JP4808650B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents

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本発明は、平版印刷版原版に関し、詳しくは、非画像部の親水性、及び、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版原版に関する。
平版印刷版に用いられる平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)は、平版印刷版の耐刷性を向上させることなどを目的として、アルミニウム板に粗面化処理その他の表面処理を施すことにより製造されている。粗面化処理の方法としては、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)、化学的粗面化処理(化学的エッチング)、さらに、これらの粗面化処理を組み合わせた方法が知られている。
平版印刷版原版では、表面に形成される画像形成層の組成や支持体と画像形成層との密着性が耐刷性に大きな影響を与え、この観点からも、粗面化の状態を制御することで画像形成層との密着性を向上させる技術が一般に採用されている。
なかでも、機械的粗面化処理により比較的大きな凹凸と、それに引き続き行われる電気化学的粗面化処理によるより小さな凹凸を形成することで、画像形成層の密着性、耐刷性やアルミニウム支持体表面の親水性向上を図る技術が有用である。
機械的粗面化処理としては、回転するナイロンブラシとアルミニウム板との間に研磨剤のスラリーを吹き付ける方法が一般的に知られている。また、電解粗面化処理としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法が知られている。
上記平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)としては、粗面化処理が容易であることから、純アルミニウム板あるいは、アルミニウム純度が99.5%以上で、微量の異元素(例えば、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなど)を含む合金板が使用されている。このように、従来の技術においては、高純度のアルミニウム材を平版印刷版用支持体の原料として用いるのが一般的であった。
一方、使用済みアルミニウム飲料缶を原料とするアルミニウム地金(Used Beverage Can、以下UBCということがある)などの、アルミニウム純度が95〜99.4質量%のアルミニウム材が、安価な材料として知られている。UBC材は平版印刷版用支持体として使用できれば、安価に製品を製造できる可能性を有しているとともに、リサイクル性が高いことから環境に対する負荷が低減できる材料である。
UCBアルミニウム板に、特定の疎面化処理をして平版印刷版原版用の支持体を製造する方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。この製造方法では、ナイロンブラシと研磨材による機械的粗面化処理を実施しているが、混在する不純物の影響によって粗面化の処理性が低下し、平版印刷版用支持体として用いるのに適した表面が得られない場合がある。
さらに電気化学的粗面化を実施した場合、不純物金属の偏在する箇所において、該不純物とアルミニウムとの合金部分が剥離して開口部ができ、微細で均一な粗面化を行うことが困難であった。
また、支持体表面の親水性向上に関しては、例えば、基板表面に親水性グラフト鎖を有し、かつ、Si,Ti,Zr,Alから選択される金属アルコキシドの加水分解、重縮合により形成された架橋構造を含有することを特徴とする平版印刷版用支持体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。該特許文献においては、JIS 1050の高純度アルミニウムを支持体とした場合に、表面親水化に有効であると記載されている。しかしながら、このような表面処理技術は、従来は均質性の高いアルミニウム基板についてのみ検討されてきており、UBCのような低純度アルミニウムに適用して平版印刷版原版用の支持体を製造する態様およびその効果について従来は全く知られていないことから、低純度アルミニウム中に含まれる不純物の影響について従来の技術から予想することは困難である。
近年、近赤外から赤外域に発光波長を有するレーザを光源とし、ディジタルデータから直接製版を行うダイレクト刷版用の平版印刷版原版が広く用いられている。これは、従来汎用の紫外線露光により製版する画像形成層に比較し、白灯下の取り扱い性や保存安定性に優れるため、注目されている。
公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂等が使用されている。なかでも、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像形成層を有するものが、高品質の画像が得られる優れた赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版として開示されている(例えば、特許文献3、参照)。
また、ネガ型平版印刷版原版としては、重合開始剤、重合性化合物及び光を吸収して熱を発生する物質を含み、露光領域が重合硬化するラジカル重合型の画像形成層や、熱溶融性の粒子やマイクロカプセルを含み、露光領域が融着して疎水性領域を形成する特に湿式現像処理を必要としない無処理型の画像形成層などを有するものが挙げられる。
このような赤外線レーザ用平版印刷版原版は、赤外線レーザ露光により発生した熱が画像形成用のエネルギーとして使用されるが、例えば、アルミニウム基板を用いた場合、熱エネルギーが支持体に拡散するといった問題、或いは、画像形成層に含まれる光熱変換剤に起因して露光に用いる光が画像形成層の深部まで効率よく到達し難いなどの問題があり、支持体との界面における画像形成性、画像部と支持体との密着性に起因する耐刷性、非画像部の汚れ防止性などにおいて、なお、改良の余地があった。
特開2003−39846号公報 特開2003−127561号公報 特開平7−285275号公報
上記課題を考慮した本発明の目的は、支持体基板の素材に拘わらず、非画像部の親水性とその持続性、及び、画像部と支持体との密着性に起因した耐刷性のいずれにも優れた平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、支持体表面に、特定の反応性基及び特定の側鎖構造を有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性層を形成させることにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の構成を有する。
<1> 支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、下記一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を含むポリマーが化学結合してなる親水性層と、画像形成層とをこの順で有することを特徴とする平版印刷版原版。
Figure 0004808650
一般式(1)において、R、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、mは0、1または2を表し、L及びLは単結合又は有機連結基を表し、Yは、ラクトン構造を少なくとも有する炭素数1ないし30の置換基を表す。ここで、一般式(1)中の構造単位を含むポリマーとは、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数連結してなる構造の末端に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物を意味する。
<2> 支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、下記一般式(2)中の構造単位(iii)および構造単位(iv)を含むポリマーが化学結合してなる親水性層と、画像形成層とをこの順で有することを特徴とする平版印刷版原版。
Figure 0004808650
一般式(2)において、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、nは0.1または2を表し、L及びLは単結合又は有機連結基を表し、Yは、ラクトン構造を少なくとも少なくとも有する炭素数1ないし30の置換基を表す。
<3> 前記支持体がアルミニウム支持体であることを特徴とする<1>または<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 前記アルミニウム支持体を構成するアルミニウムの純度が99.4〜95質量%であることを特徴とする<3>に記載の平版印刷版原版。
<5> 前記支持体がプラスチックフィルム支持体であることを特徴とする<1>または<2>に記載の平版印刷版原版。
<6> 前記架橋構造を有する構成成分が、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有することを特徴とする、<1>乃至<5>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<7> 前記画像形成層が、赤外線レーザで記録可能であることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<8> 前記画像形成層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする<7>に記載の平版印刷版原版。
<9> 前記画像形成層が、2層以上の積層構造を有することを特徴とする<1>乃至<8>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<10> 前記画像形成層が、ノボラック樹脂を含有するポジ型画像形成層であることを特徴とする<1>乃至<9>のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
<11> 前記ポジ型画像形成層が、全アルカリ可溶性樹脂に対してノボラック樹脂を50質量%以上含むアルカリ可溶性樹脂と、スルホニウム化合物またはアンモニウム化合物と、を含有することを特徴とする<10>に記載の平版印刷版原版。
本発明の作用機構は明確ではないが、親水性層を形成する、側鎖に特定の置換基を有するポリマーが、その分子内にさらにアルミニウム基材表面に直接化学結合するか、或いは、架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る反応性基を有するため、該ポリマーがそのアルミニウム基材表面に存在する−Al3+或いは−OH等の官能基と強固に結合され、このため、このポリマーにより形成される親水性層と支持体との密着性とその耐久性が良好であるものと推定される。
さらに、このポリマーは、側鎖にラクトン構造を有するため、支持体に結合されたポリマーが、アルカリ現像時にアルカリ現像液や水性成分との接触によりラクトン環が開環して、カルボン酸塩と水酸基とが生成する。このため、画像部が除去されて親水性層が露出した部分においては、その酸性基に起因して、いずれの支持体を用いた場合であっても、優れた親水性をその表面に付与することができるものと考えられ、本発明の好ましい態様においては、末端に反応性基を有する親水性ポリマーを用いることで、このポリマーが、支持体表面に片末端で強固に固定化されながら、他端が比較的自由な状態で存在し、ポリマーの運動性に優れるため、親水性の一層の向上を図ることができるものと推定される。
平版印刷版原版の画像形成層としては、現像の際に露光部が可溶化するポジ型および、露光部が不溶化するネガ型が知られており、本発明においては、ポジ型、ネガ型のいずれの画像形成層を有する場合においても優れた効果を奏するが、本発明における特定親水層はアルカリ水溶液との接触により親水性のさらなる向上が可能であるため、ポジ型画像形成層を有する平版印刷版原版に特に好ましく用いることができる。
本発明によれば、支持体基板の素材に拘わらず、非画像部の親水性とその持続性に優れ、非画像部の汚れが抑制されるとともに、画像部と支持体との密着性に優れるため、画像部の耐刷性に優れた平版印刷版原版を提供することができる。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、或いは、基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種と、以下に詳述するラクトン構造とを有する親水性ポリマーが化学結合してなる親水性層と、画像形成層と、をこの順に有することを特徴とする。
ここで、支持体と親水性層と画像形成層とをこの順に有するとは、支持体上にこれらの層がこの順で積層されていることを意味し、必要に応じて設けられる層、例えば、バックコート層、上記親水性層と画像形成層との間に設ける下塗り層、画像形成層の上に設けるオーバーコート層などの公知の層の存在を否定するものではない。
以下、これらの構成について順次説明する。
<支持体>
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体は寸度的に安定な板状物であり、必要な強度、耐久性、可撓性などの特性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム等が挙げられる。
なかでも、支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が特に好ましい。
また、通常、プラスチックフィルムは表面の親水性に劣るものが多いが、以下に詳述する本発明に係る特定親水層をその表面に形成することで、例えば、疎水性のプラスチックフィルムを支持体に用いた場合でも、平版印刷版原版用支持体に要求される優れた親水性とその持続性とを与えることができるため、本発明の平版印刷版原版によれば、支持体基材の選択の幅が拡がるという利点をも有するものである。
支持体基材としてプラスチックフィルムを用いる場合には、表面処理を行うことによって、フィルム基材と後述する特定親水層との接着性をより向上させることができる。表面処理の例としては、例えば、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマによる処理でもよく、さらに、大気圧下でのプラズマ処理も好ましく用いられる。プラズマ処理に用いられるプラズマ励起性気体は、上記のような圧力条件下でプラズマ励起される気体であればいずれのものでもよく、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kgyの照射エネルギーが用いられる。
好適なアルミニウム板は、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は総量で5質量%以下であることが好ましい。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
<アルミニウム板>
本発明に用いられるアルミニウム板について説明する。
本発明のアルミニウム板に用いるアルミニウム材の組成は既知のいかなるものであってもよく、一般に汎用の高純度アルミニウム基板に加え、例えば、アルミニウム含有量が99.4〜95質量%である如き、比較的低純度のアルミニウム基板も、同様に好ましく用いることができる。
