JP2001192796A - 溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2001192796A
JP2001192796A JP2000268895A JP2000268895A JP2001192796A JP 2001192796 A JP2001192796 A JP 2001192796A JP 2000268895 A JP2000268895 A JP 2000268895A JP 2000268895 A JP2000268895 A JP 2000268895A JP 2001192796 A JP2001192796 A JP 2001192796A
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Shuji Nomura
修二 野村
Shoichiro Taira
章一郎 平
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膜表面改質処理を行うことなく、めっき密
着性とスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法を提供する。また、高強度合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を安定して製造する方法、特にPを含有する被めっ
き鋼板を用いて高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定
して製造するのに好適な方法を提供する。 【解決手段】 熱延鋼板または冷延鋼板のいずれかの被
めっき鋼板を、亜鉛又は亜鉛系合金を溶融しためっき浴
に浸漬して溶融亜鉛めっきを行う溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法において、めっき浴温度を440℃以上500℃以
下、かつ被めっき鋼板のめっき浴侵入時の温度を400℃
以上めっき浴温以下の条件で溶融亜鉛めっきを行う。ま
た、Pを0.02質量%以上含有する被めっき鋼板を、前記
の方法で溶融亜鉛めっきを行った後、加熱してめっき皮
膜を合金化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融亜鉛めっき鋼
板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】通常、溶融亜鉛めっき鋼板は、被めっき
鋼板を溶融亜鉛または亜鉛系合金を溶融しためっき浴に
浸漬し、浴中のシンクロールによって方向転換させてめ
っき浴から引き上げ、ワイピング装置によって所定のめ
っき付着量に調整して製造する。また合金化溶融亜鉛め
っき鋼板は、めっき付着量調整後さらに合金化炉で加熱
し、めっき被膜を合金(Fe-Zn合金)化して製造する。
【0003】溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板/めっき皮膜
界面にFe-Zn合金層が形成されると、この合金層が硬く
もろいのでめっき密着性が劣化する。現在では、めっき
密着性を向上させることを目的とし、一般的にめっき浴
にAlが添加されている。Alを添加しためっき浴で溶融め
っきを行うと、めっき浴浸漬時にFe/Zn反応よりFe/Al反
応が優先して起こり、鋼板/めっき皮膜界面にFe-Al合金
層が形成される。この合金層の存在によってFeとZnの反
応が抑制される。Al濃度が十分に高いと浴中でFeとZnの
反応が起こらず、鋼板/めっき皮膜界面にFe-Zn合金層の
存在しないめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板が
得られる。
【0004】しかしながらめっき浴に添加されたAlは、
溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性を劣化させている
ことが判明した。すなわち、溶接学会論文集,vol.14,N
o.1,p.47(1996)の松田らの報告によると、以下の理由か
ら、溶融亜鉛めっき鋼板のスポット溶接性、特に連続打
点性は、めっき皮膜中のAl量が少ない方が有利であると
されている。
【0005】亜鉛めっき鋼板に対してスポット溶接を行
うと、めっき皮膜のZnと電極のCuとが反応し電極径が増
加、電流密度が低下する。電気亜鉛めっき鋼板などAl量
の少ない亜鉛めっき鋼板は、溶接時の加熱によって鋼板
からめっき皮膜へFeが拡散しめっき皮膜の融点が上昇す
る。そのために、ZnとCuが反応しにくく、電極寿命が伸
び連続打点性に優れる。
【0006】以上述べたように、溶融亜鉛めっき鋼板
は、鋼板/めっき皮膜界面にFe-Al合金層が形成されるこ
とによって、めっき密着性が向上するのと同時にスポッ
ト溶接性が劣化している。従って、めっき密着性とスポ
ット溶接性を両立させることは非常に困難である。
【0007】上記の問題に対し、例えば特開平1-100251
号公報では、めっき後、鋼板の温度を100℃超〜420℃以
下とし、露点を30℃以上として酸化膜生成処理を行うこ
とによりZnOを主体とする酸化膜を生成することを特徴
とする溶融亜鉛めつき鋼板製造方法を提案している。
