JP5703815B2 - 表面処理鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体 - Google Patents

表面処理鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体に関し、特に、クロメートフリーの化成処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板の耐食性を維持しつつ、電磁波シールド特性を向上させる技術に関するものである。
家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板が用いられてきた。亜鉛系めっき鋼板は、このまま用いると白錆が発生してしまうため、耐白錆性の付与を目的として、化成処理皮膜でめっき表面を被覆して用いられる。かつては、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理を施して、耐食性を得ていた。
クロメート処理は公害規制物質である6価クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還元・回収されて自然界に放出されておらず、また、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート皮膜中からクロム溶出もほぼゼロにできるため、実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染されることはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、6価クロム自体の使用を自主的に削減し、製品中にできるだけ6価クロムを含ませないようにする傾向にある。
このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の白錆の発生を防止するためにクロメート処理によらない処理技術、所謂クロメートフリー技術が数多く提案されており、例えば、無機化合物、有機化合物、有機高分子材料、あるいはこれらを組み合わせた組成物を用いて亜鉛系めっき鋼板に表面処理皮膜を形成させる技術がある。
しかし、クロメートフリー技術は、めっき表面に樹脂系の皮膜を形成するものであるから、クロメート処理と同等の耐食性を発現させるためには、皮膜厚みをクロメート皮膜に比べて厚くせざるを得ない。膜厚を厚くすると、その分だけ導電性すなわち電磁波シールド性が劣るという問題があった。
電気・電子機器においては、機器から漏洩した不要電磁波が他の機器に入り込み、何らかの機能障害や誤動作を引き起こす電磁波障害(EMI:Electromagnetic Interference)が問題となっている。これを防ぐためには、電磁波シールドが必要である。
電磁波シールドの一手法として、電磁波発生源を金属板などの導体で取り囲む方法がある。電磁波発生源を取り囲む筐体にクロメートフリー亜鉛系めっき鋼板を用いるためには、該鋼板の電磁波シールド性を向上させることが求められる。特に、筐体の継ぎ目部分もしくは接合部分では、その隙間から電磁波が漏洩してしまう。そのため、この隙間からの電磁波の漏洩を有効に防ぐことが必要である。そのためには、継ぎ目もしくは接合部で対向している2枚の鋼板のそれぞれの表面の凹凸のうち、接触して導通部を形成可能な凸部を、対向面の全面にわたって短い間隔で多数形成させることが必要となる。
このような観点から、亜鉛系めっき鋼板の表面凹凸を制御して、導電性すなわち電磁波シールド性を向上させる技術が開発されている。特許文献1には、クロムを含有しない有機および/または無機系皮膜を形成させた表面処理鋼板について、皮膜形成後の表面の中心線平均粗さRaと皮膜平均厚さを適正な範囲で組み合せることにより、鋼板表面の凸部の導通確率を向上させる技術が記載されている。また、特許文献2には、表面処理鋼板のめっき後の表面の算術平均粗さRaと1インチあたりの山数PPIを適正な範囲で組み合せることにより、鋼板表面の凸部の導通確率を更に向上させる技術が記載されている。
特開2004−156081号公報 特開2006−278653号公報
しかしながら、特許文献1では、鋼板表面の凹凸、つまり1インチあたりの山数PPIについて考慮されていない。PPIが少ない場合には、やはり継ぎ目もしくは接合部において、導通領域となり得る表面凸部の数が必然的に少なくなる結果、接触導通領域の間隔が長くなり、十分な電磁波シールド性が得られない。
