JP4194041B2 - 耐疵付き性及び耐指紋性に優れた樹脂塗装金属板、及び電子機器部品 - Google Patents
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Description
該樹脂塗膜の膜厚は0.5〜10μmであり、且つ、該樹脂塗膜に含まれる白色顔料及び/又は光輝顔料の添加量は、合計で1〜25質量%であって、且つ、
該樹脂塗装金属板の色調は、日本電色株式会社製色差計(SZS−Σ90)で測定したL値で44.0〜60.0を満足するところに要旨を有するものである。
前記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し;表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に、放熱性を有する放熱塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
(II-1)該放熱塗膜のうち少なくとも表面は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有する黒色塗膜が被覆されているか、または
(II-2)上記記白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、該放熱塗膜のうち少なくとも一方は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有する黒色塗膜が被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり
(II-3)該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が下式(1)を満足することにより、放熱性が高められたところに要旨を有するものである。
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
ここで上記黒色塗膜に添加されるカーボンブラックの好ましい平均粒径は、5〜100nmである。
上記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
(III-1)このうち少なくとも表面の塗膜は、黒色添加剤として、少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有しており、このうち金属板の少なくとも表面は、放熱性の黒色塗膜が被覆されているか、または
(III-2)上記白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、金属板の少なくとも表面は、放熱性の黒色塗膜で被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり、
該表面の放熱性黒色塗膜は、カーボンブラックを1質量%以上含有しており、
(III-3)該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が、下式(2)及び下式(3)を満足することにより、放熱性及び自己冷却性が高められたところに要旨を有するものである。
(a−0.05)×(b−0.05)≧0.08… 式(3)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
更に本発明には、閉じられた空間に発熱体を内蔵する電子機器部品であって、その外壁の全部または一部が、前述した本発明の第一〜第三の塗装体で構成されている電子機器部品(例えばCD、LD、DVD、CD−ROM、CD−RAM、PDP、LCD等の情報記録製品;パソコン、カーナビ、カーAV等の電気・電子・通信関連製品;プロジェクター、テレビ、ビデオ、ゲーム機等のAV機器;コピー機、プリンター等の複写機;エアコン室外機等の電源ボックスカバー、制御ボックスカバー、自動販売機、冷蔵庫等)も本発明の範囲内に包含される。
(II)上記(I)の塗装体において、更に放熱性に優れた電子機器部材用塗装体
(第二の塗装体)
(III)上記(I)の塗装体において、更に放熱性及び自己冷却性に優れた
電子機器部材用塗装体
(第三の塗装体)
まず、上記(I)について説明する。
本発明の第一の塗装体は、片面または両面が黒色である黒色金属板における黒色側表面の一方または両方に、白色顔料及び/又は光輝顔料を含有する樹脂塗膜が被覆された樹脂塗装金属板であり、
該樹脂塗膜の膜厚は0.5〜10μmであり、且つ、該樹脂塗膜に含まれる白色顔料及び/又は光輝顔料の添加量は、合計で1〜25質量%であって、且つ、
該樹脂塗装金属板の色調は、日本電色株式会社製色差計(SZS−Σ90)で測定したL値で44.0〜60.0を満足するところに特徴がある。
