JP2007291508A - ホットプレス用溶融Znめっき鋼板および溶融Znめっき鋼板、並びにホットプレス成形材 - Google Patents

ホットプレス用溶融Znめっき鋼板および溶融Znめっき鋼板、並びにホットプレス成形材 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼のAc点以上の温度まで加熱したときの溶融Znめっき層のZnの蒸発を充分抑制することができ、ホットプレス時の潤滑性に優れており、素地鋼板や上塗り塗膜との密着性、および塗装後耐食性に優れたホットプレス用溶融Znめっき鋼板を提供する。
【解決手段】鋼のAc点以上の温度に加熱してプレスされるホットプレス用溶融Znめっき鋼板であって、前記ホットプレス用溶融Znめっき鋼板の溶融Znめっき層の表面は、加熱後のZnの蒸発を防止するバリア層で被覆されており、前記バリア層中のPとSiの比(P/Si)は0.5以上2.5以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホットプレス用の溶融Znめっき鋼板、並びに、これを用いて得られる溶融Znめっき鋼板およびホットプレス成形材に関するものである。本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板は、例えば、自動車シャーシ、足回り部品、補強部品などに好適に用いられる。
ホットプレス(ホットスタンプ)は、加工が容易になるように、鋼板(ブランク)を鋼のオーステナイト域温度(Ac点)以上まで加熱して軟化させることによって高強度の加工部材(ホットプレス成形材)を作製する技術である。ホットプレスは、加熱後に金型でプレス(加工)しながら急冷する方法と、冷延加工後に加熱し、金型で冷却する方法とに大別される。
これまで、ホットプレス用鋼板として、Al系めっき鋼板が多く用いられてきた(例えば、特許文献1)。しかし、Al系めっき鋼板をオーステナイト域まで加熱すると、Feが急速にAlめっき層中に拡散し、硬くて脆いAl−Fe合金層が形成されるため、成形時に粉状に剥離しやすい。剥離した粉は、押し疵の原因となり、金型の寿命を低下させる。このようなAl−Fe合金層は、素地鋼板との密着性を低下させるだけでなく、耐食性などを目的として施される上塗り塗膜との密着性(塗装後密着性)も著しく劣化させるため、耐食性が低下するという問題もあった。
一方、ホットプレス技術は、前述したように高温で加熱を行うため、加熱時に酸化皮膜(スケール層)が生成する。スケール層が形成されたホットプレス成形材は、耐食性や塗装性に劣っており、プレス加工を行うとスケール層が剥離し、押し疵の原因となる。スケール層を除去するためには、ショットブラストなどを別途施す必要があり、生産性が低下する。
そこで、このようなスケール層の発生を抑制するため、溶融Znめっき鋼板をホットプレスに適用する技術が検討されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2には、溶融Znめっき鋼板を約550℃から650℃に加熱して合金化処理を行った後、約700℃から1000℃の温度で加熱することによって鉄亜鉛固溶相を含むめっき層を形成する方法が記載されている。しかしながら、高温での加熱により、素地鋼板との密着性に劣るZnOが鋼板の表面を厚く覆うように形成され、鋼板から容易に剥離するため、プレス作業性および生産性が低下し、金型寿命が短くなり、塗装性も劣化するなどの弊害を招く。
また、特許文献2のように、溶融Znめっき鋼板をホットプレスに適用すると、Znが蒸発してめっき層が劣化するという新たな問題も生じる。ホットプレス技術では、鋼のAc3点以上の温度まで鋼板を加熱して高強度化を図っているが、この温度域は、Znの沸点域(大気圧下では907℃)と、ほぼ合致するためである。
そこで、Znの蒸発を防止し、亜鉛揮発抑制性(耐亜鉛揮発性)に優れたホットプレス用の溶融Znめっき鋼板に関する技術が提案されている(例えば、特許文献3および4)。
このうち、特許文献3には、亜鉛の酸化物層を予め形成することにより、ホットプレス時のZnの蒸発を防止する方法が記載されている。しかし、この方法では、例えば、融雪塩のような塩水環境下での塗膜密着性が不充分である。また、ホットプレス時の潤滑性(ホットプレスの成形しやすさ)にも劣っている。
また、特許文献4には、Znめっき層中にZnよりも酸化し易い元素(例えば、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zr、およびLa、Ceなどの希土類元素)を添加し、ホットプレス時にこれらの酸化物層を表面に形成させることによってZnの蒸発を防ぐ方法が記載されている。しかしながら、上記の酸化物層は表面に均一に形成されるため、不活性であり、自動車の塗装前処理として行なわれる化成処理(りん酸塩処理)によって生成されるりん酸塩皮膜などの上塗り塗膜との密着性(塗装後密着性またはりん酸塩処理性と呼ばれる。)が低下する。
