JP2005003100A - ハーフトロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラニオンの構成を簡略化する。
【解決手段】トラニオン110の背面を球面とし、これをハウジング112に設けた球面座112aによって受ける。トラニオン110は、リンク114によって傾転方向回転自在に支持する。また、リンク114は、トラニオン110の背面の円弧に従ってオフセット方向に回転可能とする。ハウジング112がローラ124が飛び出そうとする力を受けるため、各種の機構が簡略化でき、入出力ディスク間のキャビティに4つのローラを配置することも可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】トラニオン110の背面を球面とし、これをハウジング112に設けた球面座112aによって受ける。トラニオン110は、リンク114によって傾転方向回転自在に支持する。また、リンク114は、トラニオン110の背面の円弧に従ってオフセット方向に回転可能とする。ハウジング112がローラ124が飛び出そうとする力を受けるため、各種の機構が簡略化でき、入出力ディスク間のキャビティに4つのローラを配置することも可能になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
入出力ディスク間にローラを配置し、このローラを介し入力ディスクから出力ディスクに動力を伝達するハーフトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ハーフトロイダル型無段変速機(CVT)が知られており、これを採用する車両も増えてきている。このハーフトロイダル型無段変速機では、紡錘形の入出力ディスクで形成されるキャビティ内にローラを挟み込み、入力ディスクの回転をローラを介し、出力ディスクに伝達する。そして、このローラの入力ディスクと出力ディスクとに対する接触位置(傾転角)を制御することで、変速比を制御している。
【0003】
ここで、変速比を変更する場合には、ローラの回転軸を入出力ディスクの中心を通らない位置へオフセットさせ、これによってローラに傾転力を作用させて傾転角を変更する。
【0004】
例えば、特許文献1では、トラニオンをディスク上の接点の接線方向に平行移動によってローラをオフセットさせている。
【0005】
また、特許文献2では、ディスクの中心軸を通る直線上であって、ディスクの中心からずれた位置にある特定点を中心としてトラニオンを回転させてローラをオフセットさせている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−133860号公報
【特許文献2】
特開2001−165262号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1では、トラニオンのオフセットは並進運動であるため、トラニオン両端部とこのトラニオンの背面を保持するハウジングには、ローラの傾転機構以外にトラニオンがオフセットをするための機構や油圧ピストン等が必要となる。従って、入出力ディスク間の1キャビティ内に2個のローラを配置するのが限界であり、それ以上ローラの個数を増やすことができない。
【0008】
また、特許文献2では、トラニオンを回転によりオフセットさせることにより、1キャビティに3個のローラを置くことが可能となっている。しかし、オフセット運動の回転とローラの傾転運動の回転中心が径方向にずれており、これら2つの回転を実現するために機構が複雑となる。また、ローラの飛び出し力は、トラニオンや軸受け等を介してハウジングが受け持つため、各構成要素には飛び出し力に見合う剛性が必要となり、形状寸法が特に径方向に大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、比較的簡単な機構で、トラニオンを移動可能に保持できるハーフトロイダル型無段変速機に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入出力ディスク間にローラを配置したハーフトロイダル型無段変速機であって、ローラを保持するトラニオンと、このトラニオンの背面を外方から支持する支持部材と、を含み、前記支持部材は、前記ローラの回転軸の旋回方向であるトラニオン傾転方向と、前記トラニオンの傾転軸を、ディスクの回転中心からずれた点を中心に旋回する旋回方向であるトラニオンオフセット方向において、回転可能に支持することを特徴とする。
【0011】
このように、トラニオンの背面を回転可能に支持することによって、ローラが飛び出そうとする力に対応する力を外方から与えることができ、各種の機構、部材にかかる力を減少することができ、装置を全体として簡略化することができる。そこで、入出力ディスクで形成されるキャビティ内に4つのローラを配置することも可能となる。
