JP2011032497A - 熱間プレス用表面処理鋼板およびそれを用いた熱間プレス部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱間プレス部材が塗装後に腐食環境に曝されても、優れた外観耐食性が得られる熱間プレス用表面処理鋼板およびそれを用いた熱間プレス部材の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼板表面に、順に、1〜50質量%のAlを含有するZn-Al合金めっき層と融点が500〜1000℃の無機化合物とを有し、前記Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量が20〜100g/m2で、前記無機化合物の片面当りの付着量が1〜5000mg/m2であることを特徴とする熱間プレス用表面処理鋼板。
【選択図】なし
【解決手段】鋼板表面に、順に、1〜50質量%のAlを含有するZn-Al合金めっき層と融点が500〜1000℃の無機化合物とを有し、前記Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量が20〜100g/m2で、前記無機化合物の片面当りの付着量が1〜5000mg/m2であることを特徴とする熱間プレス用表面処理鋼板。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車の足廻り部材や車体構造部材などに好適な表面処理鋼板、特に、ダイとパンチからなる金型を用いて加熱された鋼板を加工する熱間プレスに適した熱間プレス用表面処理鋼板およびそれを用いた熱間プレス部材の製造方法に関する。
従来から、自動車の足廻り部材や車体構造部材などの多くは、所定の強度を有する鋼板をプレス加工して製造されている。近年、地球環境の保全という観点から、自動車車体の軽量化が熱望され、使用する鋼板を高強度化して、その板厚を低減する努力が続けられている。しかし、鋼板の高強度化に伴ってそのプレス加工性が低下するため、鋼板を所望の部材形状に加工することが困難になる場合が多くなっている。
そのため、特許文献1には、ダイとパンチからなる金型を用いて加熱された鋼板を加工すると同時に急冷することにより加工の容易化と高強度化の両立を可能にした熱間プレスと呼ばれる加工技術が提案されている。しかし、この熱間プレスでは、熱間プレス前に鋼板を950℃前後の高い温度に加熱するため、鋼板表面にはスケール(Fe酸化物)が生成し、そのスケールが熱間プレス時に剥離して、金型を損傷させたり、熱間プレス後の部材表面を損傷させるという問題がある。また、部材表面に残ったスケールは、外観不良や、塗膜密着性(塗装性)の低下や、耐食性の低下の原因にもなる。このため、通常は酸洗やショットブラストなどの処理を行って部材表面のスケールは除去されるが、これは製造工程を複雑にし、生産性の低下を招く。
このようなことから、熱間プレス前の加熱時にスケールの生成を抑制し、熱間プレス後の部材の塗装性や耐食性を向上させることのできる熱間プレス用鋼板が要望され、表面にめっき層などの被膜を設けた鋼板が提案されている。例えば、特許文献2には、AlまたはAl合金が被覆された被覆鋼板が開示されている。この被覆鋼板では、熱間プレス前の加熱時に脱炭や酸化が防止され、熱間プレス後に極めて高い強度と高い耐食性が得られると述べられている。また、特許文献3には、ZnまたはZnベース合金を被覆した鋼板を熱間プレスする際に、熱間プレス前の加熱時に、腐食や脱炭を防止するとともに、潤滑機能を有するZn-Feベースの化合物やZn-Fe-Alベースの化合物などの合金化合物を鋼板表面に生成させる熱間プレス方法が開示されている。この熱間プレス方法で製造された部材、特に、Zn-50〜55質量%Alの被覆された鋼板を用いた部材では、優れた腐食防止効果の得られることが示されている。さらに、特許文献4には、合金化溶融Znめっき鋼板を用い、熱間プレス後の部材表面にFe-Zn固溶相を含むめっき層の形成された熱間プレス部材が開示されている。この熱間プレス部材では、優れた熱間プレス加工性(めっき層の密着性)、耐食性、溶接性が得られることが示されている。