本発明における「黒色金属板」は、金属板の片面または両面が黒色に着色されたものであれば全て包含される。後記する通り、本発明は、黒色金属板における耐疵付き性等を改善する為に、当該黒色金属板における黒色側表面の一方または両方に、白色顔料及び/又は光輝顔料を含有する所定の樹脂塗膜を被覆したところに最大の特徴があるのであって、黒色金属板自体については、特に限定する趣旨はないからである。本発明に用いられる黒色金属板としては、例えば(I-1-i)金属板の少なくとも一方に黒色塗膜が被覆されているか、または(I-1-ii)金属板の少なくとも一方が黒色処理されている(黒色下地処理した金属板)ものが例示される。或いは、(I-1-iii)該黒色下地処理した金属板の少なくとも一方に黒色塗膜が被覆されたものを使用しても良い。
まず、「黒色塗膜が被覆された金属板」について説明する。
次に、「黒色下地処理した金属板」について説明する。
その他、本発明における「黒色金属板」には、前述した(I-1-ii)の「黒色下地処理した金属板」の少なくとも一方に、前述した(I-1-i)の黒色塗膜が被覆されたものも包含される。具体的には、金属板の一方が黒色下地処理されており、他方が黒色塗膜を有するもの;金属板の両方が黒色下地処理されており、そのうちの片面のみが更に黒色塗膜を有するもの;金属板の両方が黒色下地処理され、且つ、黒色塗膜を有するものの全てが本発明の範囲内に含まれるのであり、各詳細は、(I-1-i)及び(I-1-ii)に詳述した通りである。
次に本発明を最も特徴付ける樹脂塗膜について説明する。この樹脂塗膜は、前述した「片面または両面が黒色である黒色金属板」における黒色側表面の一方または両方に被覆されるものであり、当該樹脂塗膜は、白色顔料及び/又は光輝顔料を含有するものである。本発明では、これらの顔料を、本来の添加目的(意匠性付与)の為に被覆するのではなく、黒色金属板における耐疵付き性及び耐指紋性の改善という、従来とは全く異なる添加目的で被覆するものであり、その為に、上記樹脂塗膜の膜厚を0.5〜10μmに制御し、且つ、該樹脂塗膜に含まれる白色顔料及び/又は光輝顔料の添加量を合計で1〜25質量%に調節する樹脂塗装金属板全体の色調(L値)を44.0〜60.0に制御したところに最大の特徴がある。
まず、本発明に用いられる顔料のうち光輝顔料は、受けた光を反射して塗膜にメタリック感やパール感(光干渉性模様)等の意匠性を与えるものであり、例えばアルミニウム粉等の金属粉、ステンレス鋼フレーク等の金属フレーク、雲母(マイカ)、マイカシャスアイアンオキサイド(MIO、鱗片状酸化鉄)、ガラスフレーク、ブロンズ顔料等が挙げられる。各光輝顔料には、これらをコーティングしたものも包含されており、例えば樹脂コーティングアルミニウム粉、シリカコーティングアルミニウム粉、フッ素化合物コーティングアルミニウム粉、ハステロイドコーティングガラスフレークの他;雲母を主成分とし、その表面を各種金属酸化物(二酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ等)または各種着色顔料で被服したものも包含され、例えばパール雲母(酸化チタン被覆マイカ)等のパール顔料(例えばメルクジャパン製のIriodin103W II、Iriodin121WII、Iriodin111WII等)等の使用が推奨される。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
本発明では、上記樹脂塗膜の膜厚を0.5〜10μm、当該樹脂塗膜に含まれる白色顔料及び/又は光輝顔料の添加量を、合計で1〜25質量%とする。これらの範囲を外れたものは、所望の耐疵付き性及び耐指紋性が得られないことを、後記する実施例により確認している。
本発明の樹脂塗装金属板は、上述した構成からなるものであり、当該樹脂塗装金属板の色調は、日本電色株式会社製色差計(SZS−Σ90)で測定したL値が44.0〜60.0を満足するものである。ここでL値は、小さい程億色度が大きい(黒い)ことを意味している。
上記第二の塗装体は、前述した基本思想をベースとしてなされたものであり、前述した第一の塗装体において、上記黒色金属板は、金属板の表裏面に、放熱性を有する放熱塗膜が被覆されており、
(II-1)該放熱塗膜のうち少なくとも一方は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを含有する黒色塗膜が被覆されているか、または
(II-2)白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、該放熱塗膜のうち少なくとも一方は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを含有する黒色塗膜が被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり、
該塗装体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が、下式(1)を満足することにより、放熱性が高められたものである。
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
