JPWO2004008003A1 - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

本発明は、機械的無段変速機において、従来の「点接触」から「線接触」が行えるようにすることを目的としてなされたものであり、線接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができる機械的無段変速機100とするために、入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20のロール面21形状を、球の部分形状となるようにするとともに、この球の部分形状に対応する凹状ロール面31がそれぞれ表面に形成されて、パワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転され、出力軸12につながる複数のカウンターロール30を、互いに隣接し合う各凹状ロール面31が円環状に略連続するようにしながら、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に回転自在に組付けるとともに、このディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにしたものである。

Description

本発明は、入力軸側からの回転と力(回転トルク)を、出力軸側へ無段的に伝えるようにした無段変速機に関し、特に空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機に関するものである。
例えば、自動車のエンジンが作り出した変速的な回転トルクを、さらに変速して車輪側への出力軸に伝達する装置としては、大きく分けて流体の介在する流体変速機と、遊星歯車等を使用した機械的な変速機とがある。この機械的変速機は、歯車等を使用して段階的に回転数を伝えるものと、無段のものとに分けられる。
そして、この機械的無段変速機については、IPCのF16H(伝動装置)15/00に、「回転部材間の摩擦による可変変速比をもった回転伝達用または逆転用伝動装置」も分類されていて、「摩擦」を利用した機械的無段変速機も存在している。勿論、このIPCのF16H 15/00は、さらに細かく分類されていることから、この種の摩擦を利用した機械的無段変速機は種々な提案がなされていることが分る。
近年の機械的無段変速機としては、特にトラクション(traction)ドライブ式のものであって、トロイダル(toroidal)CVT(Continuously Variable Transmission)が脚光を浴びてきている。このトロイダルCVTは、Charies W.Huntが米国特許第197472号で初めて提案したものであるが、次のような基本的特徴を有したものであった。
このHunt特許の内容は、図32に示すように、互いに対向するディスクB、D(これらのディスクの内面がトロイダル、つまりドーナツ状になっているのである)に摺動するホイールE(以下ではパワーロールとも言う)を配置し、このホイールEの角度を変えることにより、ディスクB側に対するホイールEの摺接半径と、ディスクDに対するホイールEの摺接半径とを相対的に変えるようにしたことである。これにより、ディスクBの回転トルクがディスクDに伝えられるに際して、両ディスクB、D間の回転数が変えられるのである。
以上のように、このHunt特許に係るトロイダルCVTは、両ディスクB、Dの内表面の全体形状はドーナツのような円環状、つまりトロイダルなものであり、その後、このHunt特許のような形式を有する機械的無段変速機は、トロイダルCVTと呼ばれるようになったのである。
Hunt特許に係るトロイダルCVTは、図32に示したような基本構造を有していることから、非常にシンプルであり、工業的利用に大きな期待が寄せられた。特に、自動車の出現に対応してこれへの適用が1920年代になされ、種々な試作や販売そのものもなされたが、何故か大量な実用化はされなかった。
その後も種々な改良がなされてきたが、最近のトロイダルCVTは、図33に示した「フルトロイダル」と、図34に示した「ハーフトロイダル」に大きく形式が分かれるようになってきている。
フルトロイダルCVTの特徴は、基本的にはHunt特許と同じであり、図33に示したように、パワーローラ(図32ではホイールEに該当するもの)の中心(入出力両ディスクとの接点O、O’を結ぶ直線の中心)が、両ディスク内面が作るトロイダルキャビティの中心を通ることである。これにより、入出力両ディスク間での動力伝達を行うために、掛けられた両ディスク間での押圧力は、相対的にパワーローラを回動させるための支持軸上には作用しないから、パワーローラの角度変更は、円滑に行えることになる。その反面、各接触点O、O’に引いた2本の接線が互いに平行となるから、各接触点O、O’でのスピンが大きくなるものである。
これに対して、図34に示したハーフトロイダルCVTでは、各接触点O、O’からの2本の接線が平行ではなくて、交点Eを有している。この交点Eが回転軸I上にあるいとき、各接触点O、O’でのスピンはなくなり、効率のよいCVTとなるのである。
いずれにしても、トロイダルCVTでは、強い押圧力によって互いに押し付けられた状態の金属同士が、図35中の黒く塗りつぶした部分のような点に近い接触部分で接触することになる。(田中裕久著;トロイダルCVT、2000年7月コロナ社発行)このような点に近い小さな接触部分で金属同士が接触し合えば、当然摩擦熱が発生することになる。
この摩擦熱を放置しておけば、金属同士が焼き付いてしまうので、その接触部分にオイルを介在させなければならない。しかも、トロイダルCVTでは、両金属(ディスクまたはローラ)間を非常に強い押圧力で押しつけなければならないから、介在させるべきオイルの圧力も相当高くなければならない。そうなると、この種のトロイダルCVTを自動車に適用する場合、エンジンの力を利用してオイル圧を高めなければならないから、結果的に所謂「燃費」が悪くなることになる。
また、従来のCVTでは、「逆転」させる場合の変速は全く行うことができないものであり、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機の開発が待たれているところである。
そこで、本発明者は、近年のトロイダルCVT、つまり無段変速機における上記実状を改善するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、従来のトロイダルCVTを自動車に適用した場合の燃費の増大は、金属同士が点接触する構造に最大の原因があることに気付き、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、この種の機械的無段変速機における金属製構成部材について、従来の「点接触」から「線接触」が行えるようにすることである。また、本発明の他の目的とするところは、線接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、その結果、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができて、例えば自動車に適用した場合にはその燃費を少なくすることにある。
以上の目的を達成するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えた機械的無段変速機100であって、
パワーロール20のロール面21形状を、球の部分形状となるようにするとともに、この球の部分形状に対応する凹状ロール面31を各カウンターロール30の表面に形成し、
これら複数のカウンターロール30を、互いに隣接し合う各凹状ロール面31が円環状に略連続するようにしながら、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に回転自在に組付けるとともに、このディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機100」
である。
すなわち、本発明の機械式無段変速機100は、例えば図1及び図2に示すように、入力軸11からの回転力により回転されるパワーローラ20のロール面21を、ディスク40に円環状に配列して組付けた複数のカウンターローラ30の各ロール面31に「線接触」させるようにしたものである。そのために、本発明の機械式無段変速機100では、まず入力軸11により回転されるパワーローラ20のロール面21の表面形状については、「球」を例えば2つの平行な面で切断したときにできる表面形状と略同じになるようにしてあり、これに対して、各カウンターローラ30のロール面31の表面形状については、図3に示すように、パワーローラ20側のロール面21の形状に対応する凹状としたものである。つまり、各カウンターローラ30のロール面31は、その中心軸で切断したときに、完全な「円弧」として現れるものである。
従って、各カウンターローラ30のロール面31の、回転軸32の中心で切ったときに現れる線は、これら複数のカウンターローラ30を円環状に配列したときに、それぞれ互いにつらなって、ほぼ完全な「円」を形成するものである。この円には、ニュートラル時の1つまたは複数のパワーローラ20のロール面21が円として線接触し、またパワーローラ20が傾斜された場合には、この円の円弧部分に線接触することになる。勿論、各カウンターローラ30は、その回転軸32によってディスク40に回転自在に組付けたものであり、駆動側のパワーローラ20に対して「転がり接触」することになるものである。
ここで、パワーローラ20側のロール面21が形成する円と複数のカウンターローラ30を連ねたことによって円環を構成する各ロール面31が形成する円との直径の関係をみてみると、次の通りである。
まず、パワーローラ20側のロール面21についてであるが、図1及び図2に示した例の場合、図3に示すように、球の中心Oを通る円Cを最大部分として有し、このCより直径の小さい円を最小部分とするものである。なお、このパワーローラ20側のロール面21が形成する円の最大部分は、必ずしも図3に示した円Cである必要はなく、また最小円にあっては半径が0(ゼロ)であってもよい。
また、このパワーローラ20は、例えば図10の(A)にも示すように、各カウンターローラ30によって形成されてた円環内に嵌合されることもあって抜け止めがなされなければならないから、各カウンターローラ30による円環の内径はこのパワーローラ20の外径より小さくなければならない。このことは、パワーローラ20を1個だけ使用する場合も、複数使用する場合も言えることである。
さて、この機械式無段変速機100を構成しているパワーローラ20は、そのロール面21を各カウンターローラ30に接触させたままの状態を維持しながら、その回転軸22の軸心方向をディスク40が形成している平面に対して傾斜させなければならない。そのためには、回転軸22に変速レバーまたはハンドル13を連結するとともに、後述する最良の形態が採用しているベベル歯車列等を利用して、この回転軸22と入力軸11とを接続するようにするのである。勿論、このパワーローラ20のロール面21と各カウンターローラ30のロール面31とは互いに圧接状態を維持するようになければならないから、各パワーローラ20やディスク40等の位置をケーシング10によって維持する他、例えば図4の(B)に示すような板バネ50を利用するようにするものである。
これに対して、各カウンターローラ30については、その回転軸32の方向を変える必要は全くないが、その各ロール面31のディスク40に対する同一位置によって、円弧状であるパワーローラ20側のロール面21が滑らかに当接する円環状の接触面を形成しなければならない。各カウンターローラ30は、そのロール面31が完全円の内の部分円しか形成できないから、その複数を、図1及び図2に示すようにディスク40に回転自在となるように組付けなければならない。各カウンターローラ30を、図1に示したように、ディスク40に完全に組付けてしまえば、各カウンターローラ30のロール面31によって、その内側中心に略連続した円環面が形成できるのである。
以上のようにパワーローラ20や複数のカウンターローラ30を組み合わせることによって、入力軸11からの回転を、ディスク40に設けられた出力軸12に対し、以下のようにして変速しながら伝えることができる。
まず、図5には、所謂「ニュートラル状態」が示してある。つまり、この場合は、図5の(B)にも示すように、パワーローラ20のロール面21は各カウンターローラ30が形成してる円環面と同一位置にあるため、図5の(A)に示すように、パワーローラ20のロール面21は、その図示上下の各面において、それぞれ3個のカウンターローラ30に当接している。このニュートラルの場合、3個のカウンターローラ30の中央のものは、パワーローラ20の回転軸22に直交する中心線と中心を同一にしているものであり、図示上方の例でみてみると、左右の各カウンターローラ30はパワーローラ20の中心線に対して線対称位置にある。
ここで、図5中の矢印にて示した方向にパワーローラ20が回転されると、これに接触している各カウンターローラ30は、ディスク40に回転自在に軸支されていること、及びパワーローラ20との転がり接触していることとによって回転することになる。このとき重要なことは、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは常に「線接触」した状態にあることであるが、それは、パワーローラ20のロール面21が球表面の一部と同じ形状にしてあって、かつこれに対応した凹状のロール面31がカウンターローラ30に形成してあるからである。
