限されず、例えば、直鎖状、分岐状、放射状又はこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。重合体ブロックAと重合体ブロックBとは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物又は共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組み合わせで構成されていてもよい。重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが(e1)成分中に2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
また、(e1)第三の水添ブロック共重合体において、前記ブロック共重合体中のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率としては、10%以上80%未満であり、好ましくは10〜60%であり、より好ましくは20〜50%である。該水素添加率が上記範囲内であると、樹脂組成物の低温衝撃性が改善されるため好ましい。このように水素添加率を有する(d1)成分は、例えば、ブロック共重合体のエチレン性二重結合の水素添加反応において、消費水素量を所望の水素添加率(例えば、10%以上80%未満)の範囲に制御することにより容易に得られる。
(e1)第三の水添ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法が挙げられる。
(e1)第三の水添ブロック共重合体は、前記したようにビニル芳香族化合物単位(ビニル芳香族化合物由来の水添ブロック共重合体構成単位)を20〜70質量%含む。また、これらの範囲のビニル芳香族化合物単位含有量を有する1種の(e1)成分のみならず、2種以上の異なるビニル芳香族化合物単位含有量を有する(e1)成分を併用することができる。
また、(e2)第三の変性水添ブロック共重合体は、前記(e1)第三の水添ブロック共重合体と、例えば、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物)とをラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃で反応させることによって得られる変性水添ブロック共重合体をいう。この場合、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%の割合で前記(e1)第三の水添ブロック共重合体にグラフト化又は付加していることが好ましい。
(e)成分の数平均分子量(Mne)は、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは100,000以下である。Mneを1,000,000以下とすると、樹脂組成物における(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂の役割があくまでも、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(c)第一の水添ブロック共重合体系樹脂及び(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂からなる群より選択される2種以上の樹脂間の耐衝撃付与剤としての役割となる傾向にある。すなわち、粘度が高いポリマー(ポリプロピレン)−ポリマー(ポリフェニレンエーテル)−ポリマー(水添ブロック共重合体)の溶融バルク状態での乳化の際に、耐衝撃付与剤としての(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂が溶融混合系内で好ましく拡散させるため、(e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂の溶融粘度を考慮して、(e)成分の数平均分子量(Mne)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。
また、(e)成分中におけるビニル芳香族化合物単位(ビニル芳香族化合物由来の水添ブロック共重合体構成単位)の含有量は、20〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。(e)成分中におけるビニル芳香族化合物単位の含有量が20質量%以上であると、樹脂組成物の機械的強度が向上する傾向にあり、70質量%以下であると、耐熱性と耐衝撃性とのバランスに優れる樹脂組成物が得られる傾向にある。
本実施の形態の樹脂組成物は、(a)成分を含むマトリックス相と、(b)成分を含む分散相とを有することが好ましい。このようなモルフォロジーは、透過型電子顕微鏡によって確認することができる。
本実施の形態の樹脂組成物においては、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン及びハイインパクトポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種との混合物も好適に用いることができる。
本実施の形態に係わる樹脂組成物は、下記測定方法により得られる−45℃の損失正接(−45℃tanδ)と、0℃の損失正接(0℃tanδ)との比(−45℃tanδ/0℃tanδ)が、好ましくは0.41以上、より好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.48以上である。
<損失正接(tanδ)の測定>
樹脂組成物から得られるISO試験片について、粘弾性測定機を用いて、引張りモード、振動周波数:10Hz、静的負荷歪み:0.2%、動的負荷歪み:0.1%、接触荷重:0.5N、昇温速度:3℃/min、温度範囲:−100℃〜160℃の温度掃引モードにおいて測定した際の−45℃及び0℃における損失正接(tanδ)。
本実施の形態の樹脂組成物は、例えば、上述した(a)〜(d)成分を含む原料を溶融混練して得られる。溶融混練機は、特に限定されず、公知の混練機を用いることができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられる。上記の中でも、二軸押出機が好ましい。具体的には、コペリオン社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズ等を用いることができる。
本実施の形態の成形体は、上述した樹脂組成物を含む。
各成分の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(移動相:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)により測定した。具体的には、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー System21を用いて以下の条件で測定した。該測定において、カラムとして、昭和電工(株)製K−Gを1本、K−800RLを1本さらにK−800Rを1本の順番で直列につないだカラムを用い、カラム温度を40℃とし、溶媒をクロロホルムとし、溶媒流量を10mL/分とし、サンプル濃度を、水添ブロック共重合体1g/クロロホルム溶液1リットルとした。また、標準ポリスチレン(標準ポリスチレンの分子量は、3650000、2170000、1090000、681000、204000,52000、30200、13800,3360、1300,550)を用いて検量線を作成した。さらに、検出部のUV(紫外線)の波長は、標準ポリスチレン及び水添ブロック共重合体共に254nmに設定して測定した。
水添ブロック共重合体系樹脂における結合スチレン量(ビニル芳香族化合物単位の含有量)は、当該水添ブロック共重合体系樹脂を紫外線分光光度計(島津製作所製、UV−2450)により測定した。
水添ブロック共重合体系樹脂中の共役ジエン化合物単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合)は、当該水添ブロック共重合体系樹脂の水添前のブロック共重合体を赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−230)により測定し、ハンプトン法で算出した。