【0008】また、特開平7-34288号公報では、亜鉛め
っきもしくは合金化溶融亜鉛めっきまたは亜鉛系合金め
っき鋼板を、Niを含む硝酸水溶液中で陰極電解し、鋼板
表面にNiとして1g/m2以を付着せしめる方法を提案して
いる。
【0009】いずれの方法も、スポット溶接性改善を目
的として溶融亜鉛めっき鋼板の表面を改質する技術であ
る。しかし、皮膜表面が改質されるため、めっき皮膜表
面の化学反応性が変化し化成処理性等の変化が懸念さ
れ、また改質処理作業によるコスト上昇を招く。
【0010】また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板には以下
のような課題がある。近年、地球温暖化防止の観点から
自動車の燃費向上が叫ばれ、車体軽量化と安全性確保の
観点から素材の高強度・薄物化が強く求められている。
一方、車体寿命延長の観点から、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板が車体用素材として使用されはじめて久しい。した
がって、これら両特性を満足させるために高強度合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の開発が行われている。
【0011】一般的に鋼板の強度上昇には、Si,Mn,P
等の固溶強化元素の添加が行われている。しかし、Siま
たはPを含有する鋼板をめっき原板として使用する場合
には、熱延以前の表面不均一性が原因の合金化ムラや不
めっきなどが生じるという問題がある。とりわけ、Siは
めっき前焼鈍時に選択酸化により鋼板表面を覆うため、
溶融亜鉛との濡れ性が悪くなり不めっきを生じたり、熱
延時に生成する所謂赤スケールが原因となるスジムラが
発生するため、自動車用外板に使用する高強度合金化溶
融亜鉛めっき鋼板へのSiの添加は特に避けられている。
【0012】したがって、自動車外板用高強度合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の原板としては、上記の問題点を含む
ものの、自動車用外板用途の品質への悪影響が少しでも
小さいものとして、P含有高強度鋼板が多く用いられて
いた。しかしながら、この鋼板には以下に示すような品
質上あるいは製造上の問題があった。
【0013】P含有高強度鋼板は、Pにより合金化速度が
著しく低下するという問題を有する。これは、焼鈍時に
鋼板表面に濃化したPが、Fe-Al合金層の生成に影響を及
ぼし、他の鋼種を溶融めっきした場合と比較し、Fe-Al
合金層をより厚く成長させ、合金化時にFe-Zn反応を強
固に抑制するためである。従って、ラインスピードを遅
くすることにより合金化時の均熱時間を確保して、合金
化を完了させる方法が採られていたが、この場合には、
生産性が大きく低下する問題がある。
【0014】そこで、特開昭62-40354号公報のように、
P添加鋼に対し、めっき浴侵入板温度を上げることによ
り、浴中における合金化反応を促進させることが提案さ
れている。しかしながら浴中で急速に合金化反応を進行
させると、合金化処理完了時に被膜/下地鋼板界面でΓ
相が厚く成長しパウダリング性が劣化しやすいなど、皮
膜構造の制御が困難になる。また、ドロス発生量が多く
なり、表面欠陥が多発するという問題をひき起こす欠点
がある。浴中Al濃度を下げた場合も同様の問題が生じる
上、浴中Al濃度を迅速に変更することは容易でない。
【0015】一方、浴中Al濃度とめっき浴侵入板温の適
正化により、特性を向上させる方法として、特開平4-10
3748号公報に、浴中Al濃度を低くして、侵入板温を420
〜450℃とする方法や、特開平4-247859号公報に、浴中A
l濃度を高くして、侵入板温を300〜380℃とする方法が
提案されている。しかしながら、これらの方法には、P添
加鋼における、合金化遅延問題に対する配慮はない。
【0016】その他にも、Pによる影響を改善し、合金
化反応を促進する方法としては、溶融めっきに先立って
鋼板表面にNi,Fe,Co,Mn等の金属あるいは合金をプレ
めっきする方法(例えば、特開昭60-110859号公報
等。)が提案されているが、前処理として電解処理によ
りプレめっきを行うため、プレめっきのための設備コス
トが増大する問題点がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、皮膜表面改
質処理を行うことなく、めっき密着性とスポット溶接性
に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0018】また、本発明は、高強度合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を安定して製造する方法、特にPを含有する被
めっき鋼板を用いて高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
安定して製造するのに好適な方法を提供することを目的
とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の手段は次のとおりである。
【0020】(1)熱延鋼板または冷延鋼板のいずれかの
被めっき鋼板を、亜鉛又は亜鉛系合金を溶融しためっき
