JP4307928B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
このような近赤外から赤外領域のレーザを光源とする直接製版用版材として、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤とを必須成分とする記録層を有する赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版が知られている。
このため、表面親水性に優れ、且つ、画像部における記録層との密着性と、非画像部における記録層除去性とを共に満たすような支持体が望まれていた。
また、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)のような第4級アンモニウム化合物の中間層を設けることが提案されているが(特許文献4参照。)、非画像部に汚れが発生することがあり、不十分であった。
また、中間層に含有される上記重合体が、ラクトン基を有するとともに、酸基を有するものであることがさらに好ましい態様として挙げられる。
まず、本発明の平版印刷版原版の特徴である、ラクトン基を有する重合体(以下、適宜、「特定重合体」と称する)を含有する中間層について説明する。
本発明に係るラクトン基とは、ラクトン環構造を有するものであれば特に制限はないが、中でも、5員環ラクトン構造を有するものが特に好ましい。また、このようなラクトン基を重合体中に導入する方法としては、例えば、ラクトン基を有するモノマーを、公知の重合方法により、重合または共重合する方法が挙げられる。
また、ラクトン基と、エチレン性不飽和基とは、単結合または連結基を介して結合されており、そのような連結基の分子量としては1000以下のものが好ましい。
また、特定重合体の重量平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。
本発明に係る特定重合体においては、親水化処理した支持体との相互作用力強化と、現像性向上の目的から、上記ラクトン基以外に、酸基を有することが、さらに好ましい態様として挙げられる。
本発明に好適に用いられる酸基としては、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、等が挙げられ、−COOHが特に好ましい。
(その他のモノマー成分)
本発明に係る特定重合体は、上述のラクトン基を有するモノマーと、必要に応じて共重合される酸基を有するモノマーの他に、支持体や記録層との相互作用性を強化する等の目的で、その他のモノマー成分を共重合してもよい。
<オニウム基を有するモノマー>
以下に、上記オニウム基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、上記記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びそのハーフエステル、イタコン駿、無水イタコン酸及びそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸;
(3)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタタリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド;
(5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル;(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル;
(9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;
(12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類;
(13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;
(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(15)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレンオキシド基含有モノマーなど。
下記に、好適に用いられる特定重合体の具体例を挙げる。しかし、これらに限定されるものではない。
以上、本発明における中間層の各成分は、後述する支持体上に、種々の方法により塗布して設けることができる。中間層を塗布する方法には、特に制限はないが、代表的なものとして、次の方法が挙げられる。
本発明における中間層の乾燥後の被覆量は、合計で1〜100mg/m2が適当であり、好ましくは2〜70mg/m2である。
本発明の記録層は、アルカリ水可溶性樹脂(以下では、アルカリ可溶性樹脂とも称する。)と光熱変換物質を含有し、該アルカリ水可溶性樹脂がノボラック樹脂であることを特徴とする。
(ノボラック樹脂)
本発明のノボラック樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドを酸性触媒で付加縮合させた重合体である。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、2,3−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、2,5−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/キシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂、キシレノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、或いは、フェノール/クレゾール/キシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
本発明の記録層には、上記ノボラック樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を、必要に応じて含有させることができる。係るアルカリ可溶性樹脂としては、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの付加縮合体やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
上記の酸性基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量は2,000以上が好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000である。
本発明に用いられる光熱変換物質としては、赤外線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザへの適合性の観点から、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収剤である染料または顔料が好ましく挙げられる。
(その他の添加物)
上述された本発明の記録層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の記録層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
(記録層の形成)
