JPWO2004048265A1 - 高濃度シリカスラリー - Google Patents
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Abstract
レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とし、好ましくは、ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下、アルミニウム量1.0ppm以下、硫黄、ニッケル、クロムおよび鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下であるシリカ粉末を用いたシリカ濃度70wt%以上〜80wt%以下であってスラリー調製時の粘度800mPa・s以下の高濃度シリカスラリー。
Description
本発明は、均一な粒子径であって凝集性の低いシリカ粉末を用いることによって高濃度でありながら低粘性のシリカスラリーとしたものであり、このシリカスラリーを用いた研磨性能の高い研磨組成物に関する。本発明のシリカ分散スラリーは低濃度から高濃度に至る広い濃度範囲でシリカ粉末が沈降せずに分散しており、しかも低粘性であるので、取り扱い性が良く、また経時安定性に優れ、高速研磨や粗研磨に適する。さらに、不純物が少ないので半導体材料の化学研磨に適する。また、高濃度で取り扱いできることから安価に供給できる利点を有する。
化学的研磨(CMP)において、フュームドシリカやコロイダルシリカの分散液スラリーが用いられている(特開昭62−30333号公報、特開平05−154760号公報、特開2001−342455号公報)。一般にシリコンウエハの研磨は一次研磨、二次研磨、および仕上げ研磨に分けられ、最後の仕上がり表面の状況はスクラッチやヘイズがないものが求められている。さらには、ウエハ表面の研磨中に金属イオン、特にナトリウムのような金属イオンが基板表層に取り込まれて金属イオン汚染を生じることがないような高純度の研磨スラリーが強く求められている。
シリカ粉末分散液について、金属汚染が少なく、研磨精度と速度に優れた研磨液を得るには、高純度のシリカ粉末を用いると共にシリカ粉末が高濃度であって分散性が良く、かつ低粘度で経時安定性に優れたスラリーであることが必要である。ところが、従来のシリカ分散スラリーのシリカ濃度は40%程度が限界であり、シリカ濃度がこれより高いと適度な流動性を失うものが多い。また、従来の分散液はスラリーの粘度における経時安定性が低いと云う問題がある。特に微細な粒子径のシリカ粉末にこの傾向が強い。具体的には例えば平均一次粒子径7〜50nmのフュームドシリカを用いた従来のスラリーは、スラリー中でシリカ粉末が凝集体として存在する傾向が強いため、研磨時の粒子径が均一ではなく、粘度の経時変化も大きい。
本発明は、従来のシリカスラリーにおける上記問題を解決したものであり、高濃度でありながら粘性が低く、しかも粘度の経時変化が少ない高濃度シリカスラリーを提供するものである。
シリカ粉末分散液について、金属汚染が少なく、研磨精度と速度に優れた研磨液を得るには、高純度のシリカ粉末を用いると共にシリカ粉末が高濃度であって分散性が良く、かつ低粘度で経時安定性に優れたスラリーであることが必要である。ところが、従来のシリカ分散スラリーのシリカ濃度は40%程度が限界であり、シリカ濃度がこれより高いと適度な流動性を失うものが多い。また、従来の分散液はスラリーの粘度における経時安定性が低いと云う問題がある。特に微細な粒子径のシリカ粉末にこの傾向が強い。具体的には例えば平均一次粒子径7〜50nmのフュームドシリカを用いた従来のスラリーは、スラリー中でシリカ粉末が凝集体として存在する傾向が強いため、研磨時の粒子径が均一ではなく、粘度の経時変化も大きい。
本発明は、従来のシリカスラリーにおける上記問題を解決したものであり、高濃度でありながら粘性が低く、しかも粘度の経時変化が少ない高濃度シリカスラリーを提供するものである。
本発明は以下の構成からなる高濃度シリカスラリーとその研磨組成物に関する。
(1)レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とする高濃度シリカスラリー。
(2)シリカ濃度70wt%以上〜80wt%以下であり、スラリー調製時の粘度800mPa・s以下である上記(1)に記載する高濃度シリカスラリー。
(3)スラリー調製時の粘度(A)と1月経過時の粘度(B)の比(B/A)が1.5以下である上記(1)または(2)に記載する高濃度シリカスラリー。
(4)ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下、アルミニウム量1.0ppm以下、硫黄、ニッケル、クロムおよび鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下であるシリカ粉末を用いた上記(1)〜(3)の何れかに記載する高濃度シリカスラリー。
(5)上記(1)〜(4)の何れか記載する高濃度シリカスラリーを用いた研磨組成物。
〔発明の具体的な説明〕
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り重量%である。
