JPWO2004027795A1 - ボンド磁石の製造方法及びボンド磁石を備えた磁気デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、永久磁石は大別すると、焼結磁石とボンド磁石に分けられ、ボンド磁石は、次に挙げるような焼結磁石では得られない利点を有しており、最近、各種アクチュエータ、センサー、電子部品等での需要が急増している。その利点とは、次の通りである。
(1)複雑薄肉形状のものが容易に得られる。
(2)焼結磁石に比較して欠けにくい。
(3)量産性に優れる。
このような利点を有するボンド磁石を成形方法で、さらに大別すると、圧縮成形法、射出成形法、及び押出成形法に分類される。このうち、圧縮成形法の製造方法は、磁石合金粉末としてフェライト系、SmCo系、NdFeB系磁石合金粉末等を使用し、バインダーとしての熱硬化性樹脂等をその磁石合金粉末に混合したのち、その混合粉末を金型充填の後、圧縮成形する方法である。ここで、圧縮成形を磁場中で行えば、異方性を有するボンド磁石を製造できる。
また、射出成型法及び押出成型法は、前述の磁石合金粉末と熱可塑性樹脂を加熱混練したものを金型に射出成形、または押出成形するものであり、これらの成形を磁場中で行えば異方性を有するボンド磁石を製造できる。
近年、各種の電気製品および小型精密機器等の小型化に伴い、アクチュエータ、センサー、電子部品等も小型化が求められている。、それゆえ、それらに用いられる磁心はより大きな重畳磁界において、より高い透磁率が強く求められている。また、それらに組み込まれて使用される磁石においては、形状、特性の設計が多様化し、薄型など磁石の特性として不利な動作点において大きな逆磁界がかかるような状況下においても、長期間減磁等の劣化が小さいなど、高い信頼性が求められるようになってきている。
同時に、それらの製品、機器は、省スペースでの設計となるため、熱放散も不利となり、磁石の使用環境温度はより高いものとなっている。つまり、磁石に対して、使用環境温度が高い中で、磁石として不利な動作点において、大きな逆磁界がかかるような状況下においても長期間減磁等の劣化が小さいなど、高い信頼性が求められるようになってきている。
また、近年、表面実装タイプのコイルが所望されており、そのようなコイルに用いられるコアにはリフロー条件下で特性が劣化しない耐酸化性の希土類磁石が必須である。
また、地球環境問題を背景として、自動車のハイブリッド化が急速に進みつつあり、車載で使用されるアクチュエータ、センサー、電子部品等の数量が増加している。これに伴い、それらに使用される磁石に関しても形状、特性の設計が多様化し、より厳しい使用環境下での高い信頼性が求められると同時に、低コスト化も強く求められている。
永久磁石が用いられる電子部品としては、磁気回路を構成する磁気デバイス、即ち、磁気コア、ヨーク、別の永久磁石及びコイルのうちの少なくとも1つを含むデバイスがある。永久磁石は、磁気デバイスが構成する磁気回路中の少なくとも1ヶ所に挿入され、その磁気回路に磁気バイアスを印加する。この種のデバイスとしては、例えば特開2002−231540号公報に記載されたインダクタンス部品がある。
従来の磁気デバイスの製造は、例えば、次のように行われる。
まず、図32(a)に示すように、所定の形状・サイズを有するシート磁石321を公知の方法により製造する。あるいは、上述した圧縮成形法、射出成形法あるいは押出成形法等を用いてボンド磁石を製造する。
次に、図32(b)に示すように、得られたシート磁石321を、磁気回路の磁気ギャップに位置するように一対のコア(E型コア322及びI型コア323)に組み付ける。このとき、各コア322,323とシート磁石321との間には、例えば、熱硬化性の接着剤(図示せず)が配される。
最後に、接着剤を硬化させて、図32(c)に示すような磁気デバイスが完成する。
しかし、前述の圧縮成形によるボンド磁石の製造方法では、成形時に磁場を印加して製造した異方性磁石では、その合金磁石粉末の磁場配向性が悪いという問題点があった。
更に、減磁しにくい固有保磁力の高い磁石を得るためには、着磁を行う際に強い磁場が必要であるが、前述の従来のボンド磁石の製造方法では、金型中での成形と同時に磁石合金粉末を着磁し配向させることが必要であるため、得られる磁石に対し過大な印加磁場を必要とし、その磁場を発生させるコイルは大型となり、成形機も大型且つ複雑なものが必要であった。
また、前述した形状の多様化の要求に対し、前述の従来の成形方法においては、例えば、厚さ0.5mm程度の薄型のボンド磁石は製造することができないという問題点があった。
また、前述の多様化してきている設計の一つである磁気的な着磁のパターンに関し、例えば円盤形状(またはリング形状)において円の中心から外周に向けて放射状に磁束を生じさせるラジアル方向の着磁は、高い着磁磁場を前述のラジアル方向に印加させることが難しく、飽和磁束密度の高い鉄のヨークを用いても2T程度が限界である。それゆえ、円盤形状の固有保磁力の高い磁石粉末を用いたボンド磁石を得ることは工業的に不可能であった。
