JP2008216366A - ポジ型平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウム純度が99.4〜95質量%の比較的低純度のアルミニウムを用いた場合であっても、耐汚れ性、耐刷性、および感度のいずれにも優れるポジ型平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる層と、ポジ型画像形成層と、をこの順に有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型画像形成層を有する平版印刷版原版に関し、詳しくは、アルミニウム純度が99.4〜95質量%の比較的純度の低い安価なアルミニウムを原料とした支持体を用いても、耐汚れ性、耐刷性、および感度のいずれにも優れる新規な平版印刷版原版に関する。
平版印刷版に用いられる平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)は、平版印刷版の耐刷性を向上させることなどを目的として、アルミニウム板に粗面化処理その他の表面処理を施すことにより製造されている。粗面化処理の方法としては、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(以下「電解粗面化処理」ともいう。)、化学的粗面化処理(化学的エッチング)、さらに、これらの粗面化処理を組み合わせた方法が知られている。
平版印刷版原版では、表面に形成される画像形成層の組成や支持体と画像形成層との密着性が耐刷性に大きな影響を与え、この観点からも、粗面化の状態を制御することで画像形成層との密着性を向上させる技術が一般に採用されている。
なかでも、機械的粗面化処理により比較的大きな凹凸と、それに引き続き行われる電気化学的粗面化処理によるより小さな凹凸を形成することで、画像形成層の密着性、耐刷性やアルミニウム支持体表面の親水性向上を図る技術が有用である。
機械的粗面化処理としては、回転するナイロンブラシとアルミニウム板との間に研磨剤のスラリーを吹き付ける方法が一般的に知られている。また、電解粗面化処理としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法が知られている。
上記平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)としては、粗面化処理が容易であることから、純アルミニウム板あるいは、アルミニウム純度が99.5%以上で、微量の異元素(例えば、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなど)を含む合金板が使用されている。このように、従来の技術においては、高純度のアルミニウム材を平版印刷版用支持体の原料として用いるのが一般的であった。
一方、使用済みアルミニウム飲料缶を原料とするアルミニウム地金(Used Beverage Can、以下UBCということがある)などの、アルミニウム純度が95〜99.4質量%のアルミニウム材が、安価な材料として知られている。UBC材は平版印刷版用支持体として使用できれば、安価に製品を製造できる可能性を有しているとともに、リサイクル性が高いことから環境に対する負荷が低減できる材料である。
UCBアルミニウム板に、特定の疎面化処理をして平版印刷版原版用の支持体を製造する方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。この製造方法では、ナイロンブラシと研磨材による機械的粗面化処理を実施しているが、混在する不純物の影響によって粗面化の処理性が低下し、平版印刷版用支持体として用いるのに適した表面が得られない場合がある。
また、さらに電気化学的粗面化を実施した場合、不純物金属の偏在する箇所において、該不純物とアルミニウムとの合金部分が剥離して開口部ができ、微細で均一な粗面化を行うことが困難であった。
また、支持体表面の親水性向上に関しては、例えば、基板表面に親水性グラフト鎖を有し、かつ、Si,Ti,Zr,Alから選択される金属アルコキシドの加水分解、重縮合により形成された架橋構造を含有することを特徴とする平版印刷版用支持体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。該特許文献においては、JIS 1050の高純度アルミニウムを支持体とした場合に、表面親水化に有効であると記載されている。しかしながら、このような表面処理技術は、従来は均質性の高いアルミニウム基板についてのみ検討されてきており、UBCのような低純度アルミニウムに適用して平版印刷版原版用の支持体を製造する態様およびその効果について従来は全く知られていないことから、低純度アルミニウム中に含まれる不純物の影響について従来の技術から予想することは困難である。
近年、近赤外から赤外域に発光波長を有するレーザを光源とし、ディジタルデータから直接製版を行うダイレクト刷版用のポジ型平版印刷版原版が広く用いられている。従来公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、アルカリ水溶液可溶性樹脂としてノボラック樹脂等が使用されている。なかでも、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像形成層を有するものが、高品質の画像が得られる優れた赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版として開示されている(例えば、特許文献3参照)。
このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版を、低純度アルミニウム基板を用いて作製した例については、従来は知られていない。本発明者らの検討によれば、このような低純度アルミニウム基板を支持体として、ノボラック樹脂を50質量%以上とスルホニウム化合物またはアンモニウム化合物とを有する高性能のポジ型画像形成層を形成した場合、支持体表面の粗面化不良や、合金の剥離による不均一性によって、従来の高純度アルミニウム基板を用いた場合に比較して、耐刷性や汚れ性などの性能が劣るという問題があった。
このように、安価かつ、環境に対する負荷を低減しうる、使用済み飲用缶から得られるアルミニウム等の低純度アルミニウム原料を用いた場合でも、優れた性能を有する赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版が求められているのが現状である。
特開2003−39846号公報 特開2003−127561号公報 特開平7−285275号公報
上記課題を考慮した本発明の目的は、低純度アルミニウム原料により形成された支持体を用いた、耐汚れ性、耐刷性、および感度等の印刷性能に優れるポジ型平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、アルミニウム純度が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板上に、特定の反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる表面を形成させることにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明の構成は、以下の通りである。
<1> アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる層と、ポジ型画像形成層と、をこの順に有するポジ型平版印刷版原版。
<2> 前記ポジ型画像形成層が、全アルカリ可溶性樹脂に対してノボラック樹脂を50質量%以上含むアルカリ可溶性樹脂と、スルホニウム化合物またはアンモニウム化合物と、を含有することを特徴とする、<1>記載のポジ平版印刷版原版。
<3> 前記アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分が、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有することを特徴とする<1>または<2>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<4> 前記アルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが、下記一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を含むことを特徴とする、<1>乃至<3>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
Figure 2008216366
前記一般式(1)中、R、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、mは0、1または2を表し、L、Lは単結合又は有機連結基を表し、Yは炭素数1ないし30の置換基を表す。ここで、一般式(1)中の構造単位を含むポリマーとは、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数連結してなる構造の末端に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物を意味する。
<5> 前記一般式(1)において、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHであることを特徴とする<4>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<6> 前記アルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが、下記一般式(2)中の構造単位(iii)、および構造単位(iv)を含むことを特徴とする、<1>乃至<3>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
Figure 2008216366
一般式(2)において、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、nは0、1または2を表し、LおよびLは単結合又は有機連結基を表し、Yは炭素数1ないし30の置換基を表す。
<7> 前記一般式(2)において、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHであることを特徴とする<6>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<8> 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板が、Fe:0.3〜1質量%、Si:0.15〜1質量%、Cu:0.1〜1質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.1〜1.5質量%、Cr:0.01〜0.1質量%、及び、Ti:0.01〜0.5質量%を含有することを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