本発明のシリカスラリーは、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmであるシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とする高濃度シリカスラリーである。
本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのものである。シリカ粒子の平均一次粒子径が0.08μmより小さいものはスラリーが不安定になる傾向があり、粘度の経時変化やスラリーの沈降を生じやすい。一方、平均一次粒子径が0.80μmより大きいシリカ粒子は、スラリー中で沈降を生じやすく、研磨に用いた場合にスクラッチ等の原因となる。
さらに本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下のものである。TEM撮影は一次粒子径の測定に適しており、TEM撮影による平均粒子径(DT)は一次粒子の粒子径を表す。一方、レーザー回折粒度分布による測定は二次凝集体を含む粒子径の測定に適しており、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)は二次凝集体を含む粒子径を表す。従って、この比(DL/DT)は粒子の凝集の割合を示している。具体的には、上記平均粒子径の比(DL/DT)が1.3を上回るシリカ粒子は二次凝集体が多く、高濃度かつ低粘性のシリカスラリーを得るのが難しい。
このように本発明のシリカ粉末は二次凝集体が少ないものであり、さらに二次凝集体についても、その平均粒子径が概ね1.0μm以下のものが好ましく、かつこの二次凝集粒子は粒子径1.0μm以下の範囲にその95%以上が一山に分布しているものが好ましい。シリカ粒子の一山の分布ピークが95%より少なく、またはこの95%以上の分布ピーク内にある凝集粒子の平均粒子径が1.0μmより大きいと、スラリーが不安定であり、粘度の経時変化が大きくなる。
また、本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下のものが好ましい。ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppmより高いシリカ粉末を分散させたスラリーは、これをウエハーなどの研磨に用いると、シリカ粉末に含まれているナトリウムやカリウムなどの不純物イオンが研磨中にウエハーの表層に取り込まれて汚染を生じ、研磨面にスクラッチやヘイズを生じることが多い。
金属汚染を防止するには、ナトリウムおよびカリウム以外の不純物についても、その不純物濃度はできるだけ少ないものが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム量が1.0ppm以下であって、硫黄、ニッケル、クロム、鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下のものが好ましく、硫黄、ニッケル、クロムの各含有量が何れも0.1ppm以下であるのがより好ましい。
不純物濃度が少なく、かつ粒子径が上記範囲のシリカ粉末は、例えば火炎加水分解法などの乾式法で製造したフュームドシリカなどである。湿式法によって製造したシリカ粉末は金属不純物が上記濃度水準以下のものを得るのが難い。乾式法で製造したシリカ粉末としては、例えば特開2002−3213号公報に記載されている方法によって製造したものを用いるとよい。本製造方法はガス状の珪素化合物を火炎に導いて加水分解することによって非晶質シリカ微粒子を製造する方法であり、火炎温度をシリカの融点以上とし、この火炎中のシリカ濃度を0.25kg/Nm3以上に保って生成したシリカ粒子をシリカの融点以上の高温下に短時間滞留させ、平均粒径(メジアン径)0.08〜0.80μmおよび比表面積5〜30m2/gの非晶質シリカ粒子を得る製造方法である。
上記製造方法において、原料の珪素化合物は四塩化珪素、トリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のガス状で酸水素炎中に導入され、高温下で加水分解反応を生じるものが用いられる。これらの四塩化珪素等のガス状珪素化合物は蒸留精製によって原料中の不純物を容易に除去できるので高純度のシリカ粒子を製造するのに適している。
平均粒子径比(DL/DT)および平均一次粒子径が上記範囲内のシリカ粉末を用いることによって、シリカ濃度50%以上の高濃度スラリーでありながら、粘度1000mPa・s以下、かつ粘性の経時変化が少ない低粘性シリカスラリーを得ることができる。具体的には、例えば、シリカ濃度70%以上であって初期粘度800mPa・s以下、スラリー調製時の粘度Aと1月経過時の粘度Bの比(B/A、以下、経時粘度比と云う)が1.5以下の低粘性シリカスラリーを得ることができる。経時粘度比(B/A)が1.5より高いものは経時的な粘度変化が大きく、スラリーが不安定である。
スラリーのシリカ濃度は80%以下が好ましい。シリカ濃度が80%より高いと粘度が高くなり過ぎてゲル化や沈降を生じやすくなる。また、日常の温度変化や運搬・保存条件等の相違によって容易にゲル化や沈澱を生じるなど、スラリーの経時安定性が低下する。さらにスラリーの粘度が1000mPa・sより高いと取り扱い性に問題が生じる。なお、シリカ粉末を分散する溶媒は蒸留水などの極性溶媒が望ましい。溶媒の粘度は10mPa・s以下が適当である。