この回転している1つのパワーローラ20については、図5の(A)にて示したように、図示上下それぞれにおいて各3個のカウンターローラ30に接触していて、これを単に回転させているだけである。従って、この場合(具体的にはディスク40が作る平面に対して、パワーローラ20側の回転軸22が直交している場合)には、ディスク40に回転させるための力が加えられることはないため、ディスク40、従って出力軸12は回転することはない。
次に、入力軸11からの回転力を出力軸12側に変速して伝達していく場合を考えるために、パワーローラ20の回転軸22を、図6の(B)に示す状態、つまりディスク40が形成する平面に対して左に30°まで傾斜させる状態を想定してみる。回転軸22、つまりパワーローラ20を傾斜させていくと、そのロール面21は、今まで接触していたカウンターローラ30に隣接している別のカウンターローラ30に次々と移動しながら線接触を続けていく。何故なら、パワーローラ20のロール面21は球面の一部であって、各カウンターローラ30のロール面31もロール面21の球面に対応する凹状面であったし、各カウンターローラ30は円環状となるようにディスク40に組付けてあって、その各ロール面31は略連続したものとなっていたからである。パワーローラ20がディスク40に対して30°まで回転される間も、当該機械式無段変速機100は変速を行っているのであるが、その様子は次の30°まで回転されたときの状態をもとに説明することとする。
入力軸11によって回転されているパワーローラ20がディスク40に対して、図6の(B)に示すような30°の位置まで傾斜されると、このパワーローラ20のロール面21は、各カウンターローラ30のロール面31に線接触したままの状態にあるから、図6の(A)中に示した小さい矢印方向に各カウンターローラ30を動かそうとする。つまり、パワーローラ20に接触している1個のカウンターローラ30についてみてみると、このカウンターローラ30のロール面31には、パワーローラ20側のロール面21が30°の傾斜で転がり摩擦力が加わっているから、その内の一部は当該カウンターローラ30の回転軸32を中心とした回転力に使われ、残りは図6の(A)中に示した小さい矢印に示した方向への回転力に使われることになる。
パワーローラ20が当接する各カウンターローラ30に点線矢印にて示した方向の力が加わることによって、結果的にディスク40は回転されることになるが、この30°傾斜の場合、パワーローラ20の回転数に対してディスク40はその半分となるのであり、結果としてこのディスク40に接続されている出力軸12は変速回転されることになるのである。勿論、この30°傾斜に至るまでの間の変速は順次連続的になされるのである。
このパワーローラ20の傾斜をさらに大きくして、図7の(B)に示すように、90°まで傾斜されたときには、パワーローラ20の回転力の全ては各カウンターローラ30を図7の(A)中の外側矢印で示した方向への回転力に使われることになり、各カウンターローラ30はディスク40に対しては回転しない。つまり、パワーローラ20の回転数とディスク40の回転数は同じになるのであり、この90°傾斜の場合は変速されないことになる。
勿論、前述した30°傾斜からこの90°傾斜に至るまでの間も、各カウンターローラ30の回転軸32を中心とする回転量は順次小さくなっていくのであり、かつディスク40の回転量は順次大きくなっていくのである。この結果、当該機械式無段変速機100による変速は、パワーローラ20の傾斜量に応じて順次連続的になされるのであり、「無段変速」となるのである。
そして、本発明で重要なことは、図8に示すように、パワーローラ20を、図6の(B)に示した傾斜とは反対側への傾斜をさせた場合には、「逆転」も加わった変速がなされることである。つまり、本発明に係る機械式無段変速機100では、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
以上の説明においては、各パワーローラ20及びカウンターローラ30が金属を材料として形成した場合を想定していたが、これらのパワーローラ20及びカウンターローラ30は、少なくとものそのロール面21・31を合成樹脂やセラミックスを材料として形成して実施してもよいことは当然である。
従って、この請求項1の機械式無段変速機100は、各パワーローラ20とカウンターローラ30とを常に線接触させながら無段変速が行えるのであり、線接触であることからヘルツ(Helz)接触に基づくロール面21・31の変形を極力抑えることができて、各パワーローラ20とカウンターローラ30とを金属材料によって形成したとしても発熱量が抑えられるのであり、ニュートラルから正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
次に、請求項2に係る機械式無段変速機100であるが、これは、上記請求項1の機械式無段変速機100について、
「パワーロール20を1個だけにし、このパワーロール20のロール面21の球直径が、各カウンターロール30によって内側に形成される円環面の直径より大となるようにして、このパワーロール20をディスク40側に押圧するようにしたこと」
である。
すなわち、この請求項2に係る機械式無段変速機100では、1個だけのパワーローラ20について、図9の(B)、図10、及び図11に例示しているように、そのロール面21の最大直径部分(換言すれば、当該ロール面21を形成している球の直径)が各カウンターローラ30によって形成される内側円環面の直径より大きくして、例えば図9の(B)に示したように、各カウンターローラ30を組付けたディスク40側に当該パワーローラ20を押圧させたときに、ディスク40の反対側へ抜けてしまわないようにしたものである。このため、当該パワーローラ20のディスク40側への押圧ができて、パワーローラ20と各カウンターローラ30との線接触を確実にすることは勿論、その押圧状態のまま、パワーローラ20を傾斜させ得るのである。なお、図9の(A)に示したものは、前述した図7の(B)のものと同じであり、図9の(B)に示しているものとの比較のために記載したものである。
図10の(A)及び図11の(A)に示した機械式無段変速機100は、図34に示した「ハーフトロイダル」形式のものに対応するもので、パワーローラ20中にロール面21の形状を規定している球の中心がないものであり、これに対して図10の(B)及び図11の(B)に示した機械式無段変速機100は、見かけ上2つのパワーローラ20を有してはいるが実質上1つのものとなっている場合であるが、これらのパワーローラ20中に球の中心を有するものである。また、パワーローラ20のディスク40側への押圧は種々な方法が採用できるが、その具体例は、後述する請求項6または請求項7に係る機械式無段変速機100について説明する。
従って、この請求項2の機械式無段変速機100は、請求項1のそれと同様な機能を発揮することは当然として、1つのパワーローラ20をディスク40に対して押圧するようにしているから、確実な変速作動が行えて、全体構成をコンパクト化できるのである。
請求項3の機械式無段変速機100は、上記請求項1または請求項2の機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30をそれぞれ組付けた一対のディスク40を互いに平行となるように組み付けるとともに、これら一対のディスク40・40間に1つのパワーロール20を配置して、両ディスク40・40を互いに押圧するようにしたこと」
である。
すなわち、この請求項3の機械式無段変速機100は、図11に示すように、1つ、または実質上1つのパワーローラ20の両側に、それぞれ複数のカウンターローラ30を円環状に組付けた2つのディスク40を互いに平行となるように組み付けたものである。
ディスク40が2つでこれらによりパワーローラ20を挟み込めば、それぞれの部材の組付けが簡単になり、例えば両ディスク40間に力を加えるようにすることによりパワーローラ20の押圧が済むことになるから、押圧のためにパワーローラ20やディスク40をケーシング10に支持させる必要がなくなるのである。
以上では、入力軸11からの回転力を伝えるためのパワーローラ20は1個であったが、このパワーローラ20はこれを複数にすることも可能であり、これが請求項4の機械式無段変速機100である。すなわち、請求項4の機械式無段変速機100は、上述した請求項1のそれについて、
「パワーロール20として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール20〜20を入力軸11側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにしたこと」
である。
複数として2個の場合を挙げてみると、図12〜図15に示すような例が考えられる。図12に示したものは、図1に示した1個のパワーローラ20を2個に分割して、これらを同一方向に同時に回転させ得るようにするために別のケーシング等で一体化するようにしたものである。図13に示した機械式無段変速機100では、2つのパワーローラ20を斜め内側から当接するようにしたものであり、図14では全くの側面に、また図15の機械式無段変速機100では2つのパワーローラ20を外側面に当接させるようにしたものである。
この請求項4の機械式無段変速機100では、パワーローラ20を複数のものに分割するのであるから、ディスク40内あるいはその近傍にいろんな部品の組付け空間を確保でき、しかも各パワーローラ20のカウンターローラ30に対する当接方向を種々変更できるというメリットがあり、機械式無段変速機100全体を製造のための組み付けを行い易くするものである。
以上のようにパワーローラ20を複数に分割すれば、ディスク40のあらゆる方向からこのパワーローラ20の当接を、小さなケーシング10内に可能になるが、その場合には、ディスク40からの各カウンターローラ30の露出方向を変更してやらなければならない。これが請求項5の機械式無段変速機100であり、その採った手段は、上記請求項4の機械式無段変速機100について、
「ディスク40からの各カウンターロール30の露出方向を変えることにより、各パワーロール20の各カウンターロール30に対する当接位置を任意にし得るようにしたこと」
である。
従って、この請求項5の機械式無段変速機100は、複数に分割したパワーローラ20の当接位置を任意に決定し得るものとなっているのである。
さて、前述したように、パワーローラ20と、複数のカウンターローラ30を組み付けたディスク40とが互いに押圧するようにして、パワーローラ20のロール面21が各カウンターローラ30のロール面31に常に線接触するようにしなければならない。そのための手段としては、押圧力を流体圧により発生させたり、カムを利用した機械的構成により発生させるようにしてもよいが、後述する最良形態では、請求項6または請求項7に係る機械式無段変速機100のようにすることもできる。
すなわち、請求項6に係る機械式無段変速機100は、上記請求項1〜請求項5のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、各カウンターロール30の支持軸31とこれを支持しているディスク40との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
例えば、図1に示した機械式無段変速機100の場合、複数のカウンターローラ30によって形成された円環内の中央に1個ののパワーローラ20を配置するものであるから、このパワーローラ20の周囲に位置する各カウンターローラ30がパワーローラ20に向けて常に付勢されていれば、パワーローラ20のディスク40に対する押圧ができることになる。各カウンターローラ30はその回転軸32によってディスク40に支持されているから、これをパワーローラ20側に付勢するには、図4に示すように、ディスク40と各回転軸32との間に板バネ50があればよい。
この板バネ50としては、図4の(B)に示すような、ベルビルスプリング(bellville spring)であってもよいし、波形状となった皿バネであってもよいものである。いずれにしても、この板バネ50は、その板の厚さ方向への付勢力を発生させるもので、非常に狭い空間内にも組み込めるものであり、通常は複数枚重ねて使用される。
つまり、各カウンターローラ30とディスク40との間にはそれ程自由になる空間がないのであるから、付勢力を付与するスプリングとしては「板バネ」が最も効果的となるのである。もともと、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは互いに密接し合った状態に設計されるのであるから、押圧のための空間は小さくてもよい。そのような条件の中で、各ディスク40がパワーローラ20に押圧するようにするには、板バネ50が最も効果的なのである。
他の押圧の方法としては、図16〜図25に示した第1実施例におけるようなものがあり、これが請求項7に係る発明である。
すなわち、請求項7の機械式無段変速機100が採った手段は、上記請求項1〜請求項5のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、ディスク40とこれを支持しているケーシング11との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
