JP6136672B2 - 高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Siを含有する高強度鋼板を原板とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車燃費向上などのため、車体の軽量化を目的に高強度鋼板を足回り部品等に適用することが進められている。また、衝突安全性の法規制の強化から、これまで低強度の鋼板しか用いることができなかった複雑形状を有する部品まで高強度鋼板を適用しようとするニーズがある。更には車体防錆強化の観点から、高強度鋼板を原板とした亜鉛系めっき鋼板が求められている。
車体用の亜鉛系めっき鋼板としては、従来より合金化溶融亜鉛めっき鋼板、すなわち溶融亜鉛めっきした後、加熱してめっき層をFe−Zn合金とする合金化処理を施した鋼板が大量に使用されている。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は耐食性に優れ、溶接性や塗装性も良好であるが、鋼板を高強度化するために一般的に用いられるSiを多量に添加した鋼板を原板とする場合、めっき性に劣り所望の特性を得にくいことが知られている。この課題に対して、Niプレめっき法を適用した技術が知られている。
例えば特許文献1では、0.2〜0.5%のSiを含有する高張力鋼板にNiプレめっき層を0.2〜2g/m2めっきし、直ちに非酸化性雰囲気中で板温430〜500℃に30℃/s以上の昇温速度で急速加熱を行ったのちAl0.05〜0.25%含有するZnめっき浴中で溶融めっきし、ワイピング後、直ちに20℃/s以上の昇温速度で470〜550℃に急速昇温し、同温度範囲で10〜40秒合金化加熱処理を行うことを特徴とする高張力合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法が開示されている。
また特許文献2では、Siを0.5〜2.0%含有する高張力鋼板の表面層を0.05μm以上除去したのち、Niを0.2〜2g/m2めっきし、非酸化雰囲気中で板温430〜500℃に30℃/s以上の昇温速度で急速加熱を行ったのちAl0.05〜0.25%含有するZnめっき浴中で溶融めっきし、ワイピング後、470〜550℃で10〜40秒合金化加熱処理を行うことを特徴とする加工部のめっき密着性に優れた高張力合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法が開示されている。
また特許文献3では、前記特許文献1,2の方法にて形成されためっき層として、Si 0.2〜2.0%を含有する鋼板上に分散するΓ1 相よりなる合金層を有し、それらの上層にFe 8〜15%、Al 1%以下、Ni0.01〜2%と不可避的不純物よりなるZn合金層を有することを特徴とする加工部のめっき密着性および耐食性の優れた高強度高延性合金化溶融Znめっき鋼板が開示されている。
上記特許文献1の方法では、鋼板のSi濃度の上限が0.5%とされており、高強度化効果が不足する。特許文献2の方法では、鋼板表層を研削等で除去する工程が必要となり、コストが増大する。
特許文献3のめっき層は、加工部のめっき密着性を確保する観点で、連続的でなく分散したΓ1相を形成しており、このようなめっき構造は、通常の加工での密着性には問題ないものの、耐チッピング性には劣る。チッピング性とは、寒冷地などで自動車が走行中に、塗装された合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対して飛び石などによる衝撃が塗装面に加えられた際に、めっき層が塗膜と共に剥離し、素地鋼板を露出させる現象である。分散したΓ1相は、平均するとその厚みは薄いものの、部分的に厚いΓ1相の存在が必然となり、このような部位がチッピングの衝撃によりめっき層ごと剥離するものと考えられる。またΓ1相はΓ相よりも脆いことも影響していると考えられる。また、前述のような分散したΓ1相の構造を得るために、比較的低温での合金化処理を施す結果として、Fe−Zn合金相の中でもっともFe含有率が低いζ相を有することとなり、摺動性にも劣る。
特許文献4ではSiを0.5〜1.8質量%含む鋼片を熱延、酸洗、冷延処理した後、600℃以上での昇温速度が5℃/sec以下にて昇温して、730〜800℃にて焼鈍し、さらに580℃以上から450℃以下まで50℃/sec以上で冷却して、350℃〜450℃の範囲で120秒以上保持し、冷却した後、調質圧延を伸び率0.1%以上で施し、NiまたはNi−Fe合金をプレめっきし、無酸化雰囲気または還元雰囲気で5℃/sec以上で430〜500℃まで加熱後、Alを0.12%以上、0.20%以下含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきし、ガスワイピングにより付着量を調整し、ワイピング後に合金化する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている。
