JP4158595B2 - ステアリング軸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のステアリングホイールと舵取機構とを連結し、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクを舵取機構に伝達すべく用いられるステアリング軸に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵は、車室の内部に配された操舵部材(ステアリングホイール)に加えられる操舵トルクを、操舵用の車輪(一般的には前輪)の舵取りのために車室の外部に配された舵取機構に伝えて行われる。このような操舵を行わせるためのステアリング装置は、車室の内部に軸回りでの回転自在に支持されたステアリング軸の上端部に、運転者に対面するようにステアリングホイールを取付け、また前記ステアリング軸の下端部を舵取機構に連結して構成されている。
【0003】
このようなステアリング装置においては、前記ステアリング軸、及び該ステアリング軸を支持するステアリングコラムを軸方向の作用力に対して所定の抵抗下にて短縮可能とし、車両の前面衝突に伴って前方への慣性の作用により運転者がステアリングホイールに衝突(二次衝突)する際の衝撃エネルギを、前記ステアリング軸及びステアリングコラムの短縮により吸収する衝撃吸収式のステアリング装置として構成されたものがある。また同様に、前記ステアリング軸及びステアリングコラムを伸縮可能とし、この伸縮によりステアリング軸の上端部に取付けられたステアリングホイールの位置を、運転者の運転姿勢及び好みに合わせて調節可能としたテレスコピックステアリング装置として構成されたものがある。
【0004】
以上の如き衝撃吸収式のステアリング装置、テレスコピックステアリング装置等に使用される伸縮可能なステアリング軸は、筒形をなす外軸に内軸を嵌め合わせてなり、相互に嵌め合い長さを増すように短縮せしめ、また嵌め合い長さを減じるように伸長せしめる構成により簡素に実現される。これらの内軸と外軸とは、操舵部材に加えられる操舵トルクを舵取機構に伝えるという本来の作用を確実に行わせるために一体回転可能に連結する必要があり、従来から、内軸及び外軸の嵌合部を非円形断面、特に、円形の一部を切欠いて互いに平行をなす一対の平坦面を形成してなる小判形断面とし、内軸と外軸との間の回転伝達を前記平坦面同士の当り部を介して行わせる構成としてある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、小判形断面等の非円形断面の嵌合部を採用した場合、この嵌合部の隙間、特に、両者の平坦面間の隙間を高精度に管理することが難しく、内軸と外軸との間での回転伝達に際し、両軸が前記隙間内にて周方向にガタ付くという問題があり、これらの間に衝突音が発生し、またガタ付きの影響により、例えば、操舵方向の転換時に操舵部材から舵取機構への伝動に遅れを伴い、操舵感の悪化を招来するという不具合がある。
【0006】
このようなガタ付きによる不具合を防止するため、特許文献1に開示されたステアリング軸においては、外軸及び内軸の嵌合部に樹脂を注入し、嵌合隙間を埋めるように硬化させてガタ付きを防止するガタ止め構造が採用されており、また他のステアリング軸においては、外軸と内軸とを嵌合した後、外軸の一部をかしめ変形させて内軸の外面に当接させるガタ止め構造が採用されており(例えば、特許文献2参照)、更に他のステアリング軸においては、外軸と内軸との嵌合部に板ばねを介装し、この板ばねを外軸及び内軸の周面に弾接させて嵌合隙間を埋めるようにしたガタ止め構造が採用されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−208089号公報
【特許文献2】
特開平10−45005号公報
【特許文献3】
特開平2001−158384号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1に開示されたガタ止め構造においては、樹脂インジェクションのための設備及び工程が必要であり、また特許文献2に開示されたガタ止め構造においても同様に、かしめ型を含めたかしめ用の設備及び工程が必要であって、これらのガタ止め構造を採用した場合、組立工数の増加に伴う製品コストの上昇を招来するという問題がある。
【0009】
