JP2023019570A - ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両に組み付けられる前の段階で衝撃吸収ワイヤが周囲の物体にぶつかるのを防止することができるステアリングコラム装置を提供する。【解決手段】インナコラム14の外周面に固定されたインナブラケット3と、インナコラム14の径方向に関してインナブラケット3の外側に配置され、インナブラケット3と自身との間に、インナコラム14の軸方向に伸長し、かつ、周囲を仕切られた筒状空間48を形成するアウタブラケット4と、インナブラケット3とアウタブラケット4とを結合し、かつ、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって裂断する結合部材5と、筒状空間48に配置された衝撃吸収ワイヤ6と、アウタコラム13に支持され、アウタブラケット4に備えられた第1係合部51に自身に備えられた第2係合部66を係脱させるロック部材7とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、二次衝突時の衝撃荷重の吸収機能を有するステアリングコラム装置に関する。
図13は、自動車用のステアリング装置の1例を示している。ステアリング装置100において、運転者により操作されるステアリングホイール101は、ステアリングシャフト102の後側端部に取り付けられている。ステアリングシャフト102は、車体に支持されたステアリングコラム103の内側に回転自在に支持されている。ステアリングホイール101の回転運動は、ステアリングシャフト102、自在継手104a、中間シャフト105、および別の自在継手104bを介して、ステアリングギヤユニット106を構成するピニオン軸107に伝達される。ピニオン軸107の回転運動は、ステアリングギヤユニット106を構成する図示しないラック軸の直線運動に変換される。これにより、1対のタイロッド108が押し引きされ、左右1対の操舵輪に、ステアリングホイール101の操作量に応じた舵角が付与される。
なお、ステアリング装置に関して、前後方向、幅方向、および上下方向は、ステアリング装置が組み付けられる車体の前後方向、幅方向、および上下方向である。
ステアリング装置において、ステアリングコラムおよびその周辺に位置する部材を含んで構成されるステアリングコラム装置は、通常、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの前後位置を調節するためのテレスコ調節機能、および、二次衝突の際に、運転者の身体に加わる衝撃荷重を緩和するための衝撃吸収機能を備える。
具体的には、テレスコ調節機能を確保するために、ステアリングシャフトは、軸方向の相対変位およびトルク伝達を可能に組み合わされたアウタシャフトおよびインナシャフトを備え、アウタシャフトとインナシャフトとを軸方向に相対変位させることにより、全長を伸縮可能に構成されている。ステアリングコラムは、軸方向の相対変位を可能に組み合わされたアウタコラムおよびインナコラムを備え、アウタコラムとインナコラムとを軸方向に相対変位させることにより、全長を伸縮可能に構成されている。アウタコラムとインナコラムとのうちの前側に配置されたコラムであるロアコラムの内側に、アウタシャフトとインナシャフトとのうちの前側に配置されたシャフトであるロアシャフトが、回転のみを可能に支持されている。アウタコラムとインナコラムとのうちの後側に配置されたコラムであるアッパコラムの内側に、アウタシャフトとインナシャフトとのうちの後側に配置されたシャフトであるアッパシャフトが、回転のみを可能に支持されている。ステアリングホイールは、アッパシャフトの後側端部に取り付けられている。ステアリングホイールの前後位置を調節する際には、ステアリングホイール、アッパシャフト、およびアッパコラムを、ロアシャフトおよびロアコラムに対して軸方向、すなわち前後方向に変位させる。
特開2020-97319号公報(特許文献1)には、衝撃吸収機能を確保するために、ロアコラムとアッパコラムとの間、すなわちアウタコラムとインナコラムとの間に、金属製の線材により構成された衝撃吸収ワイヤ(ワイヤ部材)を掛け渡した構造が記載されている。衝突事故の際に、自動車が他の自動車などに衝突する一時衝突に続いて、運転者の身体がステアリングホイールに衝突する二次衝突が発生し、ステアリングホイールからアッパシャフトを介して、アッパコラムに前方に向いた強い衝撃荷重が加わると、アッパコラムがインナコラムに対して前方に変位しながら、衝撃吸収ワイヤが扱かれるように塑性変形することによって、前記衝撃荷重が吸収される。これにより、ステアリングホイールに衝突した運転者の身体に加わる衝撃が緩和される。
特開2020-97319号公報
特開2020-97319号公報に記載されたステアリングコラム装置では、衝撃吸収ワイヤが外部に露出している。このため、車両に組み付けられる前の段階、たとえば、搬送時や車両への組み付け作業時などに、衝撃吸収ワイヤが周囲の物体にぶつからないように気を付けなければならないという問題があった。
本発明は、車両に組み付けられる前の段階で衝撃吸収ワイヤが周囲の物体にぶつかるのを防止することができ、かつ、衝撃吸収ワイヤをコンパクトに設置することができるステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様のステアリングコラム装置は、ステアリングコラムと、インナブラケットと、アウタブラケットと、結合部材と、衝撃吸収ワイヤと、ロック部材とを備える。
前記ステアリングコラムは、アウタコラムとインナコラムとを、軸方向の相対変位を可能に組み合わせてなる。
前記インナブラケットは、前記インナコラムの外周面に固定されている。
前記アウタブラケットは、前記インナコラムの径方向に関して前記インナブラケットの外側に配置され、前記インナブラケットと自身との間に、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、周囲を仕切られた筒状空間を形成する。