従って、本発明における支持体として、通常、高品質の印刷版には適用し難い、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解させたUBC(Used Beverage Can:使用済み飲料缶)地金を圧延して得られるアルミニウム材、あるいは、UBC地金を他のアルミニウム地金とを任意の割合で混合して調整した材料をも好適に用いることができる。
一般に、アルミニウム板に含まれてもよい異元素には、例えば、ケイ素、鉄、銅、チタン、ガリウム、バナジウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、バリウム、コバルト等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
アルミニウム合金に含有される不可避不純物としては、例えば、鉛、ニッケル、スズ、インジウム、ホウ素等が挙げられる。
本発明のアルミニウム板としては、好ましくは、Fe:0.3〜1質量%、Si:0.15〜1質量%、Cu:0.1〜1質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.1〜1.5質量%、Cr:0.01〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%であり、さらに好ましくは、Fe含有量が0.30超〜0.70質量%、Si含有量が0.20〜0.50質量%、Cu含有量が0.10〜0.50質量%、Ti含有量が0.02〜0.3質量%、Mg含有量が0.50〜1.5質量%、Mn含有量が0.1〜1.3質量%であり、Cr含有量が0.01〜0.08質量%、Zn含有量が0.1〜1.3質量%、残部がAl含有量95〜99.4質量%と不可避不純物とからなるものが用いられる。
特に好ましくは、Fe含有量が0.40超〜0.50質量%、Si含有量が0.25超〜0.30質量%、Cu含有量が0.10〜0.15質量%、Ti含有量が0.02〜0.05質量%、Mg含有量が0.80〜1.5質量%、Mn含有量が0.10〜1.00質
量%であり、Cr含有量が0.01〜0.05質量%、Zn含有量が0.1〜0.3質量%、残部がAl含有量95〜99.4質量%と不可避不純物とからなるアルミニウム板が用いられる。
アルミニウム板中の異元素は、電気化学的粗面化処理において生成するピットの均一性に大きく影響し、耐刷性、耐汚れ性および露光安定性を高い水準でバランスよく実現することができる均一なピットが生成を生成させるためには、異元素の種類、添加量等の高度な調整が必要である。本発明によれば、異元素の含有量が多いアルミニウム材を使用した場合においても、良好な印刷性能を与える優れた平版印刷版原版を作成することが可能である。
以下に、本発明のアルミニウム材に含まれていてもよい異元素の好ましい含有量と、支持体を作成する際の影響について詳細に説明する。
Feは、新地金においても0.1〜0.2質量%前後含有される元素で、アルミニウム中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Feは、アルミニウム板の機械的強度を高める作用があるが、1質量%より多いと圧延途中に割れが発生しやすくなり、また、Fe含有量が0.15質量%未満では、機械的強度が保てなくなり、これにより圧延途中で得率低下等の問題が生じる場合がある。
本発明においては、Fe含有量は、0.3〜1質量%である。好ましくは、0.30超〜0.70質量%、より好ましくは、0.30超〜0.50質量%である。
Siは、新地金においても0.02〜0.1質量%前後含有される元素である。Siはアルミニウム中に固溶した状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物として在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体iとして析出することがある。本発明者らの知見によれば、単体Siが過剰の場合、固溶していたSiが単体Siとして析出しやすく耐苛酷インキ汚れ性が低下する場合がある。
また、Si含有量は、アルミニウム板の電気化学的粗面化に影響を及ぼし、0.03質量%未満では、電気化学的粗面化処理においてピットが溶解し均一な表面構造とならない場合がある。
本発明においては、Si含有量は、0.15〜1質量%である。好ましくは0.20〜0.50質量%、より好ましくは、0.20超〜0.40質量%である。
CuはJIS2000系、4000系材料のスクラップに多く含まれる元素であり、比較的Al中に固溶しやすい。
Cuの含有量は、電気化学的粗面化処理に大きく影響する。特に、硝酸を含有する電解液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(以下、単に「硝酸交流電解」という。)では、Cuの含有量が0.0001質量%より少ないと電解の温度変動に対してラチチュードが狭くなる場合がある。
Cuの含有量は、0.1〜1質量%である。好ましくは、0.10〜0.50質量%より好ましくは、0.10〜0.30質量%である。
Tiは通常結晶微細化材として0.005〜0.04質量%添加される元素である。JIS5000系、6000系、7000系のスクラップには不純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有量は、結晶微細化の程度(アルミニウム板の結晶粒の大きさの程度)および電気化学的粗面化に影響する。Tiの含有量が0.0010質量%より少ないと結晶微細化の効果がみられない場合がある。
Tiの含有量は0.01〜0.5質量%である。好ましくは、0.02〜0.3質量%、より好ましくは、0.02〜0.05質量%である。
Mgの含有量は、電気化学的粗面化処理に影響する。Mgの含有量が0.0001質量%より少ないと硝酸交流電解において未エッチ部が生じやすい。
Mgの含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.30〜1.5質量%、より好ましくは、0.50〜1.35質量%である。
Mnの含有量は、電気化学的粗面化処理に影響する。Mnの含有量が0.0001質量%より少ないと塩酸交流電解において未エッチ部が生じやすい。
Mnの含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.30〜1.40質量%、より好ましくは、0.50〜1.30質量%である。
CrおよびZnは、それぞれ0.00005質量%以上の添加で、耐苛酷インキ汚れを向上させる効果を示し、電解粗面化処理後にアルミニウム溶解量が少ないアルカリエッチング処理を行う場合、そのアルカリエッチング処理後の表面構造に影響を与える。即ち、これらは、極小エッチングでの微細構造に影響する。CrはJISA5000系、6000系、7000系のスクラップに少量含まれる異元素である。
また、これらの含有量が多すぎると、効果が飽和し、かつ、コスト的に不利になるので好ましくない。本発明においては、Cr含有量は0.01〜0.1質量%であり、好ましくは、0.01〜0.08質量%、より好ましくは、Cr含有量が0.01〜0.05質量%である。
Zn含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.1〜1.3質量%、より好ましくは、0.1〜0.3質量%である。
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。
油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
本発明に用いられるアルミニウム板は、JISに規定されるH18の調質が行われているのが好ましい。
このようにして製造されるアルミニウム板には、以下に述べる種々の特性が望まれる。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。なお、この0.2%耐力については、理化学事典第4版(岩波書店)、743ページに記載されており、汎用の引っ張り試験機を用いることにより測定することができる。
特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさがってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。
また、アルミニウム板は、引張強度が140〜300N/mm、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となることがあるので、表面においてあまり粗大でないことが好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましく、500μm以下であるのが更に好ましい。
本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
基材として使用するアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理、シリケート処理などの表面処理を行っても良い。このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
アルミニウム純度が低いアルミニウム板においては、良好で且つ均一な粗面化を達成するという観点から、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法の一部または全部を施すことが困難である場合があるが、その場合であっても、本発明において後述する特定ポリマーからなる中間層を形成することで、表面親水性、及び、画像形成層との密着性が良好な平版印刷版用支持体を得ることが可能である。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成された陽極酸化皮膜の量が1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
(シリケート処理)
支持体がアルミニウム材からなる場合、該アルミニウム基板は、上記のようにして得られたアルミニウム基板表面に、シリケート処理を施すことが、親水性層との密着強度向上の観点から好ましい。
シリケート処理を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を任意に使用することができるが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を溶解した水溶液に、上記アルミニウム基材を浸漬する方法などが挙げられる。
この場合のアルカリケイ酸塩水溶液の濃度は、1〜30質量%程度が好ましく、2〜15質量%程度がより好ましい。また、該水溶液のpHは、25℃でpH10〜13程度が好ましい。本発明係るシリケート処理は、このような水溶液を15〜80℃、好ましくは15〜50℃に保ち、上記アルミニウム基材を0.5〜120秒間、好ましくは5〜60秒間、該水溶液に浸漬することにより実施される。
シリケート処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。
また、上記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液には、該水溶液のpHを高くするために、水酸化物を添加してもよい。そのような水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。このような水酸化物の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度が好ましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
さらに、アルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を添加してもよい。そのようなアルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。このようなアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。金属塩の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度がこのましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
また、シリケート処理の別の方法としては、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及びシリケートによる親水化処理を組合せた表面処理なども適用可能である。
このようなシリケート処理によって得られた金属ケイ酸塩皮膜はSi元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。皮膜量はケイ光X線分析法により測定することができる。
<親水性層>
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基、及び、特定の官能基を有する親水性のポリマーが化学結合してなる親水性層(以下、適宜、特定親水性層と称する)を備えることを特徴とする。
以下、このような特定親水性層を構成するポリマーについて説明する。
[(1)支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を含むポリマー〔特定ポリマー(1)〕]
本発明の特定親水性層は、支持体と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合を形成しうる反応性基と、ラクトン構造とを有する親水性ポリマーにより形成される。
ここで、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基としては、アルミニウム基材表面に存在する−Al3+或いは−OH等の官能基と化学結合可能な官能基、例えば、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、ハロシリル基(クロロシリル基など)、アミノシリル基のような官能基が挙げられ、有機材料からなる支持体を用いた場合には、例えば、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、ハロシリル基(クロロシリル基など)、アミノシリル基、などが挙げられる。
また、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基としては、例えば、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、ハロシリル基(クロロシリル基など)、アミノシリル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基のような官能基が挙げられ、プラスチックフィルムの如き有機材料基板に対しても、アルミニウム基板に対してと同様の官能基が好ましく挙げられる。
後者において、支持体表面と架橋構造を有する構成成分とは、後述するゾルゲル架橋成分やビニル重合性基、エポキシ重合性基、オキセタン重合性基などを含む化合物の如き成分を指す。
このような反応性基は、親水性ポリマーの鎖状構造の末端、側鎖のいずれにあってもよいが、高保水性の観点からは末端に位置するほうが好ましく、膜強度の点からは側鎖にあるほうが好ましく、これらから適宜選択または組み合わせればよい。
本発明に係る特定ポリマー(1)は、下記一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を少なくとも含有することを特徴とする。即ち、特定ポリマー(1)は、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数連結してなる構造の末端に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有し、分子内に、支持体と直接又は架橋成分を介して結合しうる反応性基を有する。
