JP4404788B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平板印刷版材料としては、アルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物質と、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物とを添加した画像記録材料が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、画像部ではポジ型感光性化合物がアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって画像を形成する。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するポリマー(以下、適宜、「特定ポリマー」と称する。)を含有する中間層と、赤外線レーザー感光性ポジ型記録層と、を順次設けたことを特徴とする。
即ち、本発明における中間層に含有される特定ポリマーは、側鎖に硫黄原子とカルボン酸基とを含むことから、この構造に起因して、支持体表面と強固に相互作用できるため、支持体と記録層との密着性が向上し、延いては耐刷性を向上できるものと考えられる。
また、一般的に、赤外線レーザー感光性ポジ型記録層は、露光時における支持体への熱拡散に起因して支持体表面近傍まで反応が進行せず、非画像部における記録層除去性が懸念される場合があるが、本発明における特定ポリマーは、側鎖にカルボン酸基を有することから、現像液に対する溶解性が良好であり、その結果、非画像部の記録層が容易に除去されるものと考えられる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するポリマーを含有する中間層と、赤外線レーザー感光性ポジ型記録層と、を順次設けたことを特徴とする。
本発明の特徴である、下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するポリマー(特定ポリマー)を含有する中間層について説明する。
本発明における特定ポリマーは、下記一般式(I)で表される側鎖構造を有するポリマーである。
ここで、ヘテロ原子を1個以上含む部分構造としては、−C(=O)−、−O−、−NH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、−SO−、及びこれらを組み合せて構成されるものが挙げられる。
前記二価の炭化水素基として、より好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、及びイソブチレン基、等の直鎖状又は分枝状のアルキレン基が挙げられる。また、より好ましい形態としては、上記アルキレン基にカルボン酸基が置換したものが挙げられる。
また、前記ヘテロ原子を1個以上含む部分構造としては、−C(=O)−、−O−、−NH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO2−、−SO−、及びこれらを組み合せて構成されるものが挙げられる。
この二価の有機基は更に置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、前記二価の連結基に導入可能な置換基として示したものと同様の置換基が挙げられる。
本発明における特定ポリマーは、上記特定モノマー及び所望により用いられる他のモノマーを原料とし、ラジカル重合させて合成されることが好ましい。また、このラジカル重合の際には、重合開始剤及び連鎖移動剤を用いることができる。
なお、特定ポリマーが共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又は、グラフト共重合体の何れであってもよい。
以下、本発明の特定ポリマーの合成方法について詳細に説明する。
特定ポリマーの合成には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのパーオキシド類、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などの重合開始剤を用いることができる。これらの重合開始剤は、適用される重合方式によって適宜選択される。
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−シクロフェニル)−2メチル−プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]ジヒドロクロリドなどのアゾアミジン系開始剤;
2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレートなどのアゾアミド系開始剤;
その他、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレル酸)、2,2’−アゾビス〔2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル〕などが挙げられる。
中でも、好ましくは、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(市販品としては、和光純薬製:V−601)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(市販品としては、和光純薬製:V−65)が挙げられる。
また、重合開始剤の合成時の添加量としては、特定ポリマーの所望の重合度(分子量)に合わせて、適宜、調整されればよい。
合成に際して用いられる連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動反応により、反応の活性点を移動させる物質であれば特に制限なく使用することができる。連鎖移動剤の移動反応の起こり易さは、連鎖移動定数Csで表されるが、本発明で用いられる連鎖移動剤の連鎖移動定数Cs×104(60℃)は、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、1以上であることが特に好ましい。
また、連鎖移動剤の合成時の添加量としては、特定ポリマーの所望の重合度(分子量)に合わせて、適宜、調整されればよい。
合成に際して用いられる重合溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されない。
本発明における特定ポリマーは、支持体との更なる相互作用の強化、又は記録層との相互作用を強化する目的で、その他のモノマー成分を共重合したものであってもよい。上記その他のモノマー成分としては、例えば、親水化処理された支持体との密着性向上の観点からは「オニウム基を有するモノマー」や「酸基を有するモノマー」、記録層との密着性向上の観点からは「記録層と相互作用可能な官能基を有するモノマー」等が挙げられる。
オニウム基を有するモノマーとしては、下記一般式(A)〜一般式(C)で表されるモノマーを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
