JPWO2003087432A1 - 熱吸収性に優れた発熱体カバー及びそのための表面処理金属板並びにこれらの応用 - Google Patents

熱吸収性に優れた発熱体カバー及びそのための表面処理金属板並びにこれらの応用 Download PDF

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Abstract

80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を少なくとも内面に被覆した熱吸収性に優れる金属製/非金属製発熱体カバー。金属板/めっき金属板の少なくとも片面に、(a)バインダー固形分100質量部、(b)熱吸収性顔料10〜150質量部、(任意に(c)導電性顔料1〜150質量部)から構成される、上記熱吸収性皮膜層を被覆した熱吸収性と導電性に優れた表面処理金属板。同様の熱吸収性皮膜を金属製外板の内側表面に被覆した熱効率に優れた冷蔵庫。ケースの内側に、バインダー固形分100質量部に対し、粒径0.1μm未満のカーボン1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボン1〜140質量部を合計で10〜150質量部含む熱吸収性皮膜層を有する、発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器。

Description

発明の技術分野
本発明は、熱吸収性に優れた製品に関するものであり、特に、モーター、電子部品、ヒーター、バッテリーなど熱を発生する部品を内部に有する金属製及び非金属製のカバー並びに該カバーの材料となる表面処理金属板に関する。また本発明は、このような熱吸収性に優れた材料を用いた熱効率の高い冷蔵庫、高吸熱塗料をケースの内側に塗布して温度上昇を抑制した携帯機器(モバイル機)又は車載機器及びそのケースにも関する。携帯機器又は車載機器としては、携帯電話、ノートパソコン、PDA、車載バッテリーケース、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ機器、車載制御機器などが含まれる。
背景技術
従来、家電製品の外板や内部部品のカバー材料には、鋼板、アルミ板などの金属板が使用されているが、このような金属板には、耐食性、意匠性等の性能が要求されるため、表面処理を施して使用することが一般的である。そして、このような金属板としては、例えば、耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板やクロメート処理を被覆した亜鉛めっき鋼板、予め塗装を施して意匠性を付与したプレコート金属板などが挙げられる。
また、これら金属板に対する更なる要求性能として、耐指紋性、アース性、耐加工かじり性などがあり、これらの性能を満足するために、種々の表面処理鋼板が開発されてきた。
例えば、特公平4−14191号公報には、水系有機樹脂に特定の微細な粒度のコロイドゾルを追加調整した有機複合皮膜を、クロメート被覆めっき鋼板上に形成することにより、耐食性や耐指紋性を向上させる技術が開示されている。また、特開平5−65666号公報には、ワックスと潤滑剤を含有した塗料をめっき鋼板に塗装することにより、加工かじり性を向上させる技術が開示され、また、特開平10−16128公報には、表面粗さと膜厚を制御した皮膜でクロメート処理した金属表面を被覆することにより、耐指紋性とアース性を付与する技術が開示されている。
また、家電製品の外板や内部部品のカバー材料にはプラスチックなどの非金属材料も使用されている。しかし、この場合にも、近年、コンピューターの普及、家電製品などの電子化に伴い、これらコンピューターや家電製品の内部で、モーターや電子部品など熱源となる部品が数多く使われるようになり、また、これら熱源の発熱量も増加してきているので、製品の外板や内部部品のカバー材には、内部で発生する熱を抑制する特性、もしくは、該熱を効率よく放熱する特性が要求されてきた。一方で、家電製品などの発熱体カバーには、アースを取るための導電性も要求される。
また、従来、電子部品を内蔵する電子機器内部の温度上昇を抑制するためには、放熱性に考慮して、電子部品に放熱フィンを設けたり、電子機器ケースに放熱用開口部を設けたり、電子機器内部でファンで強制冷却することなどが行われている。
電子機器は熱に弱く、温度上昇すると誤動作を起こしたり、性能低下を起こすので、放熱及び冷却が重要である。最近では高集積化、微細配線化が進んでいるので、温度上昇による誤動作、動作速度が遅くなるなどの性能低下に対する対策はより重要度を増している。特に、小型電子機器である携帯機器(モバイル機)や、屋外で使用されエンジン等からの発熱に曝される車載機器では、内蔵する発熱する電子部品やバッテリーの自己発熱が機器ケース内に蓄熱して電子機器やバッテリーが温度上昇することを抑制することが非常に重要な課題である。
従来、電子機器のケースの放熱性に関しては、高熱用開口部の形成あるいは高伝熱性材料でケースを形成することが主たる技術として採用されているが、放熱性を高めるためにケースの外側に放射性の高い塗料を塗布する方法も提案されている。
本発明に近い従来技術としては、特開平11−340639号公報にTV受信機の他携帯情報機器を含む電子機器の筐体の内面側に赤外線吸収剤を含んだ塗装皮膜を塗布することが開示されている。
電子機器の冷却、放熱に関しては上記の如く各種の方法が提案さまた採用されているが、携帯機器又は車載機器では、美観、軽量性等の理由からケースの材質が制約されることが多く、また小型化、高性能化のために、より効率的な冷却、放熱が求められている。
本発明の第1の目的は、上記要求を踏まえ、金属製及び非金属製発熱体カバー並びに表面処理金属板に優れた熱吸収性を付与する技術を開発し、熱吸収性に優れた金属製及び非金属製発熱体カバー並びに表面処理金属板を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記第1の目的と関連して、外板に優れた熱吸収性を付与した技術を開発し、熱効率性に優れた冷蔵庫、及び熱吸収性に優れた冷蔵庫を効率よく製造する製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器において、放熱性をより改善したケースを提供し、またそのようなケースを有する携帯機器又は車載機器を提供することにある。
発明の開示
発明者らは、鋭意検討した結果、家電製品などの金属及び非金属で作られた熱源カバーの内側の面に熱吸収性の高い物質を施すと、熱吸収性の高い物質を施さない場合と比べて、熱源カバー内部の温度が低下することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)発熱体カバー本体の少なくとも内面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆したことを特徴とする熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(2)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部及び熱吸収性顔料10〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(1)記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(3)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(4)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(5)前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、且つ、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、且つ、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であることを特徴とする上記(4)に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(6)前記導電性顔料がフェロシリコンであることを特徴とする上記(2)〜(5)のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(7)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(1)に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
(8)前記発熱体カバー本体が金属製である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の発熱体カバー。
(9)前記発熱体カバー本体が非金属製である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の発熱体カバー。
(10)金属板もしくはめっきされた金属板の少なくとも片面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆したことを特徴とする熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(11)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部及び熱吸収性顔料10〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(10)記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(12)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部であることを特徴とする上記(10)又は(11)に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(13)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(14)前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、且つ、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、且つ、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であることを特徴とする上記(13)に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(15)前記導電性顔料がフェロシリコンであることを特徴とする上記(12)〜(14)のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(16)熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成されることを特徴とする上記(10)に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
(17)80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜を外板の内側表面に被覆したことを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
(18)熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対してカーボンを10〜150質量部含むことを特徴とする上記(17)記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
(19)熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して導電性の金属粉を1〜50質量部含むことを特徴とする上記(18)又は(19)記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
(20)熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm未満のカーボンとの合計が10〜150質量部であり、乾燥膜厚で1μm以上であることを特徴とする上記(17)〜(19)のいずれか1項に記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
(21)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発熱体カバーを外板としたことを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
(22)上記(10)〜(16)のいずれか1項に記載の表面処理金属板を外板とし、該金属板の熱吸収性皮膜層を内側表面とすることを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
(23)外板の外側にクリヤー塗膜もしくは着色顔料を含む塗膜を被覆した特徴とする上記(17)〜(22)のいずれか1項に記載の熱効率に優れる冷蔵庫。
(24)予め、平たい金属板の片面に上記(17)〜(20)のいずれか1項に記載の熱吸収性皮膜層を、他方の面にクリヤーもしくは着色顔料を含む塗膜を塗装して熱吸収性の高いプレコート金属板を製造し、これを切断、加工した後に、冷蔵庫に組み上げることを特徴とした熱吸収性に優れた冷蔵庫の製造方法。
(25)発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースの内側に熱吸収性皮膜層を有し、前記熱吸収性皮膜層が、
(A)バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部である;
(B)バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成され、前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6である;
(C)バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成される
(D)バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成される
のいずれかであることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
