JPH08217Y2 - 衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置 - Google Patents

衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置

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JPH08217Y2
JPH08217Y2 JP1988104530U JP10453088U JPH08217Y2 JP H08217 Y2 JPH08217 Y2 JP H08217Y2 JP 1988104530 U JP1988104530 U JP 1988104530U JP 10453088 U JP10453088 U JP 10453088U JP H08217 Y2 JPH08217 Y2 JP H08217Y2
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steering
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steering column
energy absorber
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、ステアリングホイールに加わる衝撃を吸収
し得るエネルギ吸収機構を備えた自動車のステアリング
装置に関するもので、特に、そのエネルギ吸収機構をU
字状に湾曲させた一対のエネルギ吸収体によって構成す
るようにした衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置に関
するものである。
(従来の技術) 自動車のステアリング装置には、衝突時における乗員
の保護のために、ステアリングホイールに乗員が衝突し
たときそのステアリングホイールの車体前方への移動を
許容するとともに、そのときの衝撃エネルギを吸収する
エネルギ吸収機構が設けられている。そのようなエネル
ギ吸収機構についても既に種々の形式のものが提案され
ているが、その一つとして、特開昭63-46972号公報に示
されているように、ステアリングコラムを軸方向前方に
移動可能に支持しておき、その移動に伴ってU字状のエ
ネルギ吸収体がその湾曲部を順次ずらしながら変形して
いくようにすることにより、衝突エネルギを吸収するよ
うにしたものがある。そのようなエネルギ吸収体を用い
たエネルギ吸収機構は、ステアリング装置から切り離し
て設計することができるので、そのエネルギ吸収特性を
自由に設定することができるという利点を有している。
また、設置スペースが小さく、しかも構造が簡単である
割にはストロークが大きいので、エネルギ吸収量が大き
いという特長も備えている。
ところで、そのようなエネルギ吸収体は、比較的変形
しやすいワイヤあるいは板材によって形成されることが
多い。その場合、そのエネルギ吸収体によって十分なエ
ネルギ吸収が行われるようにするためには、その剛性を
高めることが必要となる。そこで、上記公報記載のエネ
ルギ吸収機構においては、1本のワイヤを中央部で折り
返し、その両端側をそれぞれU字状に湾曲させることに
より、一対のU字状エネルギ吸収体を背中合わせに形成
するようにしている。その各エネルギ吸収体は、ワイヤ
中央部の折り返し部がステアリングコラムに係止される
ことにより、その一端がステアリングコラムとともに移
動するようにされる。そして、他端が自由端とされ、そ
の自由端に対向する位置にそれぞれストッパが設けられ
る。そのストッパは車体に固定されている。
そのような構成とすることにより、ステアリングコラ
ムの移動時には、各エネルギ吸収体の自由端がそれぞれ
ストッパに当接してその自由端の移動が阻止されるよう
になるので、各エネルギ吸収体がその湾曲部をそれぞれ
順次自由端側に移動させながら変形することになり、一
対のエネルギ吸収体のそれぞれによって衝撃エネルギの
吸収が行われるようになる。したがって、衝撃エネルギ
が十分に吸収される。
このように一対のU字状エネルギ吸収体によって衝撃
エネルギを吸収させるようにする場合、従来は、上記公
報にも示されているように、その各エネルギ吸収体の自
由端とストッパとの間の間隔はいずれも等しくするもの
とされていた。したがって、ステアリングホイールに衝
撃が加わったときには、一対のエネルギ吸収体が同時に
作用を開始するようになっていた。
(考案が解決しようとする課題) しかしながら、そのように一対のエネルギ吸収体が同
