JP2006257456A - 環境対応型表面処理鋼板 - Google Patents

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雅充 松本
Naotaka Ueda
尚孝 植田
Katsu Takahashi
克 高橋
Yasuaki Kawamura
保明 河村
Tamotsu Toki
保 土岐
Seiji Bando
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Abstract

【課題】 従来のクロメート処理鋼板並みの耐食性を有しながら、電磁波シールド性に優れた表面処理鋼板を提供する。
【解決手段】 合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の少なくとも片面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備え、前記めっき皮膜はζ相を含むものであり、防錆処理皮膜の付着量を0.1μm以上3μm以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部で電磁波を発生する内部部品を使用する、あるいは、外部からの電磁波により影響を受けうる電子部品を使用する家電製品や電子機器の筐体、又はそれらの内部部品の筐体に好適な、電磁波シールド性、耐食性に優れた表面処理鋼板、及びこの鋼板を使用して構成された筐体に関するものである。
プラズマテレビ、パソコンなどデジタルICを使用したIT家電やOA機器など電子機器類が精密化し、一般に普及するに伴い、発振回路やスイッチング回路などの内部部品から発生する電磁波が漏洩し人体への影響が懸念されるようになってきた。とくに欧米においては、電子機器からの電磁波漏洩を一定以下に抑えることが求められている。また、外部から侵入する電磁波によって電子機器が誤動作を起こすことが知られており、誤動作およびそれによる事故を防止する観点から電子機器内部への電磁波の侵入を抑制することが求められる。
電磁波漏洩あるいは電磁波の侵入を抑制するため、電子機器および/またはその内部部品の筐体を金属製とすることで、電磁波をシールドすることが一般に知られている(以下、電子機器および/または内部部品の筐体を総称して、「電子機器筐体」とする。)。これには、筐体が連続な金属(導電体)であることが必要である。
しかしながら、実際の電子機器筐体は、金属板を成型加工して製造されることから、通常フランジなどの継目や接合部があり、その部分から電磁波の漏洩または侵入が生じやすい。実際の筐体では、このような継目にはガスケットとよばれる部材が用いられることにより、電磁波シールド性が確保されている。しかし、ガスケットの使用・不使用にかかわらず(好ましくはガスケットを使用しなくても)、このような接続部での導通性を向上させて電磁波シールド性を高めるためには、表面の電気抵抗値(以下「表面抵抗値」と呼ぶことがある)の低い金属板で筐体が構成されるのが好ましい。
従来、電子機器筐体には、クロメート処理をした亜鉛系めっき鋼板が広く用いられてきた。クロメート処理層自体は一般に非常に薄い皮膜であるため、皮膜組成等に依存する面はあるものの、クロメート処理鋼板の表面抵抗値は、概して低かった。しかし、近年、欧州のWEEE指令やRoHS指令(2006年7月施行)に代表されるように、6価クロム、鉛、カドミウムなどの環境負荷物質の使用が制限されている。そこで、6価クロムを含むクロメート処理に代わって、いわゆるクロムフリー処理と呼ばれる防錆処理を施されためっき鋼板が開発されている。ところが、クロムフリー処理は、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性を得ようとすると一般に処理膜厚が厚くなることもあって、表面抵抗値が高くなる傾向にあった。
表面の表面抵抗値を高めるためには、めっき表面に凹凸を設け、クロムフリー処理によって、局部的に被覆の薄い部分を作るという技術が考えられる。めっき表面に凹凸を設ける技術としては、めっき後に(電気めっき鋼板の場合は、通常めっき前の素地鋼板に対して)、ダル加工したロールで調質圧延をするという技術が代表的である。しかし、調質圧延によって表面抵抗値を改善しようとすると、表面粗度がかなり大きい圧延ロールを使用する必要があると考えられ、ロットを集約したり磨耗によるロール交換の頻度が増したり等、製造工程に負担がかかる。また例えば、電気亜鉛めっき鋼板において、素地鋼板を調質圧延してめっき表面に種々の表面粗さを付与した場合では、後述するような高いレベルでの電磁波シールド性が要求される用途において満足できる、低い表面抵抗値は必ずしも得られなかった。