しかしながら特許文献4は、低降伏比型の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることを主眼としており、合金化溶融亜鉛めっき層の最適化、すなわち、摺動性、パウダリング性、チッピング性、めっき外観についての知見は開示されていない。
特許文献5には、Fe:8〜13重量%、Al:0.5重量%未満、Ni:0.02〜1.0重量%を含有し残部がZn及び不可避的不純物より成る組成であって且つ地鉄界面のΓ相の厚さが0.5μm以下でありめっき層表面にη、ζ相が存在せず付着量が45〜90g/m2の合金化めっき層を少なくとも片面に有することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。この鋼板は、摺動性、パウダリング性ともに優れるが、Siを含有する高張力鋼板を対象としたものではないため、Si含有鋼板に適用した場合には十分な特性が得られない。
特開平4−333552号公報 特開平4−346644号公報 特開平6−65701号公報 特開2010−132935号公報 特開平4−13855号公報
一般に合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、摺動性を悪化させるζ相とパウダリング性を悪化させるΓ1相、Γ相の相方を減少させることは難しい。また、鋼板がSiを含有する場合、不めっきを抑制しめっき密着性を確保し、かつ良好な外観を造り込むことも容易ではない。これに対して、特許文献1,2,3,4の方法にあるようにSi含有鋼板を原板としてNiプレめっき法を適用すると、比較的良好な特性は得られるものの、十分ではない。
そこで本発明では、前記特許文献の技術を改良することで、Siを含有する高強度鋼板を原板とし、摺動性、パウダリング性、耐チッピング性、外観均一性等の特性に優れる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることを目的とする。
本発明者らは、所定量のSiを含有する鋼板にNiプレめっきを施したのち、Alを微量添加した溶融亜鉛めっき浴でめっきし、加熱合金化させる技術に着目して、鋭意、改善検討を重ねた。Si含有鋼板では、Fe−Znの合金化反応が遅いため、鋼板表面の微妙な成分、結晶粒、残存歪などのばらつきによって、部分的に合金化速度の差異が発生しやすく、摺動性や耐チッピング性が低下しやすいことを知見した。
これに対して、めっき層中のFe、Al、Niの含有量を好適範囲とするとともに、めっき層がζ相を有さず、Γ相とΓ1相の合計厚みが0.5μm未満の最適めっき層構造とすることにより、Siを含有する高強度鋼板を原板としたとき、摺動性、パウダリング性、耐チッピング性、外観均一性等の特性に優れる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを見出したものである。溶融亜鉛めっき浴のAl濃度、溶融亜鉛めっき浴への侵入板温、合金化温度の全てを最適化すれば、上記最適なめっき層構造が得られる。
即ち、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)Siを0.5〜2質量%含有する高強度鋼板の少なくとも片面に、Fe:8〜13質量%、Al:0.5〜2質量%、Ni:0.1〜1質量%、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有し、該めっき層がζ相を有さず、Γ相とΓ1相の合計厚みが0.5μm未満であることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)高強度鋼板が、質量%で、Si:0.5〜2%、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.05%、N:0.01%以下、残部はFe及び不可避不純物からなることを特徴とする(1)に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)更に質量%で、Ti:0.005%以上、0.2%以下、Nb:0.001%以上、0.1%以下、B:0.0005%以上、0.003%以下、Ca:0.0005%以上、0.003%以下、Cu:0.3%以下、Ni:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下の一種以上を含むことを特徴とする(2)に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(4)Siを0.5〜2質量%含有する高強度鋼板の少なくとも片面に、付着量0.2〜2.0g/m のNiプレめっきを施し、Al濃度0.20質量%超〜0.25質量%の溶融亜鉛めっき浴に、侵入板温470〜550℃で前記Niプレめっきを施した高強度鋼板を侵入させて溶融亜鉛めっきを施し、