一方、ホットプレス技術に関するものではないが、耐食性などの改善を目的として、めっき層の表面がりん酸化合物やシリカ化合物を含む皮膜で被覆されたZnめっき鋼板が提案されている(例えば、特許文献5〜7)。しかしながら、ここでは、ホットプレス技術のように、Znめっき鋼板を約850℃から950℃まで加熱することは全く意図していないため、このような高温域に加熱したときに生じる上記の課題(亜鉛の蒸発防止、ホットプレス時の潤滑性、素地鋼板や上塗り塗膜との密着性向上)について、全く留意されていない。
特開2003−82436号公報 特開2003−126921号公報 特開2003−73774号公報 特開2004−270029号公報 特開2003−55777号公報 特開2001−88242号公報 国際公開第2003/085171号パンフレット
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼のAc点以上の温度まで加熱したときの溶融Znめっき層のZnの蒸発を充分抑制することができ、ホットプレス時の潤滑性(プレス成形のしやすさ)にも優れており、素地鋼板や上塗り塗膜との密着性、および塗装後耐食性に優れたホットプレス用溶融Znめっき鋼板、並びに、これを用いた溶融Znめっき鋼板およびホットプレス成形材を提供することにある。
上記課題を解決することができた本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板は、鋼のAc点以上の温度に加熱してプレスされるホットプレス用溶融Znめっき鋼板であって、前記ホットプレス用溶融Znめっき鋼板の溶融Znめっき層の表面は、加熱後のZnの蒸発を防止するバリア層で被覆されており、前記バリア層中のPとSiの比(P/Si)は0.5以上2.5以下であることに要旨を有している。
好ましい実施形態において、前記バリア層は、乾燥後の付着量で、0.3g/m以上2.0g/m以下の範囲内である。
本発明の溶融Znめっき鋼板は、上記のホットプレス用溶融Znめっき鋼板を、鋼のAc点以上の温度に加熱して得られるものである。
好ましい実施形態において、前記溶融Znめっき鋼板は、溶融Znめっき層の表面を覆うように、P、O、ZnからなるP−O−Zn化合物、SiO、およびZnOを含有する保護皮膜で被覆されている。
本発明には、上記のホットプレス用溶融Znめっき鋼板を、鋼のAc点以上の温度に加熱してプレスするか、または、プレスした後に鋼のAc点以上の温度に加熱して得られるホットプレス成形材も本発明の範囲内に包含される。
本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板は、PとSiとの比率が適切に制御されたバリア層が表面に形成されているため、Ac3点以上の高温域での加熱により、耐亜鉛揮発性、ホットプレス時の潤滑性、素地鋼板やりん酸塩皮膜との密着性、および塗装後耐食性に優れた保護皮膜を備えた溶融Znめっき鋼板が得られた。
本発明者は、ホットプレス技術を用いて得られる溶融Znめっき鋼板が抱える従来の問題点(加熱時におけるZnの蒸発及びそれに伴う素地鋼板との密着性の低下、およびホットプレス時の潤滑性(加工性)の低下と、りん酸塩皮膜を含む上塗り塗膜を更に施した場合における上塗り塗膜との密着性の低下及びそれに伴う塗装後耐食性の低下)を解決するため、鋭意検討してきた。その結果、ホットプレス技術に用いられる溶融Znめっき鋼板について、溶融Znめっき層の表面に所定のPおよびSiを含有するバリア層を設けること、詳細には、当該バリア層を蛍光X線で測定したときのPおよびSiの付着量の比(P/Si、以下、この比を「X値」と呼ぶ場合がある。)が所定範囲に制御されたバリア層で溶融Znめっき層の表面を覆うように被覆することにより、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本明細書では、鋼のAc点以上の温度に加熱することを「高温域での加熱」、または単に「加熱」と呼ぶ場合がある。
また、ホットプレス用の溶融Znめっき鋼板と、当該ホットプレス用の溶融Znめっき鋼板を用いて得られる溶融Znめっき鋼板とを区別するため、前者を「加熱前の溶融Znめっき鋼板」または「加熱前鋼板」と呼び、後者を「加熱後の溶融Znめっき鋼板」または「加熱後鋼板」と呼ぶ場合がある。