一方、特許文献2では、めっき後の表面についてRaのみならずPPIについても考慮した結果、比較的良好な電磁波シールド性を得ている。しかし、筐体を作製する場合に対向する鋼板同士の接触荷重はメーカーによる組み立て方法により大きく異なると予想され、この技術では、低荷重で導通領域が形成されにくく、低荷重での電磁波シールド性が不十分となる場合があることが分かった。
本発明は、上記現状を鑑みなされたものであり、鋼板表面の耐食性を維持しつつ、電磁波シールド性をより向上させることが可能な、クロメートフリーの化成処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板を提供することを目的とする。
めっき後の表面凹凸について、RaおよびPPIを適正範囲にしつつ、さらに低荷重での電磁波シールド性を高めるために、本発明者らが鋭意検討したところ、表面凹凸の形状が重要な意味を持つとの知見を得た。すなわち、RaおよびPPIを適正範囲に設定した亜鉛系めっき鋼板について、凹凸形状を適正化することで、低荷重での凸部の接触導通確率を高めることができ、より低荷重での電磁波シールド性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨構成は以下の通りである。
(1)亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面に化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板であって、
前記亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面が、Ra≧0.7μmであり、PPI≧170であり、Rsk≧−0.5、かつ、基準長さにわたって得られる粗さ曲線の高さZ(x)の確率密度関数のピーク数が一つの条件を満たし、
前記化成処理皮膜の片面当たりの付着量が、0.10〜1.0g/m2であることを特徴とする表面処理鋼板。
ここで、Ra:JIS B 0601−1994に準拠した算術平均粗さ
PPI:JIS B 0601−1994に準拠した粗さ曲線から求められるSAEJ911に準拠した25.4mm(1inch)あたりの山数(peaks per inch)
Rsk:JIS B 0601−2001に準拠したスキューネス
である。
こで、本明細書において「確率密度関数」とは、評価長さにわたって得られる高さZ(x)の確率密度関数である。
(2)上記(1)に記載の表面処理鋼板を、部材の全体または一部に使用したことを特徴とする電磁波シールド部材。
(3)上記(1)に記載の表面処理鋼板を使用して筐体を形成したことを特徴とする電磁波シールド筐体。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板のめっき後の表面凹凸について、RaおよびPPIに加えて、粗さ曲線のスキューネスRskを−0.5以上として凹凸形状をよりシャープにしたことにより、耐食性を維持しつつ、低荷重での接触導通確率をより高め、低荷重での電磁波シールド性をより向上させることが可能な、クロメートフリーの化成処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板を提供することが可能となった。
PPIの求め方を説明するための模式図である。 粗さ曲線の形状と確率密度関数およびRskとの関係を概略的に示す模式図であり、(a)がRsk>0の場合、(b)がRsk<0の場合である。 実施例における代表的な発明例と比較例について、確率密度関数を示した図である。(a)は供試材No.28、(b)は供試材No.32、(c)は供試材No.31、(d)は供試材No.29、(e)は供試材No.33、(f)は供試材No.30の確率密度関数を示す。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
<処理原板>
本発明において、表面処理鋼板のベースとなる鋼板(処理原板)は、任意の亜鉛系めっき鋼板である。素地鋼板の鋼種はとくに限定されるものではなく、低炭素鋼、極低炭素鋼、IF鋼、各種合金元素を添加した高張力鋼板等の種々の鋼板を用いることができる。また、母材鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれも用いることができる。