Jが、−COO−、又は−CONH−を表し、Kが、フェニレン基、又は置換フェニレン基を表す。Kが、置換フェニレン基である場合に導入される置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、又はアルキル基が好ましい。
Mは、アルキレン基、分子式が−CnH2nO−、−CnH2nS−、又は−CnH2n+1N−で表される2価の連結基である。但し、ここで、nは1〜12の整数を表す。
Y1は、窒素原子、又はリン原子を表し、Y2は、イオウ原子を表す。
Z-は、ハロゲンイオン、PF6 -、BF4 -、又はR8SO3 -を表す。ここで、R8は、置換基が結合してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
R2は、水素原子又はアルキル基を表す。
R3、R4、R5、及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、或いは、置換基が結合してもよい、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、又は炭素数7〜10アラルキル基を表す。
R6は、炭素数1〜10のアルキリジン基、又は置換アルキリジンであることが好ましい。R3とR4、R6とR7は、それぞれ結合して環を形成してもよい。
j、k、及びmは、それぞれ独立して、0又は1を表すが、jとkは同時に0ではないことが好ましい。
Kは、フェニレン基、又は置換フェニレン基を表し、置換フェニレン基である場合、その置換基は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
Mは、炭素数1〜2のアルキレン基、又は酸素原子で連結した炭素数1〜2のアルキレン基を表す。
Z-は、塩素イオン又はR8SO3 -を表す。ここで、R8は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
R2は、水素原子又はメチル基を表す。jは0であり、kは1である。
特定ポリマーに好適に用いられる酸基を有するモノマーについて説明する。
酸基を有するモノマーに含まれる酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、又はホスホン酸基が特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、カルボン酸基及び重合性二重結合をその構造中に有する重合性化合物であれば特に限定されるものではない。
上記カルボン酸基を有するモノマーの好ましい例としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
ここで、特定ポリマーを製造する際の共重合性や原料入手性の観点からは、R1〜R4中に、下記一般式(2)で表される有機基を1〜2個有することが好ましく、1個有することが特に好ましい。重合の結果として得られる特定ポリマーの柔軟性の観点からは、R1〜R4のうち、下記一般式(2)で表される有機基の他は、アルキル基又は水素原子であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、同様の理由から、R1〜R4がアルキル基である場合は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
このような2価の連結基のうち、特に好ましい具体例を以下に挙げる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、スルホン酸基及び重合性二重結合をその構造中に有する重合性化合物であれば特に限定されるものではない。
上記スルホン酸基を有するモノマーの好ましい具体例としては、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、及び4−スチレンスルホン酸、等が挙げられる。
ホスホン酸基を有するモノマーとしては、ホスホン酸基及び重合性二重結合をその構造中に有する重合性化合物であれば特に限定されるものではない。
ホスホン酸基を有するモノマーの好ましい具体例としては、アシッドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、等が挙げられる。
以下に、記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(4)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
(10)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類;
(11)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類;
(12)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;
(14)パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトンなどのラクトン基含有モノマー;
(15)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレンオキシド基含有モノマーなど。
なお、例示化合物の各構造単位に記載された数値は、共重合体の重合モル比を表す。
本発明の特定ポリマーは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。ここで、特定ポリマーを2種以上混合して用いるとは、特定ポリマーの構造が異なるものを2種以上混合して用いてもよいし、また、構造が同じであっても分子量の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明における中間層は、上述した中間層の各成分を溶解した塗布液(中間層形成用塗布液)を、後述する支持体上に種々の方法により塗布することにより設けることができる。中間層を塗布する方法には、特に制限はないが、代表的なものとしては次の方法が挙げられる。
即ち、(1)メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはこれらの混合溶剤、又は、これらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定ポリマーを溶解させた溶液を、支持体上に塗布、乾燥して設ける塗布方法。或いは、(2)メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤、又はこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定ポリマーを溶解させた溶液に、支持体を浸漬し、しかる後、水洗又は空気などによって洗浄、乾燥して中間層を設ける塗布方法を挙げることができる。
また、中間層形成用塗布液には、平版印刷版の調子再現性改良のために、紫外光や可視光、赤外光などを吸収する物質を添加することもできる。