【0012】
また、前記オフセット方向の回転中心軸と、前記傾転方向の回転中心軸は、直交することが好適である。このように、回転中心を一致させることによって、回転の機構を簡略化することができ、全体をコンパクトにすることができる。
【0013】
また、前記支持部材は、トラニオンの背面を球面とし、これを球面座で支持することが好適である。これによって、トラニオンの背面を十分な強度で支持することが容易となる。
【0014】
なお、トラニオンの背面を前記オフセット方向および前記傾転方向に回転可能に支持するユニバーサルジョイントで支持部材を構成することも可能である。
【0015】
また、オフセット方向に回転可能であって、前記トラニオンを傾転方向において回転可能に支持するリンクを有することが好適である。これによって、トラニオンのオフセットを容易に行うことができる。また、ローラの飛び出しは、トラニオンの外方からの支持手段がもつため、リンク自体は比較的簡単な構成でよい。
【0016】
また、前記リンクの移動をオフセット方向の回転に限定するガイドをさらに有することが好適である。これによって、トラニオンの移動方向を確実に規定することができる。
【0017】
また、前記ローラおよびこれを支持するトラニオンは一対の入出力ディスク間に複数設けられており、かつ、各リンクの内側端部には、入出力ディスクの回転中心を中心として回転するギアとかみ合うギア部が設けられており、1つのリンクのオフセットが前記ギアを介し他のリンクに伝達されることが好適である。
【0018】
これによって、1つのトラニオンについてオフセットを与えれば、これを他のトラニオンに伝達される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、実施形態の構成を示す図であり、1つのトラニオンと、ローラを示している。
【0021】
トラニオン110は、その背面が球面になっている。そして、この背面がハウジング112の球面座112aに移動可能に収容されており、球面軸受けが構成されている。この球面軸受けは、摩擦を軽減できれば、油圧で受けても、ボールベアリングとしてもよい。なお、変速時以外はトラニオン110の位置は変動しないため、この球面軸受けは比較的簡単なものでよい。ただし、ローラが外方に向けて飛び出そうとする力に対向する必要があり、十分な強度を持つ必要がある。
【0022】
トラニオン110は、全体として球の側部を切り取った形状(輪切りの側端部)であり、内側は円形の平面となっており、かつ2本のトラニオン軸支持部110aが下方に向けて伸び、そこから側方に向けて一対のトラニオン軸110bが伸びている。このトラニオン軸110bは、リンク114の転がり軸受け114aによって回転自在に支持されている。そこで、トラニオン110は、このトラニオン軸110bを中心として、揺動回転可能である。
【0023】
また、リンク114は、全体としてコ字(半円弧)型をしており、その上両端部にトラニオン軸110bを軸支する転がり軸受け114aが設けられ、下端の中央下側には、ギア部114bが設けられている。そして、このギア部114bは、入出力ディスクの中心を回転中心とするギア116とかみ合っている。
【0024】
ここで、ギア部114bは、トラニオン110の背面の球面と同一の円の円弧を構成しており、リンク114およびトラニオン110は、リンク114がギア116に支持され、トラニオン110がハウジング112に支持されながら回転する。さらに、トラニオン110のトラニオン軸110bを結んだ線は、トラニオン110の背面が描く円の中心を通るように設定してある。
【0025】
そして、トラニオン110は、その背面の球面の中心を軸として入出力ディスクの回転面に平行な面内において回転する。これがトラニオン110のオフセット方向の回転となる。また、トラニオン110はそのトラニオン軸110bを中心に回転し、これがトラニオンの傾転方向の回転となる。
【0026】
なお、リンク114には、その移動方向を入出力ディスクの回転面に平行な1面内に規制するためのガイド118が設けられており、これによってトラニオン110の移動方向が2方向に規制されている。
【0027】
トラニオン110の中心部には、ディスク中心側(下方)に向けて軸122が固定され、この軸122にローラ124が回転可能に接続されている。また、トラニオン110の下面と、ローラ124の上面の間には、円形のベアリング支持板126bと複数のボール126aからなるスラストベアリング126がもうけられ、これによってローラ124がトラニオン110に対し高速回転可能に保持される。
【0028】
