JP5365157B2 - 表面処理鋼板および電子機器筐体 - Google Patents

表面処理鋼板および電子機器筐体 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波をシールドする電子機器の筐体に用いて好適な、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に著しく優れる、合金化溶融亜鉛めっき層の表面に6価クロムを含まない化成処理を施した表面処理鋼板に関するものである。また、本発明は、上記の表面処理鋼板を用いて成形加工した、電磁波シールド性および耐食性に著しく優れる電子機器の筐体に関するものである。
薄型テレビやパソコンなどの電子機器に搭載される部品から発生する電磁波が、筐体から漏洩して人体へ影響を及ぼすことを抑制する、あるいは、外部から侵入する電磁波によって、電子機器が誤動作することを防止するため、これらの電子機器の筐体(以下、電子機器筐体という)には、電磁波シールド性が求められる。
電子機器筐体を金属製とすることで、電磁波をシールドすることができることは良く知られている。また、電子機器筐体を構成する金属の導電性が高まると、電磁波のシールド性も向上する。しかしながら、金属製電子機器筐体は、成形加工した金属板を、フランジを介して締結して製作されることが一般的であることから、多くの継目や接合部を有し、これらの継目や接合部に存在する隙間から電磁波が漏洩または侵入する問題があった。この隙間からの電磁波の漏洩または侵入を防止する方法として、継目や接合部にガスケットを挿入して隙間を埋めるガスケット法と、電子機器筐体を構成する金属板の導電性をさらに向上させて、金属板の電磁波吸収能力をさらに高め、継目や接合部に隙間があっても電磁波が漏洩または侵入しないようにする非ガスケット法がある。ガスケットの使用は、電子機器筐体を構成する部品の増加を招き、電子機器筐体の製造コストの上昇につながることから、近年では、非ガスケット法が好まれている。
従来、電子機器筐体の金属板には、亜鉛系めっき層の上にクロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板(以下、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板という)が広く使用されていた。クロメート処理皮膜は膜厚が薄いため、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板の導電性は、ほとんど阻害されなかった。しかしながら、クロメート処理液には、環境負荷物質である6価クロムを含有するため、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板の使用は、制限されるようになった。そこで、亜鉛系めっき層の上に6価クロムを含まない、いわゆるクロメートフリー化成処理皮膜を有する表面処理鋼板(以下、クロメートフリー化成処理亜鉛系めっき鋼板)が使用されるようになった。しかしながら、クロメート処理皮膜と同等の耐食性を有するクロメートフリー処理皮膜の膜厚は厚いため、クロメートフリー化成処理亜鉛系めっき鋼板の導電性は低く、クロメートフリー化成処理亜鉛系めっき鋼板を使用して製作された電子機器筐体は、ガスケットを用いなければ電磁波をシールドすることができないことが多かった。
なお、「6価クロムを含まない、いわゆるクロメートフリー」とは、不可避的不純物として存在する極微量の6価クロムまでも含まないという趣旨ではなく、また、必要に応じて3価クロムの含有を許容するものとする。
クロメートフリー化成処理亜鉛系めっき鋼板の導電性を向上させる方法として、表面全体に微細な凹凸を有する亜鉛系めっき層の上に、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する技術がある。かような技術に従う表面処理鋼板は、亜鉛系めっき層の凹部ではクロメートフリー化成処理皮膜の膜厚が局所的に厚く、亜鉛系めっき層の凸部ではクロメートフリー化成処理皮膜から凸部が局所的に露出し、これらの微細な凹部および凸部を亜鉛系めっき層の表面全体に分布させることで、耐食性に対しては膜厚の厚いクロメートフリー化成処理皮膜有する表面処理鋼板として、導電性に対してはクロメートフリー化成処理皮膜から局所的に露出した凸部が導通点として機能し、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板と同等の耐食性と導電性を有する。従って、表面全体に微細な凹凸を有する亜鉛系めっき層の上にクロメートフリー化成処理皮膜を有する表面処理鋼板を用いて製作された電子機器筐体は、一定の電磁波シールド性を確保できるようになった。
しかしながら、亜鉛系めっき層の表面全体に微細な凹凸を、溶融亜鉛めっき鋼板ではめっき後に、電気亜鉛めっきの場合にはめっき前に、ダル加工したロールで鋼板を調質圧延することによって形成した場合、製作コストが嵩むだけではなく、このようにして製作されたクロメートフリー化成処理皮膜を有する表面処理鋼板を用いた非ガスケット法による電子機器筐体では、ますます厳しくなる電磁シールド性の要求に応えられなくなってきていた。そこで、クロメートフリー化成処理亜鉛系めっき鋼板の導電性を、低コストで、さらに高めることが望まれていた。
このような問題を解決する技術として、例えば、特許文献1には、合金化処理された溶融亜鉛めっき鋼板(以下、合金化溶融亜鉛めっき鋼板という)の少なくとも一方の面のめっき皮膜の上に、クロメートフリーの防錆処理皮膜を具える表面処理鋼板が開示されている。
特開2006−257456号公報
特許文献1に開示される表面処理鋼板は、ダル加工したロールなどで調質圧延してもつぶしきれない、合金化溶融亜鉛めっき層の表面特有の微細な凹凸を利用して、導電性を向上させたものである。
しかしながら、特許文献1に記載の表面処理鋼板は、ZnリッチなFeZn13の柱状晶(ζ相)上に化成皮膜が形成された後、化成皮膜層から露出した凸部は成形加工された際の摺動により変形し易く、皮膜面より露出した導通部の比率が低くなり、導電性の向上が十分ではなかった。
また、特許文献1に記載の表面処理鋼板は、防錆処理液と合金化溶融亜鉛めっき層との反応性が低いため、防錆処理皮膜と合金化溶融亜鉛めっき層との密着性が低く、耐食性に劣っていた。
電子部品筐体は、鋼板を成形加工して製作されるため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に防錆処理皮膜を形成した表面処理鋼板を使用する場合、合金化溶融亜鉛めっき層が、高い耐フレーキング性を有する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の表面処理鋼板の場合、合金化溶融亜鉛めっき層にζ相を有するため、耐フレーキング性に劣っていた。
そこで発明者らは、特願2008−222320号明細書に記載される、素地鋼板の両面に、実質的にΓ層およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき層を具え、前記合金化溶融亜鉛めっき層のFe含有量とAl含有量を一定範囲に制限し、かつ前記合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に、6価クロムを含まない化成処理皮膜を一定膜厚範囲で形成させ、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に優れる表面処理鋼板を提案した。
しかしながら、特願2008−222320号明細書に記載される表面処理鋼板は、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に優れ、電子機器筐体に使用して好適であるが、成形時に高い面圧が鋼板に対して付加される場合、めっき層にフレーキングを生じたり、めっき凸部が圧縮変形し導通点密度が減少することにより、成形加工部の導電性が不充分となる場合がある。フレーキングが激しい場合には、成形加工部の耐食性も不充分となる。また、今後、電子機器筐体の意匠性が重視されるようになり、電子機器筐体に用いられる鋼板は、複雑な形状に成形されることが多くなり、より優れた耐フレーキング性が必要となる。さらに、電子機器筐体の意匠性が重視されることにより、電子機器筐体全体の構造も継目の多い複雑なものとなり、電子機器筐体に用いられる鋼板は、より優れた導電性が必要となる。つまり、電子機器筐体に用いられる鋼板としては、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性により優れる表面処理鋼板が望まれる。
また、発明者らは、特許文献2に記載される、亜鉛系めっき鋼板の表面に、ジルコニウム化合物(a)と、微粒子シリカ(b)と、シランカップリング剤由来成分(c)と、バナジン酸化合物(d)と、リン酸化合物(e)と、ニッケル化合物(f)と、アクリル樹脂(g)とを一定条件を満足するように含有したクロメートフリー化成処理皮膜(以下、化成処理皮膜Aという)を有し、平坦部耐食性、耐黒変性およびプレス成形後の外観と耐久性に優れる、表面処理鋼板を提案した。