また、上記特開2002−231540号公報は、磁気コアの磁路の少なくとも1ヶ所のギャップ部に挿入した永久磁石を、該磁気コアの磁路方向に着磁することにより、磁気バイアスが印加されたインダクタンス部品が得られることを開示している。しかしながら、この方法においては、該インダクタンス部品中に挿入された前述の永久磁石を着磁するために、該インダクタンス部品よりも大きな着磁コイルを有する着磁機が必要であり、また該インダクタンス部品に挿入されている前述の永久磁石を1個ずつ着磁する必要があり、設備投資ならびに生産性に関し不利であるという問題点があった。
また、特開2002−231540号公報に開示される従来のインダクタンス部品では、フェライトコアと永久磁石とヨークとで構成される磁気回路において、前述の永久磁石とフェライトコアとの間のギャップ間隔を小さくし、磁気的な損失を小さくすることが困難であるという問題点がある。そして、この問題を解決するには、機械加工による仕上がりの精度を高める必要があるため、コスト的に不利になるという欠点を有していた。
上述のとおり、従来の製法によるボンド磁石の製造方法では、固有保磁力の高い合金磁石粉末を得るためには、、前記磁石合金粉末を配向、着磁させるための大型且つ複雑な着磁コイル及び成形機が必要でコスト的に問題があり、また、前記磁石合金粉末を用いた厚さ0.5mm程度の薄型のボンド磁石の製造が困難であり、さらに前記磁石合金粉末を用いた円盤形状磁石におけるラジアル方向等の複雑な形状の着磁は困難であるという欠点があった。
そこで、本発明の第一の技術的課題は、固有保磁力の高いボンド磁石の製造に際し、大型かつ複雑な成形機と大型の着磁用コイルを必要とせず、例えば、0.5mm以下の薄型の形状等を任意に形成することが可能であり、なおかつ円盤形状磁石等におけるラジアル方向等の複雑なパターンでの着磁が可能なボンド磁石の製造方法を提供することにある。
また、本発明の第二の技術的課題は、磁気コア、ヨーク、永久磁石及びコイルのいずれかを少なくとも1つ備えた磁気デバイスにおいて、そのデバイスにより構成される磁気回路中または磁気回路外の少なくとも1ヶ所以上に、ボンド磁石を具備したことを特徴とするデバイスに関し、ボンド磁石の着磁を行うために、該デバイスよりも大きな着磁コイルを有する着磁機が不要で、また該デバイスに具備された状態のボンド磁石を1個ずつ着磁する必要のない、設備投資ならびに生産性に関し有利なボンド磁石製造方法及びデバイス製造方法を提供することにある。
従って、本発明の課題は、優れた磁石特性を有するボンド磁石を、容易に、安価に製造できるボンド磁石の製造方法及びそれを用いた磁気デバイスの製造方法を提供し、もって安価なボンド磁石及びデバイスを提供することである。
このボンド磁石の製造方法において、前記粘性体を、磁気デバイスの一部に接触配置し、前記磁気デバイスに接触配置された前記粘性体に対して、前記磁場を印加して当該粘性体に含まれる前記合金磁石粉末を磁気的に配向させつつ前記樹脂を硬化させるようにしてよい。
また、このボンド磁石の製造方法において、前記合金磁石粉末を前記樹脂と混合する前に、Zn,Al,Bi,Ga,In,Mg,Pb,SbおよびSnから選択された1種又は2種以上の金属粉あるいその合金の金属粉と混合して混合物を得、当該混合物に熱処理を施して、前記合金磁石粉末の表面を金属膜で被覆するようにしてよい。
また、本発明によれば、ボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法において、前記ボンド磁石の形成が、予め着磁された合金磁石粉末と樹脂とを混合して粘性体とし、該粘性体を、磁気デバイスの所定個所に接触配置し、前記粘性体に磁場を印加して当該粘性体に含まれる前記合金磁石粉末を磁気的に配向させつつ前記樹脂を硬化させることにより行われ、それによって前記ボンド磁石が前記所定個所に接着剤を用いることなく密着形成されることを特徴とするボンド磁石を具備するデバイスの製造方法が得られる。
このデバイスの製造方法において、前記所定個所が磁気ギャップを規定する互いに対向する一対の面である場合は、前記磁気ギャップに前記粘性体を配置することにより、前記一対の面の双方に前記粘性体を接触させるようにしてよい。
あるいは、前記所定個所がドラム型コアの端面又は鍔部外周面である場合は、前記粘性体を前記端面又は前記鍔部外周面上にリング状に塗布するようにしてよい。
図2は、図1の製造方法により製造されるインダクタンス素子の説明図。
図3は、シート状の磁石を搭載する前のE型コア及びI型コアを含むインダクタンス素子の説明図。
図4は、従来例によるE型コア及びI型コアを含むインダクタンス素子の説明図。
図5は、本発明の実施例2によるインダクタンス素子と、従来例のインダクタンス素子との直流重畳特性を比較するための特性図。
図6は、本発明の実施例3によるインダクタンス素子(ボンド磁石)の製造方法の説明図。
図7は、図6の製造方法により製造される一対のE型コアを含むインダクタンス素子の説明図。
図8は、シート状磁石を搭載する前の一対のE型コアを含むインダクタンス素子の説明図。
図9は、従来例による一対のE型コアを含むインダクタンス素子の説明図。