なお、ローラ124は、球体の一部を平行な面で切り取った形(球体を分厚く輪切りにした中間の一枚)になっており、その側面がディスクと接触回転する。
【0029】
そして、変速時には、図に太矢印で示すように、1つのトラニオン軸支持部110aにリンク114が回転するようにオフセット力をかける。これは、油圧などどのような方式でもよい。また、一対のトラニオン軸支持部110aに相補的な力をかけてもよい。これによってトラニオン110がオフセット方向に回転し、トラニオン110に傾転力が働き、トラニオン110が傾転して変速が行われる。
【0030】
図2には、定常時と変速時におけるローラとディスクの関係を示してある。定常時は、ローラ回転軸は、ディスクの半径方向に位置している。この場合には、ローラ接線速度方向と、ディスク接線速度方向は一致しており、ローラ124に傾転力は働かない。一方、変速時には、ローラ124がオフセット方向に回転し、これによって、ディスク接線速度方向と、ローラ接線速度方向に差ができる。そこで、この差のベクトルがローラ124に傾転力として作用し、ローラ124の傾転角が変更される。
【0031】
なお、本実施形態では、傾転中心と、オフセット中心を一致させたが、従来のように、両者をディスクの半径方向で異なる位置に配置しても構わない。
【0032】
図3には、入出力ディスク間に4つのトラニオンを配置した構成を示してある。本実施形態では、トラニオン110の背面をハウジング112の球面座112aにより保持する構成とした(図示省略)ため、入出力ディスク30、40の押しつけ力によりローラが飛び出そうとする力はハウジングがすべて受け持つ。従って、リンク114や、トラニオン軸受けなどの各構成要素は、わずかな力を受けるだけの強度があればよく、形状を大幅に小型化簡略化できる。そこで、4つのトラニオン110およびローラ124の組を入出力ディスク30、40間に配置することができる。
【0033】
また、4つのリンク114のディスク中心側にはトラニオン110の傾転中心(=オフセット中心)を中心とした曲率を持つギア部を取り付け、入出力軸側にもこれに対応するギア116を取り付けている。このことにより、一つのローラ124にオフセット力を加えるだけで、このオフセットがギア116を介して1キャビティ内の全ローラ124に伝達される。そこで、全ローラのオフセット方向の回転を同期させることができる。
【0034】
次に、図4には、実施形態に係るハーフトロイダル型無段変速機の全体構成が模式的に示されている。図において、各部材の寸法は、図を見やすくするために、適宜変更している。
【0035】
このように、エンジンの回転に基づいて回転される入力軸10には、2つの入力ディスク30が結合されている。この2つの入力ディスク30は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する紡錘形状を有しており、斜面はその軸方向の断面がほぼ円弧状になっている。また、2つの入力ディスク30のそれぞれには、同一形状の2つの出力ディスク40がそれぞれ対向するように配置されている。従って、軸方向の断面では、入力ディスク30と出力ディスク40の斜面は、それぞれ一対の半円を形成している。
【0036】
入出力ディスク30、40の間には4つのローラ124が配置されているが、図においてはその内の2つのみを示してある。ローラ124は一方側が入力ディスク30に接触し、他方側が出力ディスク40に接触し、入力ディスク30の回転トルクを出力ディスク40に伝達する。また、ローラ124は、それぞれトラニオン110によって支持されている。このトラニオン110は、その背面側が球面に形成されており、ハウジング112の球面座112aに支持されている。
【0037】
また、トラニオン110は、図1のようにトラニオン軸を中心に傾転方向に回転可能であり、また、トラニオン軸は、リンク114によって支持され、このリンク114は、ギア116とかみ合い、紙面に直角な方向であるオフセット方向に回転可能となっている。
【0038】
入力軸10は、油圧押圧(エンドロード)機構20に接続される。このエンドロード機構20は、内部に油圧を受け、入力ディスク30をそれぞれ出力ディスク40側に押圧することで、入出力ディスク30、40間に狭圧力を生じさせ、これによってローラ124をそれぞれ所定の圧力で入出力ディスク30、40間に挟み込む。これによって、入出力ディスク30、40とローラ124間のスリップを防ぎ、トラクション状態を維持する。なお、軸25は入力軸10と同一の回転をするものであり、この軸25によって入力ディスク30が回転される。また、入力ディスク30は、軸25にボールスプラインを介し連結されており、軸25の軸方向に移動可能になっている。
【0039】
