JP2006088384A - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られる平版印刷版用支持体上に画像記録層が設けられた平版印刷版原版であって、
1)該平版印刷版用支持体表面が、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜1.5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.2μmの小波構造とを有し、中心線平均粗さRaが、0.40〜0.50μmであり、小波構造における開口径に対する深さの比(深さ/開口径)が0.40以上であり、
2)該支持体上に重量平均分子量Mwが1万以上で、支持体表面への吸着性基を有する高分子化合物層を有し、
3)さらに、(A)光吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)バインダーポリマーを含有する、湿し水および/またはインキで現像可能な画像記録層で、該画像記録層の中心線平均粗さが0.2〜1.0μmである平版印刷版原版。
【選択図】なし
Description
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤などの浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
しかし、機上現像を実用化すると、平版印刷版原版は、長期間印刷機上で常に湿し水やインキにさらされていることになり、画像領域でも現像が進行し画像領域が削られていくことになり、従来の耐刷性が優れている程度では、機上現像を実用化するには耐刷性が不充分であるという問題が生じた。
また、特定の小波構造と、中波構造と、大波構造とを重畳して有する平版印刷版用支持体上に種々の画像記録層を設け、オフセット印刷を行う場合、ブランケット上に紙粉が残り、この紙粉がインキ中の溶媒を吸いインキが画像部のごく近傍の非画像部に堆積するパイリング(ブラン汚れ)という現象が汚れの一現象として問題になっている。
更に、特許文献5には、機械的な結合(Mechanical Interlocking)可能な支持体上に、湿し水やインキに溶解または分散により脱離可能な中間層を有する平版印刷版が記載されている。しかし、中間層として、一般的に湿し水などの水性成分により脱離可能な親水性樹脂層を設けても、上記同様画像形成性の向上は得られるものの感光層と支持体との密着が大きく低下するため耐刷性の劣化傾向を示す。さらに、例示されている樹脂では親水性の支持体との親和性が高く印刷中に残存して、好ましくない非画像部の汚れを引き起こしたり、印刷中過分の湿し水を与えないと印刷を維持するのが困難になったり、刷り物の品質を確認するため、印刷機を一旦停止した後、再始動した場合、インキ濃度が安定しないとか、非画像部のインキが払えない等の実用上重大な欠陥を有することが判明した。
1)該平版印刷版用支持体表面が、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜1.5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.2μmの小波構造とを有し、中心線平均粗さRaが、0.40〜0.50μmであり、小波構造における開口径に対する深さの比(深さ/開口径)が0.40以上であり、
2)該支持体上に質量平均分子量Mwが1万以上で、支持体表面への吸着性基を有する高分子化合物層を有し、
3)さらに、(A)光吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)バインダーポリマーを含有する、湿し水および/またはインキで現像可能な画像記録層で、該画像記録層の中心線平均粗さが0.2〜1.0μmである平版印刷版原版。
[本発明の平版印刷版原版]
<平版印刷版用支持体表面の砂目形状>
本発明の平版印刷版用支持体は、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜1.5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.2μmの小波構造を重畳し、中心線平均粗さRaが、0.40〜0.50μmであり、小波構造における開口径に対する深さの比(深さ/開口径)が0.40以上である砂目形状の表面を有する。
本発明において、平均開口径0.5〜1.5μmの中波構造は、主にアンカー(投錨)効果によって画像記録層を保持し、耐刷力を付与する機能を有する。中波構造のピットの平均開口径が0.5μm未満であると、上層に設けられる高分子化合物層を介しての画像記録層との密着性が低下し、平版印刷版の耐刷性が低下する場合がある。また、中波構造のピットの平均開口径が1.5μmを超えると中波のピットの深さの絶対値が深くなり、そのような凹凸構造を有する支持体上に高分子化合物層を介して画像記録層が積層されると、画像記録層の膜厚分布が大きくなり、ピットの深い部分は膜厚が深くなり、ピットのエッジ部分で膜厚が薄層化し、ピットのエッジ部分で薄層化した画像記録層の磨耗により下層の親水性の支持体が露出しやすくなり着肉不良による耐刷低下につながる。この現象は機上現像で画像記録層が湿し水および/またはインキにさらされる場合にはさらに強くなる。
この大波構造は、平版印刷版の非画像部の表面の保水量を増加させる効果を有する。この表面に保持された水が多いほど、非画像部の表面は雰囲気中の汚染の影響を受けにくくなり、印刷途中で版を放置した場合にも汚れにくい非画像部を得ることができる。また、大波構造が重畳されていると、印刷時に版面に与えられた湿し水の量を目視で確認することが容易となる。即ち、平版印刷版の検版性が優れたものとなる。大波構造の平均波長が5μm未満であると、中波構造との差がなくなる場合がある。大波構造の平均波長が100μmを超えると、露光現像後、露出された非画像部がぎらついて見えてしまい、検版性を損なう場合がある。大波構造の平均波長は、10〜80μmであるのが好ましい。
電子顕微鏡を用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真においてピットの周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出する。
また、測定のバラツキを抑制するために、市販の画像解析ソフトによる等価円直径測定を行うこともできる。この場合、上記電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル化し、ソフトウェアにより二値化した後、等価円直径を求める。
本発明者が測定したところ、目視測定の結果とデジタル処理の結果とは、ほぼ同じ値を示した。大波構造を重畳した構造の場合も同様であった。
