JP2004276603A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

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Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
Naonori Makino
直憲 牧野
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Abstract

【課題】 親水性が高く、また、その持続性に優れた親水性表面を備えることで、特に印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる平版印刷版用支持体を提供する。
【解決手段】 シリケート処理されたアルミニウム基材上に、該基材表面と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性表面を有することを特徴とする。このような親水性ポリマーは、上記反応性基をポリマー末端に有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は平版印刷版用支持体に関するものであり、高度に親水化された表面を有し、優れた画質の画像形成が可能な平版印刷版の支持体として好適な平版印刷版用支持体に関する。
平版印刷は、インキを受容する親油性領域と、インキを受容せず湿し水を受容する撥インク領域(親水性領域)を有する版材を利用する印刷方法であり、現在では広く感光性の平版印刷版原版(PS版)が用いられている。
PS版は、アルミニウム板などの支持体の上に、記録層を設けたものが実用化され広く用いられている。このようなPS版は、画像露光および現像により非画像部の記録層を除去し、基板表面の親水性と画像部の記録層の親油性を利用して印刷が行われている。このような版材では、非画像部の汚れ防止のため、基板表面には高い親水性が要求される。
従来、平版印刷版に用いる親水性基板又は親水性層としては、陽極酸化されたアルミニウム基板、若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化されたアルミニウム基板をシリケート処理することが一般的に行なわれている。さらに、これらアルミニウム支持体を用いた親水化基板若しくは親水性層に関する研究が盛んに行われており、例えば、PET支持体上に親水性ポリマーを含有し、加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水性層(例えば、特許文献1参照。)、親水性ポリマーを主成分とする相及び疎水性ポリマーを主成分とする相の2相から構成された相分離構造を有する親水性層(例えば、特許文献2参照。)、または、アルミ支持体上にビニルホスホン酸とアクリルアミドとの共重合体を有する親水性層(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。その他にも、ポリビニル安息香酸などを下塗り剤として用いる技術も提案されている。
これらの親水性層は、従来のものより親水性が向上し、印刷開始時には汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版を与えたが、印刷を繰り返すうちに剥離したり、親水性が経時的に低下したりする問題があり、より厳しい印刷条件においても、親水性層が支持体から剥離したり、表面の親水性が低下することなく、多数枚の汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版原版が望まれていた。また、実用的な観点から、さらなる親水性の向上も要求されるのが現状である。
特開平8−272087号公報 特開平8−292558号公報 特開平7−1853号公報
前記従来の諸問題を解決すべくなされた本発明の目的は、親水性が高く、また、その持続性に優れた親水性表面を備えることで、特に印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる平版印刷版用支持体を提供することにある。
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、シリケート処理されたアルミニウム基材上に、該基材表面と化学結合しうる反応性基を有する親水性ポリマーを結合させることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の平版印刷版用支持体は、シリケート処理されたアルミニウム基材上に、該基材表面と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性表面を有することを特徴とする。
また、前記親水性ポリマーが、その末端にシリケート処理されたアルミニウム基材表面と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を有することが好ましい。
また、これらのうち、架橋構造を有する構成成分を介してアルミニウム基材表面に化学結合する親水性表面の好適且つ具体的な態様としては、前記親水性表面が、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有する態様が挙げられる。
本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、より具体的には、下記一般式(1)で表される高分子化合物が好適に挙げられる。
Figure 2004276603
式(1)で表されるポリマーは、構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの末端に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有する。
式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0、1または2を表し、xおよびyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表す。L1、L2、L3はそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
さらに好ましくは、上記親水性ポリマーと共に、下記一般式(2)で表される架橋成分を含有する親水性塗布液を調製し、シリケート処理されたアルミニウム基材表面に塗布、乾燥することで、強固な架橋構造を有する親水性表面を容易に形成することができる。
Figure 2004276603
式(2)中、R9及びR10はそれぞれ独立にアルキル基を表し、XはSi、Al、Ti,又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。
また、本発明の平版印刷版用支持体は、シリケート処理されたアルミニウム基材上に、前記一般式(1)で表される親水性ポリマーと下記一般式(3)又は(4)で表される金属キレート化合物とを含有する親水性塗布液を塗布してなるものが好ましい。
Figure 2004276603
式(3)および(4)中、M1はAlを表し、M2はTi、又はZrを表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜16のアルコキシ基を表し、pは0〜2の整数を表し、qは0〜3の整数を表す。
本発明の作用は明確ではないが、親水性基を有するポリマーが、その分子内に、シリケート処理されたアルミニウム基材(以下、適宜「特定アルミニウム基材」と称する)表面に直接化学結合し得る、或いは、架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る、反応性基を有するため、このような親水性ポリマーが、該特定アルミニウム基材表面に存在する−SiO-Na+、−Al3+又は−OH等の官能基とカップリング反応を生起して強固に結合される。一方、親水性基はこの特定アルミニウム基材との結合反応には関与せず、比較的フリーの状態で存在するため、強固な結合と高い親水性が両立するものと考えられる。
また、このような親水性表面を形成するにあたっては、特定アルミニウム基材上に、前記一般式(1)で表される親水性ポリマーと前記一般式(3)又は(4)で表される金属キレート化合物とを含有する親水性塗布液を塗布することが好ましい。ここで、金属キレート化合物は触媒として作用し、この金属キレート化合物を添加することで、取扱い時における該塗布液の安定性が向上し、且つ、親水性表面形成時には、上記カップリング反応が促進され、親水性ポリマーがより特定アルミニウム基材と結合しやすくなるものと考えられる。
本発明によれば、親水性が高く、また、その持続性に優れた親水性表面を備えることで、特に印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる平版印刷版用支持体を得ることができる。
本発明の平版印刷版用支持体は、シリケート処理されたアルミニウム基材(特定アルミニウム基材)上に、該基材表面と直接又は架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性表面を備えることを特徴とする。以下、このような平版印刷版用支持体の各構成について詳細に説明する。
〔シリケート処理されたアルミニウム基材〕
本発明に用いられるシリケート処理されたアルミニウム基材(特定アルミニウム基材)とは、以下に挙げるような種々のアルミニウム基材上にシリケート処理を施したものを指す。
(アルミニウム基材)
本発明に用いられるアルミニウム基材は、平版印刷版原版への使用に適する寸度的に安定な板状物を形成して基材とする必要があり、強固な親水性表面を形成する観点から最表面はアルミニウムであることを要し、これらを考慮して、必要な強度、耐久性、可撓性などの特性を有するものを選択することが好ましい。例えば、代表的なものとして挙げられるアルミニウム板の他、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース等)、アルミニウム以外の金属板(例えば、亜鉛、銅等)、或いは、これらのプラスチックがラミネートされた紙など、のシート表面にアルミニウムを蒸着あるいは積層したもの等も含まれる。
本発明に好適なアルミニウム板としては、純アルミニウム板、及び、アルミニウムを主成分とした微量の異元素を含む合金板等が挙げられる。また、先に述べたようにアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来公知の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
基材として使用するアルミニウム板には、シリケート処理に先だって必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なっても良い。このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成された陽極酸化皮膜の量が1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
(シリケート処理)
本発明に用いる特定アルミニウム基材は、上記のようにして得られたアルミニウム基材表面に、シリケート処理を施されてなることを特徴とする。
シリケート処理を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を任意に使用することができるが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を溶解した水溶液に、上記アルミニウム基材を浸漬する方法などが挙げられる。
この場合のアルカリケイ酸塩水溶液の濃度は、1〜30質量%程度が好ましく、2〜15質量%程度がより好ましい。また、該水溶液のpHは、25℃でpH10〜13程度が好ましい。本発明係るシリケート処理は、このような水溶液を15〜80℃、好ましくは15〜50℃に保ち、上記アルミニウム基材を0.5〜120秒間、好ましくは5〜60秒間、該水溶液に浸漬することにより実施される。
シリケート処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。
また、上記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液には、該水溶液のpHを高くするために、水酸化物を添加してもよい。そのような水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。このような水酸化物の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度が好ましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
さらに、アルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を添加してもよい。そのようなアルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。このようなアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。金属塩の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度がこのましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
また、シリケート処理の別の方法としては、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及びシリケートによる親水化処理を組合せた表面処理なども適用可能である。
このようなシリケート処理によって得られた金属ケイ酸塩皮膜はSi元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。皮膜量はケイ光X線分析法により測定することができる。
〔親水性表面〕
本発明の平版印刷版用支持体は、上記シリケート処理されたアルミニウム基材上に、該基材表面と直接結合し得る反応性基、または、該基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る反応性基のうち少なくとも1種を有する親水性ポリマー(以下、適宜「特定親水性ポリマー」と称する)が、化学結合してなる親水性表面を設けてなることを特徴とする。
本発明に用いられる特定親水性ポリマーとは、その分子内に、上記特定アルミニウム基材表面と直接化学結合しうる反応性基、或いは、上記特定アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうち少なくとも1種を有し、且つ、親水性の官能基を有するものであれば特に制限はない。特に、本発明に用いられる親水性ポリマーは、該反応性基をポリマーの末端に有することが好ましい。