出力ディスク40は、軸25にベアリングを介し回転可能に支持されている。この出力ディスク40の間には、出力ギア45が連結されており、出力ディスク40a、40bと一緒に回転する。出力ギア45には、カウンターギア60がかみ合わされており、このカウンターギア60に出力軸70が連結されている。従って、出力ディスク40a、40bの回転に伴い、出力軸70が回転する。
【0040】
なお、図示は省略したがギア116は、ベアリングなどを介し、軸25に支持されている。さらに、図においては、ガイド118を省略したが、ガイド118は、軸25にベアリングなどを介し支持してもよいし、ハウジング112によって支持してもよい。
【0041】
さらに、上述の実施形態では、トラニオン110の背面を球面として、球面座に保持したが、これに代えてオフセット回転方向および傾転方向の2方向に移動可能なユニバーサルジョイントによって、トラニオンの背面を支持してもよい。このように、ユニバーサルジョイントを用いれば、トラニオン110が2方向にしか移動できないため、ガイド118が不要になる。
【0042】
図5〜図9には、本実施形態にかかるハーフトロイダル型無段変速機の特性について示している。図5に示すように、入力回転数Ninを一定として、出力回転数Noutを変動させた。図6は、入力側の力Fin(N)と出力トルクTout(Nmm)を示している。このように、Fin(N)、Toutは、図5のNin、Noutに対応した特性になっている。図7には、傾転角θおよび目標傾転角θctrlを示している。このように、目標通りに傾転角が制御されている。図8には、オフセット角、図9にはオフセット力を示してある。
【0043】
図5、6に示すような入力の変化に対し、図8に示したようなオフセット角となるように、図9に示したオフセット力を図1に示したオフセット力として作用させることによって、図7のような傾転角制御を行うことができ、これによって出力トルクを一定にできる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、トラニオンの背面を回転可能に支持することによって、ローラが飛び出そうとする力を外方から与えることができ、各種の機構、部材にかかる力を減少することができ、装置を全体として簡略化することができる。そこで、入出力ディスクで形成されるキャビティ内に4つのローラを配置することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のトラニオン、ローラの構成を示す図である。
【図2】変速時のオフセット、傾転方向を示す図である。
【図3】4つのトラニオン(ローラ)を設けた場合の構成を示す図である。
【図4】変速機の全体構成を示す模式図である。
【図5】入力回転数Ninと出力回転数Noutの時間変化を示した図である。
【図6】入力側の力Fin(N)と出力トルクTout(Nmm)の時間変化を示した図である。
【図7】傾転角θおよび目標傾転角θctrlの時間変化を示した図である。
【図8】オフセット角の時間変化を示した図である。
【図9】オフセット力の時間変化を示した図である。
【符号の説明】
110 トラニオン、110a トラニオン軸支持部、110b トラニオン軸、112 ハウジング、112a 球面座、114 リンク、114a 軸受け、114b ギア部、116 ギア、118 ガイド、122 軸、124 ローラ、126 スラストベアリング、126a ボール、126b ベアリング支持板。
【発明の属する技術分野】
入出力ディスク間にローラを配置し、このローラを介し入力ディスクから出力ディスクに動力を伝達するハーフトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ハーフトロイダル型無段変速機(CVT)が知られており、これを採用する車両も増えてきている。このハーフトロイダル型無段変速機では、紡錘形の入出力ディスクで形成されるキャビティ内にローラを挟み込み、入力ディスクの回転をローラを介し、出力ディスクに伝達する。そして、このローラの入力ディスクと出力ディスクとに対する接触位置(傾転角)を制御することで、変速比を制御している。
【0003】
ここで、変速比を変更する場合には、ローラの回転軸を入出力ディスクの中心を通らない位置へオフセットさせ、これによってローラに傾転力を作用させて傾転角を変更する。
【0004】
例えば、特許文献1では、トラニオンをディスク上の接点の接線方向に平行移動によってローラをオフセットさせている。
【0005】
また、特許文献2では、ディスクの中心軸を通る直線上であって、ディスクの中心からずれた位置にある特定点を中心としてトラニオンを回転させてローラをオフセットさせている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−133860号公報