本発明における赤外線レーザー感光性ポジ型記録層(以下、適宜、単に「記録層」と称する。)について説明する。本発明における記録層は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)赤外線吸収剤、及び、必要に応じて、(C)その他の成分を含有して構成されることが好ましい。以下、記録層に含有される各成分について、順次説明する。
本発明における記録層は、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。該アルカリ可溶性樹脂は、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、及びピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
組み合わせる場合には、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有するアルカリ可溶性樹脂などを併用してもよい。
本発明における記録層は、(B)赤外線吸収剤を含有することが好ましい。該赤外線吸収剤としては、光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点からは、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。
また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、カルボン酸イオン、及びスルホン酸イオンであり、アルカリ可溶性樹脂との相溶性や塗布液への溶解性の観点からは、ハロゲンイオン、及び、カルボン酸イオンやスルホン酸イオンの有機酸イオンが好ましく、より好ましくはスルホン酸イオンであり、中でもアリールスルホン酸イオンが特に好ましい。
本発明における記録層には、更に必要に応じて、(C)その他の成分として種々の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、下記に示すような溶解抑制剤が挙げられる。なお、特に、上記(B)赤外線吸収剤として溶解抑制能を有しないものを使用する場合には、この溶解抑制剤は画像部の耐アルカリ性を維持するための重要成分となりうる。
溶解抑制剤としては、特に、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(分解性溶解抑止剤)を併用することが好ましい。
分解性溶解抑止剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩及び、o−キノンジアジド化合物が好ましく、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩のオニウム塩がより好ましく、ジアゾニウム塩を熱分解性の溶解抑止剤として添加することが特に好ましい。
米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩;
D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号明細書、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩;
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号明細書、米国特許第5,041,358号明細書、同第4,491,628号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−296514号公報に記載のヨードニウム塩;
J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩;
C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩;
等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の記録層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
本発明における記録層は、上記した記録層を構成する各成分を溶媒に溶かして、上述の中間層上に、塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独或いは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明における記録層は重層構造をとってもよく、例えば、下層(支持体側)として、アルカリ可溶性高分子からなる樹脂層を、上層として、先に述べた記録層を、設け2層構造とすることができる。
これにより、露光によりアルカリ現像液への溶解性が低下する記録層(上層)が、露光面又はその近傍に設けられることで赤外線レーザーに対する感度が良好となると共に、支持体と該記録層との間にこの樹脂層(下層)が存在し、断熱層として機能することで、赤外線レーザーの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることからの高感度化が図れる。
また、露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性となった記録層(上層)がこの樹脂層(下層)の保護層として機能するために、現像安定性が良好になると共にディスクリミネーションに優れた画像が形成され、かつ、経時的な安定性も確保されるものと考えられる。更に、未露光部においては、未硬化のバインダー成分が速やかに現像液に溶解、分散し、更には、支持体に隣接して存在するこの樹脂層(下層)がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解するため、現像性に優れるものと考えられる。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
特に好ましい支持体処理としては、アルミニウム板に、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理、硝酸を含有する電解液を用いた電気化学的粗面化処理及び塩酸を含有する水溶液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施すことが好ましい。このような処理を行った支持体は非常に高い表面積を有している。
上記のようにして作製されたポジ型平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。
像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、或いは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
300ml三口フラスコに、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸メチル:15.72g(0.1mol)、DMAc:100mlを氷冷下攪拌しながら、トリエチルアミン:10.12g(0.1mol)を滴下した。その後、メタクリル酸無水物:23.13g(0.15mol)を滴下し、室温で更に1時間反応させた。反応溶液を水へあけ、析出した結晶を1N(mol/l)の水酸化ナトリウム溶液に加え、30分攪拌し、ジイソプロピルエーテルで抽出した。溶液を除媒、乾燥して、特定モノマー(M−1)を11.22g(収率53.1%)で得た。特定モノマー(M−1)の構造を以下に示す。
