JP2005126059A - 車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置 - Google Patents

車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置 Download PDF

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慎 吉本
Yoshiyuki Sekii
義幸 関井
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Abstract

【課題】 エネルギー吸収調整装置の小型化を図り、コラプス・ストロークの自由度を広くし、しかも、乗員又は車両の状態に対応して、エネルギー吸収量を調整すること。
【解決手段】 鉄芯61(抵抗部材70)は、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、鉄芯61が伸長した位置にあって、貫通孔51に係合して、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。この場合には、後述するように、衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61(抵抗部材70)が退動した位置にあって、貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、鉄芯61(抵抗部材70)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、衝撃エネルギー吸収荷重を可変にした車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関する。
自動車が他の自動車や建造物等に衝突した場合、運転者が慣性でステアリングホイールに二次衝突することがある。近年の乗用車等では、このような場合における運転者の受傷を防止するべく、衝撃吸収式ステアリングシャフトや衝撃吸収式ステアリングコラム装置が広く採用されている。衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、運転者が二次衝突した際にステアリングコラムがステアリングシャフトと共に離脱するもので、通常はステアリングシャフトと同時にコラプスし、その際に衝突エネルギーの吸収が行われる。
衝突エネルギーの吸収方式としては、ステアリングコラムの一部に形成されたメッシュ部を圧縮座屈変形させるメッシュ式が旧来より知られているが、アウタコラムとインナコラムとの間に金属球を介装させ、コラプス時にアウタコラムの内周面やインナコラムの外周面に塑性溝を形成させるボール式も広く採用されている。
また、近年では、しごき式も採用されている。しごき式の衝突エネルギー吸収機構は、例えば、帯形状の鋼板からなるエネルギー吸収部材の一端を車体側ブラケットに固着させると共に、ステアリングコラム側にエネルギー吸収部材に形成された屈曲部に嵌入する鋼棒等のしごき手段を設け、ステアリングコラムが前方に移動する際にしごき手段によりエネルギー吸収部材をしごき変形させる構成をとっている。
更に、引裂き式も一部に採用されている。引裂き式の衝突エネルギー吸収機構は、例えば、帯形状の鋼板からなるエネルギー吸収部材の中央部を車体側ブラケットに固着させる一方、その両側部をU字形状に屈曲させてステアリングコラム側に固着させ、ステアリングコラムが前方に移動する際にエネルギー吸収部材を曲げ変形させながら引裂く構成を採っている。
ところで、衝撃吸収式ステアリングコラム装置では、所定の衝撃エネルギー吸収荷重が作用した場合にステアリングコラムがコラプスするが、通常、この衝撃エネルギー吸収荷重は、標準的な体重の運転者が所定の速度でステアリングホイールに二次衝突した際の運動エネルギーを基に設定されている。
しかしながら、運転者が小柄な女性等である場合、車両が低速である場合には、その運動エネルギーが当然に小さくなり、運転者の体格や車速等に応じてエネルギー吸収量を調整できないといったことがある。
このようなことから、特許文献1乃至3では、車両の衝突時における乗員の二次衝突エネルギーを吸収する衝突エネルギー吸収手段を備えた衝撃吸収式ステアリングコラム装置であって、衝突エネルギー吸収手段による二次衝突エネルギーの吸収量を変化させるエネルギー吸収量調整手段と、乗員あるいは前記車両の状態を検出する少なくとも一つのセンサと、当該センサの検出結果に基づき、エネルギー吸収量調整手段を駆動制御する電気制御手段と、が備えてある。これにより、衝撃エネルギー吸収荷重の可変化を実現し、運転者の体格や車速等に応じて、二次衝突時のエネルギー吸収量が調整できるようにしてある。
また、特許文献4では、アッパー側のコラムに固着して設けた棒状部材は、その先端部がロアー側のコラムに設けたスリットに係合してあり、二次衝突時には、棒状部材がスリットに摩擦摺動しながら車両前方に移動し、スリットが塑性変形することにより、衝撃エネルギーを吸収するようになっている。
特開2002−137743号公報 特開2002−114158号公報 特開2002−120734号公報 特開昭61−135861号公報
しかしながら、上記特許文献1乃至3に開示した衝撃エネルギー吸収構造では、衝突エネルギーの吸収方式としては、ボール&ケージ式又はしごきプレート式から構成してあることから、エネルギー吸収調整装置が占めるスペースが大きく、例えば、コラムのコラプス・ストロークを長くとりたい場合、スペース上の制約があり、そのストローク量設定にかなり制約を受けるという問題点がある。
また、特許文献4では、ステアリングコラムの製造完了時に固定されたエネルギー吸収量しか与えられず、例えばシートベルト装着の有無等に対応して、エネルギー吸収量を調整することは、殆ど不可能であるといったことがある。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、エネルギー吸収調整装置の小型化を図り、コラプス・ストロークの自由度を広くすることができ、しかも、乗員又は車両の状態に対応して、エネルギー吸収量を調整することができる車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、一対のコラムを相互に摺動可能に嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの一方に設け、衝撃エネルギー吸収の際、前記両コラムの他方に摩擦力をもって接触しながら抵抗荷重を発生する抵抗部材を具備することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、一対のコラムを相互に摺動可能に嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
前記両コラムの一方に、コラム軸線に略平行に延在して形成した衝撃吸収用溝と、
