JP2013072549A - メタルガスケット - Google Patents

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敬二 松尾
Mitsuru Nakamura
充 中村
Hideaki Tomita
英昭 冨田
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Abstract

【課題】部品コストの増加を抑えた上で、締め付け時での過度な変形を抑え、液体漏れを防止する。
【解決手段】ブレーキホース1の一端部に設けられたアイコネクタ3とブレーキキャリパ2との接続部に介装され、アイコネクタ3とブレーキキャリパ2とを締結するボルト6の締め付けによって接続部の座面に密着して液体漏れを防止するメタルガスケット20、21について、算術平均粗さが0.25〜0.8μmの範囲内であるとともに、粗さ曲線要素の平均長さが100μm以下となるように、メタルガスケット20、21の表面粗さを設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、配管の接続部に用いられるメタルガスケットに関する。
車両のブレーキホース等の配管の接続は、例えばホース端部に設けられた接続用コネクタを、被接続部材の座面にガスケットを介して取り付ける構造が知られている。
ガスケットは、例えばワッシャのように円環板状に形成され、銅のような比較的硬度の低い材質で形成されたメタルガスケットが採用されている。そして、接続用コネクタと被接続部材とをボルトによって締め付けて固定することで、このメタルガスケットが変形し、接続用コネクタと被接続部材の座面とに密着して、当該接続部でのブレーキオイル等の液体漏れを防止することができる。(特許文献1)。
特開2007−100871号
しかしながら、上記特許文献1のようにメタルガスケットを用いた接続部では、メタルガスケットが比較的硬度の低い材質であるため、座面の摩擦力が偏っていると、メタルガスケットが楕円形に大きく変形し、その一部が座面からずれて隙間が生じ、液体漏れを招く虞がある。
これに対し、ボルト締め付け時でのガスケットの過度な変形を防止するために、ガスケットの形状を特殊なものとしたり、接続用コネクタまたは被接続部材にズレ止めを設けたりする方法が考えられるが、接続部の構造が複雑化し、部品コストの増加を招いてしまう。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品コストの増加を抑えた上で、締め付け時での過度な変形を抑え、液体漏れを防止することが可能なメタルガスケットを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1のメタルガスケットは、2つの部材の接続部に介装され、2つの部材を締結する締結部材の締め付けによって接続部の座面に密着して液体漏れを防止するメタルガスケットであって、算術平均粗さ(以下Raと表記)が0.25〜0.8μmの範囲内であるとともに、粗さ曲線要素の平均長さ(以下RSmと表記)が100μm以下となるように、表面粗さが設定されていることを特徴とする。
また、請求項2のメタルガスケットは、請求項1において、研磨材またはコンパウンドを選定して研磨することで、Ra及びRSmが設定されることを特徴とする。
また、請求項3のメタルガスケットは、請求項1または2において、2つの部材の一方が、車両のブレーキホースの端部に設けられた接続用コネクタであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、メタルガスケットの表面粗さをRaとRSmの2つの指標で設定しており、これによりボルトの締め付けにおける着座時点でのガスケット表面の接触点数を増やし、摩擦力の均一化を図ることができる。
これで、部品コストの増加を抑えつつ締結部材の締め付け時での過度な変形を抑制し、接続部での液体漏れを防止することができる。
請求項2の発明によれば、研磨材またはコンパウンドの選定によって、メタルガスケットの表面粗さが設定されるので、メタルガスケット製作時にこれらの表面処理の他に、表面粗さの設定のための処理を追加することなく、表面粗さを適切に設定することができ、製作コストの増加を抑制しつつ容易にメタルガスケットを製作することができる。