これらに対し、特許文献3に開示されたガタ止め構造は、内軸と外軸との間に板ばねを介装する簡素な構成であり、専用の設備及び工程を必要とせずに実施可能であるが、内軸と外軸とは、前記板ばねの弾性変形を伴って変位することができ、十分なガタ止め効果が得られないという問題があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、内外に嵌め合わされた内軸と外軸とのガタ付きのない連結を、専用の設備及び工程を要することなく簡素に実現し、ガタ付きに起因する不具合の発生を未然に防止し得るステアリング軸を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係るステアリング軸は、互いに平行をなす少なくとも一対の平坦面を有する非円形断面の内軸と、該内軸と対応する非円形の内側断面を有する筒形の外軸とを適長に亘って内外に嵌め合わせてなり、これらの内軸と外軸との間にて前記平坦面同士の当り部を介して回転伝達する構成としてあるステアリング軸において、前記外軸の一部に、一方の平坦面、及びこの平坦面に連なる面に亘って形成された窓孔と、互いに平行をなす一対の弾性片を有し、前記窓孔から露出する前記内軸の一方の平坦面と前記外軸の他方の平坦面とに夫々を沿わせた前記弾性片の両端を弾接させてあるコの字形の押えばねとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、外軸の一方の平坦面に窓孔を形成し、互いに平行をなす一対の弾性片を有しコの字形をなす押えばねを、窓孔から露出する内軸の一方の平坦面と外軸の他方の平坦面とに一対の弾性片を夫々沿わせるように装着して、各弾性片の両端を内軸及び外軸の平坦面に弾接させ、押えばねのばね力により、外軸の内側に内軸を押し付けて周方向のガタ付きを抑え、衝突音の発生、操舵感の悪化等、ガタ付きに起因する不具合の発生を防止する。前記窓孔は、平坦面の一側又は両側に連なる面に亘って形成してあり、押えばねの前述した装着は、コの字の開口側を過度に拡げることなく実施できる上、装着後の押えばねが大なるばね力を保ち、ガタ付きを有効に抑えることができる。
【0013】
また本発明の第2発明に係るステアリング軸は、第1発明における押えばねの弾性片と内軸及び外軸の平坦面との弾接部に、相互に係合する係合手段を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明においては、押えばねと内軸及び外軸との弾接部に係合手段を備え、この係合手段により押えばねの弾接状態を維持し、車両走行中の振動等の外力の作用による押えばねの脱落を防止する。
【0015】
更に本発明の第3発明に係るステアリング軸は、第1発明又は第2発明における窓孔及び押えばねは、前記内軸及び外軸の軸長方向に複数並設してあることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、軸長方向に複数の押えばねを装着し、これらにより内軸及び外軸の嵌合部の軸長方向のガタ付きを併せて抑え、ガタ付きに起因する不具合の発生を防止する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るステアリング軸を備えるステアリング装置の構成を示す模式図である。
【0018】
図中1は、ステアリング軸であり、該ステアリング軸1は、円筒形をなすステアリングコラム2の内部に同軸的に支持され、該ステアリングコラム2の中途部及び一端部に夫々固設されたアッパブラケット20とロアブラケット21とにより、ロアブラケット21の側を前下方(図における左下方)に向けた傾斜姿勢にて車室の内部に支持されている。なおアッパブラケット20は、ステアリングコラム2に下向きに加わる所定限度を超える力の作用により、車体側の固定部にカプセル22を残して下方に離脱する公知のブレークアウエイブラケットとして構成されている。
【0019】
ステアリングコラム2の上部に突出するステアリング軸1の上端部1aには、車室内部の図示しない運転者に対面するようにステアリングホイール10が嵌着固定され、同じく下部に突出するステアリング軸1の下端部1bは、両端にユニバーサルジョイント60,60を備える中間軸6を介して舵取機構7の入力軸70に連結されている。以上の構成により、運転者により操舵のためにステアリングホイール10に加えられる操舵トルクは、ステアリング軸1及び中間軸6を介して舵取機構7の入力軸70に伝達され、該舵取機構7の動作により操舵が実行される。
【0020】
なお図1に示すステアリング装置は、ステアリングコラム2の下端部近傍に取付けられた操舵補助用のモータ23を備え、また該モータ23よりも上位置のステアリングコラム2の内部にトルクセンサ24を備えており、ステアリングホイール10に加えられる操舵トルクをトルクセンサ24により検出し、この検出トルクに基づいて駆動されるモータ23の回転力をステアリングコラム2内部のステアリング軸1に伝え、前述の如く行われる操舵を補助する電動パワーステアリング装置として構成されているが、以下に示す本発明に係るステアリング軸1の特徴的な構成は、運転者によりステアリングホイール10に加えられる回転トルクのみによって操舵を行わせるマニュアル式のステアリング装置にも適用可能であり、また舵取機構7に付設された油圧シリンダの発生力により操舵を補助する油圧パワーステアリング装置にも適用可能である。