【特許文献2】
特開2001−165262号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1では、トラニオンのオフセットは並進運動であるため、トラニオン両端部とこのトラニオンの背面を保持するハウジングには、ローラの傾転機構以外にトラニオンがオフセットをするための機構や油圧ピストン等が必要となる。従って、入出力ディスク間の1キャビティ内に2個のローラを配置するのが限界であり、それ以上ローラの個数を増やすことができない。
【0008】
また、特許文献2では、トラニオンを回転によりオフセットさせることにより、1キャビティに3個のローラを置くことが可能となっている。しかし、オフセット運動の回転とローラの傾転運動の回転中心が径方向にずれており、これら2つの回転を実現するために機構が複雑となる。また、ローラの飛び出し力は、トラニオンや軸受け等を介してハウジングが受け持つため、各構成要素には飛び出し力に見合う剛性が必要となり、形状寸法が特に径方向に大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、比較的簡単な機構で、トラニオンを移動可能に保持できるハーフトロイダル型無段変速機に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入出力ディスク間にローラを配置したハーフトロイダル型無段変速機であって、ローラを保持するトラニオンと、このトラニオンの背面を外方から支持する支持部材と、を含み、前記支持部材は、前記ローラの回転軸の旋回方向であるトラニオン傾転方向と、前記トラニオンの傾転軸を、ディスクの回転中心からずれた点を中心に旋回する旋回方向であるトラニオンオフセット方向において、回転可能に支持することを特徴とする。
【0011】
このように、トラニオンの背面を回転可能に支持することによって、ローラが飛び出そうとする力に対応する力を外方から与えることができ、各種の機構、部材にかかる力を減少することができ、装置を全体として簡略化することができる。そこで、入出力ディスクで形成されるキャビティ内に4つのローラを配置することも可能となる。
【0012】
また、前記オフセット方向の回転中心軸と、前記傾転方向の回転中心軸は、直交することが好適である。このように、回転中心を一致させることによって、回転の機構を簡略化することができ、全体をコンパクトにすることができる。
【0013】
また、前記支持部材は、トラニオンの背面を球面とし、これを球面座で支持することが好適である。これによって、トラニオンの背面を十分な強度で支持することが容易となる。
【0014】
なお、トラニオンの背面を前記オフセット方向および前記傾転方向に回転可能に支持するユニバーサルジョイントで支持部材を構成することも可能である。
【0015】
また、オフセット方向に回転可能であって、前記トラニオンを傾転方向において回転可能に支持するリンクを有することが好適である。これによって、トラニオンのオフセットを容易に行うことができる。また、ローラの飛び出しは、トラニオンの外方からの支持手段がもつため、リンク自体は比較的簡単な構成でよい。
【0016】
また、前記リンクの移動をオフセット方向の回転に限定するガイドをさらに有することが好適である。これによって、トラニオンの移動方向を確実に規定することができる。
【0017】
また、前記ローラおよびこれを支持するトラニオンは一対の入出力ディスク間に複数設けられており、かつ、各リンクの内側端部には、入出力ディスクの回転中心を中心として回転するギアとかみ合うギア部が設けられており、1つのリンクのオフセットが前記ギアを介し他のリンクに伝達されることが好適である。
【0018】
これによって、1つのトラニオンについてオフセットを与えれば、これを他のトラニオンに伝達される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、実施形態の構成を示す図であり、1つのトラニオンと、ローラを示している。
【0021】
トラニオン110は、その背面が球面になっている。そして、この背面がハウジング112の球面座112aに移動可能に収容されており、球面軸受けが構成されている。この球面軸受けは、摩擦を軽減できれば、油圧で受けても、ボールベアリングとしてもよい。なお、変速時以外はトラニオン110の位置は変動しないため、この球面軸受けは比較的簡単なものでよい。ただし、ローラが外方に向けて飛び出そうとする力に対向する必要があり、十分な強度を持つ必要がある。
【0022】
