JP4906207B2 - 固体酸性酸化ジルコニア触媒を用いたポリオルガノシロキサンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いたポリオルガノシロキサンの製造方法に関し、更に詳しくは、原料のシロキサン単位を有する有機珪素化合物及びアルコキシシランの一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法において、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることにより、高純度のポリオルガノシロキサンを、生産性がよく、高収率で得ることができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオルガノシロキサンは耐熱性、耐寒性、耐放射線線性、電気特性に優れ、また表面張力が低いなど特異な界面特性から広く化学工業において使用されている。ポリオルガノシロキサンの重合は一般に、環状ポリオルガノシロキサン、低分子量鎖状ポリオルガノシロキサン及びオルガノアルコキシシランの酸触媒または塩基性触媒によるシロキサン鎖の開裂と再結合による平衡化反応やジクロロジオルガノシラン又はジアルコキシジオルガノシラン等の加水分解反応及び引き続き起きる脱水縮合反応による方法が用いられている。
特に、原料の危険性の少なさや重合度のコントロールのしやすさから前記平衡化反応が多く採用されている。また、この平衡化反応は重合のみならず、ポリオルガノシロキサンの低重合度化や官能基の導入等の様々な目的で広く使用されている。例えば、ポリジメチルシロキサンとヘキサメチルジシロキサンとの平衡化反応により低重合度化が可能である。また、ポリオルガノシロキサンの平衡化反応中に加熱減圧することにより、環状ポリオルガノシロキサンの製造が可能である。更に、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランの加水分解縮合生成物とジメチルポリシロキサンとのアルカリ触媒による平衡化反応により、アミノ変性ポリシロキサンの製造が可能である。
【0003】
従来、多くの物質が上記平衡化反応に使用される触媒として提案され使用されている。例えば硫酸、塩酸、ルイス酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ブチルホスホニウムシラノレート、アミン類、ホスホニトリルハライド触媒類等が挙げられる。
しかし、これらの触媒は、触媒の不活性化及び除去の為に中和工程と中和物の除去工程が必要であり効率的でない。また、回収した中和物も濾過助剤やポリシロキサン等との不均一な混合物状態の為、再生するのは極めて困難であり、廃棄され、焼却や埋め立てにより処分されているのが現状である。
【0004】
環境保護の機運が高まる中、大量の廃棄物が発生する現在の製造方法に変わる製造方法が急望されている。特に、≡Si−Hを有するポリオルガノシロキサンの製造には、≡Si−Hは塩基性触媒では反応してしまうため、酸性触媒の使用が必須であるが、酸性触媒は実用的な反応速度を得るには原料100体積部に対して1〜5体積部程度もの使用が必要であり特に多くの廃棄物が発生し問題である。
また、前記の酸性触媒は金属への腐食性が強い為、製造装置には高価な耐腐食性の材料の使用やライニング処理が必要であった。
【0005】
更に、近年、ポリオルガノシロキサンは電子材料用途等の高度に精製された原料が必要な用途にも使用される様になってきた。しかし、従来の触媒は生成物中に触媒、中和生成物、中和剤等が微量に残存するので、その用途が制限されていた。
尚、固体の酸性触媒、例えばゼオライト、イオン交換樹脂、酸活性化酸性白土等の使用も提案されているが、従来の固体の酸性触媒では反応速度が非常に遅く、実用には適さないため、広く使用されるのには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑み、シリコーン化合物を用いてポリオルガノシロキサンを製造する方法において、生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、製品中に残存する量も少なく、仮に製品中に残存しても、製品の品質を落とすことが少ない触媒と反応条件を見出すことを課題とする。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸性触媒の存在下に、シリコーン化合物を用いてポリオルガノシロキサンを製造する方法において、酸性触媒として数多くの触媒を用いて実験を行ったところ、特定の固体触媒を用いると良好な結果が得られることを見出し、こうした知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法であって、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記平衡化反応時の温度が10〜80℃であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、上記メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上がヒドロシリル基を含むことを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒の添加量が、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上に対して0.1〜40重量%であることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、