このような親水性ポリマーとしては、該反応性基としてアルコキシ基等の架橋性基を有するものが好ましく、この架橋性基が、直接基材表面上に存在する−SiO-Na+、−Al3+或いは−OH等の官能基とカップリング反応により結合していてもよく、或いは、親水性ポリマーを含有する親水性塗布液を調製し、基材表面に塗布・乾燥することで、該架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造を形成し、それを介して基材に結合されたものであってもよい。後者のようにして形成された架橋構造は、強固で耐久性に優れた親水性表面を容易に形成しうるため、本発明において好ましい態様といえる。なお、このような架橋構造を、本発明では以下、適宜、「ゾルゲル架橋構造」と称する。
さらに、上記架橋性基としては、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物であることが好ましく、反応性、入手の容易性からSiのアルコキシドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に用いる化合物を好適に使用することができる。
ここで、本発明に係る親水性表面のさらに好ましい態様について詳細に説明する。
(一般式(1)で表される特定親水性ポリマー)
本発明においては、上記特定親水性ポリマーの中でも、下記一般式(1)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2004276603
式(1)で表される本発明に係る特定親水性ポリマーは、構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの両末端の少なくとも一方に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有していればよく、他の末端にもこの官能基を有していてもよく、水素原子、または重合開始能を有する官能基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、mは0、1または2を表し、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
1〜R6は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。
アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いらる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、
N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル2基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12まての分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、
クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルアバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
1およびL2は、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2004276603
3は、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、上記L1およびL2と同様のものもを挙げることができる。中でも、特に好ましい構造としては、−(CH2n−S−が挙げられる(nは1〜8の整数)。
また、Y1およびY2は、それぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。また、−N(R7)(R8)についてR7、R8がお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。R7、R8はさらに置換基を有していてもよく、ここで導入可能な置換基としては、前記R1〜R6がアルキル基の場合に導入可能な置換基として挙げたものを同様に挙げることができる。
7、R8としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が好適に挙げられる。
Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
また、このようなY1、Y2としては具体的には、−NHCOCH3、−NH2、−COOH、−SO3 -NMe4 +、モルホリノ基等が好ましい。
xおよびyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表し、100:0〜5:95の範囲がさらに好ましい。
特定親水性ポリマーの分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得る特定親水性ポリマーの具体例(1−1)〜(1−23)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2004276603
Figure 2004276603
Figure 2004276603
<合成方法>
本発明に係る特定親水性ポリマーは、下記構造単位(i)及び(ii)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記構造単位(iii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
この反応様式は特に制限されるものではないが、ラジカル重合開始剤の存在下、或いは、高圧水銀灯の照射下において、バルク反応、溶液反応、懸濁反応などを行えばよい。
また、重合反応において、(iii)で表される構造単位の導入量を制御し、これと構造単位(i)又は(ii)との単独重合を効果的に抑制するため、不飽和化合物の分割添加法、逐次添加法などを用いたじ重合法を行うことが好ましい。
構造単位(iii)に対する構造単位(i)、(ii)の反応比率は特に制限されるものではないが、構造単位(iii)1モルに対して、構造単位(i)、(ii)が0.5〜50モルの範囲内とすることが、副反応の抑制や加水分解性シラン化合物の収率向上の観点から好ましく、1〜45モルの範囲がより好ましく、5〜40モルの範囲であることが最も好ましい。
Figure 2004276603
上記構造単位(i)、(ii)及び(iii)において、R1〜R6、L1〜L3、Y1、Y2およびmは、上記一般式(1)と同義である。また、これらの化合物は、市販されおり、また容易に合成することもできる。
特定親水性ポリマーを合成するためのラジカル重合法としては、従来公知の方法の何れをも使用することができる。具体的には、一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
また、上記特定親水性ポリマーは、後述するような他のモノマーとの共重合体であってもよい。用いられる他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
共重合体の合成に使用されるこれら他のモノマーの割合は、諸物性の改良に十分な量である必要があるが、割合が大きすぎる場合には、平版印刷版用支持体としての機能が不十分となる。従って、特定親水性ポリマー中における他のモノマーの好ましい総割合は80質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは50質量%以下である。
(一般式(2)で表される架橋成分)
本発明に係る親水性表面としては、上記特定親水性ポリマー中の架橋性基が、直接特定アルミニウム基材表面上の−SiO- Na+、−Al3+、或いは−OH基などの官能基と化学結合したものでもよく、あるいは、特定親水性ポリマーを含有する親水性塗布液を調製し、基材表面に塗布、乾燥することで、該架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造(ゾルゲル架橋構造)を形成したものであってもよい。
ゾルゲル架橋構造を形成するにあたっては、特定親水性ポリマーと、下記一般式(2)で表される架橋成分とを混合して基材表面に塗布・乾燥することが好ましい。下記一般式(2)で表される架橋成分としては、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす化合物であり、前記特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
Figure 2004276603
一般式(2)中、R9は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R10はアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。
9及びR10がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(2)で表される架橋成分の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
また、XがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
(親水性表面の形成)
<親水性塗布液の調製>
前記特定親水性ポリマーを含む親水性塗布液組成物を調製するにあたっては、特定親水性ポリマーの含有量は固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。含有量が50質量%以上になると膜強度が低下する傾向があり、また、10質量%未満であると、皮膜特性が低下し、膜にクラックが入るなどの可能性が高くなり、いずれも好ましくない。
また、好ましい態様である親水性塗布液組成物の調製に前記架橋成分を添加する場合の添加量としては、特定親水性ポリマー中のシランカップリング基に対して架橋成分が5mol%以上、さらに10mol%以上となる量であることが好ましい。架橋成分添加量の上限は親水性ポリマーと十分架橋できる範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋成分により、作製した親水性表面がべたつくなどの問題を生じる可能性がある。
シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマー、好ましくは、さらに架橋成分とを溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る親水性塗布液となり、これによって、高い親水性と高い膜強度を有する表面親水性層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、触媒として、酸性触媒または塩基性触媒、或いは、金属キレート化合物を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、このような触媒は必須である。本発明においては、特に、金属キレート化合物を触媒として用いることが好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒としては、酸または塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のものを用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、本発明に用いられる金属キレート化合物は、下記一般式(3)又は(4)で表される。
Figure 2004276603
式(3)および(4)中、M1はAlを表し、M2はTi、又はZrを表す。
11及びR12は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基を表す。具体的には、例えば、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などが挙げられる。
13は、上記R11及びR12で挙げたものと同様の炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜16のアルコキシ基を表す。このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、ラウリル基、ステアリル基などが挙げられる。
pは0〜2の整数を表し、qは0〜3の整数を表す。
このような金属キレート化合物の具体例としては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソブロボキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る金属キレート化合物の添加量は、親水性塗布液の全固形分に対して、通常0.01〜15質量%程度であり、0.1〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
親水性塗布液の調製は、シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマー、好ましくはさらに架橋成分をエタノールなどの溶媒に溶解後、所望により上記触媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
前記親水性ポリマー及び、好ましくは架橋成分を含有する親水性塗布液組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、本発明に係る親水性表面を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性塗布液組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年〕、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明に係る親水性塗布液組成物の調製に適用することができる。
本発明に係る親水性塗布液組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を目的に応じて使用することができる。例えば、塗布液の均一性を向上させるため界面活性剤を添加することができる。