時に作用を開始するエネルギ吸収機構では、そのエネル
ギ吸収体のそれぞれによる反力がステアリングホイール
に同時に加わることになる。しかも、通常は、ステアリ
ングホイールに衝撃が加えられてステアリングコラムが
移動を始めると、直ちにそのエネルギ吸収体による作用
が開始されるようにされる。したがって、ステアリング
ホイールには、衝撃の初期からそのエネルギ吸収体によ
る反力が加えられるようになっている。
一方、上述のようにステアリングホイールの軸方向の
移動が許容される衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置
においても、通常運転時にはステアリングホイールが軸
方向に移動することのないように保持されていなければ
ならない。そこで、そのようなステアリング装置におい
ては、設定荷重以上の荷重が加えられたとき切断される
シェアピン等によって、通常時におけるステアリングホ
イールの軸方向の移動が規制されるようになっている。
その結果、上述のように一対のエネルギ吸収体が同時
に作用を開始するようにされている衝撃エネルギ吸収式
ステアリング装置の場合には、衝撃の初期に、そのエネ
ルギ吸収体による反力のほかに、静止していたステアリ
ング装置に軸方向の移動を開始させるための慣性力、及
びステアリング装置を支持していたシェアピン等を切断
するための応力等が更に反力として作用することにな
る。すなわち、衝撃の初期には、そのエネルギ吸収機構
の設定荷重よりも大きな反力が乗員に作用することにな
る。
本考案は、このような実情に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、衝撃の初期における反力が小さく、
しかも効率的に衝撃エネルギを吸収することのできる衝
撃エネルギ吸収式ステアリング装置を得ることである。
(課題を解決するための手段) この目的を達成するために、本考案では、上述の従来
のものと同様に一対のU字状エネルギ吸収体を設けると
ともに、その一方のエネルギ吸収体の自由端とそれに対
向するストッパとの間の間隔を、他方のエネルギ吸収体
の自由端と対応するストッパとの間の間隔より大きく
し、その間隔の大きい方のエネルギ吸収体の湾曲部を、
それらの間隔の差の約半分だけ、他方のエネルギ吸収体
の湾曲部よりも対応するストッパから離して位置させる
ようにしている。
(作用) このように構成することにより、ステアリングホイー
ルに衝撃が加わってステアリングコラムが軸方向前方に
移動を開始すると、まず、一方のエネルギ吸収体の自由
端がストッパに当接し、そのエネルギ吸収体が作用を開
始する。そして、ステアリングコラムが所定量だけ移動
したとき、始めて他方のエネルギ吸収体の自由端がスト
ッパに当接し、そのエネルギ吸収体が作用を開始する。
したがって、衝撃の初期には一方のエネルギ吸収体のみ
が働くことになり、エネルギ吸収衝撃による反力が小さ
く抑えられる。その結果、衝撃の初期における全反力が
小さくなる。また、その後は一対のエネルギ吸収体がと
もに働くようになるので、衝撃エネルギは効率よく吸収
される。しかも、そのときには、一対のエネルギ吸収体
の各湾曲部が互いに等しい位置となり、その形状を保ち
ながら変形していくことになるので、そのエネルギ吸収
機構によるエネルギ吸収特性が安定したものとなる。
(実施例) 以下、図面を用いて本考案の実施例を説明する。
図中、第1〜4図は本考案による衝撃エネルギ吸収式
ステアリング装置の一実施例を示すもので、第1図はそ
のステアリング装置の概略側面図であり、第2図及び第
3図はその要部の縦断側面図及び平面図である。また、
第4図はそのステアリング装置に用いられている衝撃エ
ネルギ吸収機構の拡大平面図である。
第1図から明らかなように、ステアリングホイール1
の回転を伝えるステアリングシャフト2は、円筒状のス
テアリングコラム3内に挿通され、そのコラム3を介し
て、車体のインストルメントフレーム等に取り付けられ
るブラケット4により支持されるようになっている。ス
テアリングシャフト2の下端側は、ジョイント5及び6
を介してステアリングギヤ7に連結されている。
第2図に示されているように、ステアリングシャフト
2は、上端にステアリングホイール1が固着される円柱
状のアッパシャフト2aと、下端にジョイント5が固着さ
れる円筒状のロアシャフト21bとによって構成されてい
る。それらアッパシャフト2aの下端部とロアシャフト2b
の上端部とはそれぞれ長円形断面に形成され、互いに嵌
合されている。そして、その嵌合部において、ポリアセ
タール製のシェアピン8,8,…によって一体に結合されて