この請求項7の機械式無段変速機100は、図16に示すように、入力軸11に連結されるべきパワーローラ20はケーシング10に対して完全に組付けておくものであるが、つまりパワーローラ20のロール面21を規定している球の中心が全く動かないように組付けておくのである。このようなパワーローラ20に対して、各カウンターローラ30の方が押圧されれば、パワーローラ20とカウンターローラ30との密接は十分行えるから、カウンターローラ30側、つまりこれらを支持しているディスク40側をパワーローラ20に向けて付勢するようにすればよいことになる。
図16に示した例では、出力軸12がケーシング10に対して回転自在ではあるが図示左右方向には移動しないように、ベアリングを使用して抜け止めしてある。この出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してある。つまり、ディスク40は、出力軸12の内端部に対してその軸方向への移動は行えるが、出力軸12に対して回転不能に組付けてある。
そして、この図16に示した機械式無段変速機100では、ケーシング10に組込んだベアリングのインナーレースの内端面とディスク40のアームの外端面との間に板バネ50が複数組付けてある。これらの板バネ50は、図示左右方向に湾曲しているものであり、これにより、ディスク40をパワーローラ20側に僅かではあるが付勢することになるものである。
従って、この請求項7の機械式無段変速機100は、板バネ50という全く小さな部品によって、複数のカウンターローラ30を組み込んだディスク40を、位置を固定的にしたパワーローラ20に対して付勢することができるのであり、パワーローラ20と各カウンターローラ30との線接触を安定した状態に維持するのである。
さて、図16に示した機械式無段変速機100は、出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してあった。つまり、このアームを板バネ50の付勢方向とは逆方向に移動させる手段があれば、パワーローラ20と各カウンターローラ30との接触を解除することができて、トルク伝達が行われないようすること、つまり「クラッチ操作」ができることになる。このようなクラッチ操作を行えるようにしたのが請求項8に係る機械式無段変速機100である。
すなわち、請求項8に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の機械式無段変速機100について、
「パワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動可能とし、これらのパワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動させることにより、パワーロール20と各カウンターロール30との間の押圧による摩擦接触を解除して、両者間の力の伝達をなくすクラッチ機能を備えたものとしたこと」
である。
図1は本発明に係る機械式無段変速機100におけるパワーローラ20と複数のカウンターローラ30との関係の1例を示す部分破断正面図であり、図2は同縦断面図であり、図3は球0を中心にしてみたパワーローラ20側のロール面21とカウンターローラ30側のロール面31の端面形状を示す断面図であり、図4は図1の1−1線部の拡大図(A)及びそこで使用している板バネ50の拡大断面図(B)である。
図5〜図8は1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、図5はパワーローラ20とディスク40とが直交した場合、図6はパワーローラ20が30°で傾斜した場合、図7はパワーローラ20が90°で傾斜した場合、図8はパワーローラ20が−30°で傾斜した場合をそれぞれ示したものである。
図9は、1個のパワーローラ20を使用した例を示すもので、(A)はパワーローラ20の最大部分が各カウンターロール30に接触する場合を、(B)はパワーローラ20の最大部分より小さい部分が各カウンターロール30に接触する場合をそれぞれ示す模式図である。図10は、パワーローラ20の最大部分より小さい部分が各カウンターロール30に接触する例を示すもので、(A)は1個のパワーローラ20を使用した場合を、(B)は2個のパワーローラ20を使用して実質的には一個のものとした場合をそれぞれ示す模式図である。図11は、パワーローラ20の両側に互いに平行な2つのディスク40を配置した場合を示すもので、(A)は1個のパワーローラ20を使用した場合を、(B)は2個のパワーローラ20を使用した場合をそれぞれ示す模式図である。
図12〜図15は、複数のパワーローラ20を採用した場合の例を(A)〜(C)の順で傾斜させた様子をそれぞれ示すもので、図12は各パワーローラ20をカウンターローラ30によって形成した円環内に当接させた例を、図13は同円環に斜め内側に当接させた例を、図14はディスク40に直交する位置に各パワーローラ20を当接させた例を、そして、図15は、各パワーローラ20をカウンターローラ30の上下両側から当接させた例をそれぞれ示している。
図16〜図23は、本発明の第1実施例に係る機械式無段変速機100を示すもので図16は同機械式無段変速機100の横断平面図であり、図17はカウンターローラ30を組付けたディスク40の正面図であり、図18は同ディスク40の縦断側面図であり、図19は、入力軸11と1個のパワーローラ20との連結関係を示す部分横断面図であり、図20は、入力軸11とパワーローラ20との連結関係を示すもので、図19中の2−2線に沿ってみた部分縦断面図であり、図21は、パワーローラ20の入力軸11に対する傾斜機構を示すもので、図19中の2−3線に沿ってみた横断面図である。
図22〜図25は1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、図22はディスク40に対してパワーローラ20を直交させた場合を、図23はパワーローラ20を30°傾斜させた場合を、図24はパワーローラ20をディスク40と平行にした場合を、図25はパワーローラ20を−15°傾斜させた場合をそれぞれ示すものである。
図26〜図28は、本発明の第2実施例に係る機械式無段変速機100を示すもので、図26は機械式無段変速機100の縦断正面図であり、図27は、図26の場合に対して直交する面でみた機械式無段変速機100の縦断正面図であり、図28は、図26中の4−4線に沿ってみた平面図である。
図29は、上記第2実施例に係る機械式無段変速機100についての、パワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を示すもので、(A)はパワーローラ20とディスク40とが直交した場合、(B)はパワーローラ20が−30°で傾斜した場合、(C)はパワーローラ20が30°で傾斜した場合をそれぞれ示したものである。図30は、上記第2実施例に係る機械式無段変速機100についての、パワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を示すもので、(A)はパワーローラ20が60°で傾斜した場合を、(B)はパワーローラ20が90°で傾斜した場合をそれぞれ示したものである。そして、図31は、パワーローラ20を縦軸方向の角度で傾斜させたときに得られる変速比を示すグラフである。
図32はHunt特許で使用されている図面であり、図33はフルトロイダルCVTを示す断面図であり、図34は、ハーフトロイダルCVTを示す断面図であり、図35は、従来のトロイダルCVTでは点接触であることを示す斜視図である。
符号の説明
100…機械式無段変速機、10…ケーシング、11…入力軸、12…出力軸、13…変速レバーまたはハンドル、14…ベアリング、15…傾斜軸、16…スリーブ、20…パワーローラ、21…ロール面、22…回転軸、23…開口、30…カウンターローラ、31…ロール面、32…回転軸、33…ベアリング、34…ベース、40…ディスク、50…板バネ、60…回転力伝達機構、61…中間軸、62…フリーベベルギア、63…固定ベベルギア、64…中心軸、70…傾斜機構、71…ベース、72…ベアリング、73…回動軸、74…ウオーム、75…ウオームホイール。
次に、上記のように構成した各請求項の発明を、図面に示した最良の形態である機械式無段変速機100について説明すると、図16〜図25には、本発明に係る機械式無段変速機100の第1実施例が、また図26〜図31には、同機械式無段変速機100の第2実施例が示してある。また、各発明は、これら最良の形態である機械式無段変速機100中に全て含まれているため、以下では、この最良形態の機械式無段変速機100を、第1実施例と第2実施例に分けて説明する。
(第1実施例)
図16には、本発明に係る機械式無段変速機100の横断平面図が示してあり、この機械式無段変速機100は、ケーシング10の図示右側に突出する入力軸11にて受けた回転力を無段変速しながら、ケーシング10の図示左側に突出する出力軸12に伝達するようにしているもので、その大部分の構成部材は1つのケーシング10内に組み込まれている。この第1実施例に係る機械式無段変速機100は、1つのパワーローラ20を、ディスク40に多数組付けたカウンターローラ30によって形成された円環内に嵌入されるタイプのものであり、前述の図1及び図2に示したものに該当するものである。
さて、ケーシング10に対しては、図16に示したように、1個で半球状のパワーローラ20が、その回転軸22を中心に回転され、かつ後述する回動軸73を中心に傾動されるように組付けてある。そして、このパワーローラ20の、入力軸11からの回転力による回転は、図16中に示した回転力伝達機構60によりなされるものであり、回転軸22の傾動は、変速レバーまたはハンドル13の操作を伝達する傾斜機構70によりなされるものである。
勿論、このパワーローラ20のロール面21は、球の部分表面と同じ形状のものであるが、このパワーローラ20の大径側は、図16にも示したように、回転力伝達機構60や傾斜機構70の部分が組み込めるようにするために、大きく開口させてある。またパワーローラ20内は空洞としてあって、この中に傾斜機構70を構成しているベース71が組み込んである。
パワーローラ20の回転を行う回転力伝達機構60は、図19及び図20にも示したように、入力軸11からの回転力が図示したベベルギアを介して伝達される中間軸61と、この中間軸61からの回転力を、傾斜機構70側の回動軸73を避けてパワーローラ20側の固定ベベルギア63に伝達するフリーベベルギア62と、固定ベベルギア63をパワーローラ20に固定的に連結する中心軸64とからなっている。勿論、中間軸61は、その両端に入力軸11側に固定してあるベベルギアに噛合するベベルギアと、フリーベベルギア62に噛合するベベルギアとをそれぞれ有していて、ディスク40や回動軸73の動きに干渉しないようにするために、図16に示したように、入力軸11の軸芯方向に対して所定各傾斜させてある。
このような回転力伝達機構60によれば、図16〜図21に示したように、入力軸11からの回転力はまずベベルギアを介して中間軸61に伝達され、この中間軸61の回転はベベルギアを介してフリーベベルギア62に介して伝達される。ここで重要なことは、このフリーベベルギア62は、パワーローラ20の傾動を行うことになる回動軸73をその中心に位置させて、この回動軸73に対して自由に回転できるようにしてあることである。これにより、後述する変速レバーまたはハンドル13の操作によるパワーローラ20の傾動とは全く無関係に、入力軸11側の回転力をパワーローラ20側の固定ベベルギア63に伝達できるのである。
回動軸73上を自由に回転し得るフリーベベルギア62には、固定ベベルギア63を介して中心軸64が連なっていて、この中心軸64やフリーベベルギア62はベアリング72を介して傾斜機構70側のベース71に対して回動自在になっている。
以上の結果、このパワーローラ20は、図19に示したように、後述する傾斜機構70による傾動作動とは全く独立し、入力軸11からの回転力により回転するものであり、当該パワーローラ20が、図22〜図25に示したような位置に傾動していても、入力軸11により安定的に回転駆動されることになるのである。
次に、パワーローラ20の傾動操作を行うための傾斜機構70であるが、この傾斜機構70は、図16〜図21に示したように、パワーローラ20内にベアリング72を介して収納したベース71と、このベース71に、図19及び図21に示したように橋架されて、前述した回転力伝達機構60を構成しているフリーベベルギア62の中心を貫通する回動軸73と、この回動軸73の一端に固定的に取付けたウオーム74と、このウオーム74に噛合して、図20に示したように、ケーシング10から突出している変速レバーまたはハンドル13のな内端に設けたウオームホイール75とを備えているものである。
このような傾斜機構70によれば、まず図20に示したように、変速レバーまたはハンドル13の回転調整によってウオーム74が回転され、これに噛合しているウオームホイール75は、ウオーム74の回転量及び方向に応じた回転をすることになる。ここで重要なことは、変速レバーまたはハンドル13側にウオーム74を、回動軸73側にウオームホイール75を設けるようにしたことである。何故なら、回動軸73側には、当該機械式無段変速機100を作動させたとき反力を受けることになるが、上述したようにすることによって、この反力によっては変速レバーまたはハンドル13側に力が加わらないようにでき、変速レバーまたはハンドル13の回転調整を安定的に行えるからである。
