JP2011184483A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び成形品 - Google Patents

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俊一朗 井
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Abstract

【課題】流動性、耐衝撃性、耐熱性及び耐熱エージング性に優れている樹脂組成物、及び成形品を提供する。
【解決手段】(a)メルトフローレート(230℃、荷重2.16Kg)が0.1〜15g/10分のポリプロピレン系樹脂:20〜99質量部、
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂:80〜1質量部、
を含有し、
(a)成分と、(b)成分との合計100質量部に対して、
(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとを有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体:1〜30質量部、
(d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体:0.1〜10質量部、
を含有する樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び成形品に関するものである。
従来から、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、優れた難燃性、耐熱性、寸法安定性、非吸水性及び電気特性を有するエンジニアリングプラスチックとして知られているが、溶融流動性が悪く、成形加工性に劣り、かつ、耐溶剤性、耐衝撃性に劣るという欠点を有している。
一方、ポリプロピレン系樹脂は、低比重で安価なプラスチックであり、耐薬品性、耐溶剤性、成形加工性等に優れるため、自動車部品や電気・電子機器部品及び家庭用電気製品等の各種分野に使用されている。
これらポリフェニレンエーテル系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂の、それぞれの長所を兼ね備え、欠点を補う目的で、種々の樹脂組成物が提案されており、例えば、特許文献1〜2には、ポリプロピレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂及び水素添加ブロック共重合体をブレンドすることにより、耐衝撃性、耐熱性等を改良した樹脂組成物についての開示がなされている。
上記のような、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリプロピレン系樹脂をブレンドした樹脂組成物において、高い流動性を要求される場合には、一般に、分子量の低いポリプロピレンが用いられる。
特開平9−12799号公報 特開平11−140245号公報
しかしながら、上述した樹脂組成物において分子量の低いポリプロピレンを用いると、衝撃強度の低下を招来する。かかる衝撃強度を改良するために、ハイイインパクトポリスチレンやゴム弾性を有するブロック共重合体、水添ブロック共重合体をブレンドする等の手段があるが、耐熱温度や剛性の低下を同時に招き、好ましい手段とは言えない。
樹脂組成物やこれを用いた成形品において、流動性と耐衝撃性とのバランスを良好なものとするべく、上記特許文献2においては、異なるMFRの複数のポリプロピレン系樹脂を併用する技術も開示されているが、上記両特性において未だ改良の余地があり、新たな樹脂組成物の開発が望まれている。
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑み、優れた流動性を有し、かつ耐衝撃性、耐熱性、耐熱エージング性にも優れたポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂よりなる樹脂組成物及び成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との混合樹脂組成物の流動性、耐衝撃性及び耐熱性を向上させるために鋭意検討した結果、特定の籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体を用いて溶融混練することにより、流動性、耐衝撃性、耐熱性及び耐熱エージング性において同時に優れた特性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
(a)メルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2.16Kg)が0.1〜15g/10分のポリプロピレン系樹脂:20〜99質量部、
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂:80〜1質量部、
を、含有し、
前記(a)成分と、前記(b)成分との合計100質量部に対して、
(c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体:1〜30質量部、
(d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体:0.1〜10質量部、
を含有する樹脂組成物。
〔2〕
前記(a)成分のメルトフローレート:MFR(230℃、荷重2.16Kg)が、0.1〜10g/10分である前記〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕
前記(c)成分が、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物であり、かつ前記重合体ブロックBの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が、65〜90%である前記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕
前記(d)成分が、
下記式(i)及び/又は(ii)で表される構造の籠状シルセスキオキサン及び/又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
(RSiO1.5n ・・・(i)
(RSiO1.5m(RXSiO)k ・・・(ii)
(一般式(i)、(ii)において、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基、及びケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基からなる群より選ばれるいずれかであり、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
一般式(ii)において、Xは、OR1(R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカルからなる群より選ばれるいずれか)、ハロゲン原子、及び上記Rで定義された基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、複数のXは同じでも異なっていてもよい。
また、一般式(ii)中の、(RXSiO)kの、複数のXが互いに連結して連結構造を形成してもよい。
nは6〜14の整数、mは2〜12の整数、kは2又は3である。)
〔5〕
前記(a)成分がマトリックス相、
前記(b)成分が分散相を形成している前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
前記(b)成分の全量と、前記(a)成分、前記(c)成分、前記(d)成分の一部又は全量とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る第1工程と、
前記溶融混練物に対して、前記(a)成分、前記(c)成分、前記(d)成分の残量を供給し、さらに二軸押出機を用いて溶融混練する第2工程と、
を有する樹脂組成物の製造方法。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
前記(b)成分の全量と、前記(c)成分、前記(d)成分の一部又は全量とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る第1工程と、
