JPWO2004000627A1 - 車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents
車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置Info
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Abstract
二次衝突時、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方に移動させながら衝撃エネルギーを吸収するように嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理を施すか又は低摩擦材処理を施したスリーブが介装してある。
Description
本発明は、車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
車両用ステアリングコラム装置において、運転者の運転姿勢に応じてステアリングコラムを軸方向に調整できるテレスコピック式では、例えば、車体に固定したロアーコラムに、アッパーコラムがテレスコピック摺動自在に嵌合してある。
また、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック式においても、例えば、車体に固定したロアーコラムに、アッパーコラムが通常時には摺動しないように嵌合してある。
さらに、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプは、ステアリングホイールと中間シャフトの上側ジョイントとの間のコラム部位に電動パワーアシスト装置が設けられて、ステアリング操舵アシストを行うものである。
ところで、二次衝突時には、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方にコラプス移動させながら、各種の衝撃吸収手段により衝撃エネルギーを吸収している。
しかしながら、近年、コラプス時における両コラムの嵌合長が比較的短くなってきているといったことがある。
その結果、二次衝突時、アッパーコラムがコラプスして車両前方に動き出そうとする際、アッパーコラムは、ロアーコラムに対して必ずしもスムーズに摺動しない虞れがある。
特に、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプでは、モーターや減速機構等の影響により、コラプス時のスペースの確保が困難であることから、この傾向が顕著であり、さらに、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプで、且つ、テレスコピック調整式である場合には、この傾向がより一層顕著になっている。
また、車両によっては、ステアリングホイール取付角(ステアリング軸が水平に対してなす角度)が30度前後と大きく設定してあることがあり、この場合には、車両前方への衝撃荷重の作用方向と、両コラム嵌合部でのアッパーコラム摺動方向とが一致しないことから、両嵌合部間にこじれ力が作用し、この場合にも、アッパーコラムは、ロアーコラムに対して必ずしもスムーズに摺動しない虞れがある。
このようなことから、コラプス時における両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにしたいといった要望がある。
さらに、テレスコピック操作時、片手でもって軸方向の移動をさせる操作であり、こじれ状態での操作であるため、操作力が大きくなったり、ロック状態となることがある。
なお、コラプス時のアッパーコラムの動き出しをスムーズにするため、実開平1−172965号公報では、両コラムの間に、例えば樹脂製のスペーサが圧入してあり、特開平9−95245号公報では、両コラムの間に、超高分子量ポリエチレンのスペーサが圧入してあり、特許2983130号公報では、両コラムの間に、一部に凹部を有し金属メッシュにテフロン(登録商標)コーティングしたスペーサが圧入してある。
また、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック式においても、例えば、車体に固定したロアーコラムに、アッパーコラムが通常時には摺動しないように嵌合してある。
さらに、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプは、ステアリングホイールと中間シャフトの上側ジョイントとの間のコラム部位に電動パワーアシスト装置が設けられて、ステアリング操舵アシストを行うものである。
ところで、二次衝突時には、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方にコラプス移動させながら、各種の衝撃吸収手段により衝撃エネルギーを吸収している。
しかしながら、近年、コラプス時における両コラムの嵌合長が比較的短くなってきているといったことがある。
その結果、二次衝突時、アッパーコラムがコラプスして車両前方に動き出そうとする際、アッパーコラムは、ロアーコラムに対して必ずしもスムーズに摺動しない虞れがある。
特に、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプでは、モーターや減速機構等の影響により、コラプス時のスペースの確保が困難であることから、この傾向が顕著であり、さらに、コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプで、且つ、テレスコピック調整式である場合には、この傾向がより一層顕著になっている。
また、車両によっては、ステアリングホイール取付角(ステアリング軸が水平に対してなす角度)が30度前後と大きく設定してあることがあり、この場合には、車両前方への衝撃荷重の作用方向と、両コラム嵌合部でのアッパーコラム摺動方向とが一致しないことから、両嵌合部間にこじれ力が作用し、この場合にも、アッパーコラムは、ロアーコラムに対して必ずしもスムーズに摺動しない虞れがある。
このようなことから、コラプス時における両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにしたいといった要望がある。
さらに、テレスコピック操作時、片手でもって軸方向の移動をさせる操作であり、こじれ状態での操作であるため、操作力が大きくなったり、ロック状態となることがある。
なお、コラプス時のアッパーコラムの動き出しをスムーズにするため、実開平1−172965号公報では、両コラムの間に、例えば樹脂製のスペーサが圧入してあり、特開平9−95245号公報では、両コラムの間に、超高分子量ポリエチレンのスペーサが圧入してあり、特許2983130号公報では、両コラムの間に、一部に凹部を有し金属メッシュにテフロン(登録商標)コーティングしたスペーサが圧入してある。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、二次衝突のコラプス時におけるロアーコラムとアッパーコラムの嵌合長が比較的短い場合等であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにすることができる車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、二次衝突時、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方に移動させながら衝撃エネルギーを吸収するように嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理を施したことを特徴とする。
このように、本発明によれば、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、アッパーコラムの摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、アッパーコラムがスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手こじれ状態での操作となるため、操作力が大きくなる虞れがあるが、本発明では、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
なお、本明細書において、コラプス・ストロークは、コラプスする長さの意であり、コラプスは、塑性変形等により、衝撃エネルギーを吸収する意である。
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、二次衝突時、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方に移動させながら衝撃エネルギーを吸収するように嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理を施したことを特徴とする。
このように、本発明によれば、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、アッパーコラムの摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、アッパーコラムがスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手こじれ状態での操作となるため、操作力が大きくなる虞れがあるが、本発明では、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