請求項3の発明によれば、メタルガスケットを介して接続される2つの部材の一方が車両のブレーキホースの端部に設けられた接続用コネクタであるので、ブレーキホースの接続部でのメタルガスケットの過度な変形を抑制して、当該接続部でのブレーキオイル洩れを防止することができる。
本発明の実施形態に係るメタルガスケットを使用したブレーキホースの接続構造を示す上面図である。 図1に示すブレーキホースの接続部の断面図である。 メタルガスケットの表面粗さの設定指標の説明図である。 ボルトの締め付けにおける着座時点でのメタルガスケットの断面形状イメージを示す説明図であり、(A)が本実施形態、(B)、(C)が比較例である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るメタルガスケット20、21を使用したブレーキホース1の接続部の構造を示す上面図である。図2は、図1に示すブレーキホース1の接続部の断面図である。
図1、2に示すように、本実施形態では、ブレーキキャリパ2にブレーキホース1の一端が接続され、ブレーキホース1からブレーキオイルをブレーキキャリパ2に導入可能な構造となっている。
ブレーキホース1の一端には、ホース金具として、鋼製のアイコネクタ3(接続用コネクタ)が設けられている。
アイコネクタ3は、円柱状の本体部3aと、本体部3aの側面から突出するホース接続部3bとを有している。
アイコネクタ3の本体部3aは、中央に空間4が形成されている。また、本体部3aには、その軸線上を延びて貫通し、ボルト6(締結部材)の軸部6aが挿通される開口穴5が設けられている。
ボルト6の先端には、第1の開口部7が設けられるとともに、軸部6aの側面には、第2の開口部8が設けられている。ボルト6の軸部6aには、第1の開口部7と第2の開口部8とを連通する流体通路穴9が設けられている。
ホース接続部3bには、ブレーキホース1の一端が固定されており、本体部3a内の空間4とブレーキホース1とが連通するように、流体通路穴10が設けられている。
そして、ブレーキキャリパ2のアイコネクタ3が接続される部位であるアイコネクタ接続部2aは鋼製であって、その座面2bには、作動油導入口11が設けられている。作動油導入口11には雌ねじ部12が形成されており、この雌ねじ部12に、アイコネクタ3の本体部3aを挿通したボルト6の先端を螺合して、ブレーキキャリパ2にアイコネクタ3を固定する構造となっている。
ブレーキキャリパ2の座面2bとアイコネクタ3の本体部3aとの間、及びアイコネクタ3の本体部3aとボルト6の頭部座面6bとの間には夫々、円環板状のメタルガスケット20、21が挿入されている。
メタルガスケット20、21は、銅等のように比較的硬度の低い、具体的にはアイコネクタ3やブレーキキャリパ2のアイコネクタ接続部2aよりも硬度の低い材質で形成されている。
図3は、メタルガスケット20、21の表面粗さの設定指標の説明図である。
本実施形態のメタルガスケット20、21は、特に、その表面粗さがRaとRSmによって設定されている。
図3に示すように、Raは、メタルガスケット20、21の表面の粗さ曲線の平均線からの偏差の絶対値を、基準長さLの範囲で合計し、平均した値である。
RSmは、基準長さLにおける粗さ曲線に含まれる1周期分の凹凸の長さの平均値である。なお、図3においては、RSm=(Xs1+Xs2+Xs3+Xs4+Xs5)/5である。
そして、本実施形態では、メタルガスケット20、21のRaを0.25〜0.8μmの範囲内に、RSmを100μm以下に設定している。
このように設定することで、本実施形態のメタルガスケット20、21は、ボルト6を締め付けたときに、メタルガスケット20、21の過度な変形が抑制され、ブレーキオイルの漏れを低減させることができる。
以下、その原理について説明する。
図4は、ボルト6の締め付けにおける着座時点でのメタルガスケットの断面形状イメージを示す説明図であり、(A)が本実施形態(メタルガスケット21)、(B),(C)が比較例としてRaが小さい場合(メタルガスケット22)とRSmが大きい場合(メタルガスケット23)を示している。なお、図4中の○で囲んだ部位は、ボルト6とメタルガスケットとの接触点を示す。