上記のようにして調製した親水性塗布液組成物を前記特定アルミニウム基材上に塗布、乾燥することで親水性表面を形成することができる。親水性表面の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.01〜3.0g/m2の範囲であり、好ましくは0.01〜1.0g/m2の範囲であり、さらに好ましくは0.03〜1.0g/m2の範囲である。塗布量が、0.01g/m2より少ないと親水性の効果が発現しにくくなり、3.0g/m2を超えると感度や膜強度の低下を生じる傾向があるためいずれも好ましくない。
本発明の平版印刷版用支持体においては、基材に形成された親水性表面上に所定の記録層(画像形成層)を設けることで平版印刷版原版を得ることができる。ここに設けられる記録層は任意であるが、その代表的なものを挙げて説明する。
〔記録層〕
−感光性若しくは感熱性の記録層−
本発明の平版印刷版用支持体上に設けられる記録層(感光性層若しくは感熱性層)は、ポジ作用感応性組成物又はネガ作用感応性組成物を含有してなる。
(ポジ作用感応性組成物)
本発明において、ポジ作用感応性組成物としては、以下に示す従来公知のポジ作用感応性組成物[(a)〜(b)]を用いることが好適である。
(a)ナフトキノンジアジドとノボラック樹脂とを含有してなる従来から用いられているコンベンショナルポジ作用感光性組成物。
(b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ作用感光性組成物。
上記(a)及び(b)は、いずれも当分野においてはよく知られたものであるが、以下に示すポジ作用感応性組成物((c)〜(f))と組み合わせて用いることがさらに好適である。
(c)特開平10−282672号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来る、スルホン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(d)EP652483号、特開平6−502260号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来る、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生剤若しくは赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(e)特開平11−095421号に記載のアルカリ可溶性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型組成物。
上記(a)〜(f)で示したポジ作用感応性組成物で用いられる化合物を以下に説明する。
「酸発生剤」
ポジ作用感応性組成物において使用される酸発生剤は、熱若しくは光により酸を発生する化合物であり、一般的には、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物及びそれらの混合物等を挙げることができ、これらを適宜選択して使用することができる。
例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al.,Po1ymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al.,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478,Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al.,Macromolecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150,848号、特開平2−296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al.,Polymer J. 17,73(1985)、J.V.Crivello et al.,J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al.,J.Polymer Sci., Polymer Chem,Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al., Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al.,Macromolecules,14(5),1141(1981)、
J.V.Crivello et al.,J.Polymer Sci., Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、米国特許第3,902,114号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同4,491,628号、同5,041,358号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al.,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al.,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S,Wen et al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478,Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩。
米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al.,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill et al.,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase et al.,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichman et al.,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu et al.,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit et al.,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton et al.,J.Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.Collins et al.,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、
M.Rudinstein et al.,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker et al.,J.Am Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman et al.,J.Imaging Technol.,11(4),(1985)、H.M.Houlihan et al.,Macromolecules,21,2001(1988)、P.M.Co1lins et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase et al.,Macromolecules,18,1799(1985),E.Reichmanis et al.,J.Electrochem,Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan et al.,Macromolecules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、TUNOOKA et al.,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner et al.,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs et al.,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi et al.,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,554号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルホネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
また、酸発生剤をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、M.E.Woodhouse et al.,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas et al.,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo et al.,Makromol.Chem.Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamada et al.,Makromol,Chem.152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al.,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−14603号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad et al.,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al.,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明において、酸発生剤の添加量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分に対し、通常0.001〜40質量%程度であり、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
「アルカリ可溶性化合物」
ポジ作用感応性組成物において使用されるアルカリ可溶性化合物は、ポジ型に適用される場合には、溶解抑止剤との共存下によりアルカリ可溶性が低下し、溶解抑止剤の分解により、アルカリ可溶性が回復するアルカリ可溶性化合物である。
ポジ作用感応性組成物において使用されるアルカリ可溶性化合物としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロキンスチレン、アクリル樹脂等を挙げることができる。
本発明で使用されるノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を、酸性条件下で縮合させて得られる樹脂である。好ましいノボラック樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(o−、m−、p−又はm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂等が挙げられる。これらのノボラック樹脂は、質量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
ポジ作用感応性組成物において使用されるノボラック樹脂以外のアルカリ可溶性化合物としては、例えばポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
また、ポリ−p−ヒドロキンスチレン、ポリ−m−ヒドロキンスチレン、p−ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系ポリマーを用いる場合には質量平均分子量が2,000〜500,000、さらに、4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特願平8−211731明細書に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは質量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレングリコール、2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
本発明において、アルカリ可溶性化合物は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
本発明において、これらのアルカリ可溶性化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、10〜90質量%程度であり、20〜85質量%が好ましく、30〜80質量%がさらに好ましい。アルカリ可溶性化合物の含有量が10質量%未満であると感光性層若しくは感熱性層の耐久性が悪化し、また、90質量%を越えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
また、これらのアルカリ可溶性化合物は、1種類のみで使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
「溶解阻止剤」
ポジ作用感応性組成物において使用される溶解阻止剤とは、酸の作用により分解しアルカリ可溶性となる化合物である。該溶解阻止剤としては、t−ブチルエステル、t−ブチルカーバーメート、アルコキシエチルエステル、等のレジスト分野で用いられている化学増幅系の酸分解性基で保護されたカルボン酸、フェノール化合物等が挙げられる。
本発明において、溶解阻止剤の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、5〜90質量%程度であり、10〜80質量%が好ましい。
好適なキノンジアジド化合物類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。
本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解によりアルカリ可溶性化合物の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により、感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライトーセンシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号等に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノールーホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許関連の文献に報告があり知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号等に記載されているものを挙げることができる。