また、加熱前の溶融Znめっき層の表面に形成される層と、加熱後の溶融Znめっき層の表面に形成される皮膜とを区別するため、前者を「バリア層」と呼び、後者を「保護皮膜」と呼ぶ。また、保護皮膜の上に施される化成処理(りん酸塩処理)によって生成されるりん酸塩皮膜や、電着塗装法によって生成される皮膜を総称して上塗り塗膜と呼ぶ。
上記のように、PとSiの比率が適切に制御されたバリア層を表面に設けることにより、加熱後の溶融Znめっき鋼板において、耐亜鉛揮発性、ホットプレス時の潤滑性、素地鋼板および上塗り塗膜との密着性、並びに塗装後耐食性の特性がすべて高められる理由は詳細には不明であるが、高温域での加熱により、上記のバリア層が、これらの特性向上に寄与する化合物(P、O、ZnからなるP−O−Zn化合物、ZnO、およびSiO)を含む保護皮膜に変化し、この保護皮膜が溶融Znめっき層の表面に強固に生成するためと推察される。加熱によって得られる上記の化合物は、後記する図1に示すように、連続または不連続に、Znめっき層の表面を覆うように生成している。保護皮膜の主成分はSiOであり、SiOは保護皮膜の表面平滑化作用を有しているため、後に施されるりん酸塩との反応性が促進され、りん酸塩処理性および塗装後耐食性が向上すると考えられる。後記する実施例に示すように、保護皮膜中のSiOの量が多くても少なくても、これらの特性は低下してしまう。また、P−O−Zn化合物は、主に、後に施される化成処理性(りん酸塩処理性)の向上、更には上塗り塗膜膜との密着性向上に寄与していると考えられる。ZnOの作用は、詳細には不明であるが、りん酸塩との反応性を促進し、りん酸塩処理性を向上させると考えられる。
また、上記のバリア層形成によってホットプレス時の潤滑性が向上した理由は詳細には不明であるが、加熱によって生成する保護皮膜が非常に強固であること、保護皮膜中のSiOによる表面平滑化作用によって保護皮膜表面の凸部が減少し、SiO主体の強固な平面部が多くなるなどの理由により、ホットスタンプ時の高温での金型との摩擦係数が低減するためと推定される。
(本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板)
まず、本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板(加熱前鋼板)について説明する。
加熱前鋼板は、Znめっき層の表面を覆うように、加熱後の亜鉛の蒸発を防止するバリア層で薄く被覆されている。
上記のバリア層は、蛍光X線で測定したときのPとSiの比(P/Si、X値)が0.5以上2.5以下の範囲を満足している。後記する「加熱後の溶融Znめっき鋼板」のなかで詳しく説明するように、X値が0.5未満の場合、加熱後に得られる保護皮膜中のSiOの量が多くなるため、後に施されるりん酸塩との反応性が低下し、りん酸塩処理性が低下する。一方、X値が2.5超と大きくなり、保護皮膜中のSiOの量が少なくなると、強固な保護皮膜が得られないため、ホットプレス時の潤滑性が低下するほか、SiOによる表面平滑化作用が有効に発揮されず、加工時の摺動性が悪くなってりん酸塩との反応性が低下し、りん酸塩処理性が低下する。X値は、0.5以上1.5以下であることが好ましく、0.5以上1.2以下であることがより好ましい。
なお、特許文献5〜7にも、PおよびSiを含有する皮膜が開示されているが、皮膜中のP/Siの比は、おおむね、5〜40の範囲内であり、本発明の要件を満足していないため、所望の特性が有効に発揮されない。
ここで、X値(P/Si)は、各供試材のバリア層中のPおよびSiの蛍光X線強度を測定し、予め作製しておいた検量線からP濃度およびSi濃度を求め、P/Siの比を算出した。
検量線は、ICP分析(高周波プラズマ発光分析)によるP濃度およびSi濃度と、PおよびSiの蛍光X線強度とに基づいて作成した。P濃度およびSi濃度は、バリア層を有する鋼板(加熱前鋼板)を希塩酸中に浸漬し、バリア層を溶解して剥離し、溶解後の溶液中のP濃度およびSi濃度を、ICP分析(セイコー電子製の高周波プラズマ発光分析装置を使用)を行なうことによって求めた。一方、PおよびSiの蛍光X線強度は、バリア層の中央部(2箇所)について、島津製作所製の蛍光X線装置「MXF−2100」を用いて測定した。
次に、各供試材について、バリア層中のPまたはSiの蛍光X線強度を上記と同様にして測定した。このようにして得られたPまたはSiの蛍光X線強度から、上記の検量線に基づいてバリア層中のP濃度およびSi濃度を求め、P/Siの比(X値)を算出した。