いる。そのピン8,8,…は、ステアリングシャフト2に所
定の衝撃荷重が軸方向に加えられたとき、剪断力によっ
て切断されるものとされている。
こうして、これらアッパシャフト2aとロアシャフト2b
とは、ステアリングホイール1の回転力をステアリング
ギヤ7側に伝えるとともに、ステアリングホイール1側
から軸方向前方に向けての衝撃力が加えられたときに
は、アッパシャフト2aがロアシャフト2bに嵌入してステ
アリングシャフト2全体の長さが短くなるようにされて
いる。
また、ステアリングコラム3も、互いに嵌合連結され
るアッパチューブ3aとロアチューブ3bとによって構成さ
れている。それらアッパチューブ3aとロアチューブ3bと
の嵌合部には、多数のスチールボール9,9…が嵌め込ま
れている。アッパチューブ3bとロアチューブ3bとの間の
すきまは、ボール9の径より小さくされている。したが
って、ステアリングコラム3に軸方向の衝撃荷重が加え
られたときには、アッパチューブ3aとロアチューブ3bと
がボール9,9…によって変形されながら互いにスライド
するようにされている。
ステアリングシャフト2のアッパシャフト2aは、ステ
アリングコラム3のアッパチューブ3aに固定されたロー
ラベアリング10によって回転自在に支持されている。ま
た、ロアシャフト2bも、ロアチューブ3bに固定されたロ
ーラベアリング11によって回転自在に支持されている。
したがって、それらアッパシャフト2a及びロアシャフト
2bは、それらをそれぞれ支持するステアリングコラム3
のアッパチューブ3a及びロアチューブ3bに対しては軸方
向に移動することのないようにされている。
第2,3図から明らかなように、ステアリングコラム3
のアッパチューブ3aの外周には、板材からなるコラムブ
ラケット12が溶接等によって固着されている。そのブラ
ケット12は、左右に張り出す平板状の取付部13,13を有
している。その取付部13には、ステアリングホイール1
側に向かって開いたU字状の切り欠き14と、その両側に
位置する4個の小孔とが形成されている。そして、その
取付部13の上下面に、ポリアセタールからなるスライデ
ィングプレート15,15が一体に成形されている。したが
って、上下のスライディングプレート15,15は、取付部1
3の切り欠き14及び小孔を通して一体に結合され、その
小孔を通る部分によってシェアピン16,16,…が形成され
ている。そのシェアピン16,16,…は、所定の大きさの剪
断力が加わったとき切断されるものとされている。
このように形成されたコラムブラケット12は、その取
付部13の切り欠き14に挿通されるボルト17によって、ス
ライディングプレート15とともに車体側のブラケット4
に取り付けられる。そして、それによってステアリング
コラム3のアッパチューブ3aが車体に支持されるように
なっている。一方、ロアチューブ3bは、ダッシュボード
に取り付けられるジャケットチューブブラケット(図示
せず)等により、車体に固定支持されるようになってい
る。
このようにして、ステアリングコラム3は、通常時に
はその状態で保持され、そのステアリングホイール1に
車体前方に向かう所定の大きさ以上の衝撃力が加えられ
たときには、シェアピン16,16,…が切断されることによ
りコラムブラケット12が車体ブラケット4から外れて、
アッパチューブ3aが軸方向前方に移動するようにされて
いる。
アッパチューブ3aの上面側には、エネルギ吸収ユニッ
ト18が設けられている。そのエネルギ吸収ユニット18
は、前後(図で左右)両端面が開放された中空箱状のケ
ーシング19と、そのケーシング19内に挿入されるエネル
ギ吸収部材20とによって構成されている。
エネルギ吸収部材20は、1本のワイヤを中央部で折り
返し、両端側をU字状に湾曲させたもので、第3,4図に
示されているように、左右(図では上下)の一対のU字
状エネルギ吸収体22,23を背中合わせに配置したように
形成されている。各エネルギ吸収体22,23の外端は自由
端とされ、ケーシング19の側壁19a,19aによってその湾
曲部22a,23aの形状が固定されるようになっている。そ
の湾曲部22a,23aの形状は左右ほぼ同一とされている。
また、各エネルギ吸収体22,23の内端を一体につなぐエ
ネルギ吸収部材20の中央部には、アイ状の係止部24が形
成されている。その係止部24には、アッパチューブ3aの
上面に立設されたボルト25が挿通され、その上方からナ
ット26を締め付けることにより、エネルギ吸収部材20が
アッパチューブ3aに固定されるようになっている。ボル
ト25の上端は、ナット26の締め付け後、かしめられてい