【0021】
ステアリング軸1は、図1中に一部を破断して示すステアリングコラム2の中途部内側において、適長に亘って内外に嵌合され、軸長方向への相対移動可能に連結された内軸3及び外軸4を備えている。下位置にある内軸3は、トルクセンサ24の構成位置近傍に、また上位置にある外軸4は、ステアリングコラム2の上端部近傍に各別の軸受(図示せず)により支持されており、これらの内軸3及び外軸4の連結部には、押えばね5,5が装着されている。
【0022】
図2は、ステアリング軸1を構成する内軸3及び外軸4の嵌合部近傍の第1の実施の形態を示す外観斜視図、図3は、図2に示す内軸3及び外軸4の嵌合部近傍の分解斜視図、図4は、図2のIV−IV線による内軸3及び外軸4の嵌合部の横断面図である。
【0023】
図3及び図4に示す如く内軸3は、円形の一部を切欠いて互いに平行をなす一対の平坦面30,30を形成してなる小判形断面の中実軸(又は中空軸)であり、図3に示す如く、一方の平坦面30の幅方向の中央部には、円弧形断面を有する係合溝31が、外軸4への嵌め込み側となる内軸3の上端面から下方に適長に亘って形成されている。
【0024】
外軸4は、以上の如き内軸3の嵌め込みが可能な小判形の内側断面を有する筒形の軸であり、内軸3の平坦面30,30と対応する一対の平坦面40,40を有している。一方の平坦面40には、図2及び図3に示す如く、幅方向の一側から他側に向けて周壁を切欠いて形成された窓孔41,41が、軸長方向に距離を隔てた2か所に形成されており、他方の平坦面40には、幅方向の略中央に、図4に示す如く円弧形断面を有する係合凹部42,42が、図3に示す如く、窓孔41,41の夫々と対応する軸長方向位置に形成されている。
【0025】
押えばね5は、コの字形に屈曲成形された板ばねであり、図3に示す如く、外軸4の平坦面40,40の半幅に相当する長さを有し、内軸3の平坦面30,30間の2面幅に略対応する距離を隔てて互いに平行をなす一対の弾性片50,50と、これらの基端を連絡する連絡片51とを備えており、弾性片50,50の先端近傍には、夫々との対向側に向けて突出する係合突起52,52が湾曲形成されている。
【0026】
以上の如く構成された内軸3及び外軸4は、図3に示す如く、外軸4の下端部の開口に内軸3の上端部を対向させ、該内軸3を外軸4の内側に嵌合する一方、窓孔41,41の形成位置の夫々において、外軸4の幅方向一側に押えばね5,5を位置決めし、夫々の弾性片50,50の開放側から外軸4の外側に押し込み、外軸4の外周に沿わせるように装着することにより、図2に示す如く一体に連結されてステアリング軸1を構成する。
【0027】
このとき押えばね5は、弾性片50,50の先端を拡開するように弾性変形し、図4に示す如く、一方の弾性片50を外軸4の平坦面40に弾接させ、同じく他方の弾性片50を、対応する窓孔41から露出する内軸3の一方の平坦面30に弾接させた状態となり、外軸4に内嵌された内軸3は、押えばね5のばね力により他方の平坦面30を外軸4の内面に押し付けた状態に拘束される。このような押えばね5の作用により、内軸3と外軸4との間の嵌合隙間は解消され、これら両軸3,4は、周方向のガタ付きを伴うことなく一体回転することができ、ガタ付きに起因する前述した不具合を有効に防止することができる。
【0028】
また、押えばね5の弾性片50と内軸3の平坦面30との弾接部においては、前者の係合突起52が後者の係合溝31に係合し、同じく押えばね5の弾性片50と外軸4の平坦面40との弾接部においては、前者の係合突起52が後者の係合凹部42に係合せしめられており、押えばね5の前述した装着状態は、係合突起52,52と係合溝31及び係合凹部42との係合により維持される。従って、車両の走行中にステアリング軸1に加わる振動等の外力の作用下においても押えばね5が脱落する虞れはない。
【0029】
なお、内軸3の係合溝31は、外軸4への嵌め込み側となる上端部に連続させてあることから、該係合溝31と係合突起52との係合は、押えばね5を予め外軸4の該当位置に装着した状態で内軸3を嵌め込む手順により実現することができ、押えばね5の拡開量を更に低減して組み付けることが可能となる。
【0030】
更に押えばね5は、図2に示す如く、内軸3及び外軸4の軸長方向に離隔した2か所に装着されており、夫々の装着位置での嵌合隙間を解消することが可能であり、両軸3,4の軸長方向のガタ付きをも有効に防止することが可能となる。このようなガタ付き防止効果を高めるためには、2つの押えばね5,5の装着位置を、内軸3及び外軸4の嵌合長さの範囲内において可及的に離して設定するのが望ましい。押えばね5は、軸長方向に3つ以上並設することも可能であるが、並設数の増加は、組立て工数の増加を招くことになり好ましくない。また、押えばね5を1つとしてもよいことは言うまでもない。
