JPWO2004039868A1 - 固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いたポリオルガノシロキサンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、製品中に残存する量も少なく、仮に製品中に残存しても、製品の品質を落とすことが少ない触媒によるオルガノポリシロキサンの製造方法として、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法の提供。
Description
本発明は、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いたポリオルガノシロキサンの製造方法に関し、更に詳しくは、原料のシロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることにより、高純度のポリオルガノシロキサンを、生産性がよく、高収率で得ることができる製造方法に関する。
ポリオルガノシロキサンは耐熱性、耐寒性、耐放射線線性、電気特性に優れ、また表面張力が低いなど特異な界面特性から広く化学工業において使用されている。ポリオルガノシロキサンの重合は一般に、環状ポリオルガノシロキサン、低分子量鎖状ポリオルガノシロキサン及びオルガノアルコキシシランの酸触媒または塩基性触媒によるシロキサン鎖の開裂と再結合による平衡化反応やジクロロジオルガノシラン又はジアルコキシジオルガノシラン等の加水分解反応及び引き続き起きる脱水縮合反応による方法が用いられている。
特に、原料の危険性の少なさや重合度のコントロールのしやすさから前記平衡化反応が多く採用されている。また、この平衡化反応は重合のみならず、ポリオルガノシロキサンの低重合度化や官能基の導入等の様々な目的で広く使用されている。例えば、ポリジメチルシロキサンとヘキサメチルジシロキサンとの平衡化反応により低重合度化が可能である。また、ポリオルガノシロキサンの平衡化反応中に加熱減圧することにより、環状ポリオルガノシロキサンの製造が可能である。更に、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランの加水分解縮合生成物とジメチルポリシロキサンとのアルカリ触媒による平衡化反応により、アミノ変性ポリシロキサンの製造が可能である。
従来、多くの物質が上記平衡化反応に使用される触媒として提案され使用されている。例えば硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ブチルホスホニウムシラノレート、アミン類、ホスホニトリルハライド触媒類等が挙げられる。
しかし、これらの触媒は、触媒の不活性化及び除去の為に中和工程と中和物の除去工程が必要であり効率的でない。また、回収した中和物も濾過助剤やポリシロキサン等との不均一な混合物状態の為、再生するのは極めて困難であり、廃棄され、焼却や埋め立てにより処分されているのが現状である。
環境保護の機運が高まる中、大量の廃棄物が発生する現在の製造方法に変わる製造方法が急望されている。特に、≡Si−Hを有するポリオルガノシロキサンの製造には、≡Si−Hは塩基性触媒では反応してしまうため、酸性触媒の使用が必須であるが、酸性触媒は実用的な反応速度を得るには原料100体積部に対して1〜5体積部程度もの使用が必要であり特に多くの廃棄物が発生し問題である。
また、前記の酸性触媒は金属への腐食性が強い為、製造装置には高価な耐腐食性の材料の使用やライニング処理が必要であった。
更に、近年、ポリオルガノシロキサンは電子材料用途等の高度に精製された原料が必要な用途にも使用される様になってきた。しかし、従来の触媒は生成物中に触媒、中和生成物、中和剤等が微量に残存するので、その用途が制限されていた。
尚、固体の酸性触媒、例えばゼオライト、イオン交換樹脂、酸活性化酸性白土等の使用も提案されているが、従来の固体の酸性触媒では反応速度が非常に遅く、実用には適さないため、広く使用されるのには至っていない。
本発明は、上記の問題点に鑑み、珪素−酸素結合を有する有機珪素化合物を用いてポリオルガノシロキサンを製造する方法において、生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、製品中に残存する量も少なく、仮に製品中に残存しても、製品の品質を落とすことが少ない触媒と反応条件を見出すことを課題とする。
特に、原料の危険性の少なさや重合度のコントロールのしやすさから前記平衡化反応が多く採用されている。また、この平衡化反応は重合のみならず、ポリオルガノシロキサンの低重合度化や官能基の導入等の様々な目的で広く使用されている。例えば、ポリジメチルシロキサンとヘキサメチルジシロキサンとの平衡化反応により低重合度化が可能である。また、ポリオルガノシロキサンの平衡化反応中に加熱減圧することにより、環状ポリオルガノシロキサンの製造が可能である。更に、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランの加水分解縮合生成物とジメチルポリシロキサンとのアルカリ触媒による平衡化反応により、アミノ変性ポリシロキサンの製造が可能である。
従来、多くの物質が上記平衡化反応に使用される触媒として提案され使用されている。例えば硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ブチルホスホニウムシラノレート、アミン類、ホスホニトリルハライド触媒類等が挙げられる。
しかし、これらの触媒は、触媒の不活性化及び除去の為に中和工程と中和物の除去工程が必要であり効率的でない。また、回収した中和物も濾過助剤やポリシロキサン等との不均一な混合物状態の為、再生するのは極めて困難であり、廃棄され、焼却や埋め立てにより処分されているのが現状である。
環境保護の機運が高まる中、大量の廃棄物が発生する現在の製造方法に変わる製造方法が急望されている。特に、≡Si−Hを有するポリオルガノシロキサンの製造には、≡Si−Hは塩基性触媒では反応してしまうため、酸性触媒の使用が必須であるが、酸性触媒は実用的な反応速度を得るには原料100体積部に対して1〜5体積部程度もの使用が必要であり特に多くの廃棄物が発生し問題である。
また、前記の酸性触媒は金属への腐食性が強い為、製造装置には高価な耐腐食性の材料の使用やライニング処理が必要であった。
更に、近年、ポリオルガノシロキサンは電子材料用途等の高度に精製された原料が必要な用途にも使用される様になってきた。しかし、従来の触媒は生成物中に触媒、中和生成物、中和剤等が微量に残存するので、その用途が制限されていた。
尚、固体の酸性触媒、例えばゼオライト、イオン交換樹脂、酸活性化酸性白土等の使用も提案されているが、従来の固体の酸性触媒では反応速度が非常に遅く、実用には適さないため、広く使用されるのには至っていない。