前記結合部材は、前記インナブラケットと前記アウタブラケットとを結合し、かつ、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって裂断する。
前記衝撃吸収ワイヤは、全体が金属製の線材により構成されており、前記筒状空間に配置され、かつ、前記インナブラケットまたは該インナブラケットに結合固定された部材に備えられたインナ掛け部と、前記アウタブラケットまたは該アウタブラケットに結合固定された部材に備えられたアウタ掛け部との間に掛け渡される。二次衝突時に加わる衝撃荷重により、前記インナブラケットと前記アウタブラケットとが前記インナコラムの軸方向に相対変位することに伴って、前記衝撃吸収ワイヤが塑性変形することで前記衝撃荷重を吸収する。
前記ロック部材は、前記アウタコラムに支持され、かつ、前記アウタブラケットに備えられた第1係合部と係脱可能に係合する第2係合部を有する。該ロック部材は、前記第2係合部を前記第1係合部に係合させることにより、前記アウタブラケットが前記アウタコラムに対して前記インナコラムの軸方向に変位することを阻止し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合を離脱させることにより、該アウタブラケットが前記アウタコラムに対して前記インナコラムの軸方向に変位することを許容することができる。
本発明の一態様では、前記衝撃吸収ワイヤが、前記インナコラムの径方向に対して直交する方向に前記線材をU字形に折り返してなる折り返し部を有し、該折り返し部の内周側に前記インナ掛け部または前記アウタ掛け部が配置され、二次衝突時に前記衝撃吸収ワイヤが、前記折り返し部を前記第1係合部または前記第2係合部によって扱かれるように塑性変形する。
本発明の一態様では、前記衝撃吸収ワイヤが、前記インナブラケットと前記アウタブラケットとの間で、前記インナコラムの径方向に弾性的に圧縮されている。
本発明の一態様では、前記インナブラケットは、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、一方側の側面を前記インナコラムの径方向外側に向けたインナ基板部と、該インナ基板部の幅方向両側の端部のそれぞれから前記インナコラムの径方向外側に向けて折れ曲がったインナ側板部とを有する。
前記アウタブラケットは、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、一方側の側面を前記インナ基板部の前記一方側の側面に対向させたアウタ基板部と、該アウタ基板部の幅方向両側の端部のそれぞれから前記インナコラムの径方向内側に向けて折れ曲がったアウタ側板部とを有する。
前記アウタ側板部の間に前記インナ側板部のそれぞれが内嵌、または、前記インナ側板部の間に前記アウタ側板部のそれぞれが内嵌されている。
前記筒状空間は、前記インナ基板部と、前記アウタ基板部と、前記インナ側板部または前記アウタ側板部とにより周囲を仕切られることで構成されている。
本発明の一態様では、前記結合部材は、前記インナ側板部と前記アウタ側板部とを結合するリベットにより構成されている。
本発明の一態様では、前記第1係合部が、前記インナコラムの径方向に関する前記アウタブラケットの外側面に前記インナコラムの軸方向にわたり備えられた第1ギヤ部により構成されており、前記第2係合部が、前記ロック部材のうち、前記第1ギヤ部に対向する部分に備えられた第2ギヤ部により構成されている。
本発明のステアリングコラム装置によれば、車両に組み付けられる前の段階で衝撃吸収ワイヤが周囲の物体にぶつかるのを防止することができ、かつ、衝撃吸収ワイヤをコンパクトに設置することができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例のステアリングコラム装置を備えたステアリング装置の平面図である。 図2は、図1のA-A断面図である。 図3は、図1の左右方向中間部の拡大図である。 図4は、図2の左右方向中間部の下半部の拡大図である。 図5は、図4のB-B断面図である。 図6は、図4のC-C断面図である。 図7は、図6のD-D断面図である。 図8(A)は、図4の下端部の拡大図であり、図8(B)は、アウタブラケットに対するロック部材の係合が解除された状態で示す図8(A)に相当する図である。 図9は、第1例のステアリングコラム装置の一部を取り出して示す分解斜視図である。 図10は、二次衝突の発生後の状態で示す図2に相当する図である。 図11は、図10の左右方向中間部の拡大図である。 図12は、図11のE-E断面図である。 図13は、ステアリング装置の従来構造の1例を示す斜視図である。
[実施の形態の1例]
本発明の実施の形態の1例について、図1~図12を用いて説明する。
図1および図2は、本例のステアリングコラム装置1を備えたステアリング装置8を示している。なお、ステアリング装置8に関して、前後方向、幅方向、および上下方向は、ステアリング装置が組み付けられる車体の前後方向、幅方向、および上下方向である。ステアリング装置8に関して、前側は、図1および図2の左側であり、後側は、図1および図2の右側である。
本例のステアリングコラム装置1は、ステアリングコラム2と、インナブラケット3と、アウタブラケット4と、結合部材5と、衝撃吸収ワイヤ6と、ロック部材7とを備える。
本例のステアリング装置8は、ステアリングコラム装置1に加えて、ステアリングシャフト9と、支持ブラケット10と、切り換え機構11と、電動アシスト装置12とを備える。
