JP2010270164A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Yoshifumi Araki
祥文 荒木
Hiroaki Furukawa
弘昭 古河
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Abstract

【課題】押出成型性が良好で、製造温度のラチチュードが広く難燃性が良好で、樹脂組成物中の難燃剤がブリードアウトし難い、ABS等の他の樹脂へ成分が移行し難い、接触金属の腐食性が低い、という特性を満足する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含有する樹脂組成物であって、 当該成分(A)乃至(E)の合計量に対し、成分(A):ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が10質量%以上60質量%以下、成分(B):ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が10質量%以上68質量%以下、成分(C):スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が0質量%以上25質量%以下、成分(D):ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)が2質量%以上25質量%以下、成分(E):塩基性化合物の含有量(〈E〉)が0.01質量%以上10質量%以下、である樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
従来から、電線やケーブル等の被覆材料には、脱ハロゲン、低価格、低比重、難燃性、耐熱性、柔軟性、生産性等の各種特性が求められている。
また、電線やケーブルがABS樹脂やポリカーボネート等の家電用のハウジングやケースと接触すると、難燃剤や可塑剤がハウジングやケースに移行してしまい、外観不良の原因となり、問題となっている。
電線やケーブル等の被覆材料として用いられる難燃性樹脂組成物に関しては、従来から種々の提案がなされている。
例えば、ポリフェニレンエーテル15質量部以上〜45質量部未満、スチレン重合体0〜30質量部、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる共重合体を水添して得られる共重合体ブロックを含有する水添共重合体10〜60質量部、及び赤リン、リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ホスホルアミド化合物等のリン系難燃剤3〜40質量部を含有する難燃性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリフェニレンエーテル10質量%以上45質量%未満、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体20質量%以上、スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂0質量%以上、ホスフィン酸金属塩2質量%以上を含有する樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−225477号公報 国際公開第2008/015991号明細書
しかしながら、上記従来技術においては、押出成型性、製造温度のラチチュードが広く難燃性が良好、樹脂組成物中の難燃剤のブリードアウト、ABS樹脂等の他の樹脂への成分の移行の問題、及び接触金属の腐食性といった全ての特性を満足する樹脂組成物は提案されていない。
そこで本発明においては、(1)押出成型性が良好で、(2)製造温度のラチチュードが広く難燃性が良好で、(3)樹脂組成物中の難燃剤がブリードアウトし難い、(4)ABS等の他の樹脂へ成分が移行し難い、(5)接触金属の腐食性が低い、という特性を満足する樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)、成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)、成分(C)スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)、成分(D)ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)、成分(E)塩基性化合物の含有量(〈E〉)を、それぞれ特定することにより、押出成型性が良好で、製造温度のラチチュードが広く、樹脂組成物中の難燃剤がブリードアウトし難く、ABS等の他の樹脂へ成分が移行し難く、難燃性が高く、さらには接触金属の腐食性が低い、優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
詳しくは以下のとおりである。
〔1〕下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含有する樹脂組成物であって、
当該成分(A)乃至(E)の合計量に対し、
成分(A):ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が10質量%以上60質量%以下、
成分(B):ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が10質量%以上68質量%以下、
成分(C):スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が0質量%以上25質量%以下、
成分(D):ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)が2質量%以上25質量%以下、
成分(E):塩基性化合物の含有量(〈E〉)が0.01質量%以上10質量%以下、
である樹脂組成物を提供する。
〔2〕前記成分(C)スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が、3質量%以上20質量%以下である前記〔1〕に記載の樹脂組成物を提供する。
〔3〕前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が12質量%以上45質量%以下、前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が20質量%以上65質量%以下、である前記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物を提供する。
〔4〕前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体が、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)と、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体ブロック(B2)とを有し、かつ、前記水添共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位が20質量%以上である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〔5〕前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の粘弾性測定から得られるtanδピーク温度が、−25℃以上25℃以下の範囲にある前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物を提供する。
〔6〕前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体中のビニル芳香族単量体単位が35質量%以上80質量%以下である前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〔7〕前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)、前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が、下記式(1)を満たす前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〈B〉>〈A〉・・・(1)