浴に浸漬して溶融亜鉛めっきを行う溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法において、めっき浴温度を440℃以上500℃以
下、かつ被めっき鋼板のめっき浴侵入時の温度を400℃
以上めっき浴温以下の条件で溶融亜鉛めっきを行うこと
を特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0021】(2)めっき浴の浴中Al濃度を0.140質量%以
上0.300質量%以下とすることを特徴とする前記(1)に記
載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0022】(3)被めっき鋼板が、Pを0.02質量%以上
含有する鋼板であり、前記(1)に記載の方法で溶融亜鉛
めっきを行った後、加熱してめっき皮膜を合金化するこ
とを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに説明
する。
【0024】前述したように、鋼板/めっき皮膜界面のF
e-Al合金層は、Fe/Zn反応を抑制し、溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき密着性を向上させるが、そのFe/Zn反応抑制
効果によってスポット溶接性を劣化させる。
【0025】本発明者らは、めっき条件と溶融亜鉛めっ
き鋼板の合金層の関係、まためっき条件と合金化溶融亜
鉛めっき鋼板の合金層の関係についてさらに調査した。
その結果、被めっき鋼板が熱延鋼板、冷延鋼板の何れで
あっても、被めっき鋼板のめっき浴侵入時の温度(以
下、侵入板温と記す)と浴温の関係を本発明の範囲内に
することによって、溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着
性、スポット溶接性を両立できることを見出した。
【0026】本発明は、一般的な溶融亜鉛めっき鋼板の
製造条件と比較し、浴温に対して侵入板温を低く保ち、
めっき浴中における被めっき鋼板とめっき浴との反応性
を低下させることを特徴とする。反応性低下に伴い、例
えば被めっき鋼板のフェライト粒内のような反応性の高
い部分では、Fe-Al合金層は従来の製造条件の場合と同
様に形成するが、反応性の低い部分、例えば粒界部で
は、Fe-Al合金層は形成されなかったり非常に薄くな
る。その結果、本発明による溶融亜鉛めっき鋼板のFe-A
l合金層は、空孔があるなど部分的にFe/Zn反応抑制効果
が弱い部分が存在する(本明細書では、このような部分
をFe-Al合金層の空孔部と称する)。
【0027】従来の製造方法では浴中Al濃度が低い場合
に同様のFe-Al合金層が形成されるが、この場合、浴中
でFe/Zn反応を抑制することができず、めっき皮膜/鋼板
界面にはFe-Zn合金層が存在しめっき密着性に劣る。
【0028】本発明による溶融亜鉛めっき鋼板では、め
っき皮膜/鋼板界面にはFe-Zn合金層が生成しない。これ
は、浸漬板温の低下によってFe/Al反応だけでなくFe/Zn
反応も抑制されるためである。すなわち、本発明による
溶融めっき作業中は、Fe-Al合金層の存在に加え侵入板
温の低下がFe/Zn反応抑制効果を担っており、Fe/Zn反応
は十分に抑制されている。その結果として、溶融亜鉛め
っき鋼板は優れためっき密着性を示す。
【0029】次にスポット溶接性について述べる。前述
したように、本発明による溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融
めっき作業中は十分なFe/Zn反応抑制効果を有するが、F
e-Al合金層が不均一であることにかわりない。したがっ
て、めっき作業終了以後に再び加熱されると、Fe/Zn反
応抑制効果の弱い部分でFeが容易に拡散する。
【0030】そのため、本発明による溶融亜鉛めっき鋼
板がスポット溶接作業に供された場合、Feが拡散しめっ
き被膜のZnと電極のCuとの反応を抑制するので連続打点
性に優れ、スポット溶接性に優れる。
【0031】ここで、本発明者らは、本発明が溶融めっ
き鋼板のFe拡散性を改善する技術であることに着目し、
Fe拡散性に劣る材料、すなわち合金化処理性に劣る高強
度合金化溶融亜鉛めっき鋼板への適用を試みた。
【0032】高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の中で
も、P含有高強度鋼板は、焼鈍時に鋼板表面にPが濃化
し、めっき時にFe-Al合金を厚く生成させ、合金化処理
時にFe-Zn反応を強固に抑制する問題がある。従って、P
含有高強度鋼板を被めっき鋼板とし、溶融めっきを行い
際に本発明を施し、Fe-Al合金の過剰なFe/Zn反応抑制効
果を緩和することによって合金化処理性を改善すること
が可能である。
【0033】すなわち、本発明では、めっき浴中におけ
るFe-Al合金層の形成を阻害し空孔部を設けることによ
って、P添加鋼特有の強固なFe/Zn反応抑制作用を弱め合
金化遅延の問題を改善できる。
【0034】加えて、侵入板温の低下によってFe/Al反
応と同時にFe/Zn反応も抑制されるので、浴中においてF
e-Zn合金層が過剰に成長することがなく、皮膜構造の制