ステアリングシャフト9は、ステアリングコラム2の内側に回転自在に支持されている。運転者により操作されるステアリングホイールは、ステアリングシャフト9の後側端部に取り付けられる。支持ブラケット10は、車体に取り付けられた状態で、ステアリングコラム2の軸方向中間部を車体に対して支持する。切り換え機構11は、ステアリングホイールの前後位置および高さ位置を調節可能とするために、ステアリングコラム2が支持ブラケット10に対して上下方向に変位すること、および、ステアリングコラム2を構成するアッパコラム(本例ではインナコラム14)がロアコラム(本例ではアウタコラム13)に対して軸方向(前後方向)に変位することを許容する状態と、これらを許容しない状態とを、切り換え可能である。電動アシスト装置12は、ステアリングホイールから操舵輪につながる操舵力伝達経路に、図示しない電動モータを動力源として発生した補助動力を付与することにより、運転者がステアリングホイールを操作するのに要する力を低減する。
ステアリングコラム2は、図1および図2に示すように、アウタコラム13とインナコラム14とを、軸方向の相対変位を可能に組み合わせてなる。本例では、アウタコラム13は、インナコラム14の前側に配置され、かつ、車体に対して前方への変位を阻止されている。すなわち、本例では、アウタコラム13が前側に配置されるロアコラムに相当し、インナコラム14が後側に配置されるアッパコラムに相当する。ただし、本発明を実施する場合には、インナコラムがアウタコラムの前側に配置され、かつ、インナコラムが車体に対して前方への変位を阻止されている構成を採用することもできる。すなわち、インナコラムが前側に配置されるロアコラムに相当し、アウタコラムが後側に配置されるアッパコラムに相当する構成を採用することもできる。
本例では、アウタコラム13は、図1および図2に示すように、鋼、アルミニウム合金などの金属により略円筒状に構成されている。本例では、アウタコラム13は、周方向一部分である上端部に、軸方向の全長にわたるスリット15を有する。アウタコラム13の内径は、スリット15の幅を弾性的に拡縮することに基づいて、拡縮可能である。本例では、アウタコラム13は、後側端部において、スリット15を幅方向両側から挟む2箇所に、径方向外側(上側)に向けて突出するフランジ部16を有する。フランジ部16のそれぞれは、幅方向に関して互いに整合する箇所に、幅方向に貫通する通孔17を有する。本例では、アウタコラム13は、内周面の周方向一部分である下端部に、径方向外側(下側)に向けて凹入し、かつ、軸方向の全長にわたる凹所18を有する。凹所18は、図6に示すように、略矩形の断面形状を有する。本例では、アウタコラム13は、後側部において、凹所18の底部の幅方向中央部を径方向(上下方向)に貫通する支持孔19を有する。
アウタコラム13は、通常時だけでなく、二次衝突時にも、車体に対して前方へ変位しないように支持されている。このために、アウタコラム13の前側端部は、車体に支持された電動アシスト装置12を構成するギヤハウジング20の後側端部に結合固定されている。本例では、ステアリングホイールの高さ位置を調節可能とするために、ギヤハウジング20は、車体に対し、幅方向に伸長するチルト軸21を中心とする揺動変位を可能に支持される。
本例では、インナコラム14は、図1、図2、および図9に示すように、鋼、アルミニウム合金などの金属により円筒状に構成されている。インナコラム14の前側部は、アウタコラム13の後側部に、軸方向の相対変位を可能に内嵌されている。
ステアリングシャフト9は、図2に示すように、前側に配置されたロアシャフト22と、後側に配置されたアッパシャフト23とを備える。ロアシャフト22とアッパシャフト23とは、トルク伝達を可能に、かつ、軸方向の相対変位を可能にスプライン嵌合している。なお、図示の例では、ロアシャフト22を、径方向内側に配置されるインナシャフトとし、アッパシャフト23を、径方向外側に配置されるアウタシャフトとしている。ただし、ロアシャフトをアウタシャフトとし、アッパシャフトをインナシャフトとすることもできる。
アッパシャフト23は、インナコラム14に対し、インナコラム14の後側端部に内嵌保持された転がり軸受24により、回転のみを可能に支持されている。アッパシャフト23の後側端部は、インナコラム14の内側から軸方向に突出している。ステアリングホイールは、アッパシャフト23の後側端部に取り付けられる。
ロアシャフト22の前側端部は、電動アシスト装置12を構成する出力シャフト27に対し、トーションバー28を介して連結されている。出力シャフト27は、2つの転がり軸受25、26により、ギヤハウジング20に対して回転のみを可能に支持されている。すなわち、ロアシャフト22は、トーションバー28、出力シャフト27、および2つの転がり軸受25、26を介して、アウタコラム13およびギヤハウジング20に対して、回転のみを可能に支持されている。出力シャフト27の前側端部は、図示しない中間シャフトの後側端部に対し、図示しない自在継手により連結される。電動アシスト装置12において、前記補助動力は、出力シャフト27に付与される。
支持ブラケット10は、鋼などの金属製で、取付板部29と、2つの支持板部30とを備える。取付板部29は、支持ブラケット10の上側部を構成しており、幅方向に配置されている。取付板部29は、車体に支持されている。2つの支持板部30は、アウタコラム13の後側部を幅方向両側から挟む位置に、互いに略平行に配置されている。支持板部30のそれぞれは、上端部が取付板部29の幅方向中間部に結合固定されている。支持板部30のそれぞれは、幅方向に関して互いに整合し、かつ、フランジ部16の通孔17と整合する箇所に、上下方向に伸長するチルト長孔31を有する。チルト長孔31のそれぞれは、チルト軸21を中心とする円弧形状を有する。
切り換え機構11は、図1に示すように、切り換えロッド32と、ナット33と、カム装置34と、切り換えレバー35と、スラスト軸受36とを備える。
切り換えロッド32は、チルト長孔31および通孔17のそれぞれを幅方向に挿通している。切り換えロッド32は、基端部(図3の下端部)に頭部37を有し、先端部(図3の上端部)に雄ねじ部38を有する。ナット33は、雄ねじ部38に螺合している。カム装置34は、頭部37と一方(図3の下方)の支持板部30との間に配置されている。カム装置34は、幅方向外側に位置する駆動カム39と、幅方向内側に位置する被駆動カム40とを有する。被駆動カム40は、一方の支持板部30のチルト長孔31に対し、相対回転不能に係合している。被駆動カム40は、切り換えロッド32に対し、回転および軸方向変位を可能に外嵌している。駆動カム39は、切り換えロッド32に対し、回転および軸方向変位を不能に外嵌している。切り換えレバー35の基端部は、駆動カム39に固定されている。