さて、変速レバーまたはハンドル13の回転調整に応じて回転したウオームホイール75は、図19に示したように、ベース71に橋架されている回動軸73と一体的であったから、この回動軸73の軸心を中心に、つまり図20にも中の断面で示してある回動軸73を中心にベース71の傾動がなされるのである。勿論、この傾斜機構70によって傾動されているパワーローラ20は、この傾斜機構70とは全く別系統の回転力伝達機構60によって回転駆動もされているものである。
このパワーローラ20の傾動状態は、図22〜図25を代表させて示してあるが、本機械式無段変速機100は無段変速を行うものであるから、これらの図22〜図25へは、連続して変化するものであることはいうまでもない。また、図22〜図25では、(A)としてウオームホイール75の概略平面図を示し、その状態におけるパワーローラ20と各カウンターローラ30との関係を、(B)の縦断側面図で示すようにしている。
上記のような回転と傾動を行うパワーローラ20が線接触しているカウンターローラ30であるが、本実施例の機械式無段変速機100では、このカウンターローラ30の多数を、図16〜図21に示したように、1つのディスク40に、円環状となるように組付けるようにしている。勿論、各カウンターローラ30のロール面31は、図17及び図18に示したように、球の外面に線接触し得るような凹状にしてあり、各端部は連続的に連なるように、一枚のディスク40に支持してある。このカウンターローラ30のディスク40への支持は、図1でも説明したように、回転軸32をベアリング33によって支持することにより、ディスク40に対して自由に回転できる状態にして行ってある。
ディスク40は、パワーローラ20の回転により各カウンターローラ30が受けた反力をまとめて出力軸12側に取り出すためのものであるから、図16に示したように、複数の脚41を介して出力軸12にスプライン結合させてある。このディスク40が出力軸12に対してスプライン結合させてあるのは、このディスク40は、回転力を出力軸12側に確実に伝達はするが、板バネ50からの付勢力によって図16の図示右方向、つまりパワーローラ20に対して弾発的に接触するようにするためである。
このため、この実施例1の機械式無段変速機100においては、ディスク40の各脚41と、ケーシング10に対して出力軸12を回転自在に支持しているベアリング14のインナーレースとの間に複数の板バネ50が組込んであるのである。つまり、これらの板バネ50は、多数のカウンターローラ30を組付けたディスク40を、ケーシング10に支持したパワーローラ20に対して弾発的に押し付けるように作用するものである。
(第2実施例)
図26〜図31には、本発明に係る機械式無段変速機100の第2実施例が示してあるが、この機械式無段変速機100の概略構成は、図11の(B)に示したものと類似するものである。そして、この第2実施例の機械式無段変速機100では、入力軸11からの回転力伝達と、変速レバーまたはハンドル13によるパワーローラ20の傾動とを、パワーローラ20内に組込んだ各部材によって行うようにして、全体をコンパクト化したものである。
すなわち、この第2実施例に係る機械式無段変速機100では、そのパワーローラ20を、図26及び図27に示したように、球の部分形状となるロール面21を有した二つの同一形状のものより構成するとともに、これら2つのパワーローラ20を中心となる回転軸22によって一体的に連結したものである。これにより、パワーローラ20は、球の上下のそれぞれ1/4程度ずづを切り落した形状で、球の中心を通る部分に、図27に示したような開口23が全周に存在する形状のものとなる。この開口23内には、図26にも示したように、図示右方から入力軸11が、また図示左方からは変速レバーまたはハンドル13によって回動される傾斜軸15が挿入されることになるのである。
パワーローラ20内に挿入された入力軸11の内端は、ベベルギアを介して内の内面側に噛合させてあるため、この入力軸11の回転力によって、当該パワーローラ20全体は回転軸22を中心に回転されることになる。つまり、このパワーローラ20は、入力軸11によって、図26に示した回転軸22を回転軸として、図示左右方向に回転することになるのである。勿論、このパワーローラ20には、図27に示したように、入力軸11が通過し得る開口23が全周に形成してあったから、パワーローラ20は、入力軸11や次に述べる傾斜軸15に干渉することなく回転するのである。
これに対して、入力軸11とは反対側からパワーローラ20内に挿入されている傾斜軸15の内端は、パワーローラ20側の回転軸22の外周に嵌合してあるスリーブ16に連結してある。このスリーブ16は、種々なベアリングを介してパワーローラ20内に組込むとともに、パワーローラ20側の回転軸22に対して自由に回転できるものとしてある。換言すれば、入力軸11によってパワーローラ20が回転されたとしても、このスリーブ16は回転しないものであり、その結果、傾斜軸15の内端の固定が行えるのである。
さて、このスリーブ16には傾斜軸15の内端が固定的に連結してあったから、変速レバーまたはハンドル13を所定方向に回動させれば、パワーローラ20は、図29及び図30に示したような種々な傾斜状態に連続的に変更できるのであり、かつその間は勿論、変更後においてもパワーローラ20の入力軸11による回転を阻外されることはないのである。
以上のようにして、パワーローラ20は、入力軸11による回転と変速レバーまたはハンドル13による傾斜がなされるのであるが、このパワーローラ20は、ケーシング10内に配置した多数のカウンターローラ30に接触しているため、パワーローラ20の回転力は、その傾斜状態に応じた変速がなされるから、各カウンターローラ30を支持しているディスク40に伝達される。このディスク40には、図26等に示したように出力軸12が連結してあるから、結果として、入力軸11の回転は変速されてこの出力軸12から出力されるのである。
この第2実施例では、図26に示したように、ケーシング10とディスク40との間に複数の板バネ50が介装してあるから、これらの板バネ50の付勢力によって、ディスク40はパワーローラ20側に向けて常に押圧されているものである。
また、ディスク40に組付けた多数のカウンターローラ30は、図28に示したように、その各ロール面31の内端によって円環状のものに形成されているから、パワーローラ20がどのような状態に傾斜したとしても、パワーローラ20のロール面21と各カウンターローラ30のロール面31とが線接触することになることは、前述した通りである。さらに、パワーローラ20は、各カウンターローラ30によって形成された円環状のロール面に常に当接していなければならないから、パワーローラ20の各カウンターローラ30による円環に対する大きさは、図28に示したように、前述の図11の(B)に示した関係になるものである。
この第2実施例に係る機械式無段変速機100による変速の状況は、図31に示したグラフの通りである。このグラフでは、横軸にパワーローラ20の傾斜角度をとり、横軸に変速比をとっている。なお、マイナスは、入力軸11の回転方向とは反対側への回転をすることを意味している。
以上詳述した通り、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーローラ20のロール面21と、複数のカウンターローラ30のロール面31とを線接触させて変速を行うことができるのであり、その結果、入力軸11側からの回転力を効率よく出力軸12側に伝えることができ、エネルギーロスを抑えることができるのである。
また、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは線接触するのであるから、両者を大きく押圧しなくても動力伝達が行えるのである。その結果、発熱を抑えるためのオイルの供給を行わなくてもよくなり、仮に供給したとしてもそのオイル圧力を高くする必要はない。
さらに、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーローラ20の傾斜角度を変えるだけで、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものである。
従って、本発明の機械式無段変速機100は、これを工作機械や自動車の構成部品としたときには、逆転(リバース)も含む無段変速ができるだけでなく、その作動のためのエネルギーロスを極力抑えることができて、産業上非常に有用なものとなるのである。
【0003】
ーラの角度変更は、円滑に行えることになる。その反面、各接触点O、O’に引いた2本の接線が互いに平行となるから、各接触点O、O’でのスピンが大きくなるものである。
これに対して、図34に示したハーフトロイダルCVTでは、各接触点O、O’からの2本の接線が平行ではなくて、交点Eを有している。この交点Eが回転軸I上にあるとき、各接触点O、O’でのスピンはなくなり、効率のよいCVTとなるのである。
いずれにしても、トロイダルCVTでは、強い押圧力によって互いに押し付けられた状態の金属同士が、図35中の黒く塗りつぶした部分のような点に近い接触部分で接触することになる。(田中裕久著;トロイダルCVT、2000年7月コロナ社発行)このような点に近い小さな接触部分で金属同士が接触し合えば、当然摩擦熱が発生することになる。
この摩擦熱を放置しておけば、金属同士が焼き付いてしまうので、その接触部分にオイルを介在させなければならない。しかも、トロイダルCVTでは、両金属(ディスクまたはローラ)間を非常に強い押圧力で押しつけなければならないから、介在させるべきオイルの圧力も相当高くなければならない。そうなると、この種のトロイダルCVTを自動車に適用する場合、エンジンの力を利用してオイル圧を高めなければならないから、結果的に所謂「燃費」が悪くなることになる。
また、従来のCVTでは、「逆転」させる場合の変速は全く行うことができないものであり、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機の開発が待たれているところである。
そこで、本発明者は、近年のトロイダルCVT、つまり無段変速機における上記実状を改善するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、
【0004】
従来のトロイダルCVTを自動車に適用した場合の燃費の増大は、金属同士が点接触する構造に最大の原因があることに気付き、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、この種の機械的無段変速機における金属製構成部材について、従来の「点接触」から「線接触」が行えるようにすることである。また、本発明の他の目的とするところは、線接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、その結果、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができて、例えば自動車に適用した場合にはその燃費を少なくすることにある。
発明の開示
以上の目的を達成するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えた機械的無段変速機100であって、
各カウンターロール30の表面に、その回転中心軸を通る面で切断したとき円弧を形成するロール面31を形成するとともに、これら複数のカウンターロール30を、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に互いに隣接し合った状態で回転自在に組み付けることにより、各ロール面31の各円弧が略連続した1つの円を形成するようにし、
パワーロール20の表面に球面状のロール面21を形成して、このロール面21を、各カウンターロール30の前記円弧が作る円を含む面で切ったときに表面に現れる線が、上記各ロール面31の円弧と同じ円弧となるようにすることにより、当該パワーロール20が各カウンターロール30に線接触するようにし、かつ、ディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機100」
である。
すなわち、本発明の機械式無段変速機100は、例えば図1及び図2に示すように、入力軸11からの回転力により回転されるパワーローラ20のロール面2
【0005】
1を、ディスク40に円環状に配列して組付けた複数のカウンターローラ30の各ロール面31に「線接触」させるようにしたものである。そのために、本発明の機械式無段変速機100では、まず入力軸11により回転されるパワーローラ20のロール面21の表面形状については、「球」を例えば2つの平行な面で切断したときにできる表面形状と略同じになるようにしてあり、これに対して、各カウンターローラ30のロール面31の表面形状については、図3に示すように、パワーローラ20側のロール面21の形状に対応する凹状としたものである。つまり、各カウンターローラ30のロール面31は、その中心軸で切断したときに、完全な「円弧」として現れるものである。
従って、各カウンターローラ30のロール面31の、回転軸32の中心で切ったときに現れる線は、これら複数のカウンターローラ30を円環状に配列したときに、それぞれ互いにつらなって、ほぼ完全な「円」を形成するものである。この円には、ニュートラル時の1つまたは複数のパワーローラ20のロール面21が円として線接触し、またパワーローラ20が傾斜された場合にも、この円の円弧部分に線接触することになる。勿論、各カウンターローラ30は、その回転軸32によってディスク40に回転自在に組付けたものであり、駆動側のパワーローラ20に対して「転がり接触」することになるものである。