〔8〕前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)、前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が、 下記式(2)を満たす前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〈B〉>1.5×〈A〉・・・(2)
〔9〕JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度が、95°以下である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〔10〕リン系難燃剤として、成分(F)リン酸エステル化合物をさらに含有する前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〔11〕リン系難燃剤として、成分(G)窒素基含有化合物をさらに含有する前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の樹脂組成物を提供する。
〔12〕前記成分(G)窒素基含有化合物として、ポリリン酸メラミンを含有する前記〔11〕に記載の樹脂組成物を提供する。
〔13〕前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の樹脂組成物により構成されている被覆材料を提供する。
本発明によれば、押出成型性が良好で、製造温度のラチチュードが広く難燃性が良好で、樹脂組成物中の難燃剤がブリードアウトし難く、ABS等の他の樹脂へ成分が移行し難く、接触金属の腐食性が低い、優れた特性の樹脂組成物が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について説明するが、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含有し、当該成分(A)乃至(E)の合計量に対し、
成分(A):ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が10質量%以上60質量%以下、
成分(B):ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が10質量%以上68質量%以下、
成分(C):スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が0質量%以上25質量%以下、
成分(D):ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)が2質量%以上25質量%以下、
成分(E):塩基性化合物の含有量(〈E〉)が0.01質量%以上10質量%以下、
である樹脂組成物である。
(成分(A))
成分(A)は、ポリフェニレンエーテルであり、下記一般式〔a〕及び/又は〔b〕を繰り返し単位としている。
Figure 2010270164
成分(A)であるポリフェニレンエーテルは、前記〔a〕、〔b〕の単独重合体、又は共重合体のいずれでもよい。
なお、式〔a〕、〔b〕中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素からなる群から選ばれるいずれかの一価の基の残基であり、R5、R6は、同時に水素ではない。
単独重合体よりなるポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
共重合体よりなるポリフェニレンエーテルとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられ、フェニレンエーテル構造を主体とするポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。
なお、上記「主体とする」とは、フェニレンエーテル構造の含有量が60質量%以上であることを意味する。
また、成分(A)であるポリフェニレンエーテル中には、発明の主旨に反しない限り、従来からポリフェニレンエーテル中に存在させてもよいものとされているフェニレンエーテル構造を、部分的に含有されていてもよい。
例えば、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
また、成分(A)であるポリフェニレンエーテルとしては、ポリフェニレンエーテルの主鎖中に、ジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
さらに、例えば特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含む。
さらに、成分(A)であるポリフェニレンエーテルは、上述したポリフェニレンエーテルに、スチレン化合物がグラフトした共重合体であってもよい。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等をポリフェニレンエーテルにグラフト重合させて得られる共重合体が挙げられる。
また、本実施形態における樹脂組成物の、リンを有する難燃剤に対する耐ブリード性や耐熱性を向上させるため、上述したポリフェニレンエーテルは、極性基を有する変性剤により変性されたものであってもよい。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合又は三重結合、少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基あるいはグリシジル基等からなる群から選ばれる少なくともいずれかを有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
成分(A)であるポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、本実施形態の樹脂組成物において、優れた難燃性を得、かつ高い耐熱性を得るために、3000以上が好ましく、生産性の点で40000以下が好ましい。
成分(A)であるポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、10000〜40000の範囲がより好ましく、20000〜30000の範囲がさらに好ましい。
なお、成分(A)は、加工性等の改良を図るために、数平均分子量が異なる2種以上のポリフェニレンエーテルの混合物であってもよいが、混合物の数平均分子量が、上記範囲内であることが好ましい。
成分(A)であるポリフェニレンエーテルの含有量〈A〉は、ポリフェニレンエーテルの成分(A)、後述する成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)の合計量に対し、本実施形態における樹脂組成物の難燃性、耐熱性、及び耐ブリード性を確保する観点から10質量%以上であるものとし、本実施形態における樹脂組成物の生産性、柔軟性、及び低比重性を確保する観点から60質量%未満とする。
成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量〈A〉は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)の合計量に対し、15質量%〜40質量%の範囲が好ましく、15質量%〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が低比重であると、軽量化が可能となり、体積に対するコスト削減の観点から有利である。
(成分(B))
成分(B)は、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体(以下、水添共重合体(B)と言うこともある。)である。
ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体とは、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする共重合体の水添物である。
ここで、「主体とする」とは、当該水添共重合体中のビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位の含有量が60質量%以上であることを意味する。
水添共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位の含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