Figure 0004808650
一般式(1)において、構造単位(ii)で表される繰返し単位で構成されるポリマー主鎖構造において、構造単位(ii)は一種類でも二種類以上でもよく、さらに、この構造単位(ii)以外の共重合成分を含んで構成されてもよい。
上記一般式(1)中、R、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表す。
好ましくは、構造内に炭素原子を1〜20含む置換基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15の置換基であり、特に好ましくは炭素数1〜8の置換基である。
、R、R、Rが炭素数1〜30の置換基を表す場合の置換基としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。ヘテロ環基としては、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基などが挙げられる。
これらの基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホリノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
、R、R、Rとして効果及び入手容易性の観点から特に好ましい例としては、水素原子、メチル基又はエチル基を挙げることができる。
一般式(1)におけるLおよびLは、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な有機連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 0004808650
として、特に好ましい構造としては、−(CH−S−が挙げられる。ここで、nは、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4の整数である。
として、特に好ましい構造としては、−(C=O)−O−が挙げられる。これは、レーザ露光によりラクトン構造を有するYが乖離した場合、この連結基との関連でカルボン酸基を生じうるためである。特にポジ型の画像形成層を有する場合、生じたカルボン酸基によって露光部の現像が促進され、すぐれた画像形成性が発現され、印刷汚れの発生が効果的に抑制される。
はラクトン構造を少なくとも有する炭素数1ないし30の置換基を表す。
ラクトン構造としては、ラクトン構造を有していればいかなる構造でも用いることができるが、好ましくは5員環または6員環ラクトン構造である。ラクトン構造部分は置換基を有しているものであってもよい。
なお、ラクトン構造におけるLとの結合位置には特に制限はなく、任意の位置で結合することができる。
好ましいラクトン構造として、以下に示す(LC1−1)〜(LC1−12)で表されるラクトン構造を挙げることができる。これらは上述の置換基を有していてもよい。
Figure 0004808650
これらのラクトン環はさらに置換されていてもよく、置換可能な基の例としては、以下のものを挙げることができる。
直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、などが挙げられる。
また、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明において、(ii)で表される構造単位の好ましい例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に示す構造単位において、Rxは、水素原子、CH、CHOH、又は、CFを表し、好ましくは、水素原子、又は、CHである。
Figure 0004808650
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Figure 0004808650
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本発明において一般式(1)で表される特定ポリマー(1)は、(ii)で表される構造単位を1種のみ含むものであってもよく、互いに異なる複数の成分からなる共重合体であってもよい。さらに、(ii)で表される構造単位以外の共重合成分を含んでいてもよい。
特定ポリマー(1)の分子量としては、1.000〜100.000が好ましく、1.000〜50.000がさらに好ましく、1.000〜30.000が最も好ましい。
本発明において好適に用いられる特定ポリマー(1)の具体例〔例示化合物(1−1)〜(1−32)〕を、その構造単位とGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)により示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004808650
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Figure 0004808650
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[支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、一般式(2)中の構造単位(iii)および構造単位(iv)を含むポリマー〔特定ポリマー(2)〕]
また、本発明において親水性層を構成するポリマーの他の好ましい態様として、支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、下記一般式(2)中の構造単位(iii)および構造単位(iv)を含むポリマーが挙げられる。
Figure 0004808650
特定ポリマー(2)について説明する。
特定ポリマー(2)は、シランカップリング基を有する構造単位(iii)と、ラクトン構造を有する構造単位(iv)という少なくとも2種の繰返し単位を共に有する高分子化合物である。また、構造単位(iii)、および、構造単位(iv)は、それぞれ単一でも複数の種類を組み合わせてもよく、さらに、構造単位(iii)及び構造単位(iv)以外の繰返し単位(共重合成分)を含んでいてもよい。
一般式(2)における、構造単位(iii)と構造単位(iv)とのモル組成比は、99.5:0.5〜0.5:99.5であることが好ましく、99:1〜50:50がさらに好ましく、98:2〜70:30が特に好ましい。
、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表す。好ましくは、構造内に炭素原子を1〜20含む置換基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15の置換基であり、特に好ましくは炭素数1〜8の置換基である。
、R、R、R、R、およびR10としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられる。
、R、R、R、R、およびR10の具体的な例としては、前述の一般式(1)の説明において、R、R、RおよびRの例として挙げたものが、同様に挙げられる。
又はLは単結合又は有機連結基を表す。Lの具体的な例としては、前述のLの例などが挙げられる。Lの具体的な例としては、前述のLの例などが挙げられる。
は、ラクトン構造を有する炭素数1ないし30の置換基を表す。Yの具体例としては、前述のYにおいて説明したものと同様な例が挙げられ、好ましい態様も同様である。
特定ポリマー(2)の分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が特にも好ましい。
以下に、本発明に好適に用い得る特定ポリマー(2)の具体例〔例示化合物(2−1)〜(2−12)〕を、その構造単位とGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)により示すが、以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004808650
Figure 0004808650
Figure 0004808650
Figure 0004808650
前記特定ポリマー(1)または特定ポリマー(2)は、既知のいかなる方法によっても合成可能であるが、ラジカル重合法が好ましく用いられる。一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
また、先に述べたように、特定ポリマー(1)及び特定ポリマー(2)は、前記一般式(1)における構造単位(i)、構造単位(ii)、或いは、前記一般式(2)における構造単位(iii)、および構造単位(iv)以外の構造単位を有する共重合体であってもよい。
ここで、併用しうる構造単位としては、構造単位(i)、構造単位(ii)、構造単位(iii)、および構造単位(iv)で表されるものの他に、既知の種々のモノマーに由来する構造を挙げることができる。
好ましい例としては、アクリル酸エステル類、メタクリルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等に由来する公知のモノマーものなどが挙げられる。このような共重合を行うことで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
(架橋成分)
本発明に係る表面としては、上記ポリマー中の架橋性基が、直接支持体(例えばアルミニウム)表面上の−SiONa、−Al3+、或いは−OH基などの官能基と化学結合したものでもよく、あるいは、上記ポリマーを含有する塗布液を調製し、基材表面に塗布、乾燥することで、該架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造(ゾルゲル架橋構造)を形成したものであってもよい。
ゾルゲル架橋構造を形成するにあたっては、特定親水性ポリマーと、下記一般式(3)で表される架橋成分とを混合して基材表面に塗布・乾燥することが好ましい。下記一般式(3)で表される架橋成分としては、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす化合物であり、前記特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
Figure 0004808650
一般式(3)中、R14は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R15はアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、nは0〜2の整数を表す。
14及びR15がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(3)で表される架橋成分の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
また、XがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
[親水性層の形成方法]
<塗布液の調製>
本発明における親水性層形成用塗布液組成物を調製するにあたっては、前記した如き、特定の官能基を有する親水性ポリマー、具体的には、特定ポリマー(1)、特定ポリマー(2)を用いることを要するが、このような特定親水性ポリマーの含有量は、固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。特定ポリマーの含有量が上記範囲において、十分な膜強度を有し、且つ、皮膜特性が良好でクラック発生の懸念がない塗膜を形成することができ、好ましい。
また、好ましい態様である塗布液組成物の調製に、前記一般式(3)で表される如き架橋成分を添加する場合の添加量としては、親水性層形成用塗布液組成物に含まれる特定ポリマー中のシランカップリング基に対して、架橋成分が5mol%以上となるように添加されることが好ましく、10mol%以上となる量であることがさらに好ましい。架橋成分添加量の上限は本発明のポリマーと十分架橋できる範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋成分により、作製した表面がべたつくなどの問題を生じる可能性があり、その観点からは、1000mol%以下であることが好ましい。
シランカップリング基を主鎖末端に有する特定ポリマー(1)或いは、側鎖に有する特定ポリマー(2)、好ましくは、さらに架橋成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る塗布液となり、これによって、表面の親疎水性などの物性が制御され、高い膜強度を有する表面層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、触媒として、酸性触媒または塩基性触媒、或いは、金属キレート化合物を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、このような触媒は必須である。本発明においては、特に、金属キレート化合物を触媒として用いることが好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒としては、酸または塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のものを用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソブロボキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る金属キレート化合物の添加量は、塗布液の全固形分に対して、通常0.01〜15質量%程度であり、0.1〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
塗布液の調製は、シランカップリング基を末端に有する本発明のポリマー、好ましくはさらに架橋成分を、水、メタノール、あるいはエタノールなどの溶媒に溶解後、所望により上記触媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
特定ポリマー(1)或いは、特定ポリマー(2)、好ましくは、さらに架橋成分を溶媒に溶解し、特定ポリマー及び、好ましくは架橋成分を含有する塗布液組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、本発明に係る表面を形成するための有機無機複合体ゾル液(塗布液組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明に係る塗布液組成物の調製に適用することができる。
本発明に係る塗布液組成物中には、上記以外にも、親疎水性の程度の制御、物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上印刷適性の向上などの種々の目的の化合物を添加することができる。例えば、可塑剤、顔料、色素、界面活性剤、微粒子等が挙げられる。
微粒子としては、特に限定されないが、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム等が挙げられる。これらは、親水性を助長したり、皮膜の強化などに用いることができる。より好ましくは、シリカ、アルミナ、酸化チタン又はこれらの混合物である。
