JP2004094075A - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層と、記録層と、を順次設けてなることを特徴とする。また、上記重合体が、ラクトン基を有すると共に、酸基を有するものであることがさらに好ましい態様である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版原版に関し、より詳細には、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、耐刷性に優れ、かつ、非画像部における汚れの発生のない、ネガ型またはポジ型の平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザの発達に伴い、コンピュータのディジタルデータから直接製版するシステムとして、これらの赤外線レーザを用いるものが注目されている。
【0003】
ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料としては、例えば、アルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物質と、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物とを添加したものが開示されている(特許文献1参照)。このようなポジ型平版印刷版原版の画像部では、ポジ型感光性化合物が、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では、熱により分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像を形成する。
【0004】
また、オニウム塩やアルカリ溶解性の低い水素結合網を形成可能な化合物は、アルカリ可溶性高分子のアルカリ溶解抑制作用を有することが知られている。赤外線レーザ対応画像記録材料としては、カチオン性赤外線吸収色素をアルカリ水可溶高分子の溶解抑制剤として用いた組成物がポジ作用を示すことが知られている(特許文献2参照)。このポジ作用は赤外線吸収色素がレーザ光を吸収し、発生する熱で照射部分の高分子膜の溶解抑制効果を消失させて画像形成を行う作用である。
【0005】
一方、ネガ型の画像形成方法としては、光又は熱により発生した酸を触媒として露光後の加熱処理により縮合架橋反応を生起させ、露光部の記録層を硬化させて画像部を形成する記録方式が挙げられ、このような酸触媒架橋系の記録層を有する技術が知られている(特許文献3参照)。さらに、光又は熱により発生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させ、露光部の記録層を硬化させて画像部を形成する記録方式が挙げられ、このような光又は熱による重合系の記録層を有する印刷版としては、光重合性又は熱重合性組成物を記録層として用いる技術が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
【0006】
このような平版印刷版に用いる支持体としては、従来、非画像部の汚れ防止のため、支持体表面を親水化する研究が盛んに行われている。例えば、アルミ板のような金属支持体を基材として用いる場合、陽極酸化されたアルミニウム基板、若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化されたアルミニウム基板をシリケート処理する等の、種々の技術が提案されている。
しかしながら、親水性を向上させるための種々の処理は、必ずしも記録層との親和性に優れているとはいえず、場合によっては支持体とその上に形成される記録層との密着性が低下し、厳しい印刷条件においては記録層が剥離してしまい、十分な耐刷性が得られないという問題もあった。
【0007】
そこで、親水化された支持体表面と記録層との密着性を高めるために、基材と記録層との間に種々の中間層を設ける方法が提案されている。記録層を構成する樹脂材料や支持体表面との親和性に優れた官能基を有する材料を中間層として用いることで、画像部においては密着性が向上し、十分な耐刷性が得られる。しかし、非画像部においては、現像時に記録層が速やかに除去されず、支持体表面に残膜となってのこり、そこにインクが付着することで非画像部の汚れの原因となるなどの問題があった。
このため、表面親水性に優れ、且つ、画像部における記録層との密着性と、非画像部における記録層除去性をともに満たすような支持体が望まれていた。
【0008】
上記の諸問題を解決するため、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルヒドロキシエチルセルロースのような水溶性ポリマーの中間層を設けることが提案されているが(特許文献6参照)、耐刷性の点において満足のゆくものではなかった。また、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)のような4級アンモニウム化合物の中間層を設けることが提案されているが(特許文献7参照)、非画像部に汚れが発生してしまう点において満足のゆくものではなかった。
【0009】
さらに、本発明者らは、p−ビニル安息香酸などの特定の構造単位を含有する高分子化合物を含む中間層を設けた平版印刷版が提案している(特許文献8参照)。また、酸基を有するモノマーとオニウム基を有するモノマーとを有する重合体(ランダムポリマー)含有する中間層を設けた平版印刷版原版を提案している(特許文献9参照)。これらは一定の改良効果を奏するものではあるが、なお支持体及び記録層の双方の密着性の向上を図り、耐刷性を一層向上させるとともに、非画像部においても汚れの発生を効果的に抑制させる更なる改良が望まれているのが現状である。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−285275号公報
【特許文献2】
国際公開第97/39894号パンフレット
【特許文献3】
特開平7−271029号公報
【特許文献4】
特開平8−108621号
【特許文献5】
特開平9−34110号
【特許文献6】
米国特許3,136,636号明細書
【特許文献7】
米国特許4,483,913号明細書
【特許文献8】
特開平10−69092号公報
【特許文献9】
特開2000−108538公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、耐刷性に優れ、かつ、非画像部における汚れの発生のない平版印刷版原版を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、支持体と記録層との間に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層を設けることにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層と、記録層と、を順次設けてなることを特徴とする。
また、上記重合体が、ラクトン基を有すると共に、酸基を有するものであることがさらに好ましい態様として挙げられる。
【0013】
本発明の平版印刷版原版は、支持体と、記録層との間に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層を設けることを特徴とする。ラクトン基は、通常疎水性を示すが、現像液などのアルカリ水溶液と接触することにより、下記反応式のごとく環構造が開環してカルボン酸と水酸基とを生成し、親水性(アルカリ可溶性)となる。
【0014】
【化1】
【0015】
即ち、ラクトン基を有する重合体を平版印刷版原版の中間層の成分として用いることで、画像部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性(疎水性)である記録層自体が中間層の保護膜として機能するため、中間層が現像液に曝されず、中間層の疎水性が保たれる。したがって、該中間層は疎水性である記録層との密着性に優れる他、印刷時の湿し水などの浸透も抑制するため、高い耐刷性を維持することができるものと考えられる。
一方、非画像部においては、現像液によって記録層が除去されると、中間層が現像液に曝され、ラクトン基が開環し、該中間層は高いアルカリ可溶性を示すようになる。これにより、例えば、活性が低下した現像液などを用いた場合でも、記録層および中間層共に速やかに溶解し、残膜などが発生することなく現像性に優れるものと考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層と、記録層と、を順次設けてなることを特徴とする。以下、本発明の平版印刷版原版の構成について詳細に説明する。
【0017】
〔中間層〕
まず、本発明の平版印刷版原版の特徴である、ラクトン基を有する重合体(以下、適宜、「特定重合体」と称する)を含有する中間層について説明する。
本発明に係るラクトン基とは、ラクトン環構造を有するものであれば特に制限はないが、中でも、5員環ラクトン構造を有するものが特に好ましい。また、このようなラクトン基を重合体中に導入する方法としては、例えば、ラクトン基を有するモノマーを、公知の重合方法により、重合または共重合する方法が挙げられる。
【0018】
ラクトン基を有するモノマーとしては、分子内にラクトン基と、ビニル基、アリル基、または(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基と、を有するモノマーが挙げられる。また、一つのモノマー内に、ラクトン基を2つ以上有するものであってもよい。
また、ラクトン基と、エチレン性不飽和基とは、単結合または連結基を介して結合されており、そのような連結基の分子量としては1000以下のものが好ましい。
【0019】