本発明において、o−キノンジアジド化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、1〜50質量%程度であり5〜30質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。これらの化合物は単独で使用することができるが、数種の混合物として使用してもよい。o−キノンジアジド化合物の含有量が1質量%未満であると画像の記録性が悪化し、一方、50質量%を超えると画像部の耐久性が劣化したり感度が低下したりする。
本発明において、o−キノンジアジド化合物以外の上記化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、1〜50質量%程度であり、5〜30質量%が好ましく、10〜30質量%が好ましい。
(ネガ型感応性組成物)
本発明において、ネガ作用感応性組成物としては、以下に示す従来公知のネガ作用感応性組成物((g)〜(l))を用いることができる。
(g)光架橋性基を有するポリマー、アジド化合物を含有してなるネガ作用感応性組成物。
(h)特開昭59−101651号に記載のジアゾ化合物を含有してなるネガ作用感応性組成物。
(i)US262276号、特開平2−63054号に記載の光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物を含有してなる光重合性ネガ作用感応性組成物。
(j)特開平11−095421号記載のアルカリ可溶性化合物、酸発生剤、酸架橋性化合物を含有してなるネガ作用感応性組成物。
(k)特開2000−122272号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが可能な、スルホニル酢酸ポリマーと赤外線吸収剤を含有してなるレーザ感応性ネガ組成物。
(l)特許第2938397号明細書に記載の、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層組成物、特開2001−277740号公報に記載の、熱反応性化合物を含有するマイクロカプセルを用いた機上現像型の感光層組成物。
上記(g)〜(l)で示したネガ作用感応性組成物で用いられる化合物を以下に説明する。
「光架橋性基を有するポリマー」
ネガ作用感応性組成物において使用される光架橋性基を有するポリマーは、水性アルカリ現像液に対して親和性を持つ光架橋性基を有するポリマーが好ましく、例えば、US5064747号に記載び分子の主鎖又は側鎖に−CH=CH−CO−のような光架橋性基を有するポリマー;特公昭54−15711号に記載の桂皮酸基とカルボキシル基を有する共重合体;特開昭60−165646号に記載のフェニレンジアクリル酸残基とカルボキシル基を有するポリエステル樹脂;特開昭60−203630号に記載のフェニレンジアクリル酸残基とフェノール性水酸基を有するポリエステル樹脂;特公昭57−42858号に記載のフェニレンジアクリル酸残基とナトリウムイミノジスルホニル基を有するポリエステル樹脂;特開昭59−208552号に記載の側鎖にアジド基とカルボキシル基を有する重合体等が使用できる。
本発明において、光架橋性基を有するポリマーの含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、5〜100質量%程度であり、10〜95質量%が好ましく、20〜90質量%が好ましい。
「アジド化合物」
ネガ作用感応性組成物において使用されるアジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンザール)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフイド等が挙げられる。
本発明において、アジド化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、5〜95質量%程度であり、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。
「アルカリ可溶性化合物」
ネガ作用感応性組性物において使用されるアルカリ可溶性化合物は、前記ポジ作用感応性組成物に用いられるアルカリ可溶性化合物と同様である。
「ジアゾ化合物」
ネガ作用感応性組性物において使用されるジアゾ樹脂としては、例えばジアゾジアリールアミンと活性カルボニル化合物との縮合物の塩に代表されるジアゾ樹脂があり、感光性、水不溶性で有機溶剤可溶性のものが好ましい。
特に好適なジアゾ樹脂としては、例えば4−ジアゾジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−3’−メチルジフェニルアミン、4−ジアゾ−4’−メトキシジフェニルアミン,4−ジアゾ−3−メチル−4’−エトキシジフェニルアミン、4−ジアゾ−3−メトキシジフェニルアミン等とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、4,4’−ビス−メトキシメチルジフェニルエーテル等との縮合物の有機酸塩または無機酸塩である。
この際の有機酸としては、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等が挙げられ、無機酸としては、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、チオシアン酸等が挙げられる。
更に、特開昭54−30121号公報に記載の主鎖がポリエステル基であるジアゾ樹脂;特開昭61−273538号公報に記載の無水カルボン酸残基を有する重合体と、ヒドロキシル基を有するジアゾ化合物を反応してなるジアゾ樹脂;ポリイソシアネート化合物とヒドロキシル基を有するジアゾ化合物を反応してなるジアゾ樹脂等も使用しうる。
本発明において、ジアゾ樹脂の含有量は、感光性層若しくは感熱性層全固形分に対して、0〜40質量%程度が好ましい。また必要に応じて、2種以上のジアゾ樹脂を併用してもよい。
「光重合開始剤及び付加重合性不飽和化合物」
ネガ作用感応性組成物において使用される付加重合性不飽和化合物及び光重合開始剤としては、米国特許第2,760,863号、同第3,060,023号、特開昭62−121448号等に記載の2個またはそれ以上の末端エチレン基を有する付加重合性不飽和化合物及び光重合開始剤が挙げられる。
本発明において、付加重合性不飽和化合物の含有量は、感光性層若しくは感熱性層全固形分に対して、5〜95質量%程度であり、5〜80質量%が好ましい。また、光重合開始剤の含有量は、感光性層若しくは感熱性層全固形分に対して、1〜80質量%程度であり、5〜50質量%が好ましい。
「酸発生剤」
ネガ作用感応性組成物において使用される酸発生剤は、前記ポジ作用感応性組成物で用いられる酸発生剤と同様である。
「酸架橋性化合物」
ネガ作用感応性組性物において使用される酸架橋性化合物とは、酸の存在下で架橋する化合物を指し、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基、若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香族化合物及び複素環化合物が挙げられるが、その中でも好ましい例として、フェノール類とアルデヒド類を塩基性条件下で結合させた化合物が挙げられる。
前記の化合物のうち好ましいものとしては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドを前記のように塩基性条件下で縮合させた化合物、同様にして、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られる化合物、ビスフェノールAとホルムアルデヒドから得られる化合物、4,4’−ビスフェノールとホルムアルデヒドから得られる化合物、その他、GB第2,082,339号にレゾール樹脂として開示された化合物等が挙げられる。
これらの酸架橋性化合物は、質量平均分子量が500〜100,000で数平均分子量が200〜50,000のものが好ましい。
他の好ましい例としては、EP−A第0,212,482号に開示されているアルコキシメチル又はオキシラニルメチル基で置換された芳香族化合物、EP−A第0,133,216号、DE−A第3,634,671号、DE第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマーメラミンーホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合物等がある。
さらに他の好ましい例は、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル、N−アルコキシメチル又はN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体である。このなかでは、N−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
また、低分子量又はオリゴマーシラノールは、ケイ素含有架橋剤として使用できる。これらの例は、ジメチル−及びジフェニル−シランジオール、並びに既に予備縮合され且つこれらの単位を含有するオリゴマーであり、例えば、EP−A第0,377,155号に開示されたものを使用できる。
また、ここで用いる記録層として、上記のほか、赤外線レーザで記録可能な記録層もまた、好適に使用できる。以下に、赤外線露光により画像形成可能な記録層を挙げるが、これらは、赤外線レーザ露光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が変化する材料を用いるネガ型或いはポジ型の画像記録層、インク受容性領域を形成し得る疎水化前駆体を含有し、赤外線レーザ露光部において疎水化領域が形成される画像記録層など、公知の画像記録方式が任意に選択される。
まず、ポジ型或いはネガ型の画像記録層についてのべる。このような画像記録層は、赤外線レーザによる像様露光の後、アルカリ水溶液で現像処理され、アルカリ現像性が活性光線の照射により低下し、照射(露光)部が画像部領域となるネガ型と、逆に現像性が向上し、照射(露光)部が非画像部領域となるポジ型の2つに分けられる。
ネガ型の記録層としては、公知の酸触媒架橋系(カチオン重合も含む)記録層、重合硬化系記録層が挙げられる。これらは、光照射や加熱により発生する酸が触媒となり、記録層を構成する化合物が架橋反応を起こし硬化して画像部を形成するもの、或いは、光照射や加熱により生成するラジカルにより重合性化合物の重合反応が進行し、硬化して画像部を形成するものである。
またポジ型の記録層としては、公知の酸触媒分解系、o−キノンジアジド化合物含有系、相互作用解除系(感熱ポジ)記録層等が挙げられる。これらは光照射や加熱により発生する酸や熱エネルギーそのものにより、層を形成していた高分子化合物の結合が解除されるなどの働きにより水やアルカリ水に可溶となり、現像により除去されて非画像部を形成するものである。
以下、それぞれの記録層について詳細に説明する。
1.ネガ型画像記録層
1−1.重合硬化層
ネガ型記録層の1つとして、重合硬化層が挙げられる。この重合硬化層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましくは(D)バインダーポリマーを含有する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
1−2.酸架橋層
また、記録層の他の態様としては、酸架橋層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤と称する)とを含有し、さらに、これらを含有する層を形成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層においては、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士あるいは架橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、記録層中には(A)赤外線吸収剤が配合される。
[(A)赤外線吸収剤]
赤外線レーザで画像形成可能な記録層には、赤外線吸収剤を含有する。赤外線吸収剤としては、記録に使用する光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点からは波長800nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願平2001-6326、特願平2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2004276603
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(A)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2004276603
一般式(A)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZ1-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2004276603
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(A)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(A)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特願平2001−6326、特願平2001−237840明細書に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、分散物の感光層塗布液中での安定性及び感光層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
記録層中における、赤外線吸収剤の含有量としては、記録層の全固形分質量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が最も好ましい。この範囲において、高感度な記録が可能であり、非画像部における汚れの発生もなく、高画質の画像形成が可能である。
[(B)ラジカルを発生する化合物]