特開2008−169470号公報
しかしながら、特許文献2に記載される表面処理鋼板は、平板部耐食性、耐黒変性およびプレス成形後の外観と耐食性の向上を目的としたもので、成形加工部の導電性および耐フレーキング性については検討されていない。また、特許文献2に記載される表面処理鋼板は、亜鉛系めっき鋼板として、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、溶融Zn−5mass%Mg合金めっき鋼板および溶融Zn−Mg合金めっき鋼板を主として対象にしたものであり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板についての検討は充分ではなかった。
特許文献2の実施例には、亜鉛系めっき鋼板として、合金化溶融亜鉛めっき層のFe含有量が10mass%である合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に化成処理皮膜Aを形成した表面処理鋼板が記載されているが、Fe含有量が10mass%であることから、合金化溶融亜鉛めっき層にζ相を含むものと考えられる。従って、合金化溶融亜鉛めっき層が、実質的にΓ相およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に化成処理皮膜Aを形成した場合ついては検討されていない。
表面処理鋼板における、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性は、同一のクロメートフリー化成処理液を用いた場合でも、合金化溶融亜鉛めっき層の表面性状や形成するクロメートフリー化成処理皮膜の膜厚によって大きく異なる。従って、素地鋼板の両面に、実質的にΓ層およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき層を具え、合金化溶融亜鉛めっき層のFe含有量とAl含有量を一定範囲に制限した合金化溶融亜鉛めっきの表面に、化成処理皮膜Aを形成させた表面処理鋼板における、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性についての調査・検討は充分とはいえない状態であった。
本発明は、上記の課題を解決するもので、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に著しく優れた、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にクロメートフリー化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板を提供することを目的とする。
また、本発明の表面処理鋼板を用いて成形加工した、部品の電磁波シールド性および耐食性に著しく優れる電子機器筐体を提供することを目的とする。
上記の実情を解決すべく、発明者らは、素地鋼板の両面に、種々の合金化溶融亜鉛めっき層を形成し、さらに、合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に種々のクロメートフリー化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板を作製し、その成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性を鋭意調査した。
その結果、合金化溶融亜鉛めっき層が、ζ相を含まず、実質的にΓ相およびδ1相を具え、合金化溶融亜鉛めっき層中のFeおよびAlの含有量が一定範囲内であり、かつ合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に化成処理皮膜Aを所定の皮膜厚で形成した表面処理鋼板は、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性が著しく改善され、併せて高い熱放射率も有することを見出した。
本発明は、上記の知見にさらに検討を重ねてなされたもので、その要旨構成は、次のとおりである。
1. 素地鋼板の両面に、実質的にΓ相およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき層を具え、
前記合金化溶融亜鉛めっき層が、Feを10.5〜15質量%、Alを0.15〜0.30質量%含有し、かつ、ディフラクトメータ法によるX線回折で、Γ相のd(Å)=2.592(ただし、d(Å)は格子面間隔)、δ1相のd(Å)=2.136およびζ相のd(Å)=3.025のピークの強度(cps)をそれぞれ、Ia、IbおよびIcとしたとき、
Ib/Ia>50かつIc/Ia<1.2
を満足し、
前記合金化溶融亜鉛めっき層の表面が、算術平均粗さ:Raで0.5〜1.5μm、かつ、粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIで150〜350を満足し、
前記合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3以下であり、
さらに、前記合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に、ジルコニウム化合物(a)と、微粒子シリカ(b)と、シランカップリング剤由来成分(c)と、バナジン酸化合物(d)と、リン酸化合物(e)と、ニッケル化合物(f)と、アクリル樹脂(g)を下記(1)〜(6)の条件を満足するように含有し、Zr付着量が40〜1200mg/mである、皮膜厚が0.1〜3μm厚の化成処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
(1)微粒子シリカ(b)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(b)/(a)=0.1〜1.2
(2)微粒子シリカ(b)およびシランカップリング剤由来成分(c)のSi換算量の合計(Si)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(Si)/(a)=0.15〜1.0
(3)バナジン酸化合物(d)のV換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(d)/(a)=0.02〜0.15
(4)リン酸化合物(e)のP換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(e)/(a)=0.03〜0.30
(5)ニッケル化合物(f)のNi換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(f)/(a)が0.005〜0.10
(6)アクリル樹脂(g)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(g)/(x)=0.005〜0.18
2.前記化成処理皮膜が、さらに、ワックス(h)を下記(7)の条件を満足するように含有することを特徴とする、上記1に記載の表面処理鋼板。
(7)ワックス(h)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(h)/(x)=0.01〜0.10
.上記1または2に記載の表面処理鋼板を用いて成形加工したことを特徴とする電子機器筐体。
本発明によれば、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に著しく優れる、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に6価クロムを含まない化成処理を施した表面処理鋼板を得ることができる。
また、本発明の表面処理鋼板を用いて成形加工した電子機器筐体は、電磁波シールド性および耐食性に著しく優れる。
以下、本発明の詳細と限定理由を説明する。
本発明の表面処理鋼板は、素地鋼板の両面に、実質的にΓ相およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき層を具え、前記合金化溶融亜鉛めっき層が、Feを10.5〜15質量%、Alを0.15〜0.30質量%含有し、かつ、前記合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に、ジルコニウム化合物(a)と、微粒子シリカ(b)と、シランカップリング剤由来成分(c)と、バナジン酸化合物(d)と、リン酸化合物(e)と、ニッケル化合物(f)と、アクリル樹脂(g)を下記(1)〜(6)の条件を満足するように含有し、Zr付着量が40〜1200mg/mである、皮膜厚が0.1〜3μm厚の化成処理皮膜を有する表面処理鋼板である。
(1)微粒子シリカ(b)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(b)/(a)=0.1〜1.2