特許文献1には、塗装鋼板の電磁波シールド性を高めるために、基材を溶融亜鉛めっき鋼板とし、筐体内面にあたる面に合計7μm以下の被膜を設けた塗装鋼板が開示されている。この技術では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板がもつ微細な凹凸が、表面抵抗値に影響していると推察されている。
また、電子機器の筐体に用いる金属板の少なくとも片面、好ましくは両面の熱放射率が高いほど、筐体内部で発生した熱を筐体外部に放散することができる。実用的には下記の数式1で規定される熱放射率が50%以上であるのが好ましい。
Figure 2006257456
この目的、すなわち熱放射率を高めるため、特許文献1、特許文献2、及び、特許文献3のように、筐体の内外面のいずれかにあたる面またはその両面に熱放射率の高い顔料を含有した比較的厚い塗膜層を備える塗装金属板が開示されている。そのため、従来クロメート品を用いていたような用途では、コストアップにつながる。
特開2004-243310号公報 特開2004-74412号公報 特開2004-256871号公報
特許文献1に開示されている技術は、実用的にも非常に有用な技術である。しかし、それでもなお電磁波シールド性の改善に対する要望はますます高まってきている。そこで、本発明は、従来のクロメート処理鋼板並みの耐食性を有しながら、表面抵抗値の低い表面処理鋼板を提供することを課題とする。加えて、特許文献1〜3のように熱放射性の高い放熱塗膜を設けなくても、適度に熱放射率が高い表面処理鋼板を提供することも課題とするものである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の少なくとも片面のめっき皮膜の上にはクロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、めっき皮膜はζ相を含むものであり、防錆処理皮膜の膜厚が0.1〜3μmであることを特徴とする表面処理鋼板により前記課題を解決しようとするものである。
ここに「6価クロムを含まない」とは、いわゆる「クロムフリー」を意味するものであり、不可避的な不純物として存在する微量の6価クロムまで含まないとする趣旨ではない。また、必要に応じ3価クロムを含んでいてもよい(以下同様である。)。
また、「防錆処理皮膜の膜厚」は、皮膜中に存在するその皮膜を代表する元素の量(例えば、Siなど)を蛍光X線装置により測定し、その皮膜の密度で除することにより求める(以下同様である。)。
請求項2に記載の発明は、合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の両面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、めっき皮膜はζ相を含むものであり、防錆処理皮膜の膜厚が0.1〜3μmであることを特徴とする表面処理鋼板により前記課題を解決しようとするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表面処理鋼板において、めっき皮膜のFe含有量が4〜11質量%であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の両面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、両面の表面抵抗値がいずれも5Ω以下であり、かつ、両面の熱放射率がいずれも50%以上であることを特徴とする表面処理鋼板により前記課題を解決しようとするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理鋼板を用いて成型加工されたことを特徴とする電子機器筐体である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子機器筐体において、導電性を確保するためのガスケットが使用されていないことを特徴とする。
本発明の表面処理鋼板によれば、6価クロムを使用することなく従来のクロメート品に劣らない低い表面抵抗値および良好な耐食性を備える。また比較的高い熱放射率をも備える。そのため、この表面処理鋼板を用いた電子機器用筐体は、電磁波シールド性、耐食性に優れ、また放熱性も良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面処理鋼板は、基材を合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板とするものである。鋼の組成や組織は特に限定されないが、筐体を使用する際には折り曲げ加工やプレス加工がなされるので、このような加工に耐えうる機械的性質を持つことが好ましい。具体的には、SPCC〜SPCE相当の材質が好ましいと考えられる。また絞り比の大きいプレス加工等厳しい成形加工を受ける用途の場合は、極低炭IF鋼等をとするのが好ましいと考えられる。