即ち、上記第二の塗装体では、当該塗装体を構成する樹脂塗膜及びL値については上記第一の塗装体と同じである(従って、その説明は省略する)が、黒色金属板に関し、金属板の表面及び裏面[第二の塗装体では、当該塗装体から見て外気側を「表面」、当該塗装体の内側を「裏面」と呼ぶ]に、任意の赤外線波長域(波長:4.5〜15.4μm)における積分放射率(以下、単に「赤外線積分放射率」若しくは「赤外線放射率」と略記する場合がある)に、放熱性を有する放熱塗膜が被覆された構成[具体的には前述の(II-1)または(II-2)]を採用することにより、優れた放熱性を確保したところに技術的意義がある。
式中、a及びbは、本発明の第二の塗装体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率において、表面の赤外線積分放射率(a)及び裏面の赤外線積分放射率(b)を夫々、意味する。赤外線積分放射率は後述する方法で測定され、表面若しくは裏面の赤外線積分放射率を夫々、別々に測定することができる。
光度計」及び放射測定ユニット「IRR−200」
測定波長範囲:4.5〜15.4μm
測定温度:試料の加熱温度を100℃に設定する
積算回数:200回
分解能 :16cm-1
上記装置を用い、赤外線波長域(4.5〜15.4μm)における試料の分光放射強度(実測値)を測定した。尚、上記試料の実測値は、バックグラウンドの放射強度及び装置関数が加算/付加された数値として測定される為、これらを補正する目的で、放射率測定プログラム[日本電子(株)製放射率測定プログラム]を用い、積分放射率を算出した。算出方法の詳細は以下の通りである。
ε(λ) :波長λにおける試料の分光放射率(%)
E(T) :温度T(℃)における試料の積分放射率(%)
M(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における試料の分光放射強度
(実測値)
A(λ) :装置関数
KFB(λ) :波長λにおける固定バックグラウンド(試料によって
変化しないバックグラウンド)の分光放射強度
KTB(λ,TTB):波長λ、温度TTB(℃)におけるトラップ黒体の
分光放射強度
KB(λ,T) :波長λ、温度T(℃)における黒体の分光放射強度
(ブランクの理論式からの計算値)
λ1,λ2 :積分する波長の範囲
を夫々、意味する。
M160℃(λ,160℃):
波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
M80℃(λ,80℃):
波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度(実測値)
K160℃(λ,160℃):
波長λにおける160℃の黒体炉の分光放射強度
(ブランクの理論式からの計算値)
K80℃(λ,80℃):
波長λにおける80℃の黒体炉の分光放射強度
(ブランクの理論式からの計算値)
を夫々、意味する。
式中、KB(λ,TTB)は、波長λ、温度TTB(℃)における黒体の
分光放射強度を意味する。
カーボンブラックは、優れた放熱性を有する黒色添加剤であり、本発明では所望の放熱特性を得る為に、放熱塗膜のうち少なくとも一方が、少なくともカーボンブラックを含有する黒色塗膜で構成されていることが推奨される。
この項では、特に樹脂塗膜中に、放熱性を有する光輝顔料(少なくとも酸化チタン、若しくは酸化チタンで被覆された顔料を含有する)を含有する場合における、黒色金属板の態様について説明する。前述した通り、樹脂塗膜中に、放熱性の高い酸化チタン系顔料を含有する場合は、当該樹脂塗膜自体によっても若干の放熱特性が確保されることから、黒色金属板の態様は、前述した(II-1)とは異なり、必ずしも放熱性に極めて優れたカーボンブラックを含む黒色塗膜とする必要はなく、他の黒色添加剤を含む黒色添加剤であっても良いし、或いは、黒色下地処理された金属板も使用することができる。代表的な黒色下地処理金属板であるZn−Niめっき鋼板の放射率は概ね0.5〜0.6であり、当該黒色下地処理金属板のみによって所望の放熱特性を得ることはできないが、樹脂塗膜中に、放熱性の高い酸化チタンやパール顔料が合計で約1〜25質量%含まれている場合には、最終的に得られる樹脂塗装金属板の放射率は、本発明で規定する放射率を満足し得、所望の放熱特性が得られることになる。
上記第三の塗装体は、前述した第一の塗装体において、金属板の表裏面に塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
(III-1)このうち表面の塗膜は、黒色添加剤として、少なくともカーボンブラックを含有しており、このうち少なくとも表面は、放熱性の黒色塗膜が被覆されているか、または
(III-2)白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、金属板の少なくとも表面は、放熱性の黒色塗膜が被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり、