<9> 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板表面が、シリケート処理されていることを特徴とする<1>乃至<8>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
<10> 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板が、電気化学的粗面化を施されることなく作製されたものであることを特徴とする、<1>乃至<9>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
<11> 前記ポジ型画像形成層が、赤外線レーザで記録可能であることを特徴とする<1>乃至<10>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
<12> 前記ポジ型画像形成層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする<11>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<13> 前記ポジ型画像形成層が、2層以上の積層構造を有することを特徴とする<1>乃至<12>のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
本発明によれば、低純度アルミニウム原料により形成された支持体を用いた場合であっても、耐汚れ性、耐刷性、および感度等の印刷性能に優れるポジ型平版印刷版原版を提供することができる。
[平版印刷版原版]
本発明のポジ型平版印刷版原版は、以下に示す特定組成のアルミニウム基材(以下、適宜「基材」と略する)からなる支持体上に、該基材表面と直接化学結合し得る反応性基、或いは、基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうち少なくとも1種を有する親水性ポリマーが化学結合してなる表面層と、ポジ型画像形成層と、ををこの順に有することを特徴とする。
ここで、基材と表面層と画像形成層とをこの順に有するとは、基材上にこれらの層がこの順で積層されていることを意味し、必要に応じて設けられる層、例えば、バックコート層、上記中間層と画像形成層との間に設ける下塗り層、画像形成層の上に設けるオーバーコート層などの公知の層の存在を否定するものではない。
以下、これらの構成について順次説明する。
[アルミニウム基板]
本発明においては、アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板を支持体(基材)として用いることを特徴とする。以下、このような基板を形成するのに用いられるアルミニウム板について説明する
<アルミニウム板>
本発明において平版印刷版原版の支持体(アルミニウム基板)として用いられるアルミニウム板について説明する。
本発明の平版印刷版用支持体には特定の組成のアルミニウム板を用いる。本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする合金板である。また、このアルミニウム基板に用いるアルミニウム材の組成は、アルミニウムの含有量が99.4〜95質量%であることを特徴とする。
本発明においては、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解させたUBC(Used Beverage Can:使用済み飲料缶)地金を圧延して得られるアルミニウム材、あるいは、UBC地金と他のアルミニウム地金とを任意の割合で混合して調整した材料を好適に用いることもできる。
一般に、アルミニウム板に含まれてもよい異元素には、例えば、ケイ素、鉄、銅、チタン、ガリウム、バナジウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、バリウム、コバルト等があり、合金中の異元素の含有量は5質量%以下である。
アルミニウム合金に含有される不可避不純物としては、例えば、鉛、ニッケル、スズ、インジウム、ホウ素等が挙げられる。
本発明のアルミニウム板としては、アルミニウムの他に含まれる元素とその含有量について述べれば、好ましくは、Fe:0.3〜1質量%、Si:0.15〜1質量%、Cu:0.1〜1質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.1〜1.5質量%、Cr:0.01〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%であり、さらに好ましくは、Fe含有量が0.30超〜0.70質量%、Si含有量が0.20〜0.50質量%、Cu含有量が0.10〜0.50質量%、Ti含有量が0.02〜0.3質量%、Mg含有量が0.50〜1.5質量%、Mn含有量が0.1〜1.3質量%であり、Cr含有量が0.01〜0.08質量%、Zn含有量が0.1〜1.3質量%であって、残部がアルミニウム(含有量は95〜99.4質量%の範囲)と不可避不純物とからなるものが用いられる。
特に好ましくは、Fe含有量が0.40超〜0.50質量%、Si含有量が0.25超〜0.30質量%、Cu含有量が0.10〜0.15質量%、Ti含有量が0.02〜0.05質量%、Mg含有量が0.80〜1.5質量%、Mn含有量が0.10〜1.00質量%であり、Cr含有量が0.01〜0.05質量%、Zn含有量が0.1〜0.3質量%、残部がAl含有量95〜99.4質量%と不可避不純物とからなるアルミニウム板が用いられる。
なお、これらの態様においても、アルミニウム基板に含まれるAl以外の元素であるFe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Ti、及び、不可避不純物の総量は、5質量%以下であることは言うまでもない。
アルミニウム板中の異元素は、電気化学的粗面化処理において生成するピットの均一性に大きく影響し、耐刷性、耐汚れ性および露光安定性を高い水準でバランスよく実現することができる均一なピットを生成させるためには、異元素の種類、添加量等の高度な調整が必要である。本発明によれば、異元素の含有量が多いアルミニウム材を使用した場合においても、後述する特定中間層を、基板と画像形成層との間に位置させることで、良好な印刷性能を与える優れた平版印刷版原版を作成することが可能である。
以下に、本発明のアルミニウム材に含まれていてもよい異元素の好ましい含有量と、支持体を作成する際の影響について詳細に説明する。
Feは、新地金においても0.1〜0.2質量%前後含有される元素で、アルミニウム中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Feは、アルミニウム板の機械的強度を高める作用があるが、1質量%より多いと圧延途中に割れが発生しやすくなり、また、Fe含有量が0.15質量%未満では、機械的強度が保てなくなり、これにより圧延途中で得率低下等の問題が生じる場合がある。
本発明においては、Fe含有量は、0.3〜1質量%である。好ましくは、0.30超〜0.70質量%、より好ましくは、0.30超〜0.50質量%である。
Siは、新地金においても0.02〜0.1質量%前後含有される元素である。Siはアルミニウム中に固溶した状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物として在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体iとして析出することがある。本発明者らの知見によれば、単体Siが過剰の場合、固溶ていたSiが単体Siとして析出しやすく耐苛酷インキ汚れ性が低下する場合がある。
また、Si含有量は、アルミニウム板の電気化学的粗面化に影響を及ぼし、0.03質量%未満では、電気化学的粗面化処理においてピットが溶解し均一な表面構造とならない場合がある。
本発明においては、Si含有量は、0.15〜1質量%である。好ましくは0.20〜0.50質量%、より好ましくは、0.20超〜0.40質量%である。
CuはJIS2000系、4000系材料のスクラップに多く含まれる元素であり、比較的Al中に固溶しやすい。
Cuの含有量は、電気化学的粗面化処理に大きく影響する。特に、硝酸を含有する電解液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(以下、単に「硝酸交流電解」という。)では、Cuの含有量が0.0001質量%より少ないと電解の温度変動に対してラチチュードが狭くなる場合がある。
Cuの含有量は、0.1〜1質量%である。好ましくは、0.10〜0.50質量%より好ましくは、0.10〜0.30質量%である。
Tiは通常結晶微細化材として0.005〜0.04質量%添加される元素である。JIS5000系、6000系、7000系のスクラップには不純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有量は、結晶微細化の程度(アルミニウム板の結晶粒の大きさの程度)および電気化学的粗面化に影響する。Tiの含有量が0.0010質量%より少ないと結晶微細化の効果がみられない場合がある。
Tiの含有量は0.01〜0.5質量%である。好ましくは、0.02〜0.3質量%、より好ましくは、0.02〜0.05質量%である。
Mgの含有量は、電気化学的粗面化処理に影響する。Mgの含有量が0.0001質量%より少ないと硝酸交流電解において未エッチ部が生じやすい。
Mgの含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.30〜1.5質量%、より好ましくは、0.50〜1.35質量%である。
Mnの含有量は、電気化学的粗面化処理に影響する。Mnの含有量が0.0001質量%より少ないと塩酸交流電解において未エッチ部が生じやすい。
Mnの含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.30〜1.40質量%、より好ましくは、0.50〜1.30質量%である。
CrおよびZnは、それぞれ0.00005質量%以上の添加で、耐苛酷インキ汚れを向上させる効果を示し、電解粗面化処理後にアルミニウム溶解量が少ないアルカリエッチング処理を行う場合、そのアルカリエッチング処理後の表面構造に影響を与える。即ち、これらは、極小エッチングでの微細構造に影響する。CrはJISA5000系、6000系、7000系のスクラップに少量含まれる異元素である。
また、これらの含有量が多すぎると、効果が飽和し、かつ、コスト的に不利になるので好ましくない。本発明においては、Cr含有量は0.01〜0.1質量%であり、好ましくは、0.01〜0.08質量%、より好ましくは、Cr含有量が0.01〜0.05質量%である。
Zn含有量は0.1〜1.5質量%である。好ましくは、0.1〜1.3質量%、より好ましくは、0.1〜0.3質量%である。
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。
油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
本発明に用いられるアルミニウム板は、JISに規定されるH18の調質が行われているのが好ましい。