前記溶融混練物に対して、前記(a)成分の全量、前記(c)成分、前記(d)成分の残量を供給し、さらに二軸押出機を用いて溶融混練する第2工程と、
を有する樹脂組成物の製造方法。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、成型時に発生する不具合、及び得られる成形品の不具合を解決し、優れた流動性を有し、耐衝撃性、耐熱性、耐熱エージング性にも優れた、ポリプロピレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂よりなる樹脂組成物及び成形品が得られた。
耐熱エージング性測定用のダンベル型成形品の概略断面図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、
(a)メルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2.16Kg)が0.1〜15g/10分のポリプロピレン系樹脂:20〜99質量部、
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂:80〜1質量部、
を含有し、
前記(a)成分と、前記(b)成分との合計100質量部に対して、
(c)ビニル芳香族化合物を具備する少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を具備する少なくとも1個の重合体ブロックBと、を有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体:1〜30質量部、
(d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体:0.1〜10質量部、
を、さらに含有する樹脂組成物である。
本実施形態の樹脂組成物を構成する各成分について、説明する。
((a)ポリプロピレン系樹脂)
本実施形態の樹脂組成物を構成する(a)ポリプロピレン樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性プロピレンホモポリマーの他、重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と、重合の第二工程以降でプロピレン、エチレン及び/又は少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とを有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。
また、結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体との混合物でもよい。
これらのポリプロピレン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記(a)ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例えば、三塩化チタン触媒又は塩化マグネシウム等の担体に担持したハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物の存在下に、重合温度0〜100℃の範囲とし、重合圧力3〜100気圧の範囲として、単量体を重合することにより得られる。
この際、重合体の分子量を調製するために水素等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、重合方法は限定されず、バッチ式、連続式いずれの方法でもよい。
さらに、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の所定の溶媒下での溶液重合;スラリー重合;無溶媒下モノマー中での塊状重合;ガス状モノマー中での気相重合方法等のいずれも適用できる。
またさらに、得られるポリプロピレンのアイソタクティシティと重合活性を高めるため、上記重合触媒の他に、電子供与性化合物を内部ドナー成分又は外部ドナー成分として用いることができる。
この電子供与性化合物の種類は限定されず、公知のものを使用できる。
例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチル等のエステル化合物;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチル等の亜リン酸エステル;ヘキサメチルホスホルアミド等のリン酸誘導体;アルコキシエステル化合物、芳香族モノカルボン酸エステル、芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭化水素アルコキシシラン、各種エーテル化合物、各種アルコール類及び/又は各種フェノール類等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物を構成する(a)ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が、0.1〜15g/10分であり、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲である。
MFRをかかる範囲とすることによって、樹脂組成物において、耐衝撃性や耐熱性のバランスを取ることができる。
上記(a)ポリプロピレン系樹脂のMFRは、試験法:JIS K7210 230℃ 荷重2.16kgで測定する。
(a)ポリプロピレン系樹脂としては、上述した各種ポリプロピレン系樹脂のほか、ポリプロピレン系樹脂と、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態あるいは溶液状態で30〜350℃で反応させることによって得られる変性ポリプロピレン系樹脂を併用してもよい。
変性ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%グラフト化又は付加したポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂と変性ポリプロピレン系樹脂との混合割合は制限されず、任意に決定できる。
((b)ポリフェニレンエーテル系樹脂)
本実施形態の樹脂組成物を構成する(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、単に「PPE」という場合がある。)は、下記式(1)で表される繰返し単位構造を具備するホモ重合体及び/又は共重合体である。
その還元粘度(0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃測定)は、特に限定されないが、0.15〜2.50(g/dL)の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.30〜2.00(g/dL)、さらに好ましくは0.35〜2.00(g/dL)の範囲である。
Figure 2011184483
上記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜7の第1級又は第2級のアルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるいずれかであるものである。
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いてもよい。
例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、更に2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)等とのポリフェニレンエーテル共重合体も用いることができる。
これらの中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
例えば、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば、2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造できる。あるいは米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開昭63−152628号公報等に記載された方法等によって製造できる。