該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が、下式(2)及び下式(3)を満足することにより、放熱性及び自己冷却性が高められたところに特徴がある。
(a−0.05)×(b−0.05)≧0.08… 式(3)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
即ち、上記第三の塗装体では、当該塗装体を構成する樹脂塗膜及L値については上記第一の塗装体と同じである(従って、その説明は省略する)が、黒色金属板に関し、金属板の表面及び裏面[第三の塗装体でも、当該塗装体から見て外気側を「表面」、当該塗装体の内側を「裏面」と呼ぶ]に、任意の赤外線波長域(波長:4.5〜15.4μm)における積分放射率(以下、単に「赤外線積分放射率」若しくは「赤外線放射率」と略記する場合がある)に、放熱性を有する放熱塗膜が被覆された構成[具体的には前述の(III-1)または(III-2)]を採用することにより、優れた放熱性及び自己冷却性を確保したところに技術的意義がある。この様な第三の塗装体は、塗装体自体の温度上昇が抑えられるので、当該塗装体を電子機器の筺体として使用したとき、電子機器稼動時に、取扱者が触れたとしても「熱くない」と感じる等、取扱者側から見て安全な電子機器を提供することができる。しかも上記塗装体は、良好な放熱性も兼ね備えているので、これらの両特性を兼ね備えた電子機器部材は、更なる用途の拡大をもたらす点で非常に有用である。
式中、a及びbの意味、並びに赤外線積分放射率の測定方法は、
前述した(II)に記載した通りである。
上式(3)は、第三の塗装体における放熱特性の指標を、表裏面の赤外線積分放射率の積によって特定したもので、左辺[(a−0.05)×(b−0.05)]の計算値R値が大きい程、放熱特性に優れていることを示す。
上記放熱塗膜は、黒色添加剤を含有する黒色塗膜であり、所定の放熱特性が得られる様、種々の放射率を有する黒色添加剤を添加することができる。従って、放射率の向上という観点からすれば、前述した(II-1)に記載の「黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを含有する黒色塗膜が被覆されているもの」をそのまま採用することができるが、これに限定されず、カーボンブラック以外の放熱性を有する黒色添加剤を添加しても良い。尚、黒色添加剤の種類、その含有量及び黒色塗膜の膜厚は、前述した(II-1)に記載した通りである。
この態様については、前述した(II-2)に記載した通りである。
本実施例では、本発明に係る第一の塗装体における耐疵付き性及び耐指紋性について評価した。具体的には以下に説明する通り、2種類の黒色金属板(表面のみ黒色塗膜を施したNo.1〜32/金属板の表裏面を黒色下地処理したNo.33)を作製し、その表面に、表1に示す種々の顔料を添加した塗料(ベース樹脂としてポリエステル樹脂を用い、架橋剤としてメラミン樹脂を使用)を塗布し、焼付け・乾燥してNo.1〜33の各供試材(120×150mm)を作製した。
電気亜鉛めっき鋼板(板厚0.6mm)を原板として、その表面に、表1に示す所定量のカーボンブラック(平均粒径25nm)を添加した塗料(ベース樹脂としてポリエステル樹脂を用い、架橋剤としてメラミン樹脂を使用)を塗布し、No.1〜32の黒色金属板(120×150mm)を作製した。
以下に示す処理条件にて、Zn−Ni合金めっき鋼板(めっき付着量20g/m2、Ni含有率約12%)を陽極電解処理し、表裏面を黒色処理してNo.33の黒色金属板(120×150mm)を作製した。
pH1.5、50℃
陽極電解処理条件:75A/dm2、150C/dm2
上記各供試材について、下記評価基準にて耐疵付き性、耐指紋性、及び導電性を評価した。
図3に、本実施例で行なった耐疵付き性試験の概略図を示す。まず、上記供試材を50×100mmにカットし、その表面(樹脂塗膜が施されている側)における耐疵付き性試験を調べる目的で、サンドペーパー(#2400、20×20mm)に500gのおもり(直径50mmの円柱)をかけた状態にて、供試材の長さ方向(100mm)にわたって合計50往復摺動した後、摺動部の外観変化(疵)を下記基準で目視評価した。本発明の第一の塗装体では、◎、●及び○の供試材を「本発明例」と評価している。
●:疵が目立ち難い
○:疵がやや目立つ
×:疵が目立つ
尚、上記の試験方法は、前述した特許文献1(クリヤー塗膜の形成により、耐疵付き性等を高めたもの)や先願(特願2002−217145)で実施した耐疵付き性試験に比べ、鋼板のエッジ等に発生した疵そのものも評価している点で、より過酷な条件下における耐疵付き性を評価したものである。
ワセリンを手に十分なじませてから各供試材に指紋を付け、指紋の目立ち易さを下記基準にて目視評価した。本発明の第一の塗装体では、◎、●及び○の供試材を「本発明例」と評価している。
●:指紋が僅かに目立つ
○:指紋が若干目立つ
×:指紋が目立つ
[導電性]
各供試材に三菱化学製2探針プローブ(MCP−TP01)を押し当て、15秒後の電気抵抗(Ω)を、三菱化学製「ロレスタEP」の導電性測定装置により測定する。この測定を合計10回行い、下記基準にて評価した。本実施例では、◎及び○の供試材を「導電性に優れる」と評価している。
