JP4940813B2 - TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4940813B2
JP4940813B2 JP2006207509A JP2006207509A JP4940813B2 JP 4940813 B2 JP4940813 B2 JP 4940813B2 JP 2006207509 A JP2006207509 A JP 2006207509A JP 2006207509 A JP2006207509 A JP 2006207509A JP 4940813 B2 JP4940813 B2 JP 4940813B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
bath
hot
dip galvanized
austempering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006207509A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007270341A (ja
Inventor
祐介 伏脇
善継 鈴木
芳春 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2006207509A priority Critical patent/JP4940813B2/ja
Publication of JP2007270341A publication Critical patent/JP2007270341A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4940813B2 publication Critical patent/JP4940813B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、延性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法に関する。
近年、地球環境保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。さらに加えて、衝突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性向上も要求されている。このようなことから、自動車車体の軽量化および強化が積極的に進められている。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるには、部品素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。
鋼板を素材とする自動車部品の多くがプレス加工によって成形されるため、自動車部品用鋼板には優れたプレス成形性が要求される。優れたプレス成形性を実現するには、高い延性を確保することが肝要である。そのため、自動車部品用高張力鋼板には、高い延性を有することが強く求められている。
延性に優れる高張力鋼板としては、フェライトと低温変態相との複合組織からなる組織強化型鋼板が提案されている。この組織強化型鋼板では、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する二相組織鋼板が代表的である。また最近では、残留オーステナイトに起因する変態誘起塑性を利用した高延性鋼板も実用化の段階に至っている。
また、例えば、特許文献1では、溶融亜鉛めっき処理に先立って行う焼鈍の後に、470〜350℃の温度域まで冷却し、この温度域で10〜500秒保持して残留オーステナイトを鋼中に存在させ(以下、オーステンパー処理と称す)、その後に溶融亜鉛めっきを施す製造方法が記載されている。
特開2002-129241号公報
しかしながら、特許文献1を通常の溶融亜鉛めっきラインに適用しようとすると、焼鈍炉とめっき浴との間で、470〜350℃の温度域で10〜500秒保持できるような長大な保持帯が必要となり、設備的な制約を受けてしまう。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、必要最小限の設備でオーステンパー処理を可能とし、かつ、延性に優れた溶融亜鉛めっき鋼鈑を製造する方法を提供することを目的とする。
鋼板の延性を向上させるには、めっき浴の前後で420〜440℃程度×50〜100s程度保持する加熱処理いわゆるオーステンパー処理を施すことが有効である。しかし、上述のように、めっき浴の前後でオーステンパー処理を施すには、めっき浴の前あるいは後にオーステンパー処理用の設備を新たに設けなくてはならず、かつ設備そのものも長大であるため現実的でない。
そこで、本発明者らは、めっき浴温をオーステンパー処理温度である420〜440℃とすることで、めっき浴中を通過する時間を有効にオーステンパー処理に使い、オーステンパー処理のための設備を簡略化できないかという技術思想を思いつき、この技術思想を基に検討を進めた。その結果、以下の知見を得た。
例えば、780MPa級高張力鋼板に関して、CAL材に比べCGL(1回法)材で延性(El)が劣化(CAL材≧30%、CGL材25%程度)する問題はオーステンパー処理を施すことにより解決する(オーステンパー処理を施すことで延性が向上する)。
一方で、従来から、めっき処理はZn−0.1〜0.2%Al(融点419℃)の溶融Zn浴を用いて浴温460℃程度で実施されている。そのため、めっき浴中でオーステンパー処理しようとすると、浴温を現行の460℃から420〜440℃に低下させなければならない。しかし、融点が419℃であるため420〜440℃での低温操業は安定姓に欠ける。