(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂には、上述した各種ポリフェニレンエーテル系樹脂のほかに、ポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系モノマー又はその誘導体とを、ラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で80〜350℃で反応させることによって得られる変性ポリフェニレンエーテル系樹脂を併用してもよい。
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、スチレン系モノマー又はその誘導体が0.01〜10質量%グラフト化又は付加したポリフェニレンエーテル系樹脂が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂と変性ポリフェニレンエーテル系樹脂との混合割合は制限されず、任意の割合を選択できる。
また、(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、上記した樹脂以外に、ポリフェニレンエーテル系樹脂にポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン及びハイインパクトポリスチレンからなる群より選ばれる少なくともいずれかを混合したものも好適に用いることができる。
より好適には、ポリフェニレンエーテル系樹脂100質量部に対して、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン及びこれらの混合物が合計400質量部を超えない範囲で混合されたものである。
((c)水素添加ブロック共重合体)
本実施形態の樹脂組成物を構成する(c)水素添加ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を具備する重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を具備する重合体ブロックBとを有するブロック共重合体の少なくとも一部を水素添加したものである。
(c)水素添加ブロック共重合体は、上述した(a)成分のポリプロピレン系樹脂と、上述した(b)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂の混和剤又は耐衝撃性付与剤の少なくともいずれかとして作用する。
<ビニル芳香族化合物を具備する重合体ブロックA>
上記(c)水素添加ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物を具備する重合体ブロックAは、ビニル芳香族化合物のホモ重合体ブロック、又はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
重合体ブロックAはビニル芳香族化合物を主体としており、この場合、「ビニル芳香族化合物を主体とする」とは、重合体ブロックA中にビニル芳香族化合物を、50質量%を超えて含有することをいい、好ましくはビニル芳香族化合物を70質量%以上含有することをいう。
重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらの中ではスチレンが好ましい。
水素添加前のブロック共重合体(上記(c)成分の水素添加前のブロック共重合体)が、結合したビニル芳香族化合物を15〜45質量%含むことが好ましく、さらに好ましくは20〜45質量%である。なお、ビニル芳香族化合物の含有量の測定は、NMRによって行うことができる。
重合体ブロックAの数平均分子量は、特に限定されないが、15000以上が好ましい。
これにより、本実施形態の樹脂組成物の混和性をより優れたものとできる。
重合体ブロックAの数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC(移動層:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン))によって行うことができる。
<共役ジエン化合物を具備する重合体ブロックB>
共役ジエン化合物を具備する重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のホモ重合体ブロック又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックである。
重合体ブロックBは共役ジエン化合物を主体としており、「共役ジエン化合物を主体とする」とは、重合体ブロックB中に共役ジエン化合物を50質量%を超えて含有することをいい、好ましくは共役ジエン化合物を70質量%以上含有することをいう。
重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらの中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
重合体ブロックBのミクロ構造、すなわち重合体ブロックBが具備する共役ジエン化合物の結合形態については、1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量(以下、「全ビニル結合量」という場合がある。)が45〜90%であり、好ましくは50〜85%である。
全ビニル結合量をかかる範囲とすることで優れた混和性を得ることができる。
特に、重合体ブロックBが共役ジエン化合物としてブタジエンを主体とする重合体である場合には、重合体ブロックBの全ビニル結合量が65〜90%であることが好ましい。
重合体ブロックBの全ビニル結合量を45%以上とすることで、本実施形態の樹脂組成物に分散する上記(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂の分散性を優れたものにできる。
また、重合体ブロックBの全ビニル結合量を90%以下とすることで、上記(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂の優れた分散性を確保しながら、経済性にも優れた樹脂組成物が得られる。
全ビニル結合量は、赤外分光光度計によって測定できる。
なお、算出方法はAnalytical Chemistry,Volume21,No.8,August 1949に記載の方法に準じて行うことができる。
上述したように、(c)成分は重合体ブロックAと重合体ブロックBを含むブロック共重合体の水素添加ブロック共重合体である。
重合体ブロックAを「A」とし、重合体ブロックBを「B」とすると、(c)成分としては、例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、(A−B−)4Si、A−B−A−B−A等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。
(A−B−)4Siは、四塩化ケイ素、四塩化スズ等といった多官能カップリング剤の反応残基、又は多官能性有機リチウム化合物等の開始剤の残基等である。
重合体ブロックAと重合体ブロックBを含むブロック共重合体の分子構造は、特に制限されず、例えば、直鎖状、分岐状、放射状又はこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
重合体ブロックAと重合体ブロックBは、それぞれにおける分子鎖中のビニル芳香族化合物又は共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組み合わせで成っていてもよい。
そして、重合体ブロックA又は重合体ブロックBのいずれかが繰り返し単位中に2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
また、水素添加前のブロック共重合体((c)成分の水素添加前のブロック共重合体)の数平均分子量は、好ましくは5000〜1000000、より好ましくは1000〜800000、更に好ましくは30000〜500000である。
数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)によって行うことができる。
水素添加前のブロック共重合体((c)成分の水素添加前のブロック共重合体)の分子量分布は、10以下が好ましい。
分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比によって算出できる。
また、(c)水素添加ブロック共重合体中の、共役ジエン化合物に対する水素添加率は、特に限定されないが、共役ジエン化合物に由来する二重結合の50%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、水素添加率はNMRによって測定できる。