上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒が、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得たものであることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中に、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上を連続的に通過させることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いたオルガノポリシロキサンの製造方法について、各項目毎に、詳細に説明する。
【0015】
1.シロキサン単位を有する珪素化合物
本発明において、シロキサン単位を有する珪素化合物とは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いてオルガノポリシロキサンを製造するときの原料となるものであり、環状シロキサン及び直鎖状ポリシロキサンがあげられる。
【0016】
(1)環状シロキサン
環状シロキサンとは、[(CH3)2SiO]3−7、[(CH3)HSiO]3−7、[(C6H5)2SiO]3−7、[(CH3)(C6H5)SiO]3−7、[(CH2=CH)(CH3)SiO]3−7等の化学式で表されるものであり、本発明において用いる固体酸性酸化ジルコニウム触媒によって開環重合し、直鎖状ポリオルガノシロキサンとなる。環状シロキサンのみでは、理論的には無限に重合度が上がり、目的の重合度のものを得るには平衡化する前に反応を終了させる必要がある。
また、環状シロキサンは、固体酸性酸化ジルコニウム触媒の存在下にポリシロキサンを加熱減圧下に平衡化反応により得られる目的の製品でもある。
環状シロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン等が挙げられる。
【0017】
また、下記の化学式1〜8で表される官能基含有シクロテトラシロキサンも変性ポリシロキサンの原料モノマーとして有用である。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
(2)直鎖状ポリシロキサン
本発明において、直鎖状ポリシロキサンとは、下記の化学式9で表されるものである。
【0027】
【化9】
(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、−H基、−OH基、−SH基を表し、nは、1≦n≦1000000の範囲の整数である。)
【0028】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びオクチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
上記直鎖状ポリシロキサンは、環状ポリシロキサンとの平衡化反応により高重合度化が可能である。また、異なった重合度の2種の直鎖状ポリシロキサンの平衡化反応により中間の重合度の直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。例えば高重合度の直鎖状ポリシロキサンをヘキサメチルジシロキサン等の低重合度のポリシロキサンと平衡化反応させることにより低重合度化することができる。また、直鎖状ポリシロキサンを加熱減圧下で平衡化反応させることにより、環状ポリシロキサンと低重合度化された直鎖状ポリシロキサンを得ることができる。これらの様に、本発明において直鎖状ポリシロキサンは原料であると共に目的物でもある。
【0029】
(3)シリコーン系末端停止剤
上記した様に、環状ポリオルガノシロキサンのみでは、理論的には無限に重合度が上がり、目的の重合度のものを得るには平衡化する前に反応を終了させる必要がありコントロールが難しい。そこで、末端停止基成分として、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサン類が使用される。これらの原料はジクロロジオルガノシラン、ジクロロオルガノシラン、クロロトリオルガノシラン及びクロロジオルガノシラン等の加水分解縮合反応物の蒸留により得られる。また、日本ユニカー株式会社製のL−45(10)(粘度が10mm2/秒のポリジメチルシロキサン、珪素原子数の数平均は約14)として市販のものも使用可能である。
【0030】
また、シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンも、末端停止機能を有する。シラノール連鎖停止ジオルガノポリシロキサンとは、上記の化学式(9)で表される、25℃で5〜900センチポイズ程度の粘度を有し、両末端基として水酸基を有する数百から数千程度の分子量を有する直鎖状シリコーン系ポリマーである。
【0031】
2.アルコキシシラン
本発明においてアルコキシシランとは、R3−Si−ORで表されるトリオルガノモノアルコキシシラン、R2−Si−(OR)2で表されるジオルガノジアルコキシシラン、R−Si−(OR)3で表されるモノオルガノトリアルコキシシラン、Si−(OR)4で表されるテトラアルコキシシラン等を意味する。
【0032】
(1)トリオルガノモノアルコキシシラン
トリオルガノモノアルコキシシランは、1官能性末端処理剤(Mで表される基を生成する。)であり、これと環状シロキサンとを平衡反応させると直鎖状分子のポリオルガノシロキサンを製造できる。
トリオルガノモノアルコキシシランの具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
(2)ジオルガノジアルコキシシラン
ジオルガノジアルコキシシランは、2官能性化合物(Dで表される基を生成する。)であり環状シロキサンと共重合するモノマーとなる。
ジオルガノジアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0034】
また、下記の化学式10〜17で表される官能基含有ジアルコキシシランも変性ポリシロキサンの原料モノマーとして有用である。