本発明に係るラクトン基を有するモノマーの具体例としては、パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、または、下記化合物などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない(本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある)。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
本発明に係る特定重合体は、上記ラクトン基を有するモノマー1種類以上を重合させて得られるか、必要に応じて、後述する酸基を有するモノマー1種類以上や、後述するその他のモノマー成分1種類以上と、を組み合わせて、共重合させて得ることができる。重合方法としては、一般的に公知の懸濁重合法、あるいは溶液重合法などを用いて容易に重合あるいは共重合することができる。また、共重合体の構成としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0023】
特定重合体中のラクトン基を有する構造単位の含有量としては、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが最も好ましい。このような特定重合体は、ラクトン基を有する構造単位のみで構成されていてもよいが、耐刷性を維持するために、ラクトン基を有する構造単位の含有量が40〜95%であることが好ましい。
【0024】
また、特定重合体の重量平均分子量としては、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。
【0025】
(酸基を有する特定重合体)
本発明に係る特定重合体としては、親水化処理した支持体との相互作用力強化と、現像性向上の目的から、上記ラクトン基以外に、酸基を有することが、さらに好ましい態様として挙げられる。
本発明に好適に用いられる酸基としては、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2、−SO2NHSO2等が挙げられ、−COOHが特に好ましい。
【0026】
このような酸基を特定重合体に導入する方法としては、例えば、酸基を有するモノマーと、上述のラクトン基を有するモノマーと、を共重合する方法が挙げられ、そのような酸基を有するモノマーとしては、分子内に上記した酸基と、ビニル基、アリル基、または(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基と、を有するモノマーが挙げられる。
【0027】
本発明に係る酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、および下記化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】
特定重合体中の酸基を有する構造単位の含有量としては、1〜95モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがさらに好ましく、30〜60モル%であることが最も好ましい。
【0031】
(その他のモノマー成分)
本発明に係る特定重合体は、上述のラクトン基を有するモノマーと、必要に応じて共重合される酸基を有するモノマーの他に、支持体や記録層との相互作用性を強化する等の目的で、その他のモノマー成分を共重合してもよい。
そのようなモノマーとしては、基板密着性向上の観点から4級アンモニウム塩基等のオニウム基を有するモノマー、または記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーなどがあげられる。
【0032】
<オニウム基を有するモノマー>
以下に、上記オニウム基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
<記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマー>
以下に、上記記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド又はN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン、o−又はm−ブロモーp−ヒドロキシステレン、o−又はm−クロル−p−ヒドロキンスチレン、o−、m−又はp−ヒドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類;
(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びそのハーフエステル、イタコン駿、無水イタコン酸及びそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸;
【0036】
(3)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタタリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド;
【0037】
(4)トシルアクリルアミドのように置換基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、及びトシルメタクリルアミドのような置換基があってもよいフェニルスルホニルメタクリルアミド;
(5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
【0038】
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル;
(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル;
【0039】
(8)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロへキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミド若しくはメタクリルアミド;
(9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
【0040】
(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;
(11)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類;
(12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類;
(13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;
【0041】
(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(15)パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトンなどのラクトン基含有モノマー;
(16)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレンオキシド基含有モノマーなど。
【0042】
特定重合体中のその他のモノマーの含有率としては、30モル%以下であることが好ましい。
【0043】
(中間層の塗布)
以上、本発明における中間層の各成分は、後述する支持体上に、種々の方法により塗布して設けることができる。中間層を塗布する方法には、特に制限はないが、代表的なものとして、次の方法が挙げられる。
【0044】
メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはこれらの混合溶剤、又はこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定重合体を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける塗布方法。あるいは、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤、又はこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定重合体を溶解させた溶液に、支持体を浸漬し、しかる後、水洗あるいは空気などによって洗浄、乾燥して中間層を設ける塗布方法を挙げることができる。
【0045】
前者の方法では、上記化合物合計で0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布すればよく、塗布手段としては、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの手段を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.005〜20質量%、好ましくは0.01%〜10質量%であり、浸漬温度0℃〜70℃、好ましくは5〜60℃であり、浸渡時間は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜120秒である。
【0046】
上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、クマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質、ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライドなどの有機クロライド等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜6の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために紫外光や可視光、赤外光などを吸収する物質を添加することもできる。
【0047】