本発明では、前述した鋼板の上に、ζ層が存在する程度に合金化処理された溶融亜鉛めっき皮膜を備える。図1は、本発明の表面処理鋼板に使用し得るめっき鋼板の表面のSEM写真の一例である。表面にはζ相の柱状晶が観察され、これによって非常に微細な凹凸が形成されている。このような微細な凹凸が形成されていることによって、防錆処理後の表面抵抗値向上に寄与しているものと考えられる。
具体的には、次のように考えられる。すなわち、図2に示すように、平滑な表面20に後述の防錆処理を施す場合、面内で均一に処理することは難しく、処理ムラ21が生じやすい。このような処理ムラ21があると、凸部となる付着量の厚い部分22、22での表面抵抗値が高く、このような表面処理鋼板が用いられた筐体は、電磁波シールド性に劣ると考えられる。さらに、より実用的な問題として、このような処理ムラは目視でもムラとして認められやすく、性能以前に外観の問題で客先から不芳の評価を受けやすい。このようなムラは、付着量が薄くなるほど認められやすく、そのため付着量を多くしてムラを目立たなくしようとすれば、表面抵抗値が高くなる。
一方、図1に示されるような、微細な凹凸を備える表面30に防錆処理を施す方が、面内でのレベリングが進行しやすい(図3参照)。そのため付着量が比較的小さくても目視で認められるような外観ムラが生じにくい。また平均的な付着量が比較的大きくても、凸部分31、31、…での防錆処理の付着量は処理面の平均的な付着量よりもかなり小さいと思われる。このような凸部分31が面内で多数あることにより、表面抵抗値が下がると考えられる。
めっきの合金化反応がさらに進行すると、めっき皮膜中にζ相が検出されなくなり、δ1相及び/又はΓ相主体の皮膜となる。このような皮膜を備える表面処理鋼板は、加工時にパウダリングが生じやすくなる。
めっき皮膜の組織は、大まかにはめっき皮膜中のFe含有量と相関があり(素地鋼板の材質や合金化処理条件によっても異なるが)、概ね4質量%以上11質量%以下であればζ相の存在するめっき皮膜となる。したがって、目安としてはめっき皮膜中のFe含有量が4%以上であるのが好ましく、好ましくは6%以上である。また、めっき皮膜中のFe含有量が高すぎると、加工時にパウダリング性が生じやすくなるため、好ましくは10%以下さらに好ましくは8%以下とする。また、熱放射率の面からは、めっき皮膜中のFe含有量が高いほうが好ましい。熱放射率50%を得る上では、めっき皮膜中のFe含有量は4%以上、好ましくは6%以上であるのが好ましい。
前述した組織、組成のめっき皮膜を備えるめっき鋼板を得るには、通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に基づいて、合金化処理条件を変更すればよい。合金化処理条件の目安としては、例えば、素地鋼板がSPCC相当の低炭素鋼板であってめっき付着量が45g/m程度のものを熱輻射で加熱する場合、460〜490℃程度で10〜30秒間である。
このようなめっき鋼板は、合金化処理後(通常、後続の防錆処理を施す前)に、機械的特性の調整や形状修正等を目的として、調質圧延や、レベラーによる平坦修正が施される場合がある。特に調質圧延においては、表面の粗さが大きく変化しうる。前述した合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板の表面の微細凹凸は、通常の調質圧延(伸び率で約1.5%以下)で潰しきれるものではないため、調質圧延の条件は必ずしも限定されない。好ましくは、凹凸を持たせ、かつ上述の微細な凹凸部分が残るように、ダルマット仕上げとするのがよい。また、熱放射率の点では、Raが大きいほど熱放射率が高くなる傾向にある。図4はFe含有量が約9%の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の調質圧延後の表面粗さと防錆処理後の熱放射率との関係を示したものである。熱放射率の点からは、調質圧延後の粗さで0.8μm以上好ましくは1μm以上とするのがよい。
本発明の表面処理鋼板は、少なくとも片面のめっき皮膜の上に6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える。このような防錆処理としては種々の処理があるが、例えば、日本ペイント製EC−2000の様なシリカ質を主成分とする処理や、日本パーカライジング製CT−E300の様な樹脂とシリカ質等の無機成分とを組み合わせたいわゆる有機無機複合処理が挙げられる。また3価クロムを含む処理としては日本ペイント製NRC1000等が挙げられる。これらの処理による防錆処理皮膜は、導電性に乏しいため、付着量を大きくすると表面抵抗値が上昇する。上述したように、基材に合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を用いることで表面抵抗値は低くなるが、それでもなお、耐食性との関係から付着量を適正化することが必要である。電磁波シールド性からみると、表面抵抗値は後述の実施例に示す方法での測定値が5Ω以下であるのが好ましく、これを達成するための付着量を得るための膜厚としては3μm以下が目安となる。好ましくは1μm以下とするのがよい。一方、付着量が薄すぎると耐食性が劣化するので、0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上とするのがよい。なお、本発明にいう防錆処理の付着量や膜厚は処理面での平均的な付着量や膜厚をいうものであって、めっき面には前述したように微細な凹凸および調質圧延で付与された凹凸があるので、局部的に見れば付着量や膜厚の大小は存在する。