ここで、パワーローラ20側のロール面21が形成する円と複数のカウンターローラ30を連ねたことによって円環を構成する各ロール面31が形成する円との直径の関係をみてみると、次の通りである。
まず、パワーローラ20側のロール面21についてであるが、図1及び図2に示した例の場合、図3に示すように、球の中心Oを通る円Cを最大部分として有し、このCより直径の小さい円を最小部分とするものである。なお、このパワーローラ20側のロール面21が形成する円の最大部分は、必ずしも図3に示した円Cである必要はなく、また最小円にあっては半径が0(ゼロ)であってもよい。
本発明は、入力軸側からの回転と力(回転トルク)を、出力軸側へ無段的に伝えるようにした無段変速機に関し、特に空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機に関するものである。
例えば、自動車のエンジンが作り出した変速的な回転トルクを、さらに変速して車輪側への出力軸に伝達する装置としては、大きく分けて流体の介在する流体変速機と、遊星歯車等を使用した機械的な変速機とがある。この機械的変速機は、歯車等を使用して段階的に回転数を伝えるものと、無段のものとに分けられる。
そして、この機械的無段変速機については、IPCのF16H(伝動装置)15/00に、「回転部材間の摩擦による可変変速比をもった回転伝達用または逆転用伝動装置」も分類されていて、「摩擦」を利用した機械的無段変速機も存在している。勿論、このIPCのF16H 15/00は、さらに細かく分類されていることから、この種の摩擦を利用した機械的無段変速機は種々な提案がなされていることが分る。
近年の機械的無段変速機としては、特にトラクション(traction)ドライブ式のものであって、トロイダル(toroidal)CVT(Continuously Variable Transmission)が脚光を浴びてきている。このトロイダルCVTは、Charies W. Huntが米国特許第197472号で初めて提案したものであるが、次のような基本的特徴を有したものであった。
このHunt特許の内容は、図32に示すように、互いに対向するディスクB、D(これらのディスクの内面がトロイダル、つまりドーナツ状になっているのである)に摺動するホイールE(以下ではパワーロールとも言う)を配置し、このホイールEの角度を変えることにより、ディスクB側に対するホイールEの摺接半径と、ディスクDに対するホイールEの摺接半径とを相対的に変えるようにしたことである。これにより、ディスクBの回転トルクがディスクDに伝えられるに際して、両ディスクB、D間の回転数が変えられるのである。
以上のように、このHunt特許に係るトロイダルCVTは、両ディスクB、Dの内表面の全体形状はドーナツのような円環状、つまりトロイダルなものであり、その後、このHunt特許のような形式を有する機械的無段変速機は、トロイダルCVTと呼ばれるようになったのである。
Hunt特許に係るトロイダルCVTは、図32に示したような基本構造を有していることから、非常にシンプルであり、工業的利用に大きな期待が寄せられた。特に、自動車の出現に対応してこれへの適用が1920年代になされ、種々な試作や販売そのものもなされたが、何故か大量な実用化はされなかった。
その後も種々な改良がなされてきたが、最近のトロイダルCVTは、図33に示した「フルトロイダル」と、図34に示した「ハーフトロイダル」に大きく形式が分かれるようになってきている。
フルトロイダルCVTの特徴は、基本的にはHunt特許と同じであり、図33に示したように、パワーローラ(図32ではホイールEに該当するもの)の中心(入出力両ディスクとの接点O、O’を結ぶ直線の中心)が、両ディスク内面が作るトロイダルキャビティの中心を通ることである。これにより、入出力両ディスク間での動力伝達を行うために、掛けられた両ディスク間での押圧力は、相対的にパワーローラを回動させるための支持軸上には作用しないから、パワーローラの角度変更は、円滑に行えることになる。その反面、各接触点O、O’に引いた2本の接線が互いに平行となるから、各接触点O、O’でのスピンが大きくなるものである。
これに対して、図34に示したハーフトロイダルCVTでは、各接触点O、O’からの2本の接線が平行ではなくて、交点Eを有している。この交点Eが回転軸I上にあるとき、各接触点O、O’でのスピンはなくなり、効率のよいCVTとなるのである。
いずれにしても、トロイダルCVTでは、強い押圧力によって互いに押し付けられた状態の金属同士が、図35中の黒く塗りつぶした部分のような点に近い接触部分で接触することになる。(田中裕久著;トロイダルCVT、2000年7月コロナ社発行)このような点に近い小さな接触部分で金属同士が接触し合えば、当然摩擦熱が発生することになる。
この摩擦熱を放置しておけば、金属同士が焼き付いてしまうので、その接触部分にオイルを介在させなければならない。しかも、トロイダルCVTでは、両金属(ディスクまたはローラ)間を非常に強い押圧力で押しつけなければならないから、介在させるべきオイルの圧力も相当高くなければならない。そうなると、この種のトロイダルCVTを自動車に適用する場合、エンジンの力を利用してオイル圧を高めなければならないから、結果的に所謂「燃費」が悪くなることになる。
また、従来のCVTでは、「逆転」させる場合の変速は全く行うことができないものであり、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機の開発が待たれているところである。
そこで、本発明者は、近年のトロイダルCVT、つまり無段変速機における上記実状を改善するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、従来のトロイダルCVTを自動車に適用した場合の燃費の増大は、金属同士が点接触する構造に最大の原因があることに気付き、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、この種の機械的無段変速機における金属製構成部材について、従来の「点接触」から「線接触」が行えるようにすることである。また、本発明の他の目的とするところは、線接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、その結果、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができて、例えば自動車に適用した場合にはその燃費を少なくすることにある。
以上の目的を達成するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えた
機械的無段変速機100であって、
各カウンターロール30の表面に、その回転中心軸を通る面で切断したとき円弧を形成するロール面31を形成するとともに、これら複数のカウンターロール30を、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に互いに隣接し合った状態で回転自在に組み付けることにより、各ロール面31の各円弧が略連続した1つの円を形成するようにし、
パワーロール20の表面に球面状のロール面21を形成して、このロール面21を、各カウンターロール30の前記円弧が作る円を含む面で切ったときに表面に現れる線が、上記各ロール面31の円弧と同じ円弧となるようにすることにより、当該パワーロール20が各カウンターロール30に線接触するようにし、
かつ、ディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機100」
である。
すなわち、本発明の機械式無段変速機100は、例えば図1及び図2に示すように、入力軸11からの回転力により回転されるパワーローラ20のロール面21を、ディスク40に円環状に配列して組付けた複数のカウンターローラ30の各ロール面31に「線接触」させるようにしたものである。そのために、本発明の機械式無段変速機100では、まず入力軸11により回転されるパワーローラ20のロール面21の表面形状については、「球」を例えば2つの平行な面で切断したときにできる表面形状と略同じになるようにしてあり、これに対して、各カウンターローラ30のロール面31の表面形状については、図3に示すように、パワーローラ20側のロール面21の形状に対応する凹状としたものである。つまり、各カウンターローラ30のロール面31は、その中心軸で切断したときに、完全な「円弧」として現れるものである。
従って、各カウンターローラ30のロール面31の、回転軸32の中心で切ったときに現れる線は、これら複数のカウンターローラ30を円環状に配列したときに、それぞれ互いにつらなって、ほぼ完全な「円」を形成するものである。この円には、ニュートラル時の1つまたは複数のパワーローラ20のロール面21が円として線接触し、またパワーローラ20が傾斜された場合にも、この円の円弧部分に線接触することになる。勿論、各カウンターローラ30は、その回転軸32によってディスク40に回転自在に組付けたものであり、駆動側のパワーローラ20に対して「転がり接触」することになるものである。
ここで、パワーローラ20側のロール面21が形成する円と複数のカウンターローラ30を連ねたことによって円環を構成する各ロール面31が形成する円との直径の関係をみてみると、次の通りである。
まず、パワーローラ20側のロール面21についてであるが、図1及び図2に示した例の場合、図3に示すように、球の中心Oを通る円Cを最大部分として有し、このCより直径の小さい円を最小部分とするものである。なお、このパワーローラ20側のロール面21が形成する円の最大部分は、必ずしも図3に示した円Cである必要はなく、また最小円にあっては半径が0(ゼロ)であってもよい。
また、このパワーローラ20は、例えば図10の(A)にも示すように、各カウンターローラ30によって形成されてた円環内に嵌合されることもあって抜け止めがなされなければならないから、各カウンターローラ30による円環の内径はこのパワーローラ20の外径より小さくなければならない。このことは、パワーローラ20を1個だけ使用する場合も、複数使用する場合も言えることである。
さて、この機械式無段変速機100を構成しているパワーローラ20は、そのロール面21を各カウンターローラ30に接触させたままの状態を維持しながら、その回転軸22の軸心方向をディスク40が形成している平面に対して傾斜させなければならない。そのためには、回転軸22に変速レバーまたはハンドル13を連結するとともに、後述する最良の形態が採用しているベベル歯車列等を利用して、この回転軸22と入力軸11とを接続するようにするのである。勿論、このパワーローラ20のロール面21と各カウンターローラ30のロール面31とは互いに圧接状態を維持するようになければならないから、各パワーローラ20やディスク40等の位置をケーシング10によって維持する他、例えば図4の(B)に示すような板バネ50を利用するようにするものである。
これに対して、各カウンターローラ30については、その回転軸32の方向を変える必要は全くないが、その各ロール面31のディスク40に対する同一位置によって、円弧状であるパワーローラ20側のロール面21が滑らかに当接する円環状の接触面を形成しなければならない。各カウンターローラ30は、そのロール面31が完全円の内の部分円しか形成できないから、その複数を、図1及び図2に示すようにディスク40に回転自在となるように組付けなければならない。各カウンターローラ30を、図1に示したように、ディスク40に完全に組付けてしまえば、各カウンターローラ30のロール面31によって、その内側中心に略連続した円環面が形成できるのである。
以上のようにパワーローラ20や複数のカウンターローラ30を組み合わせることによって、入力軸11からの回転を、ディスク40に設けられた出力軸12に対し、以下のようにして変速しながら伝えることができる。
まず、図5には、所謂「ニュートラル状態」が示してある。つまり、この場合は、図5の(B)にも示すように、パワーローラ20のロール面21は各カウンターローラ30が形成してる円環面と同一位置にあるため、図5の(A)に示すように、パワーローラ20のロール面21は、その図示上下の各面において、それぞれ3個のカウンターローラ30に当接している。このニュートラルの場合、3個のカウンターローラ30の中央のものは、パワーローラ20の回転軸22に直交する中心線と中心を同一にしているものであり、図示上方の例でみてみると、左右の各カウンターローラ30はパワーローラ20の中心線に対して線対称位置にある。
ここで、図5中の矢印にて示した方向にパワーローラ20が回転されると、これに接触している各カウンターローラ30は、ディスク40に回転自在に軸支されていること、及びパワーローラ20との転がり接触していることとによって回転することになる。このとき重要なことは、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは常に「線接触」した状態にあることであるが、それは、パワーローラ20のロール面21が球表面の一部と同じ形状にしてあって、かつこれに対応した凹状のロール面31がカウンターローラ30に形成してあるからである。
この回転している1つのパワーローラ20については、図5の(A)にて示したように、図示上下それぞれにおいて各3個のカウンターローラ30に接触していて、これを単に回転させているだけである。従って、この場合(具体的にはディスク40が作る平面に対して、パワーローラ20側の回転軸22が直交している場合)には、ディスク40に回転させるための力が加えられることはないため、ディスク40、従って出力軸12は回転することはない。
