JP2004330923A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】適長に亘って嵌合された外筒3及び内筒4を備えるステアリングコラム2において、内筒4の外周面にローレット加工部40,40…を形成し、このローレット加工部40,40…に外筒3の内周面を圧接させて、ローレット加工部40,40…の軸長方向及び周方向の形成範囲、並びに各ローレット加工部40,40…の凸部高さを変えて、外筒3と内筒4との間の摩擦抵抗を調整する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突時に操舵部材に加えられる二次衝突の衝撃エネルギを、該ステアリング軸を支持する筒形のステアリングコラムが軸長方向に短縮することにより吸収する構成としてあるステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵は、車室の内部に配されたステアリングホイール(操舵部材)に加えられる操舵トルクを、操舵用の車輪(一般的には左右の前輪)の舵取りのために車室の外部に配された舵取機構に伝えて行われる。このような操舵を行わせるためのステアリング装置は、車室の内部に軸回りでの回転自在に支持されたステアリング軸の上端部にステアリングホイールを取付け、また前記ステアリング軸の下端部を舵取機構に連結して構成されている。
【0003】
このようなステアリング装置においては、車両の前面衝突時に、進行方向への慣性の作用によりステアリングホイールに衝突(二次衝突)する運転者のダメージを軽減することを目的として、ステアリング軸を回転自在に支持するステアリングコラムを、適長に亘って内外に嵌め合わされ、軸長方向への短縮が可能な内筒及び外筒を備えて構成し、これらが短縮する際の摩擦抵抗により前述した二次衝突時の衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収式のステアリング装置として構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
内筒及び外筒の短縮時の摩擦抵抗の付与は、従来から種々の構成にて実現されている。特許文献1に開示されたステアリング装置においては、外筒の周壁を軸長方向に適長離れた2位置にてかしめ、夫々の位置の内周面に内向きに突出する抵抗突起を各複数設けて、これらの突起を内筒の外周面に圧接させ、この圧接部の摺動により摩擦抵抗を付与する構成としてあり、簡素な構成により目的を達成することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−293249号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如く構成された衝撃吸収式のステアリング装置においては、ステアリングホイールに衝突する運転者には、内筒及び外筒間の摩擦抵抗が反力として加わることから、運転者のダメージを軽減するという初期の目的を達成するには、内筒と外筒とが、短縮ストロークの全長に亘って略一定の抵抗下にて短縮せしめられることが重要である。
【0007】
ところが、前記特許文献1に記載されたステアリング装置においては、外筒のかしめにより形成される抵抗突起の突出量を高精度に管理することが難しく、内筒との圧接荷重にばらつきが生じ、衝撃吸収のための所望の摩擦抵抗がが得られない場合があった。この難点は、内筒との嵌め合わせ前に抵抗突起の突出量を調整することにより解消されるが、この調整には、かしめ用の設備を用いた再度のかしめ工程が必要となり、工程数の増加による製品コストの上昇を招くという問題がある。
【0008】
そこで従来においては、予め定めた公差範囲内にて異なる外径を有する内筒を各複数用意しておき、組み付け対象となる外筒内面の抵抗突起の実寸法に合った外径を有する内筒を選別して使用するようにしており、組み付けの手間が増加するという問題があった。
【0009】
また一方、ステアリングコラムには、内部に支持されたステアリング軸の回転に伴う反力の作用により軸回りの捩れ力が加わり、特に、ステアリングコラムの中途に操舵補助用のモータを備えるコラムアシスト形の電動パワーステアリング装置として構成されている場合、減速下にてステアリング軸に伝えられる前記モータの回転力の作用によりステアリングコラムに大なる捩れ力が加わることとなる。
【0010】
このような捩れ力が加えられた場合、特許文献1に開示されたステアリング装置においては、ステアリングコラムを構成する内筒及び外筒の嵌め合わせ部に周方向の微小な滑り(スティックスリップ)が生じることがある。この滑りは、ステアリングコラム内部でのステアリング軸の回転、及びこの回転によってなされる操舵に悪影響を及ぼすものではないが、滑りに伴って発生する異音が車室内に伝播し、運転者又は同乗者に聴取されて、何らかの故障、破損等の不具合が発生していると誤認される虞れがある。