シリカは、表面に多くの水酸基を持ち、内部はシロキサン結合(−Si−O−Si−)を構成している。本発明において、好ましく用いることができるシリカとしては、コロイダルシリカとも称される、水もしくは、極性溶媒中に分散した粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子である。具体的には、加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用技術」第3巻、(株)シーエムシー(1991年)に記載されている。
又好ましく用いることができるアルミナとしては、5〜200nmのコロイドの大きさをもつアルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中の陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン等)を安定剤として分散されたものである。又好ましく用いることができる酸化チタンとしては、平均一次粒径が50〜500nmのアナターゼ型あるいはルチル型の酸化チタンを、必要に応じ、分散剤を用い、水もしくは、極性溶媒中に分散したものである。
本発明において、好ましく用いることができる親水性の粒子の平均一次粒径は、1〜5000nmであり、より好ましくは、10〜1000nmである。本発明の親水性層中において、これらの親水性の粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。その使用量は親水性層の総固形分重量に対して、5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜60重量%である。
上記のようにして調製した親水性層形成用塗布液組成物を支持体表面に塗布、乾燥することで親水性層を形成することができる。親水性層の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.01〜3.0g/mの範囲であり、好ましくは0.01〜1.0g/mの範囲であり、さらに好ましくは0.03〜1.0g/mの範囲である。塗布量が上記範囲において、十分な膜強度が得られ、表面親水性、基板との密着性、高感度化などの本発明の効果が発現される。
[画像形成層]
本発明においては、このような支持体表面上に形成された親水性層上に画像形成層を設けることで平版印刷版原版を得ることができる。本発明において、ここに設けられる画像形成層は既知の任意のものであってよいが、効果の観点からは、赤外線レーザなどのヒートモード露光による画像形成が可能な画像形成層であることが好ましい。
画像形成層は単層構造であっても、複数の層からなる積層構造を有したものであってもよい。
本発明の平版印刷版用支持体においては、基材に形成された表面上に所定の画像形成層(画像形成層)を設けることで平版印刷版原版を得ることができる。本発明において、ここに設けられる画像形成層は既知の任意のものであってよい。また、画像形成層は炭層であっても、複数の画像形成層からなる積層構造を有していてもよい。
好ましくはダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版であり、さらに好ましくノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像形成層を有するものであり、特に好ましくは、該画像形成層が2層構成となっているものに、好適に用いることができる。
以下に、各種の平版印刷版原版について説明する。
(赤外線レーザ記録型平版印刷版原版)
本発明が好ましく用いられる、赤外線レーザによる赤外線露光により画像形成可能な平版印刷版原版について説明する。これらは、赤外線レーザ露光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が変化する材料を用いるネガ型或いはポジ型の画像形成層、インク受容性領域を形成し得る疎水化前駆体を含有し、赤外線レーザ露光部において疎水化領域が形成される画像形成層など、公知の画像記録方式が任意に選択される。
まず、ポジ型或いはネガ型の画像形成層について述べる。このような画像形成層は、赤外線レーザによる像様露光の後、アルカリ水溶液で現像処理され、アルカリ現像性が活性光線の照射により低下し、照射(露光)部が画像部領域となるネガ型と、逆に現像性が向上し、照射(露光)部が非画像部領域となるポジ型の2つに分けられる。
ポジ型の画像形成層としては、相互作用解除系(感熱ポジ)画像形成層、公知の酸触媒分解系、o−キノンジアジド化合物含有系等が挙げられる。これらは光照射や加熱により発生する酸や熱エネルギーそのものにより、層を形成していた高分子化合物の結合が解除されるなどの働きにより水やアルカリ水に可溶となり、現像により除去されて非画像部を形成するものである。
また、ネガ型の画像形成層としては、公知の酸触媒架橋系(カチオン重合も含む)画像形成層、重合硬化系画像形成層が挙げられる。これらは、光照射や加熱により発生する酸が触媒となり、画像形成層を構成する化合物が架橋反応を起こし硬化して画像部を形成するもの、或いは、光照射や加熱により生成するラジカルにより重合性化合物の重合反応が進行し、硬化して画像部を形成するものである。
本発明における前記特定親水性層は、上記のいずれの画像形成層を形成した場合でも優れた効果を示すが、アルカリ水溶液と接触することで親水性が向上することから、ポジ型画像形成層に好適に用いられる。
以下、それぞれの画像形成層について詳細に説明する。
1.ポジ型画像形成層
本発明の好ましい態様として、ノボラック型フェノール樹脂(以下、適宜、ノボラック樹脂と称する)を50質量%以上と光熱変換剤とを含有し、赤外線レーザにより記録可能な画像形成層を設けたポジ型画像形成層を有する平版印刷原版が挙げられる。画像形成層は炭層であっても、複数の画像形成層からなる積層構造を有していてもよい。
〔ノボラック型フェノール樹脂〕
まず、ノボラック型フェノール樹脂について説明する。ノボラック樹脂は、少なくとも1種のフェノール類を酸性触媒下、アルデヒド類又はケトン類の少なくとも1種と重縮合させた樹脂のことを指す。
ここで、フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール、4,4’−ビフェニルジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられ、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等が、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールから選択されるフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドから選択されるアルデヒド類又はケトン類との重縮合体が好ましく、特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で0〜100:0〜70:0〜60の(混合)フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
これらのノボラック樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という)が、好ましくは500〜20.000、更に好ましくは1.000〜15.000、特に好ましくは3.000〜12.000のものが用いられる。重量平均分子量がこの範囲内にあると、充分な皮膜形成性及び、露光部のアルカリ現像性に優れるため好ましい。
画像形成層のバインダー樹脂として前記ノボラック樹脂を用いる場合、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、バインダー樹脂のすべてが前記ノボラック樹脂であってもよく、また、それ以外の樹脂を併用することもできる。他の樹脂を併用する場合においても、ノボラック樹脂が主バインダーであることが好ましく、画像形成層を構成するバインダー樹脂成分中に占めるノボラック樹脂の割合は50質量%以上であることが好ましく、65〜99.9質量%の範囲であることがさらに好ましい。
併用可能なバインダー樹脂としては、一般に用いられる水不溶且つアルカリ可溶性の、高分子中の主鎖及び側鎖の少なくとも一方に酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂以外のフェノール樹脂、例えば、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル樹脂等も好ましく用いられる。併用可能な樹脂としては、具体的には、例えば、特開平11−44956号公報や、特開2003−167343号公報などに記載のポリマーを挙げることができる。
〔光熱変換剤〕
本発明における画像形成層は、光熱変換剤を含有することが好ましい。ここで用いられる光熱変換剤としては、光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザへの適合性の観点から、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、特開2005−99685号公報の26−38頁に記載された化合物が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に特開2005−99685号公報の一般式(a)で示されるシアニン色素が、本発明の感光性組成物で使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
〔分解性溶解抑止剤〕
本発明の画像記録における画像形成層を調製するにあたっては、更に分解性溶解抑止剤を添加することができる。特にオニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(分解性溶解抑止剤)を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点で好ましい。分解性溶解抑止剤としては、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩及び、o−キノンジアジド化合物が好ましく、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩がより好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号、特開2006−293162号公報、特開2004−117546号公報の明細書に記載のアンモニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al,J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開2006−293162号公報、特開2006−258979号公報に記載のスルホニウム塩を挙げることができる。
また、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)、特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)、特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)などで示されるジアゾニウム塩を挙げることができる。
これ以外の好ましいオニウム塩として、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
これらのオニウム塩は、1種類のみを用いても、複数の化合物を用いてもよい。また、画像形成層が積層構造を有する場合には、単一層のみに添加しても複数の層に添加してもよく、また、複数の種類からなる化合物を、層を分けて添加してもよい。
好適なキノンジアジド類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、及び/又は、o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは、本発明にかかる画像形成層の全固形分に対し、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に用いられる添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
〔その他の添加剤〕
さらに、画像のディスクリミネーション(疎水性/親水性の識別性)の強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用することができる。このような化合物の添加量としては、本発明に係る画像形成層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明に係る画像形成層中には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許6,117,913号明細書に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステル等を挙げることができる。このような化合物の添加量としては、画像形成層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
また、本発明に係る画像形成層中には、必要に応じて低分子量の酸性基を有する化合物を含んでいてもよい。酸性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基を挙げることができる。中でもスルホン酸基を有する化合物が好ましい。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙げることができる。
その他、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3’’,4’’−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類を画像形成層に添加する場合、画像形成層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、本発明に係る画像形成層の塗布液を調製する場合には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の画像記録材料の画像形成層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。更に本発明に係る画像形成層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
以上のようにして得られた本発明の画像記録材料における画像形成層は、皮膜形成性及び皮膜強度に優れ、且つ、赤外線の露光により、露光部が高いアルカリ可溶性を示す。
2.ネガ型画像形成層
2−1.重合硬化層
ネガ型画像形成層の1つとして、重合硬化層が挙げられる。この重合硬化層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましくは(D)バインダーポリマーを含有する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起して硬化する。
2−2.酸架橋層
また、画像形成層の他の態様としては、酸架橋層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤と称する)とを含有し、さらに、これらを含有する層を形成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層においては、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士あるいは架橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成され、これにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、画像形成層中には(A)赤外線吸収剤が配合される。