本発明は、上記の問題点に鑑み、珪素−酸素結合を有する有機珪素化合物を用いてポリオルガノシロキサンを製造する方法において、生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、製品中に残存する量も少なく、仮に製品中に残存しても、製品の品質を落とすことが少ない触媒と反応条件を見出すことを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸性触媒の存在下に、珪素−酸素結合を有する有機珪素化合物を用いてポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として数多くの触媒を用いて実験を行ったところ、特定の固体酸触媒を用いると生産性が良く高収率で高品質のポリオルガノシロキサンが得られることを見出し、こうした知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中に、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を連続的に通過させる連続式反応であって、その滞留時間が10分〜2時間であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中で、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を反応させるバッチ式反応であって、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上100質量部に対して上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒0.01〜100質量部の存在下、10分〜100時間反応させることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、上記平衡化反応における反応温度が−10〜200℃であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、上記シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上がヒドロシリル基を含むことを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒が、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得たものであることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中に、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を連続的に通過させる連続式反応であって、その滞留時間が10分〜2時間であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中で、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を反応させるバッチ式反応であって、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上100質量部に対して上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒0.01〜100質量部の存在下、10分〜100時間反応させることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、上記平衡化反応における反応温度が−10〜200℃であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、上記シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上がヒドロシリル基を含むことを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒が、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得たものであることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
第1図は、実施例及び比較例における反応生成物(ポリオルガノシロキサン)の反応時間に対する屈折率を示す図である。
第2図は、実施例1で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第3図は、比較例1で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第4図は、比較例2で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第5図は、比較例3で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第2図は、実施例1で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第3図は、比較例1で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第4図は、比較例2で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
第5図は、比較例3で得られた反応生成物(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図である。
以下に、本発明の固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いたポリオルガノポリシロキサンの製造方法について、各項目毎に、詳細に説明する。
1.シロキサン単位を有する有機珪素化合物
本発明において、シロキサン単位を有する有機珪素化合物とは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いてポリオルガノポリシロキサンを製造するときの原料となるものであり、環状ポリオルガノシロキサン及び直鎖状ポリシロキサンがあげられる。
(1)環状ポリオルガノシロキサン
本発明において、環状ポリオルガノシロキサンとは、下記の化学式(1)で表されるものである。
(式中、R1及びR2は、独立して1価の有機基、SH基、水酸基または水素原子を表し、nは3〜12の整数を表す。)
式(1)中、R1及びR2の有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、非置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。置換アルコキシ基としては、アルコキシアルキレンオキシ基、ハロゲン化アルコキシ基等が挙げられる。