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化合物単位における二重結合)に対する水素添加率は、当該水添ブロック共重合体系樹脂を核磁気共鳴(NMR)(装置名:DPX−400 BRUKER社製)により測定した。
各成分の融点は、示差走査熱量計により測定した。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
ポリフェニレンエーテル系樹脂の還元粘度は、0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃の条件で測定した。
1.(a)成分(ポリプロピレン系樹脂)
下記(a−1)及び(a−2)成分を(a)成分として用いた。
(a−1)プロピレンホモポリマー(融点:167℃、MFR:0.4g/10分)。
(a−2)プロピレンホモポリマー(融点:165℃、MFR:6.0g/10分)。
下記(b−1)及び(b−2)成分を(b)成分として用いた。
(b−1)2,6−キシレノールを酸化重合して得られたポリフェニレンエーテルホモポリマー(還元粘度:0.42)。
(b−2)2,6−キシレノールを酸化重合して得られたポリフェニレンエーテルホモポリマー(還元粘度:0.51)。
水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)のB−A−B−A型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。合成した水添ブロック共重合体を(c)成分として用いた。該水添ブロック共重合体系樹脂の特性を以下に示す。
結合スチレン量:43質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):75%
数平均分子量(Mnc):98,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MncA):20,000
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MncA):22,000
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:99.9%
下記(d−1)〜(d−4)成分を(d)成分等として用いた。
ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)−水素添加ポリブタジエンのA−B−A−B型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。該水添ブロック共重合体系樹脂(d−1)の特性を以下に示す。
結合スチレン量:17質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):50%
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:99.9%
数平均分子量(Mnd):65,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MndA):5,300
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MndA):5,700
水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)のB−A−B−A型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。該水添ブロック共重合体系樹脂(d−2)の特性を以下に示す。
結合スチレン量:32質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):36%
数平均分子量(Mnd):65,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MndA):9,700
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MndA):9,900
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:99.9%
水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)のB−A−B−A型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。該水添ブロック共重合体系樹脂(d−3)の特性を以下に示す。
結合スチレン量:13質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):75%
数平均分子量(Mnd):150,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MndA):9,900
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MndA):9,600
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:99.9%
ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)のA−B−A型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。該水添ブロック共重合体系樹脂(d−4)の特性を以下に示す。
結合スチレン量:62質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):42%
数平均分子量(Mnd):84,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MndA):25,900
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MndA):26,200
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:99.9%
ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)のA−B−A型の構造を有する水添ブロック共重合体を常法によって合成した。合成した水添ブロック共重合体を(e)成分として用いた。該水添ブロック共重合体の特性を以下に示す。
結合スチレン量:30質量%
水添ブロック共重合体中のポリブタジエン単位における全ビニル結合量(全結合に対する1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合の合計割合):40%
ブロック共重合体のエチレン性二重結合(ポリブタジエン単位における二重結合)に対する水素添加率:45%
数平均分子量(Mne):72,000
ポリスチレンブロック(1)の数平均分子量(MneA):10,700
ポリスチレンブロック(2)の数平均分子量(MneA):11,000
第一原料供給口、第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)及び第三原料供給口を有する二軸押出機(コペリオン社製 ZSK−25)を用い、上記(a)〜(e)の各成分を、表1に示した組成で、押出機の第一〜第三原料供給口に供給して溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。なお、前記二軸押出機は、バレル温度270〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した。得られた樹脂組成物の各物性の評価を以下のとおりに行った。測定結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得た樹脂組成物のペレットを、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で射出成形することにより、引伸び度測定用試験片を作成した。作成した試験片を、ギアオーブンを用い80℃の環境下に24時間静置し熱履歴処理を行った。熱履歴処理を行った試験片について、ISO527に準じて引張伸びを測定した。このとき、試験片10本の引張伸びの値から標準偏差を計算した。