次に、入力軸11からの回転力を出力軸12側に変速して伝達していく場合を考えるために、パワーローラ20の回転軸22を、図6の(B)に示す状態、つまりディスク40が形成する平面に対して左に30°まで傾斜させる状態を想定してみる。回転軸22、つまりパワーローラ20を傾斜させていくと、そのロール面21は、今まで接触していたカウンターローラ30に隣接している別のカウンターローラ30に次々と移動しながら線接触を続けていく。何故なら、パワーローラ20のロール面21は球面の一部であって、各カウンターローラ30のロール面31もロール面21の球面に対応する凹状面であったし、各カウンターローラ30は円環状となるようにディスク40に組付けてあって、その各ロール面31は略連続したものとなっていたからである。パワーローラ20がディスク40に対して30°まで回転される間も、当該機械式無段変速機100は変速を行っているのであるが、その様子は次の30°まで回転されたときの状態をもとに説明することとする。
入力軸11によって回転されているパワーローラ20がディスク40に対して、図6の(B)に示すような30°の位置まで傾斜されると、このパワーローラ20のロール面21は、各カウンターローラ30のロール面31に線接触したままの状態にあるから、図6の(A)中に示した小さい矢印方向に各カウンターローラ30を動かそうとする。つまり、パワーローラ20に接触している1個のカウンターローラ30についてみてみると、このカウンターローラ30のロール面31には、パワーローラ20側のロール面21が30°の傾斜で転がり摩擦力が加わっているから、その内の一部は当該カウンターローラ30の回転軸32を中心とした回転力に使われ、残りは図6の(A)中に示した小さい矢印に示した方向への回転力に使われることになる。
パワーローラ20が当接する各カウンターローラ30に点線矢印にて示した方向の力が加わることによって、結果的にディスク40は回転されることになるが、この30°傾斜の場合、パワーローラ20の回転数に対してディスク40はその半分となるのであり、結果としてこのディスク40に接続されている出力軸12は変速回転されることになるのである。勿論、この30°傾斜に至るまでの間の変速は順次連続的になされるのである。
このパワーローラ20の傾斜をさらに大きくして、図7の(B)に示すように、90°まで傾斜されたときには、パワーローラ20の回転力の全ては各カウンターローラ30を図7の(A)中の外側矢印で示した方向への回転力に使われることになり、各カウンターローラ30はディスク40に対しては回転しない。つまり、パワーローラ20の回転数とディスク40の回転数は同じになるのであり、この90°傾斜の場合は変速されないことになる。
勿論、前述した30°傾斜からこの90°傾斜に至るまでの間も、各カウンターローラ30の回転軸32を中心とする回転量は順次小さくなっていくのであり、かつディスク40の回転量は順次大きくなっていくのである。この結果、当該機械式無段変速機100による変速は、パワーローラ20の傾斜量に応じて順次連続的になされるのであり、「無段変速」となるのである。
そして、本発明で重要なことは、図8に示すように、パワーローラ20を、図6の(B)に示した傾斜とは反対側への傾斜をさせた場合には、「逆転」も加わった変速がなされることである。つまり、本発明に係る機械式無段変速機100では、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
以上の説明においては、各パワーローラ20及びカウンターローラ30が金属を材料として形成した場合を想定していたが、これらのパワーローラ20及びカウンターローラ30は、少なくとものそのロール面21・31を合成樹脂やセラミックスを材料として形成して実施してもよいことは当然である。
従って、この請求項1の機械式無段変速機100は、各パワーローラ20とカウンターローラ30とを常に線接触させながら無段変速が行えるのであり、線接触であることからヘルツ(Helz)接触に基づくロール面21・31の変形を極力抑えることができて、各パワーローラ20とカウンターローラ30とを金属材料によって形成したとしても発熱量が抑えられるのであり、ニュートラルから正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
次に、請求項2に係る機械式無段変速機100であるが、これは、上記請求項1の機械式無段変速機100について、
「パワーロール20を1個だけにし、このパワーロール20のロール面21の球直径が、各カウンターロール30によって内側に形成される円環面の直径より大となるようにして、このパワーロール20をディスク40側に押圧するようにしたこと」
である。
すなわち、この請求項2に係る機械式無段変速機100では、1個だけのパワーローラ20について、図9の(B)、図10、及び図11に例示しているように、そのロール面21の最大直径部分(換言すれば、当該ロール面21を形成している球の直径)が各カウンターローラ30によって形成される内側円環面の直径より大きくして、例えば図9の(B)に示したように、各カウンターローラ30を組付けたディスク40側に当該パワーローラ20を押圧させたときに、ディスク40の反対側へ抜けてしまわないようにしたものである。このため、当該パワーローラ20のディスク40側への押圧ができて、パワーローラ20と各カウンターローラ30との線接触を確実にすることは勿論、その押圧状態のまま、パワーローラ20を傾斜させ得るのである。なお、図9の(A)に示したものは、前述した図7の(B)のものと同じであり、図9の(B)に示しているものとの比較のために記載したものである。
図10の(A)及び図11の(A)に示した機械式無段変速機100は、図34に示した「ハーフトロイダル」形式のものに対応するもので、パワーローラ20中にロール面21の形状を規定している球の中心がないものであり、これに対して図10の(B)及び図11の(B)に示した機械式無段変速機100は、見かけ上2つのパワーローラ20を有してはいるが実質上1つのものとなっている場合であるが、これらのパワーローラ20中に球の中心を有するものである。また、パワーローラ20のディスク40側への押圧は種々な方法が採用できるが、その具体例は、後述する請求項4または請求項5に係る機械式無段変速機100について説明する。
従って、この請求項2の機械式無段変速機100は、請求項1のそれと同様な機能を発揮することは当然として、1つのパワーローラ20をディスク40に対して押圧するようにしているから、確実な変速作動が行えて、全体構成をコンパクト化できるのである。
請求項3の機械式無段変速機100は、上記請求項1または請求項2の機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30をそれぞれ組付けた一対のディスク40を互いに平行となるように組み付けるとともに、これら一対のディスク40・40間に1つのパワーロール20を配置して、両ディスク40・40を互いに押圧するようにしたこと」
である。
すなわち、この請求項3の機械式無段変速機100は、図11に示すように、1つ、または実質上1つのパワーローラ20の両側に、それぞれ複数のカウンターローラ30を円環状に組付けた2つのディスク40を互いに平行となるように組み付けたものである。
ディスク40が2つでこれらによりパワーローラ20を挟み込めば、それぞれの部材の組付けが簡単になり、例えば両ディスク40間に力を加えるようにすることによりパワーローラ20の押圧が済むことになるから、押圧のためにパワーローラ20やディスク40をケーシング10に支持させる必要がなくなるのである。
なお、以上では、入力軸11からの回転力を伝えるためのパワーローラ20は1個であったが、このパワーローラ20はこれを複数にすることも場合によっては可能であり、パワーロール20として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール20〜20を入力軸11側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにしてもよいものである。
複数として2個の場合を挙げてみると、図12〜図15に示すような例が考えられる。図12に示したものは、図1に示した1個のパワーローラ20を2個に分割して、これらを同一方向に同時に回転させ得るようにするために別のケーシング等で一体化するようにしたものである。図13に示した機械式無段変速機100では、2つのパワーローラ20を斜め内側から当接するようにしたものであり、図14では全くの側面に、また図15の機械式無段変速機100では2つのパワーローラ20を外側面に当接させるようにしたものである。
の機械式無段変速機100では、パワーローラ20を複数のものに分割するのであるから、ディスク40内あるいはその近傍にいろんな部品の組付け空間を確保でき、しかも各パワーローラ20のカウンターローラ30に対する当接方向を種々変更できるというメリットがあり、機械式無段変速機100全体を製造のための組み付けを行い易くするものである。
以上のようにパワーローラ20を複数に分割すれば、ディスク40のあらゆる方向からこのパワーローラ20の当接を、小さなケーシング10内に可能になるが、その場合には、ディスク40からの各カウンターローラ30の露出方向を変更してやらなければならない。つまり、前述した機械式無段変速機100について、ディスク40からの各カウンターロール30の露出方向を変えることにより、各パワーロール20の各カウンターロール30に対する当接位置を任意にし得るようにしてもよいものである。
この機械式無段変速機100は、複数に分割したパワーローラ20の当接位置を任意に決定し得るものとなっているのである。
さて、前述したように、パワーローラ20と、複数のカウンターローラ30を組み付けたディスク40とが互いに押圧するようにして、パワーローラ20のロール面21が各カウンターローラ30のロール面31に常に線接触するようにしなければならない。そのための手段としては、押圧力を流体圧により発生させたり、カムを利用した機械的構成により発生させるようにしてもよいが、後述する最良形態では、請求項4または請求項5に係る機械式無段変速機100のようにすることもできる。
すなわち、請求項4に係る機械式無段変速機100は、上記請求項1〜請求項3のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、各カウンターロール30の支持軸31とこれを支持しているディスク40との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
例えば、図1に示した機械式無段変速機100の場合、複数のカウンターローラ30によって形成された円環内の中央に1個ののパワーローラ20を配置するものであるから、このパワーローラ20の周囲に位置する各カウンターローラ30がパワーローラ20に向けて常に付勢されていれば、パワーローラ20のディスク40に対する押圧ができることになる。各カウンターローラ30はその回転軸32によってディスク40に支持されているから、これをパワーローラ20側に付勢するには、図4に示すように、ディスク40と各回転軸32との間に板バネ50があればよい。
この板バネ50としては、図4の(B)に示すような、ベルビルスプリング(bellville spring)であってもよいし、波形状となった皿バネであってもよいものである。いずれにしても、この板バネ50は、その板の厚さ方向への付勢力を発生させるもので、非常に狭い空間内にも組み込めるものであり、通常は複数枚重ねて使用される。
つまり、各カウンターローラ30とディスク40との間にはそれ程自由になる空間がないのであるから、付勢力を付与するスプリングとしては「板バネ」が最も効果的となるのである。もともと、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは互いに密接し合った状態に設計されるのであるから、押圧のための空間は小さくてもよい。そのような条件の中で、各ディスク40がパワーローラ20に押圧するようにするには、板バネ50が最も効果的なのである。
他の押圧の方法としては、図16〜図25に示した第1実施例におけるようなものがあり、これが請求項5に係る発明である。
すなわち、請求項5の機械式無段変速機100が採った手段は、上記請求項1〜請求項4のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、ディスク40とこれを支持しているケーシング11との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
この請求項5の機械式無段変速機100は、図16に示すように、入力軸11に連結されるべきパワーローラ20はケーシング10に対して完全に組付けておくものであるが、つまりパワーローラ20のロール面21を規定している球の中心が全く動かないように組付けておくのである。このようなパワーローラ20に対して、各カウンターローラ30の方が押圧されれば、パワーローラ20とカウンターローラ30との密接は十分行えるから、カウンターローラ30側、つまりこれらを支持しているディスク40側をパワーローラ20に向けて付勢するようにすればよいことになる。