ビニル芳香族単量体としては、以下の例に限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの単量体が挙げられる。特にスチレンが好ましい。
共役ジエン単量体単位としては、以下の例に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。耐ブリード性の点で、ブタジエンが好ましい。
上述した水添共重合体(B)の水添率は、生産性の点で、共役ジエン中の2重結合中の50mol%以上であることが好ましく、70mol%以上がより好ましく、85mol%以上がさらに好ましく、95mol%以上がさらにより好ましい。
上記水添共重合体(B)の重量平均分子量は、本実施形態の樹脂組成物の耐熱性の点で、5万以上が好ましく、生産性や柔軟性の点で、40万以下が好ましい。7万〜30万の範囲がより好ましく、12万〜25万の範囲がさらに好ましい。
さらに、本実施形態の樹脂組成物の難燃性の観点で、水添共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、35質量%以上であることが好ましく、高い柔軟性や生産性の観点で、80質量%以下であることが好ましく、40質量%〜70質量%の範囲がより好ましく、50質量%〜65質量%の範囲がさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物を、電線やケーブルの被覆材として使用する場合には、十分な柔軟性を有していることが必要とされるが、このような柔軟性を確保する観点から、上記水添共重合体(B)は、動的粘弾性測定において、tanδのピークが、−25℃から25℃の範囲に存在することが好ましく、−20℃から15℃の範囲に存在することがより好ましく、−15℃から10℃の範囲に存在することがさらに好ましい。
水添共重合体(B)の、成分(A)、(B)、後述する成分(C)、(D)、(E)の合計量に対する含有量〈B〉は、本実施形態の樹脂組成物の柔軟性、生産性、及び低比重性の観点から10質量%以上とし、難燃性、生産性、耐ブリード性の観点から68質量%以下とする。上記含有量〈B〉は、20質量%以上65質量%以下が好ましく、40質量%以上62質量%以下がより好ましい。
また、成分(A)、(B)、後述する成分(C)、(D)、(E)の合計量に対する成分(A)の含有量〈A〉を12質量%以上45質量%以下とし、かつ成分(B)の含有量〈B〉を20質量%以上65質量%以下とすることにより、本実施形態の樹脂組成物は、難燃性と柔軟性とのバランスに優れたものとなる。
さらに、本実施形態の樹脂組成物の柔軟性、生産性、低比重性の観点から、上述したポリフェニレンエーテルの含有量〈A〉と、水添共重合体の含有量〈B〉との関係は、〈A〉<〈B〉を満たすことが好ましく、1.5×〈A〉<〈B〉がより好ましく、2×〈A〉<〈B〉がよりさらに好ましく、2.5×〈A〉<〈B〉がさらにより好ましい。
水添共重合体(B)は、下記の方法により得られる。
すなわち、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤として、スチレンを重合させ、次に、スチレンとブタジエンとを共重合させる。さらに、必要に応じてこの操作を繰り返して行う。このとき、重合系内に適当なカップリング剤を有機リチウム化合物に対して、所定量添加してもよい。これにより未水添の共重合体が得られる。
その後、反応溶液に水、アルコール、酸等を添加して活性種を失活させる。
次に、共役ジエン中の不飽和二重結合を公知の方法で水素添加する。
続いて、溶液を例えばスチームストリッピング等を行うことにより重合溶媒を分離し、乾燥処理を施すことにより、水添共重合体(B)が得られる。
水添共重合体(B)には任意の酸化防止剤を添加してもよい。
さらに、本実施形態の樹脂組成物の耐ブリード性、耐熱性及び機械的強度の観点から、水添共重合体(B)中には、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)を1つ以上含有することが好ましく、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)を2つ以上含有することがより好ましい。
なお、上記「主体とする」とは、重合体ブロック(B1)におけるビニル芳香族単量体単位の含有量が、60質量%以上であることを意味する。
また、本実施形態の樹脂組成物の、耐ブリード性、耐熱性及び機械的強度の観点から、水添共重合体(B)中における前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)の含有量は5質量%以上が好ましい。本実施形態の樹脂組成物の柔軟性や生産性の観点からは、40質量%以下とすることが好ましい。
水添共重合体(B)中における前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)の含有量は10質量%〜30質量%の範囲がより好ましく、10質量%〜25質量%の範囲がさらに好ましい。
上記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)とは、重量平均分子量が2000以上であるものとし、本実施形態の樹脂組成物の耐ブリード性、耐熱性及び機械的強度の観点から、4000以上が好ましく、生産性や柔軟性の観点から70000以下が好ましい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)の重量平均分子量は、6000〜50000の範囲がより好ましく、10000〜20000の範囲がさらに好ましい。
上記水添共重合体(B)中の上記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)の含有量は、四酸化オスミウムを触媒として、水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム酸法」ともいう。)により得たビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量重量(ただし、平均重合度が約25以下のビニル芳香族化合物重合体は除かれている)を用いて、下記式により定義できる。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする化合物重合体ブロックの含有量(質量%)=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量/水素添加前の共重合体の質量)×100
本実施形態の樹脂組成物の柔軟性や難燃性の観点から、上記水添共重合体(B)中には、 ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体ブロック(B2)(以下、単に水添共重合体ブロック(B2)と言うこともある。)が含有されていることが好ましい。
なお、上記「主体とする」とは、水添共重合体ブロック(B2)におけるビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位の含有量が、60質量%以上であることを意味する。
上記水添共重合体(B)中の、ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体ブロック(B2)の含有量は、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
さらに、本実施形態の樹脂組成物の難燃性及び柔軟性の観点から、上記水添共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、20質量%以上が好ましく、樹脂組成物の柔軟性の観点から95質量%以下が好ましい。上記水添共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、35質量%以上90質量%以下がより好ましく、45質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。
水添共重合体ブロック(B2)部分を製造する方法については、特に限定されるものではないが、例えば、アニオン重合において、ビニル芳香族単量体及び共役ジエン単量体を同時に添加し共重合する方法が挙げられる。
上述した水添共重合体(B)の好ましい構造例を、下記の一般式に示す。
(B1−B2)n 、B1−(B2−B1)n 、B1−(B2−B1)n −B2、
[(B1−B2)km−X 、[(B1−B2)k−B1]m−X