このようにして製造されるアルミニウム板には、以下に述べる種々の特性が望まれる。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。なお、この0.2%耐力については、理化学事典第4版(岩波書店)、743ページに記載されており、汎用の引っ張り試験機を用いることにより測定することができる。
特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさがってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。
また、アルミニウム板は、引張強度が140〜300N/mm、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となることがあるので、表面においてあまり粗大でないことが好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましく、500μm以下であるのが更に好ましい。
本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
基材として使用するアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理、シリケート処理などの表面処理を行なっても良い。このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
アルミニウム純度が低いアルミニウム板においては、良好で且つ均一な粗面化を達成するという観点から、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法の一部または全部を施すことが困難である場合があるが、その場合であっても、本発明において後述する特定ポリマーからなる中間層を形成することで、表面親水性、及び、画像形成層との密着性が良好な平版印刷版用支持体を得ることが可能である。
本発明では、上述のように特に、前記粗面化処理の全てを行わなくても、良好な表面性状を有する支持体を得られることから、電気化学的粗面化処理を行わずに支持体を作製することが、コスト面、設備面などから好ましい。即ち、本発明においては、電気化学的粗面化処理を行うことなく、耐刷性・現像性などの印刷適性を保つことができる平版印刷版用支持体を提供することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成された陽極酸化皮膜の量が1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
(シリケート処理)
本発明に用いるアルミニウム基板は、上記のようにして得られたアルミニウム基板表面に、シリケート処理を施すことが、特定中間層との密着強度向上の観点から好ましい。
シリケート処理を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を任意に使用することができるが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を溶解した水溶液に、上記アルミニウム基材を浸漬する方法などが挙げられる。
この場合のアルカリケイ酸塩水溶液の濃度は、1〜30質量%程度が好ましく、2〜15質量%程度がより好ましい。また、該水溶液のpHは、25℃でpH10〜13程度が好ましい。本発明係るシリケート処理は、このような水溶液を15〜80℃、好ましくは15〜50℃に保ち、上記アルミニウム基材を0.5〜120秒間、好ましくは5〜60秒間、該水溶液に浸漬することにより実施される。
シリケート処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。
また、上記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液には、該水溶液のpHを高くするために、水酸化物を添加してもよい。そのような水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。このような水酸化物の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度が好ましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
さらに、アルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を添加してもよい。そのようなアルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。このようなアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。金属塩の添加量は、該水溶液中0.01〜10質量%程度がこのましく、0.05〜5.0質量%程度がより好ましい。
また、シリケート処理の別の方法としては、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及びシリケートによる親水化処理を組合せた表面処理なども適用可能である。
このようなシリケート処理によって得られた金属ケイ酸塩皮膜はSi元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。皮膜量はケイ光X線分析法により測定することができる。
本発明においては、前記アルミニウム基板表面に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる層(本明細書において、適宜、特定中間層と称する)を備えることを特徴とする。
[特定中間層]
本発明における特定中間層は、アルミニウム基板と結合しうる反応性基を有する親水性ポリマーにより構成される。以下、この特定親水性ポリマーについて説明する。
<アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマー>
本発明の特定中間層は、アルミニウム基板と直接または架橋構造を有する構成成分を介して化学結合を形成しうる反応性基を有する親水性ポリマーにより形成される。
ここで、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基としては、アルミニウム基材表面に存在する−Al3+或いは−OH等の官能基と化学結合可能な官能基、例えば、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、ハロシリル基(クロロシリル基など)、アミノシリル基のような官能基が挙げられ、また、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基としては、例えば、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、ハロシリル基(クロロシリル基など)、アミノシリル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基のような官能基が挙げられる。また、後者において、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分とは、後述するゾルゲル架橋成分やビニル重合性基、エポキシ重合性基、オキセタン重合性基などを含む化合物の如き成分を指す。
このような反応性基は、親水性ポリマーの鎖状構造の末端、側鎖のいずれにあってもよいが、高保水性の観点からは末端に位置するほうが好ましく、膜強度の点からは側鎖にあるほうが好ましく、これらから適宜選択または組み合わせればよい。
また、親水性ポリマーは、その分子内に少なくとも親水性を有するか、或いは、親水性を発現しうる部分構造を有する極性基などを有することを要する。
本発明において特定中間層の形成に用いられる親水性ポリマーの一例として、下記一般式(1)に記載の構造単位(i)および構造単位(ii)を含有する親水性ポリマーが挙げられる。
Figure 2008216366
一般式(1)について説明する。
本発明に用いうる特定親水性ポリマーは、一般式(1)における、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数結合してなる構造の末端の少なくとも一方に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物である。以下、このような高分子化合物を「特定ポリマー(1)」と称することがある。ここで、ポリマーを形成する一般式(ii)で表される構造単位は一種類でも二種類以上でもよく、また、構造単位(ii)で表される構造単位を含むものであれば、これ以外の共重合成分を含むものであってもよい。
、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表す。なかでも、好ましくは、炭素数1〜20の置換基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15の置換基であり、特に好ましくは炭素数1〜8の置換基である。
、R、R、Rとしては、より具体的には、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。また、ヘテロ環基としては、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基などが挙げられる。
これらの基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、
N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホリノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
、R、R、Rとして効果及び入手容易性の観点から特に好ましい例としては、水素原子、メチル基又はエチル基を挙げることができる。
およびLは、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な有機連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わされて構成されるものを挙げることができる。
Figure 2008216366
として、特に好ましい構造としては、−(CH−S−が挙げられる。ここで、nは、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4の整数である。
として、特に好ましい構造としては、単結合や以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008216366
は炭素数0ないし30の置換基を表す。置換基の例としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイト基、
