JP4307928B2 - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Description

本発明は、平版印刷版原版に関し、より詳細には、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による直接製版が可能であり、良好な感度を有し、耐刷性及び耐薬品性に優れたポジ型の平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目覚ましく、特に近赤外から赤外に発光領域をもつ固体レーザ・半導体レーザは、高出力かつ小型の装置が容易に入手できるようになっている。これらのレーザは、平版印刷の分野においては、コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の露光光源として非常に有用である。
このような近赤外から赤外領域のレーザを光源とする直接製版用版材として、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤とを必須成分とする記録層を有する赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版が知られている。
例えば、ノボラック樹脂などのアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物質と、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物とを添加したものが開示されている(特許文献1参照。)。このようなポジ型平版印刷版原版の未露光部では、ポジ型感光性化合物が、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、露光部では、熱により分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像を形成する。
また、オニウム塩やアルカリ溶解性の低い水素結合網を形成可能な化合物は、ノボラック樹脂等のアルカリ可溶性高分子のアルカリ溶解抑制作用を有することが知られている。赤外線レーザ対応の平版印刷版材用組成物としては、カチオン性赤外線吸収色素をアルカリ水可溶高分子の溶解抑制剤として用いた組成物がポジ作用を示すことが知られている(特許文献2参照。)。このポジ作用は赤外線吸収色素がレーザ光を吸収し、発生する熱で照射部分の高分子膜の溶解抑制効果を消失させて画像形成を行う作用である。
一方、このような平版印刷版原版に用いる支持体については、従来、非画像部の汚れ防止のため、支持体表面を親水化する研究が盛んに行われている。例えば、アルミ板のような金属支持体を基材として用いる場合、陽極酸化されたアルミニウム板、若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化されたアルミニウム板をシリケート処理する等の、種々の技術が提案されている。しかしながら、親水性を向上させるための種々の処理は、必ずしも記録層との親和性に優れているとはいえず、場合によっては支持体とその上に形成される記録層との密着性が低下し、厳しい印刷条件においては記録層が剥離してしまい、十分な耐刷性が得られないという問題もあった。
そこで、親水化された支持体表面と記録層との密着性を高めるために、基材と記録層との間に種々の中間層を設ける方法が提案されている。しかし、記録層を構成する樹脂材料や支持体表面との親和性に優れた官能基を有する材料を中間層として用いる方法では、画像部においては密着性が向上し、十分な耐刷性が得られるが、非画像部においては、現像時に記録層が速やかに除去されず、支持体表面に残膜となってのこり、そこにインクが付着することで非画像部の汚れの原因となるなどの問題があった。
このため、表面親水性に優れ、且つ、画像部における記録層との密着性と、非画像部における記録層除去性とを共に満たすような支持体が望まれていた。
上記問題を解決するため、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルヒドロキシエチルセルロースのような水溶性ポリマーの中間層を設けることが提案されているが(特許文献3参照。)、耐刷性の点において満足のゆくものではなかった。
また、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)のような第4級アンモニウム化合物の中間層を設けることが提案されているが(特許文献4参照。)、非画像部に汚れが発生することがあり、不十分であった。
さらに、本発明者らは、p−ビニル安息香酸などの特定の構造単位を含有する高分子化合物を含む中間層を設けた平版印刷版を提案している(特許文献5参照。)。また、酸基を有するモノマーとオニウム基を有するモノマーとを有する重合体(ランダムポリマー)含有する中間層を設けた平版印刷版原版を提案している(特許文献6参照。)。これらは一定の改良効果を奏するものではあるが、なお、耐刷性及び耐薬品性の一層向上および高感度化に対する改良が望まれた。
特開平7−285275号公報 国際公開第97/39894号パンフレット 米国特許第3,136,636号明細書 米国特許第4,483,913号明細書 特開平10−69092号公報 特開2000−108538号公報
本発明は、上記従来の技術の不十分な点の改良要望に鑑みてなされたものであって、良好な感度を有し、耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版原版を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、支持体上に、中間層と、アルカリ水可溶性樹脂と光熱変換物質を含有する記録層と、を順次設けてなる平版印刷版原版であって、該中間層がラクトン基を有する重合体を含有し、該アルカリ水可溶性樹脂がノボラック樹脂であることによって前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層と、アルカリ水可溶性樹脂としてノボラック樹脂と光熱変換物質とを含有する記録層と、を順次設けてなることを特徴とする。
また、中間層に含有される上記重合体が、ラクトン基を有するとともに、酸基を有するものであることがさらに好ましい態様として挙げられる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体と、記録層との間に、ラクトン基を有する重合体を含有する中間層を設けることを特徴とする。ラクトン基は、通常疎水性を示すが、現像液などのアルカリ水溶液と接触することにより、環構造が開環してカルボン酸と水酸基とを生成し、親水性(アルカリ可溶性)となる。即ち、ラクトン基を有する重合体を平版印刷版原版の中間層の成分として用いることで、画像部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性(疎水性)である記録層自体が中間層の保護膜として機能するため、中間層が現像液に曝されず、中間層の疎水性が保たれる。したがって、該中間層は疎水性である記録層との密着性に優れる他、印刷時の湿し水などの浸透も抑制するため、高い耐刷性及び耐薬品性を維持することができるものと考えられる。
一方、露光部(非画像部)においては、溶解抑制作用が解除された記録層に現像液が浸透し記録層が除去されると、中間層が現像液に曝され、ラクトン基が開環し、該中間層は高いアルカリ可溶性を示すようになる。これにより、例えば、活性が低下した現像液などを用いた場合でも、記録層および中間層共に速やかに溶解し、残膜などが発生することなく現像性に優れ、良好な汚れにくさが得られ、感度の点でも有利になると考えられる。