る。
エネルギ吸収部材20は、各エネルギ吸収体22,23の湾
曲部23a,23a側にゴム製のカバー27をかぶせた状態でケ
ーシング19内に挿入されている。こうして、エネルギ吸
収部材20がケーシング19に直接接触することのないよう
にされ、車体振動等に伴う騒音の発生が防止されるとと
もに、エネルギ吸収部材20がケーシング19に対して軸方
向に相対移動し得るようにされている。
ケーシング19内には、エネルギ吸収部材20の相対移動
時に各エネルギ吸収体22,23の自由端、すなわち先端面2
2b,23bが係合するストッパ28,29が設けられている。こ
れらのストッパ28,29は、ケーシング19に固定されてい
る。そして、ケーシング19は、そのストッパ28,29に設
けられた開口に挿通されるボルトによって車体に固定さ
れるようになっている。したがって、これらケーシング
19及びストッパ28,29は、車体に対して常に固定した状
態で保持される。
第4図に示されているように、左右のストッパ28,29
の軸方向の位置はほぼ同一とされている。一方、左側の
エネルギ吸収体22の先端面22bは、右側のエネルギ吸収
体23の先端面23bよりも11だけ後方に位置するようにさ
れている。そして、左側のエネルギ吸収体22の湾曲部22
aの後端は、右側のエネルギ吸収体23の湾曲部23aの後端
よりも12だけ後方に突出するようにされている。左右の
エネルギ吸収体22,23の長さは等しく、したがって、12
は11のほぼ1/2の長さとなっている。また、右側のエネ
ルギ吸収体23の先端面23bとストッパ29との間には、車
体振動等によってそれらが互いに当接することのないよ
うにするだけの小さなすきまrが設けられている。こう
して、装着時、すなわちステアリングコラム3のアッパ
チューブ3aが移動する前には、左側のエネルギ吸収体22
の自由端と左側のストッパ28との間の間隔が右側のエネ
ルギ吸収体23の自由端と右側のストッパ29との間の間隔
よりも大きく、その間隔の差の約半分だけ、左側のエネ
ルギ吸収体22の湾曲部22aが右側のエネルギ吸収体23の
湾曲部23aよりもストッパ28,29から遠く離れて位置する
ようにされている。
次に、このように構成された衝撃エネルギ吸収式ステ
アリング装置の作用について説明する。
通常時には、ステアリングシャフト2のアッパシャフ
ト2aのロアシャフト2bとはシェアピン8を介して結合さ
れているので、それらの軸方向の相対移動は規制されて
いる。また、長円形部分の嵌合によってそれらの相対回
転も規制されている。そして、それらアッパシャフト2a
及びロアシャフト2bは、ローラベアリング10,11によっ
てステアリングコラム3に回転自在に支持されている。
一方、ステアリングコラム3のアッパチューブ3aは、シ
ェアピン16によって一体に結合されているコラムブラケ
ット12及びスライディングプレート15を介して車体に固
定支持されている。また、ロアチューブ3bも車体に固定
支持されている。
したがって、通常運転時には、ステアリングホイール
1は軸方向に移動することのないようにして支持され、
その回転はステアリングシャフト2及びジョイント5,6
を介してステアリングギヤ7に伝えられる。
自動車の衝突等によって運転者がステアリングホイー
ル1に衝突すると、ステアリングシャフト2のアッパシ
ャフト2aに所定以上の大きさの軸方向前方へ向けての衝
撃荷重が加えられる。その結果、ステアリングシャフト
2のアッパシャフト2aとロアシャフト2bとを結合してい
たシェアピン8,8,…が切断され、アッパシャフト2aの軸
方向の移動が許容されるようになる。また、その衝撃荷
重は、ローラベアリング10を介してステアリングコラム
3のアッパチューブ3aにも加えられる。したがって、ス
テアリングコラム3のアッパチューブ3aに固定されてい
るコラムブラケット12と車体に固定されているスライデ
ィングプレート15とを結合していたシェアピン16,16,…
も切断される。そして、スライディングプレート15を車
体に固定するボルト17は、コラムブラケット12の取付部
13に形成されている後方に向かって開いたU字形の切り
欠き14に挿通されているので、コラムブラケット12、し
たがってアッパチューブ3aの前方への移動も許容される
ようになる。
こうして、ステアリングシャフト2のアッパシャフト
2a及びステアリングコラム3のアッパチューブ3aが、と
もに軸方向前方に向かって移動を開始する。この間にお
いて、シェアピン8,8,…及び16,16,…の切断によって衝
撃エネルギの一部が吸収される。