なお、本明細書において、コラプス・ストロークは、コラプスする長さの意であり、コラプスは、塑性変形等により、衝撃エネルギーを吸収する意である。
図1は、本発明の第1実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図2A、2Bは、それぞれ図1(又は図8)のA−A線およびB−B線に沿った拡大断面図である。
図3は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図4は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図5は、本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図6は、図5又は図11のB−B線に沿った断面図である。
図7A、7B、7Cは、本発明の第3実施の形態に係り、図7Aは、スリーブの半断面図であり、図7Bは、インナーコラムの変形例の部分断面図であり、図7Cは、インナーコラムの更なる変形例の部分断面図である。
図8は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図9は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図10は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図11は、本発明の第5実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図12Aは、本発明の第6実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図であり、図12Bは、図12Aのb−b線に沿った断面図である。
図13Aは、本発明の第7実施の形態に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図であり、図13Bは、図13Aに示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
図14A−14Cは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図14Aは、その第1例の半断面図であり、図14Bは、第2例の半断面図及び背面図であり、図14Cは、第3例の半断面図である。
図15A−15Dは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図15Aは、その第4例の半断面図であり、図15Bは、第5例の半断面図であり、図15Cは、第6例の半断面図であり、図15Dは、第7例の半断面図である。
図2A、2Bは、それぞれ図1(又は図8)のA−A線およびB−B線に沿った拡大断面図である。
図3は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図4は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図5は、本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図6は、図5又は図11のB−B線に沿った断面図である。
図7A、7B、7Cは、本発明の第3実施の形態に係り、図7Aは、スリーブの半断面図であり、図7Bは、インナーコラムの変形例の部分断面図であり、図7Cは、インナーコラムの更なる変形例の部分断面図である。
図8は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図9は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図10は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図11は、本発明の第5実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図12Aは、本発明の第6実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図であり、図12Bは、図12Aのb−b線に沿った断面図である。
図13Aは、本発明の第7実施の形態に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図であり、図13Bは、図13Aに示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
図14A−14Cは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図14Aは、その第1例の半断面図であり、図14Bは、第2例の半断面図及び背面図であり、図14Cは、第3例の半断面図である。
図15A−15Dは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図15Aは、その第4例の半断面図であり、図15Bは、第5例の半断面図であり、図15Cは、第6例の半断面図であり、図15Dは、第7例の半断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図2Aおよび2Bは、それぞれ図1のA−A線および図1のB−B線に沿った断面図である。
図3は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図4は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図1及び図2A、2Bに示すように、本実施の形態は、センター保持式のチルト・テレスコピック調整装置の締付ロック機構の例である。インナーコラム1がアウターコラム2にテレスコピック摺動自在に嵌入してあり、両コラム1,2内に、ステアリングシャフト3が回転自在に支持してある。
アウターコラム2は、チルト・テレスコピック調整装置締付ロック機構の車体側ブラケット4の水平延在部104で適切な締付け部材(図示なし)により車体に支持してある。図2Aに示すように、車体側ブラケット4は、チルト調整用溝5a,5bを夫々形成しアウターコラム4を挟んで鉛直方向に延びる一対の側板部4a,4bを一体に有している。
アウターコラム2の外周側には、リング状部材6が設けてあり、リング状部材6は、略U字状の部材6aと、その両下端部を締め付けるボルト6bとから構成してある。
アウターコラム2には、リング状部材6の前後に一対のフランジ7a,7bが一体に設けてあり、車体側ブラケット4の両側板部4a,4bの間に挟持されるようになっている。
フランジ7aと7bとの間でアウターコラム2の下端には軸方向に延びるスリット2aが形成されており、両側板部材4a、4bにより一対のフランジ7a,7bが挟持されると、スリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径するようになっている。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック調整位置への締付を行うことができる。
車体側ブラケット4の一方の側板部4aの外側には、ボルト8aが設けてあり、その先端はリング状部材6に固設してある。
ボルト8aには、操作レバー9とカム・ロック機構が設けてある。このカム・ロック機構は、操作レバー9と一体的に回転する第1カム部材10と、非回転の第2カム部材11とから成る。第1カム部材10の回転に伴って、第1カム部材10の山部が第2カム部材の相手カム部に係合しながら軸方向に移動してロックまたはロック解除する。非回転の第2カム部材11とボルト8aとは回転的には一体に構成してある。すなわち、ボルト8aは非回転である。ボルト8aの頭部と操作レバー9との間には、スラスト軸受12が設けてある。
車体側ブラケット4の他方の側板部4bの外側には、ボルト8bが設けてあり、その中間部はリング状部材6に螺合してあり、その先端部は、アウターコラム2を貫通して、インナーコラム1に形成したテレスコピック調整用溝13に係合してある。 以上のように構成したチルト・テレスコピック調整装置締付ロック機構において、チルト・テレスコピック調整位置への締付時、操作レバー9を一方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1および第2カム部材10,11が相互に離間し、第1カム部材10がボルト8aを外方(図2A、2Bの左方)に押圧し、第2カム部材11が車体側ブラケット4の一方の側板部4aを内方(図2A、2Bの右方)に押圧する。
外方(図2A、2Bの左方)に押圧されたボルト8aは、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bを内方(図2A、2Bの左方)に引っ張り、これにより、ボルト8bが車体側ブラケット4の他方の側板部4bを内方(図2A、2Bの左方)に押圧する。