(c)水素添加ブロック共重合体は、公知の製造方法で得ることができる。
例えば、特開昭47−11486号公報、特開昭49−66743号公報、特開昭50−75651号公報、特開昭54−126255号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−62847号公報、特開昭56−100840号公報、特開平2−300218号公報、英国特許第1130770号明細書、米国特許第3281383号明細書、米国特許第3639517号明細書、英国特許第1020720号明細書、米国特許第3333024号明細書及び米国特許第4501857号明細書に記載の方法を用いることができる。
また、(c)水素添加ブロック共重合体は、水素添加ブロック共重合体と、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(エステル化合物や酸無水物化合物)とをラジカル発生剤の存在下又は非存在下に、溶融状態、溶液状態又はスラリー状態で、80〜350℃で反応させることによって得られる変性水素添加ブロック共重合体であってもよい。
この場合、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体が0.01〜10質量%の割合で水素添加ブロック共重合体にグラフト化又は付加していることが好ましい。
さらに、(c)水素添加ブロック共重合体は、水素添加ブロック共重合体と変性水素添加ブロック共重合体との任意の割合の混合物であってもよい。
((d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体)
本実施形態の樹脂組成物を構成する(d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とは、(R'SiO1.5)で表される単位を主要構成成分とするシルセスキオキサン化合物の中の、特定の構造のシルセスキオキサン化合物、すなわち籠状(完全縮合ケージ状)構造体あるいはその部分開裂構造体(籠状構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)である。
籠状シルセスキオキサンの具体的構造例としては、下記一般式(i)で表される籠状シルセスキオキサンが挙げられる。
また、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の具体的構造例としては、下記の一般式(ii)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が挙げられる。
(d)成分としての籠状シルセスキオキサン及びその部分開裂構造体の構造は、これらの構造に限定されるものではない。
(RSiO1.5n ・・・(i)
(RSiO1.5m(RXSiO)k ・・・(ii)
上記一般式(i)、(ii)において、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基、ケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基からなる群より選ばれるいずれかであり、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(ii)において、XはOR1(R1は水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカルからなる群より選ばれるいずれかである。)、ハロゲン原子及び上記Rで定義された基の中から選ばれる基であり、複数のXは同じでも異なっていてもよい。
また、(RXSiO)k中の複数のXが互いに連結して連結構造を形成してもよい。
nは、6〜14の整数である。
mは、2〜12の整数である。
kは、2又は3である。
一般式(i)で表される籠状シルセスキオキサンの例としては(RSiO1.56の化学式で表されるタイプ(下記式(2))、(RSiO1.58の化学式で表されるタイプ(下記式(3))、(RSiO1.510の化学式で表されるタイプ(下記式(4))、(RSiO1.512の化学式で表されるタイプ(下記式(5))、(RSiO1.514の化学式で表されるタイプ(下記式(6))が挙げられる。
Figure 2011184483
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上記一般式(i)で表される籠状シルセスキオキサンにおけるnの値は、上記のように6〜14の整数であり、好ましくは8、10あるいは12であり、より好ましくは8又は10である。
また、一般式(i)で表される籠状シルセスキオキサンは混合物であってもよく、nが8のものと、nが10のものとの混合物、あるいはnが8のもの、10のもの及び12のものとの混合物であることが好ましい。
また、(d)成分のうち、籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体は、籠状シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分開裂した構造、籠状シルセスキオキサンの一部が脱離した構造、あるいはそれらから誘導される、一般式(ii):(RSiO1.5m(RXSiO)k(mは2〜12の整数であり、kは2又は3である。)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を用いることもできる。
mは好ましくは4〜10の整数、より好ましくは4、6又は8である。
XはOR1(R1は水素原子、アルキル基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rで定義された基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、複数のXは同じでも異なっていてもよい。
また、(RXSiO)k中の複数のXは、互いに連結して連結構造を形成してもよく、下記式(7)で表される連結構造により複核構造を形成してもよい。
Figure 2011184483
上記式(7)中、Y及びZは、上述したXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていてもよい。
上記一般式(ii)で表される化合物の例としては、上記式(3)の一部が脱離した構造であるトリシラノール体、あるいはそれからから合成される(RSiO1.54(RXSiO)3の化学式で表されるタイプ(下記式(8))、上記式(3)あるいは(RSiO1.54(RXSiO)3の化学式の化合物の中の3個のXのうち2個のXが上記式(7)で示される連結構造を形成するタイプ(下記式(9))、上記式(3)の一部が開裂したジシラノール体から誘導される(RSiO1.56(RXSiO)2の化学式で表されるタイプ(下記式(10)及び下記式(11))、下記式(10)あるいは(RSiO1.56(RXSiO)2の化学式の化合物の中の2個のXが上記式(7)で示される連結構造を形成するタイプ(下記式(12))等が挙げられる。
ここで、下記式(8)〜式(10)中、Y及びZは、上記Xと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていてもよい。
また、同一ケイ素原子に結合しているRとX、あるいはYとZは、互いの位置を交換したものでもよい。
さらに、それぞれ異なった分子中に存在する2個のXが互いに連結して、上記一般式(7)で代表される各種の連結構造により複核構造を形成してもよい。
上述した各種の籠状シルセスキオキサン、その部分開裂構造体は、それぞれ単独で用いてもいいし、複数の混合物として用いてもよい。
Figure 2011184483
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上記一般式(i)、(ii)で表される化合物におけるRとしては、上述したように、水素原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基、ケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基が挙げられる。
炭素原子数1〜6のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。
上記一般式(i)又は上記一般式(ii)の化合物の、1分子中のアルコキシル基及びアリールオキシ基の数は、合計で好ましくは3以下、より好ましくは1以下である。