前記両コラムの他方に設け、衝撃エネルギー吸収の際、前記衝撃吸収用溝に係合しながら抵抗荷重を発生する抵抗部材と、を具備することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記抵抗部材の位置を変化させるためのアクチュエータを更に具備し、これにより、前記抵抗荷重を可変にしたことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記抵抗部材の軸線は、前記コラム中心軸線に略交差していることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、乗員又は車両の状態を検出する少なくとも一つのセンサーと、
当該センサーの検出結果に基づき、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と、を具備することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記アクチュエータは、電動モータ又は電磁ソレノイドであることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記抵抗部材は、鉄製材料、樹脂材料、又はアルミ材料から形成してあることを特徴とする。
本発明の請求項8に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記抵抗部材のコラム側先端部には、周方向に伸びる溝が形成してあることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記アクチュエータの軸は、水平方向に配置してあることを特徴とする。
本発明の請求項10に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置は、前記抵抗部材は、その両側で、支持してあることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、エネルギー吸収量を調整(切替え)したい時に、抵抗部材をアクチュエータにより作動させて、切り替えることが可能となり、乗員の情報を受けとり、検知しながら、判断し、エネルギー吸収量を調整して、適正なエネルギー特性に近づけられる効果を有する。
以下、本発明の実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置を図面を参照しつつ説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図である。
図2は、図1の矢印Aの矢視図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図である。
図3は、図1に示した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の平面図である。
図4は、図2の矢印Bの矢視図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図である。
図5は、図1に示した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置のチルト締付機構の箇所の縦断面図である。
図6は、図1のX−X線に沿った横断面図である。
図1に示すように、本実施の形態では、ステアリングコラムは、ロアーコラム1と、ミドルコラム2と、アッパーコラム3とからなり、アッパーコラム3は、車両前方側の第1ハウジング3aと、この第1ハウジング3aに対して、図1の枢軸Yを中心に揺動自在に設けた第2ハウジング3bとからなっている。
これらステアリングコラム内には、ロアーシャフト4と、このロアーシャフト4に自在継手5(図5参照)を介して連結したアッパーシャフト6とからなるステアリングシャフトが回転自在に支持してある。枢軸Yと自在継手5の中心とは、軸方向で一致する。
また、本実施の形態に係るステアリングコラム装置は、チルト調整式であって、図5に示すように、チルト締付機構が設けてある。
第1ハウジング3aの下面には、噛合歯8aを有する固定ギヤ8(固定側係合部材)が、第1ハウジング3aに一体的に固定されている。この噛合歯8aに噛合する噛合歯10aを有する可動ギヤ10は、第2ハウジング3bに設けられた可動ギヤ用枢軸11に揺動自在に枢支されている。なお、アッパーシャフト6は、一対の軸受7,7に回転自在に支持してある。
また、第2ハウジング3bには、チルトレバー12が揺動自在に設けられ、このチルトレバー12の先端部には、可動ギヤ10をロックするための楔状部13が設けられている。
したがって、チルトレバー12がドライバーによって揺動されると、楔状部13が可動ギヤ10から離れ、可動ギヤ10の噛合歯10aが固定ギヤ8の噛合歯8aとの係合を解除し、これにより、アッパーシャフト6の後端に固定されたステアリングホイールの傾斜角度を調整することができる。
一方、チルトレバー12が逆方向に揺動されると、楔状部13が可動ギヤ10を押し上げ、可動ギヤ10の噛合歯10aが固定ギヤ8の噛合歯8aに係合し、この状態で、楔状部13が可動ギヤ10と、第2ハウジング3bに一体的に形成された固定部材15との間でロックされ、これにより、ステアリングホイールを調整後の状態で固定することができる。
また、第1ハウジング3aと第2ハウジング3bとの間には、アッパーシャフト6、及びステアリングホイール等、第2ハウジング3bに支持された部材の重量を支えるだけの支持バネ14(圧縮バネ)が設けられている。この支持バネ14(圧縮バネ)は、可動ギヤ10の噛合歯10aと固定ギヤ8の噛合歯8aとの係合が解除された場合、ステアリングホイール等が勢い良く下降することを防止している。
また、本実施の形態に係るステアリングコラム装置は、ロアーコラム1に対してミドルコラム2がテレスコピック摺動できるテレスコピック調整式であって、図6に示すように、テレスコピック締付機構が設けてある。
ロアーコラム1は、アルミニウム材のダイキャスト成形、或は合成樹脂の射出成形等により、軸方向に長い管状に形成されている。この様なロアーコラム1は、一体的に設けた支持ブラケット21を備えている。
支持ブラケット21は、ダッシュボードの下面部分等に於いて車体に支持される一対の車体取付フランジ21a,21bを有している。これら一対の車体取付フランジ21a,21bには、二次衝突時にロアーコラム1等を車体から離脱するための離脱用カプセル19a,19bが装着してある。
前記ロアーコラム1の一部で前記支持ブラケット21の下側部分には、ロックハウジング23を、このロアーコラム1の外周面から直径方向外方に突出する状態で固設している。このロックハウジング23に、断面円形の、即ち内周面が円筒面であるシリンダ孔24を、このロックハウジング23を左右方向に貫通する状態で形成している。このシリンダ孔24の中心軸は、前記ロアーコラム1並びにミドルコラム2の中心軸に対し捩れの位置関係となっている。そして、前記ミドルコラム2の一部外周面を、前記シリンダ孔24の一部内周面から突出させている。
