JP2011093444A - 衝撃吸収式ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次衝突時に運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収するために利用可能なストロークが短い場合でも、大きな衝撃エネルギを安定して吸収でき、しかも衝撃吸収荷重の急激な変化を防止して運転者の保護を図りやすい構造を実現する。
【解決手段】インナーコラム111の外周面に軸方向溝60を形成するとともに、テンション部材に相対回転可能に保持され、軸方向溝60に係合可能なローラ50を配置する。インナーコラム111がテレスコ調整範囲を超えてアウタージャケット121に進入すると、ローラ50によって塑性変形する変形部を軸方向溝60に設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば運転者の運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの位置(傾斜角度とその軸線方向位置との少なくとも一方)を調整可能とするとともに、衝突事故の際に運転者の身体からこのステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収しつつこのステアリングホイールの前方への変位を可能とする、衝撃吸収式ステアリング装置に関する。
車両用のステアリング装置として、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの傾斜角度を調整できると共に、ステアリングホイールの軸線方向位置を調整できるチルト・テレスコピック式のステアリング装置が知られている。このようなステアリング装置は、例えば特許文献1に記載される等により、従来から広く知られている。図5〜8は、従来構造の一例を示している。このようなチルト・テレスコピック式ステアリング装置の基本構造及び基本的作用は、前記特許文献1にも記載されて従来から周知であるが、以下に簡単に説明する。
図5は、チルト・テレスコピック式の電動式パワーステアリング装置(以下、ステアリング装置と略す)10の側面図である。図6は、図5に示したステアリング装置10の上面図である。図7は、図5の構成をA−A線で切断して矢印方向に見た図である。図8は、図5の構成をB−B線の位置で切断して矢印方向に見た図である。
図5において、アウタージャケット21は、モータ2と制御用のECU3とを取り付けたギヤボックス21Aと一体化されており、ギヤボックス21A内において、不図示の減速機構が、モータ2の出力軸とステアリングシャフトSとを連結し、所定の減速比で動力伝達を可能としている。アウタージャケット21は、前方側の一対の取り付けブラケット9及び後方側の取り付けブラケット12を介して、不図示の車体に取り付けられている。互いに線対称な形状を有する一対の取り付けブラケット9(図5では一方のみ図示)は、不図示の車体に対してボルトにより取り付けるための取り付け部9aと、それから上下方向に延在しギヤボックス21Aを保持する板部9bとを有しており、ステアリングシャフトSの軸線を通る垂直線に対して対称的に取り付けられている。尚、板部9bに形成された孔を貫通し、ギヤボックス21Aに係合するボルトBは、チルトピボットの機能を有する。
図6、7に示すとおり、取り付けブラケット12は、不図示の車体に対してボルトにより取り付けるための一対の車体取り付け孔12c(図6)を有する車体取り付け部12d、12dと、且つ互いに平行に延在すると共に鉛直上下方向に延在する板状のブラケット部12a、12aを有している。各ブラケット部12aの板厚は同一であり、形状は垂直線に対して線対称となっている。
図7に示すように、ブラケット部12a、12aの間には、テンション部材13が配置されている。テンション部材13は、組み付け状態では略環状の部材であって、その中央で、左半割部13aと右半割部13bとに二分割できるようになっている。より具体的には、右半割部13bに形成されたネジ孔13cと、左半割部13aに形成されたネジ孔13dとに螺合させた2本のボルト14、14を用いて締結することで、左半割部13aと右半割部13bとを一体として、テンション部材13を得ることができる。かかる構成により、ステアリング装置組立前は、左半割部13aと右半割部13bとを分離しておき、ステアリング装置組立時にボルト14を用いて一体化することで、より容易な組立が可能となる。
テンション部材13の内側には、アウタージャケット21を介して中空円筒状のインナーコラム11が配置されている。インナーコラム11の中にはステアリングシャフトSが挿通され、軸受30(図5)を介して回転自在に支承されている。