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々内方に押圧される結果、一対のフランジ7a,7bが側板部4a、4bにより挟持され、アウターコラム2のスリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径する。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック調整位置への締付をすることができる。
このように、両側から均等に両コラム1,2を締め付けているため、両コラム1,2のセンターを常に保持することができる。
チルト・テレスコピック調整位置からの解除時には、操作レバー9を他方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1および第2カム部材10,11が相互に近づき、第1カム部材10は、ボルト8aを内方(図2A、2Bの右方)に移動し、第2カム部材11は、車体側ブラケット4の一方の側板部4aへの押圧を解除して、一方の側板部4aを外方(図2A、2Bの左方)に開く。
ボルト8aが内方(図2A、2Bの右方)に移動する結果、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bの内方(図2の左方)への引っ張りを解除でき、これにより、車体側ブラケット4の他方の側板部4bは外方(図2A、2Bの右方)に開く。
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々外方に開く結果、一対のフランジ7a,7bが外方に拡がり、これにより、アウターコラム2のインナーコラム1に対する締め付けを解除することができる。
次に、本実施の形態では、図1に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に少なくともテレスコピック調整の長さ範囲にわたって、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、テレスコピック調整用溝13は、図2A、2Bに示すように、有底状の軸方向に延びる溝であって、図1や図3に示すように、その中央部から最後尾部になるにつれて、溝幅が順次小さくなるように形成してある。これにより、「EA」で示す箇所で、ボルト8bの先端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げることにより、衝撃エネルギーを吸収できるようになっている。なお、テレスコピック調整用溝13は、貫通孔であってもよい。アウターコラム2には、ボルト8aの先端に係合する溝13と同様なテレスコピック溝を形成しておき、ボルト8aと8bとの両方でエネルギー吸収をしても良い。
例えば、図1に示す状態(テレスコピック中立位置)の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピックの締付ロック機構に保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ボルト8bの先端が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1が図3に示す位置(テレスコピック調整最短位置)まで車両前方に移動すると、テレスコピック調整用溝13の溝幅が小さくなっている箇所(EA)に、ボルト8bの先端部が入り込む。
その後、図3から図4に示すように、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、ボルト8bの先端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げ、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。図4に示すように、テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
このように、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。低摩擦材処理は「EA」で示したエネルギー吸収用の摺接面部分に行なっても良い。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック調整の操作力が大きくなる虞れがある。本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整用操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
(第2実施の形態)
図5は、本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。本実施形態において、後述するアウターコラム2に一体のアウタージャケット102は電動パワーアシスト(EPS)のギヤボックスと一体になっている。
図6は、図5のB−B線に沿った断面図である。
本実施の形態は、コラムアシスト方式の電動パワーステアリング装置(EPS)を備え、アウタージャケットに直接締付ボルトを貫通させたタイプのチルト・テレスコピックの締付ロック機構の例である。水平部分104で車体に取付けられる車体側ブラケット4には、アウターコラム2を間にして鉛直方向に延びる一対の側板部4a,4bが一体に形成されている。これら側板部4a、4bの間で、アウターコラム2の後端に一体的に、インナーコラム1を包持して締付けるための厚肉状の一対の包持片30a,30bが形成してある。一対の包持片30a,30bの下端部は、側板部4a、4bに圧接されるべく側方に膨大した平面部をそれぞれ備え、その中間にはスリット30cが設けてある。
一対の包持片30a,30bの上側には、ストッパーボルト31が取付けてあり、ストッパーボルト31の下端は、インナーコラム1のテレスコピック調整用溝13に係合してある。
車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの間で、一対の包持片30a,30bの下方膨大部には、締付ボルト32が挿通してあり、締付ボルト32の先端ネジ部には、調整ナット33が螺合してあり、調整ナット33には、操作レバー9が取付ボルト34により取付けてある。
チルト・テレスコピック調整位置への締付時には、操作レバー9を回動すると、締付ボルト32は、図6の左方に移動して、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bを夫々内方に押圧する。その結果、一対の包持片30a,30bは、側板部4a、4bにより下方膨大部を介してその間のスリット30cを閉じるように挟持され、これにより、インナーコラム1を押圧して締め付けることができる。
チルト・テレスコピック解除時には、操作レバー9を逆方向に回動すると、締付ボルト32は、図6の右方に移動して、一対の側板部4a,4bと、一対の包持片30a,30bとを夫々相互に離間する。これにより、インナーコラム1への押圧を解除することができる。低摩擦材処理は、エネルギー吸収(EA)用の摺接面部分に行なっても良い。
次に、本実施の形態では、図5に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に少なくともテレスコピック調整の長さ範囲にわたり、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、テレスコピック調整用溝13は、図6に示すように、軸方向に延びる溝であって、その軸方向の中央部から最後尾部になるにつれて、溝幅が順次小さくなるように形成してある。これにより、ストッパーボルト31の下端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げることにより、衝撃エネルギーを吸収できるようになっている。なお、テレスコピック調整用溝13は、有底状溝であってもよい。
さらに、このテレスコピック調整用溝13とストッパーボルト31は、周方向に複数個設け、軸方向に位置をずらして、ピーク荷重の発生を防止してもよい。
例えば、図5に示す状態(テレスコピック中立位置)の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピック調整位置の締付ロック機構保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ストッパーボルト31の下端部が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1がテレスコピック調整最短位置まで車両前方に移動すると、テレスコピック調整用溝13の溝幅が小さくなっている箇所に、ストッパーボルト31の下端部が入り込む。
その後、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、ストッパーボルト31の下端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げ、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
このように、本実施の形態でも、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
図5に示す実施形態において、アウターコラム2に一体の抱持片30a、30bはEPSギヤボックスと一体化されているが、これは別体でも良い。
(第3実施の形態)