この様なシリンダ孔24の片半部(図6の右半部)には、第一の押圧ブロック25を、このシリンダ孔24の一端開口から挿入している。この第一の押圧ブロック25は、前記シリンダ孔24内にがたつきなく挿入自在な、外周面が円筒面である、短円柱状に形成されている。又、前記第一の押圧ブロック25の内端寄り部分(シリンダ孔24の中央寄り部分で、図6の左寄り部分)で、前記ミドルコラム2の外周面に対向する部分には、第一の傾斜押圧部である、第一の傾斜平面26を形成し、この第一の傾斜平面26と前記ミドルコラム2の外周面とを当接させている。
前記シリンダ孔24の他半部(図6の左半部)には第二の押圧ブロック27を、このシリンダ孔24の他端開口から挿入している。この第二の押圧ブロック27は、前記第一の押圧ブロック25と同様に、前記シリンダ孔24内にがたつきなく挿入自在な、外周面が円筒面である、短円柱状に形成されている。又、前記第二の押圧ブロック27の内端寄り部分(図6の右寄り部分)で、前記ミドルコラム2の外周面に対向する部分には、第二の傾斜押圧部である、第二の傾斜平面28を形成し、この第二の傾斜平面28と前記ミドルコラム2の外周面とを当接させている。
前記第一の押圧ブロック25には螺子孔29を、左右方向に亙って形成している。又、前記第二の押圧ブロック27には貫通孔30を左右方向に亙って、前記螺子孔29と同心に形成している。そして、前記螺子孔29に、螺子杆31の一端部に形成した第一の雄螺子部32を螺合させている。また、この螺子杆31の他端部には、この第一の雄螺子部32と逆方向の第二の雄螺子部33を形成している。尚、この第二の雄螺子部33は、二条螺子等、ピッチの粗い螺子としている。
更に、前記螺子杆31の一端部で、前記第一の押圧ブロック25の外端面から突出した部分にはロックナット34を螺合し、このロックナット34を前記外端面に向け緊締して、前記第一の押圧ブロック25に対する螺子杆31の回転を阻止する、回転阻止部を構成している。尚、前記螺子杆31の一端部外周面には、互いに平行な1対の平坦面37、37を形成している。一方、前記螺子杆31の他端部で、前記第二の押圧ブロック27の外端面から突出した部分には、螺子孔部材である調整ナット35を螺合させている。そして、この調整ナット35に、調整レバー36の基端部を、溶接等により結合固定している。
上述の様に構成したテレスコピック締付機構の組立調整時には、前記ロックナット34を緩めた状態で、前記平坦面37、37にスパナ等の工具を係合させ、前記螺子杆31を回転させる。この螺子杆31に形成した第一、第二の雄螺子部32、33は互いに逆方向である為、この螺子杆31の回転に伴って第一の押圧ブロック25と前記調整ナット35とが互いに逆方向に移動する。そこで、これら両部材25、35同士が近づく様に、前記螺子杆31を回転させ、前記第一押圧ブロック25と、前記調整ナット35に押された第二の押圧ブロック27との距離を縮める。この際、前記調整レバー36は、ステアリングホイールの位置を固定すべく、この調整レバー36を回動させた状態位置に保持し、前記調整ナット35が回転しない様にしておく。
この結果、両押圧ブロック25、27の内端寄り部分に形成した第一、第二の傾斜面26、28が、前記ミドルコラム2の外周面に押し付けられ、このミドルコラム2が前記ロアーコラム1の内側に固定される。そこで、十分な固定力が得られた状態で、前記ロックナット34を緊締し、前記螺子杆31が前記第一の押圧ブロック25に対し回転しない様にする。
この様にして組み立てたテレスコピック締付機構により、ステアリングホイールの前後位置を調節すべく、ステアリングコラムの長さ調節を行なう場合、先ず調整レバー36を操作する事により、調整ナット35を回転させる。前記螺子杆31は、前記ロックナット34の緊締により回転する事はない為、前記調整ナット35が第二の雄螺子部33との螺合に基づいて、前記螺子杆31の軸方向に亙り、この螺子杆31の他端側(図6の左側)に変位する。この場合、前記第二の螺子部33のピッチは粗い為、前記操作レバー36の操作角度が小さくても、前記調整ナット35の変位量は十分に大きくなる。
この様に調整ナット35を螺子杆31の他端側に変位させる結果、調整ナット35が第二の押圧ブロック27を押圧していた力が解除される。そして、この第二の押圧ブロック27と第一の押圧ブロック25との距離が広がって、ミドルコラム2がロアーコラム1の内側で変位自在な状態となる。
この状態で、ステアリングホイールを押し引きし、ミドルコラム2を前後方向に変位させつつ、ステアリングホイールの前後位置を調節する。ステアリングホイールの前後位置を、所望位置に調節したならば、前記調整レバー36を前述の場合と逆方向に操作する事で、前記調整ナット35を前記螺子杆31の一端側に変位させ、前記第二の押圧ブロック27と第一の押圧ブロック25との距離を縮める。この結果、第一、第二の各押圧ブロック25、27の内端寄り部分に形成した第一、第二の傾斜平面26、28がミドルコラム2の外周面に強く押圧され、前記ステアリングホイールが、調節後の位置に支持されたままの状態となる。
さて、本実施の形態では、ロアーコラム1の先端部は、ブッシュ40を介してロアーブラケット41の貫通孔42に嵌合して挿入してある。このロアーブラケット41は、図2に示すように、車体に取付けるための一対の車体取付ブラケット43a,43bを有している。なお、ブッシュ40は、ロアーブラケット41に装着され、ロアーコラム1に軽圧入されており、相対移動時、ロアーコラム1を円滑に相対移動させる役目を有している。
また、ロアーブラケット41の貫通孔を形成する筒状部44の斜め下方には、貫通孔50が形成してあり、これに対応して、ロアーコラム1にも、貫通孔51が形成してある。
図4にも示すように、この貫通孔51に連通して、衝撃吸収用溝52がコラム軸線に略平行に車両前後方向に延在して形成してある。貫通孔51の直径は、衝撃吸収用溝52の幅よりも大きく構成してある。
ロアーブラケット41の筒状部44の斜め下方には、支持部45が形成してあり、この支持部45には、アクチュエータとしての電磁ソレノイド60が斜めに設けてあり、この電磁ソレノイド60の鉄芯61は、斜め上方に延在してあり、その外周には、止め輪63で挟んだコイルバネ62を有している。なお、電磁ソレノイド60は、自己保持型又は双方向安定型のどちらであってもよい。
この鉄芯61は、ロアーブラケット41の貫通孔50及びロアーコラム1の貫通孔51を挿通してあり、後述するように、衝撃吸収用溝52を押し広げて抵抗荷重を発生する抵抗部材70の役割を果たすようになっている。
但し、電磁ソレノイド60(アクチュエータ)及び鉄芯61(抵抗部材)は、図2に示すように、ロアーコラム1の中心軸線に略交差するように構成してある。
また、電磁ソレノイド60(アクチュエータ)及び鉄芯61(抵抗部材)は、図2に示すように、水平に対して所定角度(θ)をつけてもよく、θ=45°でも、垂直(θ=90°)、水平(θ=0°)でもよい。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60の鉄芯61そのものが抵抗部材70を兼ねている。しかし、これに限定されず、抵抗部材70は、鉄芯61とは別体に設けてあってもよい。