各ブラケット部12aには、枢動点P(つまり、チルトピボットの機能を有するボルトB)を中心とした円弧の一部となるチルト溝12bが形成されている。チルト溝12bを貫通するようにして、図7の右側からは固定部材16が挿通され、図7の左側からは固定部材17が挿通されている。
固定部材16は、図7で右側のチルト溝12bの幅よりも大径で工具係合孔を有する円盤状の頭部16aと、チルト溝12bに係合して案内される円筒状のチルト案内部16bと、テンション部材13の右半部13bに形成されたネジ孔13eに螺合し、固着される雄ネジ部16cとを有している。
これに対し、固定部材17は、工具を係合させる六角頭部17aと、円筒状の軸部17bと、ネジ部17cとを有している。ネジ部17cは、テンション部材13の左半部13aに形成されたネジ孔13fに螺合することで、テンション部材13に固着されている。軸部17bの周囲には、チルト溝12bの幅に係合するような略小判型断面のチルト案内部18a及びそれより大径の固定カム部18bを備えた固定カム18と、固定カム部18bに係合するカム面を有する可動カム19と、可動カム19と一体的に回動する操作レバーLと、スラストベアリング(転がり軸受でも滑り軸受でも良い)22が配置されている。尚、固定カム18と可動カム19を付与部材と称する場合がある。
図6に示すように、アウタージャケット21は、円筒部21aと、円筒部21aの図6で右端外周において、軸線方向に隔置配置された一対のフランジ部21c、21dとを有している。円筒部21aは、インナーコラム11を内包保持している。押圧部としてのフランジ部21c、21dの間には、テンション部材13が配置される。尚、円筒部21aには、図7に示すように、固定部材16、17から円周方向に90度離れた位置に、且つ図6に示すように、アウタージャケット21の端部からフランジ部21c、21dを分断するようにして、一対のスリット21eが形成されている。テンション部材13の最大幅(図6の上下方向; 図8の左右方向)は、アウタージャケット21の最大幅(図6の上下方向; 図8の左右方向)よりも小さくなっている。
図8は、図5の構成をB−B線の位置で切断して矢印方向に見た図である。フランジ部21cの左右の側面は、一対のブラケット部21aと対向しており、チルト位置固定時には当接可能に隣接している。また、フランジ部21dもフランジ部21cとほぼ同様の形状をしており、一対のブラケット部21aと対向してチルト位置固定時には当接可能に隣接している。
次に、ステアリング装置の調整動作について説明する。操作者が操作レバーLを締付方向に回動させると、固定カム18の固定カム部18bの凸部と、可動カム19の凸部同士が係合しあい、互いに離隔する方向に力を発生する。このとき、固定カム18により押圧された図7で左側のブラケット部12aは、右方へ変位する。一方、可動カム19により左方に押圧された固定部材17は、テンション部材13を左方へと変位させる。それに伴って、固定部材16も左方へ移動するので、アウタージャケット21のフランジ部21c、21dの両側部に、一対のブラケット部12a、12aが両側から押し当たり、チルト溝12bの両側を押し当て、適切な押圧力を付与するため、ブラケット部12aに対してアウタージャケット21は固定され、それによりインナーコラム11のチルト方向の変位は阻止されることとなる。
一方、操作レバーLの締付方向への回動に基づき、固定カム18により押圧された図7で左側のブラケット部12aは、右方へ変位することで、フランジ部21c、21dの左半部に当接して、これらを同様に右方に変位させる。更に、テンション部材13に付与された力は、反対側の固定部材16に伝達され、それにより押圧された図7で右側のブラケット部12aは、左方へ変位する。右側のブラケット部12aが左方へ変位すると、フランジ部21c、21dの右半部に当接して、これらを同様に左方に変位させ、アウタージャケット21の外周面に押圧力を付与する。アウタージャケット21が両側から押圧されることで、スリット21eが閉じるように変形するため、アウタージャケット21の内径は縮径し、インナーコラム11を適切な力で保持することができ、それによりインナーコラム11のテレスコ方向の変位も阻止されることになる。
一対のブラケット部12aの形状・板厚が略等しく、すなわち曲げ弾性係数(従って剛性)が略等しくなっていることから、操作レバーLの締付操作によって、ブラケット部12aが互いに近接する方向に力を受け、略等しい量で変位するため、インナーコラム11は、フランジ部21c、21dにより、図7で左右両側から押圧力を受けて、一対のブラケット部12a間の距離を二分する位置にその中心が一致するように固定され、それによりチルト・テレスコ方向の変位を阻止しながらも、ステアリングシャフトSの心ズレを抑制できることとなる。