御も通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板製造時と変わるこ
とがない。
【0035】次に本発明の範囲を限定した理由を述べ
る。
【0036】浴温が440℃を下回ると、浴表面など不可
避的な低温部分でめっき浴の凝固が避けられず、加え
て、めっき浴の流動性が低下するので、付着量の制御が
困難になる。500℃を越えると、めっき浴中での合金化
反応が激しく本発明の効果が失われる。さらにZnの蒸発
によって作業環境が劣化する。
【0037】浸漬板温が400℃を下回ると、反応性低下
による不めっきが生じる可能性が高まる。加えて、めっ
き浴の流動性が低下するので付着量の制御が困難にな
る。侵入板温を浴温を越える温度にすると、従来技術と
同様のめっき皮膜となる。
【0038】浴中Al濃度が0.140質量%を下回ると、め
っき浴中でのFe/Zn反応が避けられない。また、0.300質
量%を越えるとFe-Al合金層が厚すぎ、スポット溶接作
業による加熱ではFeの拡散が生じない。
【0039】ただし、第3発明で対象とするP含有高強度
鋼板を被めっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造する場合はこの限りではなく、通常の合金化溶融亜
鉛めっき鋼板製造時の浴中Al濃度でよい。例えば、合金
化処理性を考慮して上限は0.160質量%、皮膜構造の制
御性を鑑み、下限として0.100質量%が好ましい。ま
た、対象とする鋼板は、Pを0.02質量%以上含有する高
強度鋼板であればよく、その他の成分は特に制限され
ず、Feおよび不可避的不純物の他に、C,S,Mg,Cr,N
i,Cu,Ta,Al等の1種または2種以上含有してもよい。I
F鋼を製造するために、Nb,Tiを添加しても良い。IF鋼
ベースの鋼板では、耐2次加工性脆化を防ぐために数ppm
のBを添加しても良い。
【0040】また、被めっき鋼板のめっき浴浸漬時間は
0.5〜8秒が望ましい。0.5秒未満では被めっき鋼板とめ
っき浴が反応せず、不めっきが生じる。また、浸漬時間
が8秒を越えるとめっき浴中での反応時間が長すぎ、浴
組成に応じた合金層が過剰に生成し、本発明の効果が失
われる。
【0041】
【実施例】(実施例1)通常の方法で製造した被めっき
鋼板(板厚1.0mmの冷延鋼板)を、種々の浴組成、浴
温、侵入板温で溶融めっきを行い、溶融亜鉛めっき鋼板
を作製した。被めっき鋼板のめっき浴浸漬時間は3秒、
付着量は約75g/m2とした。
【0042】作製した溶融亜鉛めっき鋼板に1t曲げを行
い、曲げ部外側のテープ剥離を行ってめっき密着性を評
価した。1t曲げ試験において皮膜が剥離しなかったもの
を○、剥離が見られたものを×とした。
【0043】スポット溶接については、同じめっき鋼板
を2枚重ね、それを両面から1対の電極チップで挟み、加
圧通電して電流を集中させた抵抗溶接(スポット溶接)
を、下記溶接条件で連続的に実施した。
【0044】・電極チップ:先端径6mmのドーム型 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:0.2秒(12サイクル) ・溶接電流:11.0kA ・溶接速度:1点/sec 連続打点性の評価には、スポット溶接時に、2枚重ねた
溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した金属
部(形状:碁石状、以下、ナゲットという)の径が、4
×t1/2(t:1枚の板厚)未満になるまでの連続打点溶
接した打点数を用いた。スポット溶接性の評価は、同一
付着量の電気亜鉛めっき鋼板と連続打点性を比較し、同
等の打点数のものを○、著しく打点数が少ないものを×
とした。
【0045】結果を表1、表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】本発明範囲外の比較例では、不めっきが発
生したり均一な付着量の材料が得られないなど、評価可
能なめっき鋼板を製造できなかったり、または評価を行
っても、めっき密着性、スポット溶接性のいずれか、も
しくは両方が劣っていた。これに対して、本発明範囲内
の本発明例は、めっき密着性、スポット溶接性の両方に
優れていた。 (実施例2)表3に供試材として使用した4種類の冷延鋼
板の成分を示す。このうち、Aは比較材として使用したT
i-IF鋼であり、B〜DはPを含有する高強度鋼板である。
【0049】
【表3】
【0050】これらの鋼板を溶融亜鉛めっきシミュレー
ターを用いて焼鈍し溶融亜鉛めっきを行った。焼鈍条件
は、850℃×30秒の加熱で、10%H2-N2雰囲気(露点-40
℃)中で行った。溶融亜鉛めっきは、Alを0.12質量%含
む亜鉛めっき浴を用いて浴温、侵入板温を調節し、浸漬
時間3秒にてめっきした後、N2ガスワイパーにより亜鉛
付着量を片面当たり60g/m2に調整した。
【0051】めっき後のサンプルの外観を目視観察して
不めっきの有無を調査し、不めっきのなかったサンプル
について初期合金相形態の観察を行ない、さらに、誘導
加熱装置により、450,475,500,525,550,575,600
℃で20秒の合金化処理を行って、表層まで合金化できる
温度により、合金化速度を比較した。また合金化処理後