図7A−7Cは、本発明の第3実施の形態に係り、図7Aは、スリーブの半断面図であり、図7Bは、インナーコラムの変形例の部分断面図であり、図7Cは、インナーコラムの更なる変形例の部分断面図である。これらスリーブは、例えば図5に対するようなステアリングコラム装置のアウターコラム2とインナーコラム1との間に挿入される。
図7Aの例では、図5に示すステアリングコラム装置のアウターコラム2の内面で、両コラム嵌合部に相当する部位に、内面に低摩擦材処理を施したスリーブ14を嵌め込む。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、スリット14aを円周上に1箇所設ける。これにより、内面に低摩擦材処理を施すことが容易となる。低摩擦材処理後に、丸め加工が行えるからである。さらに、インナーコラムの外周に低摩擦処理をしても良い。
図7Bの例では、インナーコラム1の周方向に、複数個の突条15を形成している。コラプス時には、インナーコラム1の突条15がアウターコラム2内に圧入することにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収するようになっている。インナーコラムとアウターコラムとの少なくとも一方に低摩擦部材を塗布している。インナーコラム1の突条形成部分が、エネルギー吸収(EA)範囲となり、突条15より図7B中左方のインナーコラム1部分はテレスコピック調整範囲となる。
図7Cの例では、インナーコラム1は、小径部16a、中径部16b、及び大径部16cの順で、その径が順次大きくなるように形成してある。コラプス時には、インナーコラム1の小径部16a、中径部16b、及び大径部16cが順次アウターコラム2内に圧入することにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収するようになっている。インナーコラム1は、その径を変形する際、楕円状に形成してあってもよい。インナーコラムとアウターコラムとの少なくとも一方に低摩擦材を塗布している。
このように、本発明では、衝撃吸収方式としては、アウターコラム2内に圧入する方式であっても、上記第1及び第2の実施の形態のように、テレスコピック溝調整用13を押し拡げる方式であってもよく、また、これらの各方式を組み合わせたものであってもよい。これらの方式に限らず、アウターコラムとインナーコラムの相対移動を利用したエネルギー吸収方式であれば、他の方式でも良い。
(第4実施の形態)
図8は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
図2Aは、図8のA−A線に沿った断面図である。本実施形態において、チルト・テレスコ調整機構は第2実施形態のものと同じである。
図9は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図10は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
本実施の形態では、図8に示すように、インナーコラム1の外周面に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製の環状ダンパー21が一体的に設けてある。
図9に示すように、金属製リング20とダンパー21は、テレスコピック調整を最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
また、図8に示す状態の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピック調整位置への締付ロック機構に保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ボルト8bの先端が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、図9に示すように、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、図9から図10に示すように、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。図10に示すように、テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図8に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、特に少なくともコラプス摺動面に低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、エネルギー吸収範囲における摺接面でも良い。二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
このように、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
(第5実施の形態)
図11は、本発明の第5実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。本実施形態において、チルト・テレスコ機構は第2実施形態と同じである。
図6は、図11のB−B線に沿った断面図である。
本実施の形態では、図11に示すように、インナーコラム1に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
金属製リング20とダンパー21は、テレスコピック調整を最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
また、二次衝突が発生し、インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
本実施形態において、アウターコラム2に一体のアウタージャケット102は、電動パワーアシスト機構(EPS)のハウジングと一体に形成されている。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図11に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、上述したとおりであり、リングよりも前方の少なくともテレスコピック摺接範囲に行うが、リングよりも後方であっても良い。
このように、本実施の形態でも、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック操作力を小さくすることができ、テレスコピック操作をスムーズに行うことができる。
(第6実施の形態)
図12Aは、本発明の第6実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、図12Bは、図12Aのb−b線に沿った断面図である。
本実施の形態では、金属製リング20は、前述した如き低摩擦処理を施したインナーコラム40の外周面に嵌合してあり、半分に分割した一対の半割体20a,20bから構成してある。これら一対の半割体20a,20bは、その上下端で、一対のボルト51,52により締付けてある。これらの半割体20a,20bの上に、ゴムや合成樹脂製のダンパー21が被覆してある。
このように、一対のボルト51,52の締付力を変えて2つの半割体20a、20bのすき間を変更すると、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することができ、上述した実施の形態に比べて、コラプス荷重の設定や調整をより一層簡易に行うことができる。
(第7実施の形態)
図13Aは、本発明の第7実施の形態に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、図13Bは、図13Aに示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
本実施の形態は、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック調整式であり、車体側ブラケット60を一体的に形成したアウターコラム62に、インナーコラム61が通常時摺動しないように圧入嵌合してあり、両コラム61,62内には、ステアリングシャフト63が回転自在に支持してある。但し、二次衝突時には、インナーコラム61は、アウターコラム62に対して車両前方に移動できるようになっている。
次に、本実施の形態では、インナーコラム61に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム62側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
二次衝突が発生し、インナーコラム61が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム62の後端部に衝突する。その後、インナーコラム61は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム62の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム61の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図13A、13Bに示すように、両コラム61,62の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、上述したとおりである。低摩擦材処理は両コラム61、62の圧入嵌合部もしくはエネルギー吸収部に施す。