本発明における亜鉛系めっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板(純亜鉛をめっきした鋼板)だけでなく、合金化亜鉛めっき鋼板および亜鉛合金めっき鋼板等を含む。これらは、電気めっき法や溶融めっき法により、鋼板表面にめっき層を形成することができる。
合金化亜鉛めっき鋼板は、鋼板を、Sn,Fe,Al等の不可避的不純物を含有する純亜鉛溶融めっき浴に浸漬し、引き上げて鋼板表面にめっき層を形成し、その後、加熱・合金化処理を行うことによって製造することができる。
また、亜鉛合金めっき鋼板の代表的なものとしては、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板や亜鉛−鉄合金めっき鋼板が挙げられる。これらの亜鉛合金めっき鋼板は、電気めっき法や溶融めっき法によって、それぞれ公知の合金組成のめっき層を形成することができる。
亜鉛めっき鋼板は比較的製造が容易かつコストが低いため、需要が高まる傾向がある。亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げて鋼板表面に亜鉛めっき層を形成し、加熱・合金化処理を行わずに冷却する溶融めっき法で製造することもできるし、電気めっき法で鋼板表面に亜鉛めっき層を形成し、製造することもできる。
かような亜鉛系めっき鋼板において、めっき層の付着量は片面あたり3〜200g/mとすることが好ましい。めっき付着量が3g/m以上であれば、耐食性が十分であり、一方めっき付着量が200g/m以下であれば、余分なめっきを付着させることがなく経済的であり、プレス成形性や溶接性を悪化させることもないからである。
亜鉛系めっき鋼板の場合、めっき層中にはSnやFe,Al等の不可避的不純物を含有するのが一般的であるが、かような不可避的不純物の含有量は耐食性を向上させる観点から1質量%以下とすることが好ましい。
<化成処理皮膜>
本発明において、亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面にはクロムを含有しない化成処理皮膜を形成する。この化成処理皮膜は、亜鉛系めっき層の耐食性をさらに向上させるものであれば特に限定されず、有機系、無機系あるいは有機系、無機系の双方を複合させた系のいずれでもよい。例えば、Al,Mg,Mn、ウレタン系樹脂および酸を含有する処理液を塗布・乾燥した皮膜、あるいは、第一リン酸、コロイダルシリカおよびMnを含有する処理液を塗布・乾燥した後、エポキシ系樹脂を含有する有機樹脂溶液を塗布・乾燥した皮膜などが挙げられる。
化成処理皮膜の付着量は、片面当たり0.10〜1.0g/mであるものとする。付着量が0.10g/m未満では、十分な耐食性を得ることができず、1.0g/mを超えると、後述するような表面凹凸を実現した場合においても、表面の凸部における膜厚を十分に薄くすることができず、低荷重での接触導通確率が低下し、低荷重での電磁波シールド性が低下するためである。
化成皮膜の形成方法は、公知の方法で表面処理剤を塗布し、好ましくは水洗することなく、加熱乾燥を行う。表面処理剤をめっき鋼板に塗布する方法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式等)スクイズコーター、ダイコーター、バーコーターなど、いずれの方法でもよい。また、スクイズコーター等による塗布処理、あるいは浸漬処理、スプレー処理の後にエアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調節、表面外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。加熱乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。
<亜鉛系めっき鋼板の表面粗さ特性>
本発明では、亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面が、Ra≧0.7μmであり、PPI≧170であり、かつ、Rsk≧−0.5の条件を満たすようにすることで、低荷重での接触導通確率を向上させることができ、その結果、低荷重での接触導通確率が高まり、電磁波シールド性を向上させることができる。