[(A)赤外線吸収剤]
赤外線レーザで画像形成可能な画像形成層には、赤外線吸収剤を含有する。赤外線吸収剤としては、記録に使用する光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点からは波長800nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願平2001−6326、特願平2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 0004808650
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(A)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 0004808650
一般式(A)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NPh、X−L又は以下に示す基を表す。ここで、Xは酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。X は後述するZ1−と同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 0004808650
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像形成層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Z は、対アニオンを示す。ただし、一般式(A)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZ は必要ない。好ましいZ は、画像形成層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(A)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特願平2001−6326、特願平2001−237840明細書に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は、分散物の画像形成層塗布液中での安定性及び画像形成層の均一性の観点から、0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
画像形成層中における、赤外線吸収剤の含有量としては、画像形成層の全固形分質量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が最も好ましい。この範囲において、高感度な記録が可能であり、非画像部における汚れの発生もなく、高画質の画像形成が可能である。
[(B)ラジカルを発生する化合物]
ラジカル発生剤は、光、熱、或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明に適用可能なラジカル発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを選択して使用することができ、例えば、オニウム塩、トリハロメチル基を有するs−トリアジン化合物、オキサゾール化合物などの有機ハロゲン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アリールアジド化合物、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類等のカルボニル化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素塩化合物、ジズルホン化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられるラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、なかでも、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるオニウム塩が好ましく用いられる。
Figure 0004808650
式(B−1)中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。
式(B−2)中、Ar21は、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
式(B−3)中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
前記一般式(B−1)〜(B−3)中のZ11−、Z21−、Z31−は無機アニオン若しくは、有機アニオンを表すが、無機アニオンとしては、ハロゲンイオン(F、Cl、Br、I)、過塩素酸イオン(ClO )、過ホウ素酸イオン(BrO )、テトラフルオロボレートイオン(BF )、SbF 、PF 等が挙げられ、有機アニオンとしては、有機ボレートアニオン、スルホン酸イオン、ホスホン酸イオン、カルボン酸イオン、R40−SO、R40−SO 、R40−SO、R40−SO−Y−R40イオン(ここで、R40は炭素原子数1〜20のアルキル基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、Yは単結合、−CO−、−SO−、を表す。)等が挙げられる。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものを挙げることができる。
本発明において用いられるオニウム塩は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
これらのオニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
これらのオニウム塩は、画像形成層塗布液の全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、高感度な記録が達成され、また、印刷時における非画像部の汚れ発生が抑制される。
これらのオニウム塩は必ずしも画像形成層に添加されなくてもよく、画像形成層に隣接して設けられる別の層へ添加してもよい。
[(C)ラジカル重合性化合物]
本態様における画像形成層に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物であるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステルの具体例は、特開2001−133696号公報の段落番号[0037]〜[0042]に記載されており、これらを本発明にも適用することができる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(VI)
CH=C(R41)COOCHCH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらのラジカル重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、画像形成層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。画像形成層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像形成層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、画像形成層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
[(D)バインダーポリマー]
このような画像形成層においては、画像形成層の膜性向上の観点からさらにバインダーポリマーを使用することが好ましく、バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、画像形成層を形成するための皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
本発明で使用されるポリマーの重量平均分子量については好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1000以上であり、さらに好ましくは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
本発明で使用されるバインダーポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマーは、画像形成層塗布液の全固形分に対し20〜95質量%、好ましくは30〜90質量%の割合で画像形成層中に添加される。添加量が20質量%未満の場合は、画像形成した際、画像部の強度が不足する。また添加量が95質量%を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機ポリマーは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
次に、酸架橋層の構成成分について説明する。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記重合硬化型画像形成層におけるのと同様のものを用いることができる。
好ましい含有量は、画像形成層の全固形分質量に対し、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、さらに0.5〜10質量%が最も好ましい。
前記含有量の範囲において、高感度な記録が達成でき、さらに、得られる平版印刷用の非画像部における汚れの発生が抑制される。
[(E)酸発生剤]
本実施の形態において、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
上述の酸発生剤のうち、下記一般式(E−1)〜(E−5)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004808650
前記一般式(E−1)〜(E−5)中、R、R、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキシ基を表す。Ar、Arは、同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の整数を表す。
前記式中、R、R、R及びRは、炭素数1〜14の炭化水素基が好ましい。
前記一般式(E−1)〜(E−5)で表される酸発生剤の好ましい態様は、特開2001−142230号公報の段落番号[0197]〜[0222]に一般式(I)〜(V)の化合物として詳細に記載されている。これらの化合物は、例えば、特開平2−100054号、特開平2−100055号に記載の方法により合成することができる。
また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げることができ、中でも、下記一般式(E−6)〜(E−8)で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げることができる。
Figure 0004808650
前記一般式(E−6)〜(E−8)中、Xは、ハロゲン化物イオン、ClO 、PF 、SbF 、BF 又はRSO を表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。Ar、Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R、R、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以下の炭化水素基を表す。
このようなオニウム塩は、特開平10−39509号公報段落番号[0010]〜[0035]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載されている。
酸発生剤の添加量としては、画像形成層の全固形分質量に対し0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が最も好ましい。
前記添加量が、0.01質量%未満であると、画像が得られないことがあり、50質量%を超えると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像部に汚れが発生することがある。
上述の酸発生剤は単独で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用してもよい。
[(F)架橋剤]
次に、架橋剤について説明する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
(i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物
(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(iii)エポキシ化合物
以下、前記(i)〜(iii)の化合物について詳述する。
前記(i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物としては、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾール樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれる。
ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中でも、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。
また、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(F−1)〜(F−4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0004808650
Figure 0004808650
前記一般式(F−1)〜(F−4)中、L〜Lは、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。
これらの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点で好ましい。
(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号に記載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ置換化合物等が挙げられる。
なかでも、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−アルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
(iii)エポキシ化合物としては、1以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。
その他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,539,192号の各明細書に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化合物を用いる場合の添加量としては、画像形成層の全固形分質量に対し5〜80質量%が好ましく、10〜75質量%がより好ましく、20〜70質量%が最も好ましい。