上記のバリア層は、乾燥後の付着量で、0.3g/m以上2.0g/m以下の範囲内であることが好ましい。後記する実施例に示すように、乾燥後の付着量が0.3g/mを下回ると、溶融Znめっき層のZnの蒸発が多くなって耐亜鉛揮発性が低下するほか、ホットプレス後にりん酸塩皮膜を施した後の塗装後耐食性が低下する。一方、乾燥後の付着量が2.0g/mを超えると、SiOを多量に含む保護皮膜がZnめっき層の表面を覆うように形成されるため、りん酸塩処理性が低下し、塗装後耐食性も低下する。
バリア層の付着量は、以下のようにして算出した。
バリア層を有する鋼板(加熱前鋼板)を100mm×100mmのサイズにカットし、裏面をテープでシールした後、強アルカリ溶液(三彩加工社製「ネオリバー」)によってバリア層を溶解した。バリア層溶解前の鋼板の重量を予め測定しておき、溶解前後の鋼板の重量差から、単位面積当たりのバリア層の付着量(g/m)を算出した。
上記のバリア層は、後に詳しく説明するように、例えば、りん酸塩と酸性コロイダルシリカを含むバリア層形成用処理液(単に、「処理液」と呼ぶ場合がある。)を溶融Znめっき層の上に塗布し、板温がおおむね、60℃から250℃となる温度まで加熱乾燥することによって得られる。
参考のため、本発明の要件を満足するバリア層の写真を図14〜図18に示す。図14は、本発明の要件を満足するバリア層(X値=1.0、後記する実施例の表1の試料2)の表面をSEM(Scanning Electron Microscopy、走査型電子顕微鏡)で観察した写真(倍率:1500倍)であり、図15〜18は、図14と同一部分について、EPMA(電子プローブマイクロアナライザー、Electron Probe Micro Analyzer、日本電子社製「JXA−8100」を使用。)によるO、Si、P、Znのマッピング像(倍率:1500倍)である。
図14〜18に示すように、バリア層には、P、OからなるP−O化合物とSiOとが含まれており、加熱後の保護皮膜(後記する)のようにP、O、ZnからなるP−O−Zn化合物やZnOは含まれていないことが分かる。
(本発明の溶融Znめっき鋼板)
図1を参照しながら、上記のホットプレス用溶融Znめっき鋼板をAc点以上の温度まで加熱した後の溶融Znめっき鋼板(加熱後鋼板)について説明する。比較のため、バリア層を有しない溶融Znめっきまま鋼板を同様に加熱した加熱後鋼板について、図2を参照しながら、対比して説明する。
図1に示すように、加熱後の溶融Znめっき鋼板10は、溶融Znめっき層1の表面を覆うように保護皮膜2で被覆されている。保護皮膜2は、ZnO(図中、3)と、P、O、ZnからなるP−O−Zn化合物(図中、4)と、SiO(図中、5)とを含有している。SiO(図中、5)は、ZnOやP−O−Zn化合物に比べて粒径が小さく、保護皮膜2全体にわたって存在している。これに対し、SiOに比べて粒径の大きいZnO(図中、3)、およびP−O−Zn化合物(図中、4)は、保護皮膜2を突き破るようにして存在している。また、保護皮膜2には、下地のZnめっき層1にまで達する複数のクラック6が入っている。
本発明の溶融Znめっき鋼板を用いてりん酸塩下地処理を行うと、後に詳しく説明するように、保護皮膜2の表面に緻密なりん酸塩結晶が密着性良く隙間なく形成されるため、りん酸塩処理性および塗装後耐食性が著しく向上する。その理由は、詳細には不明であるが、クラック6にりん酸塩の処理液(化成処理液、図示せず)が浸入して溶融Znめっき層2が溶解し、溶解により溶出したZnが処理液中のりん酸成分と反応して、りん酸塩結晶を含む反応層が表面に密着性良く生成するためと推察される。
これに対し、溶融Znめっきまま鋼板(バリア層の形成なし)を加熱した鋼板20では、図2に示すように、加熱後の保護皮膜12にはZnO(図中、3)のみが形成されている。図1において見られたクラックは、ここでは見られない。ZnO(図中、3)は、Znめっき層1の表面を隙間なく覆うように、連続して形成されているため、Znの蒸発が低下し、りん酸塩処理性が低下する。
一方、図には示していないが、X値(P/Si)が0.5未満のバリア層を有する溶融Znめっき鋼板を加熱した場合、加熱後の保護皮膜は、ZnOおよびSiOを含有しており、P−O−Zn化合物を含んでいない。また、SiOの量は、図1に示す保護皮膜2に比べて多くなり、保護皮膜の厚さが大きくなっている。SiOの量が多くなるのは、バリア層中のSi量が多いためである。このように保護皮膜の厚さが大きくなると、加熱により、下地のZnめっき層にまで達するクラック6が少なくなり、後に施されるりん酸塩処理によるZnめっき層の溶解量が少なくなって所定のりん酸塩結晶を含む反応層が少なくなるため、りん酸塩との反応性が低下し、りん酸塩処理性が低下する。