図10は、本発明の実施例3によるインダクタンス素子と、従来例のインダクタンス素子との直流重畳特性を比較するための特性図。
図11は、ドラム型コアへ粘性体を塗布してボンド磁石を製造する方法の説明図。
図12(a)は、図6の方法にて形成されたボンド磁石を具備するドラム型コアであって開磁路タイプの一例を示す図。
図12(b)は、図6の方法にて形成されたボンド磁石を具備するドラム型コアであって開磁路タイプの他の例を示す図。
図12(c)は、図6の方法にて形成されたボンド磁石を具備するドラム型コアであって閉磁路タイプの例を示す図。
図12(d)は、図6の方法にて形成されたボンド磁石を具備するドラム型コアであって開磁路タイプのさらに他の例を示す図。
図13(a)は、ディスクマグネットを用いてドラム型コアに塗布された粘性体に配向磁場を印加する方法の説明図。
図13(b)は、リングマグネットを用いてドラム型コアに塗布された粘性体に配向磁場を印加する方法の説明図。
図13(c)は、コイルに自己通電してドラム型コアに塗布された粘性体に配向磁場を印加する方法の説明図。
図14は、実施例5に使用されるコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)を示すグラフ。
図15は、ギャップにBaフェライト焼結磁石を挿入したコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)を示すグラフ。
図16は、ギャップにSm2Fe17Nボンド磁石を挿入したコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)を示すグラフ。
図17は、ギャップにSm2Co17ボンド磁石を挿入したコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)を示すグラフ。
図18は、ギャップに挿入された磁石の固有保磁力の違いによるリフロー前後におけるコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の違いを示すグラフ。
図19は、ギャップに挿入された磁石のキュリー温度の違いによるリフロー前後におけるコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の違いを示すグラフ。
図20は、ギャップに挿入された磁石の平均粒径の違いによるリフロー前後におけるコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の違いを示すグラフ。
図21は、ギャップに挿入された磁石の組成の違いによるリフロー前後におけるコアの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の違いを示すグラフ。
図22は、その表面が金属で被覆されていない磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図23は、Znで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図24は、Alで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図25は、Biで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図26は、Gaで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図27は、Inで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図28は、Mgで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図29は、Pdで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図30は、Sbで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図31は、Snで表面が被覆された磁石合金粉末を用いて作製した磁石をギャップに挿入したコアに対して熱処理を行ったときの直流重畳特性(磁界の強さHm−周波数100kHzにおける透磁率)の変化を示すグラフ。
図32(a)〜(c)は、従来の磁気デバイスの製造方法の説明図。
本発明のボンド磁石は、磁石合金粉末(着磁されていない状態を指す。)として、ネオジウム(Nd)−鉄(Fe)−ホウ素(B)系やサマリウム(Sm)−コバルト系(Co)の希土類磁石粉末、あるいはフェライト系などの磁石粉末を使用する。まず、予め用意した磁石合金粉末を、樹脂等の非磁性の円筒容器に充填し着磁用コイルの中に置き、例えば希土類磁石粉末の場合5Tから10Tの範囲の磁場を印加し、着磁させる。
次に、着磁された合金磁石粉末(着磁された状態を指し、上記磁石合金粉末と区別される。)を、樹脂と混練し、ペースト化する。