そこで、浴温を現行460℃から420〜440℃に低下させた場合でも安定操業が可能となる方法を鋭意研究した。浴中成分三元共晶組成での融点低下に着目したところ、Mgをめっき浴に適量含有させることで、めっき浴の融点が低くなり、めっき浴の温度を低下させても安定操業が可能となることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]鋼板にめっき処理を施し溶融亜鉛めっき鋼板を製造するにあたり、浴温が400〜450℃、浴中Al濃度が1.0〜10mass%、浴中Mg濃度が0.10〜10mass%の亜鉛めっき浴を用いて、鋼板に溶融亜鉛めっき処理と加熱処理を同時に行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]鋼板にめっき処理を施し溶融亜鉛めっき鋼板を製造するにあたり、400〜450℃まで鋼板を冷却した後に、浴温が400〜450℃、浴中Al濃度が1.0〜10mass%、浴中Mg濃度が0.10〜10mass%の亜鉛めっき浴を用いて、鋼板に溶融亜鉛めっき処理および加熱処理を行い、次いで、400〜450℃にて鋼板を保持し、さらに、冷却時の温度が400〜450℃に到達した時点から保持終了時点までのトータルの処理時間が50s以上600s以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記鋼板が、mass%で、C:0.05〜0.20%を含有し、Si:0.01〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.01〜3.0%の中から1種以上を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[4]前記[3]において、さらに、mass%で、Cr:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜1.0%、B:0.001〜0.01%の1種または2種以上を含有することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[5]前記[3]または[4]において、さらに、mass%で、V:0.001〜0.1%、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[6]前記[3]〜[5]のいずれかにおいて、さらに、mass%で、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%、W:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。
本発明によれば、延性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。従来、溶融亜鉛めっきラインでのオーステンパー処理は不可能であった。しかし、本発明によれば、現行の溶融亜鉛めっきラインで、新たな設備を必要とせずに、オーステンパー処理が可能となる。
また、本発明では、浴中にMgを含有させている。そのため、耐食性の向上効果も望める。さらに、一般に、単にめっき浴温を420〜440℃と下げたのでは、浴中で凝固浮遊物が生ずるために表面欠陥が発生するが、本発明では浴の融点そのものを下げているため、420〜440℃℃に制御しても凝固浮遊物が浴内に発生せず、安定操業が可能となる。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明に使用される鋼板について説明する。本発明の鋼板の成分組成は以下の通りである。なお、本発明は以下に示す成分組成に必ずしも限定されないが、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は以下に示す成分組成とすることが好ましい。
C:0.05〜0.20%
Cは、鋼板の高強度化に有効な元素であり、さらに残留オーステナイトや低温変態相の生成に効果があり、オーステンパー処理によるTS×Elの向上を確保するために有効な元素である。しかし、C含有量が0.05%未満ではオーステンパー処理による所望の効果を得がたい。一方、0.20%を超えると、溶接性の劣化を招く。以上より、Cは0.05%以上0.20%以下の範囲が好ましい。
さらに、本発明では、オーステンパー処理による強度−伸びバランスの向上を有効に発現させるために、下記の元素のうちの1種または2種以上を含有させることが好ましい。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、固溶強化により鋼を強化するとともに、鋼の焼入性を向上し、さらに残留オーステナイトや低温変態相の生成を促進する作用を有し、オーステンパー処理による効果を発現させるために有効な元素である。このような作用は、Mn含有量が0.5%以上で認められる。一方、3.0%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなりコストの上昇を招く。以上より、Mnは0.5%以上3.0%以下の範囲が好ましい。
Si:0.01〜3.0%
Siは、固溶強化により鋼を強化するとともに、炭化物の生成を抑制し、オーステナイトを安定化し、残留オーステナイト相の生成を促進する作用を有し、オーステンパー処理による効果を発現させるために有効な元素である。このような作用は、Si含有量が0.01%以上で認められる。一方、3.0%を超えて含有すると、めっき性が顕著に劣化する。以上より、Siは0.01%以上3.0%以下の範囲が好ましい。
Al:0.01〜3.0%、
Alは、Siと同様に炭化物の生成を抑制し、残留オーステナイト相の生成を促進する作用を有し、オーステンパー処理による効果を発現させるために有効な元素である。このような作用は、0.01%以上の含有で認められる。一方、3.0%を超える含有は、鋼中の介在物量を増加させ、延性を低下させる。以上より、Alは0.01%以上3.0%以下の範囲が好ましい。
以上の添加元素で、本発明鋼は目的とする特性は得られるが、上記の添加元素に加えて、所望の特性に応じて以下の元素を含有することができる。
Cr:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜1.0%、B:0.001〜0.01%の1種または2種以上