高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波構造のピット(小波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出する。
小波構造の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において小波ピットを少なくとも20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求めて平均値を算出する。
触針式粗さ計(例えば、sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均山間隔Sm を5回測定し、その平均値を平均波長とする。また、平均粗さRa を5回測定し、その平均値を表面の平均粗さとする。
2次元粗さ測定の条件を以下に示す。
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
本発明の平版印刷版用支持体は、後述するアルミニウム板に表面処理を施すことによって、上述した表面の砂目形状をアルミニウム板の表面に形成させたものである。本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られるが、この支持体の製造工程は、特に限定されず、粗面化処理および陽極酸化処理以外の各種の工程を含んでいてもよい。
以下に、上述した特定の砂目形状を形成させるための代表的方法として、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、
アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、
アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法
が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。
特に、中心線平均粗さRaは、機械的粗面化を行う際のブラシの回転数を変えて調整する方法、中波構造の平均開口径はアルミニウム材料中のCu量を調整する方法、中波構造および小波構造の各平均開口径は電気化学的粗面化処理において電解液温度を変化させて制御し、ピットの分布を考慮して電気量を変化させて調整する方法、各粗面化処理工程におけるアルカリエッチング量を調整する方法等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明は、上記の特定の砂目形状を表面に有する支持体上に、必須成分として支持体表面への吸着性基を有する質量平均分子量Mwが1万以上の高分子化合物層を有する。分子量がこの範囲であると塗布量と高分子化合物層自体の強度とのバランスが優れ、支持体表面の被覆性に優れているので、画像記録層と支持体との密着性が高くなる。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がさらに好ましく、1〜10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
Zは、前記の親水性支持体表面に吸着する官能基である。又、Yは、炭素原子または窒素原子である。Yが窒素原子で、Yにアルキル基などが置換して四級ピリジニウム基になったものでもよい。その場合は、それ自体が吸着性を示すので、式(II)の−L−Zは必須ではない。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、等が挙げられる。
高分子化合物層の乾燥後の被覆量は、0.1〜100mg/m2 であるのが好ましく、1〜30mg/m2 であるのがより好ましい。
本発明の画像記録層は、湿し水および/またはインキにより現像可能な(除去可能な)画像記録層である。本発明の画像記録層としては、波長250nm〜420nmの範囲の光を放射するレーザー光により画像様に記録可能である画像記録層または赤外線レーザーによって画像記録可能な画像記録層であることが好ましい。本発明の画像記録層は、(A)光吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)バインダーを含有する画像記録層で、該画像記録層の中心線平均粗さが0.2〜1.0μmである。
画像記録層の塗布乾燥後の中心線平均粗さが0.2〜1.0μmで粗さが低減されているので、耐刷力に優れる。好ましくは、0.2〜0.6μmである。
画像記録層の塗布乾燥後の中心線平均粗さをこの範囲とするには、1)支持体表面粗さと高分子化合物層と画像記録層との塗布膜厚のバランスを調整するか、または2)画像記録層に添加するマイクロカプセル(以下、MCということがある。)の粒度や凝集性を制御する。
(a)疎水性微粒子ポリマー
(b)疎水性物質を内包するマイクロカプセル
が挙げられる。これらは、加熱により、互いに融着したり、マイクロカプセルが内包する疎水性物質が熱により化学反応を起こしたりして、画像部領域、即ち、疎水性領域(親インキ領域)を形成しうる。そして、これらの疎水性化前駆体は、好ましくは親水性のバインダー中に分散されているので、画像記録(露光)後、湿し水および/またはインキを供給することで、特段の現像処理を行うことなく、機上現像することができる。
以下、本発明の画像記録層の主な構成成分について説明する。
本発明の平版印刷版原版を、波長250nm〜420nmの範囲の光を放射するレーザー光により画像様に記録可能する場合は、画像記録層に波長250nm〜420nmの範囲の光の吸収剤を含有することが好ましい。これらの具体例は、後述のチタノセン化合物と組み合わせる色素が例示できるが限定されるものではなく、公知の化合物から適切に選択されることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げることができる。
本発明に用いることができる重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。本発明に使用できる重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などが挙げられる。
979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩などのオニウム塩などが挙げられる。
で表されるオニウム塩である。