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
【化15】
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
(3)モノオルガノトリアルコキシシラン
モノオルガノトリアルコキシシランは、3官能性化合物(Tで表される基を生成する。)であり、これと環状シロキサンとを平衡反応させることにより分枝状のポリジオルガノシロキサンを製造できる。
モノオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0044】
(4)テトラアルコキシシラン
テトラアルコキシシランは、4官能性化合物(Qで表される基を生成する。)であり、これと環状シロキサンを平衡反応させると、分岐状のポリオルガノシロキサンを製造できる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
【0045】
3.固体酸性酸化ジルコニウム触媒
本発明において用いる固体酸性酸化ジルコニウム触媒は、公知の固体酸性酸化ジルコニウム触媒が使用可能である。例えば、ジルコニウム水酸化物を硫酸で処理した後300℃以上で焼成することにより調製した固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることができるが、特に、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得た固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いると、その触媒活性の高さ及び反応後の分離の容易さから特に有利である。該触媒の製造方法は公知であり、例えばWO98/09727号公報に詳記されている。特に、1mm程度の粒状又はペレット状に成形されたものが好適である。この様な触媒は、株式会社ジャパンエナジーからSZA−60として市販されているものが好適に使用可能である。
【0046】
3.ポリオルガノシロキサンの製造方法
本発明の方法はバッチ方式または連続方式で行うことができる。
バッチ方式で行う場合は、ポリオルガノシロキサンの原料および触媒をそれぞれ適量、反応器に仕込み攪拌しながら反応を維持する。反応終了後、触媒を反応混合物から分離し、さらに生成物を該反応混合物から分離する。
連続方式で行う場合は、バックミックス付きスラリー反応器を用い、連続的に攪拌し、連続的に反応体を添加し、連続的に生成物を除去しながら行うことができる。その他、この方法をパイプライン反応器中で行うこともできる。その場合、プラグフロー(plugflow)条件下で行われ、これにより反応体が触媒の詰められた反応器を通って移動する。この移動は供給体と部分的に変換した反応生成物との混合が殆どない状態で連続的であり、移動に伴って反応体の反応が進行する。
【0047】
このパイプライン反応器は垂直に配向されたものが好ましい。この場合、反応体は触媒を通って上昇し、反応体の流れをより自由にする。反応体を反応器を下に向かって移動させることもできるが、これは触媒を圧縮することになり、反応体の流れが制約される。
スラリー反応器またはパイプライン反応器のいずれにしても、反応域の温度、反応域の反応体の濃度および反応域からの、または反応域への反応体の流量を調整することが好ましい。この調整により、反応域の温度、反応域の反応体の濃度および反応域からの、または反応域への反応体の流量の調整により、連続的反応器において反応体の滞留時間が10分ないし2時間、好ましくは15ないし60分、より好ましくは20ないし45分で操作することができる。この滞留時間(分)は、反応域の自由容積(ミリリッター)を測定し、これを反応器を通過する反応体の流量(1分当たりのミリリッター)で割ることにより決定することができる。スラリー反応器の場合、反応域は反応混合物の全体の容積であり、パイプライン反応器の場合の反応域は触媒を収容した区域である。
【0048】
バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、この方法を通常、大気圧で行うことができるが、反応条件、例えば反応の間、反応混合物温度などを制御するため、減圧または加圧して行うこともできる。
一般に反応混合物の温度は10ないし80℃、好ましくは20ないし65℃に維持される。
バッチ方式においては、反応は1ないし24時間で行われる。
重合反応が終了したとき、触媒は濾過、デカンテーション、遠心分離により反応混合物から分離され、再使用される。触媒を連続方式で用いる場合、触媒は単に反応器内にそのまま留められ、その間、新たな反応体が供給され、生成物が除去される。
バッチ方式、連続方式のいずれの場合も、触媒の除去後、必要に応じて残留未反応原料を蒸留、またはスチームあるいは窒素などの不活性ガスによるストリッピングにより抽出することにより反応混合物から分離してもよい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により更に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
実施例
実施例1
ポンプ、内径15mmの反応塔、背圧弁、磁気的撹拌子を備えた500ml三角フラスコを順につなげ、圧力計を備えた流通反応器を組み立てた。反応塔の内部には、両端をガラスウールで塞ぎ、その中に触媒である硫酸ジルコニア(ジャパンエナジー製、SZA−60)を20ml充填した。硫酸ジルコニアは乳鉢でわずかに砕き10〜20meshの大きさに揃え、実験直前に350℃のオーブンで2時間焼成した。