鋼の焼入性を向上し、低温変態相の生成を促進する作用を有する元素である。このような作用は、Cr:0.01%以上、Mo:0.01%以上、B:0.001%以上含有して認められる。一方、Cr:2.0%、Mo:1.0%、B:0.01%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できず、経済的に不利となる。以上より、含有する場合、Crは0.01%以上2.0%以下、Moは0.01%以上1.0%以下、Bは0.001%以上0.01%以下が好ましい。
V:0.001〜0.1%、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.1%の1種または2種以上
炭窒化物を形成し、鋼を析出効果により高強度化する作用を有する元素であり、必要に応じて添加できる。このような作用は、V、Nb、Tiいずれも0.001%以上含有して認められる。一方、V、Nb、Tiいずれも0.1%を超えて含有する場合、過度に高強度化し、延性が劣化してしまう。以上より、含有する場合、Vは0.001%以上0.1%以下、Nbは0.001%以上0.1%以下、Tiは0.001%以上0.1%以下が好ましい。
Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%、W:0.001〜0.1%の1種または2種以上
Si、Mnと複合添加する事により、Γ相の生成を抑制し、めっき密着性を向上させる効果がある。このような作用はCu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、W:0.001%以上含有して認められる。一方、Cu: 2.0%、Ni:2.0%、W:0.1%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できず、経済的に不利となる。以上より、含有する場合、Cuは0.01%以上2.0%以下、Niは0.01%以上2.0%以下、Wは0.001%以上0.1%以下が好ましい。
なお、本発明に用いる鋼板は、上記した化学成分以外は、残部Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、P:0.05%以下、S:0.02%以下が許容できる。
次に溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について、説明する。
上記した組成を有する溶鋼を溶製し、通常の公知の方法で鋳造し、通常の公知の方法で熱間圧延、あるいはさらに冷間圧延して、鋼板とする。また、必要に応じて、酸洗あるいは焼鈍等の工程を加えることができる。
次いで、上記により得られた鋼板に溶融亜鉛めっきを施す。なお、この時、本発明においては、浴温が400〜450℃、浴中Al濃度が1.0〜10%、浴中Mg濃度が0.10〜10%の亜鉛めっき浴を用いて溶融亜鉛めっき処理と同時にオーステンパー処理を行うこととする。これは本発明において、重要な要件であり、このようなめっき条件とすることにより、めっき浴を用いて、めっき処理と同時に、オーステンパー処理を行うことが可能となる。そして、このように、オーステンパー処理を行うことで、延性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板が得られることになる。以下に詳細に説明する。
通常の溶融亜鉛めっき鋼鈑は、0.1〜0.2%程度のAlを含有させた亜鉛浴を用いて行われている。この場合の溶融亜鉛の融点は419℃であり、浴温は460℃程度で実施されている。そして、上述したように、めっき浴中へ浸漬している間の時間をオーステンパー処理に有効に使おうとした場合、0.1〜0.2%程度のAlを含有させた亜鉛浴では、浴温を420〜440℃程度に制御しようとしても、融点との浴温の差が小さすぎて、全浴内について安定して溶融状態を保つことが困難である。
そこで、発明者らは、めっき浴の温度を下げても安定操業が可能とするために、浴中成分三元共晶組成での融点低下について検討し、Zn浴中にAl、Mgを適量添加することで浴の融点を下げることを発想した。Zn中にMg、Alが存在する場合には、3mass%Mg−4mass%Alである場合に三元共晶により融点は最も低くなり343℃となる。したがって、Mgを3mass%、Alをmass4%近傍とすることで、亜鉛浴の温度は低温化することが可能となる。Mgは、めっき鋼板が腐食環境下に暴露されたとき、めっき表面に安定錆を形成させる作用を有し、めっき鋼板の耐食性を向上させる。この効果を得るためには、Mg:0.10〜10%とする。0.10%未満では、上記効果が得られず、10%を超えると、めっき浴の粘度が増大し、めっき付着量制御が困難となる。
上記思想を基に、Mg、Al量を種々の値とし、浴温度を420〜430℃に制御した溶融亜鉛浴を準備して、溶融亜鉛めっき鋼鈑を製造し、浴中の凝固物発生による欠陥発生有無、および、得られた溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性を調査した。なお、上記欠陥とは、浴中に凝固物が発生しこれを巻き込んで疵となったり、付着した場合である。
得られた結果を図1に示す。図1中の○は欠陥発生、耐食性がともに問題ないレベルであることを、図中の●は欠陥または耐食性が問題あるレベルであることを示す(判定基準は後述の実施例のように、凝固物付着あるいは疵発生のいずれかが不良である場合を●とした。耐食性についても、後述の実施例のように評価し不良である場合を●とした。)。
図1から、Zn中のAl濃度が1.0〜10%、Mg濃度が0.10〜10%を満足する場合に、浴温度を420〜430℃程度にまで低温化した場合であっても、凝固物による欠陥発生が問題ないレベルであることがわかる。
以上より、本発明ではめっき浴中にAlを1.0%以上10%以下、Mgを0.10%以上10%以下含有するもののとする。