本発明における中間層の乾燥後の被覆量は、合計で1〜100mg/m2が適当であり、好ましくは2〜70mg/m2である。
【0048】
〔記録層〕
本発明における記録層には、特に制限は無く、平版印刷版原版用として公知の種々の記録層を採用することができる。代表的なものとして、以下に例示する感光層、感熱層等の記録層を挙げることができ、例えば、コンベンショナルポジタイプ、コンベンショナルネガタイプ、フォトポリマータイプ、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、無処理タイプが好適に挙げられる。以下、これらの好適な記録層について説明する。
【0049】
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性樹脂組成物の好ましいものとしては、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する組成物が挙げられる。
【0050】
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアルデヒド樹脂又はクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステルや、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹脂とのエステルがある。
【0051】
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー等が挙げられる。また、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ可溶性の高分子化合物も用いることができる。
【0052】
さらに、コンベンショナルポジタイプの感光性樹脂組成物には、特開平7−92660号公報[0024]〜[0027]で示されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や同公報[0031]で示されているような塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。
【0053】
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性樹脂組成物としては、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性又は膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有するものが挙げられる。
【0054】
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物が挙げられ、さらに例えば、p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩又はテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
【0055】
好適な結合剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸又はマレイン酸を必須成分として含む共重合体、例えば、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体や、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、及び、不飽和カルボン酸からなる多元共重合体を挙げることができる。
【0056】
さらに、コンベンショナルポジタイプの感光性樹脂組成物には、特開平7−281425号公報[0014]〜[0015]で示されている焼出剤、染料、塗膜の柔軟性や耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。
上述したコンベンショナルタイプのポジ型若しくはネガ型記録層の下層としては、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けることが好ましい。
【0057】
<フォトポリマータイプ>
(記録層)
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物(以下「光重合性組成物」という)は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という)と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体及びオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。またウレタン系付加重合性化合物も好適である。
【0058】
光重合性組成物に含有される開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の光重合開始剤又は2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、特開2001−22079号公報[0021]〜[0023]で示されている開始系が好ましい。
光重合性組成物に含有される高分子結合剤としては、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が使用される。上記高分子としては同公報[0036]〜[0063]で示されている物が有用である。その他光重合性組成物には、同公報[0079]〜[0088]で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
【0059】
また、上記記録層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、ポリビニルアルコールその共重合体が挙げられる。
【0060】
<サーマルポジタイプ>
(感熱層)
サーマルポジタイプの感熱層は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、及びこれらの混合物を包含し、特に下記(1)や(2)のような酸性基を有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい:(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)、(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)。とりわけ、赤外線レーザ等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−及びm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。さらに詳しくは特開2001−305722号公報の[0023]〜[0042]で示されている高分子が好ましく用いられる。
【0061】
光熱変換物質としては、露光エネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料又は染料が好ましい。染料としては。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料を用いることができる。中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料を挙げることができる。サーマルポジタイプの組成物中には、前記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましく、詳しくは特開2001−305722号公報の[0053]〜[0059]で示されている化合物が好ましい。
【0062】
サーマルポジタイプの感熱層は単層でもよいし、特開平11−218914号公報に記載されているような2層構造として設けてもよい。
【0063】
<サーマルネガタイプ>
(感熱層)
サーマルネガタイプの感熱層は、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感熱層である。
このようなサーマルネガタイプの感熱層の一つとして、重合型の層が好適に挙げられる。重合層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有する。
【0064】
重合層においては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
【0065】
(A)赤外線吸収剤としては、例えば、前述したサーマルポジタイプの感熱層に含有される前記光熱変換物質が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
(B)ラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
(C)ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。
【0066】
(D)バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーを用いることが好ましくい、水又は弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。特にこれらの中で、ベンジル基又はアリル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度及び現像性のバランスに優れており、好適である。
(C)ラジカル重合性化合物及び(D)バインダーポリマーに関しては同公報[0036]〜[0060]に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報[0061]〜[0068]で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