Raは、以下の式で表される算術平均粗さであり、JIS B0601−1994に準拠して求めた。ここで、Z(x)は、三次元表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製、触針先端半径R:2μm)を用いて測定した断面曲線からカットオフ値0.8mmのフィルタによって、長波長成分を遮断して得た粗さ曲線である。また、Lは基準長さを表す。
Figure 0005703815
PPIは、JIS B 0601−1994に準拠した粗さ曲線から、SAEJ911に準拠して求めた。三次元表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製、触針先端半径R:2μm)を用いて測定した断面曲線からカットオフ値0.8mmのフィルタによって、長波長成分を遮断して得た粗さ曲線の一例を図1に示す。図1において、粗さ曲線の平均線から正負、両方向に一定の基準レベルHを設け、負の基準レベルを超えたあと、正の基準レベルを超えたとき、1カウントとする。このカウントを評価長さLnに達するまで繰り返し、数えた個数で表示したものをPPIと定義する。ここで、Lnは1inch(=25.4mm)、2H(ピークカウントレベル:正負の基準レベル間の幅)=50μinch(=1.27μm)とする。
Rskは、JIS B 0601−2001に準拠したスキューネスである。すなわち、まず、粗さ曲線の二乗平均平方根高さRqを以下の通りに求める。
Figure 0005703815
ここで、Lは基準長さ、Z(x)は粗さ曲線である。
このときRskは、Rqの3乗によって無次元化した基準長さにおける粗さ曲線Z(x)の3乗平均であり、以下の通りに求める。
Figure 0005703815
本発明においては、Raが0.7μm以上となるような比較的小さな凸部であって、Rskが−0.5以上となるような鋭利な凸部を、PPIが170以上となるように多数形成することを意味している。凸部が鋭利な形状になることで、鋼板表面との反応性が低ければもちろん、たとえ反応性が高い表面処理剤で化成皮膜を形成したとしても、凸部の化成皮膜を薄膜化することができ、低荷重での接触導通確率を向上させ、電磁波シールド性を向上させることができる。
Raが0.7μm未満では、化成処理皮膜の局部的な薄膜領域が形成され難く、電磁波シールド性を高めることができないので、本発明ではRa≧0.7μmとする。また、Raは2.0μm以下であることが好ましい。2.0μmを超えると、電磁波シールド性には優れるものの、鋼板表面を100%被覆することで耐食性を向上させるという観点からは皮膜の付着量を増加させなければならず、コスト的に不利となるからである。この観点からより好ましい範囲は、0.7〜1.8μmである。
PPIが170未満では、導通部となり得る凸部の数が少ないため、導電性を確保することができず、電磁波シールド性を向上させることができないので、本発明では、PPI≧170とする。PPI値の上限は特に限定されることはないが、PPIが300を上回ると局部的な薄膜領域が多数形成される結果、耐食性の低下が懸念される。このため、PPIは300以下とすることが好ましい。
Rskは、平均線に対する粗さ曲線の非対象性を表すパラメータで、粗さ曲線分布の偏り度(高さ方向の確率密度関数の非対称性の尺度)を表す。Rsk=0のとき、粗さ曲線分布が平均線に対して対称で、Rsk<0のとき(図2(b))、粗さ曲線分布が平均線に対して上側に偏っており、凸部がフラットとなる傾向になる。Rsk>0のとき(図2(a))、粗さ曲線分布が平均線に対して下側に偏っていることを意味し、凸部が鋭利:シャープな形状となる傾向になる。
本発明では、Rsk≧−0.5とすることで、鋭利な形状の凸部を形成して、低荷重での接触導通確率を高め、電磁波シールド性を向上させる。本発明者らの検討によれば、粗さ曲線の確率密度関数のピーク数にも多少影響することが判明した。図2に示したように、確率密度関数のピークが1つの場合には、Rsk≧−0.5とすることで低荷重での接触導通確率を高め、電磁波シールド性を十分に高めることができた。一方で、確率密度関数のピークが2つ以上となる場合には、同じRsk値で比較した場合、ピークが1つの場合よりも接触導通確率が多少低下することが判明した。したがって、確率密度関数のピーク数が1つかつRsk≧−0.5の条件を満たすことが、より低荷重で接触導通確率を高め、電磁波シールド性を向上させることができるので好ましい。