上記一般式中、Xは、例えば、四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を表す。
m、n、kは、1以上の整数を表し、1〜5の整数であることが好ましい。
水添共重合体(B)中に重合体ブロックB1、B2が複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし異なっていてもよい。
各重合体ブロック(B1)、(B2)中の、ビニル芳香族単量体単位の分布は、前記ビニル芳香族化合物含有量の範囲であるならば、特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
また、各重合体ブロック(B1)、(B2)中には、ビニル芳香族化合物含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
各重合体ブロック(B1)、(B2)中の共役ジエン単位のビニル結合の分布は特に限定されない。
また、共役ジエン単位の水素添加率の分布は特に限定されない。
(成分(C))
本実施形態の樹脂組成物には、耐熱性、生産性、及び経済性の改善を図るため、成分(C)として、スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂を含有することができる。
スチレン樹脂とは、スチレン化合物、スチレン化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在下又は非存在下で重合して得られる重合体である。
スチレン化合物は、下記一般式〔c〕で示される。
Figure 2010270164
上記一般式〔c〕中、Rは、水素、低級アルキル、ハロゲンのいずれかを示す。
Zは、ビニル、水素、ハロゲン及び低級アルキルよりなる群から選択されるいずれかを示す。
pは、0〜5の整数である。
スチレン化合物としては、以下に示すものに限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。
スチレン化合物と共重合可能な化合物としては、以下に示すものに限定されないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
また、ゴム質重合体としては、以下に示すものに限定されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物とのコポリマー、又はこれらの水添物、エチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。
好適なスチレン樹脂は、ポリスチレン及びゴム強化ポリスチレンである。
オレフィン樹脂としては、公知の材料が適用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン等のオレフィン系モノマーの単独重合体やエチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のオレフィン系モノマーを含む共重合体等が挙げられ、低結晶性ポリプロピレン及びエチレン−α−オレフィン系共重合体が好ましい。
成分(C)であるスチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂は、常温で液状成分でもよい。
成分(C)であるスチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂(C)の、上述した成分(A)、上述した成分(B)、当該成分(C)、後述する成分(D)、成分(E)の合計量に対する含有量〈C〉は、本実施形態の樹脂組成物の生産性の観点から、3質量%以上が好ましく、難燃性の観点から25質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましく、8質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
(成分(D))
成分(D)は、ホスフィン酸金属塩であり、下記に示す式(I)のホスフィン酸塩及び下記に示す式(II)のジホスフィン酸塩のいずれも含む。
Figure 2010270164
上記式(I)、(II)中、R1 及びR2は、互いに同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は枝分かれした、C1〜C6−アルキル及び/又はアリールである。
3 は、直鎖状又は枝分かれしたC1 〜C10−アルキレン、C6 〜C10−アリーレン、−アルキルアリーレン、−アリールアルキレンからなる群から選ばれるいずれかである。
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/又はプロトン化窒素塩基からなる群から選ばれるいずれかである。
mは、1〜4の整数である。
nは、1〜4の整数である。
xは、1〜4の整数である。
成分(D)であるホスフィン酸金属塩としては、入手が容易という観点から、亜鉛塩、アルミニウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、鉄塩からなる群から選ばれるいずれかが好ましくアルミニウム塩がより好ましい。
ホスフィン酸金属塩(D)には、その凝集物及び/又は一次粒子に、ビニルピロリドン、酢酸ビニル又はビニルカプロラクタム又はそれの混合物をベースとするポリマー又はコポリマー、及び/又はエポキシド類、ウレタン、アクリレート、エステル、アミド、ステアレート、オレフィン、セルロース誘導体又はそれらの混合物をベースとするポリマー又はコポリマーである助剤が添加されていてもよい。
ホスフィン酸金属塩(D)は、平均粒子径が、取扱い性の観点から、0.2μm以上が好ましく、難燃性や製品表面の平滑性の観点から50μm以下が好ましい。
ホスフィン酸金属塩(D)の平均粒子径は、0.5μm以上40μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下がさらに好ましい。
ホスフィン酸金属塩(D)の、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)、当該成分(D)、後述する成分(E)の合計量に対する含有量は、本実施形態の樹脂組成物の難燃性の観点から、2質量%以上とする。
一方、柔軟性、生産性及び経済性の点で25質量%以下が好ましく、3質量%〜15質量%の範囲がより好ましく、4質量%〜12質量%の範囲がさらに好ましい。
(成分(E))
成分(E)は、塩基性化合物である。
成分(E)の塩基性化合物は、塩基性であれば、特に限定されるものではないが、腐食性を抑制する観点から、周期律表第IIA族元素及びアルミニウムから選ばれる1種以上の元素の水酸化物、酸化物から選ばれる1種以上が好ましい。
例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の水酸化物、酸化物が挙げられる。
さらには、添加量による腐食性の抑制の効率の観点から、周期律表第IIA族元素及びアルミニウムから選ばれる1種以上の元素の水酸化物が好ましく、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の水酸化物が挙げられる。
これらの中でも、成分(E)の塩基性化合物としては、添加量による腐食性の抑制効果、難燃性、耐リフロー性の観点から、水酸化カルシウム及び/又は酸化カルシウムが好ましく、水酸化カルシウムがより好ましい。
塩基性化合物(E)の、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、当該成分(E)の合計量に対する含有量は、製造温度のラチチュード(製造温度を高くできる)や、本実施形態の樹脂組成物の腐食性を抑制する観点から、0.01質量%以上であるものとし、押出加工性、射出成型安定性、吸水後に高温リフロー炉中での外観変化が小さい(耐リフロー炉性)観点から、10質量%以下とする。
成分(E)の、成分(A)〜(E)の合計量に対する含有量は、0.08質量%以上7質量%以下が好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がより好ましい。
塩基性化合物(E)の数平均粒子径は、特に限定されるものではないが、50nm〜100μm範囲が好ましく、より好ましくは100nm〜25μmであり、さらに好ましくは100nm〜10μmであり、さらにより好ましくは100nm〜5000nmである。
