JP4078893B2 - 車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents

車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置 Download PDF

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  • Steering Controls (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次衝突時のコラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ステアリングコラム装置において、運転者の運転姿勢に応じてステアリングコラムを軸方向に調整できるテレスコピック式では、例えば、車体に固定したアウターコラムに、インナーコラムがテレスコピック摺動自在に嵌合してある。
【0003】
また、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック式においても、例えば、車体に固定したアウターコラムに、インナーコラムが通常時には摺動しないように嵌合してある。
【0004】
このようなテレスコピック式又はノン・テレスコピック式において、二次衝突時には、例えば、アウターコラムに対して、インナーコラムを摩擦摺動させながら、コラプス荷重を発生させて、衝撃エネルギーを吸収している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなテレスコピック式又はノン・テレスコピック式における衝撃吸収方式では、両コラムの嵌合部で発生するコラプス荷重は、嵌合状態に左右され、不足することが多く、逆に、嵌合状態を強くし過ぎると、ステアリングコラムの摩擦摺動が困難になる。このようなことから、コラプス荷重の設定や調整が困難であるといったことがある。
【0006】
なお、テレスコピック式において、インナーコラムの外周面に、ダンパーとその支持部材とを嵌合したものがあるが、このダンパーと支持部材は、テレスコピック摺動を規制する際、アウターコラムとの当接により発生する打音を防止する働きをするのみであり、二次衝突時の衝撃エネルギーを吸収するといったものはない。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、二次衝突時のコラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、車体側部材に対して、ステアリングコラムをテレスコピック摺動自在に設けると共に、二次衝突時に当該ステアリングコラムを車両前方に移動させるテレスコピック式の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記ステアリングコラムの外周面に、テレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用すると共に、二次衝突時に前記車体側部材に係止して、車両前方に移動する前記ステアリングコラムに対して摩擦摺動しながら衝撃エネルギーを吸収する金属製リングを嵌合したことを特徴とする。
【0009】
このように、請求項1によれば、テレスコピック式において、ステアリングコラム(例えば、インナーコラム)の外周面に、金属製リングが嵌合してあり、この金属製リングは、テレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用すると共に、二次衝突時に車体側部材(例えば、アウターコラム、車体側ブラケット)に係止して、車両前方に移動するステアリングコラム(例えば、インナーコラム)に対して摩擦摺動しながら衝撃エネルギーを吸収する働きをする。
【0010】
従って、この金属製リングの嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0011】
また、請求項2に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記金属製リングに、テレスコピック摺動を規制する際、前記車体側部材との当接により発生する打音を防止するダンパーを設けたことを特徴とする。
【0012】
このように、請求項2によれば、金属製リングに設けたダンパーにより、テレスコピック摺動を規制する際に、車体側部材(例えば、アウターコラム、車体側ブラケット)との当接により発生する打音を防止することができると共に、その衝撃をも抑えることができる。
【0016】
なお、本発明は、電動パワーステアリング式にも適用可能であり、コラムタイプ電動パワーステアリングの場合は、特にコラプス量を十分に設定することが困難なことから、極めて有効である。また、本発明は、チルト式にも、適用可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
【0019】
図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。
【0020】
図3は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック最短状態を示す図である。
【0021】
図4は、図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施の形態は、センター保持式のチルト・テレスコピックの締付ロック機構の例である。インナーコラム1がアウターコラム2にテレスコピック摺動自在に嵌入してあり、両コラム1,2内に、ステアリングシャフト3が回転自在に支持してある。
【0023】
アウターコラム2は、チルト・テレスコピックの締付ロック機構の車体側ブラケット4により車体に支持してある。図2に示すように、車体側ブラケット4は、チルト溝5a,5bを夫々形成した一対の側板部4a,4bを有している。
【0024】
アウターコラム2の外周側には、リング状部材6が設けてあり、リング状部材6は、略U字状の部材6aと、その両下端部を締め付けるボルト6bとから構成してある。
【0025】
アウターコラム2の端部には、図2に破線で示す一対のフランジ7a,7bが設けてあり、車体側ブラケット4の両側板部4a,4bの間に挟持されるようになっている。
【0026】
一対のフランジ7a,7bが挟持されると、アウターコラム2の下端に形成したスリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径するようになっている。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック締付を行うことができる。
【0027】
車体側ブラケット4の一方の側板部4aの外側には、ボルト8aが設けてあり、その先端はリング状部材6に螺合してある。
【0028】