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ステアリングコラムを構成する内筒と外筒との間の摩擦抵抗を簡易に調整することができ、所望の衝撃吸収性能を確実に実現し得るステアリング装置を提供することを目的とし、またステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の周方向の滑りを、異音の発生を伴わずに行わせ得るステアリング装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係るステアリング装置は、操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に形成され、前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面と圧接させてあるローレット加工部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、ステアリングコラムを構成する内筒と外筒とが、二次衝突に伴う衝撃力の作用により、一方の嵌合周面に形成されたローレット加工部の表面への圧接下にて短縮し、この間の摩擦抵抗により二次衝突の衝撃エネルギを吸収する。ローレット加工部での摩擦抵抗は、加工に用いるローレットの選定、軸長方向及び周方向の加工長さの増減等、加工条件の変更により、簡易に調整することができ、所望の衝撃吸収性能を高精度に実現することができる。
【0014】
本発明の第2発明に係るステアリング装置は、操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に形成されたローレット加工部と、前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記ローレット加工部に圧接させてある抵抗突起とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、ステアリングコラムを構成する内筒と外筒とが、二次衝突に伴う衝撃力の作用により、一方の嵌合周面に形成されたローレット加工部と、他方の嵌合周面に形成された抵抗突起との圧接下にて短縮し、この間の摩擦抵抗により二次衝突の衝撃エネルギを吸収する。ローレット加工部での摩擦抵抗は、加工に用いるローレットの選定、軸長方向及び周方向の加工長さの増減等、加工条件の変更により、簡易に調整することができ、また摩擦抵抗の発生域が抵抗突起の突設位置に限定されるから、所望の衝撃吸収性能を高精度に実現することができる。
【0016】
本発明の第3発明に係るステアリング装置は、操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に圧接させてある抵抗突起と、該抵抗突起の圧接面に形成され、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面との間に潤滑剤を保持する保持溝とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、ステアリングコラムに加わる捩れ力の作用により、該ステアリングコラムを構成する内筒と外筒とが、一方の嵌合周面に突設された抵抗突起の保持溝に保持された潤滑剤の作用下にて滑り、この滑りに伴う音の発生を軽減する。
【0018】
本発明の第4発明に係るステアリング装置は、操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面を被覆する固体潤滑剤のコーティング層と、前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記コーティング層の表面に圧接させてある抵抗突起とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、ステアリングコラムに加わる捩れ力の作用により、該ステアリングコラムを構成する内筒と外筒とが、一方の嵌合周面に突設された抵抗突起と他方の嵌合周面に設けられた固体潤滑剤製のコーティング層との間の低い抵抗下にて滑り、この滑りに伴う音の発生を軽減する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るステアリング装置の全体構成を示す模式図である。
【0021】
図中1は、ステアリング軸であり、該ステアリング軸1は、円筒形をなすステアリングコラム2の内部に同軸的に支持され、該ステアリングコラム2の中途部及び一端部に夫々固設されたアッパブラケット20とロアブラケット21とにより、ロアブラケット21の側を前下方(図における左下方)に向けた傾斜姿勢にて車室の内部に支持されている。
【0022】
ステアリングコラム2の上部に突出するステアリング軸1の上端部には、車室内部の図示しない運転者に対面するように、操舵部材としてのステアリングホイール10が嵌着固定され、同じく下部に突出するステアリング軸1の下端部は、両端にユニバーサルジョイント60,60を備える中間軸6を介して舵取機構7の入力軸70に連結されている。以上の構成により、操舵のためにステアリングホイール10に加えられる操舵トルクは、ステアリング軸1及び中間軸6を介して舵取機構7の入力軸70に伝達され、該舵取機構7の動作により操舵が実行される。
【0023】
なお図1に示すステアリング装置は、ステアリングコラム2の下端部近傍に取付けられた操舵補助用のモータ23を備え、また該モータ23よりも上位置のステアリングコラム2の内部にトルクセンサ24を備えており、ステアリングホイール10に加えられる操舵トルクをトルクセンサ24により検出し、この検出トルクに基づいて駆動されるモータ23の回転力をステアリングコラム2内部のステアリング軸1に伝え、前述の如く行われる操舵を補助する電動パワーステアリング装置として構成されているが、以下に示す本発明に係るステアリング装置の特徴的な構成は、運転者によりステアリングホイール10に加えられる操舵トルクのみによって操舵を行わせるマニュアル式のステアリング装置にも適用可能であり、また舵取機構7に付設された油圧シリンダの発生力により操舵を補助する油圧パワーステアリング装置にも適用可能である。