(26)発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースが、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発熱体カバーであることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
(27)発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースが、上記(10)〜(16)のいずれか1項に記載の表面処理金属板を加工してなるものであって、該金属板の熱吸収性皮膜層を内側表面とすることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
(28)前記ケースがMg合金製又はAl合金製である上記(25)〜(27)のいずれか1項に記載の携帯機器又は車載機器。
(29)上記(25)に記載の熱吸収性皮膜層を有する携帯機器又は車載機器用ケース。
発明の実施の形態
金属製及び非金属製発熱体カバー並びに表面処理金属板
本発明において発熱体は、モーター、電子部品、ヒーター、バッテリーなど熱を発生する部品のすべてであることができ、特に限定されない。また、発熱体カバーは、そのような発熱体を覆う、囲繞する、収容するなどの目的で使用されるものである。
以下では本発明の熱吸収性発熱体カバーを主として金属板製の発熱体カバーに基づいて説明するが、本発明はこれに限定されず、非金属製発熱体カバーにも同様に適用されるものである。
熱は物体から発散する電磁波の一部であり、熱放射線が物体に入射すると、一部は反射し、一部は透過し、残りの部分は吸収されることが知られている(例えば西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、p.289、発行:理工学社(1983))。
金属板、もしくは表面処理を施した金属板、あるいは非金属材料に熱放射線が入射した場合、熱放射線が透過することは殆ど無いため、熱放射線は反射するか吸収するかのいずれかとなる。
ここで、発熱体から発生した熱放射線が発熱体カバー内面に入射したときに、入射した熱放射線の多くが反射してしまうと、発熱体カバー内部に熱が篭ってしまい、カバー内の温度が上昇する。
それ故、熱源カバー内の温度を低下させるためには、カバー内部で熱放射線の反射を抑制する必要があるが、本発明者らは、鋭意研究の結果、カバー内部を熱吸収性の高い皮膜層で被覆することにより、熱放射線の反射を抑制できることを知見した。
金属板や非金属材料などの表面に入射した熱放射線の吸収率を調べる方法として、赤外線分光光度計による反射法がよく知られているが、本方法で測定する場合、金属板又は非金属材料の表面の粗度が粗いと、入射した熱放射線が乱反射するので、精度の高い吸収率を得ることが困難である。
熱放射に関するキルヒホッフの法則によると、一定温度においては、物体の吸収率と放射率は同じとなる(例えば、西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、p.290、発行:理工学社(1983))。
本発明者らは、本知見を基にして、鋭意検討した結果、金属板もしくはめっきされた金属板の少なくとも片面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域にける全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を予め被覆した表面処理金属板を、吸熱性皮膜層を被覆した面が発熱体のカバーの内側となるように成形加工して作製したカバーで発熱体を覆うと、カバー内部の温度が、熱吸収性皮膜をカバー内面に被覆していない金属板で作成したカバーで覆うときと比べて、低下することを見出した。同様に、非金属材料製カバーの内面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域にける全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を施したカバーで発熱体を覆うと、カバー内部の温度が、熱吸収性皮膜をカバー内面に被覆していないカバーで覆うときと比べて、低下することも見出した。
周波数600cm−1未満、もしくは、3000cm−1超の波数領域の放射線吸収は、カバー内における温度低下効果が非常に小さいため、これらの波数領域の放射線を含めた放射率は不適である。また、波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70未満の熱吸収性皮膜層を被覆した場合は、カバー内における温度低下効果が小さいため、不適である。
本発明の熱吸収性に優れた金属製又は非金属製発熱体カバーの構成を図1に示す。本発明の金属製又は非金属製発熱体カバーは金属板又は非金属材料1で構成され、且つ、内面を熱吸収性皮膜層2で被覆したことを特徴としている。なお、図中、3が発熱体である。熱吸収性皮膜層2を平たい金属板又は非金属材料に予め被覆させ、これを加工して金属製又は非金属製発熱体カバーを作成すると、作成する上で作業効率が向上するため好適である。
また、金属板又は非金属材料の熱吸収性皮膜層を被覆した面が発熱体カバーの内面を構成していないと、発熱体カバー内における温度低下効果が得られない。熱吸収性皮膜層は、発熱体カバーの内面だけでなく、外側にも被覆してもよい。外側にも被覆した場合は、熱吸収と等価である熱放射の影響で、金属製又は非金属製発熱体カバー自身の温度が低下するのでより好適である。
本発明の熱吸収性に優れた金属製及び非金属製発熱体カバーを構成する金属板及び非金属材料は、熱吸収性を担保するために、金属板もしくはめっきされた金属板又は非金属材料の少なくとも片面に、a)バインダー固形分100質量部、及び、b)熱吸収性顔料10〜150質量部から構成され、且つ、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆することで達成される。
熱吸収性顔料として、カーボン、炭、黒鉛など、一般的に公知のものを使用でき、市販のものを用いてもよい。上記熱吸収性顔料の中でもカーボンブラックは粒径が非常に小さくて、皮膜中に広く分散するので好適な顔料であり、特に、粒径が1〜100nmのものが好適である。
本発明者らは、更に、金属板又は非金属材料に被覆した皮膜層の全放射率を高くし、熱吸収性を向上させるためにはカーボンを皮膜層中に添加し、これらの物質で金属板又は非金属材料を隠蔽すると好適であること知見した。なお、ここで、カーボンとは、カーボンラック、炭、黒鉛など一般に公知のカーボンを使用することができる。カーボンで金属板又は非金属材料を隠蔽するためには、より粒径の小さいカーボンを多量に添加する必要がある。粒径の小さいカーボンを少量添加しても隠蔽効果は小さく、また、粒径の大きいカーボンでは、多量に添加しても隙間がカーボンとカーボンの間に発生するため、隠蔽効果が小さくなる。しかし、粒径の小さなカーボンを多量に添加した場合、バインダー固形分とカーボンを含む塗液の粘度が上昇して塗布作業性が低下する、塗液中に分散している微粒子カーボンが経時で凝集して塗液がゲル状になる等の問題が発生する。これらの問題を解決するために、発明者らが鋭意研究したところ、0.1μm未満の小さな粒径のカーボンと0.1μm以上50μm以下の大粒径のカーボンを併用することで、前記問題が解決されることを知見した。これらを併用することで、皮膜中に分散した大粒径カーボンの隙間に微粒系カーボンが分散するため、微粒子カーボンを多量に添加しなくても、カーボンによる金属板及び非金属材料の隠蔽性は向上し熱吸収性効果が発揮される。
この知見により得られた本発明の好適な態様において、熱吸収性皮膜層(以下吸熱皮膜と称す)は、添加するカーボンの添加量を、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満の微粒系カーボンと粒径0.1μm以上50μm以下の大粒径カーボンとの合計が10〜150質量部であり、且つ吸熱皮膜層の膜厚は1μm以上である。微粒系カーボンの粒径の下限は特に規定するものではないが、0.1μmを超えるとカーボンとカーボンの間に隙間ができやすく、微粒子カーボンとしての役割を発揮しないため不適である。微粒系カーボンの添加量は1質量部未満であると、金属板又は非金属材料の隠蔽効果に劣り熱吸収性が劣るため不適であり、20質量部超では塗液の粘度が高くなったり、経時でゲル状になったりするため不適である。大粒径カーボンの粒径が0.1μm未満であると大粒径カーボンとしての役割を発揮せずに、微粒子カーボンと同じ挙動を示す、ため不適である。大粒径カーボンの粒径が50μm超であると、これを含む塗液を塗布する際に塗布性が低下したり、塗布後の皮膜外観が悪くなったりするため不適である。大粒径カーボンの粒径は、好ましくは、0.1μm以上30μm以下である。より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。大粒径カーボンの添加量は、1質量部未満であると熱吸収性が劣り、140質量部超では皮膜が脆くなり、皮膜の加工性に劣るため不適である。更に、微粒子カーボンと大粒径カーボンの合計添加量が10質量部未満であると熱吸収性が劣り、150質量部超では皮膜が脆くなり皮膜の加工性に劣る、塗液が増粘して塗布作業性が劣るため不適である。吸熱皮膜の膜厚が1μm未満であると、皮膜の熱吸収性が劣るため不適である。
本発明の熱吸収性に優れた金属製又は非金属製発熱体カバーを構成する金属板又は非金属材料は、1つの好ましい態様において、熱吸収性と導電性を担保するために、金属板もしくはめっきされた金属板、または非金属材料の少なくとも片面に、a)バインダー固形分100質量部、及び、b)熱吸収性顔料10〜150質量部の他、さらにc)導電性顔料1〜150質量部から構成され、且つ、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆することで達成される。
導電性顔料としては、フレーク状金属Ni、鎖状金属Ni、粒状金属Al、鱗片状金属Al、ステンレス粉など公知のものを使用でき、市販のものを用いてもよい。しかし、金属は一般的に熱を反射し易く、熱吸収性顔料の熱吸収を阻害する傾向がある。金属Niは、他の金属顔料と比べて熱吸収性顔料の熱吸収を阻害しにくい性質を持ち、鎖状金属Niは、鎖状のため、皮膜内で熱を反射する面積が小さくなるので、熱吸収を阻害しにくく、より好適である。
しかし、鎖状金属Niのみでは導電性に劣るので、フレーク状金属Niと鎖状金属Niとを組み合わせて用いるのが好ましい。この場合、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であると熱吸収性と導電性に優れることになるので、より好適である。
フレーク状金属Niは、皮膜内で熱を反射する面積が大きいため熱吸収を阻害しやすい。そのため、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1未満であると導電性に劣り、一方、6超では熱吸収性に劣る。
更に、上記導電性顔料がフェロシリコンであると熱吸収性皮膜層の放射率が向上し、且つ、表面処理金属板の場合は耐食性も向上するため、より好適である。フェロシリコンは導電性のみならず熱吸収性にも優れていて、導電顔料と熱吸収性顔料を兼ねることができるので、単独で添加しても、熱吸収性と導電性の両特性を確保することができる。
バインダー固形分100質量部に対する熱吸収性顔料の添加量が10質量部未満であると、80℃以上200℃以下のある温度において測定した波数600〜3000cm−1の領域における金属板の全放射率が0.70未満となるので不適である。
樹脂固形分100質量部に対する熱吸収性顔料の添加量が多いほど、放射率がより高くなりより好適であるが、150質量部超では皮膜層が脆くなり、皮膜層の耐衝撃性が低下するので、また金属板を加工する際の加工性が低下するので、不適である。
熱吸収性皮膜層の膜厚は、必要に応じて任意に選定できるが、金属板では1〜50μm、非金属材料では1〜1000μmが好適である。1μm未満では80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における金属板または非金属材料の全放射率が0.70以上になりにくい。また、金属板の場合は50μm超では皮膜層の加工性が低下するので好適でなく、非金属材料の場合1000μm超では熱吸収性が飽和して経済的に意味を持たないため好適でない。また、導電性を考慮すると、1μm以上10μm未満がより好適である。
本発明の熱吸収性皮膜層を構成するバインダーとして、樹脂やゾルゲル法によって形成される無機皮膜や、ゾルゲル法によって形成される無機有機複合皮膜など、一般に公知の皮膜用バインダーを使用することができる。樹脂を塗料のような形態で用いることは、取り扱い、皮膜形成方法の容易さなどから好適である。
樹脂としては、一般に公知のもの、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂などを用いることができ、熱可塑タイプ、熱硬化タイプのいずれのタイプであってもよい。
これらの樹脂は、必要に応じて数種のものを併用してもよい。これらの樹脂は、種類、樹脂の分子量、樹脂のガラス転移温度Tgによっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度などが異なるため、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定する必要がある。
また、架橋剤を用いて硬化させるタイプの樹脂は、架橋剤の種類や添加量、架橋反応時の触媒の種類や触媒添加量によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度などが異なるため、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定する必要がある。
これらの樹脂は固体のものを熱溶融したり、有機溶剤に溶解して用いたり、粉砕して粉体にして用いることができる。また、水溶性のものや、水分散したエマルジョンタイプのものでもよい。更には、紫外線(UV)硬化タイプや電子線(EB)硬化タイプのものでもよい。これらは、いずれも市販のタイプのものを使用することができる。
本発明者らがこれまでに得た知見によれば、溶剤系のメラミン硬化型ポリエスエル系、溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエステル系、水分散型アクリルエマルジョンなどが好適であり、特に、次のものが好適である。しかし、これらは一例であり、これに限定されるものではない。