このとき用いる樹脂は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を単独または溶媒で希釈し使用するか、あるいはポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニルサルファイト樹脂、芳香族系ナイロン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を単独で加熱して混練するかまたは溶媒で希釈したものを使用する。
前述の着磁された合金磁石粉末と前述の樹脂との混合物を混練して作製した粘性体の粘度は、10ポイズ(=1[Pa・s])以上に調整することが好ましく、10ポイズ以下の粘度では、合金磁石粉末が樹脂と分離、沈降しやすく、該粘性体を均一に充填または塗布することが必要な際は撹拌する等の注意を要する。
次に、ディスペンサー(またはシリンダー)などを用いて、上述の粘性体を磁気デバイスの所望の位置に塗布または金型に充填する。磁気デバイスを製造する場合は、このときコアにコイルを組み付けるなどの磁気デバイス組み立て工程を行う。このとき、粘性体は、接着剤として利用することも可能である。
その後、磁気デバイスの所望位置に塗布等された粘性体をそのままの状態で、30〜500mT程度の弱磁界中におき、粘性体中の合金磁石粉末を磁気的に配向させる。また、このとき同時に、粘性体中の樹脂が熱硬化性樹脂であれば加熱硬化させ、熱可塑性樹脂であれば冷却して硬化させる。あるいは、粘性体中の樹脂が溶媒で希釈された樹脂である場合は、加熱により溶媒の乾燥を行いつつ樹脂の硬化を行う。なお、金型等を使用する場合は、シリコーングリス等の離型剤を予め金型の内部に塗っておくことが望ましい。
この際、配向のために印加する磁界(以下、配向磁場という。)は、30〜500mTの弱磁界であるので永久磁石にて印加が可能であるが、必要に応じ電磁石にて印加することも可能である。永久磁石により配向磁場を印加する場合、その永久磁石は、熱硬化性樹脂の硬化温度または熱可塑性樹脂の軟化温度等である120℃以上の環境下に置かれることになるため、キュリー温度Tcの高いSmCo系磁石等であることが望ましい。
また、上記の方法で作製した粘性体を、アクチュエータ、センサー等の永久磁石を用いた磁気デバイスの磁気回路中に配置しまたは接着剤として用い、磁束量を増加させる、またはギャップによる磁気的なロスを軽減させることも可能であるが、この場合は粘性体を硬化させる際の外部からの配向磁界の印加は不要である。即ち、この場合は、磁気回路を構成する永久磁石により配向磁界が与えられるので、粘性体の樹脂が硬化する温度に保持するのみで異方性のボンド磁石を形成することが可能である。
また、磁気コア、ヨーク、別の永久磁石及びコイルのうちの少なくともいずれか1つを備えた磁気デバイスの所定個所に上記粘性体を接触配置する場合も、同様である。例えば、磁気コアと少なくとも1ヶ以上のコイルにより構成されるデバイスの磁気回路中の少なくとも1ヶ所以上に、永久磁石を具備したことを特徴とするデバイスとして、磁気バイアス方式のインダクタ等の電子部品がある。この種のデバイスでは、粘性体を磁気コアの所定位置に塗布するなどして接触配置した後、該コイルに通電すれば磁気回路に磁束(即ち配向磁界)が発生するため、この状態で粘性体の樹脂が硬化する温度に保持するのみで、粘性体中の合金磁石粉末を磁路方向に磁気的に配向させつつ硬化させることができ、それによって異方性のボンド磁石を具備したデバイスを得ることができる。
以下、本発明の実施例として、図面等を参照し、具体的なボンド磁石及びその製造方法、及びそれを用いた磁気デバイス及びその製造方法について説明する。
この4種類の粘性体をそれぞれ直径10mm、高さ1mmの非磁性のステンレスの金型に充填し、圧力をかけない状態で、高さ方向と平行に0.5Tの磁場を印加した状態のまま150℃に加熱し、その状態を2時間維持した。これにより、予め着磁されたSmCo合金磁石粉末を金型内で磁気的に配向のみをさせた状態で樹脂を硬化させ、ボンド磁石を形成した。各金型からボンド磁石を抜き出し、発明品1から発明品4とした。なお、前述のステンレスの金型内面には、離型剤として予めシリコーングリスを塗布している。
また、比較のため、前述のSmCo磁石合金粉末を予め着磁しないこと以外は前述と同様に粘性体を製造し、次いで、その粘性体に磁場を印加しないこと以外は前述と同様にして硬化させ、取り出した後に高さ方向と平行に10Tのパルス磁界を印加することにより、樹脂内部のSmCo磁石合金粉末の着磁を行いボンド磁石を得、これを従来例1から従来例4とした。
それらを振動型磁力計により、配向(または着磁)方向、及び配向(または着磁)方向に垂直な方向にて残留磁束密度(Br)を測定した結果を表1に示す。
表1より、発明品1〜4は、成形時に0.5Tと弱い磁界を印加するだけで異方性の高いボンド磁石が得られていることが確認された。なお、重量比が70:30未満であると、合金磁石粉末の量が少なく、磁束密度が低下する不具合があり、また、重量比が97:3を超えると、合金磁石粉末の量が多すぎて、機械的にもろくなるという不具合が発生する。