【0031】
図5は、ステアリング軸1を構成する内軸3及び外軸4の嵌合部近傍の第2の実施の形態を示す外観斜視図、図6は、図5のVI−VI線による内軸3及び外軸4の嵌合部の横断面図である。
【0032】
この実施の形態において押えばね5は、互いに平行をなす短寸の弾性片53,53と、これらの基端を連絡する連絡片54とを備えており、弾性片53,53の先端近傍には、夫々との対向側に向けて係合突起55,55が突設されている。また、内軸3の一方の平坦面30には、幅方向両側の側縁の近傍に係合溝32,32が形成され、更に、外軸4の一方の平坦面40には、軸長方向に距離を隔てて一対の窓孔41,41が形成されており、他方の平坦面40には、窓孔41,41の夫々と対応する軸長方向位置に、幅方向両側の側縁近傍に係合凹部43,43が形成されている。内軸3及び外軸4の形状等、他の構成は実施の形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0033】
以上の如き内軸3及び外軸4は、内軸3の上端部を外軸4の内側に適長に亘って嵌め合わせる一方、窓孔41,41の形成位置の夫々において、外軸4の幅方向両側から押えばね5,5を押し込み、外軸4の外周に沿わせるように装着することにより、図5に示す如く一体に連結されてステアリング軸1を構成する。
【0034】
このとき押えばね5は、図6に示す如く、一方の弾性片50を外軸4の平坦面40に、他方の弾性片50を、対応する窓孔41から露出する内軸3の平坦面30に夫々弾接させた状態となり、外軸4に内嵌された内軸3は、押えばね5のばね力により他方の平坦面30を外軸4の平坦面40に押し付けた状態に拘束される。このような押えばね5の作用により、内軸3と外軸4との間の嵌合隙間は解消され、これら両軸3,4は、周方向のガタ付きを伴うことなく一体回転することができ、ステアリングホイール10に加えられる操舵トルクは、密に当接する平坦面40と平坦面30との当り部を介して内軸3に伝えられることとなり、ガタ付きに起因する前述した不具合を有効に防止することができる。
【0035】
またこの実施の形態においては、内軸3の平坦面30及び外軸4の平坦面40に幅方向の2か所に各別の押えばね5,5が弾接させてあり、内軸3及び外軸4間の周方向のガタ付きをより確実に抑えることができる。このようなガタ付きの抑制効果は、図6に示す如く、押えばね5,5の弾接位置を、平坦面30,40の側縁の近くに設定することにより一層確実に行わせ得る。
【0036】
また、押えばね5,5の前述した装着状態は、係合突起55,55と係合溝32及び係合凹部43との係合により維持されており、押えばね5,5の脱落を防止し得ること、更に、以上の如く装着された押えばね5,5が、軸長方向に2組備えられていることにより、内軸3及び外軸4の軸長方向のガタ付きをも有効に防止することが可能となることは、実施の形態1と同様である。
【0037】
図7は、ステアリング軸1を構成する内軸3及び外軸4の嵌合部近傍の第3の実施の形態を示す外観斜視図である。
【0038】
この実施の形態において押えばね5は、コの字形に屈曲成形された広幅の板ばねであり、互いに平行をなす一対の弾性片56,56と、これらの基端を連絡する連絡片57とを備えており、弾性片56,56の先端近傍には、夫々との対向側に向けて係合突起58,58(一方のみ図示)が突設されている。また外軸4一方の平坦面40には、押えばね5の弾性片56の受容が可能な長さを有して1つの窓孔44が形成されている。内軸3及び外軸4の形状等、他の構成は実施の形態1、2と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0039】
内軸3及び外軸4は、内軸3の上端部を外軸4の内側に適長に亘って嵌め合わせる一方、窓孔44の形成位置において、外軸4の幅方向一側から押えばね5を押し込み、外軸4の外周に沿わせるように装着することにより、図7に示す如く一体に連結されてステアリング軸1を構成する。
【0040】
このとき押えばね5は、第1,第2の実施の形態と同様、一方の弾性片56を外軸4の平坦面40に、他方の弾性片56を、対応する窓孔44から露出する内軸3の平坦面30に夫々弾接させた状態となり、外軸4に内嵌された内軸3は、押えばね5のばね力により他方の平坦面30を外軸4の内面に押し付けた状態に拘束される。このような押えばね5の作用により、内軸3と外軸4との間の嵌合隙間は解消され、これら両軸3,4は、周方向のガタ付きを伴うことなく一体回転することができ、ガタ付きに起因する前述した不具合を有効に防止することができる。
【0041】