まず、Raを大きくすることで、メタルガスケット21の表面粗さの振幅が大きくなり、山の先端が細くなる。これにより山の先端が潰れやすくなり、着座の際に(B)よりボルトが密着する事で、頭部座面6bに対するメタルガスケット21の実際の接触点数が増加する。
また、RSmを小さくする事で、表面粗さが密になり、単位面積辺りの山の数が増加するため、こちらも接触点数が増加する。
これらによって、メタルガスケット21の表面上で摩擦力の均一化を図ることができる。
このように、ボルト6の締め付け時に、摩擦力の偏りによって発生するメタルガスケット20、21の過度な変形を防止することができ、座面からの逸脱を防止して、アイコネクタ3の接続部におけるブレーキオイルの漏れを防止することができる。
下記の表1は、メタルガスケット20、21の各種表面処理時における表面粗さと変形促進試験での変形発生率の一例を示す表である。なお、この変形発生率は、ボルト6の締め付け時にメタルガスケット20、21が過度に変形して、その一部が座面から逸脱したものの割合である。
本表1では、従来品と、本願発明品として従来品から研磨石の変更をしたもの及びコンパウンドの変更をしたものと、参考例としてモリブデンコートしたものとで比較をしている。
Figure 2013072549
表1に示すように、研磨石を変更して表面処理したもの、及びコンパウンドを変更して表面処理したものは、従来品と比較してRaが大きく、RSmが小さい。そして、変形発生率がどちらも大幅に低下している。
なお、本願発明品の表面粗さの設定は試験結果から以下の通りとする。
・Raの下限は、従来品よりも大きくすることで実際の接触点数を増加させるため、0.25μmに設定。
・Raの上限は、本来のシール性を損なわない範囲で可能な限り大きいことが望ましく、0.8μmに設定。
・RSmの上限は、従来品よりも小さくすることで実際の接触点数を増加させるため、100μmに設定。
参考品であるモリブデンコート品は、Raが0.25〜0.8μmの範囲内であるが、RSmが100μmより大きい。しかし、この参考品では摩擦係数が他の例と比べて大幅に低く、メタルガスケットが過度な変形をするほど、摩擦力の偏りが生じないため、変形発生率が0となっている。
但し、モリブデンコートを行うことによって、メタルガスケットの部品コストが大幅に増加してしまう。
即ち、本実施形態では、研磨石を変更したり、コンパウンドを変更したりして、Raを0.25〜0.8μmの範囲内に、かつRSmを100μm以下とすることで、表面処理による部品コストの増加を抑えた上で、ボルト6の締め付け時でのメタルガスケット20、21の変形を抑制し、接続部での液体洩れを十分に防止することができる。
なお、以上の実施形態では、アイコネクタ3の接続部に使用するメタルガスケット20、21に本発明を適用しているが、アイコネクタ以外の接続用コネクタに用いられるメタルガスケットでも本発明を適用することができる。
また、本発明は、ブレーキホースの接続部だけではなく、各種配管の接続部に用いられるメタルガスケットに広く適用することができる。
1 ブレーキホース
2 ブレーキキャリパ
2b 座面
3 アイコネクタ
6 ボルト
6b 頭部座面
20、21 メタルガスケット

Claims (3)

  1. 2つの部材の接続部に介装され、前記2つの部材を締結する締結部材の締め付けによって前記接続部の座面に密着して液体漏れを防止するメタルガスケットであって、
    算術平均粗さが0.25〜0.8μmの範囲内であるとともに、粗さ曲線要素の平均長さが100μm以下となるように、表面粗さが設定されていることを特徴とするメタルガスケット。
  2. 研磨材またはコンパウンドを選定して研磨することで、前記座面算術平均粗さ及び前記粗さ曲線要素の平均長さが設定されることを特徴とする請求項1に記載のメタルガスケット。
  3. 前記2つの部材の一方が、車両のブレーキホースの端部に設けられた接続用コネクタであることを特徴とする請求項1または2に記載のメタルガスケット。
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