ここで、発明品1と発明品2の合金磁石粉末とエポキシ樹脂との重量比が70:30と80:20の場合は、チョークコイル用のバイアス用のボンド磁石として利用できる。また、発明品3と発明品4の合金磁石粉末とエポキシ樹脂との重量比が90:10と97:3の場合は、強い磁束密度が必要な、モータ用あるいはアクチュエータ用あるいはセンサ用のボンド磁石として利用できる。
まず、実施例1と同様に、平均粒子径20μmのSmCo磁石合金粉末を10Tのパルス磁界にて着磁してSmCo合金磁石粉末を得る(図1(a))。
次に、得られたSmCo合金磁石粉末と2液性のエポキシ樹脂とを重量比で、70:30〜97:3の間の所定の値、例えば、70:30となるように配合し、混練してペースト化し、粘性体を得る(図1(b))。
次に、図1(c)に示すように、得られた粘性体4をディスペンサ(またはシリンダ)101等に充填する。
次に、図1(d)に示すように、ディスペンサ101を用いてE型コア2の中央磁脚の上面に、粘性体4を塗布する。具体的には、コア外径18mm、磁気回路長15mm、有効断面積0.3cm2のE型コア2に、粘性体4を10mg塗布する。
次に、図1(e)に示すように、E型コア2にコイル3とI型コア1とを組み付ける。これにより、E型コアの中央磁脚の上面に塗布された粘性体4は、I型コアにより押しつぶされて変形し、E型コア2とI型コアの磁気ギャップを形成する一対の面(互いに対向する面)の双方に密着する。
この後、図1(f)に示すように、SmCo系の永久磁石5を、前記Ni−Znフェライトコア1,2の下部に配置し、そのままの状態で150℃の雰囲気中に1時間置き粘性体4に含まれる樹脂を硬化させた。この間、粘性体4には、前記永久磁石5によって、それが硬化するまで常に磁場が印加されている。
ここで、図2は、図1(f)の状態から、SmCo系の永久磁石5を除去したもの、即ち、図1の工程により製造されたインダクタンス素子である。図1の粘性体4は、図2においては硬化してボンド磁石4aとなっている。なお、ボンド磁石4aは、E型コア2とI型コア1の磁気ギャップを形成する対向面に密着形成されており、従来のシート状磁石を用いた場合のような接着層はない。また、ボンド磁石4aの側面の形状は、粘性体の粘度、表面張力の影響を受けるために、明らかに従来の打ち抜き法等で作製されたシート状磁石またはプレス磁石等の形状とは異なっている。つまり、本発明によるボンド磁石4aは、磁気コアに対しては隙間なく密着して形成されており、さらに、前述のボンド磁石の磁気コアに面していない側面は粘性体の自由表面がそのまま硬化した滑らかな凹凸形状であり、複数の曲率面により構成されている。
また、比較のために、前述と同様なNi−Znフェライトコアに、圧縮成形法にて作製したシート状の磁石を接着し、インダクタンス素子を作製し、従来例とした。図3は、シート状の磁石を搭載する前のインダクタンス素子の説明図であり、図4は、従来例によるインダクタンス素子の説明図である。図3及び図4から理解されるように、従来例のインダクタンス素子は、Ni−Znフェライトコアの磁気ギャップ6にシート状磁石7を挿入接着したものである。
図5は、本発明のインダクタンス素子と、従来のインダクタンス素子との直流重畳特性を比較するための特性図である。図5に示すとおり、異方性ボンド磁石が形成されたことにより、本発明のインダクタンス素子は、直流重畳特性において、従来のインダクタンス素子より飽和電流値が高くなっている。
本実施例に係るインダクタンス素子は、一対のE型コアを有している点で実施例2のインダクタンス素子と異なっている。
図6に示すように、E型コア1とE型コア2にて構成される、コア外径7mm、磁気回路長13.6mm、有効断面積0.08cm2のMn−Znフェライトコアの中央磁脚のギャップ部に、実施例2と同一の方法で作製した粘性体4を8mg塗布した。そして、Mn−Znフェライトコアの下部にSmCo系の永久磁石5を配置し、その状態で150℃の雰囲気下に1時間置いた。これにより、粘性体4は硬化するが、その間、粘性体4には永久磁石からの磁場が常に印加される。
図7は、図6の状態からSmCo系の永久磁石を除去した状態、即ち、図6の製造方法により製造されたインダクタンス素子を示す。図1の粘性体4は、硬化してボンド磁石4aとなっている。なお、ボンド磁石4aは、E型コア1とE型コア2の磁気ギャップを形成する対向面に密着形成されており、従来のシート状磁石を用いた場合のような接着層はない。また、ボンド磁石4aの側面の形状は、粘性体の粘度、表面張力の影響を受けるために、明らかに従来の打ち抜き法等で作製されたシート状磁石またはプレス磁石等の形状とは異なっている。つまり、本発明によるボンド磁石4aは、磁気コアに対しては隙間なく密着して形成されており、さらに、前述のボンド磁石の磁気コアに面していない側面は粘性体の自由表面がそのまま硬化した滑らかな凹凸形状であり、複数の曲率面により構成されている。
また、比較のために、前述と同様なMn−Znフェライトコアに、圧縮成形法にて作製したシート状の磁石を接着し、インダクタンス素子を作製し、従来例とした。図8は、シート状の磁石を搭載する前のインダクタンス素子の説明図であり、図9は、従来例によるインダクタンス素子の説明図である。図8及び図9から理解されるように、従来例のインダクタンス素子は、Mn−Znフェライトコアの磁気ギャップ6にシート状磁石7を挿入接着したものである。