三角フラスコの中に、あらかじめ均一に混合した原料[ヘキサメチルジシロキサン(Me3SiOSiMe3)7.87質量%、メチルハイドロジェンポリシロキサン:Me3Si[OSi(H)(Me)]37SiMe3(日本ユニカー社製、商品名L−31)42.86質量%、オクタメチルシクロテトラシロキサン:(SiMe2O)4(日本ユニカー社製、商品名Y−7175)49.27質量%]を290ml入れ、撹拌しながら、流量67g/hrで、この反応装置に循環させて流通させた。数時間ごとに三角フラスコの中からシリンジで約3ml抜き取り、屈折率とGPCの測定を行った。屈折率を図1に、0、6、30時間のGPCチャートを図2に示す。図1および図2より、ほぼ6時間で平衡に達していることが判った。
【0051】
比較例1
触媒にゼオライトβ(東ソー製、HSZ−930HOD1A)を用いた以外は実施例1と同様に実験を行い、屈折率とGPCの測定を行った。屈折率を図1に示す。図1に示される通り、33時間かけてもほとんど反応の兆候が見られないので実験を終了した。0、27、33時間のGPCチャートを図3に示すが、やはり殆ど変化が無かった。
【0052】
比較例2
触媒に強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ製、アンバーリスト36)を用いた以外は実施例1と同様に実験を行い、屈折率とGPCの測定を行った。屈折率を図2に、0、195、267時間のGPCチャートを図4に示す。図1および図4より、この製造方法では、反応は進行するものの、反応速度が遅く、平衡に達するにはかなりの時間(約300時間)が必要であることが判った。
【0053】
比較例3
実施例1と同組成比の原料を1Lケトルに500g入れ、窒素雰囲気下、触媒として濃硫酸を25.0g(2.5pph)投入し、25℃、1気圧で12時間撹拌した。その後、中和のため、炭酸水素ナトリウムNaHCO3を125g(12.5pph)投入し、4時間撹拌した。濾紙を用いて加圧濾過し、濾液を生成物とした。屈折率は1.3974、分子量は、2700であった。0時間、4時間のGPCチャートを図5に示す。この製造方法は反応速度的には実施例1とほぼ同様であるが、多量の廃棄物が発生した。
【0054】
GPCの測定方法
数平均分子量(Mn)をゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装 置:GPC測定システム(日本分光株式会社製)
カラム:昭和電工株式会社製Shodex−803L
検出器:屈折率(RI)検出器RL540R(GLサイエンス株式会社製)
検量線:昭和電工株式会社製の10種類の標準ポリスチレン(分子量1.2×103〜2.75×106)を用いて作成
測 定:温度40℃において、クロロホルムを1.0ml/分で流し、これに試料(濃度0.3wt%)を100μl注入した。
【0055】
【発明の効果】
本発明の製造方法によると、反応速度が速く、生産性がよく、高収率で製品が得られ、製造装置の腐食性が少なく、装置を停めて補修する必要がすくなく、触媒を長期間取り替えなくともよいので、コストダウンに繋がり、また製品中に残存する不純物の量も少なく、高品質のオルガノポリシロキサンが得られる効果がある。
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】製品(ポリオルガノシロキサン)の屈折率を示す図
【図2】実施例1で得られた製品(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図
【図3】比較例1で得られた製品(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図
【図4】比較例2で得られた製品(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図
【図5】比較例3で得られた製品(ポリオルガノシロキサン)のGPCチャートを示す図
Claims (6)
- メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上を、酸性触媒存在下における珪素−酸素結合の開裂及び再結合による平衡化反応によりポリオルガノシロキサンを製造する方法であって、酸性触媒として固体酸性酸化ジルコニウム触媒を用いることを特徴とするポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記平衡化反応時の温度が10〜80℃であることを特徴とする請求項1に記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上がヒドロシリル基を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒の添加量が、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上に対して0.1〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
- 上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒が、
(a)アルミニウム水酸化物および/または水和酸化物、ジルコニウム水酸化物および/または水和酸化物、並びに、硫酸分含有化合物を混練し、
(b)成形し、
(c)得られた成形物を正方晶構造のジルコニアが得られる温度で焼成することにより得たものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。 - 上記固体酸性酸化ジルコニウム触媒を含む反応器中に、メチルハイドロジェンポリシロキサンを含むシロキサン単位を有する有機珪素化合物の一種以上を連続的に通過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオルガノシロキサンの製造方法。
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