550℃を超え、650℃以下で合金化処理を施すことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によって、Siを含有する高強度鋼板を原板とする摺動性、パウダリング性、耐チッピング性、外観均一性等の特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
以下、本願発明を詳細に説明する。本願において、%は質量%を表すものとする。
本発明の鋼板は、Siを0.5〜2%含有するものとする。0.5%未満では強度が不足しやすく、2%を超えると不めっきが発生しやすくまた圧延荷重も過大となって製造コストが増大するといった問題もある。
Si以外の成分については限定しないが、以下に望ましい条件を記載する。
Cは0.3%超含有していると炭化物の生成により加工性が劣化し、また溶接性も劣化しやすいので、0.3%以下とする。また、0.001%未満であると強度が低下するので、0.001%以上、好ましくは0.05%以上とする。
Mnは固溶強化元素として強度上昇に有効である。所望の強度が得られるように添加すればよいが、0.01%未満では強度が不足しやすい。また、Mn以外にSによる熱間割れの発生を抑制するTiなどの元素が十分に添加されない場合には、質量%でMn/S>20となるMn量を添加することが望ましい。一方、3.0%超添加するとスラブ割れを生ずるため、3.0%以下とする。
Pは不可避的に含有される不純物元素であり、低いほど望ましく、0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼすとともに、疲労特性も低下させるので、0.1%以下とする。
SはPと同様に不可避的に含有される不純物元素であり、多すぎるとMnS等の粗大な介在物となって成形性を劣化させるので、0.01%以下とする必要がある。厳しい加工を受ける部品用途で、厳しい成形に耐えうる材質とするためには、0.005%以下とすることが好ましい。
Alは溶綱の脱酸に必要な元素であるので、その効果を得るには0.005%以上含有させる必要がある。しかし、過剰に添加すると、変態点を極度に上昇させ、本発明に必要な圧延温度の確保が困難となるため、その上限は0.05%とする。
Nは、鋼の熱間加工性や加工性を低下させる元素であるので、少ないほど好ましい。本発明の鋼の特性を損なわないために、Nの含有量の上限は0.01%とする。
Tiおよびまたは、Nbは析出硬化により高強度化に寄与するので必要に応じて添加することができる。Tiの場合、0.005%未満では十分な高強度化効果が得られず、0.2%超含有してもその効果が飽和するだけでなく合金コストの上昇を招く。Nbの場合、0.001%未満では十分な高強度化効果が得られず、0.1%超含有してもその効果が飽和するだけでなく合金コストの上昇を招く。
Bは必要に応じて添加することにより粒界強度を増加させ、靭性を向上させることができる。Bの含有量が0.0005%未満では十分な靭性向上効果は得られず、一方、0.003%より多く添加してもその効果は飽和するので、Bの添加量は0.0005%以上、0.003%以下とする。
Caは必要に応じて添加することにより、溶鋼脱酸に微細な酸化物を多数分散させ、組織微細化のために好適な元素であるとともに、溶鋼の脱硫のために鋼中Sを球形のCaSとして固定し、MnSなどの延伸介在物の生成を抑制して穴拡げ性を向上させる元素である。これらの効果は添加量が0.0005%から得られるが、0.003%で飽和するため、Caの含有量は0.0005%以上、0.003%以下とする望ましい。
本発明においては、鋼中に更にCu、Ni、Cr、Sn等のいわゆるトランプ元素が含まれてもよい。トランプ元素とは鉄スクラップを原料とした製鉄において不可避的に混入するものであるが、耐食性、耐候性、靭性等の特性を向上させる目的で積極的に添加することも可能である。その際、表面欠陥や材質の低下を防ぐために、Cu、Crは0.3%以下、好ましくは0.1%以下、Ni、Snは0.1%以下、好ましくは0.05%以下とするのがよい。
本発明は、酸洗済みの熱延鋼板、冷延および焼鈍済みの冷延鋼板、いずれにも適用可能である。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき層は、Fe:8〜13質量%、Al:0.5〜2質量%、Ni:0.1〜1質量%、残部Znおよび不可避的不純物からなる。該めっき層はζ相を有さず、Γ相とΓ1相の合計厚みが0.5μm未満である。
Fe含有率が8%未満では、未合金のため塗装後耐食性が不良となり、またζ相が多いために摺動性が不良となって加工時にフレーキングを起こす。Fe含有率が13%を越えると、パウダリング性が劣化する。
Al含有率が0.5%未満ではΓ相が過度に成長してパウダリング性が劣化し、2%超では摺動性が劣化する。Ni含有率が0.1%未満では摺動性が劣化し、1%超ではめっき外観が劣化しやすい。