塩基性化合物(E)は、上述した(D)ホスフィン酸塩類や、後述する(F)のリン酸エステル等に由来すると考えられる腐食性成分との反応性の観点からは、微分散していることが好ましいが、数平均粒子径100nm〜25μmの塩基性化合物(E)を用いると、吸水後の樹脂組成物の耐リフロー炉性や、腐食抑制効果について、さらなる効果が得られる。
なお、塩基性化合物(E)の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡等により写真撮影し、粒子径を実測することにより求める。
具体的には、測定する粒子の個数は450個から550個とする。粒子径の測定は適宜拡大した写真を用い、手作業にて測定してもよいし、適当な画像処理装置を用い半自動的に測定してもよい。
塩基性化合物(E)としては、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムが好ましいものとして挙げられるが、これについて説明する。
水酸化カルシウム(Ca[OH]2)の純度は、本実施形態の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる純度であってもよい。
一般的に流通している水酸化カルシウムとしては、消石灰が挙げられる。消石灰は、日本工業規格において工業用石灰(JIS R9001:2006)として、種々の特性が規定されている。水酸化カルシウムとして工業用石灰を用いる場合の、消石灰中の好ましい酸化カルシウムの純度は、工業用消石灰2号以上の純度である。
水酸化カルシウムは、酸化カルシウムと水とが反応することにより得られるため、JIS R9001:2006においては、水酸化カルシウムの純度は、酸化カルシウムの含有量をもって表される。好ましい純度は、消石灰中に酸化カルシウムとして65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは72.5質量%以上であり、さらにより好ましくは75質量%以上である。
工業用消石灰に含まれる、他の成分としては、CO2、SiO2、Al23、Fe23、MgO等が挙げられる。これらの中でも、SiO2、Al23、Fe23、MgOの合計の含有量は、消石灰中において10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の機械的特性の低下を抑制するためには、これらの無機不純物濃度を低く抑制することが好ましい。
水酸化カルシウムの粒子径としては、JIS R9001:2006で定義される590μmの粉末度残分が実質的に無いものが好ましい。
より好ましくは149μmの粉末度残分が15質量%以下のものであり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらにより好ましくは5質量%以下である。
水酸化カルシウムの平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5000nm以下がさらにより好ましい。
水酸化カルシウムの平均粒子径の下限値としては、50nm以上であれば、問題無く使用できる。但し、顆粒化処理等により取扱い性を高めた場合においては、50nm以下の平均粒子径のものも好ましく使用可能である。
上記特性は、工業用消石灰2号以上であれば、満足する可能性があるが、純度、数平均粒子径及び特異的な反応性を有する水酸化カルシウムとして、高反応性水酸化カルシウムと呼ばれる、BET比表面積が30m2/g以上の水酸化カルシウムや、BET比表面積が30m2/g以上で、かつ平均粒子径が5000nm以下の超微粒子水酸化カルシウムが有効である。
酸化カルシウム(CaO)の純度は、本実施形態の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる純度でもよい。
一般的に流通している酸化カルシウムとしては、生石灰が挙げられる。
生石灰は、日本工業規格において、工業用石灰(JIS R9001:2006)として種々の特性が規定されている。
酸化カルシウムとして、工業用生石灰を用いる場合、当該生石灰中の好ましい酸化カルシウムの純度は、工業用消石灰2号以上の純度である。好ましい純度は、消石灰中に酸化カルシウムとして80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは93質量%以上であり、さらにより好ましくは95質量%以上である。
工業用生石灰に含まれる、他の成分としては、CO2、SiO2、Al23、Fe23、MgO等が挙げられるが、これの中でも、SiO2、Al23、Fe23、MgO合計の含有量は、生石灰中において10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることがさらにより好ましい。
樹脂組成物の機械的特性や、難燃性の低下を抑制するためには、これら無機不純物濃度を低く抑制することが好ましい。
酸化カルシウムの平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることがさらにより好ましい。
酸化カルシウムの平均粒子径の下限値としては、50nm以上であれば、特に問題無く使用できる。
高い腐食抑制効果を発現し、かつ樹脂組成物の高い機械的強度を維持するため、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、取扱性を確保するために、平均粒子径は50nm以上であることが好ましい。ただし、例えば、顆粒化処理等により取扱い性を高めた場合においては、50nm以下の平均粒子径のものも好ましく使用できる。
(成分(F)、成分(G))
本実施形態の樹脂組成物には、難燃性、生産性、低価格性を向上させることを目的として、ホスフィン酸金属塩(D)以外のリン系難燃剤を併用してもよい。
このようなリン系難燃剤として、成分(F)リン酸エステル化合物、成分(G)窒素基含有化合物が挙げられる。
このような、ホスフィン酸金属塩(D)以外のリン系難燃剤の、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)の合計量に対する含有量は、1質量%以上が好ましく、耐ブリード性の点で25質量%以下が好ましく、2質量%〜10質量%の範囲がより好ましく、2質量%〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
ホスフィン酸金属塩以外のリン系難燃剤としては、赤リン、リン酸エステル、ホスファゼン化合物、窒素基含有化合物であるホスホルアミド化合物及びトリアジン環等を有する化合物等が挙げられる。
このなかでも、高い難燃性や経済性の点で、リン酸エステルや、窒素基含有のリン系難燃剤が好ましい。
リン酸エステルとしては、以下のものに限定されないが、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5’−トリメチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)−p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)−p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン−ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン−ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルホスフェート、1−ナフチルジフェニルホスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート等が挙げられる。
特に、トリフェニルホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)、CR741)、レゾルシン−ビス(ジキシレニルルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)、PX200)等のレゾルシン類及びビスフェノールA類のリン酸エステル化合物は、生産性、揮発性、耐熱性の観点から好ましい。
窒素基含有のリン系難燃剤としては、トリアジン環を有するポリリン酸メラミンが挙げられる。
ポリリン酸メラミンは、メラミンとリン酸から形成される。例えば縮合リン酸と呼ばれる鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸とメラミンとの等モル付加塩が挙げられる。
これらのポリリン酸の縮合度(n)には、特に制限はなく、通常3〜50の範囲であり、5〜30のものが一般的である。