溶剤系のメラミン硬化型ポリエスエル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは−10〜70℃が好適であり、メラミン樹脂の添加量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して5〜70質量部が好適である。
ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000超では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため不適である。ポリエステル樹脂のTgが−10℃未満では皮膜が成膜しないため不適であり、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し不適である。メラミン樹脂の添加量がポリエステル100質量部に対して5質量部未満であると、皮膜が未硬化となり不適であり、70質量部超では、皮膜が硬くなりすぎて加工性が低下するため、不適である。
使用するポリエステル樹脂は、一般に市販されているもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロン」や、住化バイエルウレエタン社製「デスモフェン」などを使用することができる。使用するメラミン樹脂も、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメル」、「マイコート」、大日本インキ化学工業社製「ベッカミン」、「スーパーベッカミン」などを使用することができる。
溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエスエル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは−10〜70℃が好適であり、イソシアネートの添加量は、[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=0.8〜1.2であると好適である。
[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]の値が0.8未満もしくは1.2超では、皮膜生成時に皮膜が未硬化となりやすい。ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000超では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため不適である。ポリエステル樹脂のTgが−10℃未満では、皮膜が成膜しないため不適であり、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し不適である。
使用するポリエステル樹脂は、一般に市販されているもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロン」、住化バイエルウレタン社製「デスモフェン」などを使用することができる。
使用するイソシアネートも、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュール」、「デスモジュール」、三井武田ケミカル社製「タケネート」などを使用することができる。
また、水分散型アクリルエマルジョンタイプのものも一般に公知のものを使用でき、市販のものでもよい。水分散型アクリルエマルジョンタイプのものは、一般に公知のエポキシ樹脂など、密着性の良い樹脂を添加して使用してもよい。
エポキシ樹脂の種類及び添加量は、塗膜性能の影響するので、必要に応じて適宜選定することができる。水分散系アクリル樹脂のように水系樹脂の場合、皮膜の塗布作業性が高い上に、揮発性有機溶剤の大気放出問題が発生しないので、塗布設備における排気ダクトの強化や揮発性有機溶剤の燃焼設備などが不要となり、より好適である。
本発明の熱吸収性皮膜層中には、熱吸収性顔料、導電性顔料に加えて、必要に応じて、着色顔料や防錆顔料及び防錆剤を併用して添加することができる。
着色顔料としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機顔料や、有機顔料などの一般に公知の着色顔料を使用できる。
また、防錆顔料については、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメートなどの一般に公知のクロム系防錆顔料や、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜リン酸アルミ、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカなどの一般に公知の非クロム系の防錆顔料及び防錆剤を使用できる。
特に、本発明の金属板の母材が、鋼板もしくはめっき鋼板のように腐食し易い金属で有る場合、防錆顔料及び防錆剤を添加することで、本発明の金属板の耐食性が向上するので、より好適である。
近年の環境問題を配慮した場合は、非クロム系の防錆顔料及び防錆剤がより効果的である。これらの非クロム系防錆顔料及び防錆剤は、試薬を用いてもよいし、市販のものを用いることもできる。
市販されている防錆顔料としては、東邦顔料社製のリン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERT−NP500」、「EXPERT−NP530」、東邦顔料社製の亜リン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERT−NP1500」、「EXPERT−NP1530」、「EXPERT−NP1600」、「EXPERT−NP1700」、テイカ社製のトリポリリン酸アルミ「K−WHITEシリーズ」、SHERWIN Williams社製のモリブデン酸塩系顔料及びリン酸モリブデン酸塩系顔料「SHER−WHITEシリーズ」、日本アエロジル社及びデグサ社製の気相シリカ「AEROSILシリーズ」、日産化学社製のコロイダルシリカ「スノーテクスシリーズ」、GRACE社製のCa吸着型シリカ「シールデックス−シリーズ」等がある。
これら着色顔料や防錆顔料及び防錆剤は、種類、添加量、粒径の違いにより、放射率や加工性、外観、耐食性などその他の皮膜性能が大きく異なるので、必要に応じて適宜選定する必要がある。
また、本発明の熱吸収性皮膜層には、必要に応じて、一般に公知のレベリング剤、顔料分散剤、ワックスなどを添加することができる。これら添加剤の種類や添加量は、特に規定されるものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。特に、ワックスは本発明の表面処理金属板を成形加工したときの成形性向上、熱吸収性皮膜層のキズ付き防止等に効果的である。
本発明の熱吸収性皮膜層を金属板表面にあるいは非金属材料表面に形成するためには、バインダーを含む皮膜成分を、一般に公知の塗料形態にして塗布することができる。例えば、塗料形態としては、樹脂を溶剤に溶解した溶剤系塗料、エマルジョン化した樹脂を水などに分散した水系塗料、樹脂を粉砕してパウダー化した粉体塗料、粉砕しパウダー化した樹脂を水などに分散させたスラリー粉体塗料、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線(EB)硬化型塗料、樹脂をフィルム状にして貼り付けるフィルムラミネート、樹脂を溶融させてから塗布する形態などがある。
塗布方法は、いずれも特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、刷毛塗り塗装、ダイコーター塗装などが採用できる。また浸漬塗装、インクジェット塗装などでもよい。
なお、金属板に熱吸収性皮膜層を被覆する前に、金属板の皮膜密着性を上げるため、金属板に前処理を施すのが好ましい。この前処理を施すと熱吸収性皮膜の密着性や金属板の耐食性が向上し、より好適である。
塗装前処理を施さなくても塗膜が密着すれば、塗装前処理工程が省略できるのでより好適である。塗装前処理としては、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニア系処理、チタニア系処理を使用することができる。
また、近年、樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理も開発されているが、樹脂をベースとしたノンクロメート前処理を用いると、環境への負荷が低減されるためより好適である。
樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理の例としては、特開平09−828291号公報、特開平10−251509号公報、特開平10−337530号公報、特開2000−17466号公報、特開2000−248385号公報、特開2000−273659号公報、特開2000−282252号公報、特開2000−265282号公報、特開2000−167482号公報等に記載された技術が挙げられ、これらの技術を用いることができるが、上記以外にも、一般に公知技術を用いることができる。
既に市販されているノンクロメート処理を用いてもよい。これらの前処理の種類や付着量の違いによって、熱吸収性皮膜層の密着性や金属板の耐食性が大きく異なるので、必要に応じて適宜選定する必要がある。
本発明の金属板は、加工して金属製発熱体カバーを製造することが目的であるため、加工が可能な金属材料であればよく、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であってもよい。例えば、鋼、アルミ、チタン、銅、マグネシウム合金などが挙げられる。特に、アルミや銅など熱伝導率の高い金属を用いると、吸収した熱が金属内にて均一分散するため、局部的に金属が熱くなることを避けられることから、好適である。また、これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。
めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板など、一般に公知の鋼板およびめっき鋼板を適用できる。
しかし、溶融合金化亜鉛めっき鋼板のように、鉄と亜鉛の合金めっき鋼板は、これ自身が高い熱吸収性を有しているため、これに熱吸収皮膜を被覆すると熱吸収性がより向上し、好適である。また、アルミや銅など熱伝導率の高い金属をめっきした鋼板に熱吸収皮膜を被覆すると、吸収した熱が金属表面のめっき層を通して均一分散するため、局部的に金属が熱くなることを避けられるため、より好適である。これらアルミや銅など熱伝導率の高い金属をめっきした鋼板は、熱伝導性が向上するだけでなく、鋼板の有する強度、成形性も兼ね備えている上、アルミや銅など熱伝導率の高い金属を単体で用いるより安価であるため、製造コストが削減でき、より好適である。
これらの金属板には、塗装前処理を施す前に湯洗、アルカリ脱脂、酸洗などの通常の処理を行うことができる。金属を成形して金属製発熱体カバーを製造する際の加工方法は、一般に公知の加工方法を用いることができる。例えば、鍛造加工、鋳造加工、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、ロールフォーミングなどの加工方法が挙げられる。また、予め、熱吸収性皮膜層を金属板に被覆した後に成形加工するプレコート方式であると、製造効率がよく、より好適である。
本発明で用いる非金属材料は、金属材料を除く無機材料及び有機材料のすべてであるが、プラスチック、樹脂、セラミック、陶器、セメントなどのほか、天然素材でもよい。その他、樹脂では、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、HIPS系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂など一般に公知の樹脂が使用できる。また、セラミックスとしては、アルミナ系、窒化アルミ系、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウムなどの一般に公知のセラミックスを使用できる。
また、非金属材料の場合、必要に応じて、熱吸収性皮膜を被覆する非金属材料表面に、一般に公知の化成処理を施したり、粗度を粗くするなどして、熱吸収性皮膜の密着性を向上させることもできる。
本発明品である熱吸収性に優れた発熱体カバー及びそのための材料の用途としては、VTR、オーディオ機器、DVD、テレビ、液晶テレビ、プラズマディスプレー、プラズマディスプレーチューナーなどのオーディオビジュアル機器及びそれらの周辺機器、パソコン、ノートパソコン、光ディスクドライブ、ハードディスクドライブなどのパソコン周辺機器、携帯電話、電子メモ帳などのモバイル機器、冷蔵庫、エアコン室外機、エアコン室内機、洗濯機、照明器具などの一般家電製品、バッテリーケース、車載バッテリーケース、車載電子部品機器、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ機器、自動販売機、両替機、プリペイドカードや切符などの発券機などが挙げられ、これらの外カバーや内部部品板、内外部部電子部品カバー、内外部制御機器カバーに本発明品を使用すると効果が発揮される。
本発明品である熱吸収性に優れた発熱体カバー及びそのための材料を用いて、発明者らが効果を確認した冷蔵庫と携帯機器及び車載機器に関して、以下に詳細を記載する。
冷蔵庫
冷蔵庫内部にはモーターや電子部品など熱源となる部品が数多く使われている。特に近年、冷蔵庫の電子化が進み、これら熱源から発生する熱が冷蔵庫の内部蓄積し、内部の温度が上昇し易くなってきている。冷蔵庫内部の温度が上昇すると、冷蔵室内の温度を低下させるためにより多くの電力が必要となり、また、このためにモーターや電子部品の寿命も短くなる。しかし、近年ではエコロジーの観点から、冷蔵庫などの電気製品に対しての消費電力低下の要望が増加している。
本発明者らは、鋭意検討した結果、金属材料の表面に熱吸収性の高い物質を冷蔵庫外板の内側に施すと、熱吸収性の高い物質を施さない場合と比べて、モーターなどの熱源付近の温度が低下することを見出した。
先に発熱体カバー及び熱吸収性皮膜について説明したことは、冷蔵庫を構成する外板を発熱体カバーと考えればそのまま本発明の冷蔵庫の外板及びその内側表面に被覆する熱吸収性皮膜の具体的説明について妥当するので、ここではこれ以上の説明は省略する。
本発明の冷蔵庫は、外板の内側表面に特定の熱吸収性皮膜が被覆されている以外の冷蔵庫の構造及び内部は公知のものと同様でよい。
本発明の冷蔵庫外板の外側面には着色塗膜やクリヤー塗膜を被覆すると意匠外観を付与できるため、より好適である。この着色塗膜層やクリヤー塗膜層は、多層塗膜にして、最下層に防錆顔料を含む防錆塗膜層、これより上の層は着色顔料を含む着色層として使用し、また必要に応じて、更にその上にクリヤー皮膜を被覆するなどすると、金属板の場合に耐食性が向上し、意匠性も増すため、より好適である。