前記添加量が、5質量%未満であると、得られる画像記録材料の画像形成層の耐久性が低下することがあり、80質量%を超えると、保存時の安定性が低下することがある。
本発明においては、架橋剤として、(iv)下記一般式(F−5)で表されるフェノール誘導体も好適に使用することができる。
Figure 0004808650
前記一般式(F−5)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表し、R、RおよびRは水素原子または炭素数12個以下の炭化水素基を表す。mは2〜4の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。
原料の入手性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。また、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が好ましい。
上記のうち、高感度化が可能である点で、Arとしては、置換基を有していないベンゼン環、ナフタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下のアルキルチオ基、炭素数12以下のアルキルカルバモイル基、又はニトロ基等を置換基として有するベンゼン環、又はナフタレン環がより好ましい。
上記R、Rで表される炭化水素基としては、合成が容易であるという理由から、メチル基が好ましい。Rで表される炭化水素基としては、感度が高いという理由から、メチル基、ベンジル基等の炭素数7以下の炭化水素基であることが好ましい。さらに、合成の容易さから、mは、2又は3であることが好ましく、nは1又は2であることが好ましい。
[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]
本発明に適用可能な架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボラック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
中でも、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られるオルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好ましい。
前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜300,000で、数平均分子量が400〜60,000のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して用いればよい。
また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシアリール基としては、OH基が1以上結合したアリール基が挙げられる。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。
本実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(G−1)〜(G−4)で表される構成単位のうちのいずれか1種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 0004808650
一般式(G−1)〜(G−4)中、R11は、水素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、R12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。Xは、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
これらのアルカリ可溶性高分子としては、特開2001−142230号公報の段落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載されている。
本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種類以上を組合せて使用してもよい。
アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量としては、画像形成層の全固形分に対し5〜95質量%が好ましく、10〜95質量%がより好ましく、20〜90質量%が最も好ましい。
アルカリ水可溶性樹脂の添加量が、5質量%未満であると、画像形成層の耐久性が劣化することがあり、95質量%を超えると、画像形成されないことがある。
また、本発明に係る画像形成層に適用できる公知の記録材料としては、特開平8−276558号公報に記載のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特開平7−306528号公報に記載のジアゾニウム化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−203037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有する複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架橋反応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ、これらに記載の画像形成層を本発明におけるネガ型画像形成層としての酸架橋層に適用することができる。
[その他の成分]
このようなネガ型の画像形成層には、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
また、本発明においては、画像形成層が重合硬化層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像形成層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1質量%〜約10質量%が好ましい。
また、本発明における画像形成層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
さらに、本発明における画像形成層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
3.疎水化前駆体含有画像形成層
本発明の平版印刷版用支持体に適用し得るさらなる画像形成層として、加熱または輻射線の照射により疎水性領域を形成しうる化合物(以下、適宜、疎水化前駆体と称する)を含有する感熱画像形成層が挙げられる。このような画像形成層は、(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルなどのように、加熱により、互いに融着したり、例えば、マイクロカプセルであれば、その内包物が熱により化学反応を起こしたりして、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を形成する化合物を含有し、これらは好ましくは、親水性のバインダー中に分散されているので、画像形成(露光)後は、印刷機シリンダー上に平版印刷版原版を取付け、湿し水および/またはインキを供給することで、特段の現像処理を行なうことなく、機上現像できることが特徴である。
このような画像形成層は、(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する。
上記(a)および(b)に共通の熱反応性官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体、その反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシル基またはヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシル基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。
[(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー]
(a)微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱反応性官能基のポリマー微粒子への導入は、ポリマーの重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。
熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−イソシアネートエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メタクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定されない。
熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載されている高分子反応が挙げられる。
上記(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの中でも、画像形成性の観点からは、微粒子ポリマー同志が熱により容易に融着、合体するものが好ましく、また、機上現像性の観点から、その表面が親水性で、水に分散するものが、特に好ましい。また、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。
微粒子ポリマー表面の親水性をこのような好ましい状態にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマー、または親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させてやればよいが、微粒子の表面親水化方法はこれらに限定されるものではなく、公知の種々の表面親水化方法を適用することができる。
(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーの熱融着温度は、70℃以上であることが好ましいが、経時安定性を考えると80℃以上がさらに好ましい。ただし、あまり熱融着温度が高いと感度の観点からは好ましくないので、80〜250℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲であることがさらに好ましい。
(a)微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのが好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
(a)微粒子ポリマーの添加量は、画像形成層固形分の50〜98質量%が好ましく、60〜95質量%がさらに好ましい。
[(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル]
(b)マイクロカプセルに好適な熱反応性官能基としては、先に(a)、(b)に共通のものとして挙げた官能基の他、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアネートブロック体などが挙げられる。
重合性不飽和基を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。そのような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定されずに用いることができる。これらは、化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれらの共重合体である。
具体的には、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステル、不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが好ましい。
また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に用いられる。
また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの置換反応物も好適である。
また、別の好適な例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸またはクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
これらの具体的な化合物としては、本願出願人が先に提案した特開2001−27742号公報の段落番号〔0014〕乃至〔0035〕に、また、これらの化合物を内包するマイクロカプセルの詳細な製造方法については、同〔0036〕乃至〔0039〕に記載され、これらの記載は本発明にも適用し得る。
(b)マイクロカプセルに好適に用いられるマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよい。
(b)マイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であると、良好な解像度と経時安定性が得られる。
(b)熱反応性官能基を有するマイクロカプセルを用いた画像形成機構では、マイクロカプセル材料、そこに内包物された化合物、さらには、マイクロカプセルが分散された画像形成層中に存在する他の任意成分などが、反応し、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を形成するものであればよく、例えば、前記したようなマイクロカプセル同士が熱により融着するタイプ、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面あるいはマイクロカプセル外に滲み出した化合物、あるいは、マイクロカプセル壁に外部から浸入した化合物が、熱により化学反応を起こすタイプ、あるいは、それらのマイクロカプセル材料や内包された化合物が添加された親水性樹脂、あるいは、添加された低分子化合物と反応するタイプ、2種類以上のマイクロカプセル壁材あるいはその内包物に、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせるものを用いることによって、マイクロカプセル同士を反応させるタイプなどが挙げられる。
従って、熱によってマイクロカプセル同志が、溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
(b)マイクロカプセルの画像形成層への添加量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。
(b)マイクロカプセルを画像形成層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。
マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、15〜85質量%であるのが特に好ましい。
[その他の成分]
本態様における感熱画像形成層には、前記画像形成性を有する(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルのほか、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。
(反応開始剤、反応促進剤)