【0024】
本発明に係るステアリング装置において、トルクセンサ24の内蔵部分の上位置に連続するステアリングコラム2の上半部は、適長に亘って内外に嵌合され、軸長方向への相対移動可能に組み合わされた外筒3及び内筒4を備えている。ステアリングコラム2の上部を車体に支持するアッパブラケット20は、外筒3の中途部に固設されており、ステアリングコラム2に下向きに加わる所定限度を超える力の作用により、車体にカプセル22を残して下方に離脱する公知のブレークアウエイブラケットとして構成されている。
【0025】
図2は、ステアリングコラム2を構成する外筒3及び内筒4の嵌合部の縦断面図、図3は、同じく嵌合部の分解斜視図である。外筒3及び内筒4は、共に薄肉の円筒体であり、下側に位置する内筒4には、外筒3への嵌め込み側となる上端部近傍の外周面に、全周に亘ってローレット加工が施されてなるローレット加工部40,40…が、軸長方向の複数か所に形成されている。外筒3は、これらのローレット加工部40,40…の形成範囲の全体を覆うように嵌め合わされ、この外筒3の内周面がローレット加工部40,40…の表面に圧接させてある。
【0026】
図4は、ローレット加工部40の表面性状を拡大して示す説明図である。ローレット加工は、外表面に所定の凹凸パターンを有するローレットを加工面に押し付け、該加工面に前記凹凸パターンを転写する公知の加工法である。このようなローレット加工がなされたローレット加工部40には、内筒4の本来の外周面よりも突出する凸部4a,4a…が、使用したローレットの凹パターンに対応する位置に並んで形成され、図中に2点鎖線により示す如く、内筒4に外嵌される外筒3の内周面は、これらの凸部4a,4a…に圧接される。
【0027】
このように嵌め合わされた外筒3及び内筒4は、これらの軸長方向に加わる外力の作用により、各ローレット加工部40,40…の凸部4a,4a…と外筒3の内周面との間の摩擦抵抗下にて短縮する。ここで、ローレット加工部40,40…における凸部4a,4a…の高さは、ローレットの押し付け力の大小によって自在に変更することができ、外筒3及び内筒4の短縮時における摩擦抵抗の大きさを、手間を要することなく簡易に調整することができる。
【0028】
また、外筒3及び内筒4の摩擦抵抗は、ローレット加工部40,40…の並設数、又は各ローレット加工部40,40…の軸長方向、若しくは周方向の長さを変更することによっても増減することができ、これらによる摩擦抵抗の調整も、簡易にしかも高精度に実施することが可能である。更には、軸長方向に並ぶ複数のローレット加工部40,40…の夫々について形成態様を異ならせてもよい。
【0029】
なお図2及び図3においては、内筒4の外周面に、あや目のローレット加工部40,40…を備える構成について述べたが、ローレット加工部は、外筒3の内周面に形成することも可能であり、更に、平目、斜目等の他の形態のローレット加工部を形成してもよい。
【0030】
以上の如く嵌め合わされた外筒3及び内筒4を備えるステアリングコラム2には、車両の前面衝突時に、車両の進行方向への慣性の作用によりステアリングホイール10に運転者が衝突(二次衝突)したとき、軸長方向の下向きに衝撃力が加わる。このとき、前述の如くブレークアウエイブラケットとして構成されたアッパブラケット20が車体から離脱し、該アッパブラケット20による拘束が解除された外筒3は、前記衝撃力の作用により内筒4への嵌め込み長さを増す向きに相対移動し、ステアリングコラム2が短縮せしめられる。この短縮は、前述の如く、内筒4の外周面に設けられたローレット加工部40,40…と外筒3の内周面との間の摩擦抵抗下において、図1中にSとして示す短縮ストローク間にて生じ、二次衝突に伴う衝撃のエネルギが吸収される。
【0031】
この間、ステアリングホイール10に衝突した運転者には、外筒3と内筒4との間の摩擦抵抗が反力として加わる。この摩擦抵抗は、前述の如く、ローレット加工部40,40…の形成態様の調整により高精度に管理することができ、前記運転者は、適正な大きさの反力の持続的な負荷により大なるダメージを受けることなく保護される。ローレット加工部40,40…の形成態様は、前述の如く、大なる手間を要さずに簡易に調整(チューニング)することができ、所望の衝撃吸収性能を高精度に実現することができる。
【0032】
図5は、ステアリングコラム2を構成する外筒3及び内筒4の第2の実施の形態を示す縦断面図である。外筒3及び内筒4は、共に薄肉の円筒体であり、下側に位置する内筒4には、外筒3への嵌め込み側となる上端部近傍の外周面に、所定の長さ範囲に亘ってローレット加工部41が周設されている。また上側に位置する外筒3には、内筒4への嵌め込み側となる下端部近傍の内周面に、内向きに突出する抵抗突起31が、軸長方向に離隔した2か所の夫々において、周方向に各複数等配されており、これらの抵抗突起31,31…がローレット加工部41の表面に圧接させてある。
【0033】
なお抵抗突起31,31…は、外筒3の周壁の該当位置を外側からかしめて形成することができる。また図5には、夫々の軸長方向位置に2個の抵抗突起31,31が図示されているが、各位置での抵抗突起31,31…の並設個数は、ローレット加工部41への圧接状態を安定化するために、3個以上とするのが望ましい。