(2)微粒子シリカ(b)およびシランカップリング剤由来成分(c)のSi換算量の合計(Si)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(Si)/(a)=0.15〜1.0
(3)バナジン酸化合物(d)のV換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(d)/(a)=0.02〜0.15
(4)リン酸化合物(e)のP換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(e)/(a)=0.03〜0.30
(5)ニッケル化合物(f)のNi換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(f)/(a)が0.005〜0.10
(6)アクリル樹脂(g)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(g)/(x)=0.005〜0.18
以下、素地鋼板、合金化溶融亜鉛めっき層および化成処理皮膜Aに分けて説明する。
(素地鋼板)
素地鋼板の種類は、電子部品筐体を成形加工する際に割れなどが発生しない強度を有すれば特に限定されるものではないが、引張強さ(TS):270MPa相当の軟鋼板が好ましい。また、絞り比の大きい形状に成形加工する場合には、加工性の良い極低炭素IF鋼相当の鋼板が好ましい。
(合金化溶融亜鉛めっき層)
素地鋼板の両面には、合金化溶融亜鉛めっき層が形成される。合金化溶融亜鉛めっき層は、素地鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、合金化処理を施すことで形成されるが、本発明の表面処理鋼板の合金化溶融亜鉛めっき層は、実質的にΓ相(FeZn10)およびδ1相(FeZn)からなるように合金化処理される。合金化処理が不十分であると、合金化溶融亜鉛めっき層の表面にζ相(FeZn13)が残る。表面にζ相が残った合金化溶融亜鉛めっき層の上にクロメートフリー化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板の成形前における導電性は充分なレベルにある。しかしながら、成形加工された後、特に成形時における摺動部の導電性が劣る。ζ相は、Γ相やδ1相に比較してZnリッチな相で柔軟であり、成形時の摺動により凸部がつぶれて変形しやすく、導通点が充分に確保できないためである。従って、かような表面処理鋼板を成形加工して製作した電子機器筐体は、電磁波シールド性に劣る。
また、表面にζ相が、残った合金化溶融亜鉛めっき層は、合金化処理後に施されるクロメートフリー化成処理で、ζ相とクロメートフリー化成処理液との反応性が良好でないことから、クロメートフリー化成処理皮膜と合金化溶融亜鉛めっきとの密着性に劣り、その結果、耐食性の低下を招く。また、ζ相が存在する合金化溶融亜鉛めっき層の上にクロメートフリー化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板を成形加工すると、Znリッチなζ相がΓ相やδ1相に比べ柔軟なため、フレーキングと呼ばれるめっき剥離が発生し易い。また、ζ相が柔軟であることにより、成形時の動摩擦係数が高くなり成形性が劣化する。
一方、合金化処理が過剰であると、δ1相が少なく、Γ相が多い合金化溶融亜鉛めっき層となる。Γ相が多い合金化溶融亜鉛めっき層の上にクロメートフリー化成処理皮膜を形成した表面処理鋼板を成形加工すると、Feリッチで脆い相であるΓ相に起因したパウダリングが発生し易い。
従って、合金化溶融亜鉛めっき層は、実質的にΓ1相(18.5〜23.5mol%Fe)を主体としたΓ相およびδ1相からなるものとする。なお、不可避的に形成される極微量の合金相の含有は許容するものとする。本発明において、実質的にΓ相およびδ1相からなる旨は後述するX線回折のΓ相、δ1相およびζ相のピーク強度比により決定されるものとする。
さらに、本発明に従う表面処理鋼板の合金化溶融亜鉛めっき層中のFe含有量およびAl含有量は、以下の条件を満足する必要がある。
・Fe含有量:10.5〜15質量%
Fe含有量が10.5質量%未満では、ζ相を含む合金化溶融亜鉛めっき層となり、耐フレーキング性が劣化するだけでなく、摺動不足による成形時の割れやシワの原因となる。一方、Fe含有量が15質量%を超えると、Γ相が過剰に生成した合金化溶融亜鉛めっき層となり、パウダリング性が劣化する。また、合金化処理時に、合金化温度を高くする必要があり、長い合金化時間を要することからラインスピードの低下を招き、生産性を阻害する。従って、Fe含有量は、10.5〜15質量%の範囲とする。好ましくは、11.0〜14.0質量%の範囲である。
・Al含有量:0.15〜0.30質量%
Al含有量が0.15質量%未満の場合には、熱力学的にζ相が安定となり、ζ相が生成し易いだけでなく、合金化速度が速いためにFe含有量の制御が困難となる。一方、Al含有量が0.30質量%を超えると、合金化が極端に遅くなるため、合金化温度を高くし合金化時間を長くする必要があり生産性を阻害する。さらには、合金化を均一に行うための制御が困難となり、鋼板の一部でη相が残存する、いわゆる生焼け状態となる問題が生じる。従って、Al含有量は、0.15〜0.30質量%の範囲とする。好ましくは、0.18〜0.25質量%の範囲である。
次に、合金化処理条件について説明する。実質的にΓ相およびδ1相からなり、Fe含有量およびAl含有量が上記した範囲となる合金化溶融亜鉛めっき層を得るには、素地鋼板が軟鋼である場合、合金化処理条件を次のようにすることが好ましい。
・亜鉛付着量:片面あたり25〜60g/m
亜鉛付着量は合金化速度に大きな影響を与える。亜鉛付着量が片面あたり25g/m未満であると、合金化の進行が速く、めっき層中のFe含有量が過剰となり、めっき層の耐パウダリング性が劣化し、一方、片面あたり60g/mを超えると、合金化の進行が遅く、めっき層中のFe含有量が不充分となり、耐フレーキング性が劣化する。従って、亜鉛付着量は、片面あたり25〜60g/mの範囲とすることが好ましい。特に電子機器筐体として使用することを考慮すると、35〜50g/mの範囲とすることが好ましい。
・合金化処理温度:450〜530℃
合金化処理温度が450℃未満では、ζ相が生成し易くなり、耐フレーキング性が劣化し、また、合金化速度が遅いことから、所望のFe含有量を得るためには、長時間の合金化処理が必要となる。また、鋼板の一部にη相が残存する問題も生じる。一方、合金化処理温度が530℃を超えると、急速な合金化により高いFe含有量になり易く、Γ相の生成量が過剰となり、耐パウダリング性が劣化する。従って、合金化処理温度は、450〜530℃の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは470〜510℃の範囲である。なお、合金化処理のために用いる熱源は、η相が生成し易い低温域での合金化時間を短くするため、急速加熱が可能な誘導加熱とすることが好ましい。
上記した条件で合金化された合金化溶融亜鉛めっき層が、実質的にΓ相およびδ1相からなることは、ディフラクトメータ法によるX線回折で、Γ相のd(Å)=2.592(ただし、d(Å)は格子面間隔)、δ1相のd(Å)=2.136およびζ相のd(Å)=3.025のピークの強度(cps)をそれぞれ、Ia、IbおよびIcとしたとき、
Ib/Ia>50かつIc/Ia<1.2
を満足することから確認することができる。
(化成処理皮膜A)
本発明に従う表面処理鋼板の合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面には、化成処理皮膜Aを有する。耐食性の要求がそれほど高くない場合には、一方の面のみに化成処理膜Aを形成し、特に電磁波シールド性に優れる表面処理鋼板として提供できる。一方、耐食性の要求が非常に高い場合には、両面に化成処理膜Aを形成することによって、特に耐食性に優れる表面処理鋼板として提供することができる。
次に、化成処理皮膜Aを形成する際に用いる水系クロメートフリー化成処理液について説明する。
この水系クロメートフリー化成処理液は、水を溶媒とし、水溶性ジルコニウム化合物(A)と、水分散性微粒子シリカ(B)と、シランカップリング剤(C)と、バナジン酸化合物(D)と、リン酸化合物(E)と、ニッケル化合物(F)と、アクリル樹脂エマルション(G)を含み、好ましくはこれら成分(A)〜(G)を主成分として含むものである。また、この水系クロメートフリー化成処理液は、必要に応じて、さらにワックス(H)を含むことができる。
前記水溶性ジルコニウム化合物(A)としては、特に制限はないが、例えば、硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、炭酸ジルコニルカリウム、炭酸ジルコニルナトリウムなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。ここで、ジルコンフッ化水素酸やその塩などのような無機フッ素含有化合物を含んでいる場合も水溶性ジルコニウム化合物であり、液が相溶するかぎり使用可能であるが、本発明で用いるクロメートフリー化成処理液は必須成分としてシリカを含有するため、無機フッ素含有化合物を含むと液安定性が損なわれることが多く、したがって、ジルコンフッ化水素酸やその塩はあまり好ましくない。