前記感熱画像形成層においては、必要に応じてこれらの反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートが挙げられる。
これらの化合物は、画像形成層固形分の1〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果または反応促進効果が得られる。
(親水性樹脂)
本発明におけるこのような感熱画像形成層には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好となるばかりか、感熱画像形成層自体の皮膜強度も向上する。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げることができる。
親水性樹脂の感熱画像形成層への添加量は、画像形成層固形分の5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
このような熱応答性の画像形成層(感熱画像形成層)を、赤外線レーザ光の走査露光等により画像形成するため、(A)赤外線吸収剤を画像形成層に含有させる。好ましい添加量は、画像形成層塗布液全固形分中、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。含有量が上記範囲にあると、感度、画像形成性ともに優れた画像形成層となる。
疎水化前駆体を含む画像形成層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解、もしくは分散し、塗布液を調製し、前記支持体の親水性表面上に塗布される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
(その他の平版印刷版原版)
本発明は、赤外線レーザ露光以外の平版印刷版原版にも好ましく用いることができる。以下に、赤外線レーザ露光以外の平版印刷版原版および画像形成層の例について詳細に説明する。
1.ポジ型画像形成層
ポジ型画像形成層の好ましい例としては、以下に示す従来公知のポジ型画像形成層[(a)〜(b)]を挙げることができる。
(a)ナフトキノンジアジドとノボラック樹脂とを含有してなる従来から用いられているコンベンショナルポジ型画像形成層。
(b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ型画像形成層。
上記(a)及び(b)は、いずれも当分野においてはよく知られたものであるが、以下に示すポジ型画像形成層((c)〜(f))と組み合わせて用いることがさらに好適である。
(c)特開平10−282672号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来る、スルホン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ型画像形成層。
(d)EP652483号、特開平6−502260号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することが出来る、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生剤若しくは赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ型画像形成層。
(e)特開平11−095421号に記載のアルカリ可溶性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含有してなるレーザー感応性ポジ型画像形成層。
(f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型画像形成層。
本発明の平版印刷版用支持体上には、前記画像記録塗布液などの所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして塗布することにより画像形成層を形成し、平版印刷版原版を製造することができる。平版印刷版原版には、画像形成層に加え、目的に応じて、保護層、樹脂中間層、下塗り層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を、また、水溶性の画像形成層を用いる場合には、水、或いはアルコール類等の水性溶媒を挙げることができるがこれに限定されるものではなく、画像形成層の物性にあわせて適宜選択すればよい。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、感光性印刷版についていえば一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
以上のようにして、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られた平版印刷版原版は、親水性が高く、また、その持続性に優れた表面を備えているため、画像形成後には、非画像部の印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜9、比較例1〕
―アルミニウム基板の作製―
表1記載の組成の使用済み飲料缶(UBC)地金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った。引き続き冷間圧延を行って、厚さ0.3mm、幅1060mmに仕上げ、アルミニウム板AL−1、AL−2を得た。組成がJIS A 1050のアルミニウム材料に上記と同様の処理をしてアルミニウム板AL−3を得た。それぞれの組成を表1に示す。なお、表中の数値の単位は質量%である。
Figure 0004808650
<表面疎面化処理>
得られた各アルミニウム板を以下に示す表面疎面化処理に供して、平版印刷版用支持体P−1〜P−5を得た。
表面処理は、以下の(a)〜(e)の処理を連続的に(表2に記載のとおり)行うことにより実施した。
Figure 0004808650
(a)ブラシと研磨剤を用いる機械的粗面化処理
比重1.13のパミストン(平均粒径30μm)を水に懸濁させた懸濁液を研磨スラリー液として用い、回転ブラシを1本とし、粗面化後のRaが0.58μmとなるようにブラシ回転数250rpmで機械的粗面化を行った。
ローラ状ブラシとしては、毛長50mm、毛の直径0.295mmの6・10ナイロンの毛を、直径300mmのステンレス鋼製ローラの表面に孔を開けて密になるように植設したものを用いた。
ブラシ下部の2本の支持ローラは、直径200mmのステンレス鋼製ローラをの中心間の距離300mmで用いた。
ローラ状ブラシは、ブラシを回転させる駆動モータの負荷がブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラスになる圧力で押し付け、粗面化面における回転方向がアルミニウムウェブWの搬送方向と同方向になるように回転させた。
研磨材スラリーの温度と比重とから研磨材の濃度を連続的に求め、濃度が一定になるように、水およびパミストンをスラリー回収槽に補充しつつ、機械的粗面化を行った。また、機械的粗面化において粉砕され、細粒化したパミストンは、粒子径調整部における分級器で除去し、前記研磨材スラリー中のパミストンの粒度分布がほぼ一定になるようにした。なお、分級器としては、サイクロンを用いた。
(b)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/mであった。その後、ニップローラで液切りし、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを80mm間隔で有する構造を有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理した後、ニップローラで液切りした。
(c)電気化学的粗面化処理
特開2005−35034号公報の35ページ(b)から36ページ(h)に記載の方法により、電気化学的粗面化処理を実施した。UBCアルミニウム材に対して電気化学的粗面化処理を行った支持体P−1では、部分的な未エッチング部が発生して、均一な表面構造が得られなかった。
(d)陽極酸化処理
特開2005−35034号公報の図4に示される陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度33℃)を用いた。陽極酸化処理は、アルミニウム板がアノード反応する間(約16秒)の平均電流密度が15A/dmとなるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.4g/mであった。なお、アルミニウム板がアノード反応にあずかる時間は16秒であった。
その後、ニップローラで液切りし、水洗し、更にニップローラで液切りした。
(e)シリケート処理
アルミニウム板をケイ酸ソーダ2.5質量%水溶液(液温20℃)に10秒間浸せきさせた。蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量は、3.5mg/mであった。その後、ニップローラで液切りし、水洗し、更にニップローラで液切りした。更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させた。
―親水性層の形成―
1.特定ポリマー(1−26)の合成
1L三口フラスコにアクリルアミド17.3g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.5g、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル メタクリレート 10.4g、及び1−メトキシ−2−プロパノール 200mlを取り、80℃窒素気流下で、あらかじめ1−メトキシ−2−プロパノール 6mlに溶解したジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 216mg0.5gを加えた。4時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。イソプロピルアルコール500mlを加え、析出した固体をろ取し、水洗して親水性ポリマーを得たGPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量9000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物(1−26)の構造を有するポリマーであることが確認された。他の特定ポリマーについても、同様にして合成した。
2.Al表面のゾルゲル液組成物による親水性層の形成
2−1.塗布液組成物の調整
以下の組成によりポリマー溶液1、触媒液1をそれぞれ調整し、テトラメトキシシランと混合してゾルゲル液組成物1を作成した。ゾルゲル液組成物1は、20℃にて2時間撹拌した。なお、ポリマー溶液1の溶媒は、ポリマーの水への溶解性が低い場合には、メタノールを添加して調整した。
<ポリマー溶液1>
本発明のポリマー[例示化合物(1−26)] 0.5g
水 12.6g
<触媒液1>
エタノール 54.9g
アセチルアセトン 2.46g
テトラエトキシチタン 2.81g
水 0.44g
<ゾルゲル液組成物1>
ポリマー溶液1 13.1g
触媒液1 2.9g
テトラメトキシシラン 1.49g
上記ゾルゲル液組成物1ならびに、下記により調整した希釈液1を用いて、塗布液組成物1を作成した。
<希釈液1>
水 74.1g
日産化学工業(株)製 スノーテックスC(20%水分散物) 26g
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(5%水溶液) 5.5g
<塗布液組成物1>
ゾルゲル液組成物1 17.54g
希釈液1 10.1g
その後、アルミニウム基材[組成及び処理方法は表2に記載のとおりである]上に、上記塗布液組成物を乾燥後の塗布量が0.2g/mとなるように塗布し、120℃で10分間加熱乾燥させて親水性層を形成し、平版印刷版用支持体とした。本発明の他のポリマーについても、同様にして塗布液組成物を作成した[表4に記載の種類]。
3.接触角の評価
得られた支持体上の表面接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定し、上記塗布液組成物を塗布しないアルミニウム基板と比較した。結果を表3に示す(単位:度)。表3から、以下のことがわかる。
基板表面の表面物性は、本発明のポリマーにより制御され、好ましい親水化がなされ、低い接触角を示すことが確認できる。低純度のアルミニウムから得られたアルミニウム支持体P−1〜P−4においても親水化の効果が高いことがわかる。また、P−1とP−2とを比較すると、電解疎面化処理を行わない基板で本発明の効果が高いこと、さらに、P−2とP−3とを比較すると、シリケート処理を施した基板で親水性向上効果が特に高いことがわかる。
Figure 0004808650
−サーマルポジ型平版印刷版原版−
(画像形成層の形成)
前記のようにして得られた平版印刷版用支持体に下記の方法で画像形成層を形成し、本発明ならびに比較例のポジ型平版印刷版原版を得た(表4に記載)。すなわち、以下の画像形成層用塗布液1をバーコーターで塗布し、TABAI社製PERFECT OVEN PH200にて130℃50秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.3g/mの画像形成層(下層)を設けた。その後、以下の画像形成層用塗布液2をバーコーターで塗布し、TABAI社製PERFECT OVEN PH200にて130℃60秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が0.26/mの画像形成層を設け、実施例1の赤外線感光性平版印刷版原版を得た。
なお、表4において、「ポリマー」の欄に「なし」の記載がある比較用試料は、前記ゾルゲル塗布液組成物を塗布することによる親水性層の形成を行うことなく、表2に記載の如く表面処理されたアルミニウム基板上に画像形成層を塗布したことを示している。
(画像形成層用塗布液1)
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体 1.9g
(36/34/30質量%:重量平均分子量50000、酸価2.65)
・m/pクレゾールノボラック 0.3g
(m/p=6/4、重量平均分子量4500、未反応クレソ゛ール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−
ナフタレンスルホン酸イオンに変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF780、大日本インキ化学
工業(株)製メチルエチルケトン30%) 0.2g
・メチルエチルケトン 16.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
・γ−ブチロラクトン 8.0g
Figure 0004808650
(画像形成層用塗布液2)
・フェノール/m/p クレゾールノボラック 0.27g
(フェノール/m/p=5/3/2 質量平均分子量5000、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・アクリル系樹脂B(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・長鎖アルキル基含有ポリマーA 0.042g
・スルホニウム塩化合物C(下記構造) 0.065g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF780、大日本インキ化学
工業(株)製メチルエチルケトン30%) 0.02g