化学式(1)で表される環状ポリオルガノシロキサンの具体例としては、例えば、次の化学式(2)〜(6)に表されるものを挙げることができる。
さらに具体的な化合物の例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン等が挙げられる。
本発明で用いる環状ポリオルガノシロキサンは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒によって開環重合し、直鎖状ポリオルガノシロキサンとなる。環状ポリオルガノシロキサンのみでは、理論的には無限に重合度が上がり、目的の重合度のものを得るには完全に平衡に達する前に反応を終了させる必要がある。
また、環状ポリオルガノシロキサンは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒の存在下にポリシロキサンを加熱減圧下に平衡化反応により得られる目的の製品でもある。
また、官能基含有シクロテトラシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(7)〜(13)で表される官能基含有環状ポリオルガノシロキサンが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(2)直鎖状ポリシロキサン
本発明において、直鎖状ポリシロキサンとは、下記の化学式(14)で表されるものである。
(式中、Rは、それぞれ独立して、1価の有機基、SH基、水酸基または水素原子を表し、nは、1≦n≦1000000の範囲の整数である。)
式(14)中、Rの有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、非置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。置換アルコキシ基としては、アルコキシアルキレンオキシ基、ハロゲン化アルコキシ基等が挙げられる。
これらの中では、Rの少なくとも1個が水素であるヒドロシリル基含有有機珪素化合物は、その製造に塩基性触媒を使用できないため、本発明の方法が特に有用である。
上記直鎖状ポリシロキサンは、環状ポリオルガノシロキサンとの平衡化反応により高重合度化が可能である。また、異なった重合度の2種の直鎖状ポリシロキサンの平衡化反応により中間の重合度の直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。例えば、高重合度の直鎖状ポリシロキサンをヘキサメチルジシロキサン等の低重合度のポリシロキサンと平衡化反応させることにより低重合度化することができる。また、直鎖状ポリシロキサンを加熱減圧下で平衡化反応させることにより、環状ポリオルガノシロキサンと低重合度化された直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。これらの様に、本発明において直鎖状ポリシロキサンは、原料であると共に目的物でもある。
(3)シリコーン系末端停止剤
上記した様に、環状ポリオルガノシロキサンのみを酸触媒存在下に反応させると、理論的には無限に重合度が上がるため、目的の重合度のものを得るには完全に平衡に達する前に反応を終了させる必要があり、コントロールが難しい。そこで、末端停止基成分として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサン類を平衡化反応に使用するのが好ましい。これら末端停止基成分の原料は、ジクロロジオルガノシラン、ジクロロオルガノシラン、クロロトリオルガノシラン及びクロロジオルガノシラン等の加水分解縮合反応物の蒸留により得られる。また、日本ユニカー株式会社製のL−45(10)(粘度が10mm2/秒のポリジメチルシロキサン、珪素原子数の数平均は約14)として市販のものも使用可能である。
また、シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンも、末端停止機能を有する。シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンとは、上記の化学式(14)で表される、25℃で5〜900センチポイズ程度の粘度を有し、両末端基として水酸基を有する数百から数千程度の分子量を有する直鎖状シリコーン系ポリマーである。
2.アルコキシシラン
本発明においてアルコキシシランとは、R4 3−Si−OR5で表されるトリオルガノモノアルコキシシラン、R4 2−Si−(OR5)2で表されるジオルガノジアルコキシシラン、R4−Si−(OR5)3で表されるモノオルガノトリアルコキシシラン、Si−(OR5)4で表されるテトラアルコキシシラン等を意味する。
ここで、R4は、1価の有機基、SH基または水素原子を表す。有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。
また、R5は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表し。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、メトキシメチル基等が挙げられる。
(1)トリオルガノモノアルコキシシラン
トリオルガノモノアルコキシシランは、1官能性末端処理剤(Mで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンとを平衡反応させると直鎖状分子のポリオルガノシロキサンを製造できる。
トリオルガノモノアルコキシシランの具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
(2)ジオルガノジアルコキシシラン
ジオルガノジアルコキシシランは、2官能性化合物(Dで表される基を生成する。)であり環状ポリオルガノシロキサンと共重合するモノマーとなる。
ジオルガノジアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、官能基含有ポリシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(15)〜(21)で表される官能基含有ジアルコキシシランが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(3)モノオルガノトリアルコキシシラン
モノオルガノトリアルコキシシランは、3官能性化合物(Tで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンとを平衡反応させることにより分枝状のポリジオルガノシロキサンを製造できる。
モノオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、官能基含有ポリシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(22)〜(28)で表される官能基含有ジアルコキシシランが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(4)テトラアルコキシシラン
テトラアルコキシシランは、4官能性化合物(Qで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンを平衡化反応させると、分岐状のポリオルガノシロキサンを製造できる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
3.固体酸性酸化ジルコニウム触媒
本発明において用いる固体酸性酸化ジルコニウム触媒は、公知の固体酸性酸化ジルコニウム触媒が使用可能である。例えば、ジルコニウム水酸化物を硫酸で処理した後300℃以上で焼成することにより調製した固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることができるが、特に、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得た固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いると、その触媒活性の高さ及び反応後の分離の容易さから特に有利である。該触媒の製造方法は公知であり、例えばWO98/09727号公報に詳記されている。特に、1mm程度の粒状又はペレット状に成形されたものが好適である。この様な触媒は、株式会社ジャパンエナジーからSZA−60として市販されているものが好適に使用可能である。
4.ポリオルガノシロキサンの製造方法
本発明のポリオルガノシロキサンの製造は、上記シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒の存在下に平衡化反応を行わせる方法による。この平衡化反応は、バッチ方式または連続方式で行うことができる。
ここで、平衡化反応とは、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上の原料が酸触媒により珪素−酸素結合の開裂及び再結合により、新たな分子量分布を持つポリオルガノシロキサンを生成する反応をいう。
平衡化反応をバッチ方式で行う場合は、ポリオルガノシロキサンの原料および触媒をそれぞれ適量、反応器に仕込み、攪拌しながら反応を維持する。反応終了後、触媒を反応混合物から分離し、さらに生成物を該反応混合物から分離する。
平衡化反応を連続方式で行う場合は、バックミックス付きスラリー反応器を用い、連続的に攪拌し、連続的に反応体を添加し、連続的に生成物を除去しながら行うことができる。その他、この方法をパイプライン反応器中で行うこともできる。その場合、プラグフロー(plugflow)条件下で行われ、これにより原料が触媒の詰められた反応器を通って移動する。この移動は供給体と部分的に変換した反応生成物との混合が殆どない状態で連続的であり、移動に伴って反応体の反応が進行する。
このパイプライン反応器は、垂直に配向されたものが好ましい。この場合、反応体は触媒を通って上昇し、反応体の流れをより自由にする。反応体を反応器を下に向かって移動させることもできるが、これは触媒を圧縮することになり、反応体の流れが制約される。
スラリー反応器またはパイプライン反応器のいずれにしても、反応域の温度、反応域の反応体の濃度および反応域からの、または反応域への反応体の流量の制御による反応時間等の反応条件を調整することが好ましい。
連続方式において、反応域からの、または反応域への反応体の流量の調整による反応時間である滞留時間は、10分〜2時間が好ましく、より好ましくは15〜60分、さらに好ましくは20〜45分である。この滞留時間は、反応域の自由容積(ミリリッター)を測定し、これを反応器を通過する反応体の流量(1分当たりのミリリッター)で割ることにより決定することができる。スラリー反応器の場合、反応域は反応混合物の全体の容積であり、パイプライン反応器の場合の反応域は触媒を収容した区域である。
バッチ方式においては、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの1種以上の原料100質量部に対し、触媒を好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは1〜10質量部用い、反応時間を好ましくは10分〜100時間、より好ましくは1時間〜10時間行うことにより平衡化反応を行うことができる。
なお、バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、反応は、通常大気圧で行うことができるが、反応条件、例えば、反応の時間、反応混合物の温度などを制御するため、減圧または加圧して行うこともできる。また、反応温度は、好ましくは−10〜200℃、より好ましくは10〜80℃、最も好ましくは20〜65℃である。反応温度が低過ぎると反応速度が遅くなり、一方、反応温度が高すぎるとシロキサン鎖が不安定となり、珪素−酸素の再結合反応が進行せず目的の生成物が得られず、さらに加温の費用が高くなることから、いずれも好ましくない。
平衡化反応が終了したとき、触媒は濾過、デカンテーション、遠心分離により反応混合物から分離され、再使用される。触媒を連続方式で用いる場合、触媒は単に反応器内にそのまま留められ、その間、新たな反応体が供給され、生成物が除去される。
バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、触媒の除去後、必要に応じて残留未反応原料を蒸留、またはスチームあるいは窒素などの不活性ガスによるストリッピングにより抽出することにより反応混合物から分離してもよい。
1.シロキサン単位を有する有機珪素化合物
本発明において、シロキサン単位を有する有機珪素化合物とは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いてポリオルガノポリシロキサンを製造するときの原料となるものであり、環状ポリオルガノシロキサン及び直鎖状ポリシロキサンがあげられる。
(1)環状ポリオルガノシロキサン
本発明において、環状ポリオルガノシロキサンとは、下記の化学式(1)で表されるものである。
(式中、R1及びR2は、独立して1価の有機基、SH基、水酸基または水素原子を表し、nは3〜12の整数を表す。)
式(1)中、R1及びR2の有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、非置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。置換アルコキシ基としては、アルコキシアルキレンオキシ基、ハロゲン化アルコキシ基等が挙げられる。
化学式(1)で表される環状ポリオルガノシロキサンの具体例としては、例えば、次の化学式(2)〜(6)に表されるものを挙げることができる。