前記水分散性微粒子シリカ(B)としては、粒径や種類などに特に制限はないが、コロイダルシリカや乾式シリカを用いることができる。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックス(登録商標)O、C、N、20、OS、OXS(いずれも商品名)などが挙げられ、また、乾式シリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL50、130、200、300、380(いずれも商品名)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
水分散性微粒子シリカ(B)の配合割合は、水分散性微粒子シリカ(B)と水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(B)/(A)で0.1〜1.2とする。(B)/(A)が0.1未満では耐食性や、プレス成形時に化成処理皮膜が削られやすいことによる耐フレーキング性の低下を招き、一方、質量比(B)/(A)が1.2を超えると皮膜が適切に形成できないため耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(B)/(A)は0.2〜1.0であり、特に好ましくは0.3〜0.8である。
前記シランカップリング剤(C)としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-トリエトキシシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-(ビニルベンジルアミン)-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
シランカップリング剤(C)の配合割合は、シランカップリング剤(C)と水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(C)/(A)で0.5〜3.0とする。質量比(C)/(A)が0.5未満では耐食性や、プレス成形時に化成処理皮膜が削られやすいことによる耐フレーキング性の低下を招き、一方、3.0を超えると皮膜が適切に形成できないため耐食性が低下し、また、処理液の安定性も低下する。このような観点から、より好ましい質量比(C)/(A)は1.0〜2.5であり、特に好ましくは1.2〜2.0である。
前記バナジン酸化合物(D)としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。ここで、バナジン酸化合物のVは5価であるが、4価のバナジウム化合物では耐食性が確保できない。
バナジン酸化合物(D)の配合割合は、バナジン酸化合物(D)のV換算量と水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(D)/(A)で0.02〜0.15とする。質量比(D)/(A)が0.02未満では耐食性が低下し、一方、0.15を超えると皮膜が着色し、外観を損なう。このような観点から、より好ましい質量比(D)/(A)は0.04〜0.12であり、特に好ましくは0.05〜0.10である。
前記リン酸化合物(E)は液に相溶するものであれば特に制限はなく、このリン酸化合物としては、例えば、リン酸、第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩、ピロリン酸、ピロリン酸塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸塩などの縮合リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩、次亜リン酸、次亜リン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩などが挙げられる。ホスホン酸塩としては、例えば、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、ホスフォノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメリレンホスホン酸、メチルジホスホン酸、メチレンホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、およびこれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩などが挙げられる。これらリン酸化合物の1種以上を用いることができる。
リン酸化合物(E)の配合割合は、リン酸化合物(E)のP換算量と水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(E)/(A)で0.03〜0.30とする。質量比(E)/(A)が0.03未満では耐食性が低下し、一方、0.30を超えるとプレス成形部の耐フレーキング性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(E)/(A)は0.06〜0.20であり、特に好ましくは0.10〜0.18である。
前記ニッケル化合物(F)としては、液に相溶するものであれば特に制限はなく、例えば、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、リン酸ニッケルなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
ニッケル化合物(F)の配合割合は、ニッケル化合物(F)のNi換算量と水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(F)/(A)で0.005〜0.10とする。質量比(F)/(A)が0.005未満では耐黒変性が低下し、一方、0.10を超えると耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい(F)/(A)は0.01〜0.08であり、特に好ましくは0.02〜0.06である。
水分散性微粒子シリカ(B)およびシランカップリング剤(C)のSi換算量の合計(SI)は、水溶性ジルコニウム化合物(A)のZr換算量との質量比(SI)/(A)で0.15〜1.0とする。質量比(SI)/(A)が0.15未満では耐食性や、プレス成形時に化成処理皮膜が削られやすいことによる、耐フレーキング性の低下を招き、一方、1.0を超えると耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(SI)/(A)は0.25〜0.85であり、特に好ましくは0.30〜0.68である。
前記アクリル樹脂エマルション(G)は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル系モノマーを乳化重合した水系エマルション樹脂であり、相溶性があれば乳化剤の有無や乳化剤の種類に特に制限はないが、なかでもノニオン系乳化剤は好適に適用できる。また、ノニオン系乳化剤の中でも、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドを構造にもつものは、特に好適に適用できる。
アクリル樹脂エマルション(G)の配合割合は、アクリル樹脂エマルション(G)の固形分と水系クロメートフリー化成処理液中の固形分の合計量(X)との質量比(G)/(X)で0.005〜0.18とする。質量比(G)/(X)が0.005未満では耐食性が低下し、一方、0.18を超えると有機成分の増加により化成処理皮膜が削られやすくなるため、耐フレーキング性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(G)/(X)は0.01〜0.16であり、特に好ましくは0.02〜0.14である。
また、上記アクリル樹脂エマルション(G)を構成するアクリル樹脂は、下記(1)式で計算されるガラス転移温度(Tg)が10〜30℃であることが好ましい。下記(1)式は、一般にFOXの式と呼ばれる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi) …(1)
ただし、Wi:成分iの重量分率
Tgi:成分iのTg
アクリル樹脂のTgが10℃未満であると化成処理皮膜が削られやすくなるため、耐フレーキング性が低下し、一方、Tgが30℃を超えると耐食性が低下する傾向がある。
本発明の水系クロメートフリー化成処理液のpHは特に制限はないが、処理液安定性の面からはpH6〜11が好ましく、pH8〜10がより好ましい。処理液のpHが6未満では処理液の安定性が低下し、耐食性や皮膜の外観が低下する。一方、pHが11を超えると亜鉛のエッチングが著しくなり、やはり皮膜の外観が低下し、耐食性も低下する傾向となる。このpHに調整するのに用いられるアルカリとしては、アンモニア、アミンが好ましく、酸としてはリン酸化合物が好ましい。