本実施の形態では、両コラム61,62の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム61,62の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム61の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム61,62の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム61の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。
(第8実施の形態)
図14A−14Cは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図14Aは、その第1例の半断面図であり、図14Bは、第2例の半断面図及び背面図であり、図14Cは、第3例の半断面図である。第8実施形態は上述した第4−第7実施形態に適用可能である。
図15A−15Dは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図15Aは、その第4例の半断面図であり、図15Bは、第5例の半断面図であり、図15Cは、第6例の半断面図であり、図15Dは、第7例の半断面図である。
図14A−14Cおよび図15A−15Dにおいて、それぞれ右方が車両後方であり、左方が車両前方側である。各図において、車両前方および後方の構成は、図11においてリング20およびダンパー21の前方および後方の構成と同じである。本実施形態の場合、衝突時、リング20とアウタージャケットとが衝突し、次いでコラプスが進行しリング70にアウタージャケットが衝突してエネルギーを吸収する。
図14Aの第1例では、第4実施形態におけるように圧入嵌合した金属製リング20とダンパー21に加えて、別の金属製リング70がステアリングコラム81の軸方向で別の箇所に設けてある。
図14Bの第2例では、ステアリングコラム81に、周方向に均等に4箇所の突条部82が形成してある。各突条部82は、軸方向に延在している。これら突条部82の外周側に、金属製リング20とダンパー21が圧入嵌合してある。なお、突条部は、図示のように塑性変形部材であってもよく、また、切り起こしにより形成してあってもよい。
図14Cの第3例では、突条部82の車両前方側に、第4実施形態におけると同様な金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を段階的に大きくして、コラプス荷重を増大している。
図15Aの第4例では、ステアリングコラム81は、小径部81aと、中径部81bと、大径部81cとから構成してあり、小径部81aに、第4実施形態におけると同様な金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を3段階に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。また、大、中および小径部の長さを適宜変えることにより、コラプス特性を自由に変えることができる。
図15Bの第5例では、小径部81aと、大径部81cとの間に、テーパー部81dが形成してあり、小径部81aに、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を除々に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。
図15Cの第6例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側が薄肉化してあると共に、抜き孔83を有している。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
図15Dの第7例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側で、その外径側が薄肉化してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。本発明は、電動パワーステアリング式にも適用可能であり、コラムタイプ電動パワーステアリングの場合は、特にコラプス量を十分に設定することが困難なことから、極めて有効である。また、本発明は、チルト式やテレスコピック式にも、適用可能である。
以上説明したように、本発明によれば、ステアリングコラム装置がテレスコピック調整式の場合は、両コラムのテレスコ調整部の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、そしてステアリングコラム装置がノンテレスコピック調整式の場合は、両コラムの圧入嵌合部に低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、アッパーコラムの摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、アッパーコラムがスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック操作時、片手こじれ状態での操作となるため、操作力が大きくなる虞れがあるが、本発明では、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック操作力を小さくすることができ、テレスコピック操作をスムーズに行うことができる。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。
図2Aおよび2Bは、それぞれ図1のA−A線および図1のB−B線に沿った断面図である。
図3は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図4は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
図1及び図2A、2Bに示すように、本実施の形態は、センター保持式のチルト・テレスコピック調整装置の締付ロック機構の例である。インナーコラム1がアウターコラム2にテレスコピック摺動自在に嵌入してあり、両コラム1,2内に、ステアリングシャフト3が回転自在に支持してある。
アウターコラム2は、チルト・テレスコピック調整装置締付ロック機構の車体側ブラケット4の水平延在部104で適切な締付け部材(図示なし)により車体に支持してある。図2Aに示すように、車体側ブラケット4は、チルト調整用溝5a,5bを夫々形成しアウターコラム4を挟んで鉛直方向に延びる一対の側板部4a,4bを一体に有している。
アウターコラム2の外周側には、リング状部材6が設けてあり、リング状部材6は、略U字状の部材6aと、その両下端部を締め付けるボルト6bとから構成してある。
アウターコラム2には、リング状部材6の前後に一対のフランジ7a,7bが一体に設けてあり、車体側ブラケット4の両側板部4a,4bの間に挟持されるようになっている。
フランジ7aと7bとの間でアウターコラム2の下端には軸方向に延びるスリット2aが形成されており、両側板部材4a、4bにより一対のフランジ7a,7bが挟持されると、スリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径するようになっている。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック調整位置への締付を行うことができる。
車体側ブラケット4の一方の側板部4aの外側には、ボルト8aが設けてあり、その先端はリング状部材6に固設してある。
ボルト8aには、操作レバー9とカム・ロック機構が設けてある。このカム・ロック機構は、操作レバー9と一体的に回転する第1カム部材10と、非回転の第2カム部材11とから成る。第1カム部材10の回転に伴って、第1カム部材10の山部が第2カム部材の相手カム部に係合しながら軸方向に移動してロックまたはロック解除する。非回転の第2カム部材11とボルト8aとは回転的には一体に構成してある。すなわち、ボルト8aは非回転である。ボルト8aの頭部と操作レバー9との間には、スラスト軸受12が設けてある。
車体側ブラケット4の他方の側板部4bの外側には、ボルト8bが設けてあり、その中間部はリング状部材6に螺合してあり、その先端部は、アウターコラム2を貫通して、インナーコラム1に形成したテレスコピック調整用溝13に係合してある。 以上のように構成したチルト・テレスコピック調整装置締付ロック機構において、チルト・テレスコピック調整位置への締付時、操作レバー9を一方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1および第2カム部材10,11が相互に離間し、第1カム部材10がボルト8aを外方(図2A、2Bの左方)に押圧し、第2カム部材11が車体側ブラケット4の一方の側板部4aを内方(図2A、2Bの右方)に押圧する。
外方(図2A、2Bの左方)に押圧されたボルト8aは、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bを内方(図2A、2Bの左方)に引っ張り、これにより、ボルト8bが車体側ブラケット4の他方の側板部4bを内方(図2A、2Bの左方)に押圧する。