ボルト8aには、操作レバー9とカム・ロック機構が設けてある。このカム・ロック機構は、操作レバー9と一体的に回転する第1カム部材10と、この第1カム部材10の回転に伴って、第1カム部材10の山部または谷部に係合しながら軸方向に移動してロックまたはロック解除する非回転の第2カム部材11とから構成してある。なお、ボルト8aの頭部と操作レバー9との間には、スラスト軸受12が設けてある。
【0029】
車体側ブラケット4の他方の側板部4bの外側には、ボルト8bが設けてあり、その中間部はリング状部材6に螺合してあり、その先端部は、アウターコラム2を貫通して、インナーコラム1に形成したテレスコピック溝13に係合してある。なお、このテレスコピック溝13は、図2に示すように、有底状の軸方向に延びるレール状の溝であって、その長さは、図1に示すように、コラプス・ストローク分に設定してある。なお、テレスコピック溝13は、慣通孔であってもよい。
【0030】
以上のように構成したチルト・テレスコピックの締付ロック機構において、チルト・テレスコピック締付時、操作レバー9を一方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1・第2カム部材10,11が相互に離間し、第1カム部材10がボルト8aを外方(図2の左方)に押圧し、第2カム部材11が車体側ブラケット4の一方の側板部4aを内方(図2の右方)に押圧する。
【0031】
外方(図2の左方)に押圧されたボルト8aは、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bを内方(図2の左方)に引っ張り、これにより、ボルト8bが車体側ブラケット4の他方の側板部4bを内方(図2の左方)に押圧する。
【0032】
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々内方に押圧される結果、図2に破線で示す一対のフランジ7a,7bが挟持され、アウターコラム2のスリット2aが閉じて、アウターコラム2が縮径する。これにより、アウターコラム2がインナーコラム1を押圧して、チルト・テレスコピック締付をすることができる。
【0033】
このように、両側から均等に両コラム1,2を締め付けているため、両コラム1,2のセンターを常に保持することができ、ステアリングシャフトの心ズレを抑えることができる。
【0034】
チルト・テレスコピック解除時には、操作レバー9を他方向に回動すると、カム・ロック機構の作用により、第1・第2カム部材10,11が相互に近づき、第1カム部材10は、ボルト8aを内方(図2の右方)に移動し、第2カム部材11は、車体側ブラケット4の一方の側板部4aへの押圧を解除して、一方の側板部4aを外方(図2の左方)に開く。
【0035】
ボルト8aが内方(図2の右方)に移動する結果、リング状部材6を介して、反対側のボルト8bの内方(図2の左方)への引っ張りを解除でき、これにより、車体側ブラケット4の他方の側板部4bは外方(図2の右方)に開く。
【0036】
このように、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bが夫々外方に開く結果、図2に破線で示す一対のフランジ7a,7bが外方に拡がり、これにより、アウターコラム2のインナーコラム1に対する締め付けを解除することができる。
【0037】
次に、本実施の形態では、図1に示すように、インナーコラム1の外周面に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
【0038】
図3に示すように、金属製リング20とダンパー21は、テレスコピックを最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
【0039】
また、図1に示す状態の時、二次衝突が発生したとすると、チルト・テレスコピックの締付ロック機構に保持力以上の負荷が加わり、テレスコピック溝13に、ボルト8bの先端が係合しながら、車体に固定したアウターコラム2に対して、インナーコラム1が車両前方に移動する。
【0040】
インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、図3に示すように、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、図3から図4に示すように、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。図4に示すように、テレスコピック溝13の最後尾までインナーコラム1が移動すると、コラプス・ストロークが終了する。
【0041】
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0042】
(第2実施の形態)
図5は、本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
【0043】
図6は、図5のB−B線に沿った断面図である。
【0044】
本実施の形態は、センター・ズラシ保持式のチルト・テレスコピックの締付ロック機構の例である。車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの間であって、アウターコラム2の後端に一体的に、インナーコラム1を包持して締付けるための厚肉状の一対の包持片30a,30bが形成してある。一対の包持片30a,30bの下端部の間には、スリット30cが設けてある。
【0045】
一対の包持片30a,30bの上側には、ストッパーボルト31が取付けてあり、ストッパーボルト31の下端は、インナーコラム1のテレスコピック溝13に係合してある。
【0046】
車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの間で、一対の包持片30a,30bの下方部には、締付ボルト32が通挿してあり、締付ボルト32の先端ネジ部には、調整ナット33が螺合してあり、調整ナット33には、操作レバー9が取付ボルト34により取付けてある。
【0047】
チルト・テレスコピック締付時には、操作レバー9を回動すると、締付ボルト32は、図6の左方に移動して、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bを夫々内方に押圧する。その結果、一対の包持片30a,30bは、その間のスリット30cを閉じるように挟持され、これにより、インナーコラム1を押圧して締め付けることができる。
【0048】
チルト・テレスコピック解除時には、操作レバー9を逆方向に回動すると、締付ボルト32は、図6の右方に移動して、一対の側板部4a,4bと、一対の包持片30a,30bとを夫々相互に離間する。これにより、インナーコラム1への押圧を解除することができる。
【0049】
次に、本実施の形態では、図5に示すように、インナーコラム1に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
【0050】