【0067】
また、重合型のほかに、サーマルネガタイプの感熱層の一つとして、酸架橋型の層が好適に挙げられる。
酸架橋層は、(E)光又は熱により酸を発生する化合物(以下「酸発生剤」という。)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下「架橋剤」という。)とを含有し、更に、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性高分子化合物を含有する。また、赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収剤が配合される。
【0068】
(E)酸発生剤としては、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる化合物が挙げられる。
(F)架橋剤にはとしては、(i)ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基又はN−アシルオキシメチル基を有する化合物、又は(iii)エポキシ化合物が挙げられる。(G)アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。
【0069】
<無処理タイプ>
無処理タイプの感熱層は、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、及び、スルホン酸発生ポリマー含有型等のタイプがあり、本発明は特に印刷機上で現像する無処理タイプのものに適している。
【0070】
−熱可塑性微粒子ポリマー型−
熱可塑性微粒子ポリマー型は、(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子が(J)親水性高分子マトリックス中に分散され、露光部の熱により疎水性のポリマーが溶融し、互いに融着してポリマーによる疎水性領域、即ち、画像部を形成する。(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子(以下「微粒子ポリマー」という)は、微粒子ポリマー同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散するものがより好ましい。
【0071】
微粒子ポリマーとしては、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号、同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーを好適なものとして挙げることができる。具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等のモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。中でも、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを用いるのが好ましい。
【0072】
親水性表面を有する微粒子ポリマーは、微粒子を構成するポリマー自体が親水性であるもの、ポリマーの主鎖又は側鎖に親水性基を導入して親水性を付与したもの等のポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー、親水性オリゴマー又は親水性低分子化合物を、微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものを包含する。さらに微粒子ポリマーとして、反応性官能基を有する微粒子ポリマーがより好ましい。上記したような微粒子ポリマーは、(J)親水性高分子マトリックス中に分散させることで、機上現像する場合には機上現像性が良好となり、更に感熱層自体の皮膜強度も向上する。
【0073】
−マイクロカプセル型−
マイクロカプセル型としては、特開2000−118160号公報に示されたタイプや、特開2001−277740号公報に示されたような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好ましくあげられる。
【0074】
−スルホン酸発生ポリマー含有型−
スルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基又はsec−若しくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマー等を挙げることができる。
【0075】
無処理タイプの感熱層に親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。また、親水性樹脂を架橋硬化させて、現像処理不要の平版印刷版原版を得ることができる。
【0076】
親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するものや、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。親水性樹脂の具体的としては、フォトポリマータイプの記録層に用いられる(J)親水性高分子マトリックスとして用いられる親水性樹脂として列挙したものが挙げられる。無処理タイプの感熱層においては、親水性樹脂の中でも、ゾルゲル変換系結着樹脂を用いるのが好ましい。
【0077】
無処理タイプの感熱層には、光熱変換物質を添加することが必要である。光熱変換物質は、波長700nm以上の光を吸収する物質であればよく、前記したサーマルポジタイプに用いられた赤外線を吸収する染料と同様の染料が特に好ましい。
【0078】
本発明における記録層は、支持体上に、前記画像形成層(記録層)塗布液などの所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして塗布することにより形成することができる。
【0079】
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を、また、水溶性の記録層を用いる場合には、水、或いはアルコール類等の水性溶媒を挙げることができるがこれに限定されるものではなく、画像形成層の物性にあわせて適宜選択すればよい。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0080】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、記録層の皮膜特性は低下する。
【0081】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0082】
〔その他の層〕
本発明の平版印刷版原版には、前記中間層及び記録層の他、目的に応じて、オーバーコート層、バックコート層などの他の層を適宜設けることもできる。バックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
【0083】
〔支持体〕
本発明に用いられる支持体は、平版印刷版原版への使用に適する寸度的に安定な板状物を基材とする必要があり、必要な強度、耐久性、可撓性などの特性を有するものであれば、任意に選択することができる。また、これらの基材は、表面親水化処理を施したり、親水性層を形成するため、これらに適した物性の基材を選択することが好ましい。
【0084】
[基材]
本発明の平版印刷版原版に用いられる基材としては、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明に用いられる支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が特に好ましい。
【0085】
中でも、特に好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0086】
基材として使用するアルミニウム板には必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。その後、アルミニウム板の表面の粗面化処理は、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法などにより行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0087】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは、2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2未満であると、耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。尚、このような陽極酸化処理は平版印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化皮膜が形成されるのが一般的である。
【0088】
また、他の好ましい態様であるポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムを用いる場合にも、親水性表面の形成性、或いは、その上に設けられる中間層との密着性の観点から、親水性表面が形成される面が粗面化されたものを用いることが好ましい。
そのような粗面化処理方法としては、様々の公知の手段を採用することができる。例えば、基材表面をサンドブラスト加工やブラシ加工などで機械的にこすり、表面を削って凹部を形成し、粗面化する方法、機械的エンボス加工により凹凸を設ける方法、さらに、グラビア印刷などで表面に凸部を形成する粗面化処理法なども挙げられる。基材自体の表面を物理的処理により粗面化する方法の他、例えば、固体微粒子(マット剤)を含有する層を、塗布あるいは印刷のような手段で基材表面に形成して粗面化する方法をとることもできる。固体微粒子は、プラスチックフィルムを作成する段階でプラスチック材料中に含有させ(内添し)、それをフィルム状に成形する際に表面に凹凸を形成することもできる。さらに、溶剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、X線照射処理等の公知の表面処理方法を用いて粗面化することもてきる。また、以上の手段は単独のみならず複数の方法を組み合わせて実施してもよい。