トラニオン110は、全体として球の側部を切り取った形状(輪切りの側端部)であり、内側は円形の平面となっており、かつ2本のトラニオン軸支持部110aが下方に向けて伸び、そこから側方に向けて一対のトラニオン軸110bが伸びている。このトラニオン軸110bは、リンク114の転がり軸受け114aによって回転自在に支持されている。そこで、トラニオン110は、このトラニオン軸110bを中心として、揺動回転可能である。
【0023】
また、リンク114は、全体としてコ字(半円弧)型をしており、その上両端部にトラニオン軸110bを軸支する転がり軸受け114aが設けられ、下端の中央下側には、ギア部114bが設けられている。そして、このギア部114bは、入出力ディスクの中心を回転中心とするギア116とかみ合っている。
【0024】
ここで、ギア部114bは、トラニオン110の背面の球面と同一の円の円弧を構成しており、リンク114およびトラニオン110は、リンク114がギア116に支持され、トラニオン110がハウジング112に支持されながら回転する。さらに、トラニオン110のトラニオン軸110bを結んだ線は、トラニオン110の背面が描く円の中心を通るように設定してある。
【0025】
そして、トラニオン110は、その背面の球面の中心を軸として入出力ディスクの回転面に平行な面内において回転する。これがトラニオン110のオフセット方向の回転となる。また、トラニオン110はそのトラニオン軸110bを中心に回転し、これがトラニオンの傾転方向の回転となる。
【0026】
なお、リンク114には、その移動方向を入出力ディスクの回転面に平行な1面内に規制するためのガイド118が設けられており、これによってトラニオン110の移動方向が2方向に規制されている。
【0027】
トラニオン110の中心部には、ディスク中心側(下方)に向けて軸122が固定され、この軸122にローラ124が回転可能に接続されている。また、トラニオン110の下面と、ローラ124の上面の間には、円形のベアリング支持板126bと複数のボール126aからなるスラストベアリング126がもうけられ、これによってローラ124がトラニオン110に対し高速回転可能に保持される。
【0028】
なお、ローラ124は、球体の一部を平行な面で切り取った形(球体を分厚く輪切りにした中間の一枚)になっており、その側面がディスクと接触回転する。
【0029】
そして、変速時には、図に太矢印で示すように、1つのトラニオン軸支持部110aにリンク114が回転するようにオフセット力をかける。これは、油圧などどのような方式でもよい。また、一対のトラニオン軸支持部110aに相補的な力をかけてもよい。これによってトラニオン110がオフセット方向に回転し、トラニオン110に傾転力が働き、トラニオン110が傾転して変速が行われる。
【0030】
図2には、定常時と変速時におけるローラとディスクの関係を示してある。定常時は、ローラ回転軸は、ディスクの半径方向に位置している。この場合には、ローラ接線速度方向と、ディスク接線速度方向は一致しており、ローラ124に傾転力は働かない。一方、変速時には、ローラ124がオフセット方向に回転し、これによって、ディスク接線速度方向と、ローラ接線速度方向に差ができる。そこで、この差のベクトルがローラ124に傾転力として作用し、ローラ124の傾転角が変更される。
【0031】
なお、本実施形態では、傾転中心と、オフセット中心を一致させたが、従来のように、両者をディスクの半径方向で異なる位置に配置しても構わない。
【0032】
図3には、入出力ディスク間に4つのトラニオンを配置した構成を示してある。本実施形態では、トラニオン110の背面をハウジング112の球面座112aにより保持する構成とした(図示省略)ため、入出力ディスク30、40の押しつけ力によりローラが飛び出そうとする力はハウジングがすべて受け持つ。従って、リンク114や、トラニオン軸受けなどの各構成要素は、わずかな力を受けるだけの強度があればよく、形状を大幅に小型化簡略化できる。そこで、4つのトラニオン110およびローラ124の組を入出力ディスク30、40間に配置することができる。
【0033】
また、4つのリンク114のディスク中心側にはトラニオン110の傾転中心(=オフセット中心)を中心とした曲率を持つギア部を取り付け、入出力軸側にもこれに対応するギア116を取り付けている。このことにより、一つのローラ124にオフセット力を加えるだけで、このオフセットがギア116を介して1キャビティ内の全ローラ124に伝達される。そこで、全ローラのオフセット方向の回転を同期させることができる。
【0034】
次に、図4には、実施形態に係るハーフトロイダル型無段変速機の全体構成が模式的に示されている。図において、各部材の寸法は、図を見やすくするために、適宜変更している。
【0035】