以上のような水系クロメートフリー化成処理液は、亜鉛系めっき鋼板表面に塗布し、加熱乾燥することにより化成処理皮膜Aが形成される。この加熱乾燥後の化成処理皮膜Aの付着量は、皮膜中のジルコニウム化合物のZr換算量で40〜1200mg/mとする。付着量が40mg/m未満では十分な耐食性が得られず、一方、1200mg/mを超えると皮膜が厚いためにプレス成形後の外観や耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい付着量は80〜600mg/mであり、特に好ましくは120〜320mg/mである。
また、加熱乾燥後の化成処理皮膜Aの皮膜厚は、Zr付着量が上記範囲内に入る条件で次のようにする。上述したように、本発明に従う表面処理鋼板の合金化溶融亜鉛めっき層の表面には、ζ相が存在しないことから、上述したクロメートフリー化成処理液との反応性が良い。これらの処理で形成される化成処理皮膜Aの膜厚が0.1μm未満であると、耐食性に不利となり、一方、3μmを超えると、電磁波シールド性に不利となる。従って、化成処理皮膜Aの皮膜厚は、0.1〜3μmの範囲とする。好ましくは、0.2〜1.5μmの範囲、より好ましくは、0.3〜0.8μmの範囲である。
水系クロメートフリー化成処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布して化成処理皮膜Aを形成する方法としては、通常行われている方法を用いればよい。例えば、塗布法、浸漬法、スプレー法により、亜鉛系めっき鋼板表面を水系クロメートフリー化成処理液で処理した後、加熱乾燥を行う。塗布法としては、ロールコーター(例えば、3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、バーコーター、スプレーコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理、あるいは浸漬処理、スプレー処理の後に、エアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行ってもよい。
加熱乾燥を行う加熱手段としては、特に制限はないが、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱乾燥温度は到達板温で50〜250℃が好ましい。250℃を超えると皮膜にクラックが入り、耐食性を低下させることがある。一方、50℃より低い温度では皮膜中の水分残存が多くなり、やはり耐食性が低下することがある。このような観点から、より好ましい加熱乾燥温度は60〜200℃であり、特に好ましくは60〜180℃である。
次に、以上のような水系クロメートフリー化成処理液を用いて得られる、本発明の表面処理鋼板について説明する。
この表面処理鋼板は、上述した合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、ジルコニウム化合物(a)と、微粒子シリカ(b)と、シランカップリング剤由来成分(c)と、バナジン酸化合物(d)と、リン酸化合物(e)と、ニッケル化合物(g)と、アクリル樹脂(g)を含み、好ましくはこれらを主成分とする化成処理皮膜Aを有する。また、この化成処理皮膜Aには、必要に応じて、さらにワックス(h)を配合してもよい。
前記ジルコニウム化合物(a)は、処理液に配合した水溶性ジルコニウム化合物(A)中のZrに由来する成分であり、その水溶性ジルコニウム化合物(A)の詳細はさきに述べたとおりである。
前記微粒子シリカ(b)は、処理液に配合した水分散性微粒子シリカ(B)に由来するものであり、この水分散性微粒子シリカ(B)の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中での微粒子シリカ(b)の含有割合は、微粒子シリカ(b)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(b)/(a)で0.1〜1.2とする。(b)/(a)が0.1未満では耐食性や、化成処理皮膜が削られやすくなることによる耐フレーキング性の低下を招き、一方、質量比(b)/(a)が1.2を超えると皮膜が適切に形成できないため耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(b)/(a)は0.2〜1.0であり、特に好ましくは0.3〜0.8である。
前記シランカップリング剤由来成分(c)は、処理液に配合したシランカップリング剤(C)に由来するものであり、このシランカップリング剤(C)の詳細はさきに述べたとおりである。
ここで、微粒子シリカ(b)およびシランカップリング剤由来成分(c)のSi換算量の合計(Si)は、ジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(Si)/(a)で0.15〜1.0とする。質量比(Si)/(a)が0.15未満では耐食性や、化成処理皮膜が削られやすくなることによる耐フレーキング性の低下を招き、一方、1.0を超えると耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(Si)/(a)は0.25〜0.85であり、特に好ましくは0.30〜0.68である。
前記バナジン酸化合物(d)は、処理液に配合したバナジン酸化合物(D)に由来するものであり、このバナジン酸化合物(D)の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中でのバナジン酸化合物(d)の含有割合は、バナジン酸化合物(d)のV換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(d)/(a)で0.02〜0.15とする。質量比(d)/(a)が0.02未満では耐食性が低下し、一方、0.15を超えると皮膜が着色し、外観を損なう。このような観点から、より好ましい質量比(d)/(a)は0.04〜0.12であり、特に好ましくは0.05〜0.10である。
前記リン酸化合物(e)は、処理液に配合したリン酸化合物(E)に由来するものであり、このリン酸化合物(E)の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中でのリン酸化合物(e)の含有割合は、リン酸化合物(e)のP換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(e)/(a)で0.03〜0.30とする。質量比(e)/(a)が0.03未満では耐食性が低下し、一方、0.30を超えると皮膜の外観が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(e)/(a)は0.06〜0.20であり、特に好ましくは0.10〜0.18である。
前記ニッケル化合物(f)は、処理液に配合したニッケル化合物(F)に由来するものであり、このニッケル化合物(F)の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中でのニッケル化合物(f)の含有割合は、ニッケル化合物(f)のNi換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(f)/(a)で0.005〜0.10とする。質量比(f)/(a)が0.005未満では皮膜の外観が低下し、一方、0.10を超えると耐食性が低下する。このような観点から、より好ましい(f)/(a)は0.01〜0.08であり、特に好ましくは0.02〜0.06である。
前記アクリル樹脂(g)は、処理液に配合したアクリル樹脂エマルション(G)に由来するものであり、このアクリル樹脂エマルション(G)およびアクリル樹脂の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中でのアクリル樹脂(g)の含有割合は、アクリル樹脂(g)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(g)/(x)で0.005〜0.18とする。質量比(g)/(x)が0.005未満では耐食性が低下し、一方、0.18を超えると有機成分の増加により化成処理皮膜が削られやすくなるため、耐フレーキング性が低下する。このような観点から、より好ましい質量比(g)/(x)は0.01〜0.16であり、特に好ましくは0.02〜0.14である。
本発明により得られる表面処理鋼板において、優れた平板部耐食性およびプレス成形後の耐食性が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のような機構によるものと考えられる。
まず、水溶性ジルコニウム化合物と水分散性微粒子シリカとシランカップリング剤により皮膜の骨格が形成される。水分散性微粒子シリカは、乾燥した後の皮膜中でもその形状を維持するものと考えられる。また、シランカップリング剤は、水に溶解させると加水分解によりシラノールとアルコールを生じる。生じたシラノールは脱水縮合してポリシロキサンとなる。このポリシロキサンとなった部分をコアにし、外側にアルキル基を向けた二重構造となって水に分散しているものと考えられる。