本発明によれば、良好な感度を有し、耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版原版を提供できる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、中間層と、アルカリ水可溶性樹脂と光熱変換物質を含有する記録層と、を順次設けてなる平版印刷版原版であって、該中間層がラクトン基を有する重合体を含有し、該アルカリ水可溶性樹脂がノボラック樹脂であることを特徴とする。以下、本発明の平版印刷版原版の構成について詳細に説明する。
〔中間層〕
まず、本発明の平版印刷版原版の特徴である、ラクトン基を有する重合体(以下、適宜、「特定重合体」と称する)を含有する中間層について説明する。
本発明に係るラクトン基とは、ラクトン環構造を有するものであれば特に制限はないが、中でも、5員環ラクトン構造を有するものが特に好ましい。また、このようなラクトン基を重合体中に導入する方法としては、例えば、ラクトン基を有するモノマーを、公知の重合方法により、重合または共重合する方法が挙げられる。
ラクトン基を有するモノマーとしては、分子内にラクトン基と、ビニル基、アリル基、または(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基と、を有するモノマーが挙げられる。また、一つのモノマー内に、ラクトン基を2つ以上有するものであってもよい。
また、ラクトン基と、エチレン性不飽和基とは、単結合または連結基を介して結合されており、そのような連結基の分子量としては1000以下のものが好ましい。
本発明に係るラクトン基を有するモノマーの具体例としては、パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、または、下記化合物などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない(本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある)。
Figure 0004307928
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本発明に係る特定重合体は、上記ラクトン基を有するモノマー1種類以上を重合させて得られるか、必要に応じて、後述する酸基を有するモノマー1種類以上や、後述するその他のモノマー成分1種類以上と、を組み合わせて、共重合させて得ることができる。重合方法としては、一般的に公知の懸濁重合法、あるいは溶液重合法などを用いて容易に重合あるいは共重合することができる。また、共重合体の構成としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
特定重合体中のラクトン基を有する構造単位の含有量は、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがさらに好ましく、20モル%以上であることが最も好ましい。このような特定重合体は、ラクトン基を有する構造単位のみで構成されていてもよいが、耐刷性を維持するために、ラクトン基を有する構造単位の含有量が40〜95モル%であることが好ましい。
また、特定重合体の重量平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましい。
(酸基を有する特定重合体)
本発明に係る特定重合体においては、親水化処理した支持体との相互作用力強化と、現像性向上の目的から、上記ラクトン基以外に、酸基を有することが、さらに好ましい態様として挙げられる。
本発明に好適に用いられる酸基としては、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−、等が挙げられ、−COOHが特に好ましい。
このような酸基を特定重合体に導入する方法としては、例えば、酸基を有するモノマーと、上述のラクトン基を有するモノマーと、を共重合する方法が挙げられ、そのような酸基を有するモノマーとしては、分子内に上記した酸基と、ビニル基、アリル基、または(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基と、を有するモノマーが挙げられる。
本発明に係る酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、および下記化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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特定重合体中の酸基を有する構造単位の含有量としては、1〜95モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがさらに好ましく、30〜60モル%であることが最も好ましい。
(その他のモノマー成分)
本発明に係る特定重合体は、上述のラクトン基を有するモノマーと、必要に応じて共重合される酸基を有するモノマーの他に、支持体や記録層との相互作用性を強化する等の目的で、その他のモノマー成分を共重合してもよい。
そのようなモノマーとしては、基板密着性向上の観点から第4級アンモニウム塩基等のオニウム基を有するモノマー、または記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーなどがあげられる。
<オニウム基を有するモノマー>
以下に、上記オニウム基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004307928
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<記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマー>
以下に、上記記録層との相互作用可能な官能基を有するモノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド又はN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−又はp−ヒドロキシスチレン、o−又はm−ブロモーp−ヒドロキシステレン、o−又はm−クロル−p−ヒドロキンスチレン、o−、m−又はp−ヒドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類;
(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びそのハーフエステル、イタコン駿、無水イタコン酸及びそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸;
(3)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタタリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド;
(4)トシルアクリルアミドのように置換基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、及びトシルメタクリルアミドのような置換基があってもよいフェニルスルホニルメタクリルアミド;