N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−Ν−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基ホスフォノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスフォノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスフォノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、などが挙げられる。
で表される置換基は、特定中間層の表面親水性を維持するという観点から、−CONH、−CON(R11)(R12)、−CO13、−OH、−COM、または−SOMが好ましく挙げられる。また、Yがこれらの置換基のいずれかを表す場合、Lでは単結合であることが好ましい。
ここで、R11、R12、およびR13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜20であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15であり、特に好ましくは炭素数1〜8である。R11、R12、およびR13としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられる。R11とR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。好ましい例としては、前述のR、R、R、およびRの好ましい例を挙げることができる。
これらのうち、最も好ましくは、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHである態様である。
Mとしては、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウムなどのオニウムが挙げられる。
本発明において一般式(1)で表される部分構造を有する親水性ポリマーにおいては、(ii)で表される構造単位が単一のものからなる単独重合体であっても複数の成分からなる共重合体であってもよい。さらに、(ii)で表される構造単位に加えて、それ以外の共重合成分を含む共重合体であってもよい。本発明における特定ポリマー(1)としては、構造単位(i)におけるLが−(CH−S−(ここで、nは、1〜8の整数を表す)であり、構造単位(ii)として、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHであるものを含んで構成されたポリマーが好ましい。
本発明において用いられる特定ポリマー(1)の分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が最も好ましい。
本発明に好適に用い得る特定ポリマー(1)の具体例を、その構造単位とGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)により以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008216366
Figure 2008216366
Figure 2008216366
Figure 2008216366
また、本発明に係る特定ポリマーの他の好ましい態様として、下記一般式(2)中の構造単位(iii)、および構造単位(iv)を有するポリマーが挙げられる。以下、このような高分子化合物を「特定ポリマー(2)」と称することがある。
Figure 2008216366
一般式(2)で示される構造単位を有する高分子化合物について説明する。
特定ポリマー(2)は、シランカップリング基を有する構造単位(iii)で表される繰返し単位と、構造単位(iv)で表される繰返し単位とを共に有する高分子化合物である。また、構造単位(iii)、および、構造単位(iv)で表される繰返し単位は、それぞれ単一でも複数の種類であってもよく、さらに、構造単位(iii)あるいは構造単位(iv)で表される繰返し単位以外の共重合成分を含んでいてもよい。
一般式(2)における、構造単位(iii)と構造単位(iv)とのモル組成比は、99.5:0.5〜0.5:99.5であることが好ましく、99:1〜50:50がさらに好ましく、98:2〜70:30が特に好ましい。
、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表す。好ましくは、構造内に炭素原子を1〜20含む置換基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜15であり、特に好ましくは炭素数1〜8である。
、R、R、R、R、およびR10としては、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などが挙げられる。
、R、R、R、R、およびR10の具体的な例としては、前述のR、R、RおよびRの例などが挙げられる。
およびLは単結合又は有機連結基を表す。LおよびLの具体的な例としては、それぞれ前述のLおよびLの例と同様のものが挙げられる。
は炭素数1ないし30の置換基を表す。Yの具体的な例としては、前述のYの例などが挙げられる。本発明においてYで表される置換基の好ましい例としては、前述のYで表される置換基の好ましい例と同様のものを挙げることができ、この場合も特定ポリマー(1)と同様に、Lは単結合であることが好ましい。
特定ポリマー(2)の分子量としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がさらに好ましく、1,000〜30,000が特にも好ましい。
以下に、本発明に好適に用い得る特定ポリマー(2)の具体例を、その構造単位とGPC法により測定した重量平均分子量(Mw)により以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008216366
前記特定ポリマー(1)または特定ポリマー(2)は、既知のいかなる方法によっても合成可能であるが、その合成にはラジカル重合法が好ましく用いられる。一般的なラジカル重合法は、例えば、新高分子実験学3、高分子の合成と反応1(高分子学会編、共立出版)、新実験化学講座19、高分子化学(I)(日本化学会編、丸善)、物質工学講座、高分子合成化学(東京電気大学出版局)等に記載されており、これらを適用することができる。
また、先に述べたように、特定ポリマー(1)及び特定ポリマー(2)は、前記一般式(1)における構造単位(i)、構造単位(ii)、或いは、前記一般式(2)における構造単位(iii)、および構造単位(iv)以外の構造単位を有する共重合体であってもよい。
ここで、併用しうる構造単位としては、構造単位(i)、構造単位(ii)、構造単位(iii)、および構造単位(iv)で表されるものの他に、既知の種々のモノマーに由来する構造を挙げることができる。
好ましい例としては、アクリル酸エステル類、メタクリルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等に由来する公知のモノマーものなどが挙げられる。このような共重合を行うことで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善或いは制御することができる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
このような、併用可能な構造単位は、特定ポリマーに、構造単位(ii)、構造単位(iii)或いは、構造単位(iv)の共重合成分として、0〜60モル%程度含むことができ、0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましい。
本発明の作用機構は明確ではないが、特定の置換基を有する親水性ポリマーが、その分子内にさらにアルミニウム基材表面に直接化学結合するか、或いは、架橋構造を有する構成成分を介して化学結合し得る反応性基を有するため、該ポリマーがそのアルミニウム基材表面に存在する−Al3+或いは−OH等の官能基と強固に結合されるものと推定される。さらに、該ポリマーの末端基以外の置換基は本発明に係る特定中間層表面に比較的自由な状態で存在するため、置換基に由来する親水性などの性質を基板表面に付与することができていると推定される。
本発明においては、このような特定ポリマーがグラフト構造を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を介してアルミニウム基材に吸着する態様が好ましい。また、アルミニウム基板が表面粗面化処理、陽極酸化処理、ならびにシリケート処理を施されていることが好ましい。このような態様によれば、アルミニウム基板、即ち、平版印刷版用支持体表面は、グラフト鎖の状態で導入された官能基が表面に比較的自由な状態で高密度に偏在するとともに、アルコキシドの加水分解、縮重合により、高密度の架橋構造を有する有機無機複合体皮膜が形成されているために、高強度の皮膜を形成し、本発明の効果が一層顕著であるものと考えられる。
(架橋成分)
本発明に係る表面としては、上記ポリマー中の架橋性基が、直接特定アルミニウム基材表面上の−SiONa、−Al3+、或いは−OH基などの官能基と化学結合したものでもよく、あるいは、特定親水性ポリマーを含有する親水性塗布液を調製し、基材表面に塗布、乾燥することで、該架橋性基の加水分解、縮重合により、架橋構造(ゾルゲル架橋構造)を形成したものであってもよい。
ゾルゲル架橋構造を形成するにあたっては、特定親水性ポリマーと、下記一般式(3)で表される架橋成分とを混合して基材表面に塗布・乾燥することが好ましい。下記一般式(3)で表される架橋成分としては、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす化合物であり、前記特定親水性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
Figure 2008216366
一般式(3)中、R14は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R15はアルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZrを表し、nは0〜2の整数を表す。
14及びR15がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は分子量1000以下であることが好ましい。
以下に、一般式(3)で表される架橋成分の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
また、XがAlである場合、即ち、加水分解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
[特定中間層の形成方法]
<塗布液の調製>
本発明における特定中間層形成用塗布液組成物を調製するにあたっては、前記した如き、特定の官能基を有する親水性ポリマーを用いることを要するが、このような特定親水性ポリマーの含有量は、固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。特定ポリマーの含有量が上記範囲において、十分な膜強度を有し、且つ、皮膜特性が良好でクラック発生の懸念がない塗膜を形成することができ、好ましい。