次に最適なオーステンパー処理温度を調査するため、オーステンパー処理温度とTS×Elとの関係を調査した。図2は、C:0.18%、Si:0.45%、Mn:1.8%を含有する板厚1mmの冷延鋼鈑について、770℃あるいは800℃で30秒の焼鈍を行った後、熱処理(図中のオーステンパー処理温度まで30秒で冷却し、次いで、図中のオーステンパー処理温度で50秒保持した後冷却する)を行った場合の、TS×Elに及ぼすオーステンパー処理温度の影響を示す図である。図2より、焼鈍温度が770℃、800℃いずれの場合でも、オーステンパー処理温度が400〜450℃である場合には、TS×Elの値が高い値を示すことがわかる。したがって、本発明においては、オーステンパー処理温度は400〜450℃の範囲とする。すなわち、本発明において、亜鉛めっきの浴温は400℃以上450℃以下とする。このような温度範囲でオーステンパー処理を行うことで、例えば、780MPa級高張力鋼板では、CGLでCAL材並の高El(30%)を確保することができるようになる。
さらに、上記結果に基づき、オーステンパー処理時間について調査した。図3は、C:0.18%、Si:0.45%、Mn:1.8%を含有する板厚1mmの冷延鋼鈑について、770℃あるいは800℃で30秒の焼鈍を行った後、420℃まで30秒で冷却し、その後、420℃でオーステンパー処理を行った場合の、オーステンパー処理時間がTS×Elの値に及ぼす影響を示す図である。図3より、オーステンパー処理時間が50秒以上で、良好なTS×Elの値が得られることがわかる。よって、本発明においてはオーステンパー処理時間の下限値は50秒とする。一方、処理時間が長すぎると生産性が悪くなるので、上限値は600秒以下とする。
なお、本発明においては、めっき浴中を通過する時間を有効にオーステンパー処理に使うことを基本思想としているため、オーステンパー処理はめっき処理と同時に行うことを前提とする。しかし、めっき処理時間が短く、めっき処理時間内にオーステンパー処理が完了せず時間が不足する場合は、めっき処理前後において鋼板をめっき浴温(オーステンパー処理温度)で保持することにより不足時間を補うことができる。すなわち、本発明では、オーステンパー処理時間とは、めっき処理前後でのオーステンパー処理温度(400〜450℃)での保持時間とめっき処理時間を合わせてのトータルの処理時間とする。トータルで50秒以上保持できれば、特性(TS×El)は満足できるため、オーステンパー処理時間としては、めっき処理時間のみでも、めっき処理時間とめっき処理前後の保持時間のトータルであってもよい。
めっき付着量は特に定めないが、耐食性及びめっき付着量制御上10g/m2以上が好ましく、加工性の観点から120g/m2以下が好ましい。
以上により、JIS5号引張試験片を採取し,引張試験を行って測定した引張強さTS(MPa)及び伸びEl(%)において,TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
また、溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理を施してもよい。合金化処理は、溶融亜鉛めっき処理後、460℃〜570℃の温度域まで再加熱し溶融亜鉛めっき皮膜の合金化を行う。460℃以下では合金化進行が遅く、570℃以上では過合金により地鉄界面に生成する固くて脆いZn-Fe合金層が生成しすぎてめっき密着性が劣化するだけでなく、残留オーステナイト相が分解するため、強度延性バランスも劣化する。合金化処理後は、5℃/sec以上の冷却速度で300℃まで冷却するのが好ましい。合金化処理後の冷却速度が極端に低い場合には、必要な残留オーステナイトの確保が困難になる。このため、合金化処理後から300℃までの温度範囲における冷却速度を5℃/sec以上に限定するのが好ましい。
なお、めっき処理後あるいは合金化処理後の鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整のための調質圧延を加えてもよい。また、樹脂あるいは油脂コーティング、各種塗装等の処理を施しても何ら不都合はない。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
表1に示す成分組成を有する冷延鋼鈑(板厚1.0mm×幅1000mm)について、800℃×30秒の焼鈍を行った後、めっき浴温と同一となる温度まで冷却した。次いで、表2〜表4に示すAl濃度、Mg濃度、浴温の溶融亜鉛めっき浴を用いて溶融亜鉛めっきおよびオーステンパー処理を施した。さらにめっき浴通過後にめっき浴温と同一温度で保持を行った。鋼鈑温度がめっき浴温となった時点から保持終了までの時間をオーステンパー処理時間として表2〜表4に示す。なお、各条件につき1コイル(10t)について行い、めっき付着量は30〜60g/mとした。
Figure 0004940813
上記により得られた溶融亜鉛めっき鋼鈑について、下記に示す方法にて機械的特性、凝固浮遊物付着あるいは疵の有無、耐食性の調査を行った。得られた結果を条件と併せて表2〜4に示す。
機械的特性
JIS5号引張試験片を採取し引張試験を行って引張強さTS(MPa)及び伸びEl(%)を測定した。TS×Elの値が21000MPa・%以上で機械特性○、21000MPa・%未満では×とした。
凝固浮遊物付着あるいは疵の有無
それぞれ1コイルについて欠陥の有無を目視判定し、欠陥数が1個/m以上を不良(×)、1個/m未満を良好(○)とした。
耐食性
JIS Z2371に基づく塩水噴霧試験を3日間行い、腐食生成物をクロム酸を用いて洗浄除去し、試験前後のめっき腐食減量(g/m2・日)を重量法にて測定し、下記基準で評価した。
○(良好):20 g/m2・日未満
×(不良):20 g/m2・日以上
Figure 0004940813
Figure 0004940813
Figure 0004940813
表2〜4より、本発明例では、機械的特性、凝固浮遊物付着あるいは疵の有無、耐食性のいずれも良好な結果が得られている。
本発明のめっき鋼板の製造方法によれば、高張力でありながら、延性にも優れており、かつ、表面欠陥もなく耐食性にも優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造でき、自動車部品を中心に、幅広い用途での使用が見込まれる。
浴中成分三元共晶組成と浴中の凝固物発生による欠陥発生有無および耐食性との関係を示す図である。 TS×Elに及ぼすオーステンパー処理温度の影響を示す図である。 オーステンパー処理時間がTS×Elの値に及ぼす影響を示す図である。