また、冷蔵庫を組み立てる工程において、ベルトコンベアーやその他搬送機器との摩擦により、冷蔵庫外板に用いる金属板の表面皮膜に静電気が発生し、組立ライン内の埃や塵が金属板表面に付着する問題が発生する。この問題を解決するためには塗膜に導電性を付与させで皮膜表面に蓄積した静電気を逃がす必要がある。本発明の冷蔵庫外板の内側に被覆する熱吸収性皮膜層には前記カーボンに加えて、バインダー固形分100質量部に対して導電性の金属粉を1〜50質量部含むと、皮膜が導線性を有し、冷蔵庫組立工程における静電気起因の埃や塵の付着問題が解決され、より好適である。熱吸収性皮膜層に導電性を付与する構成についても先に述べた。
本発明の冷蔵庫を製造する際は、予め、平たい金属板の片面に本発明の熱吸収性皮膜層を塗装して熱吸収性の高いプレコート金属板を製造し、これを切断、加工した後に、熱吸収性皮膜層が外板の内側となるようにして冷蔵庫に組み上げると作業効率が高くなるため、より好適である。
本発明の冷蔵庫を作成する際に、予め熱吸収性皮膜を被覆したプレコート金属板を製造し、その後に、切断、加工、組立を行う場合の加工方法は、一般に公知の加工方法を用いることができる。例えば、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、ロールフォーミングなどの加工方法が挙げられる。
携帯機器及び車載機器
本発明は、発熱する電子部品やバッテリーを内蔵する電子機器ケースの内面側に、本発明の高吸熱性塗料を塗布することにより、電子機器内部の温度上昇を顕著に抑制できることを見出したものである。
本発明において携帯機器(モバイル機)、車載機器は、特に限定されず、携帯電話、ノートパソコン、PDA、車載バッテリー、カーナビゲーションシステム機器、カーオーディオ機器、車載制御機器などが含まれる。
発熱する電子分品は特に限定されず、例えば、CPU素子、MPU素子、DSP素子、電子集積回路、抵抗等の電子部品をいう。バッテリーも、一般に公知のものを適用する事ができる。
本発明の携帯機器又は車載機器のケースを構成する材料も、特に限定されず、Mg合金ケース、Al合金ケース、鋼板ケース、その他の金属ケース、プラスチックケース等が挙げられるが、中でもMg合金ケース、Al合金ケース、鋼板ケースの場合に特に有用である。
本発明の携帯機器又は車載機器のケースの熱吸収性皮膜層は、1つの態様において、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm未満のカーボンとの合計が10〜150質量部である。
熱吸収性皮膜層は、第2の態様において、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成され、前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6である。
熱吸収性皮膜層は、第3の態様において、バインダー固形分100質量部に対して、熱吸収性顔料10〜150質量部及びフェロシリコン10〜150質量部から構成される。
熱吸収性皮膜層は、第4の態様において、バインダー固形分100質量部に対してフェロシリコン10〜150質量部から構成される。
これらの各態様における熱吸収性皮膜層の具体的な内容は先に発熱体カバーについて説明したと基本的に同様である。従って、ここでは具体的な説明は省略する。また、先に説明した発熱体カバー等を携帯機器又は車載機器のケースとしても良い。
本発明の高吸熱性皮膜層をケース表面に形成するためには、バインダーを含む皮膜成分を、一般に公知の塗料形態にして塗布することができる。例えば、塗料形態としては、樹脂を溶剤に溶解した溶剤系塗料、エマルジョン化した樹脂を水などに分散した水系塗料、樹脂を粉砕してパウダー化した粉体塗料、粉砕しパウダー化した樹脂を水などに分散させたスラリー粉体塗料、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線(EB)硬化型塗料、樹脂をフィルム上にして貼り付けるフィルムラミネート、樹脂を溶融させてから塗布する形態などがある。
高熱吸収性皮膜の膜厚は1〜1000μmであることが望ましい。皮膜が1μm未満であると、皮膜の熱吸収性が劣るため不適である。皮膜が1000μm超であると熱吸収性が飽和して、経済的に意味をなさないため、好適でない。より好ましくは10〜500μmである。導電性を担保するためには、1μm以上10μm未満がより好適である。
本発明の高吸熱性皮膜層をケースが形成されてからその表面に塗工することが一般的であるが、板材の場合には成形加工前に塗工しておいてもよい。
本発明では、吸熱性皮膜層を被覆した面が発熱する電子部品やバッテリーのケースの内側となることで、電子機器及びバッテリーケース内部の温度が低下する。
本発明の熱吸収性に優れたケースの構成は図1と同様でよい。本発明のケースは例えばMg合金板1で構成され、且つ、内面を高吸収性皮膜層2で被覆したことを特徴としている。なお、図中、3が発熱電子部品もしくは、バッテリーである。
また、高熱吸収性皮膜層を被覆した面がケースの内面でないと、電子機器ケース内における温度低下効果が得られない。しかし、高熱吸収性皮膜層は、ケースの内面に加えて、外側にも被覆してもよい。外側にも被覆した場合は、熱吸収と等価である熱放射の影響で、発熱体ケースである金属板中に吸収した熱を放出し易くなるため、ケース自身の温度が低下し、より好適である。
また、ケースの外側には着色塗膜を被覆して意匠外観を付与してもよい。この着色塗膜層は、多層塗膜にして、金属製の場合最下層に防錆顔料を含む防錆塗膜層、これより上の層は着色顔料を含む着色層として使用しても良い。これら場合、着色有機皮膜層(多層塗膜の場合は防錆塗膜層も含む)は、これ自身にある程度の熱放射性を有しているため、トータルで10μm以上被覆すると、ケースの温度を低下させるため、より好適である。
実施例
以下、実験に用いた熱吸収性皮膜塗料の作成方法について詳細を説明する。
市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂と称す)である東洋紡績社製「バイロンGK140」(数平均分子量:13000、Tg20℃)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解した。
次に、有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂にポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製のサイメル303を15質量部添加し、更に、市販の酸性触媒で有る三井サイテック社製の「キャタリスト6003B」を0.5質量部添加し攪拌することで、メラミン硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料(以下ポリエステル/メラミン系と称す)を得た。
また、樹脂の影響を見るために、前記の有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂に、市販のHDIをベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュールBL3175」を、[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=1.0となるように配合し、更に、三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形分に対して0.05%添加することで、イソシアネート硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料(以下ポリエステル/イソシアネート系と称す)を得た。
更に、市販の水分散型アクリルエマルジョンタイプの樹脂を準備し、これに市販の水溶性エポキシ樹脂を固形分にして5質量%添加したものを作成し、水分散型アクリルエマルジョン/エポキシのクリヤー塗料(以下、水系アクリルと称す)とした。
更に、市販の常温乾燥型の溶剤系クリヤー塗料(以下溶剤系常乾と称す)と市販の常温乾燥型の水系クリヤー塗料(以下水系常乾と称す)をそれぞれ準備した。
次に、作成および準備したクリヤー塗料には、熱吸収性顔料、導電性顔料、防錆顔料を必要に応じて添加し、攪拌することで熱吸収性皮膜塗料を得た。作成した塗料の詳細を表1〜4に記載する。
Figure 2003087432
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表1〜4中、(*1)〜(*19)の注については、以下のとおりである。
(*1):塗料中の樹脂固形分100質量部に対する添加顔料の質量部
(*2):東海カーボン社製「トーカブラック#7350F」を使用(28nm/微粒子カーボン)
(*3):共同組合ラテスト製「備長炭パウダー」を使用(最大粒径:5μm/大粒径カーボンA)
(*4):試薬の黒鉛末を更に粉砕し、ふるい分け分級機にて平均粒径10μmとしたものを使用
(*5):東海カーボン社製「トーカブラック#5500F」を使用(粒径:25nm)
(*6):市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを入手し、質量比でフレークNi/鎖状Ni=6となるように混合したものを使用(平均粒径:5μm)
(*7):市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを入手し、質量比でフレークNi/鎖状Ni=1となるように混合したものを使用(平均粒径:5μm)
(*8):市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを入手し、質量比でフレークNi/鎖状Ni=0.1となるように混合したものを使用(平均粒径:5μm)
(*9):東洋アルミ社製「アルミニウム粉02−0005」を使用(平均粒径:10μm)
(*10):市販のステンレス粉を使用(平均粒径:20μm)
(*11):JIS−G2302記載のフェロシリコン2号を粉砕機にて粉砕し、ふるい分け分級機にて平均粒径10μmとしたものを使用
(*12):市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを入手し、質量比でフレークNi/鎖状Ni=0.05となるように混合したものを使用(平均粒径:5μm)
(*13):市販のフレーク状金属Niと鎖状金属Niを入手し、質量比でフレークNi/鎖状Ni=7となるように混合したものを使用(平均粒径:5μm)
(*14):日本アエロジル社製「AEROSIL300」を使用(12nm)
(*15):Grace社製「シールデクスC303」を使用(3μm)
(*16):テイカ社製「K−WHITE K−105」を使用(平均粒径:2.3μm)
(*17):日産化学社製「スノーテックスN」を使用(本防錆顔料は水分散タイプのため、表中に記載した添加量は固形分の量を示す、粒径:10〜20nm)
(*18):大日精化学工業社製「AFブラックU14」を使用(本防錆顔料は樹脂混合の水分散タイプのため、表中に記載した添加量はカーボンブラックのみの量を示す、粒径:10〜50nm)
(*19):石原産業社製酸化チタン「タイペークCR95」を使用
(*20):試薬の黒鉛末を更に粉砕し、ふるい分け分級機にて平均粒径40μmとしたものを使用(大粒径カーボンB)
(*21):試薬の黒鉛末を更に粉砕し、ふるい分け分級機にて平均粒径60μmとしたものを使用(大粒径カーボンC)
なお、表1〜4中のバインダーはいずれも常乾溶剤系である。
以下、実施例の詳細について詳細を説明する。
(実施例I)
以下、実験に用いた熱吸収性表面塗装板の作成方法について詳細を説明する。
付着量が片面当たり20g/mで両面がめっきされた厚み0.6mmの電気亜鉛めっき鋼板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC−364S」を20質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂し、水洗後、乾燥した。
次いで、脱脂した電気亜鉛めっき鋼板上にロールコーターにて前処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では、前処理に市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZM1300AN」(以下クロメート処理)と、市販のノンクロメート前処理である日本パーカライジング社製の「CT−E300」(以下ノンクロメート処理)を使用した。
クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として200mg/mとした。
更に、前処理を施した電気亜鉛めっき鋼板の上に、表1に記載する熱吸収性皮膜塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。前処理及び熱吸収性皮膜塗料は必要に応じて片面もしくは両面に塗装することで試験片を得た。
作成した表面塗装板の詳細を表5〜8に記載する。なお、表5〜7中に記載の表面塗装板は、いずれも、同じ種類の熱吸収性皮膜層を両面に同じ条件で被覆したものであり、表8中記載の表面塗装板は、いずれも、片面のみに熱吸収性皮膜層を被覆し、他の面は被覆していないものである。
Figure 2003087432
Figure 2003087432
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定
日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「VALOR−III」を用いて、表面塗装板の板温度を80℃にしたときの波数600〜3000cm−1の領域における赤外発光スペクトルを測定し、これを標準黒体の発光スペクトルと比較することで、表面塗装板の全放射率を測定した。なお、標準黒体は鉄板にタコスジャパン社販売(オキツモ社製造)の「THI−1B黒体スプレー」を30±2μmの膜厚でスプレー塗装したものを用いた。
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
図2に示す測定箱を作成して試験を行った。測定箱4は上面が開放されており、この開放された面を、作成した表面塗装板5で覆い、この状態で、熱源6の温度が100℃となるように、温度コントローラー7にて熱源の温度を制御して、測定箱4内に設置した熱電対8の温度Aと表面塗装板外面に貼り付けた熱電対9の温度Bを、それぞれ、デジタル温度計10で測定した。