ラジカル発生剤は、光、熱、或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明に適用可能なラジカル発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを選択して使用することができ、例えば、オニウム塩、トリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物、オキサゾール化合物などの有機ハロゲン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アリールアジド化合物、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類等のカルボニル化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素塩化合物、ジズルホン化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられるラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、なかでも、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるオニウム塩が好ましく用いられる。
Figure 2004276603
式(B−1)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。
式(B−2)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21-はZ11-と同義の対イオンを表す。
式(B−3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオンを表す。
前記一般式(B−1)〜(B−3)中のZ11-、Z21-、Z31-は無機アニオン若しくは、有機アニオンを表すが、無機アニオンとしては、ハロゲンイオン
-、Cl-、Br-、I-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、過ホウ素酸イオン(BrO4 -)、テトラフルオロボレートイオン(BF4 -)、SbF6 -、PF6 -等が挙げられ、有機アニオンとしては、有機ボレートアニオン、スルホン酸イオン、ホスホン酸イオン、カルボン酸イオン、R40−SO3-、R40−SO2 -、R40−SO2-、R40−SO2-−Y−R40イオン(ここで、R40は炭素原子数1〜20のアルキル基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、Yは単結合、−CO−、−SO2−、を表す。)等が挙げられる。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
これらのオニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらのオニウム塩は、記録層塗布液の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、高感度な記録が達成され、また、印刷時における非画像部の汚れ発生が抑制される。
これらのオニウム塩は必ずしも画像記録層に添加されなくてもよく、画像記録層に隣接して設けられる別の層へ添加してもよい。
[(C)ラジカル重合性化合物]
本態様における記録層に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステルの具体例は、特開2001−133696号公報の段落番号[0037]〜[0042]に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(VI)
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653,特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらのラジカル重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
[(D)バインダーポリマー]
このような画像記録層においては、記録層の膜性向上の観点からさらにバインダーポリマーを使用することが好ましく、バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、記録層を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
本発明で使用されるポリマーの重量平均分子量については好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
本発明で使用されるバインダーポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマーは、記録層塗布液の全固形分に対し20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%の割合で記録層中に添加される。添加量が20質量%未満の場合は、画像形成した際、画像部の強度が不足する。また添加量が95質量%を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機ポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
次に、酸架橋層の構成成分について説明する。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記重合硬化型記録層におけるのと同様のものを用いることができる。
好ましい含有量は、記録層の全固形分質量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、さらに0.5〜10質量%が最も好ましい。
前記含有量の範囲において、高感度な記録が達成でき、さらに、得られる平版印刷用の非画像部における汚れの発生が抑制される。
[(E)酸発生剤]
本実施の形態において、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
上述の酸発生剤のうち、下記一般式(E−1)〜(E−5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2004276603
前記一般式(E−1)〜(E−5)中、R1、R2、R4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。R3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキシ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の整数を表す。
前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素数1〜14の炭化水素基が好ましい。
前記一般式(E−1)〜(E−5)で表される酸発生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特開2001−142230号公報の段落番号[0197]〜[0222]に一般式(I)〜(V)の化合物として詳細に記載されている。これらの化合物は、例えば、特開平2−100054号、特開平2−100055号に記載の方法により合成することができる。
また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げることができ、中でも、下記一般式(E−6)〜(E−8)で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げることができる。
Figure 2004276603
前記一般式(E−6)〜(E−8)中、X-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6 -、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8、R9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以下の炭化水素基を表す。
このようなオニウム塩は、特開平10−39509号公報段落番号[0010]〜[0035]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載されている。
酸発生剤の添加量としては、記録層の全固形分質量に対し0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が最も好ましい。
前記添加量が、0.01質量%未満であると、画像が得られないことがあり、50質量%を超えると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像部に汚れが発生することがある。
上述の酸発生剤は単独で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用してもよい。
[(F)架橋剤]
次に、架橋剤について説明する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
(i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物
(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(iii)エポキシ化合物
以下、前記(i)〜(iii)の化合物について詳述する。
前記(i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾール樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれる。
ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中でも、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。
また、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(F−1)〜(F−4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2004276603
Figure 2004276603
前記一般式(F−1)〜(F−4)中、L1〜L8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。
これらの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点で好ましい。

(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号に記載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ置換化合物等が挙げられる。
なかでも、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−アルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
(iii) エポキシ化合物としては、1以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。
その他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,539,192号の各明細書に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化合物を用いる場合の添加量としては、記録層の全固形分質量に対し5〜80質量%が好ましく、10〜75質量%がより好ましく、20〜70質量%が最も好ましい。
前記添加量が、5質量%未満であると、得られる画像記録材料の記録層の耐久性が低下することがあり、80質量%を超えると、保存時の安定性が低下することがある。
本発明においては、架橋剤として、(iv)下記一般式(F−5)で表されるフェノール誘導体も好適に使用することができる。
Figure 2004276603
前記一般式(F−5)中、Ar1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、R1、R2およびR3は水素原子または炭素数12個以下の炭化水素基を表す。mは2〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。
原料の入手性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。また、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が好ましい。
上記のうち、高感度化が可能である点で、Ar1としては、置換基を有していないベンゼン環、ナフタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下のアルキルチオ基、炭素数12以下のアルキルカルバモイル基、又はニトロ基等を置換基として有するベンゼン環、又はナフタレン環がより好ましい。
上記R1、R2で表される炭化水素基としては、合成が容易であるという理由から、メチル基が好ましい。R3で表される炭化水素基としては、感度が高いという理由から、メチル基、ベンジル基等の炭素数7以下の炭化水素基であることが好ましい。さらに、合成の容易さから、mは、2又は3であることが好ましく、nは1又は2であることが好ましい。
[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]
本発明に適用可能な架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボラック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
中でも、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られるオルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好ましい。
前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜300,000で、数平均分子量が400〜60,000のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して用いればよい。