図16に示した例では、出力軸12がケーシング10に対して回転自在ではあるが図示左右方向には移動しないように、ベアリングを使用して抜け止めしてある。この出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してある。つまり、ディスク40は、出力軸12の内端部に対してその軸方向への移動は行えるが、出力軸12に対して回転不能に組付けてある。
そして、この図16に示した機械式無段変速機100では、ケーシング10に組込んだベアリングのインナーレースの内端面とディスク40のアームの外端面との間に板バネ50が複数組付けてある。これらの板バネ50は、図示左右方向に湾曲しているものであり、これにより、ディスク40をパワーローラ20側に僅かではあるが付勢することになるものである。
従って、この請求項5の機械式無段変速機100は、板バネ50という全く小さな部品によって、複数のカウンターローラ30を組み込んだディスク40を、位置を固定的にしたパワーローラ20に対して付勢することができるのであり、パワーローラ20と各カウンターローラ30との線接触を安定した状態に維持するのである。
さて、図16に示した機械式無段変速機100は、出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してあった。つまり、このアームを板バネ50の付勢方向とは逆方向に移動させる手段があれば、パワーローラ20と各カウンターローラ30との接触を解除することができて、トルク伝達が行われないようすること、つまり「クラッチ操作」ができることになる。このようなクラッチ操作を行えるようにしたのが請求項6に係る機械式無段変速機100である。
すなわち、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の機械式無段変速機100について、
「パワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動可能とし、これらのパワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動させることにより、パワーロール20と各カウンターロール30との間の押圧による摩擦接触を解除して、両者間の力の伝達をなくすクラッチ機能を備えたものとしたこと」
である。
本発明は、機械的無段変速機において、従来の「点接触」から「線接触」が行えるようにすることを目的としてなされたものであり、線接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができる機械的無段変速機100とするために、入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20のロール面21形状を、球の部分形状となるようにするとともに、この球の部分形状に対応する凹状ロール面31がそれぞれ表面に形成されて、パワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転され、出力軸12につながる複数のカウンターロール30を、互いに隣接し合う各凹状ロール面31が円環状に略連続するようにしながら、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に回転自在に組付けるとともに、このディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るものである。
次に、上記のように構成した各請求項の発明を、図面に示した最良の形態である機械式無段変速機100について説明すると、図16〜図25には、本発明に係る機械式無段変速機100の第1実施例が、また図26〜図31には、同機械式無段変速機100の第2実施例が示してある。また、各発明は、これら最良の形態である機械式無段変速機100中に全て含まれているため、以下では、この最良形態の機械式無段変速機100を、第1実施例と第2実施例に分けて説明する。
(第1実施例)
図16には、本発明に係る機械式無段変速機100の横断平面図が示してあり、この機械式無段変速機100は、ケーシング10の図示右側に突出する入力軸11にて受けた回転力を無段変速しながら、ケーシング10の図示左側に突出する出力軸12に伝達するようにしているもので、その大部分の構成部材は1つのケーシング10内に組み込まれている。この第1実施例に係る機械式無段変速機100は、1つのパワーローラ20を、ディスク40に多数組付けたカウンターローラ30によって形成された円環内に嵌入されるタイプのものであり、前述の図1及び図2に示したものに該当するものである。
さて、ケーシング10に対しては、図16に示したように、1個で半球状のパワーローラ20が、その回転軸22を中心に回転され、かつ後述する回動軸73を中心に傾動されるように組付けてある。そして、このパワーローラ20の、入力軸11からの回転力による回転は、図16中に示した回転力伝達機構60によりなされるものであり、回転軸22の傾動は、変速レバーまたはハンドル13の操作を伝達する傾斜機構70によりなされるものである。
勿論、このパワーローラ20のロール面21は、球の部分表面と同じ形状のものであるが、このパワーローラ20の大径側は、図16にも示したように、回転力伝達機構60や傾斜機構70の部分が組み込めるようにするために、大きく開口させてある。またパワーローラ20内は空洞としてあって、この中に傾斜機構70を構成しているベース71が組み込んである。
パワーローラ20の回転を行う回転力伝達機構60は、図19及び図20にも示したように、入力軸11からの回転力が図示したベベルギアを介して伝達される中間軸61と、この中間軸61からの回転力を、傾斜機構70側の回動軸73を避けてパワーローラ20側の固定ベベルギア63に伝達するフリーベベルギア62と、固定ベベルギア63をパワーローラ20に固定的に連結する中心軸64とからなっている。勿論、中間軸61は、その両端に入力軸11側に固定してあるベベルギアに噛合するベベルギアと、フリーベベルギア62に噛合するベベルギアとをそれぞれ有していて、ディスク40や回動軸73の動きに干渉しないようにするために、図16に示したように、入力軸11の軸芯方向に対して所定各傾斜させてある。
このような回転力伝達機構60によれば、図16〜図21に示したように、入力軸11からの回転力はまずベベルギアを介して中間軸61に伝達され、この中間軸61の回転はベベルギアを介してフリーベベルギア62に介して伝達される。ここで重要なことは、このフリーベベルギア62は、パワーローラ20の傾動を行うことになる回動軸73をその中心に位置させて、この回動軸73に対して自由に回転できるようにしてあることである。これにより、後述する変速レバーまたはハンドル13の操作によるパワーローラ20の傾動とは全く無関係に、入力軸11側の回転力をパワーローラ20側の固定ベベルギア63に伝達できるのである。
回動軸73上を自由に回転し得るフリーベベルギア62には、固定ベベルギア63を介して中心軸64が連なっていて、この中心軸64やフリーベベルギア62はベアリング72を介して傾斜機構70側のベース71に対して回動自在になっている。
以上の結果、このパワーローラ20は、図19に示したように、後述する傾斜機構70による傾動作動とは全く独立し、入力軸11からの回転力により回転するものであり、当該パワーローラ20が、図22〜図25に示したような位置に傾動していても、入力軸11により安定的に回転駆動されることになるのである。
次に、パワーローラ20の傾動操作を行うための傾斜機構70であるが、この傾斜機構70は、図16〜図21に示したように、パワーローラ20内にベアリング72を介して収納したベース71と、このベース71に、図19及び図21に示したように橋架されて、前述した回転力伝達機構60を構成しているフリーベベルギア62の中心を貫通する回動軸73と、この回動軸73の一端に固定的に取付けたウオーム74と、このウオーム74に噛合して、図20に示したように、ケーシング10から突出している変速レバーまたはハンドル13のな内端に設けたウオームホイール75とを備えているものである。
このような傾斜機構70によれば、まず図20に示したように、変速レバーまたはハンドル13の回転調整によってウオーム74が回転され、これに噛合しているウオームホイール75は、ウオーム74の回転量及び方向に応じた回転をすることになる。ここで重要なことは、変速レバーまたはハンドル13側にウオーム74を、回動軸73側にウオームホイール75を設けるようにしたことである。何故なら、回動軸73側には、当該機械式無段変速機100を作動させたとき反力を受けることになるが、上述したようにすることによって、この反力によっては変速レバーまたはハンドル13側に力が加わらないようにでき、変速レバーまたはハンドル13の回転調整を安定的に行えるからである。
さて、変速レバーまたはハンドル13の回転調整に応じて回転したウオームホイール75は、図19に示したように、ベース71に橋架されている回動軸73と一体的であったから、この回動軸73の軸心を中心に、つまり図20にも中の断面で示してある回動軸73を中心にベース71の傾動がなされるのである。勿論、この傾斜機構70によって傾動されているパワーローラ20は、この傾斜機構70とは全く別系統の回転力伝達機構60によって回転駆動もされているものである。
このパワーローラ20の傾動状態は、図22〜図25を代表させて示してあるが、本機械式無段変速機100は無段変速を行うものであるから、これらの図22〜図25へは、連続して変化するものであることはいうまでもない。また、図22〜図25では、(A)としてウオームホイール75の概略平面図を示し、その状態におけるパワーローラ20と各カウンターローラ30との関係を、(B)の縦断側面図で示すようにしている。
上記のような回転と傾動を行うパワーローラ20が線接触しているカウンターローラ30であるが、本実施例の機械式無段変速機100では、このカウンターローラ30の多数を、図16〜図21に示したように、1つのディスク40に、円環状となるように組付けるようにしている。勿論、各カウンターローラ30のロール面31は、図17及び図18に示したように、球の外面に線接触し得るような凹状にしてあり、各端部は連続的に連なるように、一枚のディスク40に支持してある。このカウンターローラ30のディスク40への支持は、図1でも説明したように、回転軸32をベアリング33によって支持することにより、ディスク40に対して自由に回転できる状態にして行ってある。
ディスク40は、パワーローラ20の回転により各カウンターローラ30が受けた反力をまとめて出力軸12側に取り出すためのものであるから、図16に示したように、複数の脚41を介して出力軸12にスプライン結合させてある。このディスク40が出力軸12に対してスプライン結合させてあるのは、このディスク40は、回転力を出力軸12側に確実に伝達はするが、板バネ50からの付勢力によって図16の図示右方向、つまりパワーローラ20に対して弾発的に接触するようにするためである。
このため、この実施例1の機械式無段変速機100においては、ディスク40の各脚41と、ケーシング10に対して出力軸12を回転自在に支持しているベアリング14のインナーレースとの間に複数の板バネ50が組込んであるのである。つまり、これらの板バネ50は、多数のカウンターローラ30を組付けたディスク40を、ケーシング10に支持したパワーローラ20に対して弾発的に押し付けるように作用するものである。
(第2実施例)
図26〜図31には、本発明に係る機械式無段変速機100の第2実施例が示してあるが、この機械式無段変速機100の概略構成は、図11の(B)に示したものと類似するものである。そして、この第2実施例の機械式無段変速機100では、入力軸11からの回転力伝達と、変速レバーまたはハンドル13によるパワーローラ20の傾動とを、パワーローラ20内に組込んだ各部材によって行うようにして、全体をコンパクト化したものである。
すなわち、この第2実施例に係る機械式無段変速機100では、そのパワーローラ20を、図26及び図27に示したように、球の部分形状となるロール面21を有した二つの同一形状のものより構成するとともに、これら2つのパワーローラ20を中心となる回転軸22によって一体的に連結したものである。これにより、パワーローラ20は、球の上下のそれぞれ1/4程度ずづを切り落した形状で、球の中心を通る部分に、図27に示したような開口23が全周に存在する形状のものとなる。この開口23内には、図26にも示したように、図示右方から入力軸11が、また図示左方からは変速レバーまたはハンドル13によって回動される傾斜軸15が挿入されることになるのである。
パワーローラ20内に挿入された入力軸11の内端は、ベベルギアを介して内の内面側に噛合させてあるため、この入力軸11の回転力によって、当該パワーローラ20全体は回転軸22を中心に回転されることになる。つまり、このパワーローラ20は、入力軸11によって、図26に示した回転軸22を回転軸として、図示左右方向に回転することになるのである。勿論、このパワーローラ20には、図27に示したように、入力軸11が通過し得る開口23が全周に形成してあったから、パワーローラ20は、入力軸11や次に述べる傾斜軸15に干渉することなく回転するのである。
これに対して、入力軸11とは反対側からパワーローラ20内に挿入されている傾斜軸15の内端は、パワーローラ20側の回転軸22の外周に嵌合してあるスリーブ16に連結してある。このスリーブ16は、種々なベアリングを介してパワーローラ20内に組込むとともに、パワーローラ20側の回転軸22に対して自由に回転できるものとしてある。換言すれば、入力軸11によってパワーローラ20が回転されたとしても、このスリーブ16は回転しないものであり、その結果、傾斜軸15の内端の固定が行えるのである。