金属製リング20とダンパー21は、テレスコピックを最短状態に調整した際、アウターコラム2に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
【0051】
また、二次衝突が発生し、インナーコラム1が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム2の後端部に衝突する。その後、インナーコラム1は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム2の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム1の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
【0052】
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0053】
(第3実施の形態)
図7(a)は、本発明の第3実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)に示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
【0054】
本実施の形態では、ステアリングコラム40に、テレスコピック溝42を形成したディスタンスブラケット41が取付けてある。
【0055】
ディスタンスブラケット41は、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの間に挟持してあり、テレスコピック溝42には、締付ボルト43が通挿してある。締付ボルト43には、調整ナット44と操作レバー9が取付けてある。
【0056】
次に、本実施の形態では、図7(a)に示すように、ステアリングコラム40に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム2側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
【0057】
特に、本実施の形態では、図7(b)に示すように、金属製リング20とダンパー21は、両側方に拡がった形状に形成してあり、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの後端部に当接(衝突)自在に構成してある。
【0058】
このように構成してあるため、金属製リング20とダンパー21は、テレスコピックを最短状態に調整した際、車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの後端部に当接してテレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用する。また、この際、ダンパー21は、アウターコラム2との当接により発生する打音を防止すると共に、その衝撃をも抑える。
【0059】
また、二次衝突が発生し、ステアリングコラム40が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21が車体側ブラケット4の一対の側板部4a,4bの後端部に衝突する。その後、ステアリングコラム40は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、一対の側板部4a,4bの後端部に係止しながら、車両前方に移動するステアリングコラム40の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
【0060】
以上から、本実施の形態では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0061】
(第4実施の形態)
図8(a)は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)のb−b線に沿った断面図である。
【0062】
本実施の形態では、金属製リング20は、半分に分割した一対の半割体20a,20bから構成してある。これら一対の半割体20a,20bは、その上下端で、一対のボルト51,52により締付けてある。これらの半割体20a,20bの上に、ゴムや合成樹脂製のダンパー21が被覆してある。
【0063】
このように、一対のボルト51,52の締付力を変更すると、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することができ、上述した実施の形態に比べて、コラプス荷重の設定や調整をより一層簡易に行うことができる。
【0064】
参考例の形態)
図9(a)は、本発明の参考例に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)に示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
【0065】
参考例は、テレスコピック調整できないノン・テレスコピック式であり、車体側ブラケット60を一体的に形成したアウターコラム62に、インナーコラム61が通常時摺動しないように嵌合してあり、両コラム61,62内には、ステアリングシャフト63が回転自在に支持してある。但し、二次衝突時には、インナーコラム61は、アウターコラム62に対して車両前方に移動できるようになっている。
【0066】
次に、本参考例では、インナーコラム61に、鉄等の金属製リング20が圧入等により所定位置に嵌合してある。金属製リング20のアウターコラム62側に、ゴム又は合成樹脂製のダンパー21が設けてある。
【0067】
二次衝突が発生し、インナーコラム61が車両前方にある程度移動すると、金属製リング20とダンパー21がアウターコラム62の後端部に衝突する。その後、インナーコラム61は、さらに車両前方に移動する。この際、金属製リング20は、アウターコラム62の後端部に係止しながら、車両前方に移動するインナーコラム61の外周面に対して摩擦摺動し、これにより、コラプス荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収する。
【0068】
以上から、本参考例では、金属製リング20の嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0069】
(第実施の形態)
図10(a)〜(c)は、本発明の第実施の形態に係るステアリングコラムの断面図であり、(a)は、その第1例の断面図であり、(b)は、第2例の断面図及び背面図であり、(c)は、第3例の断面図である。
【0070】
図11(a)〜(d)は、本発明の第実施の形態に係るステアリングコラムの断面図であり、(a)は、その第4例の断面図であり、(b)は、第5例の断面図であり、(c)は、第6例の断面図であり、(d)は、第7例の断面図である。
【0071】
図10(a)の第1例では、金属製リング20とダンパー21に加えて、別の金属製リング70が設けてある。
【0072】