また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシアリール基としては、OH基が1以上結合したアリール基が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
本実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(G−1)〜(G−4)で表される構成単位のうちのいずれか1種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2004276603
一般式(G−1)〜(G−4)中、R11は、水素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、R12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。X1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
これらのアルカリ可溶性高分子としては、本発明者らが先に提案した特開2001−142230号公報の段落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載されている。
本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種類以上を組合わせて使用してもよい。
アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量としては、記録層の全固形分に対し5〜95質量%が好ましく、10〜95質量%がより好ましく、20〜90質量%が最も好ましい。
アルカリ水可溶性樹脂の添加量が、5質量%未満であると、記録層の耐久性が劣化することがあり、95質量%を超えると、画像形成されないことがある。
また、本発明に係る記録層に適用できる公知の記録材料としては、特開平8−276558号公報に記載のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特開平7−306528号公報に記載のジアゾニウム化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−203037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有する複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架橋反応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ、これらに記載の記録層を本発明におけるネガ型記録層としての酸架橋層に適用することができる。
[その他の成分]
このようなネガ型の画像記録層には、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
また、本発明においては、記録層が重合硬化層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
また、本発明における記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の記録層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
さらに、本発明における記録層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
2.ポジ型画像記録層
ポジ型の画像記録層としては、相互作用解除系(感熱ポジ)、o−キノンジアジド化合物含有系等が挙げられる。以下順に述べる。
2−1.相互作用解除系(感熱ポジ)
相互作用解除系は以下で述べる(H)水不溶性、かつアルカリ水可溶性高分子、及び前記(B)ラジカルを発生する化合物において好ましい化合物として詳述した(B’)オニウム塩化合物、及び、前記ネガ型画像記録層において説明したものと同様の(A)赤外線吸収剤と含む。
このような記録層では、(B’)オニウム塩化合物と(H)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂中のアルカリ可溶性基との相互作用により、記録層中にアルカリ水溶液に対する耐溶解性が発現するが、露光部(非画像部)領域では、(A)赤外線吸収剤由来の熱による(B’)オニウム塩化合物の分解により、その相互作用が解除され、アルカリ水溶液に対する溶解性が向上して画像が形成される。
[(H)水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂]
ポジ型の記録層に使用できる(H)高分子化合物としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。
アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が2.0×102〜1.0×104のものが、画像形成性の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ水可溶性高分子などを併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、例えば、下記一般式(H−1)〜一般式(H−5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2004276603
〔式中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−または−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。〕
一般式(H−1)〜一般式(H−5)で表される化合物のうち、本発明に係るポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 2004276603
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
ポジ型記録層に用いるアルカリ水可溶性高分子を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
また、化合物を共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。
アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。
ポジ型画像記録層におけるアルカリ可溶性樹脂は、その合計の含有量が、記録層全固形分中、30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。含有量が上記範囲にあると、耐久性、感度、画像形成性ともに優れた画像記録層が得られる。
このようなポジ型画像記録層においては、効率的な相互作用の解除を達成するため、(A)赤外線吸収剤を用いることが重要となる。相互作用解除系ポジ型画像記録層における赤外線吸収剤は、その合計の含有量が、記録層全固形分中、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。含有量が上記範囲にあると、感度、画像形成性ともに優れた画像記録層となる。
2−2.o−キノンジアジド化合物含有系
o−キノンジアジド化合物含有系としては、特開平5−246171号公報や特開平6−230582号公報に記載されている、o−キノンジアジド化合物を感光性成分として含有するポジ型記録層が挙げられる。
[その他の成分]
このようなポジ型画像記録層の他の成分としては、赤外線などの活性放射線で記録可能な種々の画像記録材料における公知の添加成分を適宜選択して用いることができる。
本発明の平版印刷版用支持体に適用できる記録層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、他のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等を添加すると、アルカリ水可溶性高分子の現像液への溶解阻止機能を向上させることができるので好ましい。
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。
環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
本発明における記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、ネガ型画像記録層におけるのと同様の各種界面活性剤、シロキサン系化合物、フッ素含有のモノマー共重合体などを添加することができる。また、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料など加えることができるのも前記ネガ型記録層と同様である。
3.疎水化前駆体含有画像記録層
本発明の平版印刷版用支持体に適用し得るさらなる画像記録層として、加熱または輻射線の照射により疎水性領域を形成しうる化合物(以下、適宜、疎水化前駆体と称する)を含有する感熱記録層が挙げられる。このような記録層は、(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルなどのように、加熱により、互いに融着したり、例えば、マイクロカプセルであれば、その内包物が熱により化学反応を起こしたりして、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を形成する化合物を含有し、これらは好ましくは、親水性のバインダー中に分散されているので、画像形成(露光)後は、印刷機シリンダー上に平版印刷版原版を取付け、湿し水および/またはインキを供給することで、特段の現像処理を行なうことなく、機上現像できることが特徴である。
このような画像記録層は、(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する。
上記(a)および(b)に共通の熱反応性官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体、その反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシル基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。
[(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー]
(a)微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱反応性官能基のポリマー微粒子への導入は、ポリマーの重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。
熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メタクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定されない。
熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応が挙げられる。
上記(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの中でも、画像形成性の観点からは、微粒子ポリマー同志が熱により容易に融着、合体するものが好ましく、また、機上現像性の観点から、その表面が親水性で、水に分散するものが、特に好ましい。また、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。
微粒子ポリマー表面の親水性をこのような好ましい状態にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させてやればよいが、微粒子の表面親水化方法はこれらに限定されるものではなく、公知の種々の表面親水化方法を適用することができる。
(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの熱融着温度は、70℃以上であることが好ましいが、経時安定性を考えると80℃以上がさらに好ましい。ただし、あまり熱融着温度が高いと感度の観点からは好ましくないので、80〜250℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲であることがさらに好ましい。
(a)微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのが好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
(a)微粒子ポリマーの添加量は、記録層固形分の50〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がさらに好ましい。
[(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル]
(b)マイクロカプセルに好適な熱反応性官能基としては、先に(a)、(b)に共通のものとして挙げた官能基の他、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアネートブロック体などが挙げられる。
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。そのような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定されずに用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれらの共重合体である。
具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステル、不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に用いられる。
また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
これらの具体的な化合物としては、本願出願人が先に提案した特開2001−27742号公報の段落番号〔0014〕乃至〔0035〕に、また、これらの化合物を内包するマイクロカプセルの詳細な製造方法については、同〔0036〕乃至〔0039〕に記載され、これらの記載は本発明にも適用し得る。
(b)マイクロカプセルに好適に用いられるマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよい。
(b)マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