400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合に種々の光開始系が提案されている、例えば、米国特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性染料、ローズベンガル、エオシン、エリスロジン、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号各公報)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号公報)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号各公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号公報)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−140203号、特開昭59−189340号、特開昭62−174203号、特公昭62−1641号各公報、米国特許第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系(特開昭63−258903号、特開平2−63054号等各公報)、染料とボレート化合物の系(特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開昭64−13140号、特開昭64−13141号、特開昭64−13142号、特開昭64−13143号、特開昭64−13144号、特開昭64−17048号、特開平1−229003号、特開平1−298348号、特開平1−138204号等各公報)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号公報)、チタノセンとベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334897号公報)等を挙げることができる。
また、ローダニン環を有する色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643号、特開平2−244050号各公報)など光エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する系などを用いることも出来る。
これらの光重合開始剤(系)の添加量は、エチレン性不飽和結合含有化合物100質量部に対し、通常0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部、更に好ましくは0.2〜50質量部の範囲で用いられる。
なお、白灯の発光スペクトル強度は400nm超の可視領域で強く、その領域に十分な感光性を有する重合開始剤では、白灯下でかぶりを生じやすくなるため、開始剤および増感剤の吸収極大は400nm以下にすることが好ましい。
−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつ。このような重合性化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基などの求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物なども好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基などの脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテルなどに置き換えた化合物群を使用することも可能である。
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤など)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層などの密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
そのほか、上記重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性などの観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
本発明の画像記録層には、画像記録層の皮膜強度を向上させるため、バインダーポリマーを用いる。用いられるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合などの架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンなどが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHR)のRがエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エステル残基のRの具体例としては、−CH2 CH=CH2 (特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2 O−CH2 CH=CH2 、−CH2 C(CH3)=CH2 、−CH2 CH=CH−C6 H5 、−CH2CH2 OCOCH=CH−C6 H5 、−CH2 CH2−NHCOO−CH2 CH=CH2 および−CH2 CH2 O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基のRの具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
また、重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
本発明の画像記録層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
本発明において、画像記録層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いてもよい両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%が好ましい。
本発明では、更に必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
本発明の画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
本発明の画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
本発明の画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
本発明の画像記録層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
本発明の画像記録層は、画像部の硬化皮膜強度向上および非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、画像記録層中に安定に分散して、画像記録層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