図10(b)の第2例では、ステアリングコラム81に、周方向に均等に4箇所の突条部82が形成してある。各突条部82は、軸方向に延在している。これら突条部82の外周側に、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。なお、突条部は、図示のように塑性変形であってもよく、また、切り起こしにより形成してあってもよい。
【0073】
図10(c)の第3例では、突条部82の車両前方側に、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を大きくして、コラプス荷重を増大している。
【0074】
図11(a)の第4例では、ステアリングコラム81は、小径部81aと、中径部81bと、大径部81cとから構成してあり、小径部81aに、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を3段階に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。
【0075】
図11(b)の第5例では、小径部81aと、大径部81cとの間に、テーパー部81dが形成してあり、小径部81aに、金属製リング20とダンパー21が嵌合してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を除々に大きくして、コラプス荷重を一層増大している。
【0076】
図11(c)の第6例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側が薄肉化してあると共に、抜き孔83を有している。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
【0077】
図11(d)の第7例では、ステアリングコラム81は、その金属製リング20の車両後方側で、その外径側が薄肉化してある。これにより、摩擦摺動の際の抵抗を小さくして、コラプス荷重の低荷重化を図っている。
【0078】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。本発明は、電動パワーステアリング式にも適用可能であり、コラムタイプ電動パワーステアリングの場合は、特にコラプス量を十分に設定することが困難なことから、極めて有効である。また、本発明は、チルト式にも、適用可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、テレスコピック式において、ステアリングコラム(例えば、インナーコラム)の外周面に、金属製リングが嵌合してあり、この金属製リングは、テレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用すると共に、二次衝突時に車体側部材(例えば、アウターコラム、車体側ブラケット)に係止して、車両前方に移動するステアリングコラム(例えば、インナーコラム)に対して摩擦摺動しながら衝撃エネルギーを吸収する働きをする。
【0080】
従って、この金属製リングの嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【0081】
また、請求項2によれば、金属製リングに設けたダンパーにより、テレスコピック摺動を規制する際に、車体側部材(例えば、アウターコラム、車体側ブラケット)との当接により発生する打音を防止することができると共に、その衝撃をも抑えることができる。
【0082】
さらに、参考例によれば、ノン・テレスコピック式において、ステアリングコラム(例えば、インナーコラム)の外周面に、金属製リングが嵌合してあり、この金属製リングは、二次衝突時に車体側部材(例えば、アウターコラム、車体側ブラケット)に係止して、車両前方に移動するステアリングコラム(例えば、インナーコラム)に対して摩擦摺動しながら衝撃エネルギーを吸収する働きをする。
【0083】
従って、この金属製リングの嵌合状態(締付状態)を調整することにより、コラプス荷重の設定や調整を極めて簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、テレスコピック最短状態を示す図である。
【図4】図1に示したステアリングコラム装置の側面図であって、二次衝突時の衝撃吸収の終了状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図である。
【図6】図5のB−B線に沿った断面図である。
【図7】(a)は、本発明の第3実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)に示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
【図8】(a)は、本発明の第4実施の形態に係る衝撃吸収式でチルト・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)のb−b線に沿った断面図である。
【図9】(a)は、本発明の参考例に係る衝撃吸収式でノン・テレスコピック式のステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、(a)に示したステアリングコラム装置の背面図(車両後方から前方を視た図)である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の第実施の形態に係るステアリングコラムの断面図であり、(a)は、その第1例の断面図であり、(b)は、第2例の断面図及び背面図であり、(c)は、第3例の断面図である。
【図11】(a)〜(d)は、本発明の第実施の形態に係るステアリングコラムの断面図であり、(a)は、その第4例の断面図であり、(b)は、第5例の断面図であり、(c)は、第6例の断面図であり、(d)は、第7例の断面図である。

Claims (2)

  1. 車体側部材に対して、ステアリングコラムをテレスコピック摺動自在に設けると共に、二次衝突時に当該ステアリングコラムを車両前方に移動させるテレスコピック式の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
    前記ステアリングコラムの外周面に、テレスコピック摺動を規制するストッパーとして作用すると共に、二次衝突時に前記車体側部材に係止して、車両前方に移動する前記ステアリングコラムに対して摩擦摺動しながら衝撃エネルギーを吸収する金属製リングを嵌合したことを特徴とする車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  2. 前記金属製リングに、テレスコピック摺動を規制する際、前記車体側部材との当接により発生する打音を防止するダンパーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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