さて、このスリーブ16には傾斜軸15の内端が固定的に連結してあったから、変速レバーまたはハンドル13を所定方向に回動させれば、パワーローラ20は、図29及び図30に示したような種々な傾斜状態に連続的に変更できるのであり、かつその間は勿論、変更後においてもパワーローラ20の入力軸11による回転を阻外されることはないのである。
以上のようにして、パワーローラ20は、入力軸11による回転と変速レバーまたはハンドル13による傾斜がなされるのであるが、このパワーローラ20は、ケーシング10内に配置した多数のカウンターローラ30に接触しているため、パワーローラ20の回転力は、その傾斜状態に応じた変速がなされるから、各カウンターローラ30を支持しているディスク40に伝達される。このディスク40には、図26等に示したように出力軸12が連結してあるから、結果として、入力軸11の回転は変速されてこの出力軸12から出力されるのである。
この第2実施例では、図26に示したように、ケーシング10とディスク40との間に複数の板バネ50が介装してあるから、これらの板バネ50の付勢力によって、ディスク40はパワーローラ20側に向けて常に押圧されているものである。
また、ディスク40に組付けた多数のカウンターローラ30は、図28に示したように、その各ロール面31の内端によって円環状のものに形成されているから、パワーローラ20がどのような状態に傾斜したとしても、パワーローラ20のロール面21と各カウンターローラ30のロール面31とが線接触することになることは、前述した通りである。さらに、パワーローラ20は、各カウンターローラ30によって形成された円環状のロール面に常に当接していなければならないから、パワーローラ20の各カウンターローラ30による円環に対する大きさは、図28に示したように、前述の図11の(B)に示した関係になるものである。
この第2実施例に係る機械式無段変速機100による変速の状況は、図31に示したグラフの通りである。このグラフでは、横軸にパワーローラ20の傾斜角度をとり、横軸に変速比をとっている。なお、マイナスは、入力軸11の回転方向とは反対側への回転をすることを意味している。
以上詳述した通り、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーローラ20のロール面21と、複数のカウンターローラ30のロール面31とを線接触させて変速を行うことができるのであり、その結果、入力軸11側からの回転力を効率よく出力軸12側に伝えることができ、エネルギーロスを抑えることができるのである。
また、パワーローラ20と各カウンターローラ30とは線接触するのであるから、両者を大きく押圧しなくても動力伝達が行えるのである。その結果、発熱を抑えるためのオイルの供給を行わなくてもよくなり、仮に供給したとしてもそのオイル圧力を高くする必要はない。
さらに、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーローラ20の傾斜角度を変えるだけで、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものである。
従って、本発明の機械式無段変速機100は、これを工作機械や自動車の構成部品としたときには、逆転(リバース)も含む無段変速ができるだけでなく、その作動のためのエネルギーロスを極力抑えることができて、産業上非常に有用なものとなるのである。
本発明に係る機械式無段変速機100におけるパワーローラ20と複数のカウンターローラ30との関係の1例を示す部分破断正面図である。 同縦断面図である。 球0を中心にしてみたパワーローラ20側のロール面21とカウンターローラ30側のロール面31の端面形状を示す断面図である。 図1の1−1線部の拡大図(A)及びそこで使用している板バネ50の拡大断面図(B)である。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20とディスク40とが直交した場合を示したものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20が30°で傾斜した場合を示したものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20が90°で傾斜した場合を示したものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20が−30°で傾斜した場合を示したものである。 1個のパワーローラ20を使用した例を示すもので、(A)はパワーローラ20の最大部分が各カウンターロール30に接触する場合を、(B)はパワーローラ20の最大部分より小さい部分が各カウンターロール30に接触する場合をそれぞれ示す模式図である。 パワーローラ20の最大部分より小さい部分が各カウンターロール30に接触する例を示すもので、(A)は1個のパワーローラ20を使用した場合を、(B)は2個のパワーローラ20を使用して実質的には一個のものとした場合をそれぞれ示す模式図である。 パワーローラ20の両側に互いに平行な2つのディスク40を配置した場合を示すもので、(A)は1個のパワーローラ20を使用した場合を、(B)は2個のパワーローラ20を使用した場合をそれぞれ示す模式図である。 複数のパワーローラ20を採用した場合の例を(A)〜(C)の順で傾斜させた様子をそれぞれ示すもので、各パワーローラ20をカウンターローラ30によって形成した円環内に当接させた例を示している。 複数のパワーローラ20を採用した場合の例を(A)〜(C)の順で傾斜させた様子をそれぞれ示すもので、同円環に斜め内側に当接させた例を示している。 複数のパワーローラ20を採用した場合の例を(A)〜(C)の順で傾斜させた様子をそれぞれ示すもので、ディスク40に直交する位置に各パワーローラ20を当接させた例を示している。 複数のパワーローラ20を採用した場合の例を(A)〜(C)の順で傾斜させた様子をそれぞれ示すもので、各パワーローラ20をカウンターローラ30の上下両側から当接させた例を示している。 本発明の第1実施例に係る機械式無段変速機100を示す横断平面図である。 同機械式無段変速機100のカウンターローラ30を組付けたディスク40の正面図である。 同機械式無段変速機100のディスク40の縦断側面図である。 同機械式無段変速機100の入力軸11と1個のパワーローラ20との連結関係を示す部分横断面図である。 同機械式無段変速機100の入力軸11とパワーローラ20との連結関係を示すもので、図19中の2−2線に沿ってみた部分縦断面図である。 同機械式無段変速機100のパワーローラ20の入力軸11に対する傾斜機構を示すもので、図19中の2−3線に沿ってみた横断面図である。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、ディスク40に対してパワーローラ20を直交させた場合を示すものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20を30°傾斜させた場合を示すものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20をディスク40と平行にした場合を示すものである。 1つのパワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を、(A)の横断平面図と、(B)の縦断正面図とで示すもので、パワーローラ20を−15°傾斜させた場合を示すものである。 本発明の第2実施例に係る機械式無段変速機100を示すもので、その縦断正面図である。 本発明の第2実施例に係る機械式無段変速機100を示すもので、図26の場合に対して直交する面でみた縦断正面図である。 本発明の第2実施例に係る機械式無段変速機100を示すもので、図26中の4−4線に沿ってみた平面図である。 上記第2実施例に係る機械式無段変速機100についての、パワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を示すもので、(A)はパワーローラ20とディスク40とが直交した場合、(B)はパワーローラ20が−30°で傾斜した場合、(C)はパワーローラ20が30°で傾斜した場合をそれぞれ示したものである。 上記第2実施例に係る機械式無段変速機100についての、パワーローラ20とこれに対するディスク40との関係を示すもので、(A)はパワーローラ20が60°で傾斜した場合を、(B)はパワーローラ20が90°で傾斜した場合をそれぞれ示したものである。 パワーローラ20を縦軸方向の角度で傾斜させたときに得られる変速比を示すグラフである。 Hunt特許で使用されている図面である。 フルトロイダルCVTを示す断面図である。 ハーフトロイダルCVTを示す断面図である。 従来のトロイダルCVTでは点接触であることを示す斜視図である。
符号の説明
100…機械式無段変速機、
10…ケーシング、
11…入力軸、
12…出力軸、
13…変速レバーまたはハンドル、
14…ベアリング、
15…傾斜軸、
16…スリーブ、
20…パワーローラ、
21…ロール面、
22…回転軸、
23…開口、
30…カウンターローラ、
31…ロール面、
32…回転軸、
33…ベアリング、
34…ベース、
40…ディスク、
50…板バネ、
60…回転力伝達機構、
61…中間軸、
62…フリーベベルギア、
63…固定ベベルギア、
64…中心軸、
70…傾斜機構、
71…ベース、
72…ベアリング、
73…回動軸、
74…ウオーム、
75…ウオームホイール。

Claims (8)

  1. 入力軸(11)側につながる回転軸(22)によって回転するパワーロール(20)と、このパワーロール(20)が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸(12)につながる複数のカウンターロール(30)とを備えた機械的無段変速機(100)であって、
    パワーロール(20)のロール面(21)形状を、球の部分形状となるようにするとともに、この球の部分形状に対応する凹状ロール面(31)を各カウンターロール(30)の表面に形成し、
    これら複数のカウンターロール(30)を、互いに隣接し合う各凹状ロール面(31)が円環状に略連続するようにしながら、出力軸(12)につながるディスク(40)の同一円周上に回転自在に組付けるとともに、このディスク(40)に対してパワーロール(20)の回転軸(22)を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機(100)。
  2. パワーロール(20)を1個だけにし、このパワーロール(20)のロール面(21)の球直径が、各カウンターロール(30)によって内側に形成される円環面の直径より大となるようにして、このパワーロール(20)をディスク(40)側に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の機械式無段変速機(100)。
  3. 各カウンターロール(30)をそれぞれ組付けた一対のディスク(40)を互いに平行となるように組み付けるとともに、これら一対のディスク(40)・(40)間に1つのパワーロール(20)を配置して、両ディスク(40)・(40)を互いに押圧するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の機械式無段変速機(100)。
  4. パワーロール(30)として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール(20)〜(20)を入力軸(11)側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の機械式無段変速機(100)。
  5. ディスク(40)からの各カウンターロール(30)の露出方向を変えることにより、各パワーロール(20)の各カウンターロール(30)に対する当接位置を任意にし得るようにしたことを特徴とする請求項4に記載の機械式無段変速機(100)。
  6. 各カウンターロール(30)とパワーロール(20)との間の押圧は、各カウンターロール(30)の支持軸(31)とこれを支持しているディスク(40)との間に介在させた板バネによって行うようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の機械式無段変速機(100)。
  7. 各カウンターロール(30)とパワーロール(20)との間の押圧は、ディスク(40)とこれを支持しているケーシング(11)との間に介在させた板バネ(50)によって行うようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の機械式無段変速機(100)。
  8. パワーロール(20)または各カウンターロール(30)をその押圧方向とは反対側に移動可能とし、これらのパワーロール(20)または各カウンターロール(30)をその押圧方向とは反対側に移動させることにより、パワーロール(20)と各カウンターロール(30)との間の押圧による摩擦接触を解除して、両者間の力の伝達をなくすクラッチ機能を備えたものとしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の機械式無段変速機(100)。
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