切り換えロッド32の中心軸を中心として、切り換えレバー35、駆動カム39、および切り換えロッド32を同期して揺動させることにより、駆動カム39と被駆動カム40とを相対回転させると、駆動カム39と被駆動カム40との互いに対向する側面(カム面)同士の押し付け合いに基づいて、カム装置34の軸方向寸法が拡縮する。本例では、切り換えレバー35を所定方向に揺動させた場合にカム装置34の軸方向寸法が減少し、切り換えレバー35を所定方向と反対方向に揺動させた場合にカム装置34の軸方向寸法が増大する。スラスト軸受36は、ナット33と他方(図3の上方)の支持板部30との間に配置されている。
インナブラケット3は、インナコラム14の外周面に固定されている。本例では、インナブラケット3は、インナコラム14の外周面の周方向1箇所に固定されている。本発明を実施する場合、インナコラム14の外周面に対してインナブラケット3を固定する周方向箇所は、通常時および二次衝突時にアウタコラム13に対してインナブラケット3が干渉しない箇所であれば、任意の箇所を採用することができる。本例では、インナブラケット3は、インナコラム14の前側部の外周面の下端部に固定され、かつ、アウタコラム13の凹所18の内側に配置されている。
本例では、インナブラケット3は、鋼板などの金属板製で、インナコラム14の軸方向に伸長し、かつ、一方側(図4の下側)の側面をインナコラム14の径方向外側に向けたインナ基板部41と、インナ基板部41の幅方向両側の端部のそれぞれからインナコラム14の径方向外側に向けて直角に折れ曲がったインナ側板部42とを有する。
本例では、インナブラケット3は、インナ基板部41の前側端部からインナコラム14の径方向外側に向けて直角に折れ曲がった前板部43を有する。前板部43は、インナコラム14の径方向に関する内側の半部である基半部44と、インナコラム14の径方向に関する外側の半部である先半部45とを有する。先半部45の幅寸法は、基半部44の幅寸法よりも小さい。基半部44の幅方向両側の端部のそれぞれは、インナ側板部42の前側の端部に接続されている。本例では、インナブラケット3は、先半部45の先端部から前側に向けて直角に折れ曲がった止め板部46を有する。本例では、先半部45が、インナ掛け部に相当する。すなわち、本例では、インナブラケット3に、インナ掛け部が備えられている。ただし、本発明を実施する場合には、インナブラケットに結合固定された他の部材にインナ掛け部が備えられた構成を採用することもできる。なお、本例では、図9に示すように、インナコラム14の径方向に関するインナ側板部42の幅寸法は、インナ側板部42の前側端部において、インナ側板部42の他の部分に比べて小さくなっており、具体的にはインナコラム14の径方向に関する基半部44の幅寸法と同じ大きさになっている。ただし、インナコラム14の径方向に関するインナ側板部42の幅寸法は、インナ側板部42の前側端部においても、インナ側板部42の他の部分と同じ大きさにすることもできる。
本例では、インナブラケット3は、インナ基板部41の他方側(図4の上側)の側面をインナコラム14の前側部の下面に当接させた状態で、インナブラケット3に結合固定されている。このために、具体的には、インナ基板部41の前後方向に離隔した複数箇所(図示の例では前後方向中間部と後側端部との2箇所)において、インナ基板部41とインナコラム14とを径方向に貫通したリベット47を用いて、インナブラケット3をインナコラム14に結合固定している。リベット47のそれぞれは、高強度の金属により造られており、二次衝突時に加わる衝撃荷重によっても裂断しない。このため、インナブラケット3は、二次衝突の発生後も、インナコラム14に結合固定された状態を維持する。なお、本発明を実施する場合には、溶接などの他の結合方法によって、インナブラケットをインナコラムに結合固定することもできる。
アウタブラケット4は、インナコラム14の径方向に関してインナブラケット3の外側に配置され、インナブラケット3と自身との間に、インナコラム14の軸方向に伸長し、かつ、周囲を仕切られた筒状空間48を形成する。本例では、アウタブラケット4は、アウタコラム13の凹所18の内側に配置されている。なお、本発明を実施する場合、アウタブラケットは、アウタコラムに備えられた凹所の内側以外の箇所、たとえば、アウタコラムの円周方向一部分に備えられた軸方向に伸長するスリットの内側などに配置することもできる。
本例では、アウタブラケット4は、鋼板などの金属板製で、インナコラム14の軸方向に伸長し、かつ、一方側(図4の上側)の側面をインナ基板部41の一方側(図4の下側)の側面に対向させたアウタ基板部49と、アウタ基板部49の幅方向両側の端部のそれぞれからインナコラム14の径方向内側に向けて直角に折れ曲がったアウタ側板部50とを有する。
本例では、インナコラム14の径方向に関するアウタブラケット4の外側面、具体的には、アウタ基板部49の他方側(図4の下側)の側面に、第1係合部に相当する第1ギヤ部51を有する。第1ギヤ部51は、アウタ基板部49の他方側(図4の下側)の側面の幅方向中間部の前後方向中間部に、インナコラム14の軸方向にわたり備えられている。本例では、第1ギヤ部51を構成する複数の歯のそれぞれは、インナコラム14の軸方向に関する前側の側面68a(図8(A)および図8(B)参照)が、インナコラム14の中心軸に直交する平面により構成されており、インナコラム14の軸方向に関する後側の側面68b(図8(A)および図8(B)参照)が、インナコラム14の中心軸に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面により構成されている。