実施例及び比較例で得た樹脂組成物のペレットを、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で射出成形することにより、シャルピー衝撃強度測定用テストピースを得た。得られたテストピースを、ギアオーブンを用い80℃の環境下に24時間静置し熱履歴処理を行った。熱履歴処理後のテストピースについて、23℃及び−40℃環境下にてISO179に準じてシャルピー衝撃強度を測定した。
実施例及び比較例で得た樹脂組成物のペレットを、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で射出成形することにより、50×90×2.5mmの平板試験片を作成した。作成した平板試験片を、ギアオーブンを用い80℃環境下に24時間静置し熱履歴処理を行った。熱履歴処理を行った該平板試験片の中央部分から、射出成形時の樹脂の流動方向(MD方向)及び流動方向に垂直となる方向(TD方向)に、それぞれ10×4×4mmの試験片を切出した。該試験片について、ISO11359−2に準拠して、TMA−7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度=5℃/分、荷重=10mNで、−30〜80℃の線膨張係数を測定した。該測定は、各方向(MD方向、TD方向)につき、3個の異なる試験片を用いて行い、これらの平均値を線膨張係数とした。
実施例及び比較例で得た樹脂組成物ペレットを、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で射出成形することにより、ISO試験片を作製した。当該試験片を粘弾性測定機「EPLEXOR500N(GABO社製)」に装着し、引張りモード、振動周波数が10Hz、静的負荷歪みを0.2%、動的負荷歪みを0.1%、接触荷重を0.5N、昇温速度が3℃/分、温度範囲が−100℃〜160℃の温度掃引モードにおいて測定し、−45℃及び0℃における読み取ったtanδ値からtanδ比(−45℃tanδ/0℃tanδ)を算出した。
Claims (16)
- (a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(c)第一の水
添ブロック共重合体系樹脂、及び(d)第二の水添ブロック共重合体系樹脂を含み、
前記(c)及び(d)成分が、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合
体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとか
らなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体及び/又は該水添ブロ
ック共重合体の変性物であり、
前記(c)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MncA)が、20,000以上22,000以下であり、
前記(d)成分を形成する重合体ブロックAの数平均分子量(MndA)が、5,300以上5,700以下である、樹脂組成物。 - 前記(c)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が45〜90%である、請求項1に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が25%以上70%未満である、請求項1又は2に記載の
樹脂組成物。 - 前記(c)成分が、ビニル芳香族化合物単位を30〜50質量%含む、請求項1〜3の
いずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分が、ビニル芳香族化合物単位を10〜30質量%含む、請求項1〜4の
いずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(c)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が50〜100%である、請求項1〜5
のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が50〜100%である、請求項1〜6
のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(a)及び(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(c)及び(d)
成分の合計含有量が1〜50質量部であり、
前記(a)及び(b)成分の質量比率((a):(b))が、25:75〜99:1で
あり、
前記(c)及び(d)成分の質量比率((c):(d))が、1:99〜99:1であ
る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - (e)第三の水添ブロック共重合体系樹脂をさらに含み、
前記(e)成分の含有量が、前記(a)及び(b)成分の合計含有量100質量部に対
して、1〜15質量部であり、
前記(e)成分が、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロック
Aと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロ
ック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体及び/又は該水添ブロック共重合
体の変性物であり、
前記(e)成分が、ビニル芳香族化合物単位を20〜70質量%含み、
前記(e)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が25%以上60%未満であり、
前記(c)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が80〜100%であり、
前記(d)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が80〜100%であり、
前記(e)成分において、前記ブロック共重合体のエチレン性二重結合(共役ジエン化
合物単位における二重結合)に対する水素添加率が10%以上80%未満である、請求項
1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(c)成分の数平均分子量(Mnc)が、100,000以下である、請求項1〜
9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分の数平均分子量(Mnd)が、100,000以下である、請求項1〜
10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(d)成分中の共役ジエン化合物単位の全結合において、1,2−ビニル結合及び
3,4−ビニル結合の合計割合が40〜60%である、請求項1〜11のいずれか1項に
記載の樹脂組成物。 - 前記(a)成分が、ホモポリプロピレン及び/又はブロックポリプロピレンであり、
前記(a)成分のメルトフローレート(MFR:JIS K7210に準拠し、230
℃、2.16kgの荷重で測定)が0.1〜100g/10分である、請求項1〜12の
いずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 前記(a)成分を含むマトリックス相と、前記(b)成分を含む分散相とを有する、請
求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 下記測定方法により得られる−45℃の損失正接(−45℃tanδ)と、0℃の損失
正接(0℃tanδ)との比(−45℃tanδ/0℃tanδ)が0.41以上である
、請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物;
<損失正接(tanδ)の測定>
樹脂組成物から得られるISO試験片について、粘弾性測定機を用いて、引張りモード、
振動周波数:10Hz、静的負荷歪み:0.2%、動的負荷歪み:0.1%、接触荷重:
0.5N、昇温速度:3℃/分、温度範囲:−100℃〜160℃の温度掃引モードにお
いて測定した際の−45℃及び0℃における損失正接(tanδ)。 - 請求項1〜15のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
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