炭素数1〜20までの炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式又は環式アルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基あるいはキシリル基のようなアリール基、4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基のような置換アリール基等が挙げられる。
これらの炭化水素基の中でも、特に、炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜20のアルケニル基の数が、全てのR、X、Y、Zにしめる割合が大きい場合には、本実施形態の樹脂組成物において、特に良好な成形時の溶融流動性が得られる。
また、上記Rが脂肪族炭化水素基及び/又はアルケニル基の場合には、本実施形態の樹脂組成物において、成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスが優れたものとするためには、R中の炭素数は20以下であることが好ましく、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下である。
上記一般式(i)、(ii)で表される化合物におけるRは、これらの各種の炭化水素基の水素原子又は主査骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、チオール基(結合)、チオエーテル基(結合)、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、スルホン基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(極性結合)、あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等から選ばれる置換基で部分置換されたものでもよい。
上記一般式(i)及び(ii)における、上記Rが、置換又は非置換の炭化水素基である場合、置換基も含めた全炭素原子数が通常20以下のものが使用されるが、特性バランスがよいものとしては、好ましくは16以下、特に好ましくは12以下のものが使用される。
上記Rとしての上記ケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基は、種々の構造のものが採用できる。
当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数は、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。
ケイ素原子の数が10を超えると、籠状シルセスキオキサン化合物((ii)で表される籠状シルセスオキサンの部分開裂構造体も含む。)は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難になるので好ましくない。
また、一般式(i)及び一般式(ii)で表される化合物のうち、上述した化合物以外のものとしては、一般式(i)及び/又は一般式(ii)のR、X、Y、Zの少なくとも一つが、(a)不飽和炭化水素結合を含有する基、あるいは、(b)窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基である化合物が挙げられる。
ここで、R、X、Y、Zが複数の種類の基で構成されている場合には、その中の少なくとも一つが、上記の(a)又は(b)の基であればよい。
上記(a)の不飽和炭化水素結合を含有する基としては、例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル、スチリル等の非環式及び環式アルケニル基、アルキニル基、あるいはこれらの基を含有する基が挙げられる。
具体例としては、ビニル基、アリル基、2−(3,4−シクロヘキセニル)エチル基、3,4−シクロヘキセニル基、ジメチルビニルシロキシ基、ジメチルアリルシロキシ基、(3−アクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基、(3−メタクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基が挙げられる。
また、上記(b)の窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基の例としては、エーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基(結合)、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、シアノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基等を含む基が挙げられる。
特に、アミノ基あるいはその誘導体、あるいはエーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基が好ましい。
上記のアミノ基誘導体の例としては、モノアルキルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジアルキルアミノ基等の各種置換アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基が挙げられる。
上記アミノ基あるいはその誘導体を含有する基としては、例えば、3−アミノプロピル基(H2NCH2CH2CH2−)、Me2NCH2CH2CH2−、Me2C=NCH2CH2CH2−、−CH2CH264NH2、3−アミノプロピルジメチルシロキシ基(H2NCH2CH2CH2Me2SiO−)、H2NCH2CH2CH2Me(HO)SiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基(H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2−)、MeHNCH2CH2NHCH2CH2CH2−、Me2C=NCH2CH2NHCH2CH2CH2−、HOCH2CH2HNCH2CH2NHCH2CH2CH2−、CH3COHNCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメチルシロキシ基(H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Me2SiO−)、H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Me(HO)SiO−が挙げられる。
また、上記エーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピル基、3−グリシジルオキシプロピルジメチルシロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルシロキシ基、CH3OCH2CH2CH2−、HOCH2CH2OCH2CH2CH2−が挙げられる。
特に、本実施形態の樹脂組成物の色調を淡くするという観点で、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基(H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2−)が好ましい。
上記一般式(i)及び一般式(ii)における、R、X、Y、Zの中から選ばれる少なくとも一つの官能基が上記のアミノ基を有するものであるとき、このような(i)の籠状シルセスキオキサン及び/又は一般式(ii)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を用いた本実施形態の樹脂組成物において特性のバランスが良好となり、好ましい。
一般式(i)及び一般式(ii)におけるR、X、Y、Zは、それぞれ独立に各種の構造を取ることができ、また、R、X、Y、Zはそれぞれ複数の基からなっていてもよい。
上述した籠状シルセスキオキサンは、例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313や、FeherらのJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741あるいはOrganometallics 1991,10,2526などの方法で合成することができる。