【0034】このように嵌め合わされた外筒3及び内筒4は、これらの軸長方向に加わる外力の作用により、内筒4のローレット加工部41と外筒3の抵抗突起31,31…との圧接部における摩擦抵抗下にて短縮する。ここで、ローレット加工部41の形成態様は、前述の如く簡易に変更することができ、外筒3及び内筒4の短縮時における摩擦抵抗の大きさを、手間を要することなく簡易に調整(チューニング)することができる。
【0035】
なお図5においては、内筒4の外周面に、あや目のローレット加工部41を備える構成について述べたが、ローレット加工部を外筒3の内周面に形成し、内筒4の外周面に突設された抵抗突起を圧接させる構成としてもよく、また、平目、斜目等の他の形態のローレット加工部41を形成してもよい。
【0036】
以上の如く嵌め合わされた外筒3及び内筒4を備えるステアリングコラム2においては、前述した二次衝突に伴う衝撃力の作用により短縮し、この間、ローレット加工部41と抵抗突起31,31…との間に発生する摩擦抵抗によって二次衝突に伴う衝撃のエネルギが吸収される。前記摩擦抵抗は、ローレット加工部41の形成態様の変更により、簡易に、しかも高精度に調整することができ、所望の衝撃吸収性能を高精度に実現することが可能であり、ステアリングホイール10に衝突する運転者は、適正に調整された摩擦抵抗の持続的な負荷により大なるダメージを受けずに保護される。更にこの実施の形態においては、ローレット加工部41との圧接部位が抵抗突起31,31…の位置に限定されるから、摩擦抵抗をより高精度に調整することが可能となる。
【0037】
図6は、ステアリングコラム2を構成する外筒3及び内筒4の第3の実施の形態を示す分解斜視図、図7は、外筒3及び内筒4の嵌め合わせ部の要部拡大横断面図である。外筒3及び内筒4は、共に薄肉の円筒体であり、上側に位置する外筒3には、内筒4への嵌め込み側となる上端部近傍の内周面に、内向きに突出する抵抗突起32,32…が、周方向に4等配されており、これらの抵抗突起32,32…の内向きの端面が、図中に矢符にて示す如く圧入される内筒4の外周面に圧接されるようになしてある。以上の如き抵抗突起32,32…の圧接面、即ち、内筒4の外周面に圧接される抵抗突起32,32…の内側端面には、図6中に2つの抵抗突起32,32に対して示す如く、軸長方向に延びる複数本の保持溝33,33…が形成されている。
【0038】
図7には、一つの抵抗突起32と内筒4との圧接部が拡大して示されている。本図に示す如く抵抗突起32の保持溝33,33…は、内筒4の外周面との間に微小な空間を形成することとなり、これらの空間の内部には、外筒3への内筒4の圧入に際し、両者間の潤滑のために供給されるグリス等の潤滑剤が、閉じ込められた状態で保持される。
【0039】
以上の如く嵌め合わされた外筒3及び内筒4を備えるステアリングコラム2には、内部に支持されたステアリング軸1の回転に伴う反力、及び操舵補助用のモータ23からステアリング軸1に伝えられる回転力の作用により軸回りの捩れ力が加わる。このように捩れ力が加わった場合、図6に示すステアリングコラム2においても、外筒3と内筒4との間に滑りが発生するが、この滑りは、保持溝33,33…に前述の如く保持された潤滑剤の作用下にて異音を伴うことなく生じ、車室内の運転者又は同乗者に不具合が発生していると誤認される虞れがない。
【0040】
保持溝33,33…は、前述の如く、抵抗突起32の内面に軸長方向に延設されており、この延設方向は、前記捩れ力の作用方向と直交する方向であるから、保持溝33,33…に保持された潤滑剤は、操舵に伴う捩れ力の作用が繰り返しなされた場合にも失われることがなく、滑りに伴う異音の発生を長期に亘って有効に防止することができる。
【0041】
なお保持溝33,33…は、図6に示す態様に限らず、潤滑剤の保持が可能であれば如何なる態様にて形成してあってもよいが、図6に示す軸長方向に延びる保持溝33,33…は、例えば、抵抗突起32,32…の内径寸法の仕上げのために外筒3の開口端から通されるロケットの外周に切刃を設けることにより、抵抗突起32,32…の仕上げと同一工程にて形成することが可能である。
【0042】
以上の如き潤滑剤の保持作用は、図2及び図5に示す実施の形態においては、内筒4の外周面に設けたローレット加工部40及びローレット加工部41を保持溝としてなされ、捩れ力の作用によるステアリングコラム2の滑り音の発生を抑えることができる。
【0043】
図8は、ステアリングコラム2を構成する外筒3及び内筒4の第4の実施の形態を示す縦断面図である。外筒3及び内筒4は、共に薄肉の円筒体であり、下側に位置する内筒4の上端部近傍の外周面には、全周に亘るコーティング層42,42が、軸長方向に適長離隔した2か所に形成されている。また上側に位置する外筒3の下端部近傍の内周面には、内筒4のコーティング層42,42間に対応する軸長方向距離を隔てた2か所に、内向きに突出する抵抗突起34,34…が周方向に各複数等配されており、外筒3と内筒4との嵌め合わせは、前者の抵抗突起34,34…を後者のコーティング層42,42の表面に圧接させてなされている。内筒4外面のコーティング層42は、固体状態において所定の潤滑機能を果たし得る固体潤滑剤(二硫化モリブデン、グラファイト等)をコーティングすることにより形成されている。