さらに具体的な化合物の例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン等が挙げられる。
本発明で用いる環状ポリオルガノシロキサンは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒によって開環重合し、直鎖状ポリオルガノシロキサンとなる。環状ポリオルガノシロキサンのみでは、理論的には無限に重合度が上がり、目的の重合度のものを得るには完全に平衡に達する前に反応を終了させる必要がある。
また、環状ポリオルガノシロキサンは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒の存在下にポリシロキサンを加熱減圧下に平衡化反応により得られる目的の製品でもある。
また、官能基含有シクロテトラシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(7)〜(13)で表される官能基含有環状ポリオルガノシロキサンが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(2)直鎖状ポリシロキサン
本発明において、直鎖状ポリシロキサンとは、下記の化学式(14)で表されるものである。
(式中、Rは、それぞれ独立して、1価の有機基、SH基、水酸基または水素原子を表し、nは、1≦n≦1000000の範囲の整数である。)
式(14)中、Rの有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、非置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。置換アルコキシ基としては、アルコキシアルキレンオキシ基、ハロゲン化アルコキシ基等が挙げられる。
これらの中では、Rの少なくとも1個が水素であるヒドロシリル基含有有機珪素化合物は、その製造に塩基性触媒を使用できないため、本発明の方法が特に有用である。
上記直鎖状ポリシロキサンは、環状ポリオルガノシロキサンとの平衡化反応により高重合度化が可能である。また、異なった重合度の2種の直鎖状ポリシロキサンの平衡化反応により中間の重合度の直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。例えば、高重合度の直鎖状ポリシロキサンをヘキサメチルジシロキサン等の低重合度のポリシロキサンと平衡化反応させることにより低重合度化することができる。また、直鎖状ポリシロキサンを加熱減圧下で平衡化反応させることにより、環状ポリオルガノシロキサンと低重合度化された直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。これらの様に、本発明において直鎖状ポリシロキサンは、原料であると共に目的物でもある。
(3)シリコーン系末端停止剤
上記した様に、環状ポリオルガノシロキサンのみを酸触媒存在下に反応させると、理論的には無限に重合度が上がるため、目的の重合度のものを得るには完全に平衡に達する前に反応を終了させる必要があり、コントロールが難しい。そこで、末端停止基成分として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサン類を平衡化反応に使用するのが好ましい。これら末端停止基成分の原料は、ジクロロジオルガノシラン、ジクロロオルガノシラン、クロロトリオルガノシラン及びクロロジオルガノシラン等の加水分解縮合反応物の蒸留により得られる。また、日本ユニカー株式会社製のL−45(10)(粘度が10mm2/秒のポリジメチルシロキサン、珪素原子数の数平均は約14)として市販のものも使用可能である。
また、シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンも、末端停止機能を有する。シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンとは、上記の化学式(14)で表される、25℃で5〜900センチポイズ程度の粘度を有し、両末端基として水酸基を有する数百から数千程度の分子量を有する直鎖状シリコーン系ポリマーである。
2.アルコキシシラン
本発明においてアルコキシシランとは、R4 3−Si−OR5で表されるトリオルガノモノアルコキシシラン、R4 2−Si−(OR5)2で表されるジオルガノジアルコキシシラン、R4−Si−(OR5)3で表されるモノオルガノトリアルコキシシラン、Si−(OR5)4で表されるテトラアルコキシシラン等を意味する。
ここで、R4は、1価の有機基、SH基または水素原子を表す。有機基としては、例えば、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアルキル基、炭素原子数1〜100のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数1〜100のアリール基が挙げられる。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換アルキル基としては、−C3H6(C2H4O)a(C3H6O)bR3(a及びbは0〜100の整数を表すが、少なくともa又はbのいずれかは1以上である。R3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基または水素原子を表す。)、カルボキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニルアルキレン基、アクリロキシアルキレン基、メタクリロキシアルキレン基、ハロゲン化アルキル基、スルホアルキレン基、ヒドロキシアルキレン基等が挙げられる。
また、R5は、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表し。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、メトキシメチル基等が挙げられる。
(1)トリオルガノモノアルコキシシラン
トリオルガノモノアルコキシシランは、1官能性末端処理剤(Mで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンとを平衡反応させると直鎖状分子のポリオルガノシロキサンを製造できる。
トリオルガノモノアルコキシシランの具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
(2)ジオルガノジアルコキシシラン
ジオルガノジアルコキシシランは、2官能性化合物(Dで表される基を生成する。)であり環状ポリオルガノシロキサンと共重合するモノマーとなる。
ジオルガノジアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、官能基含有ポリシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(15)〜(21)で表される官能基含有ジアルコキシシランが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(3)モノオルガノトリアルコキシシラン
モノオルガノトリアルコキシシランは、3官能性化合物(Tで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンとを平衡反応させることにより分枝状のポリジオルガノシロキサンを製造できる。
モノオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、官能基含有ポリシロキサンを製造する場合は、下記の化学式(22)〜(28)で表される官能基含有ジアルコキシシランが原料モノマーとして有用である。
(式中、a=0〜100、b=0〜100である。)
(4)テトラアルコキシシラン
テトラアルコキシシランは、4官能性化合物(Qで表される基を生成する。)であり、これと環状ポリオルガノシロキサンを平衡化反応させると、分岐状のポリオルガノシロキサンを製造できる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
3.固体酸性酸化ジルコニウム触媒
本発明において用いる固体酸性酸化ジルコニウム触媒は、公知の固体酸性酸化ジルコニウム触媒が使用可能である。例えば、ジルコニウム水酸化物を硫酸で処理した後300℃以上で焼成することにより調製した固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることができるが、特に、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得た固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いると、その触媒活性の高さ及び反応後の分離の容易さから特に有利である。該触媒の製造方法は公知であり、例えばWO98/09727号公報に詳記されている。特に、1mm程度の粒状又はペレット状に成形されたものが好適である。この様な触媒は、株式会社ジャパンエナジーからSZA−60として市販されているものが好適に使用可能である。
4.ポリオルガノシロキサンの製造方法
本発明のポリオルガノシロキサンの製造は、上記シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒の存在下に平衡化反応を行わせる方法による。この平衡化反応は、バッチ方式または連続方式で行うことができる。
ここで、平衡化反応とは、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上の原料が酸触媒により珪素−酸素結合の開裂及び再結合により、新たな分子量分布を持つポリオルガノシロキサンを生成する反応をいう。
平衡化反応をバッチ方式で行う場合は、ポリオルガノシロキサンの原料および触媒をそれぞれ適量、反応器に仕込み、攪拌しながら反応を維持する。反応終了後、触媒を反応混合物から分離し、さらに生成物を該反応混合物から分離する。
平衡化反応を連続方式で行う場合は、バックミックス付きスラリー反応器を用い、連続的に攪拌し、連続的に反応体を添加し、連続的に生成物を除去しながら行うことができる。その他、この方法をパイプライン反応器中で行うこともできる。その場合、プラグフロー(plugflow)条件下で行われ、これにより原料が触媒の詰められた反応器を通って移動する。この移動は供給体と部分的に変換した反応生成物との混合が殆どない状態で連続的であり、移動に伴って反応体の反応が進行する。
このパイプライン反応器は、垂直に配向されたものが好ましい。この場合、反応体は触媒を通って上昇し、反応体の流れをより自由にする。反応体を反応器を下に向かって移動させることもできるが、これは触媒を圧縮することになり、反応体の流れが制約される。
スラリー反応器またはパイプライン反応器のいずれにしても、反応域の温度、反応域の反応体の濃度および反応域からの、または反応域への反応体の流量の制御による反応時間等の反応条件を調整することが好ましい。
連続方式において、反応域からの、または反応域への反応体の流量の調整による反応時間である滞留時間は、10分〜2時間が好ましく、より好ましくは15〜60分、さらに好ましくは20〜45分である。この滞留時間は、反応域の自由容積(ミリリッター)を測定し、これを反応器を通過する反応体の流量(1分当たりのミリリッター)で割ることにより決定することができる。スラリー反応器の場合、反応域は反応混合物の全体の容積であり、パイプライン反応器の場合の反応域は触媒を収容した区域である。
バッチ方式においては、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの1種以上の原料100質量部に対し、触媒を好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは1〜10質量部用い、反応時間を好ましくは10分〜100時間、より好ましくは1時間〜10時間行うことにより平衡化反応を行うことができる。
なお、バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、反応は、通常大気圧で行うことができるが、反応条件、例えば、反応の時間、反応混合物の温度などを制御するため、減圧または加圧して行うこともできる。また、反応温度は、好ましくは−10〜200℃、より好ましくは10〜80℃、最も好ましくは20〜65℃である。反応温度が低過ぎると反応速度が遅くなり、一方、反応温度が高すぎるとシロキサン鎖が不安定となり、珪素−酸素の再結合反応が進行せず目的の生成物が得られず、さらに加温の費用が高くなることから、いずれも好ましくない。
平衡化反応が終了したとき、触媒は濾過、デカンテーション、遠心分離により反応混合物から分離され、再使用される。触媒を連続方式で用いる場合、触媒は単に反応器内にそのまま留められ、その間、新たな反応体が供給され、生成物が除去される。
バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、触媒の除去後、必要に応じて残留未反応原料を蒸留、またはスチームあるいは窒素などの不活性ガスによるストリッピングにより抽出することにより反応混合物から分離してもよい。
以下、実施例により更に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例における反応物等のGPCの測定法は次の通りである。
GPCの測定方法:
数平均分子量(Mn)をゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により、つぎの条件で測定した。
装置:GPC測定システム(日本分光株式会社製)