本例では、図6に示すように、アウタブラケット4の2つのアウタ側板部50の間に、インナブラケット3の2つのインナ側板部42のそれぞれが内嵌されている。換言すれば、アウタ側板部50のそれぞれに対して、インナ側板部42が幅方向内側から重ね合わせるように配置されている。本例では、衝撃吸収ワイヤ6が配置される筒状空間48は、インナ基板部41と、アウタ基板部49と、2つのインナ側板部42とにより周囲を仕切られることで構成されている。
本例では、アウタブラケット4の2つのアウタ側板部50の間に、インナブラケット3の2つのインナ側板部42のそれぞれが内嵌されているが、本発明を実施する場合には、インナブラケットの2つのインナ側板部の間に、アウタブラケットの2つのアウタ側板部のそれぞれが内嵌されている構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、衝撃吸収ワイヤが配置される筒状空間は、インナ基板部と、アウタ基板部と、2つのアウタ側板部とにより周囲を仕切られることで構成される。
本例では、アウタ基板部49の後側端部に、扱きブロック52が結合固定されている。扱きブロック52は、鋼などの金属により、全体を段付円柱状に構成されている。扱きブロック52は、軸方向の基端部(図4の下端部)に円柱状の圧入部53、軸方向の中間部に圧入部53よりも外径が大きい円柱状の扱き部54、および、軸方向の先端部(図4の上端部)に径方向外側に向けて突出した円輪板状の鍔部55を有する。扱きブロック52は、アウタ基板部49の後側端部に備えられた円形の圧入孔67に圧入部53を、インナコラム14の径方向に関する内側から圧入することにより、アウタ基板部49の後側端部に結合固定されている。この状態で、扱きブロック52の扱き部54および鍔部55は、筒状空間48に配置されている。本例では、扱きブロック52の扱き部54が、アウタ掛け部に相当する。すなわち、本例では、アウタブラケット4に結合固定された部材である扱きブロック52に、アウタ掛け部が備えられている。ただし、本発明を実施する場合には、アウタブラケット自体にアウタ掛け部が、たとえば突出部や曲げ起こし部などの形態で備えられた構成を採用することもできる。
結合部材5は、インナブラケット3とアウタブラケット4とを結合し、かつ、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって裂断する。
本例では、結合部材5は、互いに組み合わされたインナブラケット3およびアウタブラケット4の幅方向両側部のそれぞれにおいて、互いに重ね合わされたインナ側板部42とアウタ側板部50とを結合するリベットにより構成されている。本例では、結合部材5は、インナ側板部42とアウタ側板部50との前後方向中間部同士を結合している。具体的には、結合部材5は、インナ側板部42とアウタ側板部50との互いに整合する前後方向中間部に備えられた通孔56、57を挿通した軸部58と、軸部58を軸方向両側から挟む位置に備えられた、それぞれが軸部58よりも大きい外径を有する頭部59およびかしめ部60とを有する。そして、頭部59とかしめ部60により、インナ側板部42とアウタ側板部50との前後方向中間部を幅方向両側から挟持している。
このような結合部材5は、アルミニウム合金などの裂断しやすい金属により造られており、通常時に加わる荷重によって裂断することはないが、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって軸部58が裂断する。すなわち、結合部材5は、通常時は、インナブラケット3とアウタブラケット4とを結合した状態を維持することにより、インナブラケット3とアウタブラケット4とが相対変位することを阻止するが、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって軸部58が裂断することにより、インナブラケット3とアウタブラケット4とが相対変位することを許容する。なお、本発明を実施する場合には、結合部材として、リベット以外の金属部材、合成樹脂部材などを採用することもできる。
なお、本発明を実施する場合、インナブラケット3とアウタブラケット4とにより筒状空間48を形成できる限り、インナブラケット3とアウタブラケット4の形状は任意であり、たとえば、インナブラケット3が備える2つのインナ側板部42のうちの少なくとも一方のインナ側板部42を省略することもできる。また、本発明を実施する場合、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって結合部材5が裂断することにより、インナブラケット3とアウタブラケット4とが相対変位することを許容することができる限り、インナブラケット3とアウタブラケット4との結合位置は任意であり、たとえば、インナブラケット3の止め板部46とアウタブラケット4のアウタ基板部49とを、結合部材により結合することもできる。
衝撃吸収ワイヤ6は、全体が金属製の線材により構成されている。衝撃吸収ワイヤ6は、筒状空間48に配置され、かつ、インナ掛け部に相当する、インナブラケット3の前板部43の先半部45と、アウタ掛け部に相当する、アウタブラケット4に結合固定された扱きブロック52の扱き部54との間に掛け渡されている。衝撃吸収ワイヤ6は、二次衝突時に加わる衝撃荷重により、インナブラケット3とアウタブラケット4とがインナコラム14の軸方向に相対変位することに伴って塑性変形することで前記衝撃荷重を吸収する。
本例では、衝撃吸収ワイヤ6は、軟鋼、ステンレス鋼などの塑性変形可能な金属製の線材を曲げ成形することにより造られている。本例では、衝撃吸収ワイヤ6は、インナコラム14の径方向(図4、図6、図7の上下方向)を弾性的な伸縮方向とし、かつ、この径方向から見て長円形状を有するコイルばねの如き構造を有する。