本発明のシリカスラリーは、上記不純物濃度の範囲内であり、かつ上記平均粒子径の比(DL/DT)および平均一次粒子径の範囲内であれば、粒子径が異なる2種類以上のシリカ粉末を用いることができる。さらに、シリカ粉末と共に他の金属酸化物粉末、例えばアルミナ粒子、複合酸化物粒子、ドープドマテリアルなどを含むことができる。この金属酸化物粉末の量は本発明のシリカスラリーの上記特徴を損なわない範囲であることが必要である。これらの金属酸化物粉末を含むことによって目的に応じた研磨が可能になる。
(1)レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とする高濃度シリカスラリー。
(2)シリカ濃度70wt%以上〜80wt%以下であり、スラリー調製時の粘度800mPa・s以下である上記(1)に記載する高濃度シリカスラリー。
(3)スラリー調製時の粘度(A)と1月経過時の粘度(B)の比(B/A)が1.5以下である上記(1)または(2)に記載する高濃度シリカスラリー。
(4)ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下、アルミニウム量1.0ppm以下、硫黄、ニッケル、クロムおよび鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下であるシリカ粉末を用いた上記(1)〜(3)の何れかに記載する高濃度シリカスラリー。
(5)上記(1)〜(4)の何れか記載する高濃度シリカスラリーを用いた研磨組成物。
〔発明の具体的な説明〕
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り重量%である。
本発明のシリカスラリーは、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmであるシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とする高濃度シリカスラリーである。
本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのものである。シリカ粒子の平均一次粒子径が0.08μmより小さいものはスラリーが不安定になる傾向があり、粘度の経時変化やスラリーの沈降を生じやすい。一方、平均一次粒子径が0.80μmより大きいシリカ粒子は、スラリー中で沈降を生じやすく、研磨に用いた場合にスクラッチ等の原因となる。
さらに本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下のものである。TEM撮影は一次粒子径の測定に適しており、TEM撮影による平均粒子径(DT)は一次粒子の粒子径を表す。一方、レーザー回折粒度分布による測定は二次凝集体を含む粒子径の測定に適しており、レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)は二次凝集体を含む粒子径を表す。従って、この比(DL/DT)は粒子の凝集の割合を示している。具体的には、上記平均粒子径の比(DL/DT)が1.3を上回るシリカ粒子は二次凝集体が多く、高濃度かつ低粘性のシリカスラリーを得るのが難しい。
このように本発明のシリカ粉末は二次凝集体が少ないものであり、さらに二次凝集体についても、その平均粒子径が概ね1.0μm以下のものが好ましく、かつこの二次凝集粒子は粒子径1.0μm以下の範囲にその95%以上が一山に分布しているものが好ましい。シリカ粒子の一山の分布ピークが95%より少なく、またはこの95%以上の分布ピーク内にある凝集粒子の平均粒子径が1.0μmより大きいと、スラリーが不安定であり、粘度の経時変化が大きくなる。
また、本発明のスラリーに用いるシリカ粉末は、ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下のものが好ましい。ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppmより高いシリカ粉末を分散させたスラリーは、これをウエハーなどの研磨に用いると、シリカ粉末に含まれているナトリウムやカリウムなどの不純物イオンが研磨中にウエハーの表層に取り込まれて汚染を生じ、研磨面にスクラッチやヘイズを生じることが多い。
金属汚染を防止するには、ナトリウムおよびカリウム以外の不純物についても、その不純物濃度はできるだけ少ないものが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム量が1.0ppm以下であって、硫黄、ニッケル、クロム、鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下のものが好ましく、硫黄、ニッケル、クロムの各含有量が何れも0.1ppm以下であるのがより好ましい。
不純物濃度が少なく、かつ粒子径が上記範囲のシリカ粉末は、例えば火炎加水分解法などの乾式法で製造したフュームドシリカなどである。湿式法によって製造したシリカ粉末は金属不純物が上記濃度水準以下のものを得るのが難い。乾式法で製造したシリカ粉末としては、例えば特開2002−3213号公報に記載されている方法によって製造したものを用いるとよい。本製造方法はガス状の珪素化合物を火炎に導いて加水分解することによって非晶質シリカ微粒子を製造する方法であり、火炎温度をシリカの融点以上とし、この火炎中のシリカ濃度を0.25kg/Nm3以上に保って生成したシリカ粒子をシリカの融点以上の高温下に短時間滞留させ、平均粒径(メジアン径)0.08〜0.80μmおよび比表面積5〜30m2/gの非晶質シリカ粒子を得る製造方法である。