更に、評価する表面塗装板と同じ板厚の未処理の電気亜鉛めっき鋼板についても、同様の測定を行い、作成した表面塗装板と未処理の電気亜鉛めっき鋼板との測定値を比較して、以下の基準で評価した。
温度Aの評価基準は以下のとおりである。
[{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}≧4℃]のとき:○
[4℃>{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}≧2℃]のとき:△
[2℃>{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}]のとき:×
また、温度Bの評価基準は以下のとおりである。
[20℃≧{(評価する表面塗装板での測定値)−(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)}]のとき:○
[30℃≧{(評価する表面塗装板での測定値)−(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)}>20℃]のとき:△
[{(評価する表面塗装板での測定値)−(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)}>30℃]のとき:×
3)塗膜密着性試験
表面塗装板の熱吸収性皮膜層に、1mm角の碁盤目状の切れ目をカッターナイフで入れ、皮膜面が凸となるようにエリクセン試験機で7mm押し出した後に、テープ剥離試験を行った。
碁盤目状の切れ目の入れ方、エリクセンの押し出し方法、テープ剥離の方法については、JIS−K5400.8.2記載の方法、及び、JIS−K5400.8.5記載の方法に準じて実施した。なお、本試験では同じ場所で2回続けてテープ剥離試験を実施している(以降 2回テープ剥離と称す)。
テープ剥離後の評価は、JIS−K5400.8.5記載の評価の例の図に従って行い、評点10点の時に○、8点以上10点未満の時に△、8点未満の時に×と評価した。
4)塗膜の折り曲げ試験
作成した表面塗装板に180°折り曲げ加工を施した。そして、加工部の塗膜損傷状態をルーペにて観察し、以下の基準で評価した。折り曲げ加工は20℃雰囲気中で、0.6mmのスペーサーを間に3枚挟んで実施した(一般的に3T曲げと呼ばれる)。
塗膜に全くの損傷が無い場合:○
塗膜が部分的に損傷している場合:△
塗膜が加工部全面で激しく損傷している場合:×
5)プレス成形試験
作成した表面塗装板について、油圧式エリクセンタイプのプレス加工試験機にて円筒絞り試験を行った。円筒絞り試験は、ポンチ径:50mm、ポンチ肩R:5mm、ダイス肩R:5mm、絞り比:2.3、BHF:1tの条件で行い、金属板が金型から絞り抜けるまで加工を行った。
さらに、加工部の塗膜損傷状態をルーペにて観察し、下記の基準で評価した。
塗膜に全くの損傷が無い場合:○
塗膜が部分的に損傷している場合:△
塗膜が加工部全面で激しく損傷している場合:×
6)耐食性
作成した表面塗装板に対し、JIS−K5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は熱吸収性皮膜層の面に噴霧した。試験時間は120hとした。
試験片表面にはカッターナイフにてクロスカットを入れた。クロスカット部の塗膜の評価方法は、クロスカット片側の最大膨れ幅が2mm未満の場合に○、2mm以上5mm未満の場合に△、5mm以上の場合に×と評価した。
また、切断時の返り(バリ)が塗装鋼板の評価面側にくるように(上バリとなるように)作製した平板についても、前述の塩水噴霧試験を実施し、端面からの塗膜の膨れ幅を観察した。端面部の評価方法は端面からの膨れ幅が2mm未満の場合には○、2mm以上5mm未満の場合には△、5mm以上の場合には×と評価した。
7)導電性試験
作成した表面塗装板の熱吸収性皮膜層の導電性を測定した。測定方法は、三井化学社製の抵抗率計「Loresta−EP/MCP−T360」の四端子法にて表面塗装板の表面の抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
抵抗率が0.1×10−2Ω未満の場合:○
抵抗率が0.1×10−2以上1.0×10−1Ω未満の場合:△
抵抗率が1.0×10−1Ω以上の場合:×
以下、作成した表面塗装板の評価結果を記載する。
表面塗装板に被覆された熱吸収性皮膜層の添加顔料種及び添加量の影響について評価した結果を、表5に記載する。
本発明の表面塗装板(本発明例I−1〜I−25)は、80℃の温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上であることで、放射率が0.70未満である比較例I−26とI−27より熱吸収性が高く、発熱体のカバーとして好適であることがわかる。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層は、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、導電性顔料1〜150質量部から構成されていると、加工性や導電性に優れたものとなり、より好適である。
熱吸収性顔料の添加量が10質量部未満(比較例I−26)であると放射率が0.7未満となり、熱吸収性が劣るため不適である。熱吸収性顔料の添加量が150質量部超(本発明例I−5)であると放射率は高いが、折り曲げ性やプレス成形性などの加工性が低下するため、150質量部以下がより好適である。
導電性顔料の添加量が1質量部未満(本発明例I−8)であると導電性が担保できなくなるため、1質量部以上がより好適である。導電性顔料の添加量が150質量部超(比較例I−27)では、導電性顔料が熱吸収性を阻害するため、放射率が0.7未満となって熱吸収性が劣り、且つ、皮膜層の加工性も大きく低下するため不適である。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層に含まれる熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックで、且つ、導電性顔料が、平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成されていて、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であると、熱吸収性と導電性により優れるためより好適である。
熱吸収性顔料が炭パウダーや黒鉛パウダーのように粒径が比較的大きなもの(本発明I−6及びI−7)では、放射率が比較的低く、且つ、導電性顔料の導電効果を大きな熱吸収性顔料が阻害し導電性も低下するため、熱吸収性顔料は、平均粒径1〜100nmのカーボンブラックがより好適である。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層に含まれる導電性顔料がアルミ粉やステンレス粉であると、これらの導電性顔料が熱吸収性を阻害し易く、これらを添加したもの(本発明例I−15及びI−16)は放射率が低下する。
平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成されたものは熱吸収性を阻害しにくく好適である。しかし、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1未満(本発明例I−11)であると導電性が低下し、質量比でフレーク状金属Ni/鎖状金属Niが6超(本発明例I−14)では、熱吸収性が阻害され放射率が低いので、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比は0.1〜6が好適である。
導電性顔料がフェロシリコン(本発明例I−17)であると、放射率が低下せず、且つ、本発明の表面塗装板の耐食性も向上するためより好適である。熱吸収性顔料を添加せずにフェロシリコンのみを添加したもの(本発明例I−19)は、放射率が比較的高く、且つ、導電性や耐食性に優れるため好適である。
また、熱吸収性顔料として導電性カーボンブラックを用いた場合、導電性が向上するためより好適である。本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層中に熱吸収性顔料及び導電性顔料に加えて、防錆顔料を添加したもの(本発明例I−22至乃I−25)は、耐食性に優れるためより好適である。
熱吸収性皮膜層の膜厚が異なる表面塗装板の評価結果を表6に記載する。膜厚が1μm未満でのもの(本発明例I−28)は全放射率が低く、また、50μm超では皮膜層の加工性が低下するため、膜厚は1〜50μmがより好適である。
表7に、熱吸収性皮膜層の前処理をクロメート処理にした場合(本発明例I−35)と、前処理を施さなかった場合(本発明例I−36)の評価結果を示す。前処理の種類を変えても放射率及び熱吸収性、他の塗膜性能に変化は無い。
しかし、クロメート処理を施したものはクロメート処理皮膜中に含まれる6価クロムの環境問題が発生するため、これを含まない処理(ノンクロメート処理)の方がより好適である。
また、前処理を施さなかった場合、塗膜密着性及び耐食性が低下するため、前処理を施した方がより好適である。
表8に、片面のみに熱吸収性皮膜層を被覆し、他の面を未塗装とした場合の熱吸収性評価結果を示す。片面のみに熱吸収性皮膜を被覆したものは両面被覆したものより熱吸収性に劣る。
片面のみ被覆した場合、熱源となる発熱体の覆うカバーの外側に熱吸収性皮膜層を施したもの(比較例I−38)は、熱吸収性に効果が殆ど無く不適である。
(実施例II)
以下、実験に用いた熱吸収性表面塗装板の作成方法について詳細を説明する。
付着量が片面当たり20g/mで両面がめっきされた厚み0.6mmの電気亜鉛めっき鋼板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC−364S」を20質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂し、水洗後、乾燥した。
次いで、脱脂した電気亜鉛めっき鋼板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では、化成処理に市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZM1300AN」(以下クロメート処理)と、市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT−E300」(以下ノンクロメート処理)を使用した。化成処理は金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として200mg/mとした。
更に、化成処理を施した電気亜鉛めっき鋼板上の片面(以下、こちらの面をa面と称す)に、表2に記載する吸熱皮膜塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。化成処理及び吸熱皮膜塗料は必要に応じて片面もしくは両面に塗装することで試験片を得た。また、他方の面(以下、こちらの面をb面と称す)は、未塗装のままのもの、熱吸収性塗料を塗装したもの、着色塗装を施したものを作成した。なお、着色塗装は、日本ペイント社製のプレコート鋼板用下塗り塗料「FL641プライマー」を乾燥膜厚で5μm塗装し、PMT210℃で焼き付けたのち、更にその上に日本ペイント社製のブラックメタリック色の上塗り塗料「FL7100」を乾燥膜厚で15μm塗装し、PMT230℃で焼き付けた。
作成した表面塗装板の詳細を表9〜10に記載する。なお、表9〜10中の熱吸収性塗膜の膜厚は乾燥後の膜厚である。
Figure 2003087432
Figure 2003087432
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定
実施例Iにおけると同様であるが、本実験では作成した表面塗装板のa面の放射率を測定した。
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
実施例Iにおけると同様であるが、以下の基準で評価した。以下、温度Aの評価基準を説明する。また、本実験では作成した表面塗装板のa面が測定箱の内側(熱源側)となるように設置した。
[{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}≧4℃]のとき:◎
[4℃>{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}≧3℃]のとき:○
[3℃>{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}≧2℃]のとき:△
[2℃>{(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)−(評価する表面塗装板での測定値)}]のとき:×
以下、温度Bの評価基準を説明する。
[20℃≧{(評価する表面塗装板での測定値)−(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)}]のとき:○
[{(評価する表面塗装板での測定値)−(電気亜鉛めっき鋼板の測定値)}>20℃]のとき:△
3)塗膜密着性試験
実施例Iにおけると同様。ただし、本試験では、a面の密着性を評価した。
4)塗膜の折り曲げ試験
実施例Iにおけると同様。但し、本試験は、a面側が加工部外側となるように実施し、a面の加工部の塗膜損傷状態を観察して、評価した。
5)プレス成形試験
実施例Iにおけると同様。但し、本試験は、a面側が加工部外側となるように実施し、a面の加工部の塗膜損傷状態を観察して、評価した。
6)耐食性
作成した表面塗装板をJIS−K5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は試験片のa面に噴霧した。試験時間は72hとした。そして、a面側の平面部と端面部の白錆発生状態を観察し、平面部と端面部のいずれも白錆が発生していない場合を◎、端面部に若干の白錆が発生しているが平面部には殆ど白錆が発生していない場合を○、端面部に白錆が発生し、且つ平面部にも白錆が部分的に発生している場合を△、端面部と平面部の全面に白錆が発生している場合は×と評価した。
7)導電性試験
実施例Iにおけると同様。但し、本試験は、a面で実施した。
8)吸熱塗料の経時の状態観察
金属板のa面に塗装した吸熱性塗料を常温で1ヶ月放置した後の塗液の状態を目視にて観察し、次のように評価した。
塗液を作成した時の状態と比べて変化無し:○
塗液を作成した時の状態と比べて粘度が増加している:△
塗液を作成した時の状態と比べて塗液がゲル状になっている、もしくは固まっている:×
9)吸熱皮膜の外観