ポリリン酸メラミンの粒子径は、難燃性と分散性との観点から、0.1μm以上40μm以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、生産性、柔軟性、難燃性、及び低比重性の観点から、上述した成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計量が、本実施形態の樹脂組成物中の65質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがさらにより好ましい。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物を構成するその他の成分としては、後述する難燃助剤、その他の添加剤が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃助剤として公知のドリップ防止剤を、好ましくは0.1質量%〜5質量%の範囲、より好ましくは、0.3質量%〜3質量%の範囲で含有したものとすることができる。
ドリップ防止剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等に代表されるポリフェニレンエーテル中でフィブリル構造を形成するものが挙げられる。
前記PTFEの中でも、分散性に優れたもの、例えば、水等の溶液にPTFEを乳化分散させたもの、又、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂等でPTFEをカプセル化処理したものは、変性ポリフェニレンエーテルからなる成形体に、よい表面外観を与えるので好ましい。
水等の溶液にPTFEを乳化分散させたものの場合、特に制限はないが、PTFEの平均粒子径は1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
このようなPTFEとしての具体例としては、テフロン(登録商標)30J(三井デュポンフルオロケミカル(株))、ポリフロン(登録商標)D−2C(ダイキン化学工業(株))、アフロン(登録商標)AD1(旭硝子(株))等が挙げられる。
また、このようなPTFEは、公知の方法によって製造できる(米国特許第2393967号明細書参照)。具体的には、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウム又はアンモニウム等の遊離基触媒を使用して、水性の溶媒中において、0.7〜7MPaの圧力下で、0〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度条件下で、テトラフルオロエチレンを重合させる。これにより、ポリテトラフルオロエチレンを白色の固体として得られる。
PTFEは、分子量が10×104以上が好ましく、20×104〜300×104程度のものがより好ましい。
PTFEを配合することにより、本実施形態の樹脂組成物は、燃焼時のドリップが効果的に抑制される。
さらに、ポリテトラフルオロエチレンとシリコーン樹脂とを併用すると、ポリテトラフルオロエチレンのみを添加したときに比べて、さらにドリップ抑制効果が向上し、しかも燃焼時間を短くすることができる。
また、必要に応じて、ポリアミド、ポリエステル及びポリカーボネート等の熱可塑性樹脂やその他の添加剤をブレンドしてもよい。
その他の添加剤としては、ゴム状重合体等、一般的に配合されるものであれば特に限定はない。例えば「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に記載された添加剤も用いられる。
具体的には、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、液状共役ジエン、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体、液状ポリブテン、セバチン酸エステル、フタル酸エステル;酸化鉄等の金属酸化物の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、リン系以外の難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、カーボンブラック、炭素繊維;金属ウィスカ等の補強剤、着色剤等が挙げられる。
生産性の観点から、炭化水素油を添加剤とすることが好ましい。
上述した添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔樹脂組成物の物性〕
本実施形態の樹脂組成物は、特に柔軟性が要求される用途に有用である。
柔軟性の指標として、ショアーA硬度が用いられる。
その値としては95°以下が好ましく、90°以下がより好ましい。
また、別の柔軟性の指標として、引張測定(JIS K6251、試料厚み2mm、引張速度500cm/分)における100%引張時の強度が、300kg/cm2以下であることが好ましく、150kg/cm2以下であることが好ましく、90kg/cm2以下であることがさらに好ましい。
樹脂組成物の硬度は、例えば、樹脂組成物中のビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体(B)の含有量を増加させたり、当該水添共重合体(B)中の共役ジエン単量体単位の含有量を増加させたり、あるいは可塑剤を添加したりすることにより下げることができる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物の製造方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法が利用できる。
例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法等が適用できる。
ポリフェニレンエーテルは流動性が低いため、本実施形態の樹脂組成物を製造する際には、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂(C)を、予め混合しておくことが好ましい。優れた耐ブリード性を得る観点から、スチレン樹脂を混合することがより好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル(A)とスチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂(C)との混合の際に、上述したホスフィン酸金属塩(D)、塩基性化合物(E)、ホスフィン酸金属塩以外のリン系難燃剤(F)を添加してもよい。
ホスフィン酸金属塩(D)、塩基性化合物(E)、ホスフィン酸金属塩以外のリン系難燃剤(F)や顔料等の一部あるいは全部を予め混練したもの、すなわちマスターバッチを用いてもよい。
〔樹脂組成物の用途〕
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性が必要とされる用途に有効である。
例えば、電気・電子・OA機器部品、光学部品等に使用でき、その大きさや形状については特に制限されるものではなく、例えば、電源プラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート等が挙げられる。
特に、電線やケーブルの被覆材料等の分野に好適に適用できる。
以下、本発明の実施例と、比較例を挙げて具体的に説明する。
実施例及び比較例に適用した、物性の測定方法、評価方法について下記に示す。
(1)樹脂物性の評価
(1−1)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の結合単位含有量
スチレン単量体単位、ブタジエンの1,4−結合単位及び1,2−結合単位、エチレン単位あるいはブチレン単位量は、下記条件にて核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定した。
測定機器:JNM−LA400(JEOL製、商品名)
溶媒:重水素化クロロホルム
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
(1−2)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体のスチレン重合体ブロック含有量
スチレン重合体ブロック含有量は、未水添の共重合体を用いて、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。