しかしながら、特許文献2に記載のAlまたはAl合金が被覆された被覆鋼板では、熱間プレス時にAlまたはAl合金のめっき層が損傷を受け、この熱間プレス部材は塗装後に腐食環境に曝されると塗膜の膨れが顕著に発生する、すなわち外観耐食性が低下するといった問題がある。また、特許文献3や4に記載のZnまたはZn合金が被覆された鋼板でも、熱間プレス前の加熱時にZnが酸化されたり、熱間プレス時にZnまたはZn合金のめっき層が損傷を受け、これらの熱間プレス部材も塗装後に腐食環境に曝されると外観耐食性が低下するといった問題がある。
本発明は、熱間プレス部材が塗装後に腐食環境に曝されても、優れた外観耐食性が得られる熱間プレス用表面処理鋼板およびそれを用いた熱間プレス部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱間プレス部材が塗装後に腐食環境に曝されても、優れた外観耐食性が得られる熱間プレス用表面処理鋼板について鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。
i) めっき層上に融点が500〜1000℃の無機化合物を存在させ、熱間プレス前の加熱時にこの無機化合物を溶融させると、熱間プレス時の摺動性が向上し、めっき層の損傷を防止できる。
ii) 優れた外観耐食性を確実に得るには、上記の無機化合物に加えて、めっき層として、犠牲防食効果を有するZnめっき中にスケールの生成やZnの酸化を防止する効果のあるAlを1〜50質量%含有させたZn-Al合金めっき層を用いることが効果的である。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板表面に、順に、1〜50質量%のAlを含有するZn-Al合金めっき層と融点が500〜1000℃の無機化合物とを有し、前記Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量が20〜100g/m2で、前記無機化合物の片面当りの付着量が1〜5000mg/m2であることを特徴とする熱間プレス用表面処理鋼板を提供する。
本発明は、また、融点が熱間プレス前の加熱温度未満である無機化合物を有する本発明の熱間プレス用表面処理鋼板を用い、前記熱間プレス前の加熱温度に加熱して熱間プレスを行う熱間プレス部材の製造方法を提供する。
本発明により、熱間プレス部材が塗装後に腐食環境に曝されても、優れた外観耐食性が得られる熱間プレス用表面処理鋼板を提供できるようになった。本発明の熱間プレス用表面処理鋼板は、熱間プレスで製造される自動車の足廻り部材や車体構造部材、特に、外観が問題となるような部材に好適である。
1) Zn-Al合金めっき層について
上述したように、Zn-Al合金めっき層上に特定の温度範囲に融点を有する無機化合物を存在させ、熱間プレス前の加熱時にこの無機化合物を溶融させると、熱間プレス時の摺動性が向上し、めっき層が損傷を受け難くなり、外観耐食性の低下を防止できる。
上述したように、Zn-Al合金めっき層上に特定の温度範囲に融点を有する無機化合物を存在させ、熱間プレス前の加熱時にこの無機化合物を溶融させると、熱間プレス時の摺動性が向上し、めっき層が損傷を受け難くなり、外観耐食性の低下を防止できる。
しかし、熱間プレス時の摺動性を向上させても、Zn-Al合金めっき層のAl含有率や付着量によっては外観耐食性の低下を招く場合があるので、これらの量を適正にコントロールする必要がある。
Zn-Al合金めっき層のAl含有率が1質量%未満では、めっき層表面に形成されるAl酸化物による耐酸化性効果が不十分となり、スケールが発生したり、Znの酸化が著しくなってめっき層表面が粉状のZn酸化物で覆われるため、外観耐食性が低下する。一方、Al含有率が50質量%を超えると、めっき層表面におけるAlの存在比率が過大となり、Al系めっき特有の糸状錆の発生が顕著となるため、外観耐食性が低下する。したがって、Zn-Al合金めっき層のAl含有率は1〜50質量%、好ましくは2〜20質量%とする。ここで、Zn-Al合金めっき層のAl含有率は、例えば、次に示す湿式分析法により求めることができる。すなわち、6質量%塩酸水溶液にインヒビターとしてヘキサメチレンテトラミンを1g/l添加した水溶液に付着面積既知のめっき層全体を溶解し、このときの重量減少量からめっき付着量を求める。また、このとき回収した溶解液を原子吸光分析またはICP分析に供することによってAl含有量を求め、めっき付着量に対するAl含有量の比率(Al含有率)を算出する。