図10は、本発明のインダクタンス素子と、従来のインダクタンス素子との直流重畳特性を比較するための特性図である。図10に示すとおり、異方性ボンド磁石が形成されたことにより、本発明のインダクタンス素子は、直流重畳特性において、従来のインダクタンス素子より飽和電流値が高くなっている。
図12(a)〜(d)は、図11の方法にて作製された、ボンド磁石を形成したドラム型コアの説明図である。図12(a)は、開磁路タイプの例を示す図であって、粘性体51aが鍔部12の外周面上に周方向に形成されている。図12(b)は、開磁路タイプの他の例を示す図であって、粘性体51bが鍔部12の端面上に円周方向に形成されている。図12(c)は、閉磁路タイプの例を示す図で、粘性体51cが鍔部12の外周面と円筒型コア14aの内周面との間に設けられている。図12(d)は、開磁路タイプのさらに他の例を示す図で、粘性体51dが、コイル14を埋め込むように設けられている。
図13は、本発明のドラム型コア13に塗布された粘性体51dへの磁場印加の方法の説明図である。図13(a)は、ディスクマグネット16を使用する場合を示す図、図13(b)は、リングマグネット17を使用する場合を示す図、図13(c)は、コイル15に自己通電する場合を示す図である。いずれの方法においても、ドラム型コア13に塗布されたリング状(または円形)の粘性体51dに対し、ラジアル方向の配向磁場を印加することができる。これにより、ラジアル方向に配向(着磁)された高特性のボンド磁石を得ることができる。
Baフェライト焼結磁石については、コアの中芯ギャップ形状に加工し、コアのギャップに挿入して、パルス着磁機で磁路方向に着磁した。
次に、各コアに巻線を施して、HP製−4284LCRメーターで各試料の直流重畳特性を交流磁場周波数100kHz、重畳磁場0〜200Oeの条件で、繰り返し5回測定した。このとき、直流バイアス磁界の向きが配向方向または着磁した磁石の磁化の向きとは逆になるように、重畳電流を印加した。また、コア定数と巻線数から透磁率を計算した。各コアの5回目までの測定結果を図14〜図17に示す。なお、図14は、比較のため、ギャップに磁石を持たないコアについての測定結果である。
図15を見ると、保磁力が4kOeしかないフェライト磁石を挿入したコアでは測定回数が進むにつれ、直流重畳特性が大きく劣化することが分かる。一方、図16及び図17を見ると、保磁力の大きなボンド磁石を挿入したコアは、繰り返しの測定においても大きな変化はなく、非常に安定した特性を示すことが分かる。
これらの結果より、フェライト磁石は保磁力が小さいために、磁石に印加される逆向きの磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流重畳特性が劣化したものと推測できる。また、コアに挿入(または形成)される磁石は保磁力が5kOe以上の希土類系ボンド磁石において優れた直流重畳特性を示すことが分かった。
表2で平均粒径1.0μmのコアロスが大きいのは合金磁石粉末の表面積が大きいためにその合金磁石粉末の酸化が進んだためである。平均粒径75μmのコアロスが大きいのは合金磁石粉末の平均粒径が大きくなったために渦電流損失が大きくなったためである。また、粉末粒径が1.0μmのものが表面磁束が大きいのは保磁力が大きいために着磁し難くなるためである。
Baフェライト焼結磁石については、コアの中芯ギャップ形状に加工し、コアのギャップに挿入して、パルス着磁機で磁路方向に着磁した。
次に、各コアに巻線を施し、LCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定し、コア定数と巻き線数から透磁率を計算した。結果を図18に示す。測定が終わった試料をリフロー炉の条件である270℃の恒温槽で1時間保持したあと、常温まで冷却して2時間放置した。その後、上記と同様にLCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定した。その結果も図18に示す。
また、比較例としてGAP部に何も挿入していない試料も上記と同様に作製した。
図18より、リフロー前は、ギャップに磁石が挿入または形成された全ての試料において、ギャップに何も挿入しない試料より直流重畳特性が伸びていることがわかる。しかし一方、リフロー後では固有保磁力Hcが低いBaフェライト焼結磁石とSm2Fe17Nボンド磁石をギャップに挿入した試料では直流重畳特性が劣化している。これは、固有保磁力Hcが低いために熱減磁しやすくなっているためである。また、固有保磁力Hcの高いSm2Co17ボンド磁石ではリフロー後も優位性を保っていることがわかる。
次に、各コアに巻線を施し、LCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定し、コア定数と巻き線数から透磁率を計算した。結果を図19に示す。測定が終わった試料をリフロー炉の条件である270℃の恒温槽で1時間保持したあと、常温まで冷却した。その後、上記と同様に、LCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定した。その結果も図19に示す。また、比較例としてギャップ部に何も挿入しない試料も上記と同様に製作した。