ところで、ステアリング装置は衝突事故の際には車両が他の自動車などに衝突する所謂一時衝突に続いて、運転者の身体が前記ステアリングホイールに衝突する、所謂二次衝突が発生する。このような二次衝突の際に運転者の身体に加わる衝撃を緩和し、運転者の保護を図るためには、前記ステアリングホイールを、衝撃エネルギを吸収しつつ、テレスコピック位置調整機構による前後位置調整範囲を超えて前方に変位させる、衝撃吸収構造を設ける必要がある。しかし、テレスコピック位置調整機構を備えたステアリング装置は、二次衝突における運転者の保護充実を図る目的からは不利な構造である。それは、図5から見てアウタージャケット21の端部からハンドル側に突出しているインナーコラム11の長さの中でテレスコ調整ストロークと衝撃吸収ストロークを確保しなければならないからである。特にアウタージャケット21に電動式パワーステアリング装置が取り付けられた構造の場合は、インナーコラム11の突出長さがさらに短くなってしまうため、衝撃吸収ストロークも同様に短くなってしまう。そのため、衝撃エネルギ吸収機構のレイアウトについて制約が大きくなり、運転者保護の面から不利になってしまう。
国際公開03/059718
本発明は、上述のような事情に鑑みて、二次衝突時に運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収するために利用可能なストロークが短い場合でも、大きな衝撃エネルギを安定して吸収でき、しかも衝撃吸収荷重の急激な変化を防止して運転者の保護を図りやすい構造を実現すべく発明したものである。
本発明の衝撃吸収式ステアリング装置のうち、請求項1に記載した衝撃吸収式ステアリング装置は、アウタージャケットと、前記アウタージャケットの内径側に支持されて、前記アウタージャケットの後方端部から後方に突出させたインナーコラムと、前記アウタージャケット外周であって車幅方向に延在するテンション部材を備えた衝撃吸収式ステアリング装置において、前記インナーコラム外周面に軸方向にわたる溝を形成し、前記テンション部材に相対回転可能に保持され、前記溝に係合可能なローラを配置し、前記インナーコラムがアウタージャケットに進入すると、前記ローラによって塑性変形する変形部を前記溝に設けたことを特徴とする。
本発明の衝撃吸収式ステアリング装置のうち、請求項2に記載した衝撃吸収式ステアリング装置は、少なくとも後部の内径を弾性的に収縮可能としたアウタージャケットと、前記アウタージャケットの内径側に軸方向の変位を可能に支持されて、前記アウタージャケットの後方端部から後方に突出させたインナーコラムと、前記アウタージャケット内径を拡縮させるため、少なくとも前記アウタージャケット外周であって車幅方向に延在するテンション部材を含む締付機構とを備えた衝撃吸収式ステアリング装置において、前記インナーコラム外周面に軸方向にわたる溝を形成し、前記テンション部材に相対回転可能に保持され、前記溝に係合可能なローラを配置し、前記インナーコラムがテレスコ調整範囲を超えてアウタージャケットに進入すると、前記ローラによって塑性変形する変形部を前記溝に設けたことを特徴とする。
上述のように構成する本発明によれば、二次衝突時に運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収するために利用可能なストロークが短い場合でも大きな衝撃エネルギを安定して吸収でき、しかも衝撃吸収荷重の急激な変化を防止して運転者の保護を図りやすい衝撃吸収式ステアリング装置を実現できる。
第1の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の主要部断面側面図。 図1に示したステアリング装置のX部拡大図。 図1の構成をC−C線で切断して矢印方向に見た図。 第2の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の主要部断面側面図。 従来構造のチルト・テレスコピック式の電動式パワーステアリング装置の側面図。 図5に示したステアリング装置の上面図。 図5の構成をA−A線で切断して矢印方向に見た図。 図5の構成をB−B線で切断して矢印方向に見た図。
以下、本発明の実施の形態に係る衝撃吸収式ステアリング装置について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜3は、本発明の第1の実施の形態を示している。なお、本実施の形態の特徴は、ステアリング装置の衝撃エネルギ吸収部の構造にある。チルト・テレスコピック式の締付機構など、その他の部分の構造、作用は、上述の図5〜8に示した従来構造の場合と同様であるため、重複する図示並びに説明は省略もしくは簡略にし、以下、本実施の形態の特徴部分を中心に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る衝撃吸収式ステアリング装置であるチルト・テレスコピック式のステアリング装置110の主要部断面側面図である。図2は図1に示したステアリング装置のX部拡大図である。図3は、図1の構成をC−C線で切断して矢印方向に見た図である。