カラム:昭和電工株式会社製Shodex−803L
検出器:屈折率(RI)検出器RL540R(GLサイエンス株式会社製)
検量線:昭和電工株式会社製の10種類の標準ポリスチレン(分子量1.2×103〜2.75×106)を用いて作成
測定:温度40℃において、クロロホルムを1.0ml/分で流し、これに試料(濃度0.3wt%)を100μl注入した。
GPCの測定方法:
数平均分子量(Mn)をゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により、つぎの条件で測定した。
装置:GPC測定システム(日本分光株式会社製)
カラム:昭和電工株式会社製Shodex−803L
検出器:屈折率(RI)検出器RL540R(GLサイエンス株式会社製)
検量線:昭和電工株式会社製の10種類の標準ポリスチレン(分子量1.2×103〜2.75×106)を用いて作成
測定:温度40℃において、クロロホルムを1.0ml/分で流し、これに試料(濃度0.3wt%)を100μl注入した。
ポンプ、内径15mmの反応塔、背圧弁、磁気的撹拌子を備えた500ml三角フラスコを順につなげ、圧力計を備えた流通反応器を組み立てた。反応塔の内部には、両端をガラスウールで塞ぎ、その中に固体酸性酸化ジルコニウム触媒である硫酸ジルコニア(ジャパンエナジー製、SZA−60)を20ml充填した。硫酸ジルコニアは、乳鉢でわずかに砕き10〜20meshの大きさに揃え、実験直前に350℃のオーブンで2時間焼成した。
三角フラスコの中に、あらかじめ均一に混合した原料[ヘキサメチルジシロキサン(Me3SiOSiMe3)7.87質量%、メチルハイドロジェンポリシロキサン:Me3Si[OSi(H)(Me)]37OSiMe3(日本ユニカー社製、商品名L−31)42.86質量%、オクタメチルシクロテトラシロキサン:(SiMe2O)4(日本ユニカー社製、商品名Y−7175)49.27質量%]を290ml入れ、25℃で撹拌しながら、流量67g/hrで、この反応装置に循環させて流通させた。数時間ごとに三角フラスコの中からシリンジで約3mlの反応溶液を抜き取り、屈折率とGPCの測定を行った。75時間までの反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示す。また、反応前の溶液と6時間反応後、30時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図2に示す。図1より反応溶液の屈折率は、約6時間でほぼ一定の値になっていることがわかる。また、図2より6時間後及び30時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、ほぼ同じであり、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果は6時間後と30時間後はほぼ同一である。したがって、反応は、約6時間で平衡に達していることがわかる。
これらのことより、ヘキサメチルジシロキサンとメチルハイドロジエンポリシロキサン(L−31)の中間の分子量のものがオクタメチルシクロテトラシロキサンにより高重合度化されて直鎖状ポリオルガノシロキサンが生成する平衡化反応が生じていることが分かる。
比較例1
触媒にゼオライトβ(東ソー製、HSZ−930HOD1A)を用いた以外は実施例1と同様に実験を33時間まで行い、反応溶液の屈折率とGPCの測定を行った。反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示す。図1に示される通り、33時間かけても反応溶液の屈折率に変化がなく、ほとんど反応の兆候が見られないので実験を終了した。また、反応前の溶液と27時間反応後、33時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図3に示す。図3において、反応前溶液、27時間後及び33時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、ほぼ同じであり、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果はすべて同じであり、反応が進行しなかったことがわかる。
比較例2
触媒に強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ製、アンバーリスト36)を用いた以外は実施例1と同様に実験を267時間行い、反応溶液の屈折率とGPCの測定を行った。反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示し、反応前の溶液と195時間反応後、267時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図4に示す。図1に示される通り、反応溶液の屈折率は267時間後も変化し続け、平衡に達していないことがわかる。また、図4において、反応前溶液、195時間後及び267時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、変化し続け、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果も変化し続けていることから、反応が平衡に達していないことがわかる。すなわち、この反応では、反応は進行するものの、反応速度が遅く、平衡に達するにはかなりの時間(約300時間)が必要であることが分かる。
比較例3
実施例1と同組成比の原料を1Lケトルに500g入れ、窒素雰囲気下、触媒として濃硫酸を25.0g(2.5pph)投入し、25℃、1気圧で12時間撹拌した。その後、中和のため、炭酸水素ナトリウムNaHCO3を125g(12.5pph)投入し、4時間撹拌した。濾紙を用いて加圧濾過し、濾液を生成物とした。生成物の屈折率、分子量とGPCの測定を行った。屈折率は1.3974、分子量は2700であった。反応前の溶液、反応4時間後の反応物のGPCチャートを図5に示す。図5において、反応前溶液、4時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、実施例1のそれと類似し、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量も実施例1と同じであることから、反応が平衡に達している。この反応は、平衡反応速度的には実施例1とほぼ同様であるが、多量の廃棄物が発生した。