金属板上のa面側に被覆した皮膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。
平滑な外観である:○
添加顔料が皮膜厚より僅かに大きいため、皮膜面表面に僅かな凹凸外観が観察される:△
添加顔料が皮膜より非常に大きいため、皮膜表面に激しい凹凸外観が観察される:×
以下評価結果の詳細について述べる。
本発明の表面塗装板は、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部である熱吸収性皮膜層を乾燥膜厚で1μm以上被覆することで、熱吸収性の高い表面処理粉金属板を得ることができた。
本発明の表面塗装板を使い、発熱体カバーを作成する場合は、熱吸収性皮膜を発熱体カバーの内側としなければならない。本発明の吸熱皮膜を発熱体カバーの外側のみに被覆した場合(比較例II−32)、カバー内部の温度(吸熱性温度A)は殆ど低下しないため、不適である。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層で、80℃の温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70未満であるもの(本発明例II−26)は、カバー内部の温度(吸熱性:温度A)が殆ど低下しないため、全放射率は0.70以上のものが、より好適である。
本発明の熱吸収性皮膜層に導電性顔料を添加した場合(本発明例II−11)、導電性が付与されるため、発熱体カバーにアース性などを求められる用途には、より好適である。本発明の熱吸収性皮膜層に防錆顔料を添加したばあい(本発明例II−13,II−14)、耐食性が向上するため、耐食性が求められる用途には、よりこうてきである。さらに、耐食性と導電性の両特性を有するフェロシリコンを本発明の熱吸収性皮膜層に添加した場合(本発明例II−12)、導電性が付与された上、耐食性も向上するため、より好適である。また、発熱体カバーの内側のみに熱吸収性皮膜を被覆して、外側には何も被覆していないものは、カバー内部の温度(吸熱性温度A)は低く吸熱性に優れるが、金属板自身の温度(吸熱性温度B)は高い。そのため、発熱体カバーの内側に熱吸収性皮膜を被覆した上に、外側にも本発明の吸熱性皮膜もしくは一般に公知の着色塗膜を10μm以上被覆した方が、より好適である。
(実施例III)
以下、実験に用いた熱吸収性表面塗装板の作成方法について詳細を説明する。
めっき付着量が片面当たり60g/mで両面がめっきされた厚み0.6mmの溶融合金化亜鉛めっき鋼板(GA)を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC−364S」を20質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂し、水洗後、乾燥した。また、めっき付着量が片面当たり60g/mで両面がめっきされた厚み0.6mmのアルミめっき鋼板(アルシート)と厚み0.6mmのアルミ板(AL)を、市販のアルミ用アルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC−315」を40質量%濃度に希釈した70℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂し、水洗後、乾燥した。
次いで、脱脂しためっき鋼板およびアルミ板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では、化成処理に市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT−E300」を使用した。化成処理は金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として200mg/mとした。
更に、化成処理を施しためっき鋼板上の片面(以下、こちらの面をa面と称す)に、実施例Iの表1に記載の塗料1−2をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。化成処理及び吸熱皮膜塗料は必要に応じて片面もしくは両面に塗装することで試験片を得た。また、他方の面(以下、こちらの面をb面と称す)は、着色塗装を施したものを作成した。なお、着色塗装は、日本ペイント社製のプレコート鋼板用下塗り塗料「FL641プライマー」を乾燥膜厚で5μm塗装し、PMT210℃で焼き付けたのち、更にその上に日本ペイント社製のブラックメタリック色の上塗り塗料「FL7100」を乾燥膜厚で15μm塗装し、PMT230℃で焼き付けた。
作成した表面塗装板の詳細を表11に記載する。なお、表11中の熱吸収性塗膜の膜厚は乾燥後の膜厚である。
Figure 2003087432
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定
実施例IIにおけると同様
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
実施例IIにおけると同様
3)塗膜密着性試験
実施例IIにおけると同様
4)塗膜の折り曲げ試験
実施例IIにおけると同様
5)プレス成形試験
実施例IIにおけると同様
6)耐食性
実施例IIにおけると同様
7)導電性試験
実施例IIにおけると同様
以下評価結果の詳細について述べる。
本発明の表面塗装板は、原板に溶融合金化亜鉛めっき鋼板のような鉄−亜鉛合金メッキ鋼板であると(本発明例III−1)放射率が更に高くなりより好適である。また、原板にアルミのように熱伝導性の高い材料を用いたり(本発明例III−3)、このような材料を鋼材などにめっきしたもの(本発明例III−2)は、金属板中もしくは金属板表面で熱が発散し、金属材板表面の熱が均一化されるため、より好適である。
(実施例IV)
以下、実験に用いた熱吸収性塗装板の作成方法について詳細を説明する。
板状のアルミナ系セラミックス(以下、セラミックス板と称する)に表3に記載する熱吸収性皮膜塗料をバーコーターにて塗装し、常温にて約24時間乾燥した。なお、塗装は、必要に応じて、表裏両面に塗装したものと片面のみ塗装したものとを作製した。
作製した表面塗装板の詳細を表12〜14に示す。表12,13に示した表面塗装板は、いずれも同じ種類の熱吸収性皮膜層を両面に同じ条件で被覆したものであり、表14に示した表面塗装板は、いずれも片面のみに熱吸収性皮膜層を被覆し、他の面は被覆していないものである。
Figure 2003087432
Figure 2003087432
Figure 2003087432
以下、作成した塗装カバーの評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板材料の放射率測定
実施例Iにおけると同様。
2)表面塗装板材料の熱吸収性測定試験
実施例Iにおけると同様であるが、本実験では、図2中の熱伝対8の温度のみを測定した。
更に、塗装しない未処理板についても、同様の測定を行い、測定値を比較して、以下の基準で評価した。
[{(未処理板の測定値)−(評価する表面処理板での測定値)}≧4℃]のとき:○
[4℃>{(未処理板の測定値)−(評価する表面処理板での測定値)}≧2℃]のとき:△
[2℃>{(未処理板の測定値)−(評価する表面処理板での測定値)}]のとき:×
3)導電性試験
作成した表面塗装板の熱吸収性皮膜層の導電性を測定した。測定方法は、東亜電波工業社製の抵抗測定装置(SM−8220)に東亜電波工業社製の平板試料測定用電極(SME−8310)を取り付けて、皮膜表面の表面抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
表面抵抗率が1.0×10Ω以下の場合:○
表面抵抗率が1.0×10Ω超、1.0×1011Ω以下の場合:△
表面抵抗率が1.0×1011Ω超の場合:×
4)塗膜の耐衝撃性試験
JIS K 5400 8.3.2のデュポン式耐衝撃性試験を実施した。なお、試験実施時の打ち型のサイズは1/2インチ(12.7mm)、重りの質量は500g、重りの高さは20cmとした。そして、試験後のサンプル表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
塗膜の割れや剥離が確認できない場合:○
塗膜の割れや剥離が確認できる場合:×
表面塗装板に被覆された熱吸収性皮膜層の添加顔料種及び添加量の影響について評価した結果を表12に示す。なお、表12は、いずれも非金属板の両面に同条件の熱吸収性皮膜を塗装したサンプルを用いた試験の結果である。
本発明の表面塗装板(本発明例IV−1〜20)は、80℃以上のいずれかの温度で測定した波数600〜3000−1cmの領域における全放射率が0.70以上であることで、放射率が0.70未満である比較例21,22より熱吸収性が高く、発熱体のカバーとして好適であることがわかる。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層は、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、導電性顔料1〜150質量部から構成されていると、加工性や導電性に優れたものとなり、より好適である。
熱吸収性顔料の添加量が10質量部未満(比較例IV−21)であると、放射率が0.70未満となり、熱吸収性が劣るため不適である。熱吸収性顔料の添加量が150質量部超(本発明例IV−5)であると、放射率は高いが、耐衝撃性が低下するため、150質量部以下がより好適である。
導電性顔料の添加量が1質量部未満(本発明例IV−8)であると、導電性が担保できなくなるため、1質量部以上がより好適である。導電性顔料が150質量部超(比較例IV−22)では、導電性顔料が熱吸収性を阻害するため、放射率が0.70未満となって熱吸収性が劣り、かつ、皮膜層の耐衝撃性も大きく低下するため、不適である。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層に含まれる熱吸収性顔料が、平均粒径1〜100nmのカーボンブラックで、かつ、導電性顔料が、平均粒径0.5〜50μmのフレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であると、熱吸収性と導電性により優れるため、より好適である。
熱吸収性顔料が、炭パウダーや黒鉛パウダーのように粒径が比較的大きなもの(本発明例IV−6,IV−7)では、放射率が比較的低く、かつ、導電性顔料の導電効果を阻害して導電性も低下するため、熱吸収性顔料は、平均粒径1〜100nmのカーボンブラックがより好適である。
本発明の表面塗装板の熱吸収性皮膜層に含まれる導電性顔料が、アルミ粉やステンレス粉であると、これらの導電性顔料が熱吸収性を阻害し易く、これらを添加したもの(本発明例IV−15,IV−16)は、放射率が低下する傾向にある。
平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成された導電性顔料は、熱吸収性を阻害しにくく好適である。しかし、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1未満(本発明例IV−11)であると、導電性が低下し、質量比でフレーク状金属Ni/鎖状金属Niが6超(本発明例IV−14)では、熱吸収性が阻害される傾向にあり放射率が低下しているので、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比は0.1〜6が好適である。
導電性顔料がフェロシリコン(本発明例IV−17)であると、放射率が低下しないためより好適である。熱吸収性顔料を添加せずにフェロシリコンのみを添加したもの(本発明例IV−19)は、放射率が比較的高く、かつ、導電性に優れるため、好適である。
また、熱吸収性顔料として導電性カーボンブラックを用いた場合、導電性が向上するためより好適である。
熱吸収性皮膜層の膜厚が異なる表面塗装板の評価結果を表13に示す。なお、表13は、いずれも非金属板の両面に同条件の熱吸収性皮膜を塗装したサンプルを用いた試験の結果である。
膜厚が1μm未満のもの(本発明例IV−23)は、全放射率が低くなる傾向にあるため、膜厚は1μm以上がより好適である。
表14に、片面のみに熱吸収性皮膜層を被覆し、他の面を未塗装とした場合の熱吸収性評価結果を示す。片面のみ被覆した場合、熱源となる発熱体を覆うカバーの外側に熱吸収性皮膜を施したもの(比較例IV−31)は、熱吸収性に効果が殆ど無く不適である。
(実施例V)
以下、実験に用いた熱吸収性塗装板の作成方法について詳細に説明する。
アルミナ系のセラミックス板上に、表4に示した熱吸収性皮膜塗料をバーコーターにて塗装し、常温にて約24時間乾燥した。作成した表面塗装板の詳細を表15に示す。表15に示した表面塗装板は、いずれも同じ種類の熱吸収性皮膜層を両面に同じ条件で被覆したものである。
以下、作成した表面処理板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定試験 実施例IVにおけると同様。
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
実施例IVにおけると同様。
3)塗膜の耐衝撃性試験
実施例IVにおけると同様。
4)吸熱塗料の経時の状態観察
セラミック板に塗装した各吸熱性皮膜塗料を実施例IIにおけると同様に評価した。
5)吸熱性皮膜の外観
セラミック板上に被覆した皮膜の外観を目視にて観察し、実施例IIにおけると同様に評価した。
以下、作成した表面塗装板の評価結果について詳細を説明する。
表15に示したように、本発明の表面塗装板は、樹脂固形分100質量部に対して、粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上30μm以下のカーボンを1〜140質量部を含み、かつ、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm未満のカーボンとの合計が10〜150質量部である熱吸収性皮膜層を乾燥膜厚で1μm以上被覆することで、熱吸収性の高い表面塗装板を得ることができた。
Figure 2003087432
(実施例VI)
以下、実験に用いた塗装板材料の作成方法について詳細を説明する。
板状のポリカーボネート−ABSポリマーアロイ系の樹脂(以下、プラスチック板と称する)上に、表3の塗料3−2と塗料3−20をバーコーターにて塗装し、常温にて約24時間乾燥した。作成した表面塗装板の詳細を表16に示す。表16に示した表面塗装板は、いずれも同じ種類の吸熱性皮膜層を両面に同じ条件で被覆したものである。
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定試験
実施例IVにおけると同様。