また、抵抗部材70は、鉄製材料、樹脂材料、又はアルミ材料から形成してある。また、アクチュエータは、上述した電磁ソレノイド60以外に、電動モータ、空気シリンダー、又は、リンク方式でも可能であり、また、火薬、マイクロジェネレータ等であってもよい。
さらに、衝撃吸収用溝52は、図示例では、1列であるが、複数列設けてあっても良い。これに対応して、アクチュエータも、複数個配置してあってもよい。さらに、衝撃吸収用溝52は、その幅を変更してもよく、また、段差が設けてあてもよい。
鉄芯61(抵抗部材70)は、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図2及び図4に示すように、鉄芯61が伸長した位置にあって、貫通孔51に係合して、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。この場合には、後述するように、衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61(抵抗部材70)が退動した位置にあって、貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、鉄芯61(抵抗部材70)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
但し、二次衝突時には、電磁ソレノイド60のPull/Pushにかかわらず、カプセル19a,19bの離脱やロアーコラム1とブッシュ40との相対的移動によって、二次衝突のエネルギーの吸収が行われる。
なお、このように、鉄芯61(抵抗部材70)の位置を変えることにより、衝撃エネルギーの吸収の有無を切り替えるようになっており、2段階の切替となっているが、これに限定されず、衝撃エネルギー吸収の調整は、抵抗部材70の挿入深さを変えるなどして、3段階以上の複数段に切り替えるものであってもよく、無段階に切替・調整することができるように構成してあってもよい。
また、電磁ソレノイド60は、ECU(電子制御装置、図示略)により制御されるようになっており、ECU(図示略)には、例えば、シートポジションセンサ(図示略)の他、体重センサ(図示略)、車速センサ(図示略)、乗員位置センサ(図示略)、シートベルト着用センサ(図示略)等、少なくとも一つのセンサが接続されている。
以上のように構成した衝撃吸収式ステアリングコラム装置では、自動車が走行を開始すると、ECU(図示略)は、前述した各種センサ(図示略)の検出信号に基づき、所定の制御インターバルで目標コラプス荷重の算出を繰り返し行う。例えば、運転者の体重が比較的大きい場合、あるいは運転者の体重が比較的小さくても車速が大きい場合、衝突時における運転者の運動エネルギーが大きくなるため、目標コラプス荷重も大きくなる。
なお、所定のインターバルで計算を行うことに限られず、車両の発進前にシートベルト着用の有無や乗員の体重から、Pull/Pushの切替えを1度だけ行うように構成してもよい。
この場合、ECU(図示略)は、電磁ソレノイド60に駆動指令を出力せず、鉄芯61(抵抗部材70)は、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図2及び図4に示すように、鉄芯61が伸長した位置にあって、貫通孔51に係合して、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。この場合には、衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる状態になっている。
この状態で自動車が他の自動車や路上の障害物に衝突すると、運転者は慣性によってステアリングホイール(図示略)に二次衝突し、運転者の運動エネルギーにより、コラプスを開始し、ロアーコラム1が車両前方に移動する。
これに伴って、衝撃吸収用溝52が鉄芯61(抵抗部材70)により押し広げられ、この際に、衝撃エネルギーが吸収される。従って、この場合には、比較的大きな衝突エネルギーの吸収が実現されることになる。
一方、運転者が比較的体重の小さい小柄な女性等の場合、衝突時における運転者の運動エネルギーが比較的小さくなるため、ECU(図示略)により算出された目標コラプス荷重も小さくなる。
この場合、ECU(図示略)は、電磁ソレノイド60に駆動指令を出力し、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61(抵抗部材70)が退動した位置にあって、貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、鉄芯61(抵抗部材70)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
この状態で自動車が他の自動車や路上の障害物に衝突すると、上述した場合と同様のプロセスにより、運転者の運動エネルギーにより、コラプスを開始し、ロアーコラム1が車両前方に移動する。
しかし、衝撃吸収用溝52と抵抗部材70とにより、二次衝突時の衝撃エネルギーを吸収することはなく、運転者が小柄な女性等であっても、通常のコラプスが円滑に行われ、運転者の胸部や頭部に大きな衝撃が加わることがなくなる。
本実施の形態は、以上から、エネルギー吸収量を調整(切替え)したい時に、鉄芯61(抵抗部材70)を電磁ソレノイド60により作動させて、2段階に切り替えることが可能となり、乗員の情報を受けとり、検知しながら、判断し、エネルギー吸収量を調整して、適正なエネルギー特性に近づけられる効果を有する。
(第2実施の形態)
図7(a)は、本発明の第2実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図であり、(b)は、ロアーコラムの貫通孔と抵抗部材との係合部付近を拡大して示す図である。
本第2実施の形態では、主要な構成は、上記の第1実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とが偏芯してある。即ち、鉄芯61の先端部には、クランプ部材80の一端が連結してあり、このクランプ部材80の他端に、鉄芯61に並列的に、抵抗部材70が取付けてある。
なお、抵抗部材70の軸線は、ロアーコラム1の中心軸線に略交差している。
また、抵抗部材70の先端部には、ロアーコラム1の貫通孔51に対応する部分に、周方向に伸びる凹溝71が形成してある。
従って、抵抗部材70は、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材70が伸長した位置にあって、抵抗部材70が貫通孔51に係合して、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。この場合には、衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。