図1において、右側の端部に不図示のステアリングホイールが取り付けられる中空のアウターステアリングシャフトS1は、左側の端部内周面に軸方向にわたる雌セレーションS11が形成されており、右側の端部に雄セレーションS21が形成された中実のインナーステアリングシャフトS2と互いに軸方向に摺動自在に嵌合している。不図示の電動式パワーステアリング装置のギヤボックスと一体となったアウタージャケット121は中空円筒状に形成されており、その端部内周面にはインナーコラム111が軸方向に摺動自在に嵌合している。インナーコラム111のステアリングホイール側端部の内周面には軸受が固定されており、アウターステアリングシャフトS1を回転自在に保持している。また前記軸受の内輪とアウターステアリングシャフトS1とは軸方向に相対移動不能に固定しており、それによってアウターステアリングシャフトS1の軸方向移動に連動してインナーコラム111も軸方向に移動することが可能となっている。
アウタージャケット121のステアリングホイール側の端部には、軸線方向に隔置配置された一対のフランジ部121c、121dが形成されている。そして、少なくとも一対のフランジ部121c、121dを分断し、かつ図3から見てアウタージャケットを左右に分断するように上下方向にわたって一対のスリット121e、121eが形成されている。また図3に示すとおり、アウタージャケット121の端部外周面であって、一対のフランジ部121c、121dの間にはテンション部材113が配置されている。
テンション部材は、組付け状態では略環状の部材であって、左半割部113a、右半割部113b、2つの中空円筒状の支持部材113e、113fおよびボルト114で構成されている。より具体的には、2本のボルト114、114が螺合されるねじ孔113c、113dが形成された右半割部113bに隣接するように上下に配置された支持部材113e、113fが配置され、さらに支持部材113e、113fそれぞれに隣接するように上下に二箇所の貫通孔が形成された左半割部113aが配置され、略環状に構成されている。ボルト114を左半割部113aの上側の貫通孔に貫通し、さらに支持部材113eの内部に貫通させてから右半割部113bのねじ孔113cにボルト114を締結する。またボルト114を左半割部113aの下側の貫通孔に貫通し、さらに支持部材113fの内部に貫通させてから右半割部113bのねじ孔113dにボルト114を締結する。以上の方法によってテンション部材113を環状に組み立て、アウタージャケット121外周に配置している。
図3では、テンション部材113、アウタージャケット121およびインナーコラム111のみを図示し、車体側ブラケット、固定部材、操作レバー、固定カムおよび可動カムなどは図示を省略している。また、左半割部113a、右半割部113bのそれぞれには固定部材と螺合するねじ孔が形成されているが、図示は省略している。基本的な構造や基本的な作用は、従来構造である図7と同様である。そのため本実施の形態においても、不図示の操作レバーの回動によってアウタージャケット121の内径が拡縮し、インナーコラム111のテレスコ方向の位置調整が可能となっている。また、不図示の一対のブラケット部間の幅を互いに変位させることでチルト方向の位置調整が可能となっている。
次に、本実施の形態の衝撃エネルギ吸収機構部について説明する。図1〜3に示すとおり、テンション部材113の上側の支持部材113eの外周面であってその軸方向中央部にはローラ50が配置されている。ローラ50は円形の外周面形状を有する円筒形状をしている。ローラ50の中心部には円形の貫通孔が形成してあり、上側の支持部材113eと相対回転自在に嵌合している。支持部材113eとローラ50との摺動面にはグリスを塗布したり、滑り軸受や転がり軸受を介在させたりすることで相対回転自在に嵌合している。図3に示すとおり、ローラ50の幅はスリット121eに挿通可能なように、スリット121eの幅よりも小さくなっている。ローラ50は、アウタージャケット121の上側のスリット121eを通って、インナーコラム111の外周面に形成された軸方向溝60に係合している。また図3に示すように、軸方向溝60の幅はローラ50の幅よりも大きくなっており、軸方向にわたって同一の幅で延在している。
図2に拡大して示すとおり、軸方向溝60は、軸方向の位置によってその深さや形状が異なっている。具体的には、インナーコラムの反ハンドル側(図2から見て左側)にインナーコラム軸に対して直交する方向に段差面60aが形成され、ハンドル側(図2から見て右側)に向けて同一の深さの第1の溝60bが形成されている。図2から分かるように、ローラ50の最下端と第1の溝60bの底とは接触しないようになっている。第1の溝60bのハンドル側端部には、インナーコラム軸方向に対して直交する段差面60fが形成されており、そこからハンドル側に向けて第2の溝60cが軸方向に向けて延在している。第2の溝の深さは、第1の溝の深さよりも浅くなっている。図2に示すとおり、ローラ50が軸方向溝60に係合しているが、図2から見てローラ50の最下端よりも上方にインナーコラム111の外周面と第2の溝60cが形成されている。つまり、テレスコ調整時、インナーコラム111が最長調整長さとなった場合には段差面60aとローラ50とが当接し、インナーコラム111が最短調整長さとなった場合には段差面60fとローラ50とが当接することでテレスコ調整可能領域を決めている。