○:10回中7〜8回が0.1mΩ以下と測定
△:10回中5〜6回が0.1mΩ以下と測定
×:10回中4回以下が0.1mΩ以下と測定
得られた結果を表1に併記する。
実施例1のNo.1〜29の塗装体において、その裏面に、実施例1と同様にして表2に示す黒色塗膜(全てNiを添加)を被覆して各種塗装体を作製した。このうちNo.29は、実施例1に記載の方法によって両面が黒色下地処理されているが、本実施例では更にその裏面に、表2に示す黒色塗膜を被覆している。
ΔT1は、金属板(黒色塗膜が被覆されていない/黒色下地処理されていない裸ままの原板)を用いた場合に比べ、本発明塗装体を用いた場合には、如何に電子機器の内部温度を低減できるかという指標を定めたものであり、本発明では、ΔT1を測定する装置として、特に、図4に示す独自の放熱性評価装置を用いた。図4の装置は、電子機器等の用途で想定される雰囲気温度(電子機器部材の種類等によって雰囲気温度は異なるが、概ね50〜70℃、最高で100℃程度)の放熱特性を評価し得る装置として極めて有用であり、これにより、電子機器用途を模擬した実用レベルでの放熱効果を正しく評価することが可能となる。
●:2.7≦ΔT1<3.5
○:1.5≦ΔT1<2.7
△:1.0≦ΔT1<1.5
×:ΔT<1.0
これらの結果を表2及び表3に示す。
実施例2中、表3のNo.1〜7の塗装体における自己冷却性(ΔT2)を以下の要領で測定した。
ΔT2(=T2B−T2A)は、金属板(塗膜が被覆されていない裸ままの原板)を用いた場合に比べ、本発明塗装体を用いた場合には、電子機器稼動時における塗装体自体の温度上昇を如何に抑えられるかという指標(自己冷却性)を定めたものであり、前述した図4に示す独自の放熱性評価装置を用いて算出した。
○:0.5≦ΔT2<1.5
×:ΔT2<0.5
尚、上記塗装体における表面及び裏面の放射率、並びにΔT1のデータは、前述した表3に示す通りであるが、本発明に係る第三の塗装体では、ΔT1が◎、●及び○の塗装体を、「当該塗装体における優れた放熱性を発揮するもの」として評価している。ちなみに前述した第二の塗装体では、ΔT1が◎及び●及の塗装体を、「当該塗装体における優れた放熱性を発揮するもの」と評価している。この様に放熱性(ΔT1)に関する評価基準が異なるのは、放熱性に関して言えば、第三の塗装体は第二の塗装体に比べると若干低い態様も包含しているからである。
2 断熱材
3 発熱体
4 防護部材(カバー)
5 測温装置
Claims (15)
- 片面または両面が黒色である黒色金属板における黒色側表面の一方または両方に、白色顔料及び/又は光輝顔料を含有する樹脂塗膜が被覆された樹脂塗装金属板であり、
該樹脂塗膜の膜厚は0.5〜10μmであり、且つ、該樹脂塗膜に含まれる白色顔料及び/又は光輝顔料の添加量は、合計で1〜25質量%であって、且つ、
該樹脂塗装金属板の色調は、日本電色株式会社製色差計(SZS−Σ90)で測定したL値で44.0〜60.0を満足することを特徴とする耐疵付き性及び耐指紋性に優れた樹脂塗装金属板。 - 前記白色顔料及び/又は光輝顔料は酸化物系顔料である請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記白色顔料及び/又は光輝顔料としては、酸化チタンを含有するものである請求項1または2に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記黒色金属板は、金属板の少なくとも一方に黒色塗膜が被覆されているか、または金属板の少なくとも一方が黒色処理されているものである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
- 前記黒色塗膜及び/又は樹脂塗膜は、更に導電性フィラーを含有するものである請求項4に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記導電性フィラーはNiである請求項5に記載の樹脂塗装金属板。
- 前記黒色塗膜及び樹脂塗膜の両方に導電性フィラーを含有する場合は、該黒色塗膜及び樹脂塗膜の膜厚は合計で13μm以下である請求項5または6に記載の樹脂塗装金属板。
- 電子機器部材の構成素材として用いられるものである請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂塗装金属板。
- 電子機器部材の筺体として用いられるものである請求項8に記載の樹脂塗装金属板。
- 更に放熱性に優れた請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板であって、
前記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し;表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に、放熱性を有する放熱塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