(b)熱反応性官能基を有するマイクロカプセルを用いた画像形成機構では、マイクロカプセル材料、そこに内包物された化合物、さらには、マイクロカプセルが分散された記録層中に存在する他の任意成分などが、反応し、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を形成するものであればよく、例えば、前記したようなマイクロカプセル同士が熱により融着するタイプ、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面あるいはマイクロカプセル外に滲み出した化合物、あるいは、マイクロカプセル壁に外部から浸入した化合物が、熱により化学反応を起こすタイプ、あるいは、それらのマイクロカプセル材料や内包された化合物が添加された親水性樹脂、あるいは、添加された低分子化合物と反応するタイプ、2種類以上のマイクロカプセル壁材あるいはその内包物に、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせるものを用いることによって、マイクロカプセル同士を反応させるタイプなどが挙げられる。
従って、熱によってマイクロカプセル同志が、溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
(b)マイクロカプセルの記録層への添加量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。
(b)マイクロカプセルを記録層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、15〜85質量%であるのが特に好ましい。
[その他の成分]
本態様における感熱記録層には、前記画像形成性を有する(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルのほか、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。
(反応開始剤、反応促進剤)
前記感熱記録層においては、必要に応じてこれらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートが挙げられる。
これらの化合物は、記録層固形分の1〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られる。
(親水性樹脂)
本発明におけるこのような感熱記録層には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱記録層自体の皮膜強度も向上する。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げることができる。
親水性樹脂の感熱記録層への添加量は、記録層固形分の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
このような熱応答性の画像記録層(感熱記録層)を、赤外線レーザ光の走査露光等により画像形成するため、(A)赤外線吸収剤を画像記録層に含有させる。好ましい添加量は、記録層塗布液全固形分中、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。含有量が上記範囲にあると、感度、画像形成性ともに優れた画像記録層となる。
疎水化前駆体を含む画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解、もしくは分散し、塗布液を調製し、前記支持体の親水性表面上に塗布される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の平版印刷版用支持体上には、前記画像記録塗布液などの所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして塗布することにより画像記録層を形成し、平版印刷版原版を製造することができる。平版印刷版原版には、画像記録層に加え、目的に応じて、保護層、樹脂中間層、下塗り層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を、また、水溶性の記録層を用いる場合には、水、或いはアルコール類等の水性溶媒を挙げることができるがこれに限定されるものではなく、画像記録層の物性にあわせて適宜選択すればよい。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
以上のようにして、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られた平版印刷版原版は、親水性が高く、また、その持続性に優れた親水性表面を備えているため、画像形成後には、非画像部の印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
−ポジ型感光性平版印刷版原版−
<合成例1:特定親水性ポリマーの合成>
500ml三口フラスコにアクリルアミド50g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.4g、及びジメチルアセトアミド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。酢酸エチル2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、水洗して親水性ポリマーを得た。乾燥後の質量は52.4gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量3000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d6)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物(1−1)の構造を有する特定親水性ポリマーであることが確認された。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム版(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングし、水洗後、さらに2質量%硝酸に20秒間浸漬して水洗した。この時、砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、この板を7質量%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2で、陽極酸化被膜の厚さが2.4g/m2になるように、直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗乾燥を行い、アルミニウム支持体を得た。
その後、アルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間浸漬することでシリケート処理を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
(親水性表面の形成)
以下の組成物を均一に混合し、20℃にて2時間撹拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物1を得た。
<親水性塗布液組成物1>
・特定親水性ポリマー[例示化合物(1−1)] 0.21g
・エタノール 4.70g
・水 4.70g
・硝酸水溶液(1N) 0.10g
その後上記シリケート処理されたアルミニウム基材上に、上記親水性塗布液組成物1を乾燥後の塗布量が0.05g/m2となるように塗布し、120℃、10分加熱乾燥させて親水性表面を形成し、平版印刷版用支持体1とした。
得られた支持体上の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定したところ、6.5°であり、優れた親水性を有することが確認された。
(画像記録層の形成)
<ポジ型画像記録層塗布液1>
・ナフトキノン−1,2−ジアジト−4−スルホニルクロリドと
ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合物 0.9g
・ビクトリアピュアブルーBOH 0.05g
・クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
(メタ:パラ=6:4,重量平均分子量1800) 2.0g
・メチルエチルケトン 20g
・メチルアルコール 7g
上記画像記録層塗布液1を支持体表面に、乾燥後の塗布量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃、30分加熱乾燥させて画像記録層を形成し、ポジ平版印刷版原版1を得た。
〔露光及び現像処理〕
得られたポジ平版印刷版原版1を富士フイルム社製ステップガイドを通してPSライトで露光した後、富士フイルム社製現像液DP−4(1:8)を仕込んだ自動現像機を通して処理した。
〔印刷及び評価〕
上記で得られたポジ型平版印刷版1の汚れ防止性、放置汚れ防止性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。表1の結果から、非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られ、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は非画像部に高い親水性が維持されていることが確認された。
(1)汚れ防止性
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
結果を表1に示す。汚れ防止性をブランケットの汚れの程度が少ない方から◎、○、△、×の4段階で評価した。
◎:全く汚れず
〇:目視では汚れが確認できず(ルーペで確認できる程度)
△:部分的に汚れる
×:完全に汚れる
(2)放置汚れ防止性
上記汚れ防止性の評価において、1万枚印刷した後、版を1時間放置し、その後、再度印刷を開始して、非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。
結果を表1に示す。なお、放置汚れ防止性の評価基準は、上記汚れ防止性の評価基準と同様のものを用いた。
〔実施例2〕
−ポジ型感光性平版印刷版原版−
(親水性表面の形成)
以下の組成物を均一に混合し、20℃にて2時間攪拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物2を得た。
<親水性塗布液組成物2>
・特定親水性ポリマー[例示化合物(1−1)] 0.21g
・テトラメトキシシラン 0.62g
・エタノール 4.70g
・水 4.70g
・硝酸水溶液(1N) 0.10g
その後実施例1で作製したシリケート処理されたアルミニウム基材上に、上記親水性塗布液組成物2を乾燥後の塗布量が0.08g/m2となるように塗布し、120℃、10分加熱乾燥させて有機無機複合体からなる親水性表面を形成し、平版印刷版用支持体2とした。
得られた支持体上の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定したところ、7.5°であり、優れた親水性を有することが確認された。
さらに、この支持体上に実施例1と同様のポジ型画像記録層を設けて、実施例2のポジ型平版印刷版原版2を得た。
〔印刷評価〕
得られた実施例2の平版印刷版原版2を実施例1と同様にして露光、現像、及び印刷を行った。結果を表1に示す。表1の結果から、非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られ、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は非画像部に高い親水性が維持されていることが確認された。
〔実施例3〜10〕
−サーマルポジ型感光性平版印刷版原版−
(支持体の作製)
実施例1の親水性塗布液組成物1において、特定親水性ポリマーの種類、及び、該親水性塗布液組成物1の塗布量を下記表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で平版印刷版用支持体3〜10を得た。
ここで得られた支持体の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製CA−Zを用いて測定した結果を表1に記す。
(画像記録層の形成)
下記組成のポジ型画像記録層塗布液3を調製し、得られた平版印刷版用支持体3〜10に、この記録層塗布液を乾燥後の塗布量(記録層塗布量)が1.7g/m2になるよう塗布し、乾燥させてサーマルポジタイプの画像記録層を形成し、ポジ型平版印刷版原版3〜10を得た。
<ポジ型画像記録層塗布液3>
・ノボラック樹脂 1.0g
(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、
質量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有)
・赤外線吸収剤[IR−1](下記構造) 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤 0.05g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製)
・メチルエチルケトン 12g
Figure 2004276603
〔露光及び現像処理〕
上記で得られた平版印刷版原版3を出力500mW、波長830nmビーム径17μm(1/e2)の半導体レーザを装備したCreo社製TrenndSetter3244を用いて主走査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/cm2で像様露光した。
その後、非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oよりなるカリウム塩5.0質量%およびオルフィンAK−02(日信化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1LにC1225N(CH2CH2COONa)2を1g添加したアルカリ現像液を用いて現像処理を行い、実施例3のポジ型平版印刷版3を得た。現像処理は、上記アルカリ現像液を満たした自動現像機PS900NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現像温度、30℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了した後、水洗工程を経て、ガム(FP−2W(1:1))等で処理した。
〔印刷及び評価〕