なお、めっき層のAl以外の残部はZnおよび不可避的不純物とする。不可避的不純物としては、Mg:1.0質量%未満、Si:1.0質量%未満、Ni:0.1質量%未満が許容できる。このように、Mg:1.0質量%未満、Si:1.0質量%未満とすることによりドロスの付着が少なくなるとともに、プレス時のめっき層の亀裂の発生が少なくなって、加工性が優れるという利点がある。また、Ni:0.1質量%未満とすることにより耐黒変性が優れるという利点もある。
Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量が20g/m2未満では、Znの犠牲防食効果が乏しいため、十分な外観耐食性が得られない。一方、片面当りの付着量が100g/m2を超えると、プレス時にめっき層に亀裂が大量に発生し、外観耐食性が低下する。したがって、Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量は20〜100g/m2、好ましくは30〜90g/m2とする。ここで、Zn-Al合金めっき層の付着量は、例えば、上述の湿式分析法により測定できる。
本発明におけるZn-Al合金めっき層の形成方法には、公知のめっき方法が適用可能である。なかでも、鋼板を溶融したZn-Alめっき浴に浸漬することにより鋼板表面にめっき層を形成させる溶融めっき法が、生産性や経済性の観点から好ましい。このとき、Zn-Alめっき浴組成は、Zn-Al合金めっき層のAl含有率が1〜50質量%となるように調整すればよい。また、Zn-Al合金めっき層の付着量は、通常行われているように、鋼板の搬送速度やワイピングガスの流量を変えて調整することができる。なお、本発明では、めっき層の合金化処理を行ってもよいが、コストアップとなるため合金化処理は行わない方が好ましい。
めっき方法としては、このような溶融めっき法以外に、電気めっき法や蒸着めっき法を挙げられる。
2) 無機化合物について
本発明では、外観耐食性の改善を図るべく、特定の温度範囲の融点を有する無機化合物をZn-Al合金めっき層上に存在させている。これは、融点が熱間プレス前の加熱温度未満である無機化合物を存在させ、加熱時にこの無機化合物を溶融させれば、流体潤滑効果により熱間プレス時の摺動性を著しく向上させることができ、その結果、めっき層の損傷が少なくなり、外観耐食性が向上するためである。また、摺動性を著しく向上させることによりめっき層の損傷を防止できるため、金型の汚染も抑制でき、生産性を向上できるという利点もある。なお、本発明において、熱間プレス前の加熱温度とは熱間プレス前の加熱時の鋼板温度である。
本発明では、外観耐食性の改善を図るべく、特定の温度範囲の融点を有する無機化合物をZn-Al合金めっき層上に存在させている。これは、融点が熱間プレス前の加熱温度未満である無機化合物を存在させ、加熱時にこの無機化合物を溶融させれば、流体潤滑効果により熱間プレス時の摺動性を著しく向上させることができ、その結果、めっき層の損傷が少なくなり、外観耐食性が向上するためである。また、摺動性を著しく向上させることによりめっき層の損傷を防止できるため、金型の汚染も抑制でき、生産性を向上できるという利点もある。なお、本発明において、熱間プレス前の加熱温度とは熱間プレス前の加熱時の鋼板温度である。
しかし、無機化合物の融点が500℃未満だと、熱間プレス前の加熱時の昇温過程の早い段階で無機化合物が溶融し、溶融した無機化合物は加熱炉に付着しやすいので、溶融状態の無機化合物の量が減少して、熱間プレス時の摺動性が低下し、外観耐食性の低下を招く。一方、熱間プレス前の加熱温度は一般に700〜1200℃ぐらいなので、無機化合物の融点が1000℃を超えると、加熱時に無機化合物が溶融しなかったり、溶融が不十分であったりして、熱間プレス時の摺動性が低下して、外観耐食性の低下を招く。したがって、無機化合物の融点は500〜1000℃、好ましくは500〜900℃とする。無機化合物としては、熱間プレス前の加熱温度に合わせて、その温度で溶融する化合物を適宜選定すればよい。なお、通常、加熱後熱間プレスするまでの間に鋼板温度が低下する。そのため、加熱時には溶融していた無機化合物が、実際にプレスされ摺動を受けるときには溶融状態ではない場合もある。この場合においても無機化合物は一旦溶融したものであり、軟化状態であるため摺動性向上効果を有する。しかし、熱間プレス前の加熱温度は無機化合物の融点より50℃以上高い条件とすることが、熱間プレス時において無機化合物を溶融状態に確実に保持できるので、より好ましい。