また、X値(P/Si)が2.5超と大きいバリア層を有する溶融Znめっき鋼板を加熱した場合、加熱後の保護皮膜は、ZnO、P−O−Zn化合物、およびSiOを含有しているが、図1に示す保護皮膜2に比べ、SiOの量は少なくなり、ZnOの量は多くなる。SiOの量が少なくなるのは、バリア層中のSi量が少ないためである。また、ZnOの量が多くなるのは、下地のZnめっき層にまで達するクラックが多量に発生するため、Znめっき層と大気中の酸素とが反応し、多くのZnOが生成するためである。このようにZnOが多量に存在すると、後に施されるりん酸塩との反応性が低下し、りん酸塩処理性が低下する。
(本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板および溶融Znめっき鋼板の製造方法)
次に、本発明のホットプレス用溶融Znめっき鋼板(加熱前鋼板)を製造する方法を説明する。
まず、溶融Znめっき鋼板を用意する。
本発明に用いられる溶融Znめっき鋼板には、合金化されていない溶融Znめっき鋼板(非合金化溶融Znめっき鋼板)および合金化溶融Znめっき鋼板の両方が含まれる。非合金化溶融Znめっき鋼板および合金化溶融Znめっき鋼板のいずれの場合においても、溶融Znめっき層のZn付着量は、片面あたり、約30g/m2以上であることが好ましく、45g/m2以上であることがより好ましい。これにより、例えば、自動車用途に用いたときに要求される高度の耐食性を確保することができる。
素地の鋼母材としては、ホットプレス用に用いられる鋼板であれば特に限定されないが、ホットプレス時の加熱および急冷により、高強度高張力となり得る公知の焼き入れ鋼が好ましい。具体的には、例えば、C:0.1〜0.4%、Mn:0.3〜2%、Si:1.0%以下、Al:0.2%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Ti:0.03%以下、残部:Feおよび不可避不純物の鋼が挙げられる。上記の鋼は、焼き入れ鋼に積極的に添加される公知の元素を更に含んでいてもよい。
溶融Znめっきの条件は特に限定されず、通常のZn−Alめっき浴を用いて公知の条件で行えばよい。Feとの合金化の条件も特に限定されず、例えばガス加熱炉や誘導加熱炉を用いて公知の条件で合金化処理を行えばよい。
次に、バリア層形成用処理液を用意し、上記の溶融Znめっき鋼板の片面または両面に公知のコーティング手段を用いて塗布した後、加熱乾燥し、バリア層を形成する。
本発明に用いられるバリア層形成用処理液は、所定のX値のバリア層が得られるよう、Pの供給源(例えば、りん酸塩など)およびSiの供給源(例えば、コロイダルシリカなど)を少なくとも含んでいればよい。
Pの供給源としては、代表的には、りん酸塩が挙げられる。
本発明に用いられるりん酸塩は特に限定されず、例えば、正りん酸(HPO)、次亜りん酸(HPO)、亜りん酸(HPO)、ピロリン酸(H)、トリポリリン酸(H10)のほか、化学式がHX+2X3X+1(Xは3以上の整数)などの縮合りん酸の塩が挙げられる。コストなどを考慮すると、正りん酸、次亜りん酸、亜りん酸、ピロリン酸の塩類が好適に用いられる。また、実施例に示すように、りん酸塩下地処理に通常用いられる市販品を用いることもできる。
Siの供給源としては、代表的には、コロイダルシリカが挙げられる。そのほか、シリカゾルやヒュームドシリカなどの乾式シリカを用いても良い。
コロイダルシリカは、りん酸塩との反応性を考慮すると、酸性であることが好ましい。酸性コロイダルシリカは、市販品を用いてもよく、例えば、日産化学工業(株)製の「スノーテックス」(商品記号:O、OS、OXS、OUP、AK、O40、OL、OZLなど)などが挙げられる。
Pの供給源とSiの供給源との比率は、所望のX値が得られるように、使用する各供給源の種類に応じて適宜適切に設定することができる。例えば、後記する実施例に示す市販のりん酸塩を用いる場合は、りん酸塩100質量部に対し、酸性コロイダルシリカを5〜20質量部の範囲内で添加することが好ましい。酸性コロイダルシリカの添加量が5質量部未満の場合はバリア層のX値が大きくなり、一方、酸性コロイダルシリカの添加量が20質量部を超える場合はバリア層のX値が小さくなり、いずれにしても、塗装後耐食性が低下する(後記する実施例を参照)。酸性コロイダルシリカの添加量は、りん酸塩100質量部に対し、おおむね、10〜15質量部の範囲内であることがより好ましい。
上記の処理液を溶融Znめっき鋼板に塗布するに当たり、処理液の温度は特に限定されないが、例えば、約60〜120℃とすることが好ましい。