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々内方に押圧される結果、一対のフランジ7a,7bが側板部4a、4bにより挟持され、アウターコラム2のスリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径する。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック調整位置への締付をすることができる。
このように、両側から均等に両コラム1,2を締め付けているため、両コラム1,2のセンターを常に保持することができる。
チルト・テレスコピック調整位置からの解除時には、操作レバー9を他方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1および第2カム部材10,11が相互に近づき、第1カム部材10は、ボルト8aを内方(図2A、2Bの右方)に移動し、第2カム部材11は、車体側ブラケット4の一方の側板部4aへの押圧を解除して、一方の側板部4aを外方(図2A、2Bの左方)に開く。
ボルト8aが内方(図2A、2Bの右方)に移動する結果、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bの内方(図2の左方)への引っ張りを解除でき、これにより、車体側ブラケット4の他方の側板部4bは外方(図2A、2Bの右方)に開く。
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々外方に開く結果、一対のフランジ7a,7bが外方に拡がり、これにより、アウターコラム2のインナーコラム1に対する締め付けを解除することができる。
次に、本実施の形態では、図1に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に少なくともテレスコピック調整の長さ範囲にわたって、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、テレスコピック調整用溝13は、図2A、2Bに示すように、有底状の軸方向に延びる溝であって、図1や図3に示すように、その中央部から最後尾部になるにつれて、溝幅が順次小さくなるように形成してある。これにより、「EA」で示す箇所で、ボルト8bの先端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げることにより、衝撃エネルギーを吸収できるようになっている。なお、テレスコピック調整用溝13は、貫通孔であってもよい。アウターコラム2には、ボルト8aの先端に係合する溝13と同様なテレスコピック溝を形成しておき、ボルト8aと8bとの両方でエネルギー吸収をしても良い。
例えば、図1に示す状態(テレスコピック中立位置)の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピックの締付ロック機構に保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ボルト8bの先端が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1が図3に示す位置(テレスコピック調整最短位置)まで車両前方に移動すると、テレスコピック調整用溝13の溝幅が小さくなっている箇所(EA)に、ボルト8bの先端部が入り込む。
その後、図3から図4に示すように、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、ボルト8bの先端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げ、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。図4に示すように、テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
このように、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。低摩擦材処理は「EA」で示したエネルギー吸収用の摺接面部分に行なっても良い。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック調整の操作力が大きくなる虞れがある。本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整用操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
(第2実施の形態)
図5は、本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。本実施形態において、後述するアウターコラム2に一体のアウタージャケット102は電動パワーアシスト(EPS)のギヤボックスと一体になっている。
図6は、図5のB−B線に沿った断面図である。
本実施の形態は、コラムアシスト方式の電動パワーステアリング装置(EPS)を備え、アウタージャケットに直接締付ボルトを貫通させたタイプのチルト・テレスコピックの締付ロック機構の例である。水平部分104で車体に取付けられる車体側ブラケット4には、アウターコラム2を間にして鉛直方向に延びる一対の側板部4a,4bが一体に形成されている。これら側板部4a、4bの間で、アウターコラム2の後端に一体的に、インナーコラム1を包持して締付けるための厚肉状の一対の包持片30a,30bが形成してある。一対の包持片30a,30bの下端部は、側板部4a、4bに圧接されるべく側方に膨大した平面部をそれぞれ備え、その中間にはスリット30cが設けてある。
一対の包持片30a,30bの上側には、ストッパーボルト31が取付けてあり、ストッパーボルト31の下端は、インナーコラム1のテレスコピック調整用溝13に係合してある。
車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの間で、一対の包持片30a,30bの下方膨大部には、締付ボルト32が挿通してあり、締付ボルト32の先端ネジ部には、調整ナット33が螺合してあり、調整ナット33には、操作レバー9が取付ボルト34により取付けてある。
チルト・テレスコピック調整位置への締付時には、操作レバー9を回動すると、締付ボルト32は、図6の左方に移動して、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bを夫々内方に押圧する。その結果、一対の包持片30a,30bは、側板部4a、4bにより下方膨大部を介してその間のスリット30cを閉じるように挟持され、これにより、インナーコラム1を押圧して締め付けることができる。
チルト・テレスコピック解除時には、操作レバー9を逆方向に回動すると、締付ボルト32は、図6の右方に移動して、一対の側板部4a,4bと、一対の包持片30a,30bとを夫々相互に離間する。これにより、インナーコラム1への押圧を解除することができる。低摩擦材処理は、エネルギー吸収(EA)用の摺接面部分に行なっても良い。
次に、本実施の形態では、図5に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に少なくともテレスコピック調整の長さ範囲にわたり、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、テレスコピック調整用溝13は、図6に示すように、軸方向に延びる溝であって、その軸方向の中央部から最後尾部になるにつれて、溝幅が順次小さくなるように形成してある。これにより、ストッパーボルト31の下端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げることにより、衝撃エネルギーを吸収できるようになっている。なお、テレスコピック調整用溝13は、有底状溝であってもよい。
さらに、このテレスコピック調整用溝13とストッパーボルト31は、周方向に複数個設け、軸方向に位置をずらして、ピーク荷重の発生を防止してもよい。
例えば、図5に示す状態(テレスコピック中立位置)の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピック調整位置の締付ロック機構保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ストッパーボルト31の下端部が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1がテレスコピック調整最短位置まで車両前方に移動すると、テレスコピック調整用溝13の溝幅が小さくなっている箇所に、ストッパーボルト31の下端部が入り込む。
その後、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、ストッパーボルト31の下端部がテレスコピック調整用溝13を順次押し拡げ、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
このように、本実施の形態でも、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
図5に示す実施形態において、アウターコラム2に一体の抱持片30a、30bはEPSギヤボックスと一体化されているが、これは別体でも良い。