【0044】
以上の如く嵌め合わされた外筒3及び内筒4を備えるステアリングコラム2には、使用状態下において前述の如き捩れ力が加わることがある。このような捩れ力の作用時に、コーティング層42と抵抗突起34との圧接部においては、大なる抵抗及び異音の発生を伴わずに滑りが生じ、車室内の運転者又は同乗者に不具合が発生していると誤認される虞れがない。またこの滑りは、内筒4の外表面に強固に被着されたコーティング層42の表面において生じるから、操舵に伴う捩れ力が繰り返し加えられた後にもも維持され、特に、耐圧性、耐摩耗性及び耐食性に優れた二硫化モリブデン製のコーティング層42を形成した場合、捩れ力の作用に起因する異音の発生を長期に亘って有効に防止することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の第1,2発明に係るステアリング装置においては、二次衝突時の衝撃吸収のために生じるステアリングコラムの短縮を、ステアリングコラムを構成する内筒と外筒との間にて簡易に調整可能な摩擦力の作用下にて行わせることができ、所望の衝撃吸収性能を高精度に実現し、運転者の安全確保に有用である。
【0046】
また本発明の第3,4発明に係るステアリング装置においては、ステアリングコラムに軸回りの捩れ力が加えられたとき、ステアリングコラムを構成する内筒及び外筒が潤滑剤又は固体潤滑剤の作用により音の発生を伴うことなく滑り、捩れ力に起因する異音の発生を抑えて、不具合が生じていると誤認される虞れを緩和することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】ステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の嵌合部の縦断面図である。
【図3】ステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の嵌合部の分解斜視図である。
【図4】ローレット加工部の表面性状を拡大して示す説明図である。
【図5】ステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の第2の実施の形態を示す縦断面図である。
【図6】ステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の第3の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示す外筒及び内筒の嵌め合わせ部の要部拡大横断面図である。
【図8】ステアリングコラムを構成する外筒及び内筒の第4の実施の形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ステアリング軸
2 ステアリングコラム
3 外筒
4 内筒
6 舵取機構
10 ステアリングホイール(操舵部材)
31 抵抗突起
32 抵抗突起
33 保持溝
34 抵抗突起
40 ローレット加工部
41 ローレット加工部
42 コーティング層
Claims (4)
- 操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、
前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に形成され、前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面と圧接させてあるローレット加工部
を備えることを特徴とするステアリング装置。 - 操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、
前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に形成されたローレット加工部と、
前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記ローレット加工部に圧接させてある抵抗突起と
を備えることを特徴とするステアリング装置。 - 操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、
前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面に圧接させてある抵抗突起と、
該抵抗突起の圧接面に形成され、前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面との間に潤滑剤を保持する保持溝と
を備えることを特徴とするステアリング装置。 - 操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達するステアリング軸を、適長に亘って嵌合された内筒及び外筒を備えるステアリングコラムの内部に支持してなり、車両の衝突時に前記操舵部材に加わる二次衝突の衝撃エネルギを、前記内筒及び外筒間に所定の抵抗下にて生じる軸長方向の短縮により吸収するステアリング装置において、
前記内筒の外周面又は前記外筒の内周面を被覆する固体潤滑剤のコーティング層と、
前記外筒の内周面又は前記内筒の外周面に内向き又は外向きに突設され、前記コーティング層の表面に圧接させてある抵抗突起と
を備えることを特徴とするステアリング装置。
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