例えば、シクロヘキシルトリエトキシシランを、水/メチルイソブチルケトン中で触媒にテトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを加えて反応させることにより結晶として得られる。
また上記式(8)(X=OH)、上記式(10)(X=OH)、上記式(11)(X=OH)で表されるトリシラノール体及びジシラノール体は、完全縮合型の籠状シルセスキオキサンを製造する際に同時に生成するか、一度完全縮合型の籠状シルセスキオキサンからトリフルオロ酸やテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドによって部分切断することでも合成できる(FeherらのChem.Commun.,1998,1279参照)。
また、上記式(8)(X=OH)の化合物は、RSiT3(T=Cl又はアルコキシル基)型化合物から、直接合成することもできる。
上記式(3)における8個のRのうち、1個のRのみ異なった置換基R’を導入する方法としては、一般式(8)(X=OH)で表されるトリシラノール化合物と、R’SiCl3等とを反応させて合成する方法が挙げられる。
そのような合成法の具体例としては、上記一般式(10)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を上記の方法で合成した後、テトラヒドロフラン溶液中で、HCiCl31当量と、上記一般式(8)(R=シクロヘキシル、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量との混合物に、3当量のトリエチルアミンを加えることによって合成することができる(例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313参照)。
一般式(ii)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体で、Xとしてケイ素原子含有基を導入する方法の具体例としては、上記一般式(8)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量対して、テトラヒドロフラン中で、3当量のトリエチルアミンと3当量のトリメチルクロロシランを加えることによって、XとしてMe3SiO―基を導入した化合物を製造する方法が挙げられる(例えばJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741参照)。
籠状シルセスキオキサンの構造解析に関しては、X線構造解析(LarssonらのAlkiv Kemi 16,209(1960))で行うことができるが、簡易的には赤外吸収スペクトルやNMRを用いて同定を行うことができる(例えばVogtらのInorga.Chem.2,189(1963)参照)。
上述した一般式(i)で表される籠状シルセスキオキサンあるいは一般式(ii)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物として用いてもよい。
またさらに、籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を混合して用いてもよい。
上述した籠状シルセスキオキサン、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体、またはその混合物は、それ以外の、他の構造を有する有機ケイ素系化合物と組み合わせで使用してもよい。
この場合の他の構造を有する有機ケイ素系化合物としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ポリジメチル/メチルフェニルシリコーン、アミノ基や水酸基等の極性置換基を含有した置換シリコーン化合物、無定形ポリメチルシルセスキオキサン、各種ラダー型シルセスキオキサン等が挙げられる。
その場合、混合物の組成比の制限は特にないが、通常は上記混合物における籠状シルセスキオキサン及び/又はその部分開裂構造体の割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。
(成分の配合量)
本実施形態の樹脂組成物は、上述した(a)成分〜(d)成分を基本成分として構成される。
本実施形態の樹脂組成物において、(a)成分の配合量は20〜99質量部、好ましくは25〜95質量部である。(a)成分の配合量が20質量部未満であると、得られる樹脂組成物の耐熱性は優れるものの、流動性が劣り好ましくない。
また、99質量部を超える場合は、成形加工性、流動性は良好なものの、耐熱性が劣り耐熱性材料として利用できない。
本実施形態の樹脂組成物において、(b)成分の配合量は80〜1質量部、好ましくは75〜5質量部である。(b)成分の配合量が80質量部を超える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性は優れるものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。また、1質量部未満では耐熱性が劣り好ましくない。
本実施形態の樹脂組成物において、(c)成分の配合量は、(a)成分、(b)成分の合計100質量部に対して、1〜30質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。(c)成分の配合量が1質量部未満では、樹脂組成物の混和剤としての効果(ポリプロピレン系樹脂中にポリフェニレンエーテル系樹脂を微細に乳化分散させる効果)が見られず好ましくない。また、かかる配合量が30質量部を超える場合は、上記(a)成分、(b)成分が示す作用効果の耐熱性の低下が顕著であり好ましくない。
本実施形態の樹脂組成物において、(d)成分の配合量は、流動性、耐衝撃性、耐熱性、耐熱エージング性の観点から、上記(a)成分、(b)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、0.1〜8質量部がより好ましい。この配合量の範囲以外の場合、例えば、(d)成分が10質量部を超える場合、耐熱性が低下するため好ましくない。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物においては、上述した(a)〜(d)成分の他、所定の付加的成分を含有させてもよい。
他の付加的成分としては、特に限定されず、例えば、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体やオレフィン系エラストマー、酸化防止剤、金属不活性化剤、熱安定剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム系化合物、ポリリン酸メラミン系化合物、ホスフィン酸塩類、水酸化マグネシウム、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機又は有機の充填材や強化材(GF、GF長繊維、CF、CF長繊維、ポリアクリロニトリル繊維、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。
(樹脂組成物の構成)
本実施形態の樹脂組成物は、上記(a)成分がマトリックス相、上記(b)成分が分散相を形成していることが好ましい。
上記と反対に上記(b)成分がマトリックス相を形成していると、樹脂組成物の成形性が悪化する。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、種々の溶融混機及び混練押出機を用いて製造できるが、以下の工程により製造することが好ましい。
すなわち、上記(a)ポリプロピレン系樹脂と、上記(b)ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部と、上記(c)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の少なくとも一部が水素添加されたブロック共重合体1〜30質量部と、上記(d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体0.1〜10質量部と、を、溶融混練するに際して、下記(1)工程と(2)工程を行う。
(1)工程:上記(b)成分の全量と、上記(c)成分、上記(d)成分の一部又は全量と、上記(a)成分の一部を溶融混練する工程。
(2)工程:上記(1)工程で得られた混練物に対して、上記(a)成分、上記(c)成分、上記(d)成分の残量を添加し、溶融混練する工程。