第2の溝60cのハンドル側端部から連続して傾斜部60dが形成されており、この傾斜部60dは、ハンドル側に向かうに従って徐々に溝深さが浅くなっている。傾斜部60dのハンドル側端部から連続して第3の溝60eが形成されており、第3の溝60eは、軸方向にわたって同一深さで軸方向に延在している。第3の溝60eの深さは第2の溝60cの深さよりも浅くなっている。第2の溝60c、傾斜部60dおよび第3の溝60eが、特許請求の範囲の変形部に対応する。
次に本実施の形態のステアリング装置の具体的動作について説明する。不図示の操作レバーを締付解除方向に回動させてインナーコラム111のテレスコ方向の位置調整が可能となると、ローラ50がインナーコラム111の第1の溝60bの範囲内で軸方向に相対移動する。そして上述のとおり、インナーコラム111が最長調整長さとなった場合には段差面60aとローラ50とが当接し、インナーコラム111が最短調整長さとなった場合には段差面60fとローラ50とが当接するので、この範囲で運転者はテレスコ調整を行い、またチルト調整を行う。また、本実施の形態の場合、ローラ50が軸方向溝60に係合しているので、テレスコ調整時にインナーコラム111に軸線方向に対するねじりトルクが入力されたとしても、アウタージャケット121とインナーコラム111との相対回転を阻止することが可能となる。運転者がテレスコ位置およびチルト位置を決めると、不図示の操作レバーを締付方向に回動することでテレスコ位置およびチルト位置を固定する。
本実施の形態では、段差面60fとローラ50とを当接させてインナーコラム111がテレスコ調整最短長さとしているが、これに代えて、例えばインナーコラム111の外周面にローラ50によって破断可能な樹脂製のリング部材を保持固定させることでテレスコ方向のストッパとしてもよい。
上述のような衝撃吸収式ステアリング装置を備えた車両の衝突事故に伴う二次衝突時に、運転者の身体に加わる衝撃を緩和するためには、インナーコラム111をアウタージャケット121内に衝撃エネルギを吸収しつつ進入させる必要がある。アウタージャケット121の内周面の縮径によってインナーコラム外周面と摩擦によって保持されているので、二次衝突時、この摩擦力に抗するように軸方向溝60の段差面60fとローラ50とが当接するまでインナーコラム111がアウタージャケット内に進入する。さらに二次衝突が進行すると、インナーコラム111がさらにアウタージャケット121の内部に進入し、ローラ50は段差面60fを乗り上げ、第2の溝60cを塑性変形させることで衝撃エネルギを吸収していく。ローラ50は支持部材113eに回転自在に支持されているので、段差面60fをローラ50が乗り上げる際に急激な荷重変化が発生しにくくなる。第2の溝60cの塑性変形を終えると、次に傾斜部60dをローラ50は塑性変形させて衝撃エネルギを吸収する。このとき、インナーコラム111の進入に伴って徐々に衝撃エネルギ吸収荷重が増大していく。傾斜部60dをローラ50が乗り上げて塑性変形を終えると、第3の溝60eの塑性変形によって衝撃エネルギを吸収する。第3の溝60eの深さは第2の溝60cの深さよりも浅いため、ローラ50による塑性変形量が大きく、衝撃エネルギ吸収荷重も高くなる。そして第3の溝60eを塑性変形させながらインナーコラム111が進入していくことで衝撃エネルギの吸収を終える。
なお、段差面60fよりもハンドル側の溝形状は本実施の形態の形状に限らず自由に設定可能である。例えば、同一深さの第2の溝のみハンドル側に向けて軸方向に形成させても良いし、第2の溝と第3の溝の溝深さを互いに入れ替えたりしてもよい。また、ハンドル側に向けて徐々に溝深さが浅くなっていく傾斜部のみ形成してもよい。
本実施の形態の衝撃吸収式ステアリング装置は、上述のように構成され、上述のように作用するので、二次衝突時に運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収するために利用可能なストロークが短い場合でも、衝撃エネルギを安定して吸収できるとともに、衝撃エネルギ吸収荷重の急激な変化を防止して運転者の保護を図りやすい衝撃吸収式ステアリング装置を実現できる。また、支持部材113eに回転自在に支持されたローラ50を使用しているので、衝撃エネルギ吸収時にインナーコラム111がアウタージャケット121内にスムースに進入し、安定した衝撃エネルギ吸収荷重を発生させることが可能となる。また、ローラ50によって塑性変形される第2の溝60c、傾斜部60dおよび第3の溝60eの寸法形状がばらついたとしても、安定して衝撃エネルギ吸収荷重を発生させることが可能となる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るステアリング装置210の主要部断面側面図である。本実施の形態は、上述した第1の実施の形態と基本的な構造は同様であり、異なる点のみ説明する。