この抵抗部材70が貫通孔51から衝撃吸収用溝52に入り込んで衝撃吸収用溝52を押し広げる際、抵抗部材70の先端部の凹溝71は、貫通孔51の内周端縁や衝撃吸収用溝52の端縁に係合して、抵抗部材70を案内する役割を果たすようになっている。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材70が退動した位置にあって、抵抗部材70が貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、鉄芯61(抵抗部材70)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
なお、抵抗部材70は、鉄製材料、樹脂材料、又はアルミ材料から形成してある。また、衝撃吸収用溝52は、図示例では、1列であるが、複数列設けてあっても良い。その他の構成、作用、効果等は、上述した実施の形態と同様である。
(第3実施の形態)
図8は、本発明の第3実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図である。
本第3実施の形態では、主要な構成は、上記の第1及び第2実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態では、抵抗部材70の先端部には、ネジ部72が形成してある。このネジ部72は、螺旋状のネジ溝であるが、これに代えて、螺旋状でない単なる円周溝であってもよい。
また、図8に示すように、本実施の形態に於いても、貫通した衝撃吸収用溝52がコラム軸線に略平行に車両前後方向に延在して形成してある。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図8に示すように、抵抗部材70が伸長した位置にあって、そのネジ部72が貫通孔51に係合している状態にあり、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。
従って、この場合には、ネジ部72が衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、特に図示しないが、抵抗部材70が退動した位置にあって、ネジ部72が貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、抵抗部材70のネジ部72により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
尚、衝撃吸収用溝52は、溝形状を変化させることで、コラプス荷重特性を変化させることができる。
(第4実施の形態)
図9(a)は、本発明の第4実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、抵抗部材の先端部が衝撃吸収用溝に係合した状態の拡大図である。
本第4実施の形態では、主要な構成は、上記の第1乃至第3実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態では、抵抗部材70の先端部には、ロアーコラム1の貫通孔51と衝撃吸収用溝52とに係合するする部分に、周方向に延びる円弧状溝74(R溝)が形成してある。
また、本実施の形態に於いても、貫通孔である衝撃吸収用溝52がコラム軸線に略平行に車両前後方向に延在して形成してある。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図9(a)に示すように、抵抗部材70が伸長した位置にあって、その円弧状溝74(R溝)が貫通孔51に係合している状態にあり、図9(b)に示すように、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。
従って、この場合には、図9(b)に示すように、円弧状溝74(R溝)が衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、特に図示しないが、抵抗部材70が退動した位置にあって、円弧状溝74(R溝)が貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、抵抗部材70の円弧状溝74(R溝)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
尚、衝撃吸収用溝52は、溝形状を変化させることで、コラプス荷重特性を変化させることができる。
また、本実施の形態が成立する条件としては、好適には、下記の条件があり、
抵抗部材70の直径を、φEとし、
円弧状溝74(R溝)の最も細くなった部分の直径を、φBとし、
一方、貫通孔51の直径を、φDとし、
衝撃吸収用溝52の幅を、Lとすると、
φE<φD であり、
φB>L であり、
φE>φB であり、
φD>L である。
(第5実施の形態)
図10は、本発明の第5実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
図11は、図10の矢印Dの矢視図である。
本第5実施の形態では、主要な構成は、上記の第1乃至第4実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
ロアーブラケット41には、貫通孔50が略水平方向に延在して形成してあり、これに対応して、ロアーコラム1にも、貫通孔51が略水平方向に延在して形成してある。
この貫通孔51に連通するように、衝撃吸収用溝52がコラム軸線に略平行に車両前後方向に延在して形成してある。なお、貫通孔51の直径は、衝撃吸収用溝52の幅よりも大きく構成してある。
ロアーブラケット41の筒状部44の斜め下方の支持部45には、アクチュエータとしての電磁ソレノイド60が設けてある。また、抵抗部材70は、略水平方向に進退されるようになっている。
電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とが偏芯してある。即ち、鉄芯61の先端部には、クランプ部材80の一端が連結してあり、このクランプ部材80の他端に、鉄芯61に並列的に、抵抗部材70が取付けてある。
抵抗部材70は、ロアーブラケット41の貫通孔50、及びロアーコラム1の貫通孔51を挿通してあり、衝撃吸収用溝52を押し広げて抵抗荷重を発生するようになっている。
但し、抵抗部材70の軸線は、ロアーコラム1の中心軸線に略交差するように構成してある。
従って、抵抗部材70は、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、図10及び図11に示すように、鉄芯61、及びクランプ部材80が退動して、抵抗部材70は、図10の右方に移動した位置にあって、抵抗部材70が貫通孔51に係合して、衝撃吸収用溝52を押し広げることができる状態にある。この場合には、衝撃吸収用溝52を押し広げることにより、衝撃エネルギーを吸収することができる。