厚さ0.3mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、下記に示す処理することで支持体1及び支持体2を作製した。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.5mg/dm2であった。
上記(a)〜(k)の各工程を順に行い、(e)工程におけるエッチング量は3.5g/m2となるようにして支持体1を作製した。
上記工程のうち(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体2を作製した。
上述のように作製された支持体(いずれの支持体を用いたかは表1に記載)上に、下記の中間層形成用塗布液を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、中間層を設けた。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
・表1に記載の特定ポリマー(例示化合物)又は比較ポリマー 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
〔記録層の形成〕
−共重合体1の合成−
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコに、メタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
・前記共重合体1 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸のアニオンに変えたもの
0.100g
・メガファックF780、大日本インキ工業(株)社製
(塗布面状改良フッ素系界面活性剤) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
・m,p−クレゾールノボラック 0.3478g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有)
・シアニン染料A(上記構造) 0.0192g
・オニウム塩B(下記構造) 0.0115g
・メガファックF780(20%)、大日本インキ化学工業(株)製
(面状改良界面活性剤) 0.022g
・メチルエチルケトン 13.07g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
上記により形成された中間層上に、以下の記録層形成用塗布液3を乾燥後の塗布量が1.2g/m2となるように塗布し、実施例2、5、及び6の平版印刷版原版を得た。
・m,p−クレゾールノボラック 0.93g
(m/p比=6/4、重量平均分子量7,300、
未反応クレゾール0.4質量%含有)
・下記構造のビニルポリマー(1) 0.07g
・シアニン染料A(前記構造) 0.017g
・シアニン染料B(下記構造) 0.023g
・2,4,6−トリス(ヘキシルオキシ)ベンゼンジアゾニウム−2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート 0.01g
・p−トルエンスルホン酸 0.003g
・シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物 0.06g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.015g
・フッ素系界面活性剤 0.02g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 15g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7g
実施例1において、中間層を設けなかった他は、実施例1と同様にして、比較例1の平版印刷版原版を得た。
実施例1の中間層形成用塗布液における特定ポリマー(P−1)に代えて、下記構造の比較用ポリマー(PA−0)を用いた他は、実施例1と同様にして、比較例2の平版印刷版原版を得た。
実施例5の中間層形成用塗布液における特定ポリマー(P−1)に代えて、上記構造の比較用ポリマー(PA−0)を用いた他は、実施例5と同様にして、比較例3の平版印刷版原版を得た。
得られた実施例1〜7、比較例1〜3の各平版印刷版原版に対し、耐刷性、及び、非画像部の耐汚れ性について、以下の如き評価を行った。
得られた実施例1〜7、及び比較例1〜3の各平版印刷版原版を、CREO社製TrenndSetter3244を用いて版面エネルギー量140mJ/cm2で像様露光した。
次いで、実施例1〜4、及び7、並びに比較例1〜3の平版印刷版原版は、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液である富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液「DT−2」又は「DT−1」を標準使用条件で用いて、自動現像機900NPにより現像して、平版印刷版を得た。得られた各平版印刷版を、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
実施例5、及び6の平版印刷版原版については、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液(富士写真フイルム製PS版用現像液「DP−4」)を用いて、上記同様に現像し、評価した。
得られた実施例1〜7、比較例1〜3の各平版印刷版原版を、CREO社製TrenndSetter3244Fを用い、セッター露光量、8.0W、150rpmで像様露光した。
次に、実施例1〜4、及び7、並びに比較例1〜3の各平版印刷版原版は、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液である富士写真フイルム(株)製のPS版用現像液DT−2又はDT−1を標準使用条件で用いて、また、実施例5、6の各平版印刷版原版は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液(富士写真フイルム製PS版用現像液DP−4)を標準使用条件で用いて、それぞれ自動現像機900NPにより現像した。
これにより、実施例1〜7、及び比較例1〜3の各平版印刷版を得た。
評価基準は、全く汚れていなかったもの、又は、殆ど汚れていないものを○、顕著に汚れていたものを×とした。結果を第1表に示す。
一方、中間層を設けなかった比較例1は、非画像部の耐汚れ性に問題があり、また、耐刷性も実施例に比べて著しく低いことが分かる。また、本発明の範囲外のポリマーを中間層に用いた比較例2及び比較例3では、非画像部の耐汚れ性には問題がないものの、実施例に比べ耐刷性が劣っていることが分かる。
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