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
実施例IVにおけると同様。
3)塗膜の耐衝撃性試験
実施例IVにおけると同様。
表16に作成した表面塗装板の評価結果を示す。本発明の表面塗装板は、母材に樹脂などのプラスチック材料を用いても熱吸収性に効果があり、好適である。
Figure 2003087432
(実施例VII)
以下、実験に用いた熱吸収性プレコート金属板の作成方法について詳細を説明する。
厚み0.6mmの金属板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した電気亜鉛めっき鋼板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では次の金属板を用いた。
GI:溶融亜鉛めっき鋼板(Z12)
GA:合金化亜鉛めっき鋼板(F08)
Alシート:アルミめっき鋼板(アルミ付着量:片面60g/m2)
SUS:ステンレス鋼板(SUS430、表面ブライト仕上げ)
また、本実験では、化成処理に市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZM1300AN」(以下クロメート処理)と、市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT−E300」(以下ノンクロメート処理)を使用した。化成処理は金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として200mg/mとした。
更に、化成処理を施した金属板上の片面(以下、こちらの面をa面と称す)に、先に作成した表1及び2より選出した塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。また、他方の面(以下、こちらの面をb面と称す)は、着色塗料もしくはクリヤー塗料をロールコーターにて塗装した。なお、着色塗装は、日本ペイント社製のプレコート鋼板用下塗り塗料「FL641プライマー」を乾燥膜厚で5μmロールコーターにて塗装し、PMT210℃で焼き付けたのち、更にその上に日本ペイント社製の白色上塗り塗料「FL3510」を乾燥膜厚で15μmロールコーターにて塗装し、PMT230℃で焼き付けた。また、クリヤー塗料は、日本ペイント社製のFL5000クリヤーを3μm塗装した。なお、本実験で用いた着色塗膜層のプライマー塗料「FL641プライマー」は、クロメート処理を施した金属板上に塗装する場合には、ストロンチウムクロメートを樹脂固形分に対して48質量%添加したクロメートタイプのものを用い、ノンクロメート処理を施した金属板上に塗装する場合には、カルシウムシリケートを30質量%添加したノンクロメートタイプのものを用いた。
作成したプレコート金属板の詳細を表17に記載する。なお、表17中の熱吸収性塗膜の膜厚は乾燥後の膜厚である。
以下、実験に用いた冷蔵庫の作成方法について詳細を記載する。
市販の小型冷蔵庫の金属外板を取り外した。次に、取り外した金属板と同じ形状に切断、加工した前記プレコート金属板を、プレコート金属板のa面が冷蔵庫の内側となるようにして取り付けることで冷蔵庫を作成した。
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)冷蔵庫外板の放射率測定
日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「VALOR−III」を用いて、冷蔵庫外板に用いるために作成したプレコート金属板の板温度を80℃にしたときの波数600〜3000cm−1の領域における赤外発光スペクトルを測定し、これを標準黒体の発光スペクトルと比較することで、属板の全放射率を測定した。なお、標準黒体は鉄板にタコスジャパン社販売(オキツモ社製造)の「THI−1B黒体スプレー」を30±2μmの膜厚でスプレー塗装したものを用いた。
また、放射率の測定は、作成したプレコート金属板のa面を測定した。
2)冷蔵庫内部の温度測定試験
作成した冷蔵庫の電源を入れ、通常の条件で運転させ、運転開始24h後の内部の主熱源であるモーター付近の温度を、デジタル温度にて測定した。なお、温度は、モーターから5cm離れた箇所の温度を測定した。
更に、市販の冷蔵庫に元々取り付けてあった従来の金属外板(従来金属外板)を取り付けた状態の冷蔵庫内部の温度を前述した条件下で測定し、これと評価する冷蔵庫の想定温度とを比較して、以下の様に評価した。
以下、冷蔵庫内部の温度の評価基準を説明する。
[{(従来金属外板を有する冷蔵庫の測定値)−(評価する冷蔵庫での測定値)}≧4℃]のとき:○
[4℃>{(従来金属外板を有する冷蔵庫の測定値)−(評価する冷蔵庫での測定値)}≧2℃]のとき:△
[2℃>{(従来金属外板を有する冷蔵庫の測定値)−(評価する冷蔵庫での測定値)}]のとき:×
3)冷蔵庫外板の皮膜密着性試験
冷蔵庫外板用に作成したプレコート金属板のa面の皮膜層に、1mm角の碁盤目状の切れ目をカッターナイフで入れ、a面が凸となるようにエリクセン試験機で7mm押し出した後に、テープ剥離試験を行った。
碁盤目状の切れ目の入れ方、エリクセンの押し出し方法、テープ剥離の方法については、JIS−K5400.8.2記載の方法、及び、JIS−K5400.8.5記載の方法に準じて実施した。
テープ剥離後の評価は、JIS−K5400.8.5記載の評価の例の図に従って行い、評点10点の時に○、8点以上10点未満の時に△、8点未満の時に×と評価した。
4)冷蔵庫外板の加工性
作成したプレコート金属板を冷蔵庫の外板に加工した際に、a面側加工部の皮膜の損傷状態を目視にて観察して、次のように評価した。
加工部で皮膜の亀裂や剥離が無く良好な外観である:○
加工部の皮膜に小さな亀裂と剥離が発生している:△
加工部でほぼ全面的に皮膜が剥離している:×
5)冷蔵庫外板の耐食性
冷蔵庫外板用に作成したプレコート金属板をJIS−K5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は試験片のa面に噴霧した。試験時間は48hとした。そして、a面側の平面部の白錆発生状態を観察し、平面部から白錆が発生していない場合を○、平面部に白錆は発生しているが赤錆は発生していない場合を△、平面部にも白錆と赤錆が発生している場合を×と評価した。
6)冷蔵庫外板の導電性試験
冷蔵庫外板用に作成したプレコート鋼板のa面の導電性を測定した。測定方法は、三井化学社製の抵抗率計「Loresta−EP/MCP−T360」の四端子法にて金属板の表面の抵抗率を測定し、以下の基準で評価した。
抵抗率が0.1×10−2Ω未満の場合:○
抵抗率が0.1×10−2以上1.0×10−1Ω未満の場合:△
抵抗率が1.0×10−1Ω以上の場合:×
7)熱吸収性皮膜塗料の粘度経時変化調査試験
本実験で用いた熱吸収性塗料(表1及び2から選出した塗料)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)で希釈し、全固形分濃度(N.V.)を50質量%となるように調整した。
そして、作成した塗料の初期粘度をJIS.K5400.4.5.4に記載のフォードカップNo.4法にて測定した。更に、これらの塗料を1週間常温で放置した後に攪拌機にて再攪拌した後の粘度を1週間後の粘度として再度前記のフォードカップNo.4法にて測定した。そして、1週間放置前後の粘度を比較して、作成した各塗料の粘度上昇を以下のように評価した。なお、粘度経時変化試験の評価結果は、表18に記載する。
[(1週間後の粘度)−(初期粘度)]<20秒のとき:○
20≦[(1週間後の粘度)−(初期粘度)]<50秒のとき:△
[(1週間後の粘度)−(初期粘度)]≧50秒のとき:×
Figure 2003087432
Figure 2003087432
以下評価結果の詳細について述べる。
評価結果を表17に記載する。本発明の冷蔵庫は、80℃以上の200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜を金属製外板の内側表面に被覆することで、冷蔵庫内部の温度が低下させることが達成された。熱吸収性皮膜の放射率が0.70未満のもの(比較例VII−15,VII−16,VII−18,VII−19)は、冷蔵庫の内部温度が、従来のタイプのものと比べて大きな差が無く、不適である。
本発明の冷蔵庫外板に被覆する熱吸収性皮膜にはバインダー固形分100質量部に対してカーボンを10〜150質量部含むと熱吸収性皮膜の放射率が0.70以上となり好適である。カーボンの添加量が10未満のもの(比較例−VII−15,VII−16,VII−18)や被覆していないもの(比較例VII−19)は、放射率が0.70未満となり不適である。また、カーボンの添加量が150質量部超のもの(比較例VII−17)は加工性に劣るため、不適である。
本発明の冷蔵庫外板の熱吸収性皮膜には導電性顔料を添加したものは導電性が付与されるため、冷蔵庫組立時に静電気が発生しにくく、静電気起因の塵や埃の付着問題がなく、より好適である。導電性顔料を添加しない場合(本発明例VII−6,VII−8,VII−9)は、導電性が劣っている。
本発明の冷蔵庫外板の熱吸収性皮膜には防錆顔料を添加したもの(本発明例VII−7,VII−8,VII−9)は耐食性に優れ、より好適である。特にフェロシリコンを添加したもの(本発明例VII−7)は耐食性に加えて導電性にも優れるため、より好適である。
本発明の冷蔵庫外板の吸熱性皮膜には、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、かつ、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部であるもの(本発明例VII−20,VII−21)は、熱吸収性皮膜中にカーボンを多量に添加しているが、熱吸収性塗料の粘度が上昇しにくいためより好適である。
本発明の冷蔵庫外板には熱吸収性皮膜を塗装する前に化成処理を施すと、密着性や加工性に優れ、より好適である。化成処理を施していないもの(本発明例VII−12)は密着性や加工性に劣っている。更に、化成処理の種類は、いずれでも良いが、クロメート処理を用いたもの(本発明例VII−11)よりはノンクロメート処理を施したものの方が、環境問題の点から、より好適である。
(実施例VIII)
以下、実験に用いた熱吸収性塗装板の作成方法について詳細に説明する。
アルミ合金板及びマグネシウム合金板の内面に、表4に示した熱吸収性皮膜塗料をバーコーターにて塗装し、常温にて約24時間乾燥した。作成した表面塗装板の詳細を表19(Al合金板)及び表20(Mg合金板)に示す。表19及び表20に示した表面塗装板は、いずれも同じ種類の熱吸収性皮膜層を両面に同じ条件で被覆したものである。
以下、作成した表面処理板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板材料の放射率測定
実施例IVにおけると同様
2)表面塗装板材料の熱吸収性測定試験
実施例IVにおけると同様
3)塗膜の耐衝撃性試験
実施例IVにおけると同様
4)吸熱塗料の経時の状態観察
アルミ合金板及びマグネシウム合金板上に塗装した各吸熱性皮膜塗料を実施例IIにおけると同様に評価した。
5)吸熱性皮膜の外観
アルミ合金板及びマグネシウム合金板上に被覆した皮膜の外観を目視にて観察し、実施例IIにおけると同様に評価した。
以下、作成した表面塗装板の評価結果について詳細を説明する。
表19及び表20に示したように、本発明の表面塗装板は、樹脂固形分100質量部に対して、粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部を含み、かつ、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部である熱吸収性皮膜層を乾燥膜厚で1μm以上被覆することで、熱吸収性の高い表面塗装板を得ることができた。
Figure 2003087432
Figure 2003087432
(実施例IX)
以下、実験に用いた塗装板材料の作成方法について詳細を説明する。
板状のポリカーボネート−ABSポリマーアロイ系の樹脂(以下、プラスチック板と称する)上に、表4の塗料4−2と塗料4−9をバーコーターにて塗装し、常温にて約24時間乾燥した。作成した表面塗装板の詳細を表21に示す。表21に示した表面塗装板は、いずれも同じ種類の吸熱成否膜層を両面に同じ条件で被覆したものである。
以下、作成した表面塗装板の評価試験について詳細を説明する。
1)表面塗装板の放射率測定試験
実施例IVおけると同様。
2)表面塗装板の熱吸収性測定試験
実施例IVにおけると同様。
3)塗膜の耐衝撃性試験
実施例IVにおけると同様。
表21に作成した表面塗装板の評価結果を示す。本発明の表面塗装板は、母材に樹脂などのプラスチック材料を用いても熱吸収性に効果があり、好適である。
Figure 2003087432
(実施例X)
以下、実験に用いた熱吸収性アルミ合金板の作成方法について詳細を説明する。
0.6mmのアルミ合金板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC−315」を20質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂し、水洗後、乾燥した。更にその上に市販のノンクロメート処理である日本パーカライジング社製の「CTE−300」を乾燥付着量にして200mg/mロールコーターにて塗装した。
次いで、脱脂したアルミ合金板上に、表1に記載する熱吸収性皮膜塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。熱吸収性皮膜塗料は必要に応じて片面もしくは両面に塗装することで試験片を得た。
作成した表面処理アルミ合金板の詳細を表22に記載する。表22中記載のアルミ合金板は、いずれも、片面のみに熱吸収性皮膜層を被覆し、他の面は被覆していないものである。
Figure 2003087432
以下、作成したアルミ合金板の評価試験について詳細を説明する。
1)アルミ合金板の放射率測定
実施例Iと同じ。
2)アルミ合金板の熱吸収性測定試験
実施例IVと同じ。
3)塗膜密着性試験
実施例Iと同じ。
4)塗膜の折り曲げ試験
実施例Iと同じ。
5)プレス成形試験
実施例Iと同じ。
6)耐食性
作成したアルミ合金板に対し、JIS−K5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は熱吸収性皮膜層の面に噴霧した。試験時間は500hとした。
クロスカット部の塗膜の評価方法は、クロスカット片側の最大膨れ幅が2mm未満の場合に○、2mm以上5mm未満の場合に△、5mm以上の場合に×と評価した。