一方、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、特に図示しないが、鉄芯61、及びクランプ部材80が伸長して、抵抗部材70は、図10の左方に移動した位置にあって、抵抗部材70が貫通孔51に係合していない状態にあり、この場合には、鉄芯61(抵抗部材70)により、衝撃吸収用溝52が押し広げられることがなく、二次衝突時に、衝撃エネルギーを吸収することはない。
(第6実施の形態)
図12は、本発明の第6実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
本第6実施の形態では、主要な構成は、上記の第1乃至第5実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
但し、衝撃を吸収する方式が異なり、上記実施の形態では、衝撃吸収用溝52に抵抗部材70の一部を挿入した状態で衝撃を吸収しているが、本第6実施の形態、及び下記の第7及び第8実施の形態に置いては、抵抗部材70の一部をロアーコラム1の外周面に摺接(摩擦力をもって接触)することによって、衝撃を吸収するようになっている。
本実施の形態では、抵抗部材70の先端部には、ネジ部72が形成してある。このネジ部72は、螺旋状のネジ溝であるが、これに代えて、螺旋状でない単なる円周溝であってもよい。
また、ブッシュ40には、スリット73が形成してあり、このスリット73には、抵抗部材70のネジ部72が進入・退出するようになっている。
ロアーコラム1には、上記の貫通孔51や衝撃吸収用溝52等を形成しておらず、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に摺接(摩擦力をもって接触)するようになっている。
なお、電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とが偏芯してある。即ち、鉄芯61の先端部には、クランプ部材80の一端が連結してあり、このクランプ部材80の他端に、鉄芯61に並列的に、抵抗部材70が取付けてある。但し、抵抗部材70の軸線は、水平に配置してある。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図12に示すように、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材70が伸長した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触しながら、抵抗荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収することができる状態にある。
従って、二次衝突してコラプスを開始し、ロアーコラム1が車両前方に移動する際、抵抗部材70は、その先端のネジ部72がロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触し、双方の摩擦により発生する抵抗荷重によって、衝撃エネルギーが吸収される。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、特に、図示しないが、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材70が退動した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に接触することがなく、この場合には、二次衝突時に、抵抗部材70による衝撃エネルギー吸収は行われない。
(第7実施の形態)
図13は、本発明の第7実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
図14(a)は、抵抗部材の斜視図であり、(b)は、(a)のb−b線に沿った断面図であり、(c)は、図13で下から見た進退用溝の模式図である。
本第7実施の形態では、主要な構成は、上記の第6実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60(アクチュエータ)の鉄芯61によりクランプ部材80を介して進退される抵抗部材90は、樹脂又はゴム製であり、その先端側に形成した板状部91には、略四角状の切欠き部92が形成してある。
この切欠き部92に、複数個の鋼球93が収納してある。なお、図14(b)に示すように、鋼球93に対向する面には、鋭角形状の溝94が形成してあってもよい。
また、ロアーブラケット41の筒状部44及び支持部45には、抵抗部材90や鋼球93を進退できるように、進退用溝95が略水平方向に形成してある。なお、図14(c)に示すように、この進退用溝95には、衝撃吸収時の初期に鋼球93を案内する鋭角形状のガイド溝96が形成してあってもよい。
さらに、ロアーブラケット41の筒状部44に形成したネジ孔97には、衝撃吸収時に鋼球93を押圧して反力部材として作用するボルト98が略垂直方向に螺合して設けてある。
なお、電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とが偏芯してある。即ち、鉄芯61の先端部には、クランプ部材80の一端が連結してあり、このクランプ部材80の他端に、鉄芯61に並列的に、抵抗部材70が取付けてある。但し、抵抗部材70の軸線は、水平に配置してある。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図13に示すように、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材90が伸長した位置にあって、抵抗部材90は、その鋼球93が反力部材(ボルト98)と協働しながら、ロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触し、これにより、抵抗荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収することができる状態にある。
従って、二次衝突してコラプスを開始して、ロアーコラム1が車両前方(図14(c)の矢印方向)に移動する際、抵抗部材90は、その鋼球93が反力部材(ボルト98)と協働してロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触し、双方の摩擦により発生する抵抗荷重によって、衝撃エネルギーが吸収される。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、特に、図示しないが、鉄芯61、クランプ部材80、及び抵抗部材90が退動した位置にあって、抵抗部材90は、その鋼球93がロアーコラム1の外周面に接触することがなく、この場合には、二次衝突時に、抵抗部材90や鋼球93による衝撃エネルギー吸収は行われない。
(第8実施の形態)
図15は、本発明の第8実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
図16は、図15の矢印Eの矢視図である。
本第8実施の形態では、主要な構成は、上記の第6実施の形態と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