本発明の画像記録層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有してもよい。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩等が上げられる。
本発明では、上記の成分を画像記録層に含有させる場合、上記の成分を必要に応じて微粒子ポリマーとしてまたはマイクロカプセルに内包させて、好ましくは親水性のバインダー中に分散させることができる。内包される成分は任意の比率で、一部を微粒子としまたはマイクロカプセルに内包させ、残りの成分を外に含有させることもできる。マイクロカプセルに内包させるより好ましい成分としては、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(A)光吸収剤、焼き出し剤などが挙げられる。マイクロカプセルの含有により、画像記録層は機上現像性が向上する。
例えば上記成分をマイクロカプセル化するマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
このようなオニウム塩としては、例えば、特開平10−39509号公報の段落番号[0010]〜[0035]に記載されている化合物が挙げられる。
これらの微粒子の周囲を親水性とする方法は、特に限定されないが、例えば、特開2001−315452号公報の段落番号[0052]〜[0056]に記載されているのと同様の方法が挙げられる。
親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、アミノ基、カチオン性基、カルバモイル基、スルファモイル基等の親水基を有するものが好ましいが、乾燥塗膜としてフィルム性状を示すものであればいずれであってもよい。例えば、総合技術資料集「水溶性高分子・水分散型樹脂の最新加工・改質技術と用途開発」経営開発センター出版部(1981年刊)、長友新治編「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株)シーエムシー(1988年刊)等の成書に記載されている天然、半合成または合成のポリマーが挙げられる。
そのほかに、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用することができる。
感熱層に好適に用いられるゾルゲル変換系結着樹脂としては、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、かつ、多価元素が未結合のヒドロキシ基、アルコキシ基等も有していて、これらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、ヒドロキシ基、アルコキシ基等が多い段階ではゾル状態であり、エーテル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が強固となるような高分子体が挙げられる。
ゾルゲル変換を行うヒドロキシ基、アルコキシ基等を有する多価元素は、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム等が挙げられる。中でも、ケイ素を用いるシロキサン結合によるゾルゲル変換系が好ましい。以下、シロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明するが、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を用いるゾルゲル変換系は、下記の説明のケイ素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
また、このゾルゲル変換系によって形成される感熱層は、膜強度、柔軟性等の物理的性能の向上や、塗布性の改良等を目的として、上述した特開2001−293971号公報に記載されている有機親水性ポリマー、架橋剤等を含有することもできる。
このような金属化合物としては、例えば、Ti(OR′)4、TiCl4、Zn(OR′)2、Zn(CH3COCHCOCH3)2、Sn(OR′)4、Sn(CH3COCHCOCH3)4、Sn(OCOR′)4、SnCl4、Zr(OR′)4 、Zr(CH3 COCHCOCH3 )4、Al(OR′)3、Al(CH3COCHCOCH3)3等が挙げられる。
触媒は、酸もしくは塩基性化合物をそのままで、または、水、アルコール等の溶媒に溶解させた状態として用いることができる(以下、酸を用いるものを「酸性触媒」、塩基性化合物を用いるものを「塩基性触媒」という。)。溶媒に溶解させる場合の濃度は、特に限定されないが、濃度が濃い方が加水分解反応および重縮合反応の速度が速くなる傾向がある。ただし、濃度の濃い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成することがあるため、塩基性触媒の濃度(水溶液での濃度換算)は1N以下であるのが好ましい。
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の画像記録層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
感熱層の上には、オーバーコート(保護)層を設けることができる。
本発明に用いられるオーバーコート層は水溶性層であり、現像処理時または印刷時に容易に除去されるものである。オーバーコート層は、版材を積み重ねて保存した場合におけるくっつきを防止するために、離型性を有する。
具体的には、例えば、特開2001−162961号公報の段落番号[0011]に記載されている水溶性樹脂、特開2002−19315号公報に記載されているセルロース類等が挙げられる。また、層状化合物として知られている雲母やクレイ、有機化クレイ、モンモリロナイトなどを含んでも良い。
このようにして、上記支持体上に、各種の画像記録層を設けて得られた版材の裏面には、必要に応じて、画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層(以下「バックコート層」という。)を設けることができる。
バックコート層の主成分としては、ガラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好適に用いられる。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットとからなる。ジカルボン酸ユニットとしては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
次に、本発明の平版印刷方法の実施に用いることができる印刷装置の一例の全体構成について説明する。