中でも、サンドブラスト加工は樹脂の印刷により粗面を形成する手段、固体微粒子をフィルム材料中に添加して凹凸を形成する手段が、特に好ましく実施できる。
【0089】
[親水性表面]
本発明に用いられる支持体としては、基材上に親水性表面を形成したものであってもよい。そのような親水性表面は、上記陽極酸化処理の後に形成されることが好ましく、従来より知られている方法を用いて形成することができる。
本発明に適用可能な親水性表面の形成方法としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号の各明細書に開示されているようなアルカリ金属珪酸塩(例えば、珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号の各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
さらに、支持体表面に親水性ポリマーを化学結合させる方法が挙げられる。
【0090】
これらの中でも、本発明における親水性表面の形成としては、アルカリ金属珪酸塩処理により形成する態様、及び支持体表面に親水性ポリマーを化学結合させて形成する態様が好ましい。
【0091】
(アルカリ金属珪酸塩処理による親水性表面の形成)
支持体表面をアルカリ金属珪酸塩処理により、親水性表面を形成する態様について詳細に説明する。
本発明においては、先に述べた陽極酸化皮膜形成後のアルミニウム板に対し、さらに、アルカリ金属ケイ酸塩処理を行うことにより、アルミニウム支持体上に親水性表面を形成することができる。
【0092】
アルカリ金属珪酸塩処理は、上記の如き処理を施したアルミニウム板の陽極酸化皮膜を、アルカリ金属珪酸塩が0.01〜30質量%(好ましくは0.1〜5質量%)であり、25℃でのpHが10〜13である水溶液に、例えば10〜90℃で0.5〜40秒、より好ましくは1〜20秒浸漬することにより行うことが好ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHが10より低いと液はゲル化し、13より高いと酸化皮膜が溶解されてしまう。
【0093】
本発明に用いられるアルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用され、中でも珪酸ナトリウム、珪酸カリウムが好ましい。アルカリ金属珪酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがあり、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用される。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢酸塩、修酸塩、ホウ酸塩等の水溶液が挙げられる。第IVB族金属塩として、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム蓚酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、などを挙げることができる。アルカリ土類金属塩若しくは、第IV族金属塩は単独又は2以上組み合わせて使用することができる。
【0094】
(親水性ポリマーを化学結合させることによる親水性表面の形成)
前記支持体表面に親水性ポリマーを化学結合させることにより、親水性表面を形成する態様について詳細に説明する。
かかる態様は、基材上に、該基材表面と直接化学結合し得る反応性基、或いは、基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうち少なくとも1種を有する親水性ポリマー(以下、適宜、「特定親水性ポリマー」と称する)を化学結合させ親水性表面を得ることを特徴とする。まず、特定親水性ポリマーについて説明する。
【0095】
ここで用いられる特定親水性ポリマーとしては、基材表面と直接若しくは架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を、親水性ポリマーの末端、或いは側鎖に有し、且つ、親水性の官能基を有するものであれば特に制限はない。
【0096】
このような特定親水性ポリマーとしては、反応性基としてアルコキシ基等の架橋性基を有するものが好ましく、この架橋性基が直接基材表面上に存在する−Al3+或いは−OH等の官能基とカップリング反応により結合していてもよく、或いは、特定親水性ポリマーを含有する親水性塗布液を調製し、基材表面に塗布・乾燥することで、架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造を形成し、それを介して基材に結合されたものであってもよい。後者のようにして形成された架橋構造は、強固で耐久性に優れた親水性表面を容易に形成しうるため、本発明において好ましい態様といえる。なお、このような架橋構造を、本発明では以下、適宜、「ゾルゲル架橋構造」と称する。
【0097】
さらに、上記架橋性基としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物であることが好ましく、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
【0098】
以下、本親水化処理により得られる親水性表面の好ましい態様について、各構成及び親水性表面の形成方法について詳細に説明する。
【0099】
<基材表面と直接若しくは架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を有する親水性ポリマー>
基材表面と直接若しくは架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を末端、或いは側鎖に有する親水性ポリマー(特定親水性ポリマー)は、分子内に少なくとも親水性基と前記特定の反応性基とを有するものであれば、特に制限はないが、好ましい態様としては、下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有するものが挙げられる。
【0100】
《一般式(1)で表される特定親水性ポリマー》
下記一般式(1)で表される特定親水性ポリマー(以下、適宜、「特定親水性ポリマー(1)」と称する)は、末端にシランカップリング基を有することを特徴とする。
【0101】
【化8】
【0102】
一般式(1)で表される高分子化合物は、構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの両末端の少なくとも一方に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有していればよく、他の末端にもこの官能基を有していてもよく、水素原子、又は重合開始能を有する官能基を有していてもよい。
【0103】
上記一般式(1)において、mは0、1又は2を表し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
R1〜R6は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
【0104】
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。
アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いらる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、
【0105】
N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、
【0106】
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
【0107】
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル2基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
【0108】
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
【0109】
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12まての分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
【0110】
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
【0111】
L1及びL2は、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位又はこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
【0112】
【化9】
【0113】
L3は、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、上記L1及びL2と同様のものもを挙げることができる。中でも、特に好ましい構造としては、−(CH2)n−S−である(nは1〜8の整数)。
【0114】
