JPH1077407A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JPH1077407A
JPH1077407A JP23007596A JP23007596A JPH1077407A JP H1077407 A JPH1077407 A JP H1077407A JP 23007596 A JP23007596 A JP 23007596A JP 23007596 A JP23007596 A JP 23007596A JP H1077407 A JPH1077407 A JP H1077407A
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polyphenylene sulfide
sulfide resin
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graphite
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JP23007596A
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Mitsuru Tanaka
満 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の成形
性を損なわずに、吸水性を低くし、その際の寸法変化を
小さくすると共に、熱膨張率を低く抑え、かつそれらの
異方性を小さくすることである。 【解決手段】 ポリフェニレンスルフィド樹脂30〜8
0重量%、鱗片状黒鉛1〜50重量%および樹脂系球状
粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼成して得られる
球状黒鉛5〜50重量%を含んだポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物とする。または、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂30〜80重量%、鱗片状黒鉛10〜50重量
%、炭酸カルシウム、マイカ、タルクおよびガラスフレ
ークからなる群から選ばれる一種以上の無機充填剤5〜
50重量%を含んだポリフェニレンスルフィド樹脂組成
物またはそのような組成物からなる射出成形体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリフェニレン
スルフィド樹脂組成物およびその射出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリフェニレンスルフィド樹脂
を主成分とする樹脂組成物は、その耐熱性を活かして1
00℃以上の条件で使用される場合が多い。
【0003】例えば、自動車のエンジンルーム内で使用
される種々のエンジン補機部品を形成する樹脂成形体
は、通常80〜160℃の雰囲気に曝されることが多く
あり、使用部位によっては最高120℃程度、最高18
0℃程度になる多湿雰囲気下、または温・熱水に直接触
れるような条件で使用される。
【0004】このような条件で使用される樹脂成形体
を、ポリフェニレンスルフィド樹脂で形成すると、この
ものは熱膨張や吸水による膨潤によって寸法が変化し、
部品としての機能が損なわれることがある。
【0005】ポリフェニレンスルフィド樹脂成形体は、
軽量のアルミニウム合金と複合させ、すなわち組み合わ
せて使用される場合があるが、その場合には、両材料の
熱膨張率の差や吸水寸法変化率の差によって変形が起こ
り易くなる。
【0006】このような不具合を回避するために、従来
のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、ガラス繊
維や炭素繊維等の繊維状補強材を配合し、マイカなどの
無機充填材を配合するようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、補強繊維を含
有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、成形時
に補強繊維が配向するので、成形体は熱膨張率に関し
て、異方性が大きいという問題点がある。
【0008】また、そのような異方性を小さくするに
は、補強繊維に代えてマイカ等の鱗片状の補強材を使用
することが有効であるが、鱗片状補強材のみで熱膨張率
や吸水時の寸法変化小さくしようとすると、鱗片状の補
強材をかなり多量に配合する必要が生じ、成形性が損な
われるという問題が発生する。
【0009】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決してポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の成
形性を損なわずに、吸水性を低くし、すなわち吸水時の
寸法変化を小さくすると共に、熱膨張率を低く抑え、か