第1の実施の形態の場合、図3に示すとおりテンション部材113の支持部材113eにのみローラ50を回転自在に保持していた。第2の実施の形態の場合、支持部材113eにローラ250を回転自在に支持するとともに、さらに支持部材113fにもローラ251を回転自在に保持している。それに伴って、インナーコラム211にローラ250と係合する軸方向溝260を形成するとともに、ローラ251と係合する軸方向溝261をさらに形成している。軸方向溝260、261は、インナーコラム211の軸線に対して互いに対向するように軸方向に向けて形成されている。また、軸方向溝260、261の形状は、第1の実施の形態と同様、第2の溝、傾斜部および第3の溝が形成されている。なお、溝260、261の形状は、図4から見て上下対称に形成してもよいし、上下非対称に形成することで衝撃吸収荷重の特性を自由に設定することも可能である。
本実施の形態の場合、衝撃吸収荷重が第1の実施の形態と比較して高くなるが、ローラ250、251を使用しているため、二次衝突時に運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃エネルギを吸収するために利用可能なストロークが短い場合でも、衝撃エネルギを安定して吸収できるとともに、衝撃エネルギ吸収荷重の急激な変化を防止して運転者の保護を図りやすい衝撃吸収式ステアリング装置を実現できる。
以上の説明は、本発明をテレスコピック機構を組み込んだ衝撃吸収式ステアリング装置に適用した場合について行ったが、本発明は、テレスコピック機構を持たない衝撃吸収式ステアリング装置に適用することもできる。すなわち、車両前方側のアウタージャケットの後部と車両後方側のインナーコラムの前部とを嵌合してなるステアリングコラムを備え、二次衝突時の衝撃エネルギでこのステアリングコラムの全長を収縮する構造であれば、本発明を適用できる。言い換えれば、ステアリングホイールの傾斜角度を調整可能なチルト機構のみを設けた衝撃吸収式ステアリング装置でも、テレスコピック機構、チルト機構のいずれも持たない衝撃吸収式ステアリング装置でも実施可能である。
110、210 ステアリング装置
111、211 インナーコラム
121、221 アウタージャケット
121e、221e スリット
50、250、251 ローラ
60、260、261 軸方向溝
60b 第1の溝
60c 第2の溝
60d 傾斜部
60e 第3の溝
S1 アウターステアリングシャフト
S2 インナーステアリングシャフト

Claims (2)

  1. アウタージャケットと、
    前記アウタージャケットの内径側に支持されて、前記アウタージャケットの後方端部から後方に突出させたインナーコラムと、
    前記アウタージャケット外周であって車幅方向に延在するテンション部材を備えた衝撃吸収式ステアリング装置において、
    前記インナーコラム外周面に軸方向にわたる溝を形成し、
    前記テンション部材に相対回転可能に保持され、前記溝に係合可能なローラを配置し、
    前記インナーコラムがアウタージャケットに進入すると、前記ローラによって塑性変形する変形部を前記溝に設けたことを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  2. 少なくとも後部の内径を弾性的に収縮可能としたアウタージャケットと、
    前記アウタージャケットの内径側に軸方向の変位を可能に支持されて、前記アウタージャケットの後方端部から後方に突出させたインナーコラムと、
    前記アウタージャケット内径を拡縮させるため、少なくとも前記アウタージャケット外周であって車幅方向に延在するテンション部材を含む締付機構とを備えた衝撃吸収式ステアリング装置において、
    前記インナーコラム外周面に軸方向にわたる溝を形成し、
    前記テンション部材に相対回転可能に保持され、前記溝に係合可能なローラを配置し、
    前記インナーコラムがテレスコ調整範囲を超えてアウタージャケットに進入すると、前記ローラによって塑性変形する変形部を前記溝に設けたことを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
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