・フッ素系界面界面活性剤E(下記構造)
(メチルエチルケトン60%) 0.032g
・メチルエチルケトン 13.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.0g
Figure 0004808650
Figure 0004808650
[合成例1:(a)長鎖アルキル基含有ポリマーAの合成]
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール59gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、n−メタクリル酸ステアリル42.0g、メタクリル酸16.0g、重合開始剤V−601(和光純薬製)0.714g、及び1−メトキシ−2−プロパノール59gからなる溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温に冷却して、1000mlの水に反応液を注ぎ込んだ。デカンテーション後、メタノールで洗浄し、得られた液状生成物を減圧乾燥することで、下記に示す(a)長鎖アルキル基含有ポリマーA73.5gを得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、66,000であった。
Figure 0004808650
−平版印刷版原版の評価−
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetter3244VFSにて、ドラム回転速度150rpmで露光エネルギーを変えてパワー露光した。その後、富士フイルム(株)製自動現像機LP−940Hに、富士フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込み、現像液温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。この時の現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロン226を用いて印刷した。
画像形成層の膜減り、汚れ防止性、放置汚れ防止性を下記の方法で評価した。
(1)画像部の耐刷性評価
前記印刷評価において、どれだけの枚数が十分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて評価した。この数字が大きいほど、耐刷性に優れている。
(2)汚れ防止性
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
汚れ防止性をブランケットの汚れの程度が少ない方から◎、○、△、×の4段階で評価した。
◎:全く汚れず
○:目視では汚れが確認できず(ルーペで確認できる程度)
△:部分的に汚れる
×:完全に汚れる
(3)放置汚れ防止性
上記汚れ防止性の評価において、1万枚印刷した後、版を1時間放置し、その後、再度印刷を開始して、非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。
なお、放置汚れ防止性の評価基準は、上記汚れ防止性の評価基準と同様のものを用いた。
(4)画像部の現像による膜減りの評価
未露光の平版印刷版原版をその後、富士フイルム(株)製自動現像機LP−940Hに、富士フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込み、現像液温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。この時の現像液の電導度は43mS/cmであった。
現像前後の感光層の光学濃度を測定し、現像前の濃度を100%としたときの相対濃度を現像膜減りとして表した。
Figure 0004808650
表4の結果から、以下のことがわかる。実施例1〜9の平版印刷版原版は、画像部の現像による膜減りが抑制され、耐刷性、汚れ防止性、放置汚れ防止性がいずれも良好であり、比較的純度の低いアルミニウム基板を用いた実施例1〜8においても、高純度アルミニウム基板を用いた実施例9と同等の効果を発現することがわかる。なかでも、シリケート処理を行い、電解疎面化を行っていない実施例2,実施例4〜8は、特に優れた性能を示し、従来の平版印刷版支持体を用いた場合に比べて製造工程を簡略化しても、優れた予想外の効果を奏することがわかる。
これに対し、本発明に係る親水性層を設けなかった比較例1の平版印刷版原版は、基板との密着性に起因する現像膜減り、耐刷性、汚れ防止性のいずれにおいても、本発明に比べて性能が劣っていた。
〔実施例10〕
実施例1記載の平版印刷版原版のアルミニウム支持体を、粗面化処理を施さないポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚0.3mm)とした以外は、前記実施例1と同様に親水層及び画像形成層を設けて実施例10の平版印刷版原版を得た。この平版印刷版原版を実施例1と同様に評価した。
その結果、現像膜減り100%、耐刷性8万枚、汚れ防止性◎、放置汚れ性○であり、プラスチックフィルム支持体を用いた場合でも、アルミニウム支持体を用いた場合と同様の、良好な印刷性能を示すことがわかった。
〔比較例2〕
親水性層形成用塗布液組成物の調整において、ポリマー溶液1の調整において使用した特定ポリマー[例示化合物(1−26)]を、下記比較用ポリマーに代えた他は、実施例1と同様にして比較例2の平版印刷版原版を得て、実施例1と同様に評価した。
その結果、汚れ防止性、放置汚れ防止性はいずれも実用上問題のない良好なレベルであったが、現像膜減りが98%、耐刷性の結果は10万枚であった。このことから、本発明の特定ポリマーを用いて形成した親水性層を設けることで、表面親水性のみならず、従来品に比較して基板との密着性、耐刷性が改良されていることがわかる。
Figure 0004808650
〔実施例11〜15〕
−サーマルネガ型平版印刷版原版−
下記組成のネガ型画像形成層塗布液を調製し、実施例1〜実施例5で用いた親水性層を形成したアルミニウム支持体に、この画像形成層塗布液を乾燥後の塗布量(画像形成層塗布量)が1.3g/m2になるよう塗布し、乾燥させてサーマルネガタイプの画像形成層を形成し、サーマルネガ型平版印刷版原版11〜15を得た。
<ネガ型画像形成層塗布液>
・赤外線吸収剤:シアニン染料A(前記構造) 0.07g
・酸発生剤[SH−1](下記構造) 0.3g
・架橋剤[KZ−1](下記構造) 0.5g
・アルカリ可溶性高分子 1.5g
(マルカリンカーM S−4P、丸善石油化学(株)製)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.035g
(保上ヶ谷化学(株)製)
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・無水フタル酸 0.05g
・メチルエチルケトン 12g
・メチルアルコール 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4g
・3−メトキシ−1−プロパノール 4g
Figure 0004808650
〔露光及び現像処理〕
得られたネガ型平版印刷版原版11〜15を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。露光後、ウィスコンシン社製オーブンにて288°F、75秒間、加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP940Hを用いて現像処理を行い、実施例11〜15のネガ型平版印刷版11〜15を得た。現像液は、同社製DP−4の1:8水希釈水を用い、現像浴の温度は30℃とし、フィニッシャーは、同社製FP−2Wの1:1水希釈液を用いた。
〔印刷及び評価〕
上記で得られたネガ型平版印刷版11〜15について、前記条件で印刷を継続し、実施例1と同様に、どれだけの枚数が十分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて評価し、耐刷性の指標とした。また、実施例1と同様に、汚れ防止性、放置汚れ防止性を評価した。
その結果、耐刷性は、8万枚〜12万枚の範囲であり、汚れ防止性、放置汚れ防止性は◎−○ランクであり、画像形成層をサーマルネガ型に代えた場合においても、サーマルポジ型画像形成層におけるのと同様に、耐刷性、汚れ防止性、放置汚れ防止性はいずれも良好であることが確認された。
〔実施例16〜20〕
−サーマルネガ(マイクロカプセル)型平版印刷版原版−
<マイクロカプセル(1)の合成>
油相成分として、キシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)5g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー(日本ポリウレタン工業(株)製、ミリオネートMR−200)3.8g、下記構造のビニルオキシ化合物4g、下記構造の赤外線吸収色素[IR−2]1.5g、及びパイオニンA−41−C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18gに溶解した。
水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を5%テトラエチレンペンタアミン水溶液25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液(1)の固形分濃度を、20質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。また、マイクロカプセルの平均粒径は0.34μmであった。
Figure 0004808650
(画像形成層の形成)
下記組成のマイクロカプセル型画像形成層塗布液を調製し、実施例1〜実施例5で用いた親水性層を形成したアルミニウム支持体に、乾燥後の塗布量(画像形成層塗布量)が1.0g/mになるよう塗布し、乾燥させてマイクロカプセル型の画像形成層を形成し、マイクロカプセル型平版印刷版原版16〜20を得た。
<マイクロカプセル型画像形成層塗布液>
・上記合成で得られたマイクロカプセル液(1) 25g
・下記構造の酸前駆体 0.5g
・水 75g
Figure 0004808650
〔露光・現像処理〕
得られたマイクロカプセル型平版印刷版原版16〜20を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、版面エネルギー300mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、印刷を行った。湿し水としては、富士写真フイルム(株)製、IF−102の4%溶液を使用し、インキとしては、大日本インキ化学工業(株)製、バリウス墨を使用した。
〔印刷及び評価〕
上記で得られたマイクロカプセル型平版印刷版16〜20について、前記条件で良好な印刷物が得られることを確認した後も印刷を継続し、実施例1と同様に、どれだけの枚数が十分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて評価し、耐刷性の指標とした。また、実施例1と同様に、汚れ防止性、放置汚れ防止性を評価した。
その結果、耐刷性は、5万枚〜8万枚の範囲であり、汚れ防止性、放置汚れ防止性は◎−○ランクであり、画像形成層をサーマルネガ(マイクロカプセル)型に代えた場合においても、サーマルポジ型画像形成層におけるのと同様に、汚れ防止性、放置汚れ防止性がいずれも良好であった。
以上のように本発明の平版印刷版原版は、耐刷性、耐汚れ性、および放置汚れ性のいずれにも優れ、公知の支持体はもとより、従来の技術では平版印刷版原版を作製するのが困難であった低純度アルミニウムから製造される支持体やプラスチック製支持体を用いた場合においても、良好な印刷性能を発現する優れたものであった。

Claims (11)

  1. 支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、下記一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を含むポリマーが化学結合してなる親水性層と、画像形成層とをこの順で有することを特徴とする平版印刷版原版。
    Figure 0004808650
    一般式(1)において、R、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、mは0、1または2を表し、L及びLは単結合又は有機連結基を表し、Yは、ラクトン構造を少なくとも有する炭素数1ないし30の置換基を表す。ここで、一般式(1)中の構造単位を含むポリマーとは、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数連結してなる構造の末端に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物を意味する。
  2. 支持体上に、該支持体表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、支持体表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基のうちの少なくとも1種の反応性基を有し、下記一般式(2)中の構造単位(iii)および構造単位(iv)を含むポリマーが化学結合してなる親水性層と、画像形成層とをこの順で有することを特徴とする平版印刷版原版。
    Figure 0004808650
    一般式(2)において、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、nは0.1または2を表し、L及びLは単結合又は有機連結基を表し、Yは、ラクトン構造を少なくとも少なくとも有する炭素数1ないし30の置換基を表す。
  3. 前記支持体がアルミニウム支持体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記アルミニウム支持体を構成するアルミニウムの純度が99.4〜95質量%であることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記支持体がプラスチックフィルム支持体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記架橋構造を有する構成成分が、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記画像形成層が、赤外線レーザで記録可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記画像形成層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項7に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記画像形成層が、2層以上の積層構造を有することを特徴とする請求項1至請求項8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記画像形成層が、ノボラック樹脂を含有するポジ型画像形成層であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  11. 前記ポジ型画像形成層が、全アルカリ可溶性樹脂に対してノボラック樹脂を50質量%以上含むアルカリ可溶性樹脂と、スルホニウム化合物またはアンモニウム化合物と、を含有することを特徴とする請求項10に記載の平版印刷版原版。
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