さらに本発明における好ましい表面処理鋼板は、当該処理面の熱放射率が50%以上と比較的良好であるので、筐体内部で発生した熱を効率的に外部に放出することができる。
本発明の表面処理鋼板は、好ましくは合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板の両面に、前述の防錆処理皮膜を設ける。これにより両面の表面抵抗値が低くなり、かつ耐食性が良好となる。たとえば、特許文献1の鋼板では、表面抵抗値の低い面が片面であるため、前述した継目や接合部での導通を確保するには、表面抵抗値の低い面同士を接触させるような筐体構造とする必要がある。これに対し、両面とも表面抵抗値が低い場合は、継目や接合部での導通を確保する際に鋼板の面を区別する必要がなく、筐体構造設計の自由度が増す。さらに、必要に応じてスポット溶接等の抵抗溶接による接合が可能になるというメリットもある。
防錆処理層中に、熱放射率を高める目的で、熱放射性の高い顔料を含有させることもできる。この顔料としては、カーボンブラック、チタニアなどが例示され、これらは熱放射率が60%以上である。墨汁や黒色染料を含有させることもできる。また、導電性を向上させる目的で、金属粉等を含有させることもできる。ただし、これらを含有すること自体コストアップにつながるほか、耐食性を劣化させる恐れがある。それに対応するために付着量をアップさせることになるのであれば、コストアップにつながるほか、表面抵抗値の点でも不利である。したがって、これらの顔料を適量含有することも本発明の範囲に含まれるが、その場合は、含有量を必要最小限にとどめるのが好ましい。
以下、実施例について説明する。
めっき付着量が片面あたり45g/mの溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.5mm)を460〜490℃で保持する合金化処理を行って、これを基材とした。また、比較のため、合金化処理を施さない溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板(片面あたり20g/m)および溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板(片面あたり75g/m)も基材とした。
合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とする場合、前述の合金化処理における保持時間を変化させることにより、合金化度およびζ相の有無を変化させた。ζ相の有無はX線回折装置を用いて調査した。使用したX線回折装置は、理学電気製RU−200であり、線源にはCo−Kαを用いて、管球電圧30KV、管球電流100mA、照射時間30分、速度2deg/minの条件下で測定を行った。ζ相については、ζ(021)面のピーク回折強度を測定した。この強度が20cps以下であるときζ相なし、20cps以上のときζ相ありと判断した。
防錆処理として、市販のクロムフリー処理剤である日本パーカライジング社製のCT−E300を用いた。この処理液をバーコーティングにより塗布し、80℃で乾燥させた。なお膜厚は、皮膜中のSi量を蛍光X線装置を用いて測定し、皮膜比重で除することにより膜厚(μm)として表した。なお、CT−E300で処理する場合、より高温(150℃〜180℃程度)で乾燥する方が耐食性が良好であるが、通常の溶融亜鉛めっき鋼板製造ラインでは、ドライヤー程度の簡単な乾燥しかできない製造ラインも多いため、80℃での性能を調査した。
また、日本ペイント製クロメート処理剤NCR300を用いた。塗布方法および膜厚測定は上述と同様(ただし蛍光X線での検出元素はCr)である。
図5に示す装置を用いて表面抵抗値を測定した。金属メッシュを絶縁材に巻きつけたガスケット13(フォーム化成(株)製EGU−0505)を介して、その上下にサンプル14A、14B(それぞれ100mm角)をガスケット13、13に対して処理面が接触するように設置した。なお、外部からの荷重はかけなかった。各サンプル14A、14Bの端面にリード線11をハンダ着け15により接続して、100mAの電流を通電した時の電圧を測定して表面抵抗値を算出した。