Claims (5)

  1. 鋼板にめっき処理を施し溶融亜鉛めっき鋼板を製造するにあたり、
    400〜450℃まで鋼板を冷却した後に、
    浴温が400〜450℃、浴中Al濃度が1.0〜10mass%、浴中Mg濃度が0.10〜10mass%の亜鉛めっき浴を用いて、鋼板に溶融亜鉛めっき処理および加熱処理を行い、
    次いで、400〜450℃にて鋼板を保持し、
    さらに、冷却時の温度が400〜450℃に到達した時点から保持終了時点までのトータルの処理時間が50s以上600s以下とすることを特徴とするTS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼板が、mass%で、C:0.05〜0.20%を含有し、Si:0.01〜3.0%、Mn:0.5〜3.0%、Al:0.01〜3.0%の中から1種以上を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載のTS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. さらに、mass%で、Cr:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜1.0%、B:0.001〜0.01%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2に記載のTS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. さらに、mass%で、V:0.001〜0.1%、Nb:0.001〜0.1%、Ti:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2または3に記載のTS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. さらに、mass%で、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%、W:0.001〜0.1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のTS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2006207509A 2006-03-06 2006-07-31 TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP4940813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006207509A JP4940813B2 (ja) 2006-03-06 2006-07-31 TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006059319 2006-03-06
JP2006059319 2006-03-06
JP2006207509A JP4940813B2 (ja) 2006-03-06 2006-07-31 TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007270341A JP2007270341A (ja) 2007-10-18
JP4940813B2 true JP4940813B2 (ja) 2012-05-30

Family

ID=38673435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006207509A Expired - Fee Related JP4940813B2 (ja) 2006-03-06 2006-07-31 TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4940813B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5586007B2 (ja) 2007-02-23 2014-09-10 タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップ 冷間圧延されかつ連続的に焼きなましされた高強度鋼ストリップ及び該鋼の製造方法
EP2055799A1 (de) * 2007-11-05 2009-05-06 ThyssenKrupp Steel AG Stahlflachprodukt mit einem vor Korrosion schützenden metallischen Überzug und Verfahren zum Erzeugen eines vor Korrosion schützenden metallischen Zn-Mg Überzugs auf einem Stahlflachprodukt
JP2016038322A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 日本特殊陶業株式会社 温度センサ
EP3186406B1 (en) * 2014-08-25 2020-04-08 Tata Steel IJmuiden B.V. Cold rolled high strength low alloy steel strip
CN104178621A (zh) * 2014-09-05 2014-12-03 上海宝钢包装钢带有限公司 一种包装用钢带的热处理方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6240352A (ja) * 1985-08-14 1987-02-21 Sumitomo Metal Ind Ltd 合金化亜鉛めつき鋼板の製造方法
JPH0748662A (ja) * 1993-08-06 1995-02-21 Nippon Steel Corp めっき密着性、外観性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造法