本発明の赤外線感光性平版印刷版における記録層は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には必要に応じてバックコートを設けることができる。かかるバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物、および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物などの被覆層が挙げられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手しやすく、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており、特に好ましい。
本発明の感熱性平版印刷版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
露光された本発明の感熱性平版印刷版は、現像処理及びフィニッシャーや保護ガムなどによる後処理を施されて印刷版となる。これらの処理には、公知の自動現像機などの処理機器を用いることができる。
好適な現像液としては、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液には、従来から知られているアルカリ水溶液が使用できる。上記のアルカリ水溶液のうち、特に好適な現像液として、塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、従来良く知られている所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液、及び、特開平8−305039号、特開平11−109637号公報等に記載の、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」が挙げられる。
本発明の平版印刷版をバーニング処理する場合は、バーニング整面液を用い、バーニングプロセサなどを用いて行う従来から知られている方法で行うことが好ましい。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
〔支持体の作製〕
(支持体1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して、支持体1を作製した。
支持体1の作製で用いたものと同じアルミニウム板に以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして電気化学粗面化処理されたアルミニウム板に、支持体1の作製の場合と同様にして、陽極酸化処理、シリケート処理を行って支持体2を作製した。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体3を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
下記(a)〜(k)の処理をこの順に行って支持体4を作製した。
(a)機械的粗面化処理
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。上記処理の電解槽にはラジアルセルタイプのものを用いた。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/l(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)シリケート処理
支持体1の作製の場合と同様にシリケート処理を行った。シリケート付着量は3.5mg/m2であった。
(1)中間層の形成
上記のように得られたシリケート処理済みの支持体上に、下記組成の中間層塗布液を塗布し、80℃で15秒間乾燥して、中間層塗膜を形成させた。中間層の乾燥被覆量は、支持体1、2及び4に対しては15mg/m2、支持体3に対しては17mg/m2のであった。
<中間層塗布液組成>
・表1に記載の化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
上記のように得られた中間層上に、下記の記録層塗布液1を乾燥塗布量が1.4g/m2となるように塗布して平版印刷版原版を作製した。乾燥はTABAI社製PERFECT OVEN PH200にてWIND Controlを7に設定して140℃で100秒間行った。
<記録層塗布液1>
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量7500、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.9g
・メタクリル酸/メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル共重合体
(36/32/32、重量平均分子量28000) 0.1g
・シアニン染料A(下記構造) 0.04g
・2,4,6−トリス(ヘキシルオキシ)ベンゼンジアゾニウム
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート
0.01g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.002g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・エチルバイオレット 0.015g
・メガファックF780−F(20質量%溶液)
(大日本インキ化学工業(株)製、面状改良フッ素系界面活性剤)
0.02g
・メチルエチルケトン 15g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7g
このようにして得られた平版印刷版原版の感度と耐刷性について、下記のように評価した。
(感度の評価)
得られた平版印刷版用原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度2〜10Wの範囲、ドラム回転速度150rpmでベタ画像を描き込んだ後、下記組成の現像液1又は現像液2を表1に記載した組み合わせで仕込んだG&J社製自現機FLH−85Nを用い、液温を28℃に保ち、現像時間26秒で現像した。フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FP−2W(1:1で希釈したもの)を用いた。
<現像液1の組成>
ケイ酸カリウム(SiO2/K2O=1.1) 40g
ポリエチレングリコール400(重量平均分子量400) 0.8g
下記化合物1 0.15g
下記化合物2 0.3g
イオン交換水 1000g
<現像液2の組成>
D−ソルビトール 54.8g
KOH(48%水溶液) 60g
下記化合物3 1.0g
下記化合物1 0.45g
下記化合物2 0.36g
イオン交換水 910g
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、上記の感度評価と同じ条件で現像した。
Claims (2)
- 支持体上に、分子内にラクトン基とメタクリル基とを有するモノマーを重合することにより得られた重合体を含有する中間層と、アルカリ水可溶性樹脂としてノボラック樹脂と光熱変換物質とを含有する記録層と、を順次設けてなり、前記重合体の重量平均分子量が、500〜1,000,000である平版印刷版原版。
- 前記重合体が、前記分子内にラクトン基とメタクリル基とを有するモノマーと、酸基を有するモノマーとを共重合することにより得られたものである請求項1に記載の平版印刷版原版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003272809A JP4307928B2 (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | 平版印刷版原版 |
Applications Claiming Priority (1)
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