<電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体>
次に、表面処理鋼板を使用した電磁波シールド部材、および表面処理鋼板を使用して形成した電磁波シールド筐体について説明する。表面処理鋼板を用いた筐体で電磁波シールド性が特に問題になるのは、表面処理鋼板の重ね合わせ部である。従って、少なくともこの重ね合わせ部において本発明の表面処理鋼板を適用すれば、優れた電磁波シールド性が得られる。これが、部材の全体または一部に本発明の表面処理鋼板を使用した電磁波シールド部材である。また、重ね合わせ部だけでなく、筐体の全体を本発明の表面処理鋼板で構成すれば、とりわけ優れた電磁波シールド性を得ることができる。これが、筐体全体を本発明の表面処理鋼板で形成した電磁波シールド筐体である。
<表面粗さ特性の制御方法>
本発明の亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面粗さ特性を制御する方法としては、原板として用いる素地鋼板の表面粗さを調整する方法、および、亜鉛系めっき後の鋼板の表面粗さを調整する方法が使用できる。原板の表面粗さを調整する方法としては、原板のタンデム圧延又は調質圧延(スキンパス)のロールをブラスト加工法、放電加工法、レーザー加工法、エッチング法その他の表面加工法でダル加工を施したロールとしてタンデム圧延又は調質圧延する方法などが使用できる。また、原板を直接ブラスト加工法で加工する方法も使用できる。亜鉛系めっき後の表面粗さを調整する方法としては、調質圧延(スキンパス)のロールをブラスト加工する方法、放電加工法、レーザー加工法、エッチング法その他の表面加工法でダル加工を施し、粗度を調整したロールとして調質圧延する方法などが使用できる。また、めっき後の表面を直接ブラスト加工法で加工する方法も使用できる。
本発明の亜鉛系めっき層を電気めっき法で製造する場合には、鋼板表面にめっき層が鋼板表面の凹凸にほぼ沿うようにして形成される。このため、亜鉛系めっき鋼板の表面粗さ調整は、めっき層を形成する前の素地鋼板に対して調質圧延(スキンパス)などを施し、粗度を制御する方法で行うことができる。
一方、本発明の亜鉛系めっき層を溶融めっき法で製造する場合には、鋼板を溶融めっき浴に浸漬して形成するため、めっき前の素地鋼板の凹部はめっき金属により塞がれてしまい易い。従って、めっき後の表面粗さはめっき前の表面粗さに追随しない。そこで、溶融めっき法でめっき層を形成する場合には、上述したとおり、めっき後に粗度を調整した調質圧延ロールを用いて調質圧延を行うのが好ましい。
ここで、本発明の表面粗さ特性を得るためには、電気めっき法の場合には、めっき前の素地鋼板の表面粗さを、溶融めっき法の場合には、めっき後の表面粗さを、調質圧延(スキンパス)でのワークロールの表面粗さ、伸び率、圧延油などの調質圧延条件によって適宜調整すればよいが、以下に2つの方法を具体的に説明する。
1つ目は、調質圧延を2回繰り返す方法である。具体的には、Ra=2.0μm,PPI=280に放電加工法で調整したロールで伸び率=1%程度で2回調質圧延する。
2つ目は、調質圧延は1回だが、通常よりも調質圧延時の伸び率を高めに設定する方法である。具体的には、2%程度で調質圧延する。
この場合、調質圧延ロールの粗度パターンは調質圧延しても100%そのまま鋼板に転写されず、Ra値はロール表面の値の40〜50%前後程度の値として鋼板側に転写され、PPI値はロール表面の値の80%前後程度の値として鋼板側に転写される。よって、目的とするめっき表面の粗さに対して、ロール表面の粗さは上記の割合分だけ高いRa,PPIとすることが好ましい。
表1に示す種々の供試材を、
1.焼鈍した冷延鋼板→調質圧延(表面粗度調整、複数回行ってもよい)→亜鉛系電気めっき→化成処理皮膜形成
2.焼鈍した冷延鋼板→溶融亜鉛系めっき→調質圧延(表面粗度調整、複数回行ってもよい)→化成処理皮膜形成
のいずれかの工程に従い、亜鉛系めっき層のRa,PPI,Rskおよび化成処理皮膜の付着量を表1に示すように種々に変化させた表面処理鋼板を製造した。なお、化成処理皮膜は、第一リン酸、コロイダルシリカおよびMnを含有する処理液をロールコーターにて塗布し、3秒で到達鋼板温度が140℃となるように加熱乾燥した後、エポキシ系樹脂を含有する有機樹脂溶液をロールコーターにて塗布し、3秒で到達鋼板温度が140℃となるように加熱乾燥することで形成した。