また、好ましい態様である塗布液組成物の調製に、前記一般式(3)で表される如き架橋成分を添加する場合の添加量としては、特定中間層形成用塗布液組成物に含まれる特定ポリマー中のシランカップリング基に対して、架橋成分が5mol%以上となるように添加されることが好ましく、10mol%以上となる量であることがさらに好ましい。架橋成分添加量の上限は特定親水性ポリマーと十分架橋できる範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋成分により、作製した表面がべたつくなどの問題を生じる可能性があり、その観点からは、1000mol%以下であることが好ましい。
シランカップリング基を主鎖末端に有する特定ポリマー(1)或いは、側鎖に有する特定ポリマー(2)、好ましくは、さらに架橋成分を溶媒に溶解し、よく攪拌することで、これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る塗布液組成物となり、これによって、表面の親疎水性などの物性が制御され,高い膜強度を有する表面層が形成される。有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、触媒として、酸性触媒または塩基性触媒、或いは、金属キレート化合物を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、このような触媒は必須である。本発明においては、特に、金属キレート化合物を触媒として用いることが好ましい。
酸性触媒または塩基性触媒としては、酸または塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のものを用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
また、本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソブロボキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、トリス(アセチルアセトン)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る金属キレート化合物の添加量は、塗布液の全固形分に対して、通常0.01〜15質量%程度であり、0.1〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
塗布液の調製は、シランカップリング基を末端に有する特定ポリマー(1)又は(2)、好ましくはさらに架橋成分を、水、メタノール、あるいはエタノールなどの溶媒に溶解後、所望により上記触媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌により両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機複合体ゾル液を得ることができる。
特定ポリマー及び、好ましくは架橋成分を含有する塗布液組成物を調製する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
以上述べたように、本発明に係る表面を形成するための有機無機複合体ゾル液(塗布液組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島硯「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、それらに記載の方法を本発明に係る塗布液組成物の調製に適用することができる。
本発明に係る塗布液組成物中には、上記以外にも、親疎水性の程度の制御、物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上印刷適性の向上などの種々の目的の化合物を添加することができる。例えば、可塑剤、顔料、色素、界面活性剤、微粒子等が挙げられる。
以下に、塗布液組成物に添加しうる各成分について説明する。
微粒子としては、特に限定されないが、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム等が挙げられる。これらは、親水性を助長したり、皮膜の強化などに用いることができる。より好ましくは、シリカ、アルミナ、酸化チタン又はこれらの混合物である。
シリカは、表面に多くの水酸基を持ち、内部はシロキサン結合(−Si−O−Si−)を構成している。本発明において、好ましく用いることができるシリカとしては、コロイダルシリカとも称される、水もしくは、極性溶媒中に分散した粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子である。具体的には、加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用技術」第3巻、(株)シーエムシー(1991年)に記載されている。
また、好ましく用いることができるアルミナとしては、5〜200nmのコロイドの大きさをもつアルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中の陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン等のハロゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン等)を安定剤として分散されたものである。又好ましく用いることができる酸化チタンとしては、平均一次粒径が50〜500nmのアナターゼ型あるいはルチル型の酸化チタンを、必要に応じ、分散剤を用い、水もしくは、極性溶媒中に分散したものである。
本発明において、好ましく用いることができる親水性の粒子の平均一次粒径は、1〜5000nmであり、より好ましくは、10〜1000nmである。本発明の親水性層中において、これらの親水性の粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。その使用量は親水性の特定中間層の総固形分重量に対して、5質量%〜80質量%、好ましくは10質量%〜70質量%、より好ましくは20質量%〜60質量%である。
上記のようにして調製した中間層形成用塗布液組成物を、前記本発明に係るアルミニウム基板上に塗布、乾燥することで、アルミニウム基板表面に、特定中間層を形成することができる。特定中間層の膜厚は目的により選択できるが、一般的には乾燥後の塗布量で、0.01〜3.0g/mの範囲であり、好ましくは0.01〜1.0g/mの範囲であり、さらに好ましくは0.03〜1.0g/mの範囲である。塗布量が上記範囲において、十分な膜強度が得られ、表面親水性、基板との密着性、高感度化などの本発明の効果が発現される。
[ポジ型画像形成層]
本発明の平版印刷版原版は、特定のアルミニウム含有量のアルミニウム基板表面に形成された中間層上にポジ型画像形成層を設けてなる。
ここで設けられるポジ型画像形成層は既知の任意のものであってよいが、効果の観点からは、赤外線レーザなどのヒートモード露光による画像形成が可能な画像形成層であることが好ましい。
画像形成層は単層構造であっても、複数の層からなる積層構造を有したものであってもよい。
好ましくはダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版であり、さらに好ましくは、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加した画像形成層を有するものである。
このようなフェノール性水酸基を有する樹脂を含む画像形成層を特定中間層表面に形成することで、強いアルカリ不溶化と熱的解除の作用により、耐刷性と汚れ性を両立する好ましい物性が発現することになる。また、さらに、画像形成層中に、スルホニウム塩やアンモニウム塩を含むことで、ノボラック樹脂との結合により強固な耐アルカリ現像性被膜が形成されるとともに、赤外線レーザの露光により結合解除が起こることにより、露光部と非露光部との間で溶解性の顕著な差を発生させることとなり、保存安定性を向上する効果を奏するものである。
また、他の好ましい態様であるポジ型画像形成層が重層構成となっているものを特定中間層表面に適用した場合には、表面層の溶解性を低くし、下層は印刷耐性の高い設計にすることにより、感度と現像性をさらに高いレベルで両立するほか、耐傷性を向上する効果が発現し、本発明に特に好適に用いることができる。
以下に、本発明の平版印刷版原版に適用しうる、赤外線レーザによる露光により画像形成可能なポジ型画像形成層について説明する。
本発明に係るポジ型画像形成層は、未露光部は耐アルカリ現像性の画像部を形成し、赤外線レーザ露光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が増大し、アルカリ現像液により除去されて親水性に優れた特定中間層が露出することで、湿し水を受領する非画像部となる。
ポジ型の画像形成層としては、相互作用解除系(感熱ポジ)画像形成層、公知の酸触媒分解系、o−キノンジアジド化合物含有系等が挙げられる。これらは光照射や加熱により発生する酸や熱エネルギーそのものにより、層を形成していた高分子化合物の相互作用が解除され、水やアルカリ水に可溶となり、現像により除去されて非画像部を形成するものである。
ポジ型画像形成層は、一般にアルカリ可溶性の官能基を有する樹脂と、該アルカリ可溶性樹脂との間に相互作用を形成して耐アルカリ現像性を発現させる溶解抑制剤とを含有し、さらに、赤外線レーザなどの熱的なエネルギーで書き込み可能なヒートモード対応ポジ型画像形成層の場合には、赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤などの光熱変換剤を含有する。
本発明における画像形成層の好ましい態様として、アルカリ可溶性樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂(以下、適宜、ノボラック樹脂と称する)を50〜 質量%、さらに光熱変換剤を含有し、赤外線レーザにより記録可能なポジ型画像形成層が挙げられる。画像形成層は単層であっても、複数の画像形成層からなる積層構造を有していてもよい。
以下、本発明に好適な赤外線により記録可能なポジ型画像形成層の構成成分について説明する。
「アルカリ可溶性樹脂」
ポジ型画像形成層において使用されるアルカリ可溶性樹脂は、ポジ型に適用される場合には、溶解抑止剤との共存下によりアルカリ可溶性が低下し、溶解抑止剤の分解により、アルカリ可溶性が回復するアルカリ可溶性高分子化合物である。
ポジ型画像形成層において使用されるアルカリ可溶性化合物としては、以下に詳述するノボラック樹脂や、ポリヒドロキンスチレン、アクリル樹脂等を挙げることができる。
本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
〔ノボラック型フェノール樹脂〕
まず、ノボラック型フェノール樹脂について説明する。ノボラック樹脂は、少なくとも1種のフェノール類を酸性触媒下、アルデヒド類又はケトン類の少なくとも1種と重縮合させた樹脂のことを指す。