また、無機化合物の片面当りの付着量が1mg/m2未満だと、溶融状態の無機化合物の量が少なく、熱間プレス時の摺動性が不十分となり、外観耐食性が低下する。一方、無機化合物の片面当りの付着量が5000mg/m2を超えると、摺動性向上の効果が飽和するため不経済であるばかりでなく、熱間プレス後に多くの無機化合物が残存するため、化成処理や塗装処理の不均一を招き、外観耐食性を低下させる。したがって、無機化合物の片面当りの付着量は1〜5000mg/m2とする。ここで、無機化合物の付着量は、例えば、次に示す方法により測定できる。すなわち、無機化合物を塗布・乾燥する前後の重量変化から測定する方法、無機化合物のみを溶解可能な溶液により無機化合物を溶解除去し重量変化から測定する方法、無機化合物が付着しためっき層ごと酸に溶解してその溶解液を原子吸光分析またはICP分析などにより分析してマーカーとなる元素の量を定量し無機化合物量に換算する方法などである。
なお、無機化合物に沸点や分解温度が存在する場合には、それらの温度が1200℃を超える化合物が望ましい。これは、無機化合物の沸点や分解温度が1200℃以下であると、熱間プレス前の加熱時に無機化合物が気体となって消失したり、分解して溶融しなくなったりしてしまうためである。こうした条件を満たす無機化合物として、例えば、融点が741℃、沸点が1575℃の四ホウ酸ナトリウム十水和物(硼砂)が好ましい。ただし、熱間プレス前の加熱条件によっては、この四ホウ酸ナトリウム十水和物が350〜400℃で無水物に変化し、さらに昇温を続けると878℃で溶融する場合がある。したがって、この四ホウ酸ナトリウム十水和物の使用は、熱間プレス前の加熱温度が878℃以上の場合に好適である。この他、本発明に適用できる無機化合物としては、硫酸アンモニウム、硝酸ストロンチウム、酸化アンチモン(III)、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウムなどを挙げることができる。
さらに、無機化合物をZn-Al合金めっき層上に固定するために、無機化合物に有機化合物を共存させることも可能である。ただし、熱間での摺動性を向上させる効果を有するのは無機化合物であるため、無機化合物と有機化合物を共存させる場合は、無機化合物の比率を50質量%以上とすることが好ましい。なお、有機化合物を共存させても、熱間プレス前の加熱は700〜1200℃で行われるため、有機化合物は大気中の酸素と反応して二酸化酸素や水となり消失するため、摺動性やめっき層には何ら影響を与えることはない。
こうした無機化合物をめっき層上に存在させるには、公知の方法が適用可能である。例えば、無機化合物を含む水溶液などの溶液をZn-Al合金めっき層上に塗布し、乾燥することにより水分や溶媒を蒸発させて、無機化合物をめっき層上に存在させる方法を挙げられる。塗布方法としては、バーコーター法、ハケ塗り法、ロールコーター法、浸漬法、スプレー法を挙げることができる。
本発明の熱間プレス用表面処理鋼板を熱間プレスするには、プレス前に通常の条件で加熱、すなわち鋼板温度を700〜1200℃に加熱する必要があるが、加熱方法としては、電気炉やガス炉などによる加熱、火炎加熱、通電加熱、高周波加熱、誘導加熱などを適用できる。
なお、本発明の熱間プレス用表面処理鋼板のための素材の鋼板としては、熱間プレス後の部材として自動車の足廻り部材や車体構造部材などを対象にしているため、熱間プレス後に780MPa以上の強度の得られる焼入れ性に富む鋼板、例えば、質量%で、C:0.19〜0.24%、Si:0.12%以下、Mn:1.35〜1.55%、Al:0.04%以下、Cr:0.4〜0.5%、B:0.0015〜0.0025%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成の熱延鋼板や冷延鋼板を用いることができる。必要に応じて、Ti、Nb、Mo、V、Ni、Cu、Wの少なくとも1種を含有させることもできる。