また、Y1及びY2は、−NHCOR7、−N(R7)(R8)、−COR7、−OH、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7及びR8は、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。また、−N(R7)(R8)についてはR7及びR8がお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R7及びR8はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1〜R6がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
【0115】
R7及びR8として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
【0116】
Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
【0117】
また、Y1、Y2としては具体的には、−NHCOCH3、−NH2、−COOH、−SO3 −NMe4 +、モルホリノ基等が好ましい。
【0118】
x及びyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表し、100:0〜5:95の範囲がさらに好ましい。
【0119】
特定親水性ポリマー(1)の分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が最も好ましい。
【0120】
本発明に好適に用い得る特定親水性ポリマー(1)の具体例(1−1)〜(1−23)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0121】
【化10】
【0122】
【化11】
【0123】
【化12】
【0124】
−合成方法−
本発明に係る特定親水性ポリマー(1)は、下記構造単位(i)及び(ii)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記構造単位(iii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
この反応様式は特に制限されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下、或いは、高圧水銀灯の照射下、バルク反応、溶液反応、懸濁反応などを行えばよい。
【0125】
また、重合反応において、(iii)で表される構造単位の導入量を制御し、これと構造単位(i)又は(ii)との単独重合を効果的に抑制するため、不飽和化合物の分割添加法、逐次添加法などを用いたじ重合法を行うことが好ましい。
【0126】
構造単位(iii)に対する構造単位(i)、(ii)の反応比率は特に制限されるものではないが、構造単位(iii)1モルに対して、構造単位(i)、(ii)が0.5〜50モルの範囲内とすることが、副反応の抑制や加水分解性シラン化合物の収率向上の観点から好ましく、1〜45モルの範囲がより好ましく、5〜40モルの範囲であることが最も好ましい。
【0127】
【化13】
【0128】
構造単位(i)、(ii)及び(iii)において、R1〜R6、L1〜L3、Y1、Y2、mは、上記一般式(1)と同義である。また、これらの化合物は、市販されおり、また容易に合成することもできる。
【0129】
特定親水性ポリマー(1)を合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
【0130】
また、上記特定親水性ポリマー(1)は、後述するような他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
【0131】
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
【0132】
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
【0133】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0134】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0135】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
【0136】
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
【0137】
共重合体の合成に使用されるこれらの他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、割合が大きすぎる場合には、平版印刷版用支持体としての機能が不十分となる。従って、特定親水性ポリマー(1)中の他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0138】
《一般式(2)で表される特定親水性ポリマー》
下記一般式(2)で表される特定親水性ポリマー(以下、適宜、「特定親水性ポリマー(2)」と称する)は、側鎖にシランカップリング基を有することを特徴とする。
【0139】
【化14】
【0140】
一般式(2)における、m、及びR1〜R6、L1、L2、Y1は、すべて一般式(1)と同義である。
【0141】
x及びyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは99:1〜50:50の範囲を表し、99:1〜60:40の範囲が好ましく、98:2〜70:30の範囲がさらに好ましい。
【0142】
特定親水性ポリマー(2)の分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が最も好ましい。
【0143】
ここで、本発明に好適に用い得る特定親水性ポリマー(2)の具体例(2−1)〜(2−7)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0144】
【化15】
【0145】
−合成方法−
特定親水性ポリマー(2)を合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
【0146】
また、特定親水性ポリマー(2)は、他のモノマーとの共重合体であってもよく、用いられる他のモノマーとしては、上記特定親水性ポリマー(1)で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0147】
《一般式(3)で表される架橋成分》
本発明における親水性表面は、上記特定親水性ポリマー中の架橋性基が直接基材表面上の−Al3+、或いは−OH基などの官能基と化学結合するか、若しくは、特定親水性ポリマーを含有する親水性塗布液を調製し、基材表面に塗布、乾燥することで、該架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造(ゾルゲル架橋構造)を形成したものであってもよい。
【0148】
ゾルゲル架橋構造を形成するにあたっては、特定親水性ポリマーと、下記一般式(3)で表される架橋成分とを混合して基材表面に塗布・乾燥することが好ましい。下記一般式(3)で表される架橋成分としては、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす化合物であり、前記特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
【0149】
【化16】
【0150】
一般式(3)中、R9は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R10はアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。
【0151】
R9及びR10がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
【0152】
以下に、一般式(3)で表される架橋成分の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0153】
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0154】
また、XがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
【0155】
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
【0156】
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
【0157】
<親水性表面の形成>
−親水性塗布液の調製−
前記特定親水性ポリマーを含む親水性塗布液組成物を調製するにあたっては、特定親水性ポリマーの含有量は固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。含有量が50質量%以上になると膜強度が低下する傾向があり、また、10質量%未満であると、皮膜特性が低下し、膜にクラックが入るなどの可能性が高くなり、いずれも好ましくない。
【0158】
また、好ましい態様である親水性塗布液組成物の調製に前記架橋成分を添加する場合の添加量としては、特定親水性ポリマー中のシランカップリング基に対して架橋成分が5mol%以上、さらに10mol%以上となる量であることが好ましい。架橋成分添加量の上限は親水性ポリマーと十分架橋できる範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋成分により、作製した親水性表面がべたつくなどの問題を生じる可能性がある。
【0159】
シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマー、好ましくは、さらに架橋成分とを溶媒に溶解し、よく撹拌することで、これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る親水性塗布液となり、これによって、高い親水性と高い膜強度を有する表面親水性層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、触媒は必須である。