また、切断時の返り(バリ)が塗装鋼板の評価面側にくるように(上バリとなるように)作製した平板についても、前述の塩水噴霧試験を実施し、端面からの塗膜の膨れ幅を観察した。端面部の評価方法は端面からの膨れ幅が2mm未満の場合には○、2mm以上5mm未満の場合には△、5mm以上の場合には×と評価した。
7)導電性試験
実施例Iと同じ。
アルミ合金板に被覆された熱吸収性皮膜層の添加顔料種及び添加量の影響について評価した結果を、表22に記載する。
本発明のアルミ合金板(本発明例X−1〜X−325)は、80℃の温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上であることで、放射率が0.70未満である比較例X−26とX−27より熱吸収性が高く、発熱体のケースとして好適であることがわかる。
本発明のアルミ合金板の熱吸収性皮膜層は、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、導電性顔料1〜150質量部から構成されていると、加工性や導電性に優れたものとなり、より好適である。
熱吸収性顔料の添加量が10質量部未満(比較例X−26)であると放射率が0.7未満となり、熱吸収性が劣るため不適である。熱吸収性顔料の添加量が150質量部超(本発明例X−5)であると放射率は高いが、折り曲げ性やプレス成形性などの加工性が低下するため、150質量部以下がより好適である。
導電性顔料の添加量が1質量部未満(本発明例X−8)であると導電性が担保できなくなるため、1質量部以上がより好適である。導電性顔料の添加量が150質量部超(比較例X−27)では、導電性顔料が熱吸収性を阻害するため、放射率が0.7未満となって熱吸収性が劣り、且つ、皮膜層の加工性も大きく低下するため不適である。
本発明のアルミ合金板の熱吸収性皮膜層に含まれる熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックで、且つ、導電性顔料が、平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成されていて、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であると、熱吸収性と導電性により優れるためより好適である。
熱吸収性顔料が炭パウダーや黒鉛パウダーのように粒径が比較的大きなもの(本発明X−6及びX−7)では、放射率が比較的低く、且つ、導電性顔料の導電効果を大きな熱吸収性顔料が阻害し導電性も低下するため、熱吸収性顔料は、平均粒径1〜100nmのカーボンブラックがより好適である。
本発明のアルミ合金板の熱吸収性皮膜層に含まれる導電性顔料がアルミ粉やステンレス粉であると、これらの導電性顔料が熱吸収性を阻害し易く、これらを添加したもの(本発明例X−15及びX−16)は放射率が低下する。
平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成されたものは熱吸収性を阻害しにくく好適である。しかし、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1未満(本発明例X−11)であると導電性が低下し、質量比でフレーク状金属Ni/鎖状金属Niが6超(本発明例X−14)では、熱吸収性が阻害され放射率が低いので、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比は0.1〜6が好適である。
導電性顔料がフェロシリコン(本発明例X−17)であると、放射率が低下せず、且つ、本発明のアルミ合金板の耐食性も向上するためより好適である。熱吸収性顔料を添加せずにフェロシリコンのみを添加したもの(本発明例X−19)は、放射率が比較的高く、且つ、導電性や耐食性に優れるため好適である。
また、熱吸収性顔料として導電性カーボンブラックを用いた場合、導電性が向上するためより好適である。本発明のアルミ合金板の熱吸収性皮膜層中に熱吸収性顔料及び導電性顔料に加えて、防錆顔料を添加したもの(本発明例X−22至乃X−25)は、耐食性に優れるためより好適である。
熱吸収性皮膜層の膜厚が異なるアルミ合金板の評価結果を表7に記載する。膜厚が1μm未満でのもの(本発明例X−28)は全放射率が低く、また、50μm超では皮膜層の加工性が低下するため、膜厚は1〜50μmがより好適である。
産業上の利用可能性
本発明により、内部にモーターや電子部品など熱源となる部品が数多く使われる家電製品の内部で発生する熱を放出する技術が確立された。更には、熱を放出するのに適し、且つ、家電製品のアースを取るための導電性に優れた表面処理材を提供することが可能となった。この技術を利用することで、冷蔵庫を含む家電製品の性能がよりアップし、且つ、エネルギー消費量も低減することが可能となった。同様に、本発明は、電子部品やバッテリーを内蔵するため機器内部の温度が上昇する携帯電話、ノートパソコン、PDA、車載バッテリーケース、カーナビゲーションシステム、カーオーディオ機器、車載制御機器などにも、この技術は応用され、性能アップ、エネルギー消費量の低減などの効果があり、産業上の利用可能性が高い発明である。従って、本発明は産業上のきわめて価値の高い発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の熱吸収性に優れた発熱体カバー又はケースの構成を示す図である。
図2は熱吸収性を測定する測定箱の態様を示す図である。

Claims (29)

  1. 発熱体カバー本体の少なくとも内面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆したことを特徴とする熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  2. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部及び熱吸収性顔料10〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項1記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  3. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  4. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  5. 前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、且つ、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、且つ、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であることを特徴とする請求項4に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  6. 前記導電性顔料がフェロシリコンであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  7. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱吸収性に優れた発熱体カバー。
  8. 前記発熱体カバー本体が金属製である請求項1〜7のいずれか1項に記載の発熱体カバー。
  9. 前記発熱体カバー本体が非金属製である請求項1〜7のいずれか1項に記載の発熱体カバー。
  10. 金属板もしくはめっきされた金属板の少なくとも片面に80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜層を被覆したことを特徴とする熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  11. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部及び熱吸収性顔料10〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項10記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  12. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部であることを特徴とする請求項10又は11に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  13. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  14. 前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、且つ、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、且つ、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6であることを特徴とする請求項13に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  15. 前記導電性顔料がフェロシリコンであることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  16. 熱吸収性皮膜層が、バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成されることを特徴とする請求項10に記載の熱吸収性に優れた表面処理金属板。
  17. 80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における全放射率が0.70以上である熱吸収性皮膜を外板の内側表面に被覆したことを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
  18. 熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対してカーボンを10〜150質量部含むことを特徴とする請求項17記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
  19. 熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して導電性の金属粉を1〜50質量部含むことを特徴とする請求項18又は19記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
  20. 熱吸収性皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、且つ粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm未満のカーボンとの合計が10〜150質量部であり、乾燥膜厚で1μm以上であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の熱効率に優れた冷蔵庫。
  21. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の発熱体カバーを外板としたことを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
  22. 請求項10〜16のいずれか1項に記載の表面処理金属板を外板とし、該金属板の熱吸収性皮膜層を内側表面とすることを特徴とする熱効率に優れた冷蔵庫。
  23. 外板の外側にクリヤー塗膜もしくは着色顔料を含む塗膜を被覆した特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の熱効率に優れる冷蔵庫。
  24. 予め、平たい金属板の片面に請求項17〜20のいずれか1項に記載の熱吸収性皮膜層を、他方の面にクリヤーもしくは着色顔料を含む塗膜を塗装して熱吸収性の高いプレコート金属板を製造し、これを切断、加工した後に、冷蔵庫に組み上げることを特徴とした熱吸収性に優れた冷蔵庫の製造方法。
  25. 発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースの内側に熱吸収性皮膜層を有し、前記熱吸収性皮膜層が、
    (A)バインダー固形分100質量部に対して粒径0.1μm未満のカーボンを1〜20質量部と粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンを1〜140質量部含み、粒径0.1μm未満のカーボンと粒径0.1μm以上50μm以下のカーボンとの合計が10〜150質量部である;
    (B)バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、さらに導電性顔料1〜150質量部から構成され、前記熱吸収性顔料が平均粒径1〜100nmのカーボンブラックであり、前記導電性顔料が平均粒径0.5〜50μmのフレーク状の金属Niと鎖状の金属Niとから構成され、フレーク状金属Ni/鎖状金属Niの質量比が0.1〜6である;
    (C)バインダー固形分100質量部、熱吸収性顔料10〜150質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成される
    (D)バインダー固形分100質量部、及び、フェロシリコン5〜150質量部から構成される
    のいずれかであることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
  26. 発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースが、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発熱体カバーであることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
  27. 発熱する電子部品を内蔵する携帯機器又は車載機器のケースが、請求項10〜16のいずれか1項に記載の表面処理金属板を加工してなるものであって、該金属板の熱吸収性皮膜層を内側表面とすることを特徴とする携帯機器又は車載機器。
  28. 前記ケースがMg合金製又はAl合金製である請求項25〜27のいずれか1項に記載の携帯機器又は車載機器。
  29. 請求項25に記載の熱吸収性皮膜層を有する携帯機器又は車載機器用ケース。
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