水溶性ジルコニウム化合物は、微粒子シリカ(粒子)やポリシロキサンを有する二重構造体の間に浸透し、乾燥後の皮膜ではこれらのバインダーとして働き、微粒子シリカやポリシロキサンを有する二重構造体を繋ぎ留めて皮膜を形成する。このようにして形成された無機質な皮膜は硬質であるがプレス成形時の応力で細かく砕かれ易く、有機高分子のように粘着性を有しない。一方、そのような皮膜は少ない応力で壊れやすいため、耐フレーキング性が得られにくいことがあるが、本発明では、皮膜に特定の樹脂(アクリル樹脂)を適量配合することにより、皮膜が受ける応力を緩和できるようになり、安定した耐フレーキング性を得ることができる。
上述したように水溶性ジルコニム化合物、水分散性微粒子シリカ、シランカップリング剤およびアクリル樹脂は皮膜の骨格を形成する成分であり、一旦乾燥すると再度水には溶解せずバリアー的効果を有すると考えられる。これに対して、バナジン酸化合物とリン酸化合物は、皮膜中に均一に分散し、水に溶けやすい形態で存在し、いわゆる亜鉛腐食時のインヒビター効果を有する。すなわち、バナジン酸化合物は不動態化作用により亜鉛の腐食自体を抑制し、リン酸化合物は亜鉛と接触した際に亜鉛をエッチングして、溶解してきた亜鉛と難溶性の金属塩を形成する、あるいは亜鉛の腐食が起きた時に、亜鉛イオンを皮膜中で捕捉して、それ以上の腐食を抑制するものと考えられる。このように腐食抑制機構の異なるインヒビターを併用したことから、優れた平板部耐食性だけでなく、プレス成形後の優れた耐食性も得ることができる。
以上が、本発明の表面処理鋼板の基本構成であるが、必要に応じて次の構成を加えても良い。
本発明の水系クロメートフリー処理液には、プレス成形時の潤滑性能をさらに向上させるためにワックス(H)を添加することができる。
前記ワックス(H)としては、液に相溶するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ラノリン系ワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどが挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。また、前記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
ワックス(H)の配合割合は、ワックス(H)の固形分と水系クロメートフリー化成処理液中の固形分の合計量(X)との質量比(H)/(X)で0.01〜0.10とすることが好ましい。質量比(H)/(X)が0.01未満では潤滑性、特にプレス成形時の潤滑性の向上効果が見られず、一方、0.10を超えるとこの効果が飽和するだけでなく、逆に耐食性が低下するおそれがある。このような観点から、より好ましい質量比(H)/(X)は0.02〜0.08である。
このワックス(H)を添加した水系クロメートフリー化成処理液で形成した化成処理皮膜Aは、さらに、ワックス(h)を含有し、連続高速プレス成形時の潤滑性能を向上させる。処理液に配合したワックス(H)に由来するものであり、このワックス(H)の詳細はさきに述べたとおりである。
皮膜中でのワックス(h)の含有割合は、ワックス(h)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(h)/(x)で0.01〜0.10とすることが好ましい。質量比(h)/(x)が0.01未満では潤滑性、特にプレス成形時の潤滑性の向上効果が見られず、一方、0.10を超えるとこの効果が飽和するだけでなく、逆に耐食性が低下するおそれがある。このような観点から、より好ましい質量比(h)/(x)は0.02〜0.08である。
さきに述べたように、化成処理皮膜Aの付着量は、皮膜中のジルコニウム化合物のZr換算で40〜1200mg/mの範囲とする。より好ましくは80〜600mg/m、特に好ましくは120〜320mg/mとする。同じく、表面処理皮膜の厚さは0.1〜3μmの範囲とする。より好ましくは0.2〜1.5μmの範囲、さらに好ましくは0.3〜0.8μmの範囲とすることが望ましい。
以上が、本発明の表面処理鋼板の基本構成であるが、必要に応じて次の構成を加えても良い。
本発明に従う表面処理鋼板の合金化溶融亜鉛めっき層の表面が、算術平均粗さ:Raで0.5〜1.5μm、かつ、粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIで150〜350であるまた、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3以下である
以下、算術平均粗さ:Ra、粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPI、およびの合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比の限定理由について説明する。
(算術平均粗さ:Ra 0.5〜1.5μm)
算術平均粗さ:Raは、JIS B 0601−1994に準拠するものとする。Raが0.5μm未満の場合、化成処理皮膜Aを塗布した状態でのめっき凸部の被膜率が高くなるため、導通点の比率が低下し導電性が劣化することが問題となる。一方、Raが1.5μmを超えると、化成処理皮膜Aを塗布した状態でのめっき凸部の露出率が高いため、導電性は良好であるが耐食性の劣化が問題となる。従って、Raは、0.5〜1.5μmの範囲とする。より好ましくは、0.7〜1.3μmの範囲である。
(粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPI 150〜350)
粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIは、ピークカウントインデックスと呼ばれるもので、米国のSAE規格で定められたものであり、この値が小さくなると1山の断面積(縦断面積)が大きくなることを意味する。なお、図1に、米国のThe Engineering Society for Advancing Mobility Land Sea Air and Space:SAE J911-JUN 86 「SURFACE TEXTURE MEASUREMENT OF COLD ROLLED SHEET STEEL」で定められたPPIを測定する際の表面粗さの粗さ曲線を示す。図1において、粗さ曲線の平均線から、正負、両方向に一定の基準レベルHを設け、負の基準レベルを超えたあと、正の基準レベルを超えたとき、1カウントする。このカウントを評価長さ:Lnに達するまで繰り返し、数えた個数で表示したものをPPIとする。なお、本発明においては、Lnを25.4mm(1インチ)、2H(ピークカウントレベル:正負の基準レベル間の幅)を1.27μm(50マイクロインチ)とする。
PPIが150未満の場合、化成処理皮膜Aを塗布した面の一定面積内でのめっき被覆率が高いため、導電性が劣化する。一方、PPIが350を超えると、化成処理皮膜Aを塗布した面の一定面積内でのめっき露出率が高いため、導電性は良好であるが耐食性が劣化する。従って、PPIは、150〜350の範囲とする。より好ましくは、170〜330の範囲である。
(合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比:3以下)
合金化溶融亜鉛めっき層表面に存在する結晶のうち、垂直方向から走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したときに、アスペクト比(最長辺長さ/最短辺長さ)の大きい方から10個の結晶を選択し、この10個の結晶のアスペクト比の平均値を平均アスペクト比とする。図2は、化成処理皮膜Aを形成する前の合金化溶融亜鉛めっき層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍で観察した結果を示す写真であって、(a)は、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3以下である一例を、(b)は、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3を超える一例を示す図である。
合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3を超えると、合金化溶融亜鉛めっき層中にZnリッチで柔軟なζ相が存在するため、プレス等の成形時の摺動により凸部がつぶれて変形しやすいため、成形加工部の導電性が不十分となる問題がある。従って、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比は3以下とする。より好ましくは、2以下である。なお、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比の下限値については、特に制限はない。
なお、上述したところは、本発明の実施形態の一例に過ぎず、請求の範囲において種々変更を加えることができる。