耐食性は、[塩水噴霧(JIS Z2371に準拠)8時間+放置16時間]を1サイクルとする耐食性試験により評価した。試験72時間後(3サイクル後)におけるサンプルの外観変化(シミの有無、白錆発生有無、赤錆発生有無)で、変化面積≦5%を良好と判断することとした。実際には、良好なものは72時間後もほとんど変化せず(一部サンプルでごく微小な点状の白錆が発生したものがあったが、これは良好と判断した)、逆に不芳なものはサンプルの評価面のほぼ全面にわたって白錆が発生した。
熱放射率は、次のようにして求めた。BIORAD社製の赤外吸収スペクトル測定装置を使用して、2.5μmから25μmの波長領域の分光反射スペクトル(R(λ))を測定した。この分光反射スペクトル(R(λ))を数式1に代入し、積分の下限を2.5として、熱放射率を求めた。
結果を表1に示す。
Figure 2006257456
ζ相の存在する溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、防錆処理皮膜が0.1〜3μmのもの(No.5、6、8〜15)は、従来の溶融亜鉛めっき鋼板のクロメート処理品と比較して、同等程度の表面抵抗値および耐食性であり、また圧倒的に高い熱放射率を備えていた。
これに対し、ζ相を備えない場合、Fe%が低いもの(No.4)は表面抵抗値が高かった。Fe%が高いもの(No.16)は表面抵抗値耐食性がともに良好であるものの、絞り加工時の耐パウダリング性に劣った(表1には示していない)。
また、合金化処理を施さなかった溶融亜鉛めっき鋼板(No.3)、電気亜鉛めっき鋼板(No.17)、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板(No.19)を基材としたものは、合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板と同様の0.3μm程度のクロムフリー処理を施しても、表面抵抗値が高かった。
本発明の表面処理鋼板に使用する合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板の表面SEM像の一例である。 比較例の表面処理鋼板の断面構造を模式的に示したものである。 本発明の表面処理鋼板の断面構造を模式的に示したものである。 めっき皮膜中のFe含有量と熱放射率との関係を示したものである。 表面抵抗値を測定する装置を示したものである。
符号の説明
11 リード線
13 ガスケット
14A、14B サンプル
15 ハンダ着け
20 平滑な表面
21 処理ムラ
22 付着量の厚い部分
30 表面
31 凸部分

Claims (6)

  1. 合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の少なくとも片面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、前記めっき皮膜はζ相を含むものであり、防錆処理皮膜の膜厚が0.1〜3μmであることを特徴とする表面処理鋼板。
  2. 合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の両面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、前記めっき皮膜はζ相を含むものであり、防錆処理皮膜の膜厚が0.1〜3μmであることを特徴とする表面処理鋼板。
  3. 前記めっき皮膜のFe含有量が4〜11質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理鋼板.
  4. 合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板を基材とし、該めっき鋼板の両面のめっき皮膜の上には6価クロムを含まない防錆処理皮膜を備える表面処理鋼板であって、両面の表面抵抗値がいずれも5Ω以下であり、かつ、両面の熱放射率がいずれも50%以上である表面処理鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理鋼板を用いて成型加工されたことを特徴とする電子機器筐体。
  6. 導電性を確保するためのガスケットが使用されていないことを特徴とする請求項5に記載の電子機器筐体。
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JP2010053428A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Jfe Steel Corp 表面処理鋼板および電子機器筐体

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