また、上記(a)成分、上記(b)成分、上記(c)成分、上記(d)成分を溶融混練するに際して、下記の(1)’工程と(2)’工程を行う製造方法も好ましい。
(1)’工程:上記(b)成分の全量と、上記(c)成分、上記(d)成分の一部又は全量を溶融混練する工程。
(2)’:上記(1)’工程で得られた混練物に対して、上記(a)成分の全量と、上記(c)成分、上記(d)成分の残量を添加し、溶融混練する工程。
上述した樹脂組成物の製造方法に使用する溶融混練機としては、特に限定されず、公知の混練機を用いることができ、例えば、単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練機が挙げられる。特に、二軸押出機を用いた溶融混練方法が好ましい。
具体的には、コペリオン社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズ等が挙げられる。
押出機のL/D(バレル有効長/バレル内径)は、好ましくは20以上75以下の範囲であり、更に好ましくは30以上60以下の範囲である。
押出機は、原料の流れ方向に対し、上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2原料供給口を設け、更にその下流に第2真空ベントを設けたものや、上流側に第1原料供給口、これより下流に第1真空ベント、その下流に第2、第3原料供給口を設け、更にその下流に第2真空ベントを設けたもの等が好ましい。
それらの中でも、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、更に第2原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものや、第1真空ベントの上流にニーディングセクションを設け、第1真空ベントと第2原料供給口の間にニーディングセクションを設け、更に第2原料供給口と第3原料供給口にニーディングセクションを設け、第2原料供給口と第2真空ベントの間にニーディングセクションを設けたものがより好ましい。
また、第2、第3原料供給口への原材料供給方法は、特に限定されず、押出機の第2、第3原料供給口の開放口からの単なる添加供給よりも、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給する方が安定で好ましい。
溶融混練温度、スクリュー回転数は特に限定されるものではないが、通常、溶融混練温度を200〜370℃とし、スクリュー回転数を100〜1200rpmとする。
〔樹脂組成物を用いた成形品〕
本実施形態の樹脂組成物は、公知の種々の方法、例えば、射出成形、押出成形、押出異形成形、中空成形により、各種成形品として成形できる。
これら各種部品としては、例えば自動車部品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ドアーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフード、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エアロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等の内装部品、さらに自動車、電気自動車及びハイブリッド電気自動車等に搭載される二次電池電槽部品やリチウムイオン電池のセパレータ等に適している。
また、耐熱部品と呼ばれる自動車用耐熱部品あるいは事務機器用耐熱部品に好適に用いられる。
電気機器の内外装部品としても好適に使用でき、具体的には各種コンピューター及びその周辺機器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスクプレーヤー等のキャビネット、シャーシ、冷蔵庫、エアコン、液晶プロジェクターが挙げられる。
また、電気機器用のリチウムイオン電池のセパレータにも適している。
工業用部品用途では、各種ポンプケーシング、ボイラーケーシング等の部品用途に適している。
さらに、本実施形態に係る成形品は、公知の電線押出被覆装置等を用いて得られる光ファイバーの被覆材、低電圧タイプの電線・ケーブル、計装ケーブル、電子ワイヤー、自動車用ワイヤーハーネス、及び原子力発電所用ケーブル等の制御ケーブル等にも適している。
そして、本実施の形態に係る成形品をケーブル用被覆材とすることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、剛性と引張伸度のバランスに優れ、耐熱クリープ性にも優れているので、この樹脂組成物からなる成形品はケーブル用被覆材として好適に用いることができる。
さらに、本実施形態に係るケーブル用被覆材と導線を用いることでケーブルとすることができる。
ケーブルの用途や大きさや構造等は限定されず、例えば、導線(中心導体)の外周を絶縁被覆層により被覆形成し、更にその外周をケーブル用被覆材により被覆形成したケーブル等とすることができる。
本実施形態に係るケーブルに用いることができる導線は、その形状や種類は特に限定されず、単線でも複線でもよい。導線としては、その材料は限定されず、公知の材料から適宜選択され、例えば、銅及びその合金線、アルミ及びその合金線又はこれらにメッキを施したもの等が挙げられる。また、導線はスズ又は銀で被覆されていてもよい。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各材料の物性測定方法を下記に示す。
〔数平均分子量〕
各成分の数平均分子量はGPC(移動相:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)によって測定した。
〔結合スチレン量の測定〕
結合スチレン量の測定はNMRによって測定した。
〔全ビニル結合量の測定〕
全ビニル結合量の測定は赤外分光光度計によって測定した。
〔水素添加率の測定〕
水素添加率の測定はNMRによって測定した。
〔融点〕
各成分の融点の測定は示差走査熱量計によって測定した。
〔MFR(メルトフローレート)〕
MFRの測定は、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
試験法は、JIS K7210に従い、行った。
〔還元粘度〕
還元粘度の測定は、0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃の条件で測定した。
〔樹脂組成物の材料〕
〔(a)ポリプロピレン〕
(a−1)プロピレンホモポリマー 融点=167℃、MFR=0.5(g/10分)
(a−2)プロピレンホモポリマー 融点=164℃、MFR=2.5(g/10分)
(a−3)プロピレンホモポリマー 融点=166℃、MFR=5.9(g/10分)
〔(b)PPE〕
(b−1)2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.54のPPE
(b−2)2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元粘度0.42のPPE
〔(c)水添ブロック共重合体〕
水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(1)−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン(2)の、B−A−B−A型の構造を有するブロック共重合体を常法によって合成した。
このブロック共重合体に常法によって水素添加を行い、水素添加ブロック共重合体を得た。
この水素添加ブロック共重合体の構造を下記に示す。
結合スチレン量:43%
水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量(全ビニル結合量):75%
水素添加ブロック共重合体の数平均分子量:98000
ポリスチレン(1)の数平均分子量:20000
ポリスチレン(2)の数平均分子量:22000
ポリブタジエン部水素添加率:99.9%
〔(d)籠型シルセスキオキサンおよび籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体(以下、Si化合物と略記)〕
Si化合物:アミノ基含有籠型シルセスキオキサン
[製造例1(Si化合物の製造方法)]
特開2004−51848号公報の方法に従って、TrisilanolIsobutyl−POSS(米国Hybrid Plastics社製・登録商標)をトルエン/メタノールの溶液中、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)社製)と反応させることによって、下記式(13)で表されるアミノ基含有籠状シルセスキオキサンを得た。式(13)中、iBuは、イソブチル基を表す。
Figure 2011184483
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜6〕
<実施例1>
二軸押出機ZSK−25(コペリオン社製)を用い、原料の流れ方向に対し、上流側に第1原料供給口、これより下流に第2原料供給口を設け、さらにその下流に真空ベントを設けた。
また、第2供給口への原材料供給方法は、押出機サイド開放口から強制サイドフィーダーを用いて供給した。
上記のように設定した押出機を用い、上記(a)〜(d)成分を、下記表1に示した組成で配合し、押出温度270〜320℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量12kg/時間の条件にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
<実施例2〜7>
上記(a)成分〜上記(d)成分を、下記表1に示す組成で配合し、その他の条件は実施例1と同様として、樹脂組成物のペレットを得た。
<比較例1〜6>
上記(a)成分〜上記(d)成分を、下記表1に示す組成で配合し、その他の条件は実施例1と同様として、樹脂組成物のペレットを得た。
〔樹脂組成物の物性の測定方法〕
<MFR>
ISO1133に準じ、250℃ 10Kgの荷重で測定した。
<耐衝撃性(Charpy)>
上述のようにして得た実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを用いて、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で、Charpy測定用テストピースを射出成形し、ギアーオーブンを用い、80℃の環境下に24時間静置し熱履歴処理を行った。
測定はISO179に準じて行った。
<耐熱性(荷重たわみ温度)>
上述のようにして得た実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを用いて、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で、荷重たわみ温度測定用テストピースを射出成形し、ギアーオーブンを用い80℃の環境下に24時間静置し熱履歴処理を行った。
測定はISO75−2に準じて行った。
<耐熱エージング性>
上述のようにして得た実施例及び比較例の樹脂組成物のペレットを用いて、240〜280℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件で、図1に示す形状のダンベル成形品(厚さ1mm)を射出成形した。
幅L1は65mm、幅L2は40mm、幅L3は22mmである。高さHは10mmである。
ギアーオーブンを用い80℃の環境下に、テストピースを24時間静置し熱履歴処理を行った。
熱履歴処理後、ギアーオーブンを用い150℃の環境下で1000時間のエージングを行った。
試験片の下端には50gの重りを吊るし、1000時間後の試験片破断の有無を確認した。
実施例1〜7、比較例1〜6の樹脂組成物の測定結果を下記表1に示す。
Figure 2011184483
上記表1に示すように、実施例1〜7においては、いずれも良好な流動性を有し、成形性に優れ、実用上十分な機械的強度、耐熱性を有する樹脂組成物よりなる成形品が得られた。
本発明の樹脂組成物及び成形品は、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品、被覆材として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (8)

  1. (a)メルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2.16Kg)が0.1〜15g/10分のポリプロピレン系樹脂:20〜99質量部、
    (b)ポリフェニレンエーテル系樹脂:80〜1質量部、
    を、含有し、
    前記(a)成分と、前記(b)成分との合計100質量部に対して、
    (c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物の1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が45〜90%である共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体:1〜30質量部、
    (d)籠型シルセスキオキサン及び/又は籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体:0.1〜10質量部、
    を含有する樹脂組成物。
  2. 前記(a)成分のメルトフローレート:MFR(230℃、荷重2.16Kg)が、0.1〜10g/10分である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(c)成分が、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物であり、かつ前記重合体ブロックBの1,2−ビニル結合量と3,4−ビニル結合量との合計量が、65〜90%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(d)成分が、
    下記式(i)及び/又は(ii)で表される構造の籠状シルセスキオキサン及び/又は籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (RSiO1.5n ・・・(i)
    (RSiO1.5m(RXSiO)k ・・・(ii)
    (一般式(i)、(ii)において、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1〜20の置換又は非置換の炭化水素基、及びケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基からなる群より選ばれるいずれかであり、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
    一般式(ii)において、Xは、OR1(R1は、水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカルからなる群より選ばれるいずれか)、ハロゲン原子、及び上記Rで定義された基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、複数のXは同じでも異なっていてもよい。
    また、一般式(ii)中の、(RXSiO)kの、複数のXが互いに連結して連結構造を形成してもよい。
    nは6〜14の整数、mは2〜12の整数、kは2又は3である。)
  5. 前記(a)成分がマトリックス相、
    前記(b)成分が分散相を形成している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(b)成分の全量と、前記(a)成分、前記(c)成分、前記(d)成分の一部又は全量とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る第1工程と、
    前記溶融混練物に対して、前記(a)成分、前記(c)成分、前記(d)成分の残量を供給し、さらに二軸押出機を用いて溶融混練する第2工程と、
    を有する樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(b)成分の全量と、前記(c)成分、前記(d)成分の一部又は全量とを、二軸押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る第1工程と、
    前記溶融混練物に対して、前記(a)成分の全量、前記(c)成分、前記(d)成分の残量を供給し、さらに二軸押出機を用いて溶融混練する第2工程と、
    を有する樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成形品。
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