次に、実施例について説明する。以下に示すように各サンプルを作製した。まず、鋼板No.S1〜S20の亜鉛系めっき鋼板を準備した。亜鉛系めっきの種類としては、鋼板No.S1〜S15は合金化溶融亜鉛めっき、鋼板No.S16は電気亜鉛めっき、鋼板No.S17は溶融亜鉛めっき(合金化処理なし)、鋼板No.S18はZn−Ni合金めっき(Ni:12mass%)、鋼板No.S19は溶融Zn−5mass%Al−0.5mass%Mg合金めっきおよび鋼板No.S20はZn−Mg合金めっき(Mg:0.5mass%)とした。
(鋼板No.S1〜S12)
素地鋼板として準備した、板厚:1.0mmの極低炭素IF鋼板を、溶融亜鉛めっき浴中に浸入させ、ガスワイピングで亜鉛付着量を片面あたり40g/mに調整した。めっき浴中の溶解Al量は、合金化溶融亜鉛めっき層中のAl含有量が表1に示す0.10〜0.40質量%の範囲となるように、0.110〜0.150質量%の範囲で変化させた。また、めっき浴の温度は、500℃とした。
ついで、合金化処理は、熱源として誘導加熱装置を用い、表1に示すように合金化処理温度を470〜500℃の範囲に設定して行った。
(鋼板No.S13およびS14)
亜鉛付着量を、鋼板No.S13は片面あたり70g/mに、鋼板No.S14は片面あたり30g/mに調整した以外は、鋼板No.S1と同様の方法でサンプルを作製した。
(鋼板No.S15)
合金化溶融亜鉛めっき層がζ相を有するようにしたこと以外は、鋼板No.S1と同様の方法で鋼板No.S15を作製した。
(鋼板No.S16〜S20)
参考例として、素地鋼板の両面に合金化溶融亜鉛めっき層以外の亜鉛系めっきを形成した。なお、鋼板No.S16〜S20に形成した亜鉛系めっき層の種類は、表1の「合金化溶融亜鉛めっき」の欄に記載した。
なお、各鋼板の準備にあたり、合金化溶融亜鉛めっき層中の合金相の同定、Fe含有量およびAl含有量は、以下のように測定した。また、合金化溶融亜鉛めっき層表面の算術平均粗さ:Raおよび粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIは、以下のように測定した。さらに、合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比は、以下のように測定した。
(合金化溶融亜鉛めっき層中の合金相の同定)
合金化処理の完了した各サンプルを、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する前にディフラクトメータ法によるX線回折で、合金化溶融亜鉛めっき層中の合金相を同定した。X線回折条件は次のとおりである。
装置:理学電機社製RU−300
X線源:Co−Kα
管球電圧:30kV
管球電流:100mA
照射時間:30分
速度:2deg/分
ステップ:0.05
スリット:DS=SS=1°、RS=0.3°
回転:なし
ピーク強度:最大値
バックグラウンド処理:スムージング
上記した方法で、合金相のピーク強度を測定して、Γ相のd(Å)=2.592、δ1相のd(Å)=2.136およびζ相のd(Å)=3.025のピークの強度をそれぞれ、Ia、IbおよびIcとし、Ib/Ia>50かつIc/Ia<1.2を満足したとき、合金化溶融亜鉛めっき層は、実質的にΓ相およびδ1相のみが存在し、ζ相を含まないと判断した。
(合金化溶融亜鉛めっき層中のFe含有量およびAl含有量)
合金化処理を完了し、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する前の各サンプルから試料を切り出し、JIS H 0401:2007、5.付着量試験方法、5.2間接法に規定される試験液を用いて合金化溶融亜鉛めっき層を溶解した溶液の湿式化学分析(ICP分析)を行い合金化溶融亜鉛めっき層中のFe含有量およびAl含有量を測定した。
(算術平均粗さ:Ra)
合金化処理の完了した各サンプルについて、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する前に、JIS B 0601−1994に準拠して、算術平均粗さ:Raを測定した。
(粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPI)
合金化処理の完了した各サンプルについて、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する前に、上述したSAE規格に準拠して、粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIを測定した。
(合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比)
合金化処理の完了した各サンプルについて、クロメートフリー化成処理皮膜を形成する前に、次の要領で平均アスペクト比を求めた。
合金化溶融亜鉛めっき層表面に存在する結晶のうち、垂直方向から走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍で観察したときに、アスペクト比(最長辺長さ/最短辺長さ)の大きい方から10個の結晶を選択し、この10個の結晶のアスペクト比の平均値を平均アスペクト比とした。
次にクロメートフリー化成処理について説明する。
表2に示す水溶性ジルコニウム化合物、表3に示す水分散微粒子シリカ、表4に示すシランカップリング剤、表5に示すバナジン酸化合物、表6に示すリン酸化合物、表7に示すニッケル化合物、表8に示すアクリル樹脂エマルション(ノニオン性アクリル樹脂エマルション)、表9に示すワックスを用い、これらの成分を水に適宜配合して表10〜表13に示す水系クロメートフリー化成処理液を作製した。処理液のpHはアンモニアとリン酸で適宜調整した。
表1に示した鋼板No.S1〜S20にアルカリ脱脂処理を施し、水洗および乾燥した後、上記水系クロメートフリー化成処理液をバーコーターで鋼板の一方の面に塗布し、両面に化成処理皮膜を施す場合には、鋼板の他方の面にも同様に塗布し、その後、直ちに鋼板表面温度が数秒〜十数秒で所定温度になるように加熱乾燥し、化成処理皮膜Aを形成させ、各サンプルを作製した。この化成処理皮膜Aの膜厚量は水系クロメートフリー化成処理液の濃度により調整し、皮膜のZr付着量はZrを蛍光X線分析装置にて定量した。
化成処理皮膜Aの皮膜厚の測定は、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)加工装置(日立製作所製「FB2000A」)と付設のマイクロサンプリング装置を用いて断面試料を作製した後、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて行った。なお、FIB加工に先立って、断面試料を作製する表面処理鋼板の試料片の表面には、イオンビーム照射によるダメージからこれを保護するため、カーボン(C)の保護膜を約200nmほどフラッシュ蒸着し、さらにその上に金(Au)の保護膜をスパッタコートした。このようにして表面を保護した供試材をFIB加工装置にセットした後、断面試料のサンプリング位置にはさらに、FIB加工装置の化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)機構を用いて、厚さ約500nmのカーボン保護膜をコーティングし、イオンビームによる断面試料の切り出し加工を行った。マイクロサンプリング装置を用いて取り出した断面試料(幅方向約20μm、深さ方向約10μm)は、モリブデン製半月板状特殊メッシュの直線部分にCVD機構を使って固定した上で、イオンビームによる切り出し加工でTEM観察に適する厚さ(約0.1μmt)にまで仕上げた。その後、TEMにて断面試料を加速電圧200kVで観察して、約10μmの範囲で3ヶ所の皮膜厚を測定し、その平均値を皮膜厚とした。
かくして得られた各サンプルの、a)成形加工部の導電性、b)平面部の耐食性、c)プレス成形部の耐食性、d)耐フレーキング性、e)耐パウダリング性およびf)熱放射率を以下のように評価した。
a)成形加工部の導電性
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルの両面の表面抵抗値をそれぞれ測定し、各面の表面抵抗値の平均値で各サンプルの導電性を評価した。具体的には、低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、各サンプル表面の表面抵抗値を測定した。その際、プローブ先端にかける荷重を変化させ、導通時の荷重を測定した。さらに加圧力:196kPa(2kgf/cm)、摺動速度:20mm/sで平面金型にて摺動後、同様に表面抵抗を測定した。評価基準は次のとおりである。
◎:2.9N(300gf)以下
○:2.9N(300gf)を超え4.9N(500gf)以下
△:4.9N(500gf)を超え6.9N(700gf)以下
×:6.9N(700gf)を超える。
b)平面部の耐食性