【0160】
触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水又はアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
【0161】
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0162】
親水性塗布液の調製は、シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマー、好ましくはさらに架橋成分をエタノールなどの溶媒に溶解後、所望により上記触媒を加え、撹拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち撹拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この撹拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
【0163】
前記親水性ポリマー及び、好ましくは架橋成分を含有する親水性塗布液組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
【0164】
以上述べたように、本発明に係る親水性表面を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性塗布液組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年〕、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明に係る親水性塗布液組成物の調製に適用することができる。
【0165】
本発明における親水性塗布液組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を目的に応じて使用することができる。例えば、塗布液の均一性を向上させるため界面活性剤を添加することができる。
【0166】
上記のようにして調製した親水性塗布液組成物を前記支持体基板上に塗布、乾燥することで親水性表面を形成することができる。親水性表面の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.5〜5.0g/m2の範囲であり、好ましくは1.0〜3.0g/m2の範囲である。塗布量が、0.5g/m2より少ないと親水性の効果が発現しにくくなり、5.0g/m2を超えると感度や膜強度の低下を生じる傾向があるためいずれも好ましくない。
以上のようにして、本発明の平版印刷用原版を作製することができる。
【0167】
〔露光・現像〕
本発明の平版印刷用原版は、それぞれの記録層の特性に応じて、画像様露光を行う。具体的な露光手段としては、例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッド、ヒートロール、非接触式ヒータや熱風等を用いた加熱ゾーンの利用などによる熱的なエネルギー付与などが適用可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
レーザ露光に用いるレーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等が挙げられる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
一般的に用いられる具体的な態様としては、加熱装置等による直接或いは間接的な全面加熱、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などによる全面露光が好適に挙げられる。
また、活性光線の露光を行なう場合、紫外線、可視光が好ましく、重合速度に優れるという点から紫外線露光が特に好ましい。活性光線の主たる波長が250nm以上800nm以下であることが好ましい。
紫外線露光に用いる光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステン白熱ランプ、太陽光などがあげられる。
本発明においては、レーザ照射後すぐに現像処理を行ってもよいが、レーザ照射工程と現像工程の間に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
【0168】
必要に応じて加熱処理を行った後、本発明の平版印刷版用原版はアルカリ性水溶液にて現像される。本発明の平版印刷版用原版に使用される現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ剤水溶液が使用できる。この現像液及び及び補充液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0169】
これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0170】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、所望により現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に補充することができる。これにより、アルカリ現像処理液のアルカリ濃度を高くすることができるため、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷用版材を処理することが可能となる。具体的には、前記アルカリ剤を前記アルカリ現像処理液が強アルカリ性、例えば、pHが12.5〜13.5になるように、好ましくはpHが12.8〜13.3になるように、前記アルカリ現像処理液に添加すればよい。
【0171】
また、本発明においては、所望によりアルカリ現像処理液に性界面活性剤や有機溶剤を含有させることができる。添加可能な好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられるが、特に、ノニオン性界面活性剤が好ましい。アルカリ現像処理液にノニオン性界面活性剤を含有させれば、画像部のアルカリ現像処理液に対する耐溶解性が維持されるため、上記のようなアルカリ強度の高い水溶液を補充した現像液で現像処理した場合であっても、安定に現像することが可能となる。これは、アルカリ可溶性高分子化合物とノニオン性界面活性剤との相互作用に起因するものと考えられる。また、上記相互作用は、ノニオン性界面活性剤がエチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖を含んでいる場合に強く働き、エチレンオキシド鎖を含んでいる場合に特に強く働く。これは、アルカリ可溶性基、特にフェノール性水酸基とエチレンオキシド鎖が強く相互作用するためであると考えられる。
【0172】
前記ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のものであれば、いずれも用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0173】
これらのノニオン性界面活性剤の前記アルカリ現像処理液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜5質量%であり、より好ましくは、0.01〜3質量%であり、特に好ましくは、0.1〜3質量%である。前記添加量が、0.001質量%より少ない場合には、ノニオン性界面活性剤が有効に作用しなくなることがあり、5質量%よりも多い場合には、相互作用が強すぎ、現像されなくなることがある。また、これらのノニオン性界面活性剤の重量平均分子量は、300〜50,000が好ましく、500〜5,000が特に好ましい。これらのノニオン性界面活性剤は単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
【0174】
さらに、本発明においては、現像性の促進や現像カスの分散、感光性平版印刷版用原版の画像部の親インキ性を高める等の目的で、所望により、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、現像安定剤、有機カルボン酸、消泡剤、ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、硬水軟化剤、有機溶剤、更に、公知の防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤等をその他の成分として前記アルカリ現像処理液に添加することができる。前記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の平版印刷版用原版を使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0175】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0176】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスクィージ、あるいは、スクィージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0177】
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0178】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0179】
(実施例1)
[特定重合体(P−1)の合成]