未水添の共重合体の分解にはオスミウム酸の0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。
(1−3)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の重量平均分子量及び分子量分布
下記条件で、ポリスチレン換算分子量として、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置:LC-10(島津製作所製、商品名)、
カラム:TSKgelGMHXL(内径4.6mm×30cm)2本
オーブン温度:40℃、
溶媒:テトラヒドロフラン(1.0mL/min)
(1−4)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の損失正接(tanδ)のピーク温度
下記条件で、粘弾性スペクトルを測定することにより求めた。
装置:粘弾性測定解析装置(型式DVE−V4、レオロジー社製)
ひずみ:0.1%、
周波数:1Hz
(2)難燃性樹脂組成の調製
(2−1)ポリフェニレンエーテル(A)
ポリフェニレンエーテル:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルパウダーP401(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を用いた。
(2−2)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体(B)の製造
(2−2−1)水添触媒の調製
ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする共重合体の水素添加反応に用いた水素添加触媒は下記の方法により調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
(2−2−2)水添共重合体(B−1)の製造
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケットを具備する槽型反応器を使用し、バッチ重合を行った。
先ず、シクロヘキサン6.4L、スチレン150gを加え、予めN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を、後述するn−ブチルリチウムのLiモル数の0.35倍モルになるように添加し、n−ブチルリチウムのLiのモル数が13.0ミリモルとなるように添加した。
初期温度65℃として重合反応を行い、重合終了後、ブタジエン430gとスチレン420gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。
重合終了後、安息香酸エチルをn−ブチルリチウムのLiモル数の0.65倍モルになるように添加して共重合体を得た。
得られた共重合体のスチレン含有量は、57質量%、共重合体中のスチレンを主体とする重合体ブロックの含有量は、15質量%、スチレン及びブタジエンを主体とする水添共重合体ブロック中のスチレン含有率が49質量%、ブタジエン中の1,2−結合単位は、22%であった。
得られた共重合体に、上記水素添加触媒を、ポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度75℃で水素添加反応を行った。
得られたポリマー溶液に、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られた水添共重合体の重量平均分子量は、19×104で、水添共重合体中に含まれるブタジエンの二重結合中の水素添加率は99%であった。
また、粘弾性測定により得られたtanδピークが、0℃に存在した。
(2−2−3)水添共重合体(B−2)の製造
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケットを具備する槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
先ず、シクロヘキサン6.4L、スチレン80gを加え、予めTMEDAを後述するn−ブチルリチウムのLiモル数の0.25倍モルになるように添加し、n−ブチルリチウムのLiのモル数として10ミリモルとなるように添加した。
初期温度65℃で重合反応を行い、重合終了後、ブタジエン490gとスチレン360gとを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を、60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。
この重合終了後、スチレン70gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を10分間かけて添加して共重合体を得た。
得られた共重合体のスチレン含有量は、51質量%、共重合体中のスチレンを主体とする重合体ブロックの含有量は15質量%、スチレン及びブタジエンを主体とする水添共重合体ブロック中のスチレン含有率が42質量%、ブタジエン中の1,2−結合単位は、22%であった。
得られた共重合体に、上記水素添加触媒をポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度75℃で水素添加反応を行った。
得られたポリマー溶液に、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。
得られた水添共重合体の重量平均分子量は16万であり、水添共重合体中に含まれるブタジエンの二重結合中の水素添加率は99%であった。また、粘弾性測定により得られたtanδピークが、−13℃に存在した。
(2−3) 成分(C)のスチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂
スチレン樹脂:ポリスチレン(グレード名:PS1、旭化成製、商品名)
オレフィン樹脂:ポリプロピレン(グレード名:SA510、日本ポリオレフィン製、商品名)
(2−4)成分(D)のホスフィン酸金属塩
ホスフィン酸アルミニウム(グレード名:エクソリットOP930、クラリアント社製、商品名)
(2−5)成分(E)の塩基性化合物
微粒子水酸化カルシウム:カルテック(鈴木工業(株)製、商品名、平均粒子径:5.0μm、純度99%)
(2−6)成分(F)
リン酸エステル:CR−733(レゾルシン-ビス(ジフェニルホスフェート)、大八化学製、商品名)
ポリリン酸メラミン:MELAPUR200/70(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名)
(3)樹脂組成物及び被覆電線の製造
下記表1に示す配合割合に従い、各成分を仕込み、30mmφ2軸押出機を用いて混練温度260℃、回転数250rpmにて溶融混合して、ペレットとして樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物のペレットを用いて、温度270℃、線速度200m/分又は150m/分で、銅線1.2φmm、外径2φmmの被覆電線を製造した。
(4)樹脂組成物の実用物性の評価方法
(4−1)押出成型性
上記(3)において作製した被覆電線の表面の滑らかさを目視により下記基準で評価した。
<評価基準>
◇:線速度200m/分で製造した被覆電線の表面が非常に滑らかもの
○:線速度150m/分で製造した被覆電線の表面が滑らかなもの
×:表面が粗面化したもの
(4−2)耐ブリード性
耐ブリード性の測定用サンプルとして、上記(3)において作製した樹脂組成物のペレットのプレス成型体を製造した(圧力100kg/cm2、厚み1mm)。
上記サンプルを、5℃、20℃、40℃の温度条件下で、7日間放置した後、サンプルの表面を観察し、下記基準により評価した。
<評価基準>
○:どの温度でも難燃剤がブリードしていないもの
×:上記3種の条件のうち、いずれか一つでもブリードしたことが確認されたもの
(4−3)ABS等の他の樹脂への耐成分移行性
耐成分移行性の測定用サンプルとして、上記(3)において作製した樹脂組成物のペレットのプレス成型体を製造した(2.5mm×50mm×2.0mm)。
プレス圧力は、圧力100kg/cm2とした。
ABS樹脂の射出成型体上に、上記のようにして作製したサンプルを重ね、荷重1kg下、60℃、48時間後の接触部のABS面を目視で観察し、下記の基準により評価した。
<評価基準>
○:外観上、変化していないもの
×:外観上、液状成分がABS表面に付着しているもの
(4−4)難燃性・製造温度のラチチュード