JPH11131145A (ja) * 1997-10-30 1999-05-18 Nkk Corp 高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3729233B2 (ja) * 1998-03-31 2005-12-21 日新製鋼株式会社 黒変抵抗をもつ溶融亜鉛基めっき鋼板
JP4555492B2 (ja) * 2000-03-16 2010-09-29 新日本製鐵株式会社 耐眩性に優れた溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板
JP3820868B2 (ja) * 2000-10-20 2006-09-13 Jfeスチール株式会社 延性に優れる高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2002309358A (ja) * 2001-04-16 2002-10-23 Kobe Steel Ltd 加工性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板
JP2002371345A (ja) * 2001-06-13 2002-12-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法
JP3921135B2 (ja) * 2002-06-18 2007-05-30 新日本製鐵株式会社 バーリング加工性に優れた高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP4119832B2 (ja) * 2003-12-24 2008-07-16 新日本製鐵株式会社 プレス成型性、耐食性および二次加工性に優れた自動車燃料タンク用高強度鋼板およびその製造方法
JP4544579B2 (ja) * 2004-09-29 2010-09-15 日新製鋼株式会社 高強度溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007270341A (ja) 2007-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5079795B2 (ja) 低温靭性に優れたプレス加工用溶融めっき高強度鋼板およびその製造方法
TWI422688B (zh) 延展性優異之高強度鋼板及其製造方法
JP5129154B2 (ja) 耐食性に優れた高マンガン溶融メッキ鋼板及びその製造方法。
JP5376090B2 (ja) 亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP5041083B2 (ja) 加工性に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
KR101445813B1 (ko) 내수소취화 특성이 우수한 인장 최대 강도가 900 MPa 이상인 고강도 강판 및 그 제조 방법
JP4837604B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
KR20160075850A (ko) 용융 아연 도금 강판 및 그 제조 방법
JP5531757B2 (ja) 高強度鋼板
JP2013534566A (ja) オーステナイト鋼の製造方法
JP6402830B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP5392116B2 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CN116694988A (zh) 薄钢板和镀覆钢板、以及薄钢板的制造方法和镀覆钢板的制造方法
JP5790443B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JPWO2015022778A1 (ja) 高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP6384623B2 (ja) 高強度鋼板およびその製造方法
KR20180087435A (ko) 도금성 및 용접성이 우수한 오스테나이트계 용융 알루미늄 도금강판 및 그 제조방법
JP4940813B2 (ja) TS×Elの値が21000MPa・%以上である溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
KR101528010B1 (ko) 도금성이 우수한 고망간강 용융아연도금강판 및 이의 제조방법
WO2014178358A1 (ja) 亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JP5732741B2 (ja) 耐食性に優れたプレス加工用Sn−Znめっき高強度鋼板およびその製造方法
JP4975406B2 (ja) 高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
CN111601906B (zh) 高强度合金化电镀锌钢板及其制造方法
JP5434787B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板
JP5245376B2 (ja) 焼付硬化性に優れた合金化溶融亜鉛めっき用鋼板を用いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090421

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100324

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120131

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150309

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees