JP4855290B2 - 溶融亜鉛メッキ鋼板および合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛メッキ鋼板および合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 Download PDF

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本発明は、Niプレメッキ法による、メッキ皮膜の密着性および均一性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板、およびさらに合金化ムラが生じず耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法に関する。
溶融亜鉛メッキ鋼板(以降「GI」)、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(以降「GA」)は、いずれも自動車、家電、建材等の用途に用いられ、通常は同一の製造設備にて製造される。ここで、本発明が対象とするプレNi法によるGIあるいはGAの製造方法が特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1では、GIの製造方法が、特許文献2では、GAの製造方法が開示されているが、これらは、近年の厳しい外観、密着性要求に対して不足であった。また特許文献1において、近年の厳しい要求のメッキ密着性を確保しようとすると、溶融亜鉛メッキ浴中のAl濃度を高くとる必要があり、この場合にはスポット溶接性や塗装性が劣化するといった問題があった。また例えば、GI、GAが同一設備にて製造される場合、GA用の合金化炉の残熱がある状態でGIを通板することは不可能であった。
また特許文献2においては、GAの耐食性向上を主目的としていたため、近年の厳しい外観、密着性要求に対して不足であり、特にTi添加鋼に代表される極低炭素鋼板に適用した際には、合金化ムラが発生しやすく、耐パウダリング性も劣るといった課題があった。
前記課題に対して、特許文献3において、Niプレメッキ法を応用して、極低炭素鋼板を原板として、優れた特性のGAの製造方法を提案した。しかしながら、その後の更に詳細な検討の結果、この方法をもってしても次のような問題があることが判明した。すなわち、その一つは外観品位に関わるものであり、原板によっては合金化ムラによる外観不良が顕著に発生する場合があった。この原因は十分特定できていないが、原板の表面状態が何らかの影響をしており、冷間圧延の際のロールの表面のキズ、荒れ状態が影響すること、またいわゆるスクラッチロールといわれる圧延性を向上させるために粗度を付けたロールにて圧延された材料で発生しやすいことを突き止めた。また、製鋼後のスラブの表層を研削手入れする際、不均一な段差が発生していると発生しやすいことも突き止めた。しかしながら原板の状態を常に良好に保つことは困難であった。またもうひとつの問題は生産性や設備負荷に関わるものであり、極低炭素鋼板がTi添加鋼である場合、良好なパウダリング性を得ようとすると、合金化加熱の昇温速度を高くとり、更に加熱後に急速に冷却する必要性があった。
特許第2517169号公報 特許第2783452号公報 WO2006/112515A1
本発明は、メッキ皮膜の密着性および均一性に優れたGI、およびさらに合金化ムラが生じず耐パウダリング性に優れたGAの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、公知のプレNi法によるGI、GAの製造方法について詳細に検討した結果、GI、GA双方における課題のいずれもが、地鉄界面に形成されるAl合金層の不完全性に起因することを知見した。すなわち、GIにおいては、Al合金層の不完全性によって、浴内あるいは浴を出た後の工程で顕熱によって、Zn−Fe合金化が開始し、メッキ皮膜の密着性および均一性が劣化する。またGAにおいては、Al合金層の不完全性によって、浴内あるいは浴を出た後、合金化炉にて合金化される前の時点で顕熱によって、Zn−Fe合金化が開始し、合金化ムラやあるいはパウダリング性を劣化させるΓ層の発達が促進される。
以上の知見の元に、地鉄界面に形成されるAl合金層の均一性を向上させる手段を検討したところ、意外にも従来常識に反して、浴温、或いは浴温に加えて侵入板温を従来操業領域よりも僅かに低めることによって、極めて顕著な効果の得られることを知見し、本発明にいたった。
すなわち、本発明の要旨とするところは、Ni付着量0.1g/m以上0.8g/m以下としたNiプレメッキを施した鋼板に溶融亜鉛メッキするに際し、溶融亜鉛メッキ浴のAl濃度を0.12〜0.2%とし、溶融亜鉛メッキ浴温を融点以上450℃未満とする浴への侵入板温は400℃以上450℃未満で、メッキ浴温より低温とすることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法である。また本発明は、前記の方法で製造した溶融亜鉛メッキ鋼板を加熱合金化処理することを特徴とする合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法である。
本発明によって、メッキ皮膜の密着性および均一性に優れたGI、およびさらに合金化ムラが生じず耐パウダリング性に優れたGAの製造が可能となる。本発明は、従来困難とされてきたTi添加極低炭素鋼板を原板とするGA製造にも適用可能なものである。また本発明によっては、メッキ浴の浴濃度調整することなしに同一浴にて、品質の良好なGIとGAを造り分けることも可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明でのメッキ原板たる鋼板は、冷延、焼鈍済みの鋼板あるいは熱延、酸洗済みの鋼板を対象とする。
まず、鋼板表面の清浄化を行い、表面の汚れや酸化膜を除去する必要がある。この処理が不十分であると、後のNiプレメッキが不均一となり、GI、GAの外観が不均一となる。清浄化処理としては、アルカリ水溶液による脱脂処理と酸水溶液による酸洗処理が望ましい。アルカリ水溶液による脱脂処理としては、スプレー、浸漬、電解等いずれも使用可能であり、ブラシ等の機械的脱脂との併用も可能である。酸洗処理としては、硫酸、塩酸等の水溶液を用いて、スプレー、浸漬、電解等いずれも使用可能である。酸洗処理の後は水洗して乾燥することなく次のNiプレメッキを行なうことが望ましい。
Niプレメッキの条件は特に限定されず、硫酸浴、watt浴等による電気メッキ等、公知の方法によってめっきすればよい。Niプレメッキには、Fe、Co、Cu等の合金元素が含まれても構わない。NiプレメッキのNi付着量は0.1g/m以上0.8g/m以下とするのが望ましい。0.1g/m未満であると後の溶融メッキのぬれ性が悪く、0.8g/mを超えるとGIのメッキ密着性や均一性が悪化しやすい。
Niプレメッキ後に、無酸化あるいは還元性雰囲気中で500℃以下の温度に30℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行なうことが望ましい。この処理は溶融メッキの濡れ性、またメッキ密着性を確保するために必要である。昇温後即、あるいは所定温度まで冷却した後、溶融亜鉛メッキ浴に侵入させるが、この際の侵入板温は、極めて重要であり、450℃未満とすることが、メッキ皮膜の密着性および均一性に優れたGI、およびさらに合金化ムラが生じず耐パウダリング性に優れたGAの製造を行なううえで望ましい。なお、400℃未満となった場合、ドロスを巻き込んだムラが発生しやすくなるため、下限は400℃とするのが望ましい。
溶融亜鉛メッキ浴は、Al0.12〜0.2%と不可避的不純物と残部Znからなる浴を用いるが、更にPb、Sb、Sn、Mg、Ni等を含有しても構わない。Al下限未満では、GI製造の際に品質不良となり、上限を超えるとGA製造における合金化が遅延する。特にP等を添加した鋼板は合金化が遅いため、GAの製造が不可能となる。Al0.12〜0.2%の範囲であれば、GIとGA共に良好な性能が得られるが、より好ましくはAl0.14〜0.17%とするのが良い。溶融亜鉛メッキの浴温は、融点以上、450℃未満とする必要がありこの点は本発明の最大のポイントである。従来は、浴温は450〜470℃程度で操業されるのが通常であり、浴温を下げると、地鉄界面のAl合金層の反応性が低下し、Zn−Feの不均一合金化が進行しやすいと考えられていた。しかしながら本発明のNiプレメッキ法においては、従来常識よりも僅かに浴温を低下することで、Al合金層の形成は安定化し、よってメッキ皮膜の密着性および均一性に優れたGI、およびさらに合金化ムラが生じず耐パウダリング性に優れたGAの製造が可能となる。また従来は、浴温を下げると、メッキのぬれ性の低下やまた目付け制御の困難性が指摘されていたが、本発明のNiプレメッキ法においてはそういった問題はなかった。浴温の下限は融点以上であることは言うまでも無いが、温度の不均一で部分的凝固が発生するといった問題を回避するため、430℃以上にすることが望ましい。
本発明においては、従来技技術と異なり、浴温、或いは浴温に加えて侵入板温を僅かに下げる方向でAl合金層の形成が安定化するため、浴を出た後の鋼板の顕熱を下げる方向とAl合金層の形成が安定化する方向が一致するため、良好な特性が得られるものである。
また、本発明においては、浴への侵入板温をメッキ浴温より低温とすることがより好ましい。これによって、Al合金層の形成はいっそう安定化する。
本発明の、低浴温、低侵入板温におけるメッキの濡れ性をいっそう改善する上では、メッキ浴中に0.001%以上、より好ましくは0.02%以上のNiを添加することが望ましい。ただし、添加量が多すぎるとドロスが発生しやすいと共にドロスを巻き込んだムラが発生しやすくなるため、上限は0.1%、より好ましくは0.08%とするのが望ましい。
メッキ後、ワイピングで目付けを調整した後、GA製造の場合は合金化処理を行う。なお、GI製造の場合は、合金化処理は当然行なわないが、設備上の制約(炉の制御性)で加熱せざるを得ない場合は、450℃未満とするのが良い。GAの合金化処理では、特に特別な合金化条件に限定せずとも、良好な特性が得られるのが本発明の特徴の一つである。よりいっそう良好な特性を得るためには、500〜600℃に20℃/sec以上の昇温速度で急速加熱を行い、均熱時間をとらずに冷却するか、または15秒未満の均熱保持の後に冷却することが望ましい。
以下に実施例によって本発明を詳細に説明する。
(1)GI製造(実施例1〜9、11、13〜15、19〜20および比較例1〜4)
表1に示した試験原板の原板を用い、表2の前処理条件に示す前処理の後、表3のNiプレメッキ条件に示すメッキ浴にて電気メッキ(浴温60℃、電流密度30A/dm)にてNiプレメッキを行なった。なお、表1の原板は全てグラインダ手入れによる段差の発生したスラブを母材とし、メッキムラによる外観不良が発生しやすいことが判明しているものを用いた。その後、2%H+Nの雰囲気中で50℃/secの昇温速度にて所定温度まで加熱し、即その温度を保持して溶融亜鉛メッキ浴に浸漬した。溶融Znメッキ浴中で3sec保持の後、ワイピングして目付けを調整した。目付けは70g/mとした。その後約400℃の雰囲気の炉内に15sec保持して水冷した。その後0.5%の調質圧延を行なった。
なお、比較例4では、プレNi法ではなくいわゆるゼンジミア法によって製造した。すなわち、表1の原板1と同一成分、同一板厚の冷延済み、未焼鈍材(原板9)を用い、表2に示す前処理のうちアルカリ脱脂処理のみを行った後、10%水素雰囲気中にて800℃×60secの焼鈍、還元処理を行った後、溶融Znメッキ浴に浸漬し3sec保持の後、ワイピングして目付けを調整した。目付けは70g/mとした。その後、後約400℃の雰囲気の炉内に15sec保持して水冷した。その後0.5%の調質圧延を行なった。
表4のGIサンプル製造条件および評価結果に各水準のNiプレメッキ量、浴侵入板温、浴温、浴Al濃度の各条件を示す。
各条件で製造したGIについては以下のような評価を行なった。
外観:均一な光沢のあるGI外観かどうかを目視判定した。均一美麗な外観を「◎」、略均一なものを「○」、不メッキや白ボケ外観のあるものを「△」、不メッキや白ボケ外観の顕著なものを「×」と評価した。
メッキ密着性:1−T曲げにより外側、内側双方のメッキ剥離を観察した。外側、内側とも剥離なしを「◎」、外側剥離なし、内側軽微な剥離ありを「○」、外側軽微な剥離ありか、または内側顕著な剥離ありを「△」、外側顕著な剥離ありを「×」と評価した。
合金化抑制:地鉄メッキ界面にAl合金層が形成され、Zn−Fe合金化が抑制されているかどうかを断面のEPMA観察によって評価した。界面に明瞭なAl合金層が形成され、Zn−Fe合金化が完全に抑制されているものを「◎」、Zn−Fe合金化は抑制されているも界面のAl合金層がやや不明瞭なものを「○」、界面にZn−Fe合金化が観察されるものを「△」、更に顕著なものを「×」と評価した。
Figure 0004855290
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表4の比較例1に示すように、浴温が従来技術のものでは、Zn−Fe合金化が抑制されずに、メッキ密着性や外観が悪化する。また比較例2、3に示すように浴Al濃度が低い場合や、Ni付着量が高い場合にも同様に悪化する。また比較例4に示すように、ゼンジミア法において本発明の浴温度、侵入板温度条件を適用すると、やはりZn−Fe合金化が抑制されずに、メッキ密着性や外観が悪化する。これに対して実施例で示すように、本発明の方法では、どのような原板を用いた場合も、地鉄メッキ界面のAl合金層が安定化され、Zn−Fe合金化が抑制され、良好なメッキ密着性、外観が得られる。
(2)GA製造(実施例21〜35および比較例5〜8)
表1に示した原板を用い、表2に示す前処理の後、表3に示すメッキ浴にて電気メッキ(浴温60℃、電流密度30A/dm)にてNiプレメッキを行なった。なお、表1の原板は全てグラインダ手入れによる段差の発生したスラブを母材とし、メッキムラによる外観不良が発生しやすいことが判明しているものを用いた。その後、2%H+Nの雰囲気中で50℃/secの昇温速度にて所定温度まで加熱し、即その温度を保持して溶融亜鉛メッキ浴に浸漬した。溶融Znメッキ浴中で3sec保持の後、ワイピングして目付けを調整した。目付けは50g/mとした。その後50℃/secの昇温速度にて所定の合金化温度まで加熱し、10℃/secで15秒間徐冷した後、水冷した。その後0.5%の調質圧延を行なった。
なお、比較例8では、プレNi法ではなくいわゆるゼンジミア法によって製造した。すなわち、表1の原板1と同一成分、同一板厚の冷延済み、未焼鈍材(原板9)を用い、表2に示す前処理のうちアルカリ脱脂処理のみを行った後、10%水素雰囲気中にて800℃×60secの焼鈍、還元処理を行った後、溶融Znメッキ浴に浸漬し3sec保持の後、ワイピングして目付けを調整した。目付けは50g/mとした。その後50℃/secの昇温速度にて所定の合金化温度まで加熱し、10℃/secで15秒間徐冷した後、水冷した。その後0.5%の調質圧延を行なった。
表5のGIサンプル製造条件および評価結果に各水準のNiプレメッキ量、浴侵入板温、浴温、浴Al濃度、合金化温度の各条件を示す。
各条件で製造したGAについては以下のような評価を行なった。
外観:目視観察し、合金化ムラが全くないものを「◎」、角度によっては見える極軽微なものを「○」、あるものを「△」、甚だしいものを「×」と評価した。また、メッキ時点ではムラが目認できないほど軽微なものであっても、加工、塗装後に浮き出ることもあるため、10mm高さの張り出し加工を行なったうえで、自動車用のトリカチオン化成処理、カチオン電着塗装(20μm)を施し、その外観も同様に評価した。塗装なし、塗装後の評価のうち悪いほうのものをメッキ外観評価として表5に示した。
パウダリング性:防錆油を塗油したサンプルにて、ビードつきU曲げプレス加工を行い、その側面をテープ剥離して黒化度によって評価した。黒化度0〜10%未満を「◎」、黒化度10〜20%未満を「○」、20〜30%未満を「△」、30%以上を「×」と評価した。
合金化度:メッキ層を塩酸溶解して、湿式化学分析によりメッキ層中のFe%を求めた。Fe%が9〜11%が得られた場合を「◎」、8%以上を「○」、8%未満を「△」とした。
Figure 0004855290
表5の比較例5に示すように、浴温が従来技術のものでは、原板によっては顕著な合金化ムラが発生した。また比較例6、7に示すように浴Al濃度が高い場合は、やはり合金化ムラが発生しやすいと共に、原板6のような合金化遅延効果のあるP添加鋼では適正な合金化度が得られなかった。また比較例8に示すように、ゼンジミア法において本発明の浴温度、侵入板温度条件を適用すると、合金化ムラが発生しパウダリング性も不良であった。これは、浴内で形成される地鉄メッキ界面のAl合金層が不安定である結果として、合金化炉に達する前に不均一なZn−Fe合金化が進行しΓ層の発達があったためと考えられる。これに対して実施例で示すように、本発明の方法では、どのような原板を用いた場合も、良好な合金化度、パウダリング性、外観が得られた。
(3)GA製造(実施例36〜41、43、45〜47および比較例9〜12)
表1に示した原板のうち、Ti添加極低炭素鋼板である原板1を用い、GA製造条件について更に詳細な検討を行なった。表2に示す前処理の後、表3に示すメッキ浴にて電気メッキ(浴温60℃、電流密度30A/dm)にてNiプレメッキを行なった。その後、2%H+Nの雰囲気中で50℃/secの昇温速度にて所定温度まで加熱し、即その温度を保持して溶融亜鉛メッキ浴に浸漬した。溶融Znメッキ浴中で3sec保持の後、ワイピングして目付けを調整した。目付けは50g/mとした。その後30℃/secの昇温速度にて所定の合金化温度まで加熱し合金化した。合金化のヒートパターンは、所定温度に到達後、5℃/secの徐冷を15sec行なった後、水冷するパターン(「徐冷」)、所定温度に到達後、同温度で15sec保持した後水冷するパターン(「保持」)の2種類を用いた。その後0.5%の調質圧延を行なった。
表6に示す各種の条件(プレNi付着量、浴侵入板温、浴温、浴のAl濃度、合金化条件)でサンプルを製造した。各サンプルにて性能評価を行なった結果を表7に示す。なお、性能評価については、先の例でのGA評価項目に加えて以下の項目を追加した。
加工性(摺動性):防錆油を塗油したサンプルにて平板連続摺動試験を行った。圧着荷重500kgfにて5回の連続摺動を行ない、5回目の摩擦係数で評価した。摩擦係数0.13未満を「◎」、0.13〜0.15未満を「○」、0.15〜0.2未満を「△」、0.2以上を「×」と評価した。
耐食性(塗装キズ部耐赤錆):鋼板サンプルに自動車用のトリカチオン化成処理、カチオン電着塗装(20μm)を施したのち、5mm×50mmのスリット状に塗膜を剥離しメッキ面を露出させ、複合腐食サイクルテストを行なった。10日後の外観で評価した。錆発生なしを「◎」、黄錆のみ発生を「○」、赤錆20%未満を「△」、赤錆20%以上を「×」と評価した。
耐食性(耐孔あき性):ビード付U曲げプレスを行なったサンプルを平滑化した後、40mm×40mmのマスクをして、自動車用のトリカチオン化成処理、カチオン電着塗装(20μm)を施した。曲げ板と平板とでマスクを除去した未塗装部を内−内になるように0.5mmのスペーサーで合せ、車体ヘムモデルを作製した。このサンプルにて複合腐食サイクルテストを行なった。30日後の外観で評価した。赤錆10%未満を「◎」、赤錆10%〜20%未満を「○」、赤錆20〜50%未満を「△」、赤錆50%以上を「×」と評価した。
低温チッピング性:前項目の方法で電着塗装まで行なった後、更にポリエステル系中塗り塗料30μmおよび上塗り塗料40μm塗装した後、1日放置した(サイズは70mm×150mm)、前記塗装サンプルをドライアイスによって−20℃に冷却し、エア圧2kgf/cmにて約0.4gの砕石(10個)を垂直に照射し、チッピングによって浮き上がった塗膜を除去した後、剥離径の最大値を測定した。剥離径3.5mm未満を「◎」、3.5mm〜4mm未満を「○」、4mm〜6mm未満を「△」、6mm以上を「×」と評価した。
Figure 0004855290
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表6のサンプル製造条件、表7の性能評価結果に示すように、比較例では何らかの性能が悪化したのに対して、本発明例では良好な特性が得られた。また本発明例では特に特殊な合金化ヒートパターンを用いずとも良好な特性が得られた。
表4〜表7を総合すると、本発明の方法によれば、どのような原板を用いても、浴Al濃度が同じ条件でGIとGAを製造可能なことが分かる。また特に浴Al濃度を0.14〜0.17%の範囲にすれば、GI、GAとも更に優れた特性となることが分かる。
本発明によって、優れた特性のGI、GAが得られるため、自動車外板に代表される超厳格な外観の要求される用途にも適用可能なものである。また本発明は、同一設備にてGIとGAを作り分ける場合に、きわめて有効であり、産業上きわめて有用である。

Claims (2)

  1. Ni付着量0.1g/m以上0.8g/m以下としたNiプレメッキを施した鋼板に溶融亜鉛メッキするに際し、溶融亜鉛メッキ浴のAl濃度を0.12〜0.2%とし、溶融亜鉛メッキ浴温を融点以上450℃未満とする浴への侵入板温を400℃以上450℃未満で、メッキ浴温より低温とすることを特徴とする溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
  2. 請求項1で製造した溶融亜鉛メッキ鋼板を加熱合金化処理することを特徴とする合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
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