図1に、本発明の平版印刷方法の実施に用いることができる印刷装置の一例の概念図を示す。図1に示される印刷装置10は、CTCシステムを構成する、機上で印刷版を形成する機上描画・機上現像型の平版印刷装置であって、基本的に、圧胴12と、ブランケット胴(ゴム胴)14と、版胴16と、インキ着けローラ18と、インキローラ列20と、インキ計量供給部22と、画像記録手段24と、湿し水供給手段26と、ゴミ取り装置28と、主制御装置30とを有して構成される。
この画像記録装置66は、版材Psが加熱によって画像を形成するものであれば、従来公知のものを適宜好適に用いることができる。例えば、熱記録ヘッド等を用いて直接像様に加熱を行う記録装置、記録画像に応じて変調した赤外線レーザ等の光ビーム走査で像様に露光を行い、光熱変換による加熱で画像を記録させる記録装置、キセノンランプ、赤外線ランプ等の露光光源と液晶シャッタアレイ等の空間変調素子による変調とを組み合わせて像様露光を行って、光熱変換による加熱で画像を記録させる記録装置等が挙げられる。
このような画像記録装置66による画像の記録は、未露光の版材Psを保持した版胴16を、画像記録に対応する所定速度で回転(即ち、走査)しつつ行う。これにより、版材Psに二次元的に画像を記録させることができる。この画像記録時には、インキ着けローラ18およびブランケット胴14は、版胴16から離間するようにしてもよい。この離間は、インキ着けローラ18等および版胴16のいずれを移動して行ってもよい。
一方、通常、版材Psへのインキの供給とほぼ同時に、被印刷材M(例えば、印刷用紙)が供給され、被印刷材Mへのインキの転写が行われる。ここで、被印刷材Mへのインキの転写は、版材Ps上のインキがブランケット胴14に転写され、ブランケット胴14上のインキが、ブランケット胴14と圧胴12とによって挟持されつつ搬送される被印刷材Mに転写されることにより行われる。
[平版印刷版用支持体]
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明の平版印刷版用支持体を得るためには公知のアルミニウム板を用いることができる。本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が140MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、粗面化処理の手段として有効である。
機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。
また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特願平4−204235号明細書(特開平6−024168号公報)に記載されている方法も適用可能である。
また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。
そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。
本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。
ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm2 、より好ましくは15,000〜35,000kg/cm2 であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。
研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで、本発明に特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。
本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1および第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。
この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
硝酸を主体とした電解液を用いた電気化学的粗面化処理により本発明における平均開口径0.5〜1.5μmのピットを形成させることが出来る。硝酸濃度8.5〜10.5g/l、アルミイオン濃度4〜5g/lの電解液を用い液温度45〜55℃の範囲で電解を行う。電解に用いる波形は台形波であるのが望ましくTPは2msec以下であるのが望ましい。更にCuの含有量が50ppm以下のアルミニウム材を本条件下で処理すると更に小さなピット径を得ることが出来る。
ピットが均一に表面を覆うような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dm2 であるのが好ましく、50〜300C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dm2 であるのが好ましい。
また、高濃度または高温の硝酸電解液を用いると、平均開口径0.2μm以下の小波構造を形成させることもできる。
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dm2 であるのが好ましく、20〜70C/dm2 であるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dm2 であるのが好ましい。
塩酸電解あるいは高濃度、高温硝酸電解により所望の開口径を有する小波を形成することは可能であるが、本願で規定する深さ/開口径の比を得るためには第一には電解後のアルカリエッチング量を1.0g/m2以下にすることが重要である。1.0g/m2より多いとピットのエッジが溶解してしまい開口径が大きくなって比が0.4以下になってしまう。また、もともとの小波形状を制御する方法としては特に塩酸電解の場合には塩酸濃度を5g/l以上にし、電解電流波形におけるTPを3msec以下にすることが重要である。濃度は高い方がよく、TPは小さい方がよい。また、小波同士が合体して深さ/開口径が小さくなるのを抑制するためにアルミニウム板が陽極時の電気量の総和は50C/dm2を超えないようにすることが必要である。
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/m2 であるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。
電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。
デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2 であるのが好ましく、5〜40A/dm2 であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2 の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2 またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2 程度である。
