JP7209553B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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すなわち、本発明は下記のとおりである。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
ポリプロピレン系樹脂(II)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計が30~90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(IV)と、
ポリリン酸メラミン(V)と、
を含有し、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50~99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1~50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)2~20質量部、前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との合計3~15質量部を含み、
前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との含有量の比(IV)/(V)が60/40~5/95であることを特徴とする、樹脂組成物。
[2]
前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との含有量の比(IV)/(V)が60/40~20/80である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記重合体ブロックBにおける前記共役ジエン化合物の1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計が、65~90%であり、かつ前記重合体ブロックBにおける前記共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
リン酸エステル系化合物(VI)を更に含有し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記リン酸エステル系化合物(VI)を5~30質量部含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
タルク(VII)を更に含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)で測定した鉄の含有量が50~1000質量ppmである、[5]に記載の樹脂組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、ポリプロピレン系樹脂(II)と、水素添加ブロック共重合体(III)と、ホスフィン酸塩類(IV)と、ポリリン酸メラミン(V)とを含有し、任意選択的に、リン酸エステル系化合物(VI)、タルク(VII)、成分(I)~成分(III)以外の熱可塑性樹脂(VIII)、成分(I)~成分(VIII)以外のその他の添加剤(IX)を含有する。
本実施形態の樹脂組成物によれば、優れた難燃性を保持しながら、長時間連続成形時のモールドデポジット発生量が少なく、寸法精度に優れた成形体を得ることができる。なお、本実施形態において難燃性に優れるとは、UL94垂直燃焼試験において難燃レベルV-1以上であることを指す。
以下、本実施形態の樹脂組成物の成分について記載する。
本実施形態で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(I)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(I)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下、ウベローデ型粘度管で測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、下記式(3)で表される繰り返し単位構造からなる単独重合体及び/又は下記式(3)で表される繰り返し単位構造を有する共重合体が挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリフェニレンエーテルに、スチレン系重合体及び/又はその誘導体をグラフト化及び/又は付加させたもの等が挙げられる。グラフト化及び/又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリフェニレンエーテル100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態で用いられるポリプロピレン系樹脂(II)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(II)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いて、従来公知の方法により求めることができ、ここで、移動相としては、特に限定されることなく、例えば、o-ジクロロベンゼンを用いることができ、標準物質としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレンを用いることができる。重量平均分子量(Mw)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、プロピレンを繰り返し単位構造とする単独重合体及び/又は共重合体等が挙げられ、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体との混合物が好ましい。
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定することができる。MFRは、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリプロピレンの製造方法の具体例としては、例えば、三塩化チタン触媒又は塩化マグネシウム等の担体に担持されたハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物とを含む重合触媒組成物の存在下で、温度0~100℃、圧力3~100気圧の条件下で、プロピレンを重合する方法等が挙げられる。
上記方法では、重合体の分子量を調整するため、水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、上記方法では、重合系に、上記の重合触媒組成物以外に、得られるポリプロピレンのアイソタクティシティ及び重合系の重合活性を高めるため、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として、更に含めることができる。これらの電子供与性化合物としては、特に限定されることなく、公知のものを用いることができる。電子供与性化合物の具体例としては、例えば、ε-カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホリックトリアミド等のリン酸誘導体;アルコキシエステル化合物;芳香族モノカルボン酸エステル;芳香族アルキルアルコキシシラン;脂肪族炭化水素アルコキシシラン;各種エーテル化合物;各種アルコール類;各種フェノール類等が挙げられる。
上記方法における重合方式としては、バッチ式、連続式いずれの方式としてもよく、重合方法としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒を用いた溶液重合やスラリー重合、更には、無溶媒で、単量体中での塊状重合やガス状重合体中での気相重合方法等としてよい。
変性ポリプロピレンとしては、特に限定されることなく、例えば、上記のポリプロピレンに、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)等をグラフト化又は付加させたもの等が挙げられる。
グラフト化又は付加による質量増加の割合は、特に限定されることなく、変性ポリプロピレン100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態で用いられる水素添加ブロック共重合体(III)としては、特に限定されることなく、例えば、未変性水素添加ブロック共重合体、変性水素添加ブロック共重合体、及び両者の混合物等が挙げられる。成分(III)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