上記製造方法において、原料の珪素化合物は四塩化珪素、トリクロロシラン、ジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のガス状で酸水素炎中に導入され、高温下で加水分解反応を生じるものが用いられる。これらの四塩化珪素等のガス状珪素化合物は蒸留精製によって原料中の不純物を容易に除去できるので高純度のシリカ粒子を製造するのに適している。
平均粒子径比(DL/DT)および平均一次粒子径が上記範囲内のシリカ粉末を用いることによって、シリカ濃度50%以上の高濃度スラリーでありながら、粘度1000mPa・s以下、かつ粘性の経時変化が少ない低粘性シリカスラリーを得ることができる。具体的には、例えば、シリカ濃度70%以上であって初期粘度800mPa・s以下、スラリー調製時の粘度Aと1月経過時の粘度Bの比(B/A、以下、経時粘度比と云う)が1.5以下の低粘性シリカスラリーを得ることができる。経時粘度比(B/A)が1.5より高いものは経時的な粘度変化が大きく、スラリーが不安定である。
スラリーのシリカ濃度は80%以下が好ましい。シリカ濃度が80%より高いと粘度が高くなり過ぎてゲル化や沈降を生じやすくなる。また、日常の温度変化や運搬・保存条件等の相違によって容易にゲル化や沈澱を生じるなど、スラリーの経時安定性が低下する。さらにスラリーの粘度が1000mPa・sより高いと取り扱い性に問題が生じる。なお、シリカ粉末を分散する溶媒は蒸留水などの極性溶媒が望ましい。溶媒の粘度は10mPa・s以下が適当である。
本発明のシリカスラリーは、上記不純物濃度の範囲内であり、かつ上記平均粒子径の比(DL/DT)および平均一次粒子径の範囲内であれば、粒子径が異なる2種類以上のシリカ粉末を用いることができる。さらに、シリカ粉末と共に他の金属酸化物粉末、例えばアルミナ粒子、複合酸化物粒子、ドープドマテリアルなどを含むことができる。この金属酸化物粉末の量は本発明のシリカスラリーの上記特徴を損なわない範囲であることが必要である。これらの金属酸化物粉末を含むことによって目的に応じた研磨が可能になる。
本発明のシリカスラリーは、平均粒子径の比(DL/DT)および平均一次粒子径を一定の範囲内に調整したシリカ粉末を用いることによって、シリカ濃度50wt%以上および粘度1000mPa・s以下の高濃度・低粘性のシリカスラリーとしたものであり、好ましくは、シリカ濃度70wt%以上〜80wt%以下、スラリー調製時の粘度800mPa・s以下、経時粘度比(B/A)1.5以下の高濃度・低粘性のシリカスラリーとしたものであり、シリカ濃度が高いにもかかわらずスラリー粘度が低く、かつ粘度の経時変化も小さいスラリーである。さらに好ましくは、ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下であって、アルミニウム量1.0ppm以下、硫黄、ニッケル、クロムおよび鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下の不純物が少ないシリカ粉末を用いたものである。従って、本発明の高濃度シリカスラリーは研磨剤に適しており、化学的研磨(CMP)などにおいて、研磨速度が比較的速く、しかも研磨精度にも優れる。
本発明を実施例および比較例によって以下に具体的に示す。なお、各例において粘度はHAAKE社のRheoStress計を用いて測定し、粒子径はHORIBA社のレーザー散乱式粒度分布計を用いて測定した。粘度は100/sのせん断速度における値であり、経時変化粘度はスラリー調製時から1ヶ月経過後の粘度である。
表1に示す不純物濃度のフュームドシリカ(商品名VP−OX30、比表面積30m2/g、日本アエロジル社製品)を用い、このフュームドシリカを蒸留水に添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH8.9に調整してシリカ濃度75%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した。
表1に示す不純物濃度のフュームドシリカ(商品名VP−OX10、比表面積10m2/g、日本アエロジル社製品)を用い、このフュームドシリカを蒸留水に添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH9.2に調整してシリカ濃度80%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した。
〔試験例〕
表1に示す不純物濃度のフュームドシリカ(商品名VP−OX30、比表面積30m2/g、日本アエロジル社製品)を用い、このフュームドシリカを蒸留水に添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH8.9に調整し、シリカ濃度85%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した。
〔比較例〕
蒸留水に市販のコロイダルシリカを添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH9.2に調整し、シリカ濃度70%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例1)。