中でも、図4に示す装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図4中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424およびローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、前記ローラ422、424および428により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
本発明においては、必要に応じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことができる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平4−4194号公報、特願平4−33952号明細書(特開平5−202496号公報)、特願平4−33951号明細書(特開平5−179482号公報)等に記載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよい。
無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理に用いられる無機フッ素化合物としては、例えば、金属フッ化物が好適に挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸アンモニウム、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウムが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化チタン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸、フッ化チタン酸が好ましい。
具体的には、例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
中でも、浸せき法が好ましい。浸せき法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、また、100秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2 基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
上述した各処理の工程終了後には水洗を行うのが好ましい。水洗には、純水、井水、水道水等を用いることができる。処理液の次工程への持ち込みを防ぐためにニップ装置を用いてもよい。
1.支持体の作成
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
上記アルミニウム板を用い、表面処理として、以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)および(j)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理および水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
図5に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図5において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は25μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2 溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸9g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度50℃であった。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解層は図3に示すものを使用した。 電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を60℃で行い、アルミニウム板を0.6g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で30C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.1g/m2 溶解し、交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
図4に示す構造の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電電極長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
第一給電部に給電される電気量と、第二給電部に給電される電気量とは等しく、また、第一電解部及び第二電解部における電流密度はともに約30A/dm2であった。第二給電部では、第一電解部で生成した1.35g/m2の酸化皮膜面を通じて給電したことになる。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
表1に記載したように条件を変えた以外は実施例1の支持体と同様に作成した。
実施例1で用いたと同様のアルミニウム板に、a)の機械的粗面化処理を行わない他は実施例1と同様の処理を行って表1に示す、中波、小波構造のみを有する平版印刷版用支持体を得た。
(4)比較例2〜比較例12の支持体
表1に記載したように条件を変えた以外は実施例1の支持体と同様に作成した。
上記で得られた支持体の表面の凹部について、下記(1)〜(5)の測定を行った。
結果を表1に示す。なお、表1中、「−」は、該当する波長の凹部がなかったことを示す。
触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均粗さRaを5回測定し、その平均値を平均粗さとした。
2次元粗さ測定の条件を以下に示す。
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
電子顕微鏡を用いて支持体の表面を真上から倍率2000倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真においてピットの周囲が環状に連なっている中波構造のピット(中波ピット)を少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出する。