成分(III)は、前述の成分(I)と前述の成分(II)との混和剤又は耐衝撃性付与剤として作用する。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとしては、特に限定されることなく、例えば、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロック等が挙げられる。
なお、重合体ブロックAにおいて「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物単位の含有量が、50質量%超であることを指し、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックAを構成する共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられ、ブタジエン、イソプレン、及びこれらの組み合わせが好ましく、ブタジエンが更に好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。数平均分子量(Mn)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとしては、特に限定されることなく、例えば、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロック等が挙げられる。
なお、重合体ブロックBにおいて「共役ジエン化合物を主体とする」とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物単位の含有量が、50質量%超であることを指し、樹脂組成物の流動性を高める観点から、該含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下としてよい。
重合体ブロックBを構成するビニル芳香族化合物としては、特に限定されることなく、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-tert-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
なお、1,2-ビニル結合量及び3,4-ビニル結合量の合計(全ビニル結合量)とは、水素添加前の重合体ブロックBにおける、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計の、1,2-ビニル結合量と、3,4-ビニル結合量と、1,4-共役結合量との合計に対する割合を指す。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出することができる。
なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
成分(III)には、重合体ブロックA及び重合体ブロックB以外のブロックが含まれていてもよい。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定することができる。
なお、数平均分子量は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めることができる。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出することができる。
なお、水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
変性水素添加ブロック共重合体は、上記の未変性水素添加ブロック共重合体に、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、酸無水物、エステル等)をグラフト化又は付加させたものである。
本実施形態で用いられるホスフィン酸塩類(IV)としては、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態で用いられるポリリン酸メラミン(V)は、メラミンとリン酸とから形成される。例えば、縮合リン酸と呼ばれる縮合度3以上の鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸とメラミンとの等モル付加塩、及び化学式「(C3H6N6・HP03)n(ここでnは縮合度を表し、3以上であり、5以上が好ましい)」で表されるリン酸メラミンの縮合物が挙げられる。
また、ポリリン酸メラミン(V)は、リン酸とメラミン縮合生成物の付加塩であってもよく、上記リン酸とメラミン縮合生成物の全てが付加塩を形成しているものには限られず、これらの混合物であってもよい。リン酸と付加塩を形成するメラミン縮合生成物としては、メレム、メラム、メロン等が挙げられる。
ポリリン酸メラミン(V)の市販品としては、特に限定されることなく、例えば、BASF社製のMelapur 200/70等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、更にリン酸エステル系化合物(VI)を含有することが好ましい。
本実施形態で任意選択的に用いられるリン酸エステル系化合物(VI)としては、特に限定されることなく、樹脂組成物の難燃性向上の効果を有するリン酸エステル化合物全般(リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等)としてよく、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル-ビス(3,5,5’-トリメチル-ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2-エチル-ヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス-(2-エチルヘキシル)-p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス-(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ-(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)-p-トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル-(3-ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2-ナフチルジフェニルホスフェート、1-ナフチルジフェニルホスフェート、ジ(2-ナフチル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
下記式(4)
及び
下記式(5)
で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とするもの好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、更にタルク(VII)を含有することが好ましい。
本実施形態で任意選択的に用いられるタルク(VII)は、化学名が含水珪酸マグネシウムである物質であり、一般的に、SiO2約60%、MgO約30%、結晶水4.8%を主成分とする。
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)~成分(III)以外の熱可塑性樹脂(VIII)としては、特に限定されることなく、例えば、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、成分(III)以外のビニル芳香族化合物-共役ジエン化合物のブロック共重合体、オレフィン系エラストマー等が挙げられる。
本実施形態で任意選択的に用いられる、成分(I)~成分(VIII)以外のその他の添加剤(IX)としては、特に限定されることなく、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、成分(IV)~成分(VI)以外の難燃剤(ポリリン酸アンモニウム系化合物、水酸化マグネシウム、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ホウ酸亜鉛等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、成分(VII)以外の無機又は有機の充填材や強化材(カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ガラス繊維、ガラスフレーク、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