まず、サンプル:(3)で得られたペレットを用い、温度270℃又は290℃の温度条件で、それぞれ線速度200m/分で、銅線1.2φmm、外径2φmmの被覆電線(銅線1.2φmm、外径2φmm)を作製し、この被覆電線を用いて、UL1581に準じたVW−1の燃焼性試験を行った。
<評価基準>
◇:30秒以内に火が消えたもの
○:60秒以内に火が消えたもの
×:VW−1燃焼試験で不合格なもの
(4−5)腐食試験
金属の腐食試験は、炭素鋼を用い加速評価で評価した。
上記(3)により作製した樹脂組成物のペレットを、耐圧2.0MPa、内容量100mLの、SUS314製オートクレーブに20g入れた。
次に、縦×横×厚みが10mm×20mm×2.0mmで、表面を#2000研磨した炭素鋼(材質:SS400)試験片を入れた。
次に、上記(3)で作製した樹脂組成物のペレットをさらに20g入れ、炭素鋼試験片を埋没させた。
オートクレーブ内部を窒素置換した後、密閉し、300℃に設定した恒温槽に5時間、静置した。
流水下にオートクレーブを取出し、室温まで冷却しオートクレーブを開放した。
溶融固化したペレット中から、炭素鋼試験片を取出し、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)や熱トルエンを適宜用い、炭素鋼試験片に付着した樹脂を溶解除去し、腐食の程度を目視により下記基準により評価した。
<評価基準>
○:腐食していなかったもの
×:腐食していたもの
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜4〕
下記表1に従い、成分(A)〜(F)を配合した樹脂組成物を作製し、上述した各種評価を行った。
Figure 2010270164
上記表1に示すように、実施例1〜6に示すように、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の合計量に対し、成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が10質量%以上60質量%以下、成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が10質量%以上68質量%以下、成分(C)スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が0質量%以上25質量%以下、成分(D)ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)が2質量%以上25質量%以下、成分(E)塩基性化合物の含有量(〈E〉)が0.01質量%以上10質量%以下、含有する樹脂組成物においては、押出成型性が良好で、製造温度のラチチュードが広く難燃性が良好で、樹脂組成物中の難燃剤ブリードアウトがし難く、他の樹脂(ABS)へ成分が移行がし難く、接触金属の腐食性が低い、優れた特性を有することが分かった。
比較例1、比較例2においては、成分(E):塩基性化合物を含有していないため、接触金属の腐食性について、実用上良好な特性が得られなかった。
比較例3においては、成分(B):ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量が過多であるため、難燃性について、実用上良好な特性が得られなかった。
比較例4においては、成分(D):ホスフィン酸金属塩及び成分(E):塩基性化合物のいずれも含有していないため、耐ブリード性、ABS樹脂への耐成分移行性について、実用上良好な特性が得られなかった。
本発明の樹脂組成物は、本発明の成形物品としては、電気・電子・OA機器部品、光学部品等に好適に使用
でき、その大きさや形状については特に制限されるものではなく、例えば、電源プ
ラグ、コネクタ、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、等を挙げることができる。家電部品、自動車部品等の電線の被覆材料、電力ケーブル、通信ケーブル、送電用ケーブル等の被覆材料、建築材料として、産業上利用可能性がある。

Claims (13)

  1. 下記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を含有する樹脂組成物であって、
    当該成分(A)乃至(E)の合計量に対し、
    成分(A):ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が10質量%以上60質量%以下、
    成分(B):ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が10質量%以上68質量%以下、
    成分(C):スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が0質量%以上25質量%以下、
    成分(D):ホスフィン酸金属塩の含有量(〈D〉)が2質量%以上25質量%以下、
    成分(E):塩基性化合物の含有量(〈E〉)が0.01質量%以上10質量%以下、
    である樹脂組成物。
  2. 前記成分(C)スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量(〈C〉)が、3質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)が12質量%以上45質量%以下、
    前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が20質量%以上65質量%以下、
    である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体が、
    ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(B1)と、
    ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体ブロック(B2)とを有し、
    かつ、前記水添共重合体ブロック(B2)中のビニル芳香族単量体単位が20質量%以上である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の粘弾性測定から得られるtanδピーク温度が、−25℃以上25℃以下の範囲にある請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体中のビニル芳香族単量体単位が、
    35質量%以上80質量%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)、前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が、下記式(1)を満たす請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    〈B〉>〈A〉・・・(1)
  8. 前記成分(A)ポリフェニレンエーテルの含有量(〈A〉)、前記成分(B)ビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位を主体とする水添共重合体の含有量(〈B〉)が、
    下記式(2)を満たす請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    〈B〉>1.5×〈A〉・・・(2)
  9. JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度が、95°以下である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. リン系難燃剤として、成分(F)リン酸エステル化合物を、さらに含有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. リン系難燃剤として、成分(G)窒素基含有化合物を、さらに含有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記成分(G)窒素基含有化合物として、ポリリン酸メラミンを含有する請求項11に記載の樹脂組成物。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の樹脂組成物により構成されている被覆材料。
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