ここで、フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール、4,4’−ビフェニルジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等が、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールから選択されるフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドから選択されるアルデヒド類又はケトン類との重縮合体が好ましく、特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で0〜100:0〜70:0〜60の(混合)フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
好ましいノボラック樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(o−、m−、p−又はm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂等が挙げられる。
これらのノボラック樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という)が、好ましくは500〜20,000、更に好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜12,000のものが用いられる。重量平均分子量がこの範囲内にあると、充分な皮膜形成性を有し、露光部のアルカリ現像性に優れるため好ましい。
画像形成層のバインダー樹脂として前記ノボラック樹脂を用いる場合、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、バインダー樹脂のすべてが前記ノボラック樹脂であってもよく、また、それ以外の樹脂を併用することもできる。他の樹脂を併用する場合においても、ノボラック樹脂が主バインダーであることが好ましく、画像形成層を構成するバインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)成分中に占めるノボラック樹脂の割合は50質量%以上であることが好ましく、65〜99.9質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、画像形成層を構成する全固形分に対するノボラック樹脂の含有量は、50〜99.9質量%の範囲であることが好ましい。
ノボラック樹脂に併用可能な他のバインダー樹脂としては、一般に用いられる水不溶且つアルカリ可溶性の、高分子中の主鎖及び側鎖の少なくとも一方に酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂以外のフェノール樹脂、例えば、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル樹脂等も好ましく用いられる。併用可能な樹脂としては、具体的には、例えば、特開平11−44956号公報や、特開2003−167343号公報などに記載のポリマーを挙げることができる。
ポジ型画像形成層において使用されるノボラック樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂のさらなる例としては、例えばポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
また、ポリ−p−ヒドロキンスチレン、ポリ−m−ヒドロキンスチレン、p−ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系ポリマーを用いる場合には質量平均分子量が2,000〜500,000、さらに、4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特願平8−211731明細書に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは質量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレングリコール、2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
本発明において、アルカリ可溶性化合物は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
本発明において、これらのアルカリ可溶性樹脂の含有量は、ポジ型画像形成層の全固形分中、10〜90質量%程度であり、20〜85質量%が好ましく、30〜80質量%がさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂の総含有量がこの範囲において、画像形成層の十分な耐久性と、高感度化が実現する。
アルカリ可溶性樹脂は、1種類のみで使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
〔光熱変換剤〕
本発明における画像形成層は、光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤を含有することで、本発明に係る画像形成層は、光熱変換剤の吸収波長に適合する領域に感度を有するようになる。ここで用いられる光熱変換剤としては、光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザへの適合性の観点から、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、特開2005−99685号公報の26−38頁に記載された化合物が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に特開2005−99685号公報の一般式(a)で示されるシアニン色素が、本発明の感光性組成物で使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
このような光熱変換剤の含有量は、画像形成層の全固形分中、 〜 質量%の範囲であることが好ましい。
「溶解阻止剤」
ポジ型画像形成層において使用される溶解阻止剤とは、酸の作用により分解しアルカリ可溶性となる化合物である。該溶解阻止剤としては、t−ブチルエステル、t−ブチルカーバーメート、アルコキシエチルエステル、等のレジスト分野で用いられている化学増幅系の酸分解性基で保護されたカルボン酸、フェノール化合物等が挙げられる。
また、以下に述べる分解性溶解抑止剤も好ましい。
〔分解性溶解抑止剤〕
本発明に好適に用いられる分解性溶解抑止剤とは、熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(分解性溶解抑止剤)を指す。このような化合物を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点で好ましい。分解性溶解抑止剤としては、、例えば、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等が挙げられ、より具体的には、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩及び、o−キノンジアジド化合物が好ましく、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩がより好ましい。白灯下における安定性の観点からは、スルホニウム塩、又は、アンモニウム塩がさらに好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号、特開2006−293162号公報、特開2004−117546号公報の明細書に記載のアンモニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開2006−293162号公報、特開2006−258979号公報に記載のスルホニウム塩を挙げることができる。
また、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)、特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)、特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)などで示されるジアゾニウム塩を挙げることができる。
これ以外の好ましいオニウム塩として、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
これらのオニウム塩は、1種類のみを用いても、複数の化合物を用いてもよい。また、画像形成層が積層構造を有する場合には、単一層のみに添加しても複数の層に添加してもよく、また、複数の種類からなる化合物を、層を分けて添加してもよい。
好適なキノンジアジド類としては、o−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば、特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号などの各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。
これらの溶解抑止剤としては、効果の観点から、オニウム塩が好ましく、スルホニウム塩及びアンモニウム塩がさらに好ましい。
分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、及び/又は、o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは、本発明にかかる画像形成層の全固形分に対し、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に用いられる添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
〔その他の添加剤〕
さらに、画像のディスクリミネーション(疎水性/親水性の識別性)の強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318公報に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用することができる。このような化合物の添加量としては、本発明に係る画像形成層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明に係る画像形成層中には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許6,117,913号明細書に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステル等を挙げることができる。このような化合物の添加量としては、画像形成層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
また、本発明に係る画像形成層中には、必要に応じて低分子量の酸性基を有する化合物を含んでいてもよい。酸性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基を挙げることができる。中でもスルホン酸基を有する化合物が好ましい。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙げることができる。
その他、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類を画像形成層に添加する場合、画像形成層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、本発明に係る画像形成層の塗布液を調製する場合には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の画像記録材料の画像形成層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。更に本発明に係る画像形成層塗布液中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、さらには、特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加することができる。
以上のようにして得られた本発明の画像記録材料における画像形成層は、皮膜形成性及び皮膜強度に優れ、且つ、赤外線の露光により、露光部が高いアルカリ可溶性を示す。
以上のようにして、本発明の平版印刷版用支持体を用いて得られた平版印刷版原版は、親水性が高く、また、その持続性に優れた表面を備えているため、画像形成後には、非画像部の印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、高画質の印刷物が多数枚得られる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1〜8、比較例1〕
<アルミニウム基板1、2の作製>
表1記載の組成の使用済み飲料缶(UBC)地金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った。引き続き冷間圧延を行って、厚さ0.3mm、幅1060mmに仕上げ、アルミニウム板AL−1、AL−2を得た。それぞれの組成を表1に示す。
なお、表中の数値の単位は質量%である。
Figure 2008216366
<表面疎面化処理>
得られた各アルミニウム板を以下に示す表面疎面化処理に供して、平版印刷版用支持体P−1〜P−4を得た。
表面処理は、以下の(a)〜(e)の処理を連続的に(表2に記載のとおり)行うことにより実施した。
Figure 2008216366
(a)ブラシと研磨剤を用いる機械的粗面化処理
比重1.13のパミストン(平均粒径30μm)を水に懸濁させた懸濁液を研磨スラリー液として用い、回転ブラシを1本とし、粗面化後のRaが0.58μmとなるようにブラシ回転数250rpmで機械的粗面化を行った。
ローラ状ブラシとしては、毛長50mm、毛の直径0.295mmの6・10ナイロンの毛を、直径300mmのステンレス鋼製ローラの表面に孔を開けて密になるように植設したものを用いた。
ブラシ下部の2本の支持ローラは、直径200mmのステンレス鋼製ローラをの中心間の距離300mmで用いた。
ローラ状ブラシは、ブラシを回転させる駆動モータの負荷がブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラスになる圧力で押し付け、粗面化面における回転方向がアルミニウムウェブWの搬送方向と同方向になるように回転させた。
研磨材スラリーの温度と比重とから研磨材の濃度を連続的に求め、濃度が一定になるように、水およびパミストンをスラリー回収槽に補充しつつ、機械的粗面化を行った。また、機械的粗面化において粉砕され、細粒化したパミストンは、粒子径調整部における分級器で除去し、前記研磨材スラリー中のパミストンの粒度分布がほぼ一定になるようにした。なお、分級器としては、サイクロンを用いた。
(b)アルカリ水溶液中でのエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/mであった。その後、ニップローラで液切りし、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、扇状に噴射水が広がるスプレーチップを80mm間隔で有する構造を有するスプレー管を用いて5秒間水洗処理した後、ニップローラで液切りした。
(c)電気化学的粗面化処理
特開2005−35034号公報の35ページ(b)から36ページ(h)に記載の方法により、電気化学的粗面化処理を実施した。本発明のUBCアルミニウム材に対して電気化学的粗面化処理を行った支持体P−1では、部分的な未エッチング部が発生して、均一な表面構造が得られなかった。
(d)陽極酸化処理
特開2005−35034号公報の図4に示される陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度33℃)を用いた。陽極酸化処理は、アルミニウム板がアノード反応する間(約16秒)の平均電流密度が15A/dmとなるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.4g/mであった。なお、アルミニウム板がアノード反応にあずかる時間は16秒であった。
その後、ニップローラで液切りし、水洗し、更にニップローラで液切りした。
(e)シリケート処理
アルミニウム板をケイ酸ソーダ2.5質量%水溶液(液温20℃)に10秒間浸せきさせた。蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量は、3.5mg/mであった。その後、ニップローラで液切りし、水洗し、更にニップローラで液切りした。更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させた。
<特定中間層の形成>
1.特定ポリマーの合成
500ml三口フラスコにアクリルアミド50g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.4g、及びジメチルアセトアミド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。酢酸エチル2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、水洗して親水性ポリマーを得た。乾燥後の質量は52.4gであった。GPC(ポリエチレンオキシド標準)により重量平均分子量8000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物(1−1)の構造を有する親水性ポリマーであることが確認された。
他の特定親水性ポリマーについても、同様にして合成した。
2.ゾルゲル液組成物による修飾
2−1.塗布液組成物の調製
以下の組成によりポリマー溶液1、触媒液1をそれぞれ調整し、テトラメトキシシランと混合してゾルゲル液組成物1を作成した。ゾルゲル液組成物1は、20℃にて2時間撹拌した。なお、ポリマー溶液1の溶媒は、ポリマーの水への溶解性が低い場合には、メタノールを添加して調整した。
<ポリマー溶液1>
特定ポリマー(1)[例示化合物(1−1)] 0.5g
水 12.6g
<触媒液1>
エタノール 54.9g
アセチルアセトン 2.46g
テトラエトキシチタン 2.81g
水 0.44g
<ゾルゲル液組成物1>
ポリマー溶液1 13.1g
触媒液1 2.9g
テトラメトキシシラン 1.49g
上記ゾルゲル液組成物1ならびに、下記により調整した希釈液1を用いて、塗布液組成物1を作成した。
<希釈液1>
水 74.1g
日産化学工業(株)製 スノーテックスC(20%水分散物) 26g
スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(5%水溶液) 5.5g
<中間層形成用塗布液組成物1>
ゾルゲル液組成物1 17.54g
希釈液1 10.1g
その後アルミニウム基材[表2に記載の種類]上に、上記塗布液組成物を乾燥後の塗布量が0.2g/mとなるように塗布し、120℃で10分間加熱乾燥させて特定中間層を形成し、平版印刷版用支持体とした。本発明の他のポリマーについても、同様にして塗布液組成物を作成した[表4に記載の種類]。
3.特定中間層表面の接触角評価
得られた支持体上の表面接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定し、上記塗布液組成物を塗布しないアルミニウム基板と比較した。結果を表3に示す(単位:度)。表3から、以下のことがわかる。
基板表面の表面物性は、本発明の特定中間層の形成により、好ましい親水化がなされ、低い接触角を示すことが確認できた。また、P−1とP−2とを比較すると、電解疎面化処理を行わない基板で本発明の効果が高いこと、さらに、P−2とP−3とを比較すると、シリケート処理を施した基板で本発明の効果が特に高いことがわかる。
Figure 2008216366
<ポジ型画像形成層>
前記で得られた平版印刷版用支持体に下記の方法で画像形成層を形成し、本発明ならびに比較例のポジ型平版印刷版原版を得た。すなわち、以下の画像形成層用塗布液1を、特定中間層を有するアルミニウム基板〔(P−1)〜(P−4)〕表面にバーコーターで塗布し、TABAI社製PERFECT OVEN PH200にて130℃50秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.3g/mの画像形成層(下層)を設けた。その後、以下の画像形成層用塗布液2をバーコーターで塗布し、TABAI社製PERFECT OVEN PH200にて130℃60秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が0.26/mの画像形成層(上層)を設け、2層構造の画像形成層を有する赤外線感光性ポジ型平版印刷版原版を得た。
なお、下記表4において、「中間層」の欄に「なし」の記載がある試料は、本発明に係る特定中間層を形成することなく、表面処理したアルミニウム基板上に直接ポジ型画像形成層を塗布してなることを示している。
(画像形成層用塗布液1)
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体 1.9g
(36/34/30質量%:重量平均分子量50000、酸価2.65)
・m/pクレゾールノボラック 0.3g
(m/p=6/4、重量平均分子量4500、未反応クレソ゛ール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−
ナフタレンスルホン酸イオンに変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製
メチルエチルケトン30%溶液) 0.2g
・メチルエチルケトン 16.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
・γ−ブチロラクトン 8.0g
Figure 2008216366
(画像形成層用塗布液2)
・フェノール/m/p クレゾールノボラック 0.27g
(フェノール/m/p=5/3/2 質量平均分子量5000、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・アクリル系樹脂B(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・長鎖アルキル基含有ポリマーA 0.042g