ロアーブラケット41の筒状部44の斜め下方の支持部45には、アクチュエータとしての電磁ソレノイド60が設けてある。また、抵抗部材70は、略水平方向に進退されるようになっている。
電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とは、結合ブッシュ81を介して、同芯に構成してあり、略水平方向に進退するようになっている。なお、電磁ソレノイド60の軸と、抵抗部材70の軸とは、水平に配置してある。
結合ブッシュ81は、樹脂製であって、その内周面が鉄心61の外周面に圧入してあると共に、その外周面が抵抗部材70の有底孔77の内周面に圧入してある。
本実施の形態では、抵抗部材70の先端部には、ネジ部72が形成してある。このネジ部72は、螺旋状のネジ溝であるが、これに代えて、螺旋状でない単なる円周溝であってもよい。
また、ロアーブラケット41には、抵抗部材70を進退させるための進退用溝75が形成してあり、ブッシュ40には、スリット73が形成してある。
このスリット73には、抵抗部材70のネジ部72が進入・退出するようになっている。
これにより、ロアーコラム1には、上記の貫通孔51や衝撃吸収用溝52等を形成しておらず、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に摺接(摩擦力をもって接触)するようになっている。
また、ロアーコラム1の下方部には、進退時に抵抗部材70に干渉しないようにするための逃げ溝76が形成してある。但し、ロアーコラム1には、衝撃吸収用溝等は、形成していない。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図15に示すように、鉄芯61、結合ブッシュ81、及び抵抗部材70が伸長した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の図15の下側の外周面に摩擦力をもって接触しながら、抵抗荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収することができる状態にある。
従って、二次衝突してコラプスを開始し、ロアーコラム1が車両前方に移動する際、抵抗部材70は、その先端のネジ部72がロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触し、双方の摩擦により発生する抵抗荷重によって、衝撃エネルギーが吸収される。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61、結合ブッシュ81、及び抵抗部材70が退動した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に接触することがなく、この場合には、二次衝突時に、抵抗部材70による衝撃エネルギー吸収は行われない。
(第9実施の形態)
図17は、本発明の第9実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
本第9実施の形態では、主要な構成のうち、抵抗部材のネジ部がロアーコラムの外周面に接触する構成は、上記の第8実施の形態(図15)と同様であり、鉄芯を移動する構成は、上記第6実施の形態(図12)と同様であり、異なる点についてのみ説明する。
ロアーブラケット41の斜め下方の支持部45には、アクチュエータとしての電磁ソレノイド60が設けてある。また、抵抗部材70は、略水平方向に進退されるようになっており、本実施の形態では、ネジ部72を超えて、若干小径にして延在してある。
電磁ソレノイド60の鉄芯61と、抵抗部材70とが偏芯してある。即ち、鉄芯61の先端部には、クランプ部材80の一端が連結してあり、このクランプ部材80の他端に、鉄芯61に並列的に、抵抗部材70が取付けてある。但し、抵抗部材70の軸線は、水平に配置してある。
抵抗部材70の先端部には、ネジ部72が形成してある。このネジ部72は、螺旋状のネジ溝であるが、これに代えて、螺旋状でない単なる円周溝であってもよい。また、軸方向に延びる溝やローレット状の溝であってもよい。
また、本実施の形態では、ロアーブラケット41には、抵抗部材70を進退させるための貫通孔78が形成してある。
この貫通孔78の両端部には、抵抗部材70の摺動を許容する滑りブッシュ82,83等の滑り材が設けてあり、この抵抗部材70は、その両側で、支持してある。
これは、上記の第6乃至第8実施の形態では、抵抗部材70は、片持ちであることから、摩擦力による抵抗荷重が保持部を支点として回転方向に逃げてしまう虞れがある。
そこで、本実施の形態では、上記のように、抵抗部材70をその両側で支持することにより、摩擦力による抵抗荷重の安定化を図っている。
なお、この滑りブッシュ82,83は、ニードルベアリング等、その他の滑り材やころがり軸受であってもよい。
ブッシュ40には、スリット73が形成してあり、このスリット73には、抵抗部材70のネジ部72が進入・退出するようになっている。
また、ロアーコラム1の下方部には、進退時に抵抗部材70に干渉しないようにするための逃げ溝76が形成してある。但し、ロアーコラム1には、衝撃吸収用溝等は、形成していない。
本実施の形態では、電磁ソレノイド60がPush状態の時には、図17に示すように、鉄芯61、及び抵抗部材70が伸長した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の図17の下側の外周面に摩擦力をもって接触しながら、抵抗荷重を発生して、衝撃エネルギーを吸収することができる状態にある。
従って、二次衝突してコラプスを開始し、ロアーコラム1が車両前方に移動する際、抵抗部材70は、その先端のネジ部72がロアーコラム1の外周面に摩擦力をもって接触し、双方の摩擦により発生する抵抗荷重によって、衝撃エネルギーが吸収される。
一方、電磁ソレノイド60がPull状態の時には、鉄芯61、及び抵抗部材70が退動した位置にあって、抵抗部材70のネジ部72は、ロアーコラム1の外周面に接触することがなく、この場合には、二次衝突時に、抵抗部材70による衝撃エネルギー吸収は行われない。
図18は、本発明の第9実施の形態の変形例に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
本変形例では、抵抗部材70は、電磁ソレノイド60の鉄芯61に直付けしてあり、その他の構成、作用、及び効果は、上述した第9実施の形態と同様である。
本実施の形態に於いても、貫通孔78の両端部には、抵抗部材70の摺動を許容する滑りブッシュ82,83等の滑り材が設けてあり、抵抗部材70は、その両側で、支持してある。これにより、摩擦力による抵抗荷重の安定化を図っている。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
全ての実施の形態で使用するソレノイドは、自己保持型ソレノイド、汎用形ソレノイドのいずれでもよい。