具体的には、衝撃吸収ワイヤ6は、基部61と、2つの衝撃吸収部62a、62bとを有する。基部61は、インナコラム14の径方向から見て、前側が凸となる半円形状を有する。衝撃吸収部62a、62bは、基部61の両側の端部に1つずつ接続されており、それぞれがインナコラム14の径方向から見てU字形状を有し、この径方向に互いに重畳して配置されている。すなわち、2つの衝撃吸収部62a、62bは、基部61の両側の端部から後方に向けて伸長する第1直線部63a、63bと、第1直線部63a、63bの後側端部から、インナコラム14の径方向(図4、図6、図7の上下方向)に対して直交する方向である幅方向に関して互いに近づき合う方向、かつ、前方に向けてU字形に折り返された折り返し部64a、64bと、折り返し部64a、64bの先端部から前方に向けて伸長する第2直線部65a、65bとを有する。また、一方の衝撃吸収部62aは、他方の衝撃吸収部62bに対して、インナコラム14の径方向に関して内側(図4、図6、図7の上側)に重畳して配置されいる。
本例では、衝撃吸収ワイヤ6が筒状空間48に配置された状態で、基部61の内周側に、インナ掛け部に相当する、インナブラケット3の前板部43の先半部45が配置され、かつ、折り返し部64a、64bの内周側に、アウタ掛け部に相当する、アウタブラケット4に結合固定された扱きブロック52の扱き部54が配置されている。なお、本発明を実施する場合には、衝撃吸収ワイヤ6の前後方向の向きを本例の場合と逆にして、基部61の内周側にアウタ掛け部を配置し、かつ、折り返し部64a、64bの内周側にインナ掛け部を配置することもできる。また、本発明を実施する場合、衝撃吸収ワイヤの巻数や直線部の長さなどは任意であり、二次衝突時のアッパコラムの移動量や、吸収すべき荷重により適宜選択することができる。たとえば、本発明を実施する場合には、衝撃吸収ワイヤが衝撃吸収部を1つのみ備えた構成を採用することもできる。
本例では、この状態で、衝撃吸収ワイヤ6が、インナブラケット3とアウタブラケット4との間で、インナコラム14の径方向に弾性的に圧縮されている。具体的には、図7に示すように、一方の衝撃吸収部62aの第2直線部65aの前側端部が、インナブラケット3の前板部43の基半部44の下端部(α部)に弾性的に当接し、かつ、他方の衝撃吸収部62bの第2直線部65bの前側端部が、アウタブラケット4のアウタ基板部49の上面の後側端部(β部)に弾性的に当接している。
ロック部材7は、アウタコラム13に支持されている。ロック部材7は、アウタブラケット4に備えられた第1係合部に相当する第1ギヤ部51に、自身に備えられた第2係合部に相当する第2ギヤ部66を係脱可能に係合させている。ロック部材7は、第2ギヤ部66をアウタブラケット4の第1ギヤ部51に係合させることで、アウタブラケット4がアウタコラム13に対してインナコラム14の軸方向に変位することを阻止する。ロック部材7は、第1ギヤ部51に対する第2ギヤ部66の係合を離脱させることにより、アウタブラケット4がアウタコラム13に対してインナコラム14の軸方向に変位することを許容する。
本例では、ロック部材7は、鋼などの金属により、全体を略矩形ブロック状に構成されている。ロック部材7は、アウタコラム13に備えられた支持孔19の内側に、上下方向の変位のみを可能に支持されている。ロック部材7は、第1ギヤ部51に対向する部分である上端部に、第1ギヤ部51に対して係合可能な第2ギヤ部66を有する。本例では、第2ギヤ部66を構成する複数の歯のそれぞれは、インナコラム14の軸方向に関する後側の側面69a(図8(A)および図8(B)参照)が、インナコラム14の中心軸に直交する平面により構成されており、インナコラム14の軸方向に関する前側の側面69b(図8(A)および図8(B)参照)が、インナコラム14の中心軸に直交する仮想平面に対して傾斜した傾斜面により構成されている。
本例の切り換え機構11は、切り換えレバー35の揺動操作に連動してロック部材7を上下方向に変位させる図示しない連動機構を備える。この連動機構は、たとえば、複数の部材を組み合わせてなるリンク機構によって構成することができる。本例では、この連動機構は、切り換えレバー35を所定方向に揺動させると、ロック部材7が下方に変位して第1ギヤ部51に対する第2ギヤ部66の係合、すなわち噛み合いが解除され、かつ、切り換えレバー35を前記所定方向と反対方向に揺動させると、ロック部材7が上方に変位して第1ギヤ部51に第2ギヤ部66が係合するように動作する。また、本例の構造は、ロック部材7の下端部に備えられた鍔部70とアウタコラム13との間に配置された付勢ばね71を備え、付勢ばね71により、アウタコラム13に対してロック部材7を下方に向けて弾性的に付勢している。これにより、切り換えレバー35を所定方向に揺動させることに伴って、ロック部材7が下方に向けて円滑に変位する、すなわち、第1ギヤ部51に対する第2ギヤ部66の係合が円滑に解除されるようにしている。
本例の構造において、ステアリングホイールの前後位置および高さ位置を調節する際には、切り換えレバー35を所定方向(たとえば下方)に揺動させる。これにより、カム装置34の軸方向寸法を減少させることで、被駆動カム40とスラスト軸受36との間隔を拡げる。この結果、2つの支持板部30の幅方向内側面と2つのフランジ部16の幅方向外側面との間に作用する摩擦力が低下または喪失し、かつ、アウタコラム13の内径が自由状態まで拡がることで、アウタコラム13の内周面とインナコラム14の外周面との間に作用する摩擦力が低下または喪失する。同時に、前記連動機構の動作に基づいて、図8(A)から図8(B)の順に示すように、ロック部材7を下方に変位させることで、第1ギヤ部51に対する第2ギヤ部66の係合を解除する。この状態では、ステアリングコラム2をチルト軸21を中心として揺動させることにより、切り換えロッド32がチルト長孔31の内側で動ける範囲で、ステアリングホイールの高さ位置が調節可能となる。また、インナコラム14をアウタコラム13に対して軸方向に変位させることに基づいて、ステアリングホイールの前後位置が調節可能となる。