ステアリングコラム3のアッパチューブ3aが移動を開
始すると、そのアッパチューブ3aと車体に固定支持され
ているロアチューブ3bとの間に相対移動が生ずることに
なり、それらのチューブ3a,3bがスチールボール9,9,…
によって変形されるうようになる。そして、その変形に
よっても衝撃エネルギの一部が吸収される。
また、アッパチューブ3aが前方に向かって移動する
と、そのアッパチューブ3aに固定されているボルト25
が、それに係止されているエネルギ吸収部材20を前方に
向けて移動させる。その結果、まず右側のエネルギ吸収
体23の先端面23bがストッパ29に係合する。すると、そ
の先端面23bの軸方向前方に向けての移動が規制される
ようになるので、以後は、エネルギ吸収部材20の前方へ
の移動に従い、第4図に一点鎖線で示されているように
右側のエネルギ吸収体23がその湾曲部23aを順次ずらし
ながら変形していくことになる。このようにして、その
エネルギ吸収体23の変形による衝撃エネルギの吸収が開
始される。
このエネルギ吸収体23による衝撃エネルギの吸収作用
は、衝撃荷重を受けてアッパチューブ3aが移動を始める
と直ちに開始される。すなわち、エネルギ吸収体23から
なるエネルギ吸収機構は、衝撃の初期から作用を開始す
る。このように、この実施例では、右側のエネルギ吸収
体23によって第1のエネルギ吸収機構が構成されてい
る。
このようにして、アッパチューブ3aの前進に伴って衝
撃エネルギが吸収されるが、一方のエネルギ吸収体23の
みによるエネルギ吸収量は小さい。したがって、アッパ
チューブ3aはなおも前進を続ける。すると、左側のエネ
ルギ吸収体22の先端面22bもストッパ28に係合し、その
軸方向前方への移動が規制されるようになる。その結
果、以後は、第4図に破線で示されているように、左右
のエネルギ吸収体22,23がともにその湾曲部22ab,23aを
順次ずらせながら変形することになり、それによって設
定どおりの衝撃エネルギの吸収が行われる。
このように、左側のエネルギ吸収体22による衝撃エネ
ルギの吸収作用は、右側のエネルギ吸収体23よりも遅れ
て開始される。すなわち、この実施例では、左側のエネ
ルギ吸収体22によって第2のエネルギ吸収機構が構成さ
れている。
左右のエネルギ吸収体22,23が変形する間において、
その湾曲部22a,23aの曲率は、それらのエネルギ吸収体2
2,23が背中合わせに配置されていること、及びその自由
端側の側方への膨出がケーシング19の側壁19a,19aによ
って規制されていることにより、ほぼ一定に保たれる。
また、当初におけるエネルギ吸収体22,23の先端面22b,2
3bの位置のずれ11が湾曲部22a,23aの後端の位置のずれ1
2の2倍とされていることにより、左側のエネルギ吸収
体22の先端面22bがストッパ28に係合した後は、左右の
エネルギ吸収体22,23は、その湾曲部22a,23aの軸方向の
位置が互いに等しくなり、対称形状を保ったまま変形し
ていくことになる。したがって、そのエネルギ吸収特性
は安定したものとなる。
第5図は、このステアリング装置のステアリングホイ
ール1に乗員が衝突したときの、乗員に作用する反力を
特性的に表したグラフである。
上述のように衝撃の初期には第1のエネルギ吸収機構
しか作用しないので、エネルギ吸収機構による反力は、
第5図に破線で示されているように低く抑えられる。し
たがって、衝撃の初期には、ステアリングシャフト2の
アッパシャフト2a及びステアリングコラム3のアッパチ
ューブ3aに移動を開始させるための反力、すなわち慣性
力による反力や、ピン8,16を切断するための反力などの
初期反力が加えられるにもかかわらず、乗員に作用する
全反力は低く抑えられる。そして、ステアリングホイー
ル1が一定量移動すると、第2のエネルギ吸収機構が作
用を開始するので、第1及び第2のエネルギ吸収機構に
よる反力が加わるようになる。こうして、ステアリング
ホイール1を移動させるための力、すなわち乗員に作用
する反力が衝撃の初期からほぼ一定に保たれ、大きな反
力が作用することが防止されるとともに、第1及び第2
のエネルギ吸収機構によって十分な衝撃エネルギの吸収
が行われるようになる。
なお、上記実施例においては、エネルギ吸収ユニット
18の左右のストッパ28,29の軸方向位置を同一とし、そ
の代わりに左右のエネルギ吸収体22,23の先端面22b,23b
の軸方向位置をずらすものとしているが、ストッパ28,2
9の軸方向位置をずらすことによってそのエネルギ吸収
作用の開始時期に差を持たせるようにすることもでき
る。