塗付方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができるが、例えば、りん酸塩下地処理に用いられる方法が好適に用いられる。具体的には、例えば、ロールコーター法(3ロール方式、2ロール方式など)、スプレー法、カーテンフローコーター法などを用いて溶融Znめっき鋼板の表面に塗布すればよい。
上記のようにして塗布した後、水洗することなく加熱し、乾燥を行う。加熱は、例えば、到達板温で約60〜120℃(より好ましくは約80〜100℃)の範囲内で行うことが好ましい。乾燥は、例えば、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いて行えばよい。
このようにして得られたホットプレス用溶融Znめっき鋼板は、鋼母材のAc3点以上の温度に加熱した後、金型で急冷しながらプレス加工しても良いし、あるいは、プレス加工した後に鋼母材のAc3点以上の温度に加熱しても良い。具体的には、例えば、800℃から1000℃の温度で、おおむね、1分間から3分間加熱する。
その後、耐食性の更なる向上を目的として、りん酸塩処理等の下地処理が施され、さらに電着塗装法などを施すことによって、りん酸塩皮膜を含む上塗り塗膜が形成される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
実施例1
本実施例では、ホットプレス用溶融Znめっき鋼板が主に自動車シャーシなどにプレス加工されることを想定して、加熱後、ハット型プレス形状に加工した試料を用いて種々の特性を評価した。ここでは、加熱後にプレス加工した試料を用いて実験を行ったが、プレス加工後に加熱した試料を用いて実験を行っても、上記と同様の実験結果が得られる。
(試料の作製)
厚さ0.6mmの焼入れ鋼(C:0.20%、Mn:1.2%、Si:0.1%、Al;0.03%、S:0.01%、P:0.01%、Ti:0.01%、残部Fe)の両面に、溶融めっき法によってZnめっき層を施した。片面当たりの付着量は、いずれも60g/mである(60g/60g/m)。Znめっき層には、0.4%のAlが含まれている。
次に、市販のりん酸塩処理液(PPG社製「ケミフォス2007LV」)の原液中に、表1に示す2種類の酸性コロイダルシリカA、Bを表1に示す比率で添加したバリア層形成用処理液を用意する。この処理液(室温)を上記溶融Znめっき層の上に、バーコート法で表1に示したバリア層の付着量(乾燥後)となるように塗布し、100℃で60秒間加熱乾燥して、表面にバリア層が形成された試料1〜19の鋼板を作製した。試料19は、コロイダルシリカを添加しない例である。なお、バリア層の付着量は、バーコーターの番手を#3〜#20の間で変化させることにより、表1に示す範囲内に制御した。
次に、この試料を30mm×200mmのサイズに切断し、以下のようにしてホットプレスを行なった。900℃で1分間、大気下で加熱した後、アイダエンジニアリング(株)製の型式NC1−80(Z)の80tクランクプレス機を用い、図3に示す形状のハット型プレス品に加工した。クランクプレスの条件は以下のとおりである。しわ押え圧力:1ton、成型速度:40spm。
次いで、上記の加工試料を用い、電着塗装用下地処理として、日本パーカライジング社製の「パルボンドL3020」を用いて通常のりん酸塩処理(約80℃で2分間乾燥)を行った後、エポキシ樹脂系の電着塗料「パワーニックス1100」(日本ペイント社製)を用いて200Vの通電下で電着し、150℃で20分焼き付けることにより、厚さ20μmの上塗り塗膜を形成した(試料1〜19)。
比較のため、バリア層形成用処理液を塗付しない素地鋼板の試料20および21を用い、上記と同様に、加熱後に加工を行い、上塗り塗膜を形成した。このうち、試料20は、溶融Znめっきままの鋼板(GI、付着量60g/60g/m)であり、試料21は、溶融Znめっき鋼板に600℃で30秒の合金化処理を行った合金化溶融Znめっきままの鋼板(GA、付着量45g/45g/m)である。
(評価)
バリア層形成後(加熱前)の試料1〜19について、前述した方法により、X値を算出すると共に、バリア層の付着量を測定した。
また、加熱後(りん酸塩処理の前)の試料1〜21について、以下のようにして、(1)耐亜鉛揮発性および(2)潤滑性を評価すると共に、りん酸塩処理後の試料について、以下のようにして、(3)りん酸塩処理性および(4)塗装後耐食性を評価した。
(1)耐亜鉛揮発性
りん酸塩処理前の試料について、ICP(セイコー電子製の高周波プラズマ発光分析装置)でZnの付着量を測定した。耐亜鉛揮発性は、皮膜が被覆される前のZn付着量(60g/m)に比べ、Znが50%以上残存している場合を○、50%未満を×と評価した。
なお、「耐亜鉛揮発性に優れる」ことはZnの酸化抑制に優れていることを意味しており、素地鋼板との密着性にも優れていることを間接的に表している。