該放熱塗膜のうち少なくとも表面は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有する黒色塗膜が被覆されており、
該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が下式(1)を満足することにより、放熱性が高められたものである請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板。
a×b≧0.42 … 式(1)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率 - 更に放熱性に優れた請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板であって、
前記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に、放熱性を有する放熱塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
前記白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、該放熱塗膜のうち少なくとも一方は、黒色添加剤として少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有する黒色塗膜が被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり、
該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が下式(1)を満足することにより、放熱性が高められたものである請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板。
a×b≧0.42 … 式(1)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率 - 前記カーボンブラックの平均粒径は5〜100nmである請求項10または11に記載の樹脂塗装金属板。
- 更に、放熱性及び自己冷却性に優れた請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板であって、
前記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
このうち少なくとも表面の塗膜は、黒色添加剤として、少なくともカーボンブラックを1質量%以上含有しており、
該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が、下式(2)及び下式(3)を満足することにより、放熱性及び自己冷却性が高められたものである請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板。
b≦0.9(a−0.05) … 式(2)
(a−0.05)×(b−0.05)≧0.08… 式(3)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率 - 更に、放熱性及び自己冷却性に優れた請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板であって、
前記黒色金属板は、金属板の表裏面(ここで、裏面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板の内側を意味し、表面とは電子機器部材用樹脂塗装金属板から見て外気側を意味する)に塗膜が1μm超の厚さで被覆されたものであり、
前記白色顔料及び/又は光輝顔料として、放熱性を有する酸化チタンを含有する場合は、金属板の少なくとも表面は、放熱性の黒色塗膜で被覆されているか、または金属板を黒色処理したものであり、
該表面の放熱性黒色塗膜は、カーボンブラックを1質量%以上含有しており、
該樹脂塗装金属体を100℃に加熱したときの赤外線(波長:4.5〜15.4μm)の積分放射率が、下式(2)及び下式(3)を満足することにより、放熱性及び自己冷却性が高められたものである請求項8または9に記載の樹脂塗装金属板。
b≦0.9(a−0.05) … 式(2)
(a−0.05)×(b−0.05)≧0.08… 式(3)
a:表面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率
b:裏面の樹脂塗装金属板の赤外線積分放射率 - 閉じられた空間に発熱体を内蔵する電子機器部品であって、
該電子機器部品は、その外壁の全部または一部が請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂塗装金属板で構成されていることを特徴とする電子機器部品。
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