MFG(1−メトキシ−2−プロパノール)14.5gを加えた200ml三口フラスコに75℃、窒素雰囲気下で、p−ビニル安息香酸(北興化学工業)8g(54.0mmol)、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチルラクトン(ダイセル化学工業(株)製)6.1g(36.0mmol)、V601(2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル)0.414g、MFG 36.5gの溶液を2時間かけて滴下し、さらに5時間反応させた。反応液を酢酸エチルで再沈し、ろ過乾燥して、下記組成の本発明に係る特定重合体(P−1)を12.55g(酸価3.424meq/g、Mw9.424×104)を得た。
【0180】
【化17】
【0181】
[アルカリ可溶性高分子化合物の合成]
撹拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツロフラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を撹拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を撹拌した。
【0182】
この反応混合物に、p−アミノベンゼシスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間撹拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を撹拌しながら投入し、30分間得られた混合物を撹拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色団体が得られた(収量46.9g)。
【0183】
次に、撹拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた100ml三ツロフラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.021モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を撹拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を撹拌した。この反応混合物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後更に65℃で2時間、得られた混合物を撹拌した。
【0184】
反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を撹拌しながら投入し、30分混合物を撹拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこのアルカリ可溶性高分子化合物の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
【0185】
[支持体の作製]
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥して基板を作製した。基板を珪酸ナトリウム2質量%水溶液で25℃で15秒処理し、水洗して、親水性表面を有する支持体を作製した。
【0186】
[中間層の形成]
上記のように作製された基板上に、本発明に係る特定重合体(P−1)を含む、下記組成の中間層塗布液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、中間層を設けた。乾燥後の塗布量は15mg/m2であった。
<中間層塗布液>
・特定重合体(P−1) 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0187】
[ポジ型記録層の形成]
上記中間層が形成された支持体上に、下記組成の記録層形成用塗布液1を、乾燥後の塗布量が1.8g/m2となるように塗布し、実施例1の平版印刷版原版を得た。
<記録層形成用塗布液1>
・前記アルカリ可溶性高分子化合物 0.7g
・シアニン染料B 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.02g
・フッ素系界面活性剤 0.05g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・γ−ブチルラクトン 8g
・メチルエチルケトン 8g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4g
【0188】
(比較例1)
実施例1の中間層塗布液における特定重合体(P−1)に代えて、下記重合体(P−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の平版印刷版原版を得た。
【0189】
【化18】
【0190】
[露光・現像]
得られたポジ型平版印刷版用原版を、出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1/e2)の半導体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した後、下記の組成となるように調製したアルカリ現像液1及びリンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フイルム(株)製:「PSプロセッサー900VR」)を用いて現像し平版印刷版を得た。
【0191】
【0192】
[評価]
得られた実施例1および比較例1の平版印刷版に対し、耐刷性、及び、非画像部の汚れの有無について、以下ごとく評価を行った。結果を表1に示す。
【0193】
1.非画像部の汚れ
得られた実施例1および比較例1の平版印刷版を小森印刷機(株)製印刷機リスロンに装着し、これを用いて印刷を開始した初期における非画像部の汚れの有無について、目視で評価した。
【0194】
2.耐刷性
上記1.の印刷をさらに継続し、どれだけの枚数を正常に印刷できるかについて評価した。正常に印刷できた枚数が多いほど、耐刷性が良好であることを示す。
【0195】
【表1】
【0196】
表1の結果より、中間層の成分として、本発明に係る特定重合体を用いた実施例1のポジ型平版印刷版原版は、耐刷性に優れ、且つ、非画像部に汚れがない高画質な画像が形成されていることが確認された。
一方、中間層の成分として、本発明に係る特定重合体を用いなかった比較例1のポジ型平版印刷版原版は、実施例1と全く同じ支持体と記録層とを有するものであっても、非画像部に汚れは見られなかったものの、耐刷性に劣ることが確認された。
【0197】
(実施例2)
[ネガ型記録層の形成]
実施例1と同様の支持体上に、実施例1と同様の中間層を設け、さらに下記組成の記録層形成用塗布液2を、乾燥後の塗布量が1.7g/m2となるように塗布し、実施例2の平版印刷版原版を得た。
<記録層形成用塗布液2>
・アルカリ可溶性高分子(下記組成) 1.0g
・ラジカル重合性化合物「DPHA」(下記組成) 1.0g
・赤外線吸収剤「IR−1」(下記組成) 0.10g
・ラジカル発生剤「S−1」(下記組成) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
【0198】
【化19】
【0199】
(比較例2)
実施例2の中間層塗布液における特定重合体(P−1)に代えて、上記重合体(P−2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、比較例2の平版印刷版原版を得た。
【0200】
[露光・現像]
得られたネガ型平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter 3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。その後、下記組成のアルカリ現像液2で現像した。
<アルカリ現像液2>
・ベンジルアルコール 30ml
・炭酸ナトリウム 5g
・亜硫酸ナトリウム 5g
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10g
・水 1L
【0201】
[評価]
得られた実施例2および比較例2の平版印刷版に対し、耐刷性、及び、非画像部の汚れの有無について、以下ごとく評価を行った。結果を表2に示す。
【0202】
1.非画像部の汚れ
得られた実施例2および比較例2の平版印刷版原版を、ハイデルSOR−M印刷機で印刷し、印刷を開始した初期における非画像部の汚れの有無について、目視で評価した。
【0203】
2.耐刷性
上記1.の印刷をさらに継続し、どれだけの枚数を正常に印刷できるかについて評価した。正常に印刷できた枚数が多いほど、耐刷性が良好であることを示す。
【0204】
【表2】
【0205】
表2の結果より、中間層の成分として、本発明に係る特定重合体を用いた実施例2のネガ型平版印刷版原版は、耐刷性に優れ、且つ、非画像部に汚れがない高画質な画像が形成されていることが確認された。
一方、中間層の成分として、本発明に係る特定重合体を用いなかった比較例2のネガ型平版印刷版原版は、実施例2と全く同じ支持体と記録層とを有するものであっても、非画像部に汚れは見られなかったものの、耐刷性に劣ることが確認された。
実施例1及び2より、本発明に係る中間層は、記録層としてポジ型を用いた場合でも、ネガ型を用いた場合でも、同様の効果を奏することがわかる。
【0206】
【発明の効果】
本発明によれば、デジタル信号に基づいた走査露光による直接製版が可能であり、耐刷性に優れ、かつ、非画像部における汚れの発生のない平版印刷版原版を提供することができる。
Claims (1)
- 支持体上に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層と、記録層と、を順次設けてなる平版印刷版原版。
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