高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において凹部のピットを少なくとも50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。
凹部の開口径に対する深さの比の平均は、高分解能SEMを用いて支持体の破断面を倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において凹部を少なくとも20個抽出し、開口径と深さとを読み取って比を求めて平均値を算出した。
触針式粗さ計で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均山間隔Smを5回測定し、その平均値を平均波長とした。
3−1.下塗層の塗布
表1に示す実施例・比較例番号の支持体に、下記高分子化合物層塗布液(1)を塗布して、表2に示す下塗層としての高分子化合物層を設けた。高分子化合物層塗布液(1)は、重合反応率を制御することで質量平均分子量Mwが、200000,80000,12000,7600の4種類の下記化学式、化A〜Gで示される高分子化合物A〜Gを得た。これらの化合物が支持体表面への吸着性基を有することは前述の方法により確認した。実施例1−1,1−2,1−3、実施例2−1,2−1,2−3の場合はそれぞれ実施例1、実施例2の支持体に表1に示す異なる分子量の化合物Aを含む高分子化合物層塗布液(1)を用いた。表2に示す高分子化合物A〜Gは下記に示す組成で溶媒に溶解して塗布液とし、乾燥塗布量は6mg/m2とした。
・上記高分子化合物A〜Gから選ばれた高分子化合物 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
上記の高分子化合物層を有する支持体上に、下記感光液(1)をバー塗布し、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成し平版印刷版原版(1)を得た。
別に、平版印刷版原版(1)と同様にして、ただし感光液(1)にマイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た画像記録層塗布液(2)を上記と同様バー塗布し、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2のマイクロカプセル型画像記録層を形成し平版印刷版原版(2)を得た。乾燥塗布量の調整はバーの変更により行った。
・下記バインダーポリマー(1) 0.162g
・下記重合開始剤(1) 0.100g
・下記赤外線吸収剤(1) 0.020g
・重合性化合物、アロニックスM-215(東亞合成(株)製) 0.385g
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシー2−プロパノール 8.609g
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640g
・水 2.425g
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM−215(東亞合成(株)製)6.00g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
実施例1において、高分子樹脂塗布液(1)を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして作製した平版印刷版原版を比較例3とした。
上記と同様の実施例1の支持体上に、下記組成の下塗層塗布液(VL1-2)を、液量7.5ml/m2となるバーを用いて塗布した後、80℃、10秒でオーブン乾燥した後に、上記化合物A,Bを高分子塗布液(1)の処方に従い塗布し実施例1−2とした他は、下塗層塗布液(VL1-2)を用いずに同様の高分子化合物層塗布液(1)の処方に従い塗布し実施例1−3、実施例4、比較例4〜6,12とした。比較例2−2は、比較例2の支持体上に、下塗層塗布液(VL1-2)のみ塗布し高分子化合物層を設けなかった。これらの上層に下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層(3)を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布質量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して平版印刷版用原板(3)を得た。
・水 300g
・メタノール 2700g
・下記の化合物C−1 1.45g
・下記重合開始剤(2) 0.2g
・下記バインダーポリマー(2)(平均分子量8万) 6.0g
・重合性化合物 12.4g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製M−315)
・ロイコクリスタルバイオレット 3.0g
・熱重合禁止剤 0.1g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・テトラエチルアンモニウムクロリド 0.1g
・下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・メチルエチルケトン 70.0g
・ポリアクリル酸 2.2g
・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.04g
・ポリエーテル変性シリコーンオイル(X−22−812、信越シリコーン社製) 0.04g
・水 42g
上記画像記録層塗布液(3)を下記組成の画像記録層塗布液(4)に変更した以外は、平版印刷版原版(3)の作製と同様にして、平版印刷版原版(4)を得た。
・上記重合開始剤(2) 0.2g
・上記バインダーポリマー(2)(平均分子量8万) 3.0g
・重合性化合物 6.2g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成(株)製M−315)
・ロイコクリスタルバイオレット 3.0g
・熱重合禁止剤 0.1g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・テトラエチルアンモニウムクロリド 0.1g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・下記のマイクロカプセル(1)(固形分換算で) 10.0g
・メチルエチルケトン 35.0g
・1−メトキシー2−プロパノール 35.0g
・水 10.0g
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成(株)製ODB)1g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(1)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.25μmであった。