ICP-MSにより測定した樹脂組成物中の鉄の含有量は、樹脂組成物のモールドデポジット発生量をより少なく、より寸法精度に優れた成形品を得る観点から、50~1000質量ppmであることが好ましく、60~900質量ppmであることがより好ましく、70~800質量ppmであることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前述の成分(I)~成分(V)、及び必要に応じて、成分(VI)~成分(IX)を溶融混練することによって製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、成分(I)~成分(V)、及び必要に応じて、成分(VI)~成分(IX)を溶融混練することができる限り、特に限定されない。より詳細には、本実施形態の樹脂組成物の製造方法としては、下記の製造方法が好ましい。
成分(I)の全量、並びに、成分(II)及び成分(III)の全部又は一部を溶融混練して、混練物を得る工程(1-1)と、該工程(1-1)で得られた混練物に対して、成分(IV)及び成分(V)の全部又は一部、並びに、成分(II)及び成分(III)の残部(但し、工程(1-1)で成分(II)及び成分(III)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1-2)と、該工程(1-2)で得られた混練物に対して、成分(IV)及び成分(V)の残部(但し、工程(1-2)で成分(IV)及び成分(V)の全部を用いた場合を除く)を添加し、更に溶融混練して、混練物を得る工程(1-3)と、を含む製造方法。
押出機の種類や規格等は、特に限定されることなく、公知のものとしてよい。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、20以上であることが好ましく、30以上であることが更に好ましく、また、75以下であることが好ましく、60以下であることが更に好ましい。
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物を含む。
本実施形態の樹脂組成物の成形体としては、特に限定されることなく、例えば、自動車部品、電気機器の内外装部品、その他の部品等が挙げられる。自動車部品としては、特に限定されることなく、例えば、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装部品;インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品;自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品;リチウムイオン二次電池部品等が挙げられる。また、電気機器の内外装部品としては、特に限定されることなく、例えば、各種コンピューター及びその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシ、冷蔵庫、エアコン、液晶プロジェクターに用いられる部品等が挙げられる。その他の部品としては、金属導体又は光ファイバーに被覆を施すことによって得られる電線・ケーブル、固体メタノール電池用燃料ケース、燃料電池配水管、水冷用タンク、ボイラー外装ケース、インクジェットプリンターのインク周辺部品・部材、家具(椅子等)、シャーシ、水配管、継ぎ手等が挙げられる。
本実施形態の成形体は、前述の本実施形態の樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
本実施形態の成形体の製造方法としては、特に限定されることなく、例えば、射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形、圧縮成形等が挙げられ、本発明の効果をより効果的に得る観点から、射出成形が好ましい。
2,6-キシレノールを酸化重合して得た、還元粘度(ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液)0.42のポリフェニレンエーテル
なお、還元粘度は、ηsp/c:0.5g/dLのクロロホルム溶液を用いて、温度30℃の条件下、ウベローデ型粘度管で測定した。
MFR=20g/10分、重量平均分子量(Mw)=17万のポリプロピレン単独重合体
なお、MFRは、ISO1133に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。重量平均分子量(Mw)は、GPC(移動層:o-ジクロロベンゼン、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた。
・B-A-B-A型水素添加ブロック共重合体
下記のとおり、合成される重合体
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、ブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:44%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):95,000、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):41,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):53,200、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.06、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2-ビニル結合量):75%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外線分光光度計を用いて測定した。数平均分子量(Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた。分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(移動層:クロロホルム、標準物質:ポリスチレン)を用いて、従来公知の方法により求めた重量平均分子量(Mw)を、前述の数平均分子量(Mn)で除することによって算出した。全ビニル結合量は、赤外分光光度計を用いて測定し、Analytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて算出した。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。
クラリアントジャパン社製「Exolit OP1230」(式(1)に該当)
BASF製「Melapur 200/70」
大八化学社製「E890」(縮合リン酸エステル系化合物)
(VII-i):日本タルク社製「タルクMS」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=14μm、JIS K-8123に準じて測定した白色度=93%)
(VII-ii):竹原化学工業社製「ハイトロンA」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=3μm、JIS K-8123に準じて測定した白色度=93%)
(VII-iii):富士タルク製「RG 319」(レーザー回折法により測定した平均粒子径(D50)=19μm、JIS K-8123に準じて測定した白色度=90%)
・成分(III)以外のA-B-A型水素添加ブロック共重合体
下記のとおり、合成される重合体
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、ブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:65%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):53,500、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):34,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):18,700、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.23、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2-ビニル結合量):9%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%。