この実施の形態においては、押えばね5として広幅の板ばねが用いられており、1つの押えばね5により内軸3及び外軸4間の周方向のガタ付きを抑えることが可能であり、部品点数を削減することができる。また、押えばね5が広幅であることから、内軸3及び外軸4間の軸長方向のガタ付きに対しても所定の抑制効果が得られる。
【0042】
なお、弾性片56,56先端の係合突起58,58は、内軸3及び外軸4の平坦面30、40に夫々設けられた係合溝及び係合凹部(共に図示せず)に係合させてあり、外力の作用による脱落防止が図られていることは、実施の形態1及び2と同様である。
【0043】
以上の如く構成されたステアリング軸1には、車両の前面衝突時に、前方への慣性の作用によりステアリングホイール10に運転者が衝突(二次衝突)したとき、図1中に白抜矢符にて示す如く、軸長方向の下向きに衝撃力が加わる。
【0044】
このとき、前述の如くブレークアウエイブラケットとして構成されたアッパブラケット20が車体から離脱し、該アッパブラケット20による拘束が解かれた外軸4は、前記衝撃力の作用により、図1中にSとして示す移動ストローク間にて内軸3に対して下方に相対移動し、ステアリング軸1が短縮する。
【0045】
このようなステアリング軸1の短縮の間、ステアリングホイール10に衝突した運転者には、押えばね5のばね力による押し付け下にて摺動する内軸3と外軸4との間の摺動抵抗が作用し、この摺動抵抗と、同時に発生するステアリングコラム2の短縮に伴う抵抗とにより二次衝突の衝撃エネルギが吸収される。
【0046】
なお以上の実施の形態に示すステアリング軸1の長さは、内軸3の平坦部30に設けた係合溝31,32と押えばね5との係合が保たれる長さ範囲内にて調節可能であり、このことを利用して、前述したテレスコピックステアリング装置への適用も可能である。
【0047】
また以上の実施の形態においては、内軸3及び外軸4の断面形状を小判形としてあるが、これらの断面形状は、互いに平行をなす平坦面を少なくとも一対備えておればよく、例えば、矩形、正六角形、正八角形等であってもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係るステアリング軸においては、内外に嵌め合わされた内軸と外軸とのガタ付きのない連結を、専用の設備及び工程を要することなく簡素に実現することが可能であり、内軸と外軸との衝突音の発生を防止することができ、またステアリングホイールに加えられる操舵トルクを遅れを伴わずに舵取機構に伝達し、良好な操舵感の実現に寄与することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング軸を備えるステアリング装置の構成を示す模式図である。
【図2】ステアリング軸を構成する内軸及び外軸の嵌合部近傍の第1の実施の形態を示す外観斜視図である。
【図3】図2に示す内軸及び外軸の嵌合部近傍の分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線による内軸及び外軸の嵌合部の横断面図である。
【図5】ステアリング軸を構成する内軸及び外軸の嵌合部近傍の第2の実施の形態を示す外観斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線による内軸及び外軸の嵌合部の横断面図である。
【図7】ステアリング軸を構成する内軸及び外軸の嵌合部近傍の第3の実施の形態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 ステアリング軸
2 ステアリングコラム
3 内軸
4 外軸
5 押えばね
30 平坦面
31,32 係合溝(係合手段)
40 平坦面
41,44 窓孔
42,43 係合凹部(係合手段)
52,55,58 係合突起(係合手段)
Claims (3)
- 互いに平行をなす少なくとも一対の平坦面を有する非円形断面の内軸と、該内軸と対応する非円形の内側断面を有する筒形の外軸とを適長に亘って内外に嵌め合わせてなり、これらの内軸と外軸との間にて前記平坦面同士の当り部を介して回転伝達する構成としてあるステアリング軸において、
前記外軸の一部に、一方の平坦面、及びこの平坦面に連なる面に亘って形成された窓孔と、
互いに平行をなす一対の弾性片を有し、前記窓孔から露出する前記内軸の一方の平坦面と前記外軸の他方の平坦面とに夫々を沿わせた前記弾性片の両端を弾接させてあるコの字形の押えばねと
を備えることを特徴とするステアリング軸。 - 前記押えばねの弾性片と前記内軸及び外軸の平坦面との弾接部に、相互に係合する係合手段を備える請求項1記載のステアリング軸。
- 前記窓孔及び押えばねは、前記内軸及び外軸の軸長方向に複数並設してある請求項1又は請求項2記載のステアリング軸。
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