(第3実施の形態)
図7A−7Cは、本発明の第3実施の形態に係り、図7Aは、スリーブの半断面図であり、図7Bは、インナーコラムの変形例の部分断面図であり、図7Cは、インナーコラムの更なる変形例の部分断面図である。これらスリーブは、例えば図5に対するようなステアリングコラム装置のアウターコラム2とインナーコラム1との間に挿入される。
図7Aの例では、図5に示すステアリングコラム装置のアウターコラム2の内面で、両コラム嵌合部に相当する部位に、内面に低摩擦材処理を施したスリーブ14を嵌め込む。低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
また、スリット14aを円周上に1箇所設ける。これにより、内面に低摩擦材処理を施すことが容易となる。低摩擦材処理後に、丸め加工が行えるからである。さらに、インナーコラムの外周に低摩擦処理をしても良い。
図7Bの例では、インナーコラム1の周方向に、複数個の突条15を形成している。コラプス時には、インナーコラム1の突条15がアウターコラム2内に圧入することにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収するようになっている。インナーコラムとアウターコラムとの少なくとも一方に低摩擦部材を塗布している。インナーコラム1の突条形成部分が、エネルギー吸収(EA)範囲となり、突条15より図7B中左方のインナーコラム1部分はテレスコピック調整範囲となる。
図7Cの例では、インナーコラム1は、小径部16a、中径部16b、及び大径部16cの順で、その径が順次大きくなるように形成してある。コラプス時には、インナーコラム1の小径部16a、中径部16b、及び大径部16cが順次アウターコラム2内に圧入することにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収するようになっている。インナーコラム1は、その径を変形する際、楕円状に形成してあってもよい。インナーコラムとアウターコラムとの少なくとも一方に低摩擦材を塗布している。
このように、本発明では、衝撃吸収方式としては、アウターコラム2内に圧入する方式であっても、上記第1及び第2の実施の形態のように、テレスコピック溝調整用13を押し拡げる方式であってもよく、また、これらの各方式を組み合わせたものであってもよい。これらの方式に限らず、アウターコラムとインナーコラムの相対移動を利用したエネルギー吸収方式であれば、他の方式でも良い。
(第4実施の形態)
図8は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
図2Aは、図8のA−A線に沿った断面図である。本実施形態において、チルト・テレスコ調整機構は第2実施形態のものと同じである。
図9は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック調整最短状態を示す図である。
図10は、図8に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
本実施の形態では、図8に示すように、インナーコラム1の外周面に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製の環状ダンパー21が一体的に設けてある。
図9に示すように、金属製リング20とダンパー21は、テレスコピック調整を最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
また、図8に示す状態の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピック調整位置への締付ロック機構に保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック調整用溝13に、ボルト8bの先端が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、図9に示すように、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、図9から図10に示すように、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。図10に示すように、テレスコピック調整用溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプスが終了する。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図8に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、特に少なくともコラプス摺動面に低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、エネルギー吸収範囲における摺接面でも良い。二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、グリース等の潤滑剤の塗布のいずれかであるが、これらに限定されるものではない。
このように、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、インナーコラム1がスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック調整操作力を小さくすることができ、テレスコピック調整操作をスムーズに行うことができる。
(第5実施の形態)
図11は、本発明の第5実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック調整式のステアリングコラム装置の側面図である。本実施形態において、チルト・テレスコ機構は第2実施形態と同じである。
図6は、図11のB−B線に沿った断面図である。
本実施の形態では、図11に示すように、インナーコラム1に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
金属製リング20とダンパー21は、テレスコピック調整を最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
また、二次衝突が発生し、インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
本実施形態において、アウターコラム2に一体のアウタージャケット102は、電動パワーアシスト機構(EPS)のハウジングと一体に形成されている。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図11に示すように、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、上述したとおりであり、リングよりも前方の少なくともテレスコピック摺接範囲に行うが、リングよりも後方であっても良い。
このように、本実施の形態でも、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム1の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム1,2の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム1の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック調整操作時、片手で操作すると、アウターコラムとインナーコラムとがこじれてしまい、テレスコピック操作力が大きくなる虞れがあるが、本実施の形態では、両コラム1,2の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム1,2の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック操作力を小さくすることができ、テレスコピック操作をスムーズに行うことができる。
(第6実施の形態)
図12Aは、本発明の第6実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、図12Bは、図12Aのb−b線に沿った断面図である。
本実施の形態では、金属製リング20は、前述した如き低摩擦処理を施したインナーコラム40の外周面に嵌合してあり、半分に分割した一対の半割体20a,20bから構成してある。これら一対の半割体20a,20bは、その上下端で、一対のボルト51,52により締付けてある。これらの半割体20a,20bの上に、ゴムや合成樹脂製のダンパー21が被覆してある。
このように、一対のボルト51,52の締付力を変えて2つの半割体20a、20bのすき間を変更すると、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することができ、上述した実施の形態に比べて、コラプス荷重の設定や調整をより一層簡易に行うことができる。
(第7実施の形態)
図13Aは、本発明の第7実施の形態に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、図13Bは、図13Aに示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