ステアリングホイールの前後位置および高さ位置の調節後は、切り換えレバー35を所定方向と反対方向(たとえば上方)に揺動させることにより、カム装置34の軸方向寸法を増大させることで、被駆動カム40とスラスト軸受36との間隔を縮める。この結果、2つの支持板部30の幅方向内側面と2つのフランジ部16の幅方向外側面との間に作用する摩擦力が増大し、かつ、アウタコラム13の内径が弾性的に縮まることで、アウタコラム13の内周面とインナコラム14の外周面との間に作用する摩擦力が増大する。同時に、前記連動機構の動作に基づいて、図8(B)から図8(A)の順に示すように、ロック部材7を上方に変位させることで、第1ギヤ部51に第2ギヤ部66を係合させる。この状態では、2つの支持板部30の幅方向内側面と2つのフランジ部16の幅方向外側面との間に作用する摩擦力に基づいて、ステアリングコラム2をチルト軸21を中心として揺動させること、すなわち、ステアリングホイールの高さ位置の調節が不能となる。また、アウタコラム13の内周面とインナコラム14の外周面との間に作用する摩擦力、および、第1ギヤ部51と第2ギヤ部66との係合に基づいて、インナコラム14をアウタコラム13に対して軸方向に変位させること、すなわち、ステアリングホイールの前後位置の調節が不能になる。これにより、ステアリングホイールが、調節後の前後位置および高さ位置に保持される。
ステアリングホイールが調節後の前後位置および高さ位置に保持された状態で、自動車が衝突事故を起こし、運転者の身体がステアリングホイールに衝突する二次衝突が発生すると、ステアリングホイールからアッパシャフト23を介して、インナコラム14およびインナブラケット3に前方に向いた衝撃荷重が加わる。そして、この衝撃荷重により、結合部材5が裂断し、図2、図4、および図5から図10~図12の順に示すように、インナコラム14およびインナブラケット3が、アウタコラム13およびアウタブラケット4に対して前方へ変位する。
この際に、インナコラム14の外周面とアウタコラム13の内周面とが軸方向に摺動することに基づいて、二次衝突時の衝撃荷重が吸収される。
さらには、衝撃吸収ワイヤ6が塑性変形することで、二次衝突時の衝撃荷重が吸収される。具体的には、衝撃吸収ワイヤ6は、図4および図5から図11および図12の順に示すように、インナブラケット3がアウタブラケット4に対して前方へ変位することにより、インナブラケット3の前板部43の先半部45と、アウタブラケット4に結合固定された扱きブロック52の扱き部54との前後方向の間隔が拡がることに伴って、折り返し部64a、64bのそれぞれが扱き部54により扱かれるように塑性変形する。具体的には、衝撃吸収ワイヤ6は、折り返し部64a、64bが扱かれることにより、折り返し部64a、64bが第2直線部65a、65bの自由端側に移動して、折り返し部64a、64bと基部61との前後方向の間隔が拡がるように塑性変形する。これにより、二次衝突時の衝撃荷重が吸収される。
本例のステアリングコラム装置1によれば、車両に組み付けられる前の段階で衝撃吸収ワイヤ6が周囲の物体にぶつかるのを防止することができ、かつ、衝撃吸収ワイヤ6をコンパクトに設置することができる。
すなわち、本例では、衝撃吸収ワイヤ6は、インナブラケット3とアウタブラケット4との間に形成された、周囲を仕切られた筒状空間48に配置されている。このため、衝撃吸収ワイヤ6が筒状空間48に配置された後の段階であれば、車両に組み付けられる前の段階であっても、具体的には、たとえば、本例のステアリングコラム装置1の組み立て時、搬送時、車両への組み付け作業時などであっても、衝撃吸収ワイヤ6が周囲の物体にぶつかるのを防止することができる。
インナブラケット3とアウタブラケット4との間に形成された筒状空間48に衝撃吸収ワイヤ6が配置されている。このため、衝撃吸収ワイヤ6をコンパクトに設置することができる。換言すれば、インナブラケット3とアウタブラケット4と衝撃吸収ワイヤ6とを含む、衝撃吸収ワイヤ6の塑性変形に基づく衝撃吸収構造をコンパクトに構成することができる。
インナブラケット3とアウタブラケット4との間に形成された筒状空間48に衝撃吸収ワイヤ6が配置されている。このため、衝撃荷重の吸収時に、衝撃吸収ワイヤ6を構成する線材が周囲に振り乱されることを防止でき、換言すれば、衝撃吸収ワイヤ6を安定して塑性変形させることができる。したがって、衝撃荷重の吸収性能を安定させることができる。
衝撃吸収ワイヤ6を構成する折り返し部64a、64bのそれぞれが、インナコラム14の径方向に対して直交する方向に前記線材をU字形に折り返すことで構成されている。このため、本例の衝撃吸収ワイヤ6によれば、インナコラムの径方向に前記線材をU字形に折り返してなる折り返し部を有する衝撃吸収ワイヤに比べて、インナコラムの径方向に関する幅寸法を小さく抑えられる。このため、本例のステアリングコラム装置1を、インナコラム14の径方向に関して小型に構成することができる。
衝撃吸収ワイヤ6が、インナブラケット3とアウタブラケット4との間で、インナコラム14の径方向に弾性的に圧縮されている。このため、衝撃吸収ワイヤ6が、インナブラケット3とアウタブラケット4との間で、インナコラム14の径方向にがたつくことを防止できる。また、衝撃吸収ワイヤ6が弾性的に圧縮されていることにより、インナブラケット3とアウタブラケット4の間のがたつきを防止することができる。
二次衝突時には、図8(A)に示すように、第1ギヤ部51を構成する歯の前側の側面68aと、第2ギヤ部66を構成する歯の後側の側面69aとが互いに当接する。本例では、第1ギヤ部51を構成する歯の前側の側面68aと、第2ギヤ部66を構成する歯の後側の側面69aとのそれぞれが、インナコラム14の中心軸に直交する平面により構成されている。このため、第1ギヤ部51を構成する歯の前側の側面68aと、第2ギヤ部66を構成する歯の後側の側面69aとの当接部に、第1ギヤ部51と第2ギヤ部66との係合を離脱させる方向、すなわち、アウタブラケット4に対してロック部材7を下方に退避させる方向の荷重は発生しない。したがって、二次衝突時に、第1ギヤ部51と第2ギヤ部66との係合が離脱することを有効に防止できる。
1 ステアリングコラム装置