(考案の効果) 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、ス
テアリングホイールに加わる衝撃エネルギを吸収するエ
ネルギ吸収機構として一対のU字状エネルギ吸収体を設
け、その各エネルギ吸収体の自由端のストッパへの当接
時期に差を持たせるようにしているので、衝撃の初期に
はその一方のみが働くようになり、衝撃の初期における
エネルギ吸収機構による反力を小さくすることができ
る。したがって、ステアリング装置の慣性などによる初
期反力が加わっても、全反力を低く抑えることができ
る。そして、初期反力の発生時期を過ぎると、他方のエ
ネルギ吸収体が作用を開始し、一対のエネルギ吸収体に
よって衝撃エネルギが吸収されるようになるので、ステ
アリング装置の移動ストロークを過大とすることなく、
全衝撃エネルギを吸収させることが可能となる。
また、各エネルギ吸収体の湾曲部の位置を、その各エ
ネルギ吸収体の自由端とストッパとの間の間隔の差の約
半分だけずらすようにしているので、そのエネルギ吸収
機構のエネルギ吸収特性を安定したものとすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案による衝撃エネルギ吸収式ステアリン
グ装置の一実施例を示す概略側面図、 第2図は、そのステアリング装置の要部を拡大して示す
縦断側面図、 第3図は、そのステアリング装置の要部を切り欠いて示
す平面図、 第4図は、そのステアリング装置に用いられているエネ
ルギ吸収機構を示す拡大平面図、 第5図は、そのステアリング装置の作用を説明するため
の特性曲線図である。 1……ステアリングホイール、2……ステアリングシャ
フト 3……ステアリングコラム、3a……アッパチューブ 12……コラムブラケット、15……スライディングプレー
ト 18……エネルギ吸収ユニット、19……ケーシング(車体
側固定部材) 20……エネルギ吸収部材 22……エネルギ吸収体、22a……先端面(自由端) 23……エネルギ吸収体、23a……先端面(自由端) 28,29……ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−35659(JP,A) 特開 昭51−25673(JP,A) 実開 昭61−141173(JP,U)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステアリングホイールに加わる車体前方に
    向けての衝撃により軸方向前方に移動可能なようにして
    車体に支持されるステアリングコラムと、 そのステアリングコラム及び車体のいずれか一方に一端
    が係止されるとともに、他端が自由端とされ、その自由
    端側が折り返されて一定形状のU字状湾曲部が形成され
    る一対のエネルギ吸収体と、 前記ステアリングコラム及び車体の他方に設けられ、前
    記ステアリングコラムの移動時、前記エネルギ吸収体の
    各自由端にそれぞれ当接することによりそのエネルギ吸
    収体の湾曲部を順次ずらせて衝撃エネルギを吸収する一
    対のストッパと、 を備えた衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置におい
    て; 前記ステアリングコラムが移動する前には、前記エネル
    ギ吸収体の一方の自由端と対応するストッパとの間の間
    隔が他方の自由端と対応するストッパとの間の間隔より
    大きくされるとともに、その間隔の大きい方のエネルギ
    吸収体の湾曲部が、他方のエネルギ吸収体の湾曲部に対
    して前記間隔の差の約半分だけ、前記ストッパから前記
    ステアリングコラムの移動方向に遠く離れて位置するよ
    うにされていることを特徴とする、 衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置。
JP1988104530U 1988-08-09 1988-08-09 衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置 Expired - Lifetime JPH08217Y2 (ja)

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JP1988104530U JPH08217Y2 (ja) 1988-08-09 1988-08-09 衝撃エネルギ吸収式ステアリング装置

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