(2)潤滑性
前述したクランクプレス条件でハット型プレス品に加工するときの、加工割れの発生の有無、および加工できた場合の成型に要する成型荷重(kN)を測定した。成型荷重の測定は、荷重が加わる箇所(パンチ)に歪ゲージ[(株)共和電業、形式:KFG−1−120−C1−11L3M2R、鋼用ゲージ長さ1mm]を貼り付けて行なった。測定は、加工試料5個(n=5)について行い、成型荷重の平均値を「平均成型荷重」とした。潤滑性は、平均成型荷重が3.3kN以下で、且つ、加工割れが2個以下のものを○、平均成型荷重が3.3kN超で、且つ、加工割れが3個以上のものを×と評価した。
(3)りん酸塩処理性
りん酸塩処理が適切に行われたかどうかを調べるため、皮膜とりん酸塩との密着性を、以下に示すSDT(ソルトディップテスト)を行って調べた。
まず、上塗り塗膜側からカッターナイフでクロスカットを入れた(荷重500g)試料を、55℃、5%塩化ナトリウム水溶液中に10日間浸漬した(SDT試験)。その後、試料を取り出し、クロスカット上に手でニチバン製テープ(品番:「CT405A−24」)を貼付してすぐに剥がした。
りん酸塩処理性の評価は、クロスカットからの塗膜の剥離幅が4mmを超えた場合を×、4mm以下を○とした。
(4)塗装後耐食性
JIS−M609の複合サイクル試験(1サイクル:35℃、5%塩水中に2時間浸漬→60℃で4時間乾燥→50℃、相対湿度95%で2時間湿潤)を180サイクル行い、クロスカットからの片側最大膨れ幅を測定することによって、噴霧→乾燥→湿潤のサイクル耐食性(CCT耐食性)を評価した。
耐食性の評価は、最大膨れ幅が4mm未満を◎、4mm〜6mm未満を○、6mm以上を×とした。
これらの結果を表1に併記する。試料1〜18のうち、試料1〜9は酸性コロイダルシリカST−Oを使用した例であり、試料10〜18は酸性コロイダルシリカST−OLを使用した例である。
試料1〜5、および10〜15は、いずれも、バリア層のX値および乾燥後の付着量が本発明の範囲を満足する本発明例であり、耐亜鉛揮発性、りん酸塩処理性、塗装後耐食性、および潤滑性のすべてに優れている。
これに対し、試料8、17は、処理液中のコロイダルシリカA、Bの添加量が多いためにバリア層のX値が小さく、加熱後の保護皮膜中のSiOが多い例;試料9、18は、処理液中のコロイダルシリカA、Bの添加量が少ないためにバリア層のX値が大きく、加熱後の保護皮膜中のSiOが少ない例であり、いずれも、りん酸塩処理性、塗装後耐食性が低下した。また、加熱後の保護皮膜中のSiOが少ない試料9、19は、潤滑性が低下した。
参考のため、図19および図20に、試料2(本発明例)および試料20(溶融亜鉛めっきまま鋼板)におけるホットプレス時の成型荷重の結果を示す。試料2では、試料20に比べて成型荷重が低下しているため、潤滑性が向上している。
また、バリア層の付着量が少ない試料6は、バリア層形成によるZnの蒸発防止作用が有効に発揮されず、耐亜鉛揮発抑制性が低下した。一方、バリア層の付着量が多い試料7、16は、加熱後の保護皮膜中のSiOが多くなるため、りん酸塩処理性および塗装後耐食性が低下した。
試料19は、処理液にコロイダルシリカが含まれない例であり、SiOによる表面平滑化作用が有効に発揮されないため、耐亜鉛揮発性、りん酸塩処理性、および耐亜鉛揮発抑制性のすべてが低下した。
試料20、21は、GIまま、GAままの鋼板を用いた例であり、すべての特性に劣っている。
次に、表1の試料2(X値=1.0、本発明例)について、図4〜図8を参照しながら、加熱後の保護皮膜(りん酸塩処理前)について詳しく説明する。比較のため、X値が本発明の範囲を満足しない比較例の試料(X値=0.15、表には示していない。)を用いたときの結果(図9)と対比ながら説明する。
図4は、本発明例について、加熱後の表面をSEMで観察した写真(倍率:1500倍)であり、図5〜8は、図4と同一部分の表面について、EPMAによるO、Si、P、Znのマッピング像(倍率:1500倍)である。図4〜図8に示すように、加熱により、Znめっき層の表面は合金化されてZn−Fe合金化層(図には示されず)が形成され、このZn−Fe合金化層を覆うように、P−O−Zn化合物、ZnO、およびSiOを含有する保護皮膜が薄く形成された。このうち、ZnOは、保護皮膜を突き破るようにして観察された。また、加熱後の保護皮膜には、複数のクラックが発生していることが確認された。