なお、ビニル芳香族化合物の含有量、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、全ビニル結合量、水素添加率は、上記成分(III)と同様にして求めた。
(1)難燃性
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度240℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度60℃、射出圧力60MPaの条件で成形し、UL94垂直燃焼試験測定用試験片(1.6mm厚み)を5本作製した。UL94垂直燃焼試験方法に基づいて、これら5本の試験片の難燃性を評価した。10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt1(秒)とし、再び10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt2(秒)とし、各5本について、t1及びt2の平均を平均燃焼時間として求めた。一方、t1及びt2を合わせた10点の燃焼時間のうち最大のものを最大燃焼時間として求めた。そして、UL94規格に基づいて、V-0、V-1、V-2、HBの判定を行った。特に、難燃レベルV-1以上の判定の場合に、望ましい樹脂組成物と判定した。
得られた樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度290℃に設定した小型射出成形機(商品名:IS-100GN、東芝機械社製)に供給し、金型温度70℃、射出圧力70MPa、射出時間60秒、冷却時間15秒の条件で射出成形し、厚さ2mm、縦×横80mm×80mmのシボ付平板の試験片を作製した。
上記条件で連続的に射出成形した後に金型内に付着していた堆積物(MD)の状態を、射出成形50ショット毎に目視にて観察し、MDが確認できるようになったときの射出成形のショット数(MD確認時のショット数)を記録した。MD確認時のショット数が多いほど、モールドデポジット性が良好であり、連続成形時にモールドデポジットが生じにくいと判定した。
また、上記条件で連続的に射出成形500ショットを行った後に金型内に付着していた堆積物を除去する作業を行い、MDの除去容易性の判定を行った。判定は下記判定基準に従って4段階で行った。判定点の点数が小さいほど、モールドデポジット性が良好であり、連続成形時にモールドデポジットが生じにくいと判定した。
<判定基準(「判定点:MDの除去の様子」にて示す)>
1:ティッシュで軽く乾拭きするだけで完全に除去できる
2:ティッシュで強く乾拭きすることで完全に除去できる
3:金型洗浄剤を使用すればすぐに除去できる
4:金型への固着性が強く、金型洗浄剤を使用してもすぐには除去できない
(2)の評価で用いた試験片を用いて、1~10ショット目に得られた10枚の試験片の流動方向の寸法の平均値から、491~500ショット目に得られた10枚の試験片の流動方向の寸法の平均値を引いた差(mm)を算出した。この差が小さいほど、長時間連続成形時の寸法精度に優れると判定した。
(実施例1~11、比較例1~6)
樹脂組成物の製造に用いる溶融混練機として、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK-25)を用いた。押出機のL/Dは、35とした。
二軸押出機の構成は、原料が流れる方向について上流側に第1原料供給口、該第1原料供給口よりも下流に第1真空ベント、真空ベントよりも下流に第2原料供給口、第2原料供給口よりも下流に液添ポンプ、液添ポンプよりも下流に第3原料供給口、第3原料供給口よりも下流に第2真空ベントを備えるものとした。二軸押出機の構成を図1に示す。
また、第2、第3原料供給口における原料の供給方法としては、サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて添加する方法とした。
そして、上記のとおり設定した二軸押出機に、各成分を表1、表2に示す組成で供給し、これらを溶融混練して、ペレット体の樹脂組成物を製造した。混練条件は、押出機バレル温度(第1原料供給口から第2原料供給口まで):320℃、押出機バレル温度(第2原料供給口からダイヘッドまで):320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間とした。
各実施例及び各比較例で得られた樹脂組成物ペレットについて、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製Xシリーズ2)を用いて、鉄含有量(質量ppm)を測定した。なお、検液調製は、まずテフロン(登録商標)製分解容器に樹脂組成物ペレットを秤り取り、高純度硝酸(関東化学製Ultrapure)を加え、マイクロウェーブ分解装置を用いて加圧分解した。得られた分解液を純水でメスアップしたものを検液として測定に供した。
また、各実施例及び各比較例について、前述の測定方法(1)~(3)により物性試験を行った。結果を表1、表2に示す。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、自動車部品、電気機器の内外装部品、その他の部品等として好適に用いられる。
Claims (7)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と、
ポリプロピレン系樹脂(II)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計が30~90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されてなる水素添加ブロック共重合体(III)と、
下記式(1)で表されるホスフィン酸塩
及び
下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩
からなる群より選ばれる少なくとも1種のホスフィン酸塩類(IV)と、
ポリリン酸メラミン(V)と、
を含有し、
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)50~99質量部、前記ポリプロピレン系樹脂(II)1~50質量部、前記水素添加ブロック共重合体(III)2~20質量部、前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との合計3~15質量部を含み、
前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との含有量の比(IV)/(V)が60/40~5/95であることを特徴とする、樹脂組成物。 - 前記ホスフィン酸塩類(IV)と前記ポリリン酸メラミン(V)との含有量の比(IV)/(V)が60/40~20/80である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記重合体ブロックBにおける前記共役ジエン化合物の1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量との合計が、65~90%であり、かつ前記重合体ブロックBにおける前記共役ジエン化合物は、ブタジエンを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- リン酸エステル系化合物(VI)を更に含有し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(I)と前記ポリプロピレン系樹脂(II)との合計100質量部に対して、前記リン酸エステル系化合物(VI)を5~30質量部含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- タルク(VII)を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)で測定した鉄の含有量が50~1000質量ppmである、請求項5に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
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