図19よりリフロー前は、ギャップに磁石が挿入(または形成された)全ての試料において、ギャップに何も挿入しない試料より直流重畳特性が伸びていることがわかる。しかし一方、リフロー後ではキュリー温度Tcが低いNd2Fe14Bボンド磁石とSm2Fe17Nボンド磁石を挿入した試料では直流重畳特性が劣化しており、何も挿入しない試料と優位性がなくなっていることがわかる。また、キュリー温度Tcの高いSm2Co17ボンド磁石ではリフロー後も優位性を保っていることがわかる。
次に試料をリフロー炉の条件である270℃の恒温槽で1時間保持したあと、常温まで冷却した。その後、LCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定した。結果を図20に示す。また、比較例としてギャップ部に何も挿入しない試料も上記と同様に作製した。
表4に示す通り磁石合金粉末の最大粒径が50μmを超えると急激にコアロスが増大することがわかった。また、図20よりリフロー後、2.5μm以下で直流重畳特性が劣化している。よって平均粒径2.5〜50μmでリフロー後も優れた直流重畳特性が得られしかもコアロスの劣化も生じない磁心が得られることがわかった。
次にこれら各ボンド磁石を実施例5と同様にMnZn系フェライトのギャップに挿入し、巻き線を施し、LCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定し、コア定数と巻線数から透磁率を計算した。その結果を図21に示す。
また、測定が終わった試料をリフロー炉の条件である270℃の恒温槽で1時間保持した後、常温まで冷却した。その後、上記と同様にLCRメーターで各試料の直流重畳特性を測定した。その結果も図21に示す。
図21より保磁力の高い第3世代Sm2Co17磁石粉末を使用した場合、リフロー後も良好な直流重畳特性が得られることがわかった。以上より組成が第3世代であるSm(Cobal.Fe0.15−0.20Cu0.06−0.08Zr0.02−0.03)7.0−8.5で直流重畳特性が良好であることがわかった。
その後、各混合粉末に対して、総体積の40vol%にあたる量のバインダー(エポキシ樹脂)を加えて混合した後、実施例1と全く同じ方法でボンド磁石を作製した。得られたボンド磁石を実施例5と同様のコアのギャップに挿入して試料とした。次に270℃・大気中で各試料の熱処理を行い、30分ごとに炉から出し、直流重畳特性、コアロス特性を測定した。
直流重畳特性はヒューレットパッカード社製4284A LCRメーターで交流磁場周波数100kHz、重畳磁場0〜200Oeの条件で測定した。このときの直流バイアス磁界の向きが磁石形成時の配向の向きとは逆となるように、重畳電流を印加した。その測定結果を図22〜31に示す。
図22〜図31から理解されるように、金属被覆を行わなかったもの(図22)に比べ、上記の金属を被覆した磁石合金粉末を用いて製造した磁石がギャップに形成されたコア(図23〜図31)は熱処理時間が増加しても重畳特性の劣化は少なく、安定した特性を示すことがわかった。これは磁石の表面が金属で被覆されたことにより酸化が抑制され、バイアス磁界の減少が抑えられたものと考えられる。
次に各コアについて、岩崎通信機社製のSY−8232交流BHトレーサーで50kHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。これらの結果を表6に示す。
金属を被覆しないものは120分の熱処理において、コアロスは3倍以上の値になるが、上記金属を被覆したものは平均で20〜30%のコアロスの増加であり、非常に優れた特性を示すことがわかった。
フラックス特性は各磁石をTOEI製TDF−5ディジタルフラックスメーターで測定した。熱処理前のフラックス量を100%としたときの測定結果を表7に示す。
金属被覆を行わなかった磁石が10時間で70%以上減磁したのに比べ、上記の金属を被覆した磁石をは10時間の熱処理で減磁が6%程度と劣化が非常に少なく、安定した特性を示すことがわかった。これは磁石の表面が金属で被覆されたことにより酸化が抑制され、フラックスの減少が抑えられたものと考えられる。
以上、本発明について、いくつかの実施例に即して説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施例5〜12では、実施例1と同じ方法、即ちボンド磁石を金型に充填して製造する方法を用いる場合について説明したが、実施例2と同様に直接コアの一部に粘性体を塗布して硬化させるようにしてもよい。この場合、ボンド磁石がコアに密着形成されるので、ボンド磁石とコアとの隙間がなくなり、さらに特性の改善が期待できる。
以上のように、本発明によれば、高磁石特性で、かつ工業的に製造が容易で、かつ安価なボンド磁石を得ることができるボンド磁石の製造方法及びそれを用いデバイスの製造方法を提供できる。