平版印刷版原版(3)の作製に用いた重合開始剤(2)を下記重合開始剤(3)に変更した以外は、平版印刷版原版(3)の作製と同様にして、平版印刷版原版(5)を得た。この原版(5)は、表2で**原版(5)と記載した場合にのみ用いた。
非触針干渉式表面粗さ計(MicroMap、菱化システム製)で3次元形状測定を行い、Ra を5回測定し、その平均値を平均粗さとした。結果を平版印刷版原版(1)、(2)、(3)、(4)にそれぞれ分けて、表2に示す。表記は原版(1)*、(2)*、(3)*、(4)*の各列とする。**の場合のみ原版(5)を用いた。
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。次いで、以下の方法で、機上現像性、耐刷性および耐パイリング性について評価した。
表1に示す実施例1〜10および比較例1〜12の平版印刷版用支持体に下塗層として表2に示す高分子化合物層を設けその上に原版(1)*、(2)*、(3)*、(4)*、(5)**で示す画像記録層を作成し、得られた実施例1〜10および比較例1〜12の平版印刷原版を上記の条件で露光し、露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(IF102(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水=4/96(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインキを供給した。その後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を100枚行った。画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数と非画像部に汚れがかすかに見られるか否か、画像部の網点が鮮明に見えるか否かを目視により観察し、これらを総合評価して、1〜10段階の点数評価とし機上現像性として表2に示した。
評価:1:印刷用紙の枚数が最大で非画像部の汚れが認められ、画像部の網点が不鮮明である。
5:印刷用紙の枚数が中ぐらいで非画像部の汚れがかすかに認められ、画像部の網点が多少鮮明性である。
10:印刷用紙の枚数が最小で非画像部の汚れが全くなく、画像部の網点が鮮明に見える。
(B)耐刷性
表1に示す実施例1〜10および比較例1〜12の平版印刷版用支持体に下塗層として表2に示す高分子化合物層を設けその上に上記(A)と同様に画像記録層を形成し得られた平版印刷原版を上記の条件で露光し、上記の通り機上現像し、更に印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。比較例12で原版(1)*、(3)*の画像記録層でインキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数を100%として相対値で評価した。%が高いほど印刷枚数が多い。結果を表2に示す。
上記と同様にして画像記録層を設けた平版印刷版原版を耐刷性の評価と同様に露光し、露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(IF102(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水=4/96(容量比))とTRANS−G(N)紅インキ(大日本インキ化学工業(株)製)/ワニス=90/10(質量比)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。500枚目の印刷時のブランケットの汚れを観測し1(最も汚れている)〜10(汚れが全く観察されない)の10段階で評価した。結果を表2に示す。
本発明の実施例1〜10の平版印刷版原版では、優れた機上現像性を有し、耐刷力が大幅に向上し、また耐ブラン汚れ(耐パイリング性)に優れる。
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
10 印刷装置
12 圧胴
14 ブランケット胴
16 版胴
18 インキ着けローラ
20 インキローラ列
22 インキ計量供給部
24 画像記録手段
26 湿し水供給手段
28 ゴミ取り装置
30 主制御装置
32 圧胴洗浄装置
34 ブランケット洗浄装置
36 インキ出しローラ
38 ブレード
40 インキ移しローラ
40a アーム
42 インキキー
44、56 モータ
46 版面水量計測装置
46a センサ
46b 演算部
50 湿し水供給装置
52 水だめ
54 水元ローラ
58 横振りローラ
60 水着けローラ
64 画像記録制御装置
66 画像記録装置
311 アルミニウム板
312 ラジアルドラムローラ
313a、313b 主極
314 電解処理液
315 電解液供給口
316 スリット
317 電解液通路
318 補助陽極
319a、319b サイリスタ
320 交流電源
340 主電解槽
350 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源
Claims (4)
- アルミニウム板に粗面化処理および陽極酸化処理を施して得られる平版印刷版用支持体上に画像記録層が設けられた平版印刷版原版であって、
1)該平版印刷版用支持体表面が、平均波長5〜100μmの大波構造と平均開口径0.5〜1.5μmの中波構造と平均開口径0.01〜0.2μmの小波構造とを有し、中心線平均粗さRaが、0.40〜0.50μmであり、小波構造における開口径に対する深さの比(深さ/開口径)が0.40以上であり、
2)該支持体上に質量平均分子量Mwが1万以上で、支持体表面への吸着性基を有する高分子化合物層を有し、
3)さらに、(A)光吸収剤、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)バインダーポリマーを含有する、湿し水および/またはインキで現像可能な画像記録層で、該画像記録層の中心線平均粗さが0.2〜1.0μmである平版印刷版原版。 - 前記画像記録層が波長250nm〜420nmの範囲の光を放射するレーザー光により画像様に記録可能である請求項1に記載の平版印刷版版。
- 前記画像記録層が赤外線レーザー照射により画像様に記録可能である請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記画像記録層がさらに(E)微粒子ポリマーおよび/またはマイクロカプセルを有する請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版。
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