つそのような寸法変化の異方性を可及的に小さくするこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、ポリフェニレンスルフィド樹
脂30〜80重量%、鱗片状黒鉛1〜50重量%および
樹脂系球状粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼成し
て得られる球状黒鉛5〜50重量%を含んだポリフェニ
レンスルフィド樹脂組成物またはこの組成物からなる射
出成形体としたのである。
【0011】または、ポリフェニレンスルフィド樹脂3
0〜80重量%、鱗片状黒鉛10〜50重量%、炭酸カ
ルシウム、マイカ、タルクおよびガラスフレークからな
る群から選ばれる一種以上の無機充填剤5〜50重量%
を含んだポリフェニレンスルフィド樹脂組成物またはこ
の組成物からなる射出成形体としたのである。
【0012】この発明のポリフェニレンスルフィド樹脂
組成物に配合される球状黒鉛は、樹脂系球状粒子を不活
性雰囲気下または真空下で熱分解ガスを析出させること
なく焼成して製造されたものであり、その形状は真球に
近く、粒度分布も狭くて粒径が良く揃ったものであるか
ら、このものはポリフェニレンスルフィド樹脂に均一に
分散し、効率よく樹脂組成物を補強し、優れた射出成形
体も得られる。
【0013】このような球状黒鉛を鱗片状黒鉛と併用し
て、ポリフェニレンスルフィド樹脂の熱膨張率や吸水時
の寸法変化を抑制すると、鱗片状の補強材を多量に配合
する必要がなくなり、樹脂組成物または射出成形体の成
形性が損なわれない。
【0014】また、上記した球状黒鉛に代えて、炭酸カ
ルシウム、マイカ、タルクおよびガラスフレークからな
る群から選ばれる一種以上の無機充填剤を配合しても前
記同様に寸法変化の異方性を小さくするという作用効果
がある。
【0015】さらにまた、このような組成物からなる射
出成形体は、アルミニウム合金等の軟質金属の熱膨張係
数とほぼ同じ値になるから、そのような軟質金属と一体
にまたは接近して設けられる部材に採用した場合、常温
・高温時共に隙間寸法精度を高く設定できる射出成形体
になる。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明に用いるポリフェニレン
スルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略記する。)は、
下記の化1で示される一般式で示される種々の繰り返し
単位からなり耐熱性および断熱性を有する重合体であ
る。
【0017】
【化1】
【0018】これらの重合体のうち、特に典型的なもの
は下記の化2で示されるものであり、例えば側鎖型PP
S樹脂の市販品ではトープレン社製:T−4、東ソーサ
スティール社製:「サスティール」などが挙げられる。
化2で示されるPPS樹脂の製法は、一般にはN−メチ
ルピロリドン溶媒中、160〜250℃、加圧条件下で
p−ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを反応させるこ
とによって製造されるが、この場合、樹脂中に交差結合
が全くないものや、部分的に交差結合を有するもの等、
各種重合度のものが熱処理工程で自由に製造できるの
で、目的の溶融ブレンドに適正な溶融粘度特性を有する
ものを選択的に製造可能である。
【0019】側鎖型のPPS樹脂は、主鎖部分に対して
枝部分を有するので、例えば射出成形時においても溶融
樹脂の流動方向に重合分子鎖が並び難く、流動方向性が
鈍くなって異方性が現れ難いと考えられる。
【0020】
【化2】
【0021】架橋構造をとらない直鎖状PPS樹脂や、
反架橋型構造のものを採用してもよいが、耐衝撃性など
の機械的強度や成形性については、直鎖状構造のものが
好ましく、市販の直鎖状PPS樹脂としては、トープレ
ン社製:LC−7等が挙げられる。
【0022】なお、直鎖状の重合形態のものでは、酸素
雰囲気中で加熱処理したもの、または過酸化物などを添
加した加熱処理によって硬化させ、その重合度を上げた
ものであってもよい。さらにまた、非酸化性不活性ガス
中で加熱処理をしたものであってもよく、前記種々のP
PS樹脂の混合物であってもよい。脱イオン処理(酸洗
浄や熱水処理等)を行なうことによって、イオンを低減
したPPS樹脂でもよい。
【0023】いずれのPPS樹脂も例えばビッカース高
度(Hv)80以上800未満の相手金属材との組合わ
せで使用することができ、具体的にはアルミニウム合金
のようなブリネル硬さ(HB)が50〜150のもの、
またはHBが60〜120の硬度を有する軟質金属と組
み合わせて使用でき、その組合わせにより優れた摺動特
性(摩耗特性等)を発揮させることができるものであ
る。また、PPS樹脂は比重が小さいので、例えば自動
車部品などの軽量化にも寄与できる。
【0024】この発明におけるPPS樹脂の配合量は、
30〜80重量%である。配合量が30重量%未満で
は、成形体の耐熱性が低下して好ましくない。PPS樹
脂の配合量が80重量%を越えると、成形時にドルーリ
ングが著しく起こるので好ましくない。配合量が50〜
60重量%の組成物は、優れた耐熱性および成形性を併
有するため、特に好ましい。
【0025】この発明に用いる球状黒鉛は、樹脂系球状
粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼成して得られる
ものであり、樹脂材料としては、フェノール樹脂、ナフ
タレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベン
ゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のう
ちの少なくとも一種を出発材料とするもの(球状グラフ
ァイト)が好ましい。樹脂系球状粒子は、前記の樹脂材
料を周知のエマルジョン重合法によって調製し、焼成時
には窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性雰囲気下また
は真空下で焼成することによって黒鉛化する。
【0026】球状粒子の焼成温度は、最高温度が500
〜3000℃程度、好ましくは1000〜2000℃で
あればよい。焼成後の球状黒鉛の大きさは、通常、直径
1mm以下の粉末であればよいが、平均粒径100μm
以下(好ましくは平均粒径1〜50μm、より好ましく
は5〜25μm)の粉末のものが均一に分散し、樹脂組
成物の吸水時の寸法変化や熱膨張係数を小さくする効果
が良好である。また、このような球状黒鉛は、均一な粒
度分布で表面は平滑であり、高硬度であるので硬質相手
金属材に対してかなり優れた諸特性を発揮する。
【0027】このような球状黒鉛は、軟質金属材に摺接
する摺動部材用組成物に配合してもよく、その場合には
組成物配合比を調整することにより組成物の補強材とし
て機能する。そして、この黒鉛は球状であるため、射出
成形時に溶融樹脂が一定方向に流動する際、他の形状の
充填剤のように特定の方向に配向することがない。そし
て、この黒鉛はその球状により、表面露出部分では点接
触するので、組成物を低摩擦係数にしやすい。
【0028】上記の条件を満足する球状黒鉛の市販品と
しては、日本カーボン社製:カーボンマイクロビーズ、
鐘紡社製:ベルパール(焼成グレードのもの)などが挙
げられる。
【0029】球状黒鉛の組成物または射出成形体中の配
合割合は、5〜50重量%である。5重量%未満の少量
では、組成物または射出成形体の線膨張係数が大きくな
って好ましくなく、50重量%を越える多量では、成形
性を阻害するので好ましくない。なお、高温度で焼成さ
れた球状黒鉛は高硬度であるから、摺動相手材がアルミ
ニウム合金のような軟質金属である場合の摺動材用組成
物には5〜30重量%配合することが好ましい。
【0030】また、この発明に用いる鱗片状黒鉛は、天
然黒鉛、人造黒鉛のいずれであってもよく、その平均粒
径は特に限定されるものではないが、線膨張係数の成形
方向による異方性の点で1〜50μmのものが好まし
く、このような傾向から5〜20μmのものがより好ま
しく、さらに好ましいものは10〜15μm程度のもの
である。そして、鱗片状黒鉛は、微粒の形態で比較的小
さい粒状物、例えば縦横比が1〜5程度の粒状物であれ
ば、異方性を少なくすることができると考えられる。特
に射出成形の場合は、溶融樹脂の流動方向に沿って板
状、薄片状、棒状の粒状物が配向しやすいため、これら
粒状物の縦横比は1〜3程度がより好ましいと考えられ
る。
【0031】人造黒鉛の材料は、特に限定することな
く、以下のような一般的なものを採用できる。例えば、
ピッチ、コールタール、コークス、木質原料、フラン樹
脂、ポリアクリロニトリルなどである。この発明に採用
可能な鱗片状黒鉛の市販品としては、日本黒鉛社製:A
CP、LONZA社製:KS−6、LONZA社製:K
S−10等が挙げられる。
【0032】鱗片状黒鉛粉は、適度な硬度で摺動時には
その一部が破壊されながら摺動面に固体潤滑剤として介
在するので、摺動部材用充填剤として好適なものであ
り、例えばアルミニウム合金などの軟質金属に摺接する
対軟質合金材の摺動部材用として好適な充填剤である。
【0033】この発明に用いる鱗片状黒鉛の配合割合
は、1〜50重量%である。1重量%未満の少量では、
吸水性が大きくなって好ましくなく、50重量%を越え
る多量では、溶融粘度が高くなり成形性に劣ることにな
って好ましくない。
【0034】次に、この発明に用いる無機質充填剤とし
ては、炭酸カルシウム、マイカ、タルクおよびガラスフ
レークからなる群から選ばれる一種以上のものである。
これらは、熱膨張係数を低下させる効果があるが、鱗片
状のもの、不定型のもののいずれであってもよい。
【0035】上記無機質充填剤のうち、炭酸カルシウム
は、組成物の吸水性を低く抑える点で特に好ましい。市
販品としては、日窒工業社製:炭酸カルシウムNA60
0などが挙げられる。炭酸カルシウムは、その形状が不
安定であるので、溶融樹脂の流動方向に関係なく、すな
わち異方性が発現し難い補強用充填剤である。
【0036】この発明の樹脂組成物には、この発明の目
的を阻害しない範囲で、上記以外の無機質充填剤を配合
することができる。例えば、シリカ粉末、ガラス粉末、
石膏、二硫化モリブデン、酸化鉄、酸化マグネシウム、
酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ドロマイ
ト、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライ
ト、セリサイト、ベントナイト、バイロフェライト、ク
レー、カオリン、硫酸バリウム、窒化ケイ素、セラミッ
クなどである。
【0037】また、この発明の樹脂組成物には、この発
明の目的を阻害しない範囲で、PPS樹脂以外の熱可塑
性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂の配合量
は、PPS樹脂の等重量以下、特に1/2以下が好まし
い。このように使用できる熱可塑性樹脂としては、以下
のものが挙げられる。すなわち、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、A
S樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、各種ポリア
ミド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリカーボネート
樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリビニルアセテー
ト樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリサルホン樹脂、
ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ
アミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、各種液晶樹
脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、ポリフ
ッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、エチレン−ク
ロロトリフルオロエチレン共重合体樹脂などである。
【0038】上記した熱可塑性樹脂のうち、フッ素系樹
脂は、特に摺動性の向上(低摩擦係数化)と射出成形体
の金型からの離型性の向上のために配合することが好ま
しいものである。フッ素系樹脂のうちでも特に摺動特性
と耐熱性に優れたパーフルオロ系フッ素樹脂を採用する
ことが好ましい。
【0039】また、この発明の目的を阻害しない範囲
で、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン、チオエー
テル、ホスファイト類およびこれらの置換体などの酸化
防止剤や熱安定剤、レゾルシノール、サリシレート、ベ
ンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、
ステアリン酸やオレイン酸等の脂肪酸およびその塩や、
アルコール等の内部滑剤、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、ポリアルキレングリコール等の帯電防止
剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、染料、顔料等の添加
剤を使用することも可能である。
【0040】以上述べたこの発明に用いる諸原材料を混
合する手段は、特に限定されるものではなく、原料を個
別に溶融混合機に供給してもよく、または予め、ヘンシ
ェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダーなど
の汎用の混合機を用いて2種以上のものを同時に混合し
てもよい。
【0041】その場合の混合温度は、通常、280〜3
20℃である。また、成形方法は、射出成形、押出し成
形、圧縮成形または焼結成形などの周知の成形方法を採
用できるが、量産性の点では射出成形を採用することが
最も好ましい。
【0042】また、機械的強度の向上や耐熱性の向上を
目的として、200〜300℃の熱処理を1〜24時
間、好ましくは5〜10時間施せば、より優れた成形体
となるって好ましい。そして、このような成形体は、高
温使用条件下におけるアルミニウム合金等の軟質合金と
隣接する摺動部材、または断熱部材等の支持部材として
優れた機能を発揮できる。
【0043】
【実施例】実施例および比較例に用いた原材料を一括し
て示すと以下の通りである。これらの原材料の配合割合
は、表中に重量%で示した。 (1)ポリフェニレンスルフィド樹脂(トープレン社
製:T−4) (2)球状グラファイト(カネボウ社製:ベルパールC
2000) (3)鱗片状天然黒鉛(日本黒鉛社製:ACP) (4)人造黒鉛(LONZA社製:KSIO) (5)炭酸カルシウム(日窒工業社製:NA600) (6)マイカ(兼松化成社製:FM30) (7)ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製:CSO3
MA497) (8)炭素繊維(東レ社製:トレカ MLD300) (9)球状ガラス(アドマフィン社製:SiO・CO) (10)テトラフルオロエチレン樹脂〔PTFE〕(喜多
村社製:KTL610)。
【0044】〔実施例1〜3、比較例1〜10〕表1ま
たは表2に示す配合割合で原材料(1) 〜(10)をヘンシェ
ルミキサーで環式混合し、さらにスクリュー押出し機で
溶融混合してペレットを製造し、これを常法に従って適
当な温度・圧力条件で射出成形し、得られた射出成形体
を切削加工して縦・横・厚さが128mm×12.5m
m×3mmの短冊状片を形成した。次いで、この短冊状
片に対して200℃×8時間の熱処理により結晶化を行
なって試験片を得た。得られた試験片に対して以下に示
す試験、を行ない、その結果を表1、2中に併記し
た。
【0045】 吸水寸法変化率の測定試験 短冊状試験片を室温の状態から90〜95℃の温水中に
1000時間浸漬した後、短冊状試験片の射出成形方向
(以下、MD方向と略記する。)または前記MD方向に
垂直方向(以下、CD方向と略記する。)に沿って寸法
(mm)を測定し、下記の式に従って寸法変化率(%)
を求めた。 寸法変化率(%)=(浸漬後寸法−初期寸法)×100
/初期寸法 熱膨張係数の測定試験 熱膨張係数の測定機(セイコー電子工業社製:SSC5
200TMA)を用いて短冊状試験片のMD方向および
CD方向の線膨張率について熱膨張係数を求めた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1および表2中に示した結果からも明ら
かなように、実施例1〜3の吸水寸法変化率は、MD方
向およびCD方向について所期した値の0.01〜0.
1を満足して0.047〜0.063であるという優れ
た寸法安定性を示した。また、それらの熱膨張係数は、
所期した値の1.7×2.7(×10-5)を満足して
1.8〜2.4(×10-5)であり、なかでもCD方向
では所期した2.0〜2.4(×10-5)の熱膨張係数
の範囲に収まり、アルミニウム合金とほぼ同等の低い値
を示した。アルミニウム合金等の熱膨張係数は、20〜
100℃で2.0〜2.5(×10-5)であり、このよ
うな軟質軽量金属の熱膨張係数と等しい熱膨張係数を有
する射出成形体となったのである。また、吸水寸法変化
率および熱膨張係数のMD方向およびCD方向について
の差が少なく、異方性の少ないものであり、また寸法精
度の高いものであることがわかる。
【0049】これに対して、比較例1、2、4、5は、
ガラス繊維または炭素繊維を含有しているので、熱膨張
係数の異方性が大きかった。また、比較例3は、球状黒
鉛に代えて球状ガラスを採用したものであり、吸水寸法
変化率の高いものであった。
【0050】また、PPS樹脂の配合量が所定範囲を越
えて多量である比較例6は、吸水寸法変化率が高かっ
た。また、比較例7〜9は、球状黒鉛を含まないもの
で、いずれも吸水寸法変化率が高く、ガラス繊維または
炭素繊維を含有したものは、熱膨張係数の異方性が大き
かった。
【0051】
【発明の効果】本願の発明のうち、ポリフェニレンスル
フィド樹脂、鱗片状黒鉛および所定の球状黒鉛を含んだ
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物またはその射出成
形体の発明、またはポリフェニレンスルフィド樹脂、鱗
片状黒鉛、所定の無機充填剤を含んだポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物の発明またはその射出成形体の発明
は、以上説明したように、ポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物の成形性を損なわずに、吸水性が低くなり、す
なわち水に接した際の寸法変化が小さく、熱膨張率が低
く抑えられ、かつそれら(吸水時の寸法変化と熱膨張
率)の異方性が小さいという利点がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンスルフィド樹脂30〜8
    0重量%、鱗片状黒鉛1〜50重量%および樹脂系球状
    粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼成して得られる
    球状黒鉛5〜50重量%を含んでなるポリフェニレンス
    ルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂組成物からなる射出成形体。
  3. 【請求項3】 ポリフェニレンスルフィド樹脂30〜8
    0重量%、鱗片状黒鉛10〜50重量%、炭酸カルシウ
    ム、マイカ、タルクおよびガラスフレークからなる群か
    ら選ばれる一種以上の無機質充填剤5〜50重量%を含
    んでなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のポリフェニレンスルフィ
    ド樹脂組成物からなる射出成形体。
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