上記で得られたポジ型平版印刷版3〜10の汚れ防止性、放置汚れ防止性を前記実施例1と同様の方法で評価した。結果を下記表1に記す。表1の結果から、ずれの平版印刷版原版も、非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られ、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は非画像部に高い親水性が維持されていることが確認された。
Figure 2004276603
〔実施例11〜15〕
−サーマルネガ型感光性平版印刷版原版−
(支持体の作製)
実施例1の親水性塗布液組成物1において、特定親水性ポリマーの種類、及び、該親水性塗布液組成物1の塗布量を下記表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で平版印刷版用支持体11〜15を得た。
ここで得られた支持体の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製CA−Zを用いて測定した結果を表2に記す。
(画像記録層の形成)
下記組成のネガ型画像記録層塗布液4を調製し、得られた平版印刷版用支持体11〜15に、この記録層塗布液を乾燥後の塗布量(記録層塗布量)が1.3g/m2になるよう塗布し、乾燥させてサーマルネガタイプの画像記録層を形成し、サーマルネガ型平版印刷版原版11〜15を得た。
<ネガ型画像記録層塗布液4>
・赤外線吸収剤[IR−1](前記構造) 0.07g
・酸発生剤[SH−1](下記構造) 0.3g
・架橋剤[KZ−1](下記構造) 0.5g
・アルカリ可溶性高分子 1.5g
(マルカリンカーM S−4P、丸善石油化学(株)製)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.035g
(保上ヶ谷化学(株)製)
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・無水フタル酸 0.05g
・メチルエチルケトン 12g
・メチルアルコール 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4g
・3−メトキシ−1−プロパノール 4g
Figure 2004276603
〔露光及び現像処理〕
得られたネガ型平版印刷版原版11〜15を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。露光後、ウィスコンシン社製オーブンにて288°F、75秒間、加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP940Hを用いて現像処理を行い、実施例11〜15のネガ型平版印刷版11〜15を得た。現像液は、同社製DP−4の1:8水希釈水を用い、現像浴の温度は30℃とし、フィニッシャーは、同社製FP−2Wの1:1水希釈液を用いた。
〔印刷及び評価〕
上記で得られたネガ型平版印刷版11〜15の汚れ防止性、放置汚れ防止性を前記実施例1と同様の方法で評価した。結果を下記表2に記す。表2の結果から、いずれの平版印刷版原版も非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られ、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は非画像部に高い親水性が維持されていることが確認された。
Figure 2004276603
〔実施例16〜20〕
−サーマルネガ型(マイクロカプセル型)感光性平版印刷版原版−
<マイクロカプセル(1)の合成>
油相成分として、キシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)5g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMR−200)3.8g、下記構造のビニルオキシ化合物4g、下記構造の赤外線吸収色素[IR−2]1.5g、及びパイオニンA−41−C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18gに溶解した。
水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を5%テトラエチレンペンタアミン水溶液25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(1)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。また、マイクロカプセルの平均粒径は0.34μmであった。
Figure 2004276603
(親水性表面の形成)
以下の組成物を均一に混合し、20℃にて2時間攪拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物3を得た。
<親水性塗布液組成物3>
・特定親水性ポリマー(表3に記載の化合物) 0.21g
・トリス(アセチルアセトン)アルミニウム 0.01g
・メタノール 4.70g
・水 4.70g
その後、実施例1で作製したシリケート処理されたアルミニウム基材上に、上記親水性塗布液組成物3を、乾燥後の塗布量が下記表3に記載の塗布量になるように塗布し、120℃、1分間加熱乾燥させて親水性表面を形成し、実施例16〜20の平版印刷版用支持体16〜20を得た。
ここで得られた支持体の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製CA−Zを用いて測定した。結果を表3に記す。
(画像記録層の形成)
下記組成のマイクロカプセル型画像記録層塗布液5を調製し、得られた平版印刷版用支持体16〜20に、この記録層塗布液を乾燥後の塗布量(記録層塗布量)が1.0g/m2になるよう塗布し、乾燥させてマイクロカプセル型の画像記録層を形成し、マイクロカプセル型平版印刷版原版16〜20を得た。
<マイクロカプセル型画像記録層塗布液5>
・上記合成で得られたマイクロカプセル液(1) 25g
・下記構造の酸前駆体 0.5g
・水 75g
Figure 2004276603
〔露光・現像処理及び評価〕
得られたマイクロカプセル型平版印刷版原版16〜20を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、版面エネルギー300mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、印刷を行った。湿し水としては、富士写真フイルム(株)製、IF−102の4%溶液を使用し、インキとしては、大日本インキ化学工業(株)製、バリウス墨を使用した。
その結果、何枚か印刷を繰り返すうちに記録層の非画像部が湿し水により除去され、すべての平版印刷版原版について問題なく機上現像することができた。ここで、機上現像を開始してから、印刷物の非画像部に汚れがなくなるまでの枚数を「機上現像枚数」とし、その枚数を下記表3に記す。なお、この「機上現像枚数」が少ない程、機上現像性に優れることを示す。
その後、引き続き印刷を行い、汚れ防止性、放置汚れ防止性を前記実施例1と同様の方法で評価した。結果を下記表3に記す。
表3の結果から、いずれの平版印刷版原版も機上現像性に優れ、非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られることが分かった。したがって、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は非画像部に高い親水性が維持されていることが確認された。
Figure 2004276603
〔比較例1〕
実施例16において、本発明に係る親水性表面を形成しなかった以外は、実施例16と同様にして比較例1のマイクロカプセル型平版印刷版原版21を得た。
得られたマイクロカプセル型平版印刷版原版21を実施例16と同様の方法で露光および印刷を行い、機上現像性、汚れ防止性および放置汚れ防止性についての評価を行った。結果を上記表3に併記する。
表3の結果から、比較例1の平版印刷版原版21は、実施例16〜20の平版印刷版原版に比べて、特に、機上現像性が悪く、また、汚れ防止性および放置汚れ防止性にも劣っているいことが分かった。
〔実施例21〜25〕
−サーマルネガ型(マイクロカプセル型)感光性平版印刷版原版−
(親水性表面の形成)
以下の組成物を均一に混合し、20℃にて2時間攪拌して加水分解を行い、ゾル状の親水性塗布液組成物4を得た。
<親水性塗布液組成物4>
・特定親水性ポリマー(表4に記載の化合物) 0.21g
・トリス(アセチルアセトン)アルミニウム 0.01g
・メタノール 4.70g
・水 4.70g
その後、実施例1で作製したシリケート処理されたアルミニウム基材上に、上記親水性塗布液組成物4を、乾燥後の塗布量が下記表4に記載の塗布量になるように塗布し、120℃、1分間加熱乾燥させて親水性表面を形成し、実施例21〜25の平版印刷版用支持体21〜25を得た。
ここで得られた支持体の親水性表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製CA−Zを用いて測定した。結果を表4に記す。
(画像記録層の形成)
下記組成のマイクロカプセル型画像記録層塗布液6を調製し、得られた平版印刷版用支持体21〜25に、この記録層塗布液を乾燥後の塗布量(記録層塗布量)が1.0g/m2になるよう塗布し、乾燥させてマイクロカプセル型の画像記録層を形成し、マイクロカプセル型平版印刷版原版21〜25を得た。
<マイクロカプセル型画像記録層塗布液6>
・バインダーポリマー(1) 0.162g
・赤外線吸収染料(1) 0.020g
・重合開始剤(1) 0.100g
・重合性モノマー 0.385g
(アニロックスM−215(商品名)東亜合成(株)製)
・フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 8.609g
・マイクロカプセル液(2)
・下記のマイクロカプセル(2)(固形分換算で) 2.640g
・水 2.425g
Figure 2004276603
(マイクロカプセル(2)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記赤外線吸収剤(2) 0.35g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成製ODB)1g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製) 0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(2)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。得られたマイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
Figure 2004276603
〔露光・現像処理及び評価〕
得られたマイクロカプセル型平版印刷版原版21〜25を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、版面エネルギー150mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、印刷を行った。湿し水としては、富士写真フイルム(株)製、IF−102の4%溶液を使用し、インキとしては、大日本インキ化学工業(株)製、バリウス墨を使用した。
その結果、何枚か印刷を繰り返すうちに記録層の非画像部が湿し水により除去され、すべての平版印刷版原版について問題なく機上現像することができた。ここで、機上現像を開始してから、印刷物の非画像部に汚れがなくなるまでの枚数を「機上現像枚数」とし、その枚数を下記表4に記す。
その後、引き続き印刷を行い、汚れ防止性、放置汚れ防止性を前記実施例1と同様の方法で評価した。結果を下記表4に記す。
Figure 2004276603
表4の結果から、いずれの平版印刷版原版も機上現像性に優れ、非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られることが分かった。したがって、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は非画像部が高い親水性を示し、その親水性が維持されていることが確認された。
以上、実施例によれば、本発明の平版印刷版用支持体は、親水性が高く、また、その親水性が厳しい印刷条件においても維持されるため、平版印刷版原版に用いた場合、耐刷性が良好であり、非画像部に汚れが生じない印刷物が多数枚得られることが確認された。

Claims (4)

  1. シリケート処理されたアルミニウム基材上に、該基材表面と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性表面を備える平版印刷版用支持体。
  2. 前記親水性ポリマーが、その末端にシリケート処理されたアルミニウム基材表面と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用支持体。
  3. 前記親水性ポリマーが、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版用支持体。
    Figure 2004276603
    式(1)は、構造単位(i)、(ii)で表されるポリマーユニットの末端に、構造単位(iii)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物であり、式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、mは0、1または2を表し、xおよびyは、x+y=100とした時の組成比を表し、x:yは100:0〜1:99の範囲を表す。L1、L2、L3はそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
  4. シリケート処理されたアルミニウム基材上に、前記一般式(1)で表される親水性ポリマーと下記一般式(3)又は(4)で表される金属キレート化合物とを含有する親水性塗布液を塗布することにより得られる請求項1及至請求項3のいずれか1項に記載の平版印刷版用支持体。
    Figure 2004276603
    式(3)および(4)中、M1はAlを表し、M2はTi、又はZrを表す。R11およびR12はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、R13は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜16のアルコキシ基を表し、pは0〜2の整数を表し、qは0〜3の整数を表す。
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