このように、エンジンの回転に基づいて回転される入力軸10には、2つの入力ディスク30が結合されている。この2つの入力ディスク30は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する紡錘形状を有しており、斜面はその軸方向の断面がほぼ円弧状になっている。また、2つの入力ディスク30のそれぞれには、同一形状の2つの出力ディスク40がそれぞれ対向するように配置されている。従って、軸方向の断面では、入力ディスク30と出力ディスク40の斜面は、それぞれ一対の半円を形成している。
【0036】
入出力ディスク30、40の間には4つのローラ124が配置されているが、図においてはその内の2つのみを示してある。ローラ124は一方側が入力ディスク30に接触し、他方側が出力ディスク40に接触し、入力ディスク30の回転トルクを出力ディスク40に伝達する。また、ローラ124は、それぞれトラニオン110によって支持されている。このトラニオン110は、その背面側が球面に形成されており、ハウジング112の球面座112aに支持されている。
【0037】
また、トラニオン110は、図1のようにトラニオン軸を中心に傾転方向に回転可能であり、また、トラニオン軸は、リンク114によって支持され、このリンク114は、ギア116とかみ合い、紙面に直角な方向であるオフセット方向に回転可能となっている。
【0038】
入力軸10は、油圧押圧(エンドロード)機構20に接続される。このエンドロード機構20は、内部に油圧を受け、入力ディスク30をそれぞれ出力ディスク40側に押圧することで、入出力ディスク30、40間に狭圧力を生じさせ、これによってローラ124をそれぞれ所定の圧力で入出力ディスク30、40間に挟み込む。これによって、入出力ディスク30、40とローラ124間のスリップを防ぎ、トラクション状態を維持する。なお、軸25は入力軸10と同一の回転をするものであり、この軸25によって入力ディスク30が回転される。また、入力ディスク30は、軸25にボールスプラインを介し連結されており、軸25の軸方向に移動可能になっている。
【0039】
出力ディスク40は、軸25にベアリングを介し回転可能に支持されている。この出力ディスク40の間には、出力ギア45が連結されており、出力ディスク40a、40bと一緒に回転する。出力ギア45には、カウンターギア60がかみ合わされており、このカウンターギア60に出力軸70が連結されている。従って、出力ディスク40a、40bの回転に伴い、出力軸70が回転する。
【0040】
なお、図示は省略したがギア116は、ベアリングなどを介し、軸25に支持されている。さらに、図においては、ガイド118を省略したが、ガイド118は、軸25にベアリングなどを介し支持してもよいし、ハウジング112によって支持してもよい。
【0041】
さらに、上述の実施形態では、トラニオン110の背面を球面として、球面座に保持したが、これに代えてオフセット回転方向および傾転方向の2方向に移動可能なユニバーサルジョイントによって、トラニオンの背面を支持してもよい。このように、ユニバーサルジョイントを用いれば、トラニオン110が2方向にしか移動できないため、ガイド118が不要になる。
【0042】
図5〜図9には、本実施形態にかかるハーフトロイダル型無段変速機の特性について示している。図5に示すように、入力回転数Ninを一定として、出力回転数Noutを変動させた。図6は、入力側の力Fin(N)と出力トルクTout(Nmm)を示している。このように、Fin(N)、Toutは、図5のNin、Noutに対応した特性になっている。図7には、傾転角θおよび目標傾転角θctrlを示している。このように、目標通りに傾転角が制御されている。図8には、オフセット角、図9にはオフセット力を示してある。
【0043】
図5、6に示すような入力の変化に対し、図8に示したようなオフセット角となるように、図9に示したオフセット力を図1に示したオフセット力として作用させることによって、図7のような傾転角制御を行うことができ、これによって出力トルクを一定にできる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、トラニオンの背面を回転可能に支持することによって、ローラが飛び出そうとする力を外方から与えることができ、各種の機構、部材にかかる力を減少することができ、装置を全体として簡略化することができる。そこで、入出力ディスクで形成されるキャビティ内に4つのローラを配置することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のトラニオン、ローラの構成を示す図である。
【図2】変速時のオフセット、傾転方向を示す図である。
【図3】4つのトラニオン(ローラ)を設けた場合の構成を示す図である。