三角フラスコの中に、あらかじめ均一に混合した原料[ヘキサメチルジシロキサン(Me3SiOSiMe3)7.87質量%、メチルハイドロジェンポリシロキサン:Me3Si[OSi(H)(Me)]37OSiMe3(日本ユニカー社製、商品名L−31)42.86質量%、オクタメチルシクロテトラシロキサン:(SiMe2O)4(日本ユニカー社製、商品名Y−7175)49.27質量%]を290ml入れ、25℃で撹拌しながら、流量67g/hrで、この反応装置に循環させて流通させた。数時間ごとに三角フラスコの中からシリンジで約3mlの反応溶液を抜き取り、屈折率とGPCの測定を行った。75時間までの反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示す。また、反応前の溶液と6時間反応後、30時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図2に示す。図1より反応溶液の屈折率は、約6時間でほぼ一定の値になっていることがわかる。また、図2より6時間後及び30時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、ほぼ同じであり、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果は6時間後と30時間後はほぼ同一である。したがって、反応は、約6時間で平衡に達していることがわかる。
これらのことより、ヘキサメチルジシロキサンとメチルハイドロジエンポリシロキサン(L−31)の中間の分子量のものがオクタメチルシクロテトラシロキサンにより高重合度化されて直鎖状ポリオルガノシロキサンが生成する平衡化反応が生じていることが分かる。
比較例1
触媒にゼオライトβ(東ソー製、HSZ−930HOD1A)を用いた以外は実施例1と同様に実験を33時間まで行い、反応溶液の屈折率とGPCの測定を行った。反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示す。図1に示される通り、33時間かけても反応溶液の屈折率に変化がなく、ほとんど反応の兆候が見られないので実験を終了した。また、反応前の溶液と27時間反応後、33時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図3に示す。図3において、反応前溶液、27時間後及び33時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、ほぼ同じであり、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果はすべて同じであり、反応が進行しなかったことがわかる。
比較例2
触媒に強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ製、アンバーリスト36)を用いた以外は実施例1と同様に実験を267時間行い、反応溶液の屈折率とGPCの測定を行った。反応時間に対する反応溶液の屈折率の変化を図1に示し、反応前の溶液と195時間反応後、267時間反応後の反応溶液のGPCチャートを図4に示す。図1に示される通り、反応溶液の屈折率は267時間後も変化し続け、平衡に達していないことがわかる。また、図4において、反応前溶液、195時間後及び267時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、変化し続け、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量を測定した結果も変化し続けていることから、反応が平衡に達していないことがわかる。すなわち、この反応では、反応は進行するものの、反応速度が遅く、平衡に達するにはかなりの時間(約300時間)が必要であることが分かる。
比較例3
実施例1と同組成比の原料を1Lケトルに500g入れ、窒素雰囲気下、触媒として濃硫酸を25.0g(2.5pph)投入し、25℃、1気圧で12時間撹拌した。その後、中和のため、炭酸水素ナトリウムNaHCO3を125g(12.5pph)投入し、4時間撹拌した。濾紙を用いて加圧濾過し、濾液を生成物とした。生成物の屈折率、分子量とGPCの測定を行った。屈折率は1.3974、分子量は2700であった。反応前の溶液、反応4時間後の反応物のGPCチャートを図5に示す。図5において、反応前溶液、4時間後の反応溶液のGPCチャートのパターンは、実施例1のそれと類似し、さらに、リテンションタイム15分〜20分において流出してくるピーク成分の分子量も実施例1と同じであることから、反応が平衡に達している。この反応は、平衡反応速度的には実施例1とほぼ同様であるが、多量の廃棄物が発生した。
本発明のポリオルガノシロキサンの製造方法によると、反応速度が速く、生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、装置を停めて補修する必要がすくなく、触媒を長期間取り替えなくともよいので、コストダウンに繋がり、また製品中に残存する不純物の量も少なく、高品質のオルガノポリシロキサンが得られる効果がある。
Claims (6)
- シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中に、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を連続的に通過させる連続式反応であって、その滞留時間が10分〜2時間であることを特徴とする請求の範囲第1項記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記平衡化反応が上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中で、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上を反応させるバッチ式反応であって、シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上100質量部に対して上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒0.01〜100質量部の存在下、10分〜100時間反応させることを特徴とする請求の範囲第1項記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記平衡化反応における反応温度が−10〜200℃であることを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記シロキサン単位を有する有機珪素化合物又はアルコキシシランの一種以上がヒドロシリル基を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒が、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得たものであることを特徴とする請求の範囲第1項記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
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