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルの一方の面について、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)を施し、240時間後の耐白錆性で評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上、10%未満
○−:白錆面積率10%以上、25%未満
△ :白錆面積率25%以上、50%未満
× :白錆面積率50%以上
c)プレス成形部の耐食性
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルについて、パンチ径:33mm、しわ押さえ荷重:19.6kN(2tf)、ダイス径:66mm、成形速度:300mm/sにて円筒カップ絞り試験を行い、塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を施し、48時間後の耐白錆性を評価した。
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上、10%未満
○−:白錆面積率10%以上、25%未満
△ :白錆面積率25%以上、50%未満
× :白錆面積率50%以上
d)耐フレーキング性
耐フレーキング性は、限界絞り比で評価した。合金化溶融亜鉛めっき層中に、Γ相やδ1相に比べてFe含有量の低いζ相が多く含有すると、成形時に金型ダイスと合金化溶融亜鉛めっき層表面との摩擦係数が高くなりフレーキングが発生するため限界絞り比が低下する。
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルについて、パンチ径:33mm、しわ押さえ荷重:19.6kN(2tf)および成形速度300mm/sにて同筒カップ絞り試験を行い、限界絞り比を調査した。評価基準は以下のとおりである。
◎:2.0以上
○:1.9以上2.0未満
△:1.8以上1.9未満
×:1.7以上1.8未満
e)耐パウダリング性
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルについて、幅:40mmのセロハン粘着テープを貼り、先端Rが0.5mmの90度曲げ金型(凹凸)を使用し、セロハン粘着テープを貼った面が凹部となるように曲げ加工した後、セロハン粘着テープを剥離し、セロハン粘着テープに付着した付着物を、蛍光X線分析装置を用いて測定し、ZnのKα線強度(cps)を25倍してパウダリング指数とし、耐パウダリング性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:3000以上4000未満
○:4000以上5000未満
△:5000以上6000未満
×:6000以上
f)熱放射率
クロメートフリー化成処理皮膜を形成した各サンプルについて、ブルカーオプティクス社製の赤外吸収スペクトル測定装置(IFS66/S)を使用して、2.5〜25μmの波長領域の分光反射スペクトル(R(λ))を測定した。なお、測定には積分球を使用した。この分光反射スペクトル(R(λ))を次式に代入して熱放射率とした。
a)〜f)の評価結果を製造条件とともに表14〜17に示す。なお、表14〜表17に示す表面処理亜鉛系めっき鋼板の皮膜構成において、微粒子シリカ(b)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(b)/(a)、バナジン酸化合物(d)のV換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(d)/(a)、リン酸化合物(e)のP換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(e)/(a)、ニッケル化合物(f)のNi換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(f)/(a)、アクリル樹脂(g)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(g)/(x)、ワックス(h)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(h)/(x)については、表10〜表13に示される水系クロメートフリー化成処理液の組成の質量比(B)/(A)、質量比(D)/(A)、質量比(E)/(A)、(F)/(A)、質量比(G)/(X)、質量比(H)/(X)とそれぞれ同等であるので、表14〜表17には記載しなかった。
表14〜表17から明らかなように、発明例に示す本発明の表面処理鋼板はいずれも、小さい表面抵抗値、すなわち導電性に著しく優れ、また、耐フレーキング性および耐パウダリング性に著しく優れることが確認できた。特に、本発明の表面処理鋼板は、成形加工の前後で導電性が劣化しないことも併せて確認できた。また、高い熱放射率を有することも確認できた。
これに対し、比較例および参考例では、導電性、耐食性、耐フレーキング性、耐パウダリング性および熱放射率の少なくとも1つが劣ることを確認できた。
本発明によれば、成形加工部の導電性、耐食性および耐フレーキング性に著しく優れる、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に6価クロムを含まない化成処理を施した表面処理鋼板を得ることができる。
また、本発明の表面処理鋼板を用いて成形加工した電子機器筐体は、電磁波シールド性および耐食性に著しく優れる。
SAE規格で定められたPPIの定義に関する表面粗さの粗さ曲線を示すグラフである。 本発明に従う表面処理鋼板の化成処理皮膜Aを形成する前の合金化溶融亜鉛めっき層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1000倍で観察した結果を示す写真である。

Claims (3)

  1. 素地鋼板の両面に、実質的にΓ相およびδ1相からなる合金化溶融亜鉛めっき層を具え、
    前記合金化溶融亜鉛めっき層が、Feを10.5〜15質量%、Alを0.15〜0.30質量%含有し、かつ、ディフラクトメータ法によるX線回折で、Γ相のd(Å)=2.592(ただし、d(Å)は格子面間隔)、δ1相のd(Å)=2.136およびζ相のd(Å)=3.025のピークの強度(cps)をそれぞれ、Ia、IbおよびIcとしたとき、
    Ib/Ia>50かつIc/Ia<1.2
    を満足し、
    前記合金化溶融亜鉛めっき層の表面が、算術平均粗さ:Raで0.5〜1.5μm、かつ、粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mmあたりの山の数:PPIで150〜350を満足し、
    前記合金化溶融亜鉛めっき層表面の結晶の平均アスペクト比が3以下であり、
    さらに、前記合金化溶融亜鉛めっき層の少なくとも一方の表面に、ジルコニウム化合物(a)と、微粒子シリカ(b)と、シランカップリング剤由来成分(c)と、バナジン酸化合物(d)と、リン酸化合物(e)と、ニッケル化合物(f)と、アクリル樹脂(g)を下記(1)〜(6)の条件を満足するように含有し、Zr付着量が40〜1200mg/mである、皮膜厚が0.1〜3μm厚の化成処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
    (1)微粒子シリカ(b)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(b)/(a)=0.1〜1.2
    (2)微粒子シリカ(b)およびシランカップリング剤由来成分(c)のSi換算量の合計(Si)とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(Si)/(a)=0.15〜1.0
    (3)バナジン酸化合物(d)のV換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(d)/(a)=0.02〜0.15
    (4)リン酸化合物(e)のP換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(e)/(a)=0.03〜0.30
    (5)ニッケル化合物(f)のNi換算量とジルコニウム化合物(a)のZr換算量との質量比(f)/(a)が0.005〜0.10
    (6)アクリル樹脂(g)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(g)/(x)=0.005〜0.18
  2. 前記化成処理皮膜が、さらに、ワックス(h)を下記(7)の条件を満足するように含有することを特徴とする、請求項1に記載の表面処理鋼板。
    (7)ワックス(h)と皮膜固形分の合計量(x)との質量比(h)/(x)=0.01〜0.10
  3. 請求項1または2に記載の表面処理鋼板を用いて成形加工したことを特徴とする電子機器筐体。
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