本発明の第1実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図である。 図1の矢印Aの矢視図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図である。 図1に示した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の平面図である。 図2の矢印Bの矢視図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図である。 図1に示した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置のチルト締付機構の箇所の縦断面図である。 図1のX−X線に沿った横断面図である。 本発明の第2実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図であって、抵抗部材が衝撃吸収用溝に係合する位置にある状態を示す図であり、(b)は、ロアーコラムの貫通孔と抵抗部材との係合部付近を拡大して示す図である。 本発明の第3実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図である。 (a)は、本発明の第4実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の側面図であり、(b)は、抵抗部材の先端部が衝撃吸収用溝に係合した状態の拡大図である。 本発明の第5実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。 図10の矢印Dの矢視図である。 本発明の第6実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。 本発明の第7実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。 (a)は、抵抗部材の斜視図であり、(b)は、(a)のb−b線に沿った断面図であり、(c)は、図13で下から見た進退用溝の模式図である。 本発明の第8実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。 図15の矢印Eの矢視図である。 本発明の第9実施の形態に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。 本発明の第9実施の形態の変形例に係る車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置の正面図である。
符号の説明
1 ロアーコラム
2 ミドルコラム
3 アッパーコラム
3a 第1ハウジング
3b 第2ハウジング
4 ロアーシャフト
5 自在継手
7 軸受
8 固定側係合部材(固定ギヤ)
8a 噛合歯
10 可動側係合部材(可動ギヤ)
10a 噛合歯
11 可動ギヤ用枢軸
12 チルトレバー
13 楔状部
14 支持バネ
15 固定部材
19a,19b 離脱用カプセル
21 支持ブラケット
21a,21b 車体取付フランジ
22 インナーコラム
23 ロックハウジング
24 シリンダ孔
25 第一の押圧ブロック
26 第一の傾斜平面
27 第二の押圧ブロック
28 第二の傾斜平面
29 螺子孔
30 貫通孔
31 螺子杆
32 第一の雄螺子部
33 第二の雄螺子部
34 ロックナット
35 調整ナット
36 調整レバー
37 平坦面
40 ブッシュ
41 ロアーブラケット
42 貫通孔
43a,43b 車体取付ブラケット
44 筒状部
45 支持部
50 貫通孔
51 貫通孔
52 衝撃吸収用溝
60 電磁ソレノイド
61 鉄芯
62 コイルバネ
63 止め輪
70 抵抗部材
71 凹溝
72 ネジ部
73 スリット
74 円弧状溝(R溝)
75 進退用溝
76 逃げ溝
77 有底孔
78 貫通孔
80 クランプ部材
81 結合ブッシュ
82,83 滑りブッシュ
90 抵抗部材
91 板状部
92 切欠き部
93 鋼球
94 溝
95 進退用溝
96 ガイド溝
97 ネジ孔
98 ボルト

Claims (10)

  1. 一対のコラムを相互に摺動可能に嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
    前記両コラムの一方に設け、衝撃エネルギー吸収の際、前記両コラムの他方に摩擦力をもって接触しながら抵抗荷重を発生する抵抗部材を具備することを特徴とする車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  2. 一対のコラムを相互に摺動可能に嵌合した車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、
    前記両コラムの一方に、コラム軸線に略平行に延在して形成した衝撃吸収用溝と、
    前記両コラムの他方に設け、衝撃エネルギー吸収の際、前記衝撃吸収用溝に係合しながら抵抗荷重を発生する抵抗部材と、を具備することを特徴とする車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  3. 前記抵抗部材の位置を変化させるためのアクチュエータを更に具備し、これにより、前記抵抗荷重を可変にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  4. 前記抵抗部材の軸線は、前記コラム中心軸線に略交差していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  5. 乗員又は車両の状態を検出する少なくとも一つのセンサーと、
    当該センサーの検出結果に基づき、前記アクチュエータを駆動制御する制御手段と、を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  6. 前記アクチュエータは、電動モータ又は電磁ソレノイドであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  7. 前記抵抗部材は、鉄製材料、樹脂材料、又はアルミ材料から形成してあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  8. 前記抵抗部材のコラム側先端部には、周方向に伸びる溝が形成してあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  9. 前記アクチュエータの軸は、水平方向に配置してあることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
  10. 前記抵抗部材は、その両側で、支持してあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用衝撃吸収式ステアリングコラム装置。
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