Claims (13)
- 予め着磁された合金磁石粉末を樹脂と混合して粘性体とし、
該粘性体に磁場を印加して当該粘性体に含まれる前記合金磁石粉末を磁気的に配向させつつ前記樹脂を硬化させる、
ことを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1に記載のボンド磁石の製造方法において、
前記粘性体を、磁気デバイスの所定個所に接触配置し、
前記磁気デバイスに接触配置された前記粘性体に対して、前記磁場を印加して当該粘性体に含まれる前記合金磁石粉末を磁気的に配向させつつ前記樹脂を硬化させ、
それによって前記磁気デバイスの所定個所に密着形成するようにしたことを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1または2に記載されたボンド磁石の製造方法において、
前記合金磁石粉末を前記樹脂と混合する前に、Zn,Al,Bi,Ga,In,Mg,Pb,SbおよびSnから選択された1種又は2種以上の金属粉あるいその合金の金属粉と混合して混合物を得、
当該混合物に熱処理を施して、前記合金磁石粉末の表面を金属膜で被覆する、
ことを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1から3のうちのいずれか一つに記載されたボンド磁石の製造方法において、
前記合金磁石粉末として、固有保磁力が5kOe以上、キュリー温度が300℃以上、及び粉末平均粒径が2.0〜50μmの希土類磁石粉末を用いることを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1から3のうちのいずれか一つに記載されたボンド磁石の製造方法において、
前記合金磁石粉末として、固有保磁力が10kOe以上、キュリー温度が500℃以上、及び粉末平均粒径が2.5〜50μmの希土類磁石粉末を用いることを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項5に記載されたボンド磁石の製造方法において、
前記合金磁石粉末として、組成がSm(Cobal.Fe0.15−0.25Cu0.06−0.08Zr0.02−0.03)7.0−8.5の希土類磁石粉末を用いることを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1から6のいずれか一つに記載されたボンド磁石の製造方法において、
前記樹脂として、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニルサルファイト樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ナイロン、及び液晶ポリマーのうちのいずれかが用いられることを特徴とするボンド磁石の製造方法。 - 請求項1から7のいずれか一つに記載されたボンド磁石の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするボンド磁石。
- 請求項8に記載されたボンド磁石を具備することを特徴とする磁気デバイス。
- ボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法において、
前記ボンド磁石の形成が、
合金磁石粉末と樹脂とを混合して粘性体とし、
該粘性体を、磁気デバイスの所定個所に接触配置し、
前記粘性体に磁場を印加して当該粘性体に含まれる前記合金磁石粉末を磁気的に配向させつつ前記樹脂を硬化させることにより行われ、
それによって前記ボンド磁石が前記所定個所に密着形成されることを特徴とするボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法。 - 請求項10に記載されたボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法において、
前記所定個所が磁気ギャップを規定する互いに対向する一対の面であって、
前記磁気ギャップに前記粘性体を配置することにより、前記一対の面の双方に前記粘性体を接触させるようにした、
ことを特徴とするボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法。 - 請求項10に記載されたボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法において、
前記所定個所がドラム型コアの端面又は鍔部外周面であって、
前記粘性体を前記端面又は前記鍔部外周面上にリング状に塗布するようにした、
ことを特徴とするボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法。 - 請求項10から12のうちのいずれか一つに記載されたボンド磁石を具備する磁気デバイスの製造方法を用いて製造され、前記ボンド磁石が前記所定個所に接着剤を用いることなく密着固定されていることを特徴とする磁気デバイス。
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