かくして得られた各供試材の平面部耐食性および低荷重での電磁波シールド性について調べた結果を、表1に併記する。各特性の評価方法は次のとおりである。
<表面粗さ特性>
亜鉛系めっき後の供試材について、触針の先端半径:2μmの触針式粗度計(東京精密(株)製)を用い、走査速度:0.5mm/sにて、表面の凹凸形状を測定した。そして、すでに説明した方法にて、Ra,PPI,Rskを算出した。また、図3には実施例における代表的な発明例と比較例について、確率密度関数を示す。(a)は供試材No.28、(b)は供試材No.32、(c)は供試材No.31、(d)は供試材No.29、(e)は供試材No.33、(f)は供試材No.30の確率密度関数を示す。
<化成処理皮膜付着量>
化成処理皮膜の形成前後の供試材の質量の変化を単位面積(片面当たり)に換算して求めた。
<平板部耐食性>
化成処理皮膜形成後の供試材を、50mm×100mmの大きさにせん断後、端部をシールし、中性塩水噴霧試験(JIS Z 2371−2000)に準拠した塩水噴霧試験を72時間行った後の白錆発生面積率を測定し、次の基準に従って評価した。
◎:5%以下
○:5%超え10%以下
△:10%超え20%以下
×:20%超え
<電磁波シールド性>
電磁波シールド性を以下のように評価した。化成処理皮膜形成後の供試材を50mm×80mmの大きさにせん断後、任意の10箇所について荷重を0から50gピッチでプローブを押し当て、表面抵抗値を測定した。表面抵抗値が1×10−4Ω未満を示した時の荷重を導通荷重とし、10箇所の全てについて表面抵抗値が1×10−4Ω未満を示した時の導通荷重を求め、次の規準に従って評価した。
◎:200gf以下
○:200gf越え500gf以下
△:500gf越え1000gf以下
×:1000gf越えで導通確率100%未満
Figure 0005703815
表1に示すとおり、亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面が、Ra≧0.7μmであり、PPI≧170であり、かつ、Rsk≧−0.5の条件を満たし、前記化成処理皮膜の付着量が、0.10〜1.0g/mである表面処理鋼板は耐食性を維持しつつ、優れた電磁波シールド性が得られる。本発明の表面処理鋼板を使用した電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体はメーカー組み立て方法の違いによる対向する鋼板同士の接触荷重に依らず優れた電磁波シールド性が得られる。
本発明によれば、亜鉛系めっき鋼板のめっき後の表面凹凸について、RaおよびPPIに加えて、粗さ曲線のスキューネスRskを−0.5以上として凹凸形状をよりシャープにしたことにより、耐食性を維持しつつ、低荷重での接触導通確率をより高め、低荷重での電磁波シールド性をより向上させることが可能な、クロメートフリー処理した亜鉛系めっき鋼板を提供することが可能となった。

Claims (3)

  1. 亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面に化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板であって、
    前記亜鉛系めっき鋼板のめっき層表面が、Ra≧0.7μmであり、PPI≧170であり、Rsk≧−0.5、かつ、基準長さにわたって得られる粗さ曲線の高さZ(x)の確率密度関数のピーク数が一つの条件を満たし、
    前記化成処理皮膜の片面当たりの付着量が、0.10〜1.0g/m2であることを特徴とする表面処理鋼板。
    ここで、Ra:JIS B 0601−1994に準拠した算術平均粗さ
    PPI:JIS B 0601−1994に準拠した粗さ曲線から求められるSAEJ911に準拠した25.4mm(1inch)あたりの山数(peaks per inch)
    Rsk:JIS B 0601−2001に準拠したスキューネス
    である。
  2. 請求項1に記載の表面処理鋼板を、部材の全体または一部に使用したことを特徴とする電磁波シールド部材。
  3. 請求項1に記載の表面処理鋼板を使用して筐体を形成したことを特徴とする電磁波シールド筐体。
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