本発明のめっき層はζ相を含有しないことを特徴とする。これによって良好な摺動性が得られる。ζ相の存在は、X線回折によるζ相独自ピークの存在有無によって確認することができる。本発明において、ζ相を含有しないとは、前述のX線回折によるζ相独自ピークがバックグランドレベル以上に検出されないことを意味する。なお、電気化学的な手法、例えばζ相が有する電位に保持して定電位電解することで流れた電気量からζ相を定量する方法も公知であるが、本発明においてはめっき層に比較的多量のAl、Niを含有する影響と推定されるが、電気化学的な方法によってζ相の存在、非存在を確認することはできない。なお、本発明のめっき鋼板は後述するように、好ましくは550℃超の高温で合金化するため、熱力学的にはζ相の安定領域を超えているものである。
本発明のΓ相とΓ1相の合計厚みは0.5μm未満である。これ以上ではパウダリング性やチッピング性が劣化する。またΓ相とΓ1相の合計厚みは0.5μm未満であれば、必要とするΓ相とΓ1相の均一性を確保することができる。パウダリング性、チッピング性の観点から0.3μm以下であることがより好ましい。Γ相とΓ1相は、地鉄側から前記順で形成しており、その合計の厚みは、断面組織観察、また電気化学的な手法など既知の方法で定量可能である。
本発明においては、Γ1相はΓ相に比較して少ないか、ほとんど存在しない。これは、本発明のめっき鋼板は後述するように、好ましくは550℃超の高温で合金化するため、熱力学的にはΓ1相の安定領域を超えているからである。
自動車用鋼板として用いる場合には、めっき層の付着量が30g/m2以上、60g/m2以下であることが好適である。30g/m2未満では耐食性が不足する。60g/m2超ではスポット溶接時の連続打点性が低下する。
上記した合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るためのNiプレめっき法における製造条件を以下に述べる。
所望の強度特性が得られるように製造した原板を用い、Niプレめっきを行い、昇温したのち、Alを含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬してめっきし、合金化処理を行う。
この際、第一のポイントは、溶融亜鉛めっき浴のAl濃度を比較的高めの適正値に調整することである。具体的には、0.20%超、0.25%以下が好適であり、更に好ましくは0.20%超、0.22%以下である。このように、従来よりもやや高めのAl濃度とすることで、めっき浴内での初期のAl,Fe,Niの反応層を均一に生成させ、その後の合金化反応を均一に進行させることによって、パウダリング性やチッピング性を改善する効果がある。
第二のポイントであるが、上記のように単に浴Al濃度を高めに設定するだけでは、合金化反応が進行しにくくなり、適正なFe%のめっき層を得るためにはより高温、あるいは長時間の合金化が必要となり、その結果としてΓ相、Γ1相が不均一となったり、パウダリング性やチッピング性が悪化する。これを防ぐためには、亜鉛めっき浴への侵入板温が極めて重要であり、やや高めの適正値に設定する必要がある。具体的には470〜550℃とする。適正な浴Al濃度と適正な侵入板温の組み合わせによって、後述する高温での合金化の際に均一な合金化が進行し、結果として各種特性を良好ならしめるものである。なお、侵入板温が上記好ましい範囲下限よりも低い場合には、Niプレめっき量や浴Al濃度や好ましい範囲であっても、めっき層中のNi含有量やAl含有量が高めとなる傾向がある。
第三のポイントはめっき後合金化の温度であり、550℃超、より好ましくは560℃以上であり、高すぎると、Znの蒸発や鋼板材質の低下などが懸念されるため、上限は650℃とする。これによって、ζ相がなく摺動性に優れ、Γ相、Γ1相も薄く均一であり、パウダリング性、チッピング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
本発明におけるNiプレめっきの付着量は、0.2〜2g/m2、より好ましくは、0.3〜1g/m2の範囲が好適であり、下限未満では不めっきなどの外観不良や、ζ相残存による摺動性の劣化などが起こりやすい。上限を超えると不経済であるばかりでなく、外観の均一性も劣化しやすい。プレNiめっきの条件は特に限定されず、公知の方法が適用できる。
本発明の溶融亜鉛めっき浴中には、前述のAlに加えて、Ni,Feを含有させても良いが、ドロス抑制の観点から、Niは0.06%程度以下、Feは0.02%程度以下とするのがよい。溶融亜鉛めっき浴温は特に限定されず、融点近傍(420℃程度)〜500℃程度の通常の条件が用いられる。
めっき、合金化処理を行った後、調質圧延で粗度調整を行ったり、潤滑後処理を行うなど、公知の方法が適用できる。
表1に供試した鋼板の成分を示す。鋼種1〜3は焼鈍済みの冷延鋼板であり、鋼種4〜6は酸洗済みの熱延鋼板である。供試材をNaOH 50g/l、65℃のアルカリ水溶液中に10s浸漬して脱脂したのち、H2SO4 100g/l、30℃の水溶液中に5s浸漬して酸洗した。そして、Niめっき浴(浴温60℃、硫酸Ni六水和物:300g/l、ほう酸:40g/l、硫酸Na:100g/l)を用いて電流密度30A/dm2にて、各種付着量のNiプレめっきを行った。これを4%H2−N2雰囲気中で50℃/sの昇温速度で所定の侵入板温まで加熱し、ただちに所定の浴組成、浴温の溶融亜鉛めっき浴に浸漬した。亜鉛めっき浴は所定の濃度のAlを含み、更に不純物として、0.01〜0.02%のFeと、0.005〜0.04%のNiを含んでいた。浸漬時間は2.5〜3.5sであった。浴から出したあと、ワイピングでめっき量が50g/m2となるように制御し、ただちに合金化した。昇温速度は50℃/sで所定の合金化温度まで昇温し、均熱なしで5℃/sで20s徐冷の後、25℃/sで5s冷却した。その後、0.3%の調質圧延を行った。