・スルホニウム塩化合物C(下記構造) 0.065g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・フッ素系界面活性剤 0.02g
(メガファックF780、大日本インキ化学工業(株)製メチルエチルケトン30%)
・フッ素系界面界面活性剤E(下記構造)(メチルエチルケトン60%) 0.032g
・メチルエチルケトン 13.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.0g
Figure 2008216366
Figure 2008216366
[合成例1:(a)長鎖アルキル基含有ポリマーAの合成]
コンデンサー、攪拌機を取り付けた1000ml三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール59gを入れ、80℃に加熱した。窒素気流下、n−メタクリル酸ステアリル42.0g、メタクリル酸16.0g、重合開始剤V−601(和光純薬製)0.714g、及び1−メトキシ−2−プロパノール59gからなる溶液を2時間半かけて滴下した。更に、80℃で2時間反応させた。反応混液を室温に冷却して、1000mlの水に反応液を注ぎ込んだ。デカンテーション後、メタノールで洗浄し、得られた液状生成物を減圧乾燥することで、下記に示す(a)長鎖アルキル基含有ポリマーA73.5gを得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、66,000であった。
Figure 2008216366
〔平版印刷版原版の評価〕
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetter3244VFSにて、ドラム回転速度150rpmで露光エネルギーを変えてパワー露光した。その後、。その後、富士フイルム(株)製自動現像機LP−940Hに、富士フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込み、現像液温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。この時の現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロン226を用いて印刷した。
耐刷性、汚れ防止性、放置汚れ防止性を下記の方法で評価した。
(1)画像部の耐刷性の評価
前記印刷評価において、どれだけの枚数が十分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて評価した。この数字が大きいほど、耐刷性に優れている。
(2)汚れ防止性
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
汚れ防止性をブランケットの汚れの程度が少ない方から◎、○、△、×の4段階で評価した。
◎:全く汚れず
○:目視では汚れが確認できず(ルーペで確認できる程度)
△:部分的に汚れる
×:完全に汚れる
(3)放置汚れ防止性
上記汚れ防止性の評価において、1万枚印刷した後、版を1時間放置し、その後、再度印刷を開始して、非画像部のブランケットの汚れを目視で評価した。
なお、放置汚れ防止性の評価基準は、上記汚れ防止性の評価基準と同様のものを用いた。
Figure 2008216366
表4の結果から、以下のことがわかる。本発明に係る実施例1〜8の平版印刷版原版は、耐刷性、汚れ防止性、放置汚れ防止性がいずれも良好である。中でも、シリケート処理を行い、電気化学的疎面化処理を行っていないアルミニウム基板を用いた実施例2、及び、実施例4〜8は、特に優れた性能を示し、本発明の平版印刷版原版によれば、従来の平版印刷版支持体の製造に比べて製造工程を簡略化することが可能な予想外の効果を奏することがわかる。
これに対し、本発明に係る特定中間層を設けなかった比較例1の平版印刷版原版は、本発明に比べて性能が劣っている。
〔実施例9〕
実施例1で用いた中間層を有するアルミニウム基板(P−1)表面に、前記画像形成層用塗布液2を、バーコーターで塗布し、TABAI社製PERFECT OVEN PH200にて130℃60秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が1.56/mの単層の画像形成層を有する赤外線感光性ポジ型平版印刷版原版を得た。
〔実施例10〕
前記画像形成層用塗布液1において、m/pクレゾールノボラックの含有量0.3gを0.1gに、N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル共重合体の含有量1.9gを2.0gとし、画像形成層用塗布液2において、フェノール/m/p クレゾールノボラックの含有量0.27gを0.1gに、アクリル系樹脂Bの含有量0.042gを0.2gにそれぞれ変えた他は実施例9と全く同様にして、アルカリ可溶性樹脂中のノボラック樹脂の含有量が50質量%以下である単層の画像形成層を有する赤外線感光性ポジ型平版印刷版原版を得た。
実施例9及び実施例10についても、実施例1と同様にして性能評価を行った。結果を前記表4に併記した。
表4の結果より、本発明の平版印刷版原版は、単層の画像形成層を有する場合も、重層の画像形成層を有する場合と同様に、耐刷性、汚れ防止性、放置汚れ防止性がいずれも良好であることがわかる。また、実施例9と実施例10との対比において、画像形成層に含まれるアルカリ可溶性樹脂がノボラック樹脂を50質量%以上含む場合に、本発明の効果が著しいといえる。
以上のように本発明の平版印刷版原版は、アルミニウム純度が99.4〜95質量%の再生品などの安価なアルミニウム材からなるアルミニウム基板を用いて製造したものであっても、汚れ防止性、放置汚れ防止性、耐刷性に優れる。さらに、本発明の平版印刷版原版は、アルミニウム純度が99.4〜95質量%の安価アルミニウム材から電解粗面化処理を行わなくても良好な性能を発現することから、平版印刷版原版の従来の製造工程を簡略化することが可能な、生産性に優れたものである。

Claims (13)

  1. アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが化学結合してなる層と、ポジ型画像形成層と、をこの順に有するポジ型平版印刷版原版。
  2. 前記ポジ型画像形成層が、全アルカリ可溶性樹脂に対してノボラック樹脂を50質量%以上含むアルカリ可溶性樹脂と、スルホニウム化合物またはアンモニウム化合物と、を含有することを特徴とする、請求項1記載のポジ平版印刷版原版。
  3. 前記アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分が、Si、Ti、Zr、Alから選択される元素を含むアルコキシド化合物の加水分解、縮重合により形成された架橋構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポジ型平版印刷版原版。
  4. 前記アルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが、下記一般式(1)中の構造単位(i)および構造単位(ii)を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
    Figure 2008216366
    前記一般式(1)中、R、R、R、及び、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、mは0、1または2を表し、L、Lは単結合又は有機連結基を表し、Yは炭素数1ないし30の置換基を表す。ここで、一般式(1)中の構造単位を含むポリマーとは、構造単位(ii)で表される繰返し単位が複数連結してなる構造の末端に、構造単位(i)で表されるシランカップリング基を有する高分子化合物を意味する。
  5. 前記一般式(1)において、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHであることを特徴とする請求項4に記載のポジ型平版印刷版原版。
  6. 前記アルミニウム基板上に、アルミニウム基材表面と直接化学結合し得る反応性基、及び、アルミニウム基材表面と架橋構造を有する構成成分を介して化学結合しうる反応性基、のうちの少なくとも1種の反応性基を有する親水性ポリマーが、下記一般式(2)中の構造単位(iii)、および構造単位(iv)を含むことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
    Figure 2008216366
    一般式(2)において、R、R、R、R、R、およびR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜30の置換基を表し、nは0、1または2を表し、LおよびLは単結合又は有機連結基を表し、Yは炭素数1ないし30の置換基を表す。
  7. 前記一般式(2)において、Lが単結合であり、且つ、Yが−CONHであることを特徴とする請求項6に記載のポジ型平版印刷版原版。
  8. 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板が、Fe:0.3〜1質量%、Si:0.15〜1質量%、Cu:0.1〜1質量%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:0.1〜1.5質量%、Cr:0.01〜0.1質量%、及び、Ti:0.01〜0.5質量%を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
  9. 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板表面が、シリケート処理されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
  10. 前記アルミニウム含有量が99.4〜95質量%であるアルミニウム基板が、電気化学的粗面化を施されることなく作製されたものであることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
  11. 前記ポジ型画像形成層が、赤外線レーザで記録可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
  12. 前記ポジ型画像形成層が、赤外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項11に記載のポジ型平版印刷版原版。
  13. 前記ポジ型画像形成層が、2層以上の積層構造を有することを特徴とする請求項1至請求項12のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104703809A (zh) * 2012-09-26 2015-06-10 富士胶片株式会社 平版印刷版原版及制版方法

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