素材の鋼板として、質量%で、C:0.23%、Si:0.12%、Mn:1.5%、Al:0.03%、Cr:0.4%、B:0.0022%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する板厚1.6mmの冷延鋼板を用いた。まず、この冷延鋼板をAl含有量の異なるZn-Alめっき浴中に浸漬後、ガスワイピングにより付着量を調整して、鋼板表面にZn-Al合金めっき層を形成した。表1に、得られたZn-Al合金めっき層中のAl含有率および片面当りの付着量を示したが、このAl含有率はZn-Alめっき浴中のAl含有率と同一であった。次に、Zn-Al合金めっき層上に、表1に示すような融点の無機化合物の水溶液をバーコーターにより塗布後、120℃で10分間の乾燥を行って無機化合物を存在させて、表面処理鋼板No.1〜35を作製した。表1に、作製した表面処理鋼板の片面当りの無機化合物の付着量を示した。なお、ここで存在させた無機化合物は、有機化合物を含まず、無機化合物のみからなる。
作製した表面処理鋼板No.1〜35から50mm×300mmのサンプルを切り出し、大気雰囲気の電気炉内で950℃(鋼板温度)で10分間加熱後、サンプルを炉内から取り出して直ぐに平面金型で挟み付け、面圧が10MPaとなるように荷重を調整し、引き抜き速度100mm/秒でサンプルを引き抜いて、熱間プレスを想定した高温での摺動を実施した。このとき、摺動時の鋼板の温度は900℃であった。なお、表面処理鋼板No.34、35については、次のように加熱温度を変化させて熱間プレスを行った。すなわち、No.34については、熱間プレス前の加熱温度を770℃とし、No.35については、熱間プレス前の加熱温度を1045℃とした。このときの摺動時の鋼板温度は、それぞれ720℃、995℃であった。そして、摺動後のサンプルから50mm×100mmのサンプルを切り出し、化成処理、電着塗装を施した。このとき、化成処理は、日本パーカライジング株式会社製化成処理液PB-L3020を使用し、冷延鋼板での付着量が2.0〜2.5g/m2となるように調整した条件で化成処理を行った。また、電着塗装は、関西ペイント株式会社製電着塗料GT-10を使用し、電圧200Vで塗装後、170℃で20分間の焼付けを行い、厚さが20μmの電着塗膜を形成した。このようにして得られた電着塗装後のサンプルに、カッターナイフにより地鉄に達するクロスカット傷を入れ、クロスカット傷を入れた面とは反対側の面および端部をシールした後、JIS Z2371-2000に準拠した塩水噴霧試験を行い、480時間後のクロスカット傷部からの最大膨れ幅を測定した。以下の基準で外観耐食性を評価し、○、△であれば本発明の目的を達成していると判定した。
○:最大膨れ幅≦3mm
△:3mm<最大膨れ幅≦4mm
×:4mm<最大膨れ幅
結果を表1に示す。本発明である熱間プレス用表面処理鋼板No.1〜17、34および35は、外観耐食性に優れていることがわかる。
○:最大膨れ幅≦3mm
△:3mm<最大膨れ幅≦4mm
×:4mm<最大膨れ幅
結果を表1に示す。本発明である熱間プレス用表面処理鋼板No.1〜17、34および35は、外観耐食性に優れていることがわかる。
Claims (2)
- 鋼板表面に、順に、1〜50質量%のAlを含有するZn-Al合金めっき層と融点が500〜1000℃の無機化合物とを有し、前記Zn-Al合金めっき層の片面当りの付着量が20〜100g/m2で、前記無機化合物の片面当りの付着量が1〜5000mg/m2であることを特徴とする熱間プレス用表面処理鋼板。
- 融点が熱間プレス前の加熱温度未満である無機化合物を有する請求項1に記載の熱間プレス用表面処理鋼板を用い、前記熱間プレス前の加熱温度に加熱して熱間プレスを行うことを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。
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