【図4】変速機の全体構成を示す模式図である。
【図5】入力回転数Ninと出力回転数Noutの時間変化を示した図である。
【図6】入力側の力Fin(N)と出力トルクTout(Nmm)の時間変化を示した図である。
【図7】傾転角θおよび目標傾転角θctrlの時間変化を示した図である。
【図8】オフセット角の時間変化を示した図である。
【図9】オフセット力の時間変化を示した図である。
【符号の説明】
110 トラニオン、110a トラニオン軸支持部、110b トラニオン軸、112 ハウジング、112a 球面座、114 リンク、114a 軸受け、114b ギア部、116 ギア、118 ガイド、122 軸、124 ローラ、126 スラストベアリング、126a ボール、126b ベアリング支持板。
Claims (6)
- 入出力ディスク間にローラを配置し、このローラを介し入力ディスクから出力ディスクに動力を伝達するハーフトロイダル型無段変速機であって、
ローラを保持するトラニオンと、
このトラニオンの背面を外方から支持する支持部材と、
を含み、
前記支持部材は、前記ローラの回転軸の旋回方向であるトラニオン傾転方向と、前記トラニオンの傾転軸を、ディスクの回転中心からずれた点を中心に旋回する旋回方向であるトラニオンオフセット方向において、回転可能に支持することを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。 - 請求項1に記載のハーフトロイダル型無段変速機において、前記オフセット方向の回転中心軸と、前記傾転方向の回転中心軸は、直交することを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。
- 請求項1または2に記載のハーフトロイダル型無段変速機において、
前記支持部材は、トラニオンの背面を球面とし、これを球面座で支持することを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のハーフトロイダル型無段変速機において、
オフセット方向に回転可能であって、前記トラニオンを傾転方向において回転可能に支持するリンクを有することを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。 - 請求項4に記載のハーフトロイダル型無段変速機において、前記リンクの移動をオフセット方向の回転に限定するガイドをさらに有することを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。
- 請求項4または5に記載のハーフトロイダル型無段変速機において、
前記ローラおよびこれを支持するトラニオンは一対の入出力ディスク間に複数設けられており、
かつ、各リンクの内側端部には、入出力ディスクの回転中心を中心として回転するギアとかみ合うギア部が設けられており、1つのリンクのオフセットが他のリンクに前記ギアを介し伝達されることを特徴とするハーフトロイダル型無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003167551A JP2005003100A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | ハーフトロイダル型無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003167551A JP2005003100A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | ハーフトロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005003100A true JP2005003100A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34093327
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003167551A Pending JP2005003100A (ja) | 2003-06-12 | 2003-06-12 | ハーフトロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005003100A (ja) |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003167551A patent/JP2005003100A/ja active Pending
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