本実施の形態は、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック調整式であり、車体側ブラケット60を一体的に形成したアウターコラム62に、インナーコラム61が通常時摺動しないように圧入嵌合してあり、両コラム61,62内には、ステアリングシャフト63が回転自在に支持してある。但し、二次衝突時には、インナーコラム61は、アウターコラム62に対して車両前方に移動できるようになっている。
次に、本実施の形態では、インナーコラム61に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム62側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
二次衝突が発生し、インナーコラム61が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム62の後端部に衝突する。その後、インナーコラム61は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム62の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム61の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
また、本実施の形態では、図13A、13Bに示すように、両コラム61,62の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してある。低摩擦材処理は、上述したとおりである。低摩擦材処理は両コラム61、62の圧入嵌合部もしくはエネルギー吸収部に施す。
本実施の形態では、両コラム61,62の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラム61,62の嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、インナーコラム61の摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラム61,62の嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、インナーコラム61の車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。
(第8実施の形態)
図14A−14Cは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図14Aは、その第1例の半断面図であり、図14Bは、第2例の半断面図及び背面図であり、図14Cは、第3例の半断面図である。第8実施形態は上述した第4−第7実施形態に適用可能である。
図15A−15Dは、本発明の第8実施の形態に係るステアリングコラムの半断面図であり、図15Aは、その第4例の半断面図であり、図15Bは、第5例の半断面図であり、図15Cは、第6例の半断面図であり、図15Dは、第7例の半断面図である。
図14A−14Cおよび図15A−15Dにおいて、それぞれ右方が車両後方であり、左方が車両前方側である。各図において、車両前方および後方の構成は、図11においてリング20およびダンパー21の前方および後方の構成と同じである。本実施形態の場合、衝突時、リング20とアウタージャケットとが衝突し、次いでコラプスが進行しリング70にアウタージャケットが衝突してエネルギーを吸収する。
図14Aの第1例では、第4実施形態におけるように圧入嵌合した金属製リング20とダンパー21に加えて、別の金属製リング70がステアリングコラム81の軸方向で別の箇所に設けてある。
図14Bの第2例では、ステアリングコラム81に、周方向に均等に4箇所の突条部82が形成してある。各突条部82は、軸方向に延在している。これら突条部82の外周側に、金属製リング20とダンパー21が圧入嵌合してある。なお、突条部は、図示のように塑性変形部材であってもよく、また、切り起こしにより形成してあってもよい。
図14Cの第3例では、突条部82の車両前方側に、第4実施形態におけると同様な金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を段階的に大きくして、コラプス荷重を増大している。
図15Aの第4例では、ステアリングコラム81は、小径部81aと、中径部81bと、大径部81cとから構成してあり、小径部81aに、第4実施形態におけると同様な金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を3段階に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。また、大、中および小径部の長さを適宜変えることにより、コラプス特性を自由に変えることができる。
図15Bの第5例では、小径部81aと、大径部81cとの間に、テーパー部81dが形成してあり、小径部81aに、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を除々に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。
図15Cの第6例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側が薄肉化してあると共に、抜き孔83を有している。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
図15Dの第7例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側で、その外径側が薄肉化してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。本発明は、電動パワーステアリング式にも適用可能であり、コラムタイプ電動パワーステアリングの場合は、特にコラプス量を十分に設定することが困難なことから、極めて有効である。また、本発明は、チルト式やテレスコピック式にも、適用可能である。
以上説明したように、本発明によれば、ステアリングコラム装置がテレスコピック調整式の場合は、両コラムのテレスコ調整部の嵌合部における一方又は両方の摺動面に、そしてステアリングコラム装置がノンテレスコピック調整式の場合は、両コラムの圧入嵌合部に低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、アッパーコラムの摺動荷重を小さくすることができる。従って、両コラムの嵌合長が比較的短い場合、又はステアリングホイール取付角が大きい場合であっても、アッパーコラムの車両前方への動き出しをスムーズにすることができる。
その結果、その後のコラプスをスムーズに行うことができ、衝撃エネルギーの吸収をコントロールし易くなる。また、アッパーコラムがスムーズに動き出す結果、こじれ荷重が両コラムに作用することがなく、コラプスをスムーズに行うことができる。
また、テレスコピック調整式の場合には、テレスコピック操作時、片手こじれ状態での操作となるため、操作力が大きくなる虞れがあるが、本発明では、両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理が施してあるため、両コラムの嵌合部の摺動面の摩擦係数を低減して、テレスコピック操作力を小さくすることができ、テレスコピック操作をスムーズに行うことができる。
Claims (5)
- 二次衝突時、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方に移動させながら衝撃エネルギーを吸収するように嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの嵌合部における一方又は両方の摺動面に、低摩擦材処理を施したことを特徴とする車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプであることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- コラムアシスト方式の電動パワーステアリングタイプであり、且つ、テレスコピック調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
- 二次衝突時、車体に固定したロアーコラムに対して、アッパーコラムを車両前方に移動させながら衝撃エネルギーを吸収するように嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの嵌合部に、低摩擦材処理を施したスリーブを介装したことを特徴とする車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。 - 前記低摩擦材処理は、二硫化モリブデンの焼付け、フッ素樹脂焼付け、二硫化モリブデンとフッ素樹脂の混合焼付け、セラミックスコーティング、金属石ケン処理、低摩擦メッキ処理、潤滑剤の塗布のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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