(評価)
・めっき層に含まれるAl、Ni、Feは化学分析法にて定量した(インヒビターを添加した5%HCl水溶液へ浸漬処理してめっき層のみを溶解し、溶解前後の差からめっき量を求め、溶解液をICP発光分析することにより、めっき層に含まれるAl、Ni、Feを測定し、各成分濃度を定量した)。
・めっき層のζ相は、XRD測定を行い、存在しないものを「○」、存在するものを「×」と評価した。
・めっき層のΓ相とΓ1相の合計厚みについては、断面のSEM観察を行い、任意の10点からΓとΓ1相の合計の厚みを求め、その平均値で、0.5μm未満を「○」、0.5μm以上を「×」と評価した。
・耐チッピング性:70mm×150mmに切出し、自動車用の脱脂、化成、3コート塗装を行った。−20℃に冷却保持した状態で、砕石(0.3〜0.5g)をエアー圧2kgf/cm2で垂直に照射した。1サンプルにつき10個の石を照射した。各水準N5実施し、合計50個のチッピング痕を観察し、その剥離界面の位置によって評価した。剥離界面がめっき層より上(めっき−化成皮膜の界面、または電着塗装−中塗塗装の界面)のものを「○」、めっき−地鉄での界面剥離が1つでもあるものを「×」と評価した。
・耐パウダリング性:供試材を50mm×200mmに切り出し、防錆油を塗油したのち、荷重400kgf(約3922.66N)でドロービード試験を行った。ビード通過による曲げ−曲げ戻しの加工を受けた部位をテープ剥離して、テープの黒化度を測定した。黒化度が4未満のものを「○」、4以上のものを「×」と評価した。
・摺動性:前記のドロービードの際の摩擦係数を測定した。摩擦係数が0.25未満のものを「○」、0.25以上のものを「×」と評価した。
・外観均一性:目視観察を行い、均一なものを「○」、不均一なムラ等が存在するものを「△」、不めっきなどの顕著な異常があるものを「×」と評価した。
Figure 0006136672
Figure 0006136672
Figure 0006136672
表2に試験したサンプルの水準を、また表3に試験結果を示す。表2において、本発明範囲から外れる数値・符号にアンダーラインを付している。本発明の実施例においては、耐チッピング性、耐パウダリング性、摺動性、外観均一性ともに良好であった。本発明の範囲から外れるものは何らかの特性が悪化した。
本発明によって、Siを含有する高強度鋼板を原板とする摺動性、パウダリング性、耐チッピング性、外観均一性等の特性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。本発明の鋼板は自動車用の防錆鋼板として有用である。

Claims (4)

  1. Siを0.5〜2質量%含有する高強度鋼板の少なくとも片面に、
    Fe:8〜13質量%、
    Al:0.5〜2質量%、
    Ni:0.1〜1質量%、
    残部Znおよび不可避的不純物
    からなるめっき層を有し、該めっき層がζ相を有さず、Γ相とΓ1相の合計厚みが0.5μm未満であることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 高強度鋼板が、質量%で、Si:0.5〜2%、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.05%、N:0.01%以下、残部はFe及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 高強度鋼板が、更に質量%で、Ti:0.005%以上、0.2%以下、Nb:0.001%以上、0.1%以下、B:0.0005%以上、0.003%以下、Ca:0.0005%以上、0.003%以下、Cu:0.3%以下、Ni:0.1%以下、Cr:0.3%以下、Sn:0.1%以下の一種以上を含むことを特徴とする請求項2に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. Siを0.5〜2質量%含有する高強度鋼板の少なくとも片面に、付着量0.2〜2.0g/m のNiプレめっきを施し、Al濃度0.20質量%超〜0.25質量%の溶融亜鉛めっき浴に、侵入板温470〜550℃で前記Niプレめっきを施した高強度鋼板を侵入させて溶融亜鉛めっきを施し、
    550℃を超え、650℃以下で合金化処理を施すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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