一方、図9は、比較例の試料(X値=0.15)について、加熱後の表面をSEMで観察した写真(倍率:1500倍)である。図9に示すように、加熱後の保護皮膜は、ZnOおよびSiOから形成されており、P−O−Zn化合物を含んでいない。また、SiOは、本発明例の保護皮膜に比べて多い。保護皮膜の下側には、所々に、Znめっき層との間に空隙が見られ、保護皮膜とZnめっき層との密着性が悪いことが分かる(図には示さず)。
次に、図10および図11を参照しながら、上記の本発明例および比較例の各試料について、加熱後にりん酸塩処理を行ったときの表面のりん酸塩皮膜を対比しながら説明する。
図10は、本発明例の試料2について、りん酸塩処理後の表面をSEMで観察した写真(倍率:1500倍)である。
図10に示すように、本発明例では、保護皮膜の表層全面にわたって、りん酸塩処理による緻密なりん酸塩結晶が密着性良く生成していることが分かる。
図11は、比較例の試料(X値=0.15、表には示していない。)について、りん酸塩処理後の表面をSEMで観察した写真(倍率:1500倍)である。図11に示すように、比較例では、りん酸塩結晶の生成は不均一であった。
一方、図12〜図13は、試料2(本発明例)および試料19(処理液にコロイダルシリカの添加なし)について、前述したSDT試験を行った後の写真である。図12に示すように、本発明例では、皮膜の剥離が殆ど見られなかったのに対し、比較例では、りん酸塩処理性に劣るため、塗膜の密着性が劣化し、図13に示すように、皮膜の剥離が観察され、塗装後密着性が低下した。
図1は、本発明の要件を満足するバリア層を備えた溶融Znめっき鋼板を加熱した後の保護皮膜の断面を模式的に示す概略図である。 図2は、バリア層を有しない溶融Znめっき鋼板を加熱した後の皮膜の断面を模式的に示す概略図である。 図3は、実施例に用いたプレス加工品の形状を示す概略図である。 図4は、実施例に用いた本発明例の試料2について、900℃で1分加熱した後の表面のSEM像(倍率1500倍)である。 図5は、図4と同一部分のEPMAによるOマッピング像である。 図6は、図4と同一部分のEPMAによるSiマッピング像である。 図7は、図4と同一部分のEPMAによるPマッピング像である。 図8は、図4と同一部分のEPMAによるZnマッピング像である。 図9は、比較例の試料(X値=0.15)について、900℃で1分加熱した後の表面のSEM像(倍率1500倍)である。 図10は、実施例に用いた本発明例の試料2について、900℃で1分加熱した後にりん酸塩処理を行った表面のSEM像(倍率1500倍)である。 図11は、比較例の試料(X値=0.15)について、900℃で1分加熱した後にりん酸塩処理を行った表面のSEM像(倍率1500倍)である。 図12は、実施例に用いた本発明例の試料2ついて、SDT試験を行った後の写真である。 図13は、実施例に用いた比較例の試料19について、SDT試験を行った後の写真である。 図14は、実施例に用いた本発明例の試料2について、バリア層の表面のSEM像(倍率1500倍)である。 図15は、図14と同一部分のEPMAによるOマッピング像である。 図16は、図14と同一部分のEPMAによるSiマッピング像である。 図17は、図14と同一部分のEPMAによるPマッピング像である。 図18は、図14と同一部分のEPMAによるZnマッピング像である。 図19は、実施例に用いた本発明例の試料2について、ホットプレス時の成型荷重の結果を示す図である。 図20は、実施例に用いた比較例の試料20(溶融Znめっきまま鋼板)について、ホットプレス時の成型荷重の結果を示す図である。
符号の説明
1 溶融Znめっき層
2、12 保護皮膜
3 ZnO
4 P、O、ZnからなるP−O−Zn化合物
5 SiO
6 クラック
10、20 加熱後の溶融Znめっき鋼板

Claims (4)

  1. 鋼のAc点以上の温度に加熱してプレスされるホットプレス用溶融Znめっき鋼板であって、
    前記ホットプレス用溶融Znめっき鋼板の溶融Znめっき層の表面は、加熱後のZnの蒸発を防止するバリア層で被覆されており、前記バリア層中のPとSiの比(P/Si)は0.5以上2.5以下であることを特徴とするホットプレス用溶融Znめっき鋼板。
  2. 前記バリア層は、乾燥後の付着量で、0.3g/m以上2.0g/m以下の範囲内である請求項1に記載のホットプレス用溶融Znめっき鋼板。
  3. 請求項1または2に記載のホットプレス用溶融Znめっき鋼板を、鋼のAc点以上の温度に加熱して得られる溶融Znめっき鋼板。
  4. 請求項1または2に記載のホットプレス用溶融Znめっき鋼板を、鋼のAc点以上の温度に加熱してプレスするか、または、プレスした後に鋼のAc点以上の温度に加熱して得られるホットプレス成形材。
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