コロイダルシリカに代えて湿式法によって製造したシリカ粉末を用いた以外は同様にしてシリカ濃度70%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比とを測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例2)。
平均粒子径の比(DL/DT)5.5、平均一次粒子径0.012μmのフュームドシリカを用いた他は実施例1と同様にしてシリカスラリーを調製した。このスラリーの濃度、粘度、および経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例3)。
〔結果〕
表1に示すように、本発明に係る実施例1、2のシリカスラリーはシリカ濃度が何れも75%以上でありながら、スラリー調製時の初期粘度は各々700mPa・s、800mPa・sであり、何れもスラリーの粘性が低い。さらに1月経過時のスラリー粘度は各々730mPa・s、850mPa・sであり、従って経時粘度変化が小さく安定である。一方、比較例1は平均一次粒子径が小さすぎ、また不純物濃度も高い。また、比較例2は平均粒子径比(DL/DT)がやや大きいうえに不純物濃度が格段に高い。従って、比較例1および2は研磨剤に適さない。さらに、比較例3は本発明の範囲よりも平均粒子径比(DL/DT)がかなり大きく、平均一次粒子径が小さいのでシリカ濃度が10%と低いにもかかわらず、スラリー粘度が3000mPa・s以上と格段に高い。
〔試験例〕
表1に示す不純物濃度のフュームドシリカ(商品名VP−OX30、比表面積30m2/g、日本アエロジル社製品)を用い、このフュームドシリカを蒸留水に添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH8.9に調整し、シリカ濃度85%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した。
〔比較例〕
蒸留水に市販のコロイダルシリカを添加し、攪拌分散させてスラリー化し、pH9.2に調整し、シリカ濃度70%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例1)。
コロイダルシリカに代えて湿式法によって製造したシリカ粉末を用いた以外は同様にしてシリカ濃度70%のスラリーを調製した。このスラリーの粘度と経時粘度比とを測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例2)。
平均粒子径の比(DL/DT)5.5、平均一次粒子径0.012μmのフュームドシリカを用いた他は実施例1と同様にしてシリカスラリーを調製した。このスラリーの濃度、粘度、および経時粘度比を測定した。この結果をスラリー化条件と共に表1に示した(比較例3)。
〔結果〕
表1に示すように、本発明に係る実施例1、2のシリカスラリーはシリカ濃度が何れも75%以上でありながら、スラリー調製時の初期粘度は各々700mPa・s、800mPa・sであり、何れもスラリーの粘性が低い。さらに1月経過時のスラリー粘度は各々730mPa・s、850mPa・sであり、従って経時粘度変化が小さく安定である。一方、比較例1は平均一次粒子径が小さすぎ、また不純物濃度も高い。また、比較例2は平均粒子径比(DL/DT)がやや大きいうえに不純物濃度が格段に高い。従って、比較例1および2は研磨剤に適さない。さらに、比較例3は本発明の範囲よりも平均粒子径比(DL/DT)がかなり大きく、平均一次粒子径が小さいのでシリカ濃度が10%と低いにもかかわらず、スラリー粘度が3000mPa・s以上と格段に高い。
本発明のシリカ分散スラリーは、不純物の少ないシリカ粉末を用い、高濃度でありながら粘性が低く、しかも粘度の経時変化が少ないスラリーである。従って、本発明のシリカ分散スラリーはシリコンウエハー等の研磨組成物として好適であり、CMPに用いた際に、研磨速度と研磨精度の両方の性能に優れた効果を得ることができる。
Claims (5)
- レーザー回折粒度分布による平均粒子径(DL)とTEM撮影による平均粒子径(DT)の比(DL/DT)が1.3以下であって、平均一次粒子径が0.08μm〜0.8μmのシリカ粉末を溶媒に分散したシリカ濃度50wt%以上、および粘度1000mPa・s以下であることを特徴とする高濃度シリカスラリー。
- シリカ濃度70wt%以上〜80wt%以下であり、スラリー調製時の粘度800mPa・s以下である請求の範囲第1項に記載する高濃度シリカスラリー。
- スラリー調製時の粘度(A)と1月経過時の粘度(B)の比(B/A)が1.5以下である請求の範囲第1項または第2項に記載する高濃度シリカスラリー。
- ナトリウムおよびカリウムの不純物濃度が何れも1.0ppm以下、アルミニウム量1.0ppm以下、硫黄、ニッケル、クロムおよび鉄の各含有量が何れも0.5ppm以下であるシリカ粉末を用いた請求の範囲第1項から第3項の何れかに記載する高濃度シリカスラリー。
- 請求項の範囲第1項から第4項の何れか記載する高濃度シリカスラリーを用いた研磨組成物。
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