2 ステアリングコラム
3 インナブラケット
4 アウタブラケット
5 結合部材
6 衝撃吸収ワイヤ
7 ロック部材
8 ステアリング装置
9 ステアリングシャフト
10 支持ブラケット
11 切り換え機構
12 電動アシスト装置
13 アウタコラム
14 インナコラム
15 スリット
16 フランジ部
17 通孔
18 凹所
19 支持孔
20 ギヤハウジング
21 チルト軸
22 ロアシャフト
23 アッパシャフト
24 転がり軸受
25 転がり軸受
26 転がり軸受
27 出力シャフト
28 トーションバー
29 取付板部
30 支持板部
31 チルト長孔
32 切り換えロッド
33 ナット
34 カム装置
35 切り換えレバー
36 スラスト軸受
37 頭部
38 雄ねじ部
39 駆動カム
40 被駆動カム
41 インナ基板部
42 インナ側板部
43 前板部
44 基半部
45 先半部(インナ掛け部)
46 止め板部
47 リベット
48 筒状空間
49 アウタ基板部
50 アウタ側板部
51 第1ギヤ部(第1係合部)
52 扱きブロック
53 圧入部
54 扱き部(アウタ掛け部)
55 鍔部
56 通孔
57 通孔
58 軸部
59 頭部
60 かしめ部
61 基部
62a、62b 衝撃吸収部
63a、63b 第1直線部
64a、64b 折り返し部
65a、65b 第2直線部
66 第2ギヤ部(第2係合部)
67 圧入孔
68a、68b 側面
69a、69b 側面
70 鍔部
71 付勢ばね
100 ステアリング装置
101 ステアリングホイール
102 ステアリングシャフト
103 ステアリングコラム
104a、104b 自在継手
105 中間シャフト
106 ステアリングギヤユニット
107 ピニオン軸
108 タイロッド

Claims (6)

  1. アウタコラムとインナコラムとを、軸方向の相対変位を可能に組み合わせてなるステアリングコラムと、
    前記インナコラムの外周面に固定されたインナブラケットと、
    前記インナコラムの径方向に関して前記インナブラケットの外側に配置され、前記インナブラケットと自身との間に、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、周囲を仕切られた筒状空間を形成するアウタブラケットと、
    前記インナブラケットと前記アウタブラケットとを結合し、かつ、二次衝突時に加わる衝撃荷重によって裂断する結合部材と、
    全体が金属製の線材により構成されており、前記筒状空間に配置され、かつ、前記インナブラケットまたは該インナブラケットに結合固定された部材に備えられたインナ掛け部と、前記アウタブラケットまたは該アウタブラケットに結合固定された部材に備えられたアウタ掛け部との間に掛け渡され、二次衝突時に加わる衝撃荷重により、前記インナブラケットと前記アウタブラケットとが前記インナコラムの軸方向に相対変位することに伴って塑性変形することで前記衝撃荷重を吸収する衝撃吸収ワイヤと、
    前記アウタコラムに支持され、かつ、前記アウタブラケットに備えられた第1係合部に係脱可能に係合する第2係合部を有し、前記第2係合部を前記第1係合部に係合させることで、前記アウタブラケットが前記アウタコラムに対して前記インナコラムの軸方向に変位することを阻止し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合を離脱させることにより、該アウタブラケットが前記アウタコラムに対して前記インナコラムの軸方向に変位することを許容する、ロック部材と、
    を備える、ステアリングコラム装置。
  2. 前記衝撃吸収ワイヤが、前記インナコラムの径方向に対して直交する方向に前記線材をU字形に折り返してなる折り返し部を有し、該折り返し部の内周側に前記インナ掛け部または前記アウタ掛け部が配置され、二次衝突時に前記衝撃吸収ワイヤが、前記折り返し部を前記第1係合部または前記第2係合部によって扱かれるように塑性変形する、請求項1に記載のステアリングコラム装置。
  3. 前記衝撃吸収ワイヤが、前記インナブラケットと前記アウタブラケットとの間で、前記インナコラムの径方向に弾性的に圧縮されている、請求項1または2に記載のステアリングコラム装置。
  4. 前記インナブラケットは、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、一方側の側面を前記インナコラムの径方向外側に向けたインナ基板部と、該インナ基板部の幅方向両側の端部のそれぞれから前記インナコラムの径方向外側に向けて折れ曲がったインナ側板部とを有し、
    前記アウタブラケットは、前記インナコラムの軸方向に伸長し、かつ、一方側の側面を前記インナ基板部の前記一方側の側面に対向させたアウタ基板部と、該アウタ基板部の幅方向両側の端部のそれぞれから前記インナコラムの径方向内側に向けて折れ曲がったアウタ側板部とを有し、
    前記アウタ側板部の間に前記インナ側板部のそれぞれが内嵌、または、前記インナ側板部の間に前記アウタ側板部のそれぞれが内嵌されており、
    前記筒状空間は、前記インナ基板部と、前記アウタ基板部と、前記インナ側板部または前記アウタ側板部とにより周囲を仕切られることで構成されている、
    請求項1~3のうちのいずれかに記載のステアリングコラム装置。
  5. 前記結合部材は、前記インナ側板部と前記アウタ側板部とを結合するリベットにより構成されている、請求項4に記載のステアリングコラム装置。
  6. 前記第1係合部が、インナコラムの径方向に関する前記アウタブラケットの外側面に前記インナコラムの軸方向にわたり備えられた第1ギヤ部により構成されており、
    前記第2係合部が、前記ロック部材のうち、前記第1ギヤ部に対向する部分に備えられた第2ギヤ部により構成されている、
    請求項1~5のいずれかに記載のステアリングコラム装置。
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