のめっき層の品質は耐パウダリング性で比較した。
【0052】耐パウダリング性は、図1に概略正面図、
図2にビードおよびダイ部分の拡大概略断面図で示すド
ロービード試験機を使用し、ドロービードテストによっ
て、次のようにして評価した。先ず、幅30mm×長さ120m
mの寸法の試験片1の非対象面のめっき層を希硫酸で溶解
剥離し、次いで、脱脂してその重量を測定した。次い
で、潤滑油として、日本パーカライジング(株)製「ノ
ックスラスト550HN」を使用し、この潤滑油を試験片1の
表面に塗布し、試験片1を、ドロービード試験機のビー
ド2とダイ3との間に装着し、油圧装置5により圧力P=5
00Kgfで、ダイ3を試験片1を介してビード2に押し付け、
その押し付け圧力Pをロードセル4によって測定した。
次いで、このようにビード2とダイ3との間に挟まれた試
験片1を、引抜き速度V=200mm/分で上方に引き抜い
た。次いで、試験片1を脱脂し、測定対象面にテープを
張りつけそしてこれを剥離し、再度脱脂した後、試験片
1の重量を測定し、試験前後における試験片の重量差か
らパウダリング量を求めた。このようにして求めたパウ
ダリング量に基づき、耐パウダリング性を評価した。
【0053】めっき品質、合金化速度、合金化処理後の
めっき皮膜品質を評価した結果を製造条件と共に表4お
よび表5に示した。なお、表4および表5に示しためっき
品質、合金加速度、合金化処理後の皮膜品質(以下、め
っき品質に関する評価事項という)評価基準は以下の通
りである。 1.不めっき(目視判定) ○:良好(不めっきが認められない) ×:不めっきが認められる 2.初期合金相(SEM観察) ○:Fe-Al合金層に空孔部あり △:微細なζ相が均一に生成 ×:粗大ζ相がまばらに生成 B:アウトバースト状組織 3.合金化速度 ●:速すぎる(20秒で合金化できる温度が450℃以下) ○:良好(20秒で合金化できる温度が450℃越え〜550℃
以下) ×:非常に遅い(20秒で合金化できる温度が600℃超
え) 4.耐パウダリング性 ○:優れる(パウダリング量が10g/m2未満) ×:劣る(パウダリング量が10g/m2以上)
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】表4および表5に示すように、本発明例では
全てのめっき品質評価事項について良好な結果が得られ
たのに対し、比較例は、上記めっき品質評価事項のいず
れかが劣っていた。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、め
っき密着性とスポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼
板を製造することができる。また、Pを含有する熱延鋼
板もしくは冷延鋼板を下地とする、良好な品質の合金化
溶融亜鉛めっき鋼板を合金化処理速度を低下することな
く容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドロービード試験機の概略正面図である。
【図2】ドロービード試験機のビードおよびダイ部分の
拡大概略断面図である。
【符号の説明】
1 試験片 2 ビード 3 ダイ 4 ロードセル 5 油圧装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫻井 理孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB28 AB42 AC73 AE02 AE03 AE12 AE27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱延鋼板または冷延鋼板のいずれかの被
    めっき鋼板を、亜鉛又は亜鉛系合金を溶融しためっき浴
    に浸漬して溶融亜鉛めっきを行う溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法において、めっき浴温度を440℃以上500℃以
    下、かつ被めっき鋼板のめっき浴侵入時の温度を400℃
    以上めっき浴温以下の条件で溶融亜鉛めっきを行うこと
    を特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 めっき浴の浴中Al濃度を0.140質量%以
    上0.300質量%以下とすることを特徴とする請求項1に
    記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 被めっき鋼板がPを0.02質量%以上含有
    する鋼板であり、請求項1に記載の方法で溶融亜鉛めっ
    きを行った後、加熱してめっき皮膜を合金化することを
    特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2000268895A 1999-11-05 2000-09-05 溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Pending JP2001192796A (ja)

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