(5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル;(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル;
(8)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロへキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミド若しくはメタクリルアミド;
(9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;
(11)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類;
(12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類;
(13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類;
(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(15)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アタリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレンオキシド基含有モノマーなど。
特定重合体中のその他のモノマーの含有率としては、30モル%以下であることが好ましい。
本発明に係わる特定重合体としては、上記のものが好適に用いられる。中でも、ラクトン基を有するモノマー、酸基を有するモノマー及びオニウム基を有するモノマーの3元共重合体が特に好ましい。
下記に、好適に用いられる特定重合体の具体例を挙げる。しかし、これらに限定されるものではない。
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(中間層の形成)
以上、本発明における中間層の各成分は、後述する支持体上に、種々の方法により塗布して設けることができる。中間層を塗布する方法には、特に制限はないが、代表的なものとして、次の方法が挙げられる。
メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはこれらの混合溶剤、又はこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定重合体を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける塗布方法。あるいは、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤、又はこれらの有機溶剤と水との混合溶剤に、本発明における特定重合体を溶解させた溶液に、支持体を浸漬し、しかる後、水洗あるいは空気などによって洗浄、乾燥して中間層を設ける塗布方法を挙げることができる。
前者の方法では、上記化合物合計で0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布すればよく、塗布手段としては、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの手段を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.005〜20質量%、好ましくは0.01%〜10質量%であり、浸漬温度0〜70℃、好ましくは5〜60℃であり、浸漬時間は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜120秒である。
上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、クマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質、ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライドなどの有機クロライド等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜6の範囲で使用することもできる。また、平版印刷版原版の調子再現性改良のために赤外光を吸収する物質を添加することもできる。
本発明における中間層の乾燥後の被覆量は、合計で1〜100mg/m2が適当であり、好ましくは2〜70mg/m2である。
〔記録層〕
本発明の記録層は、アルカリ水可溶性樹脂(以下では、アルカリ可溶性樹脂とも称する。)と光熱変換物質を含有し、該アルカリ水可溶性樹脂がノボラック樹脂であることを特徴とする。
(ノボラック樹脂)
本発明のノボラック樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドを酸性触媒で付加縮合させた重合体である。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、2,3−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、2,5−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−キシレノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/キシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂、キシレノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、或いは、フェノール/クレゾール/キシレノール混合ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
本発明のノボラック樹脂は、重量平均分子量500〜50,000が好ましく、700〜20,000がより好ましく、1,000〜10,000が特に好ましい。
(その他のアルカリ水可溶性樹脂)
本発明の記録層には、上記ノボラック樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を、必要に応じて含有させることができる。係るアルカリ可溶性樹脂としては、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの付加縮合体やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。
更にその他の係るアルカリ可溶性樹脂としては、(1)側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物、又は(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、および(4)カルボン酸基から選ばれる少なくとも一つの酸性基を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。より具体的に以下のものが示されるが、これらに限定されるものではない。
側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明に用いるフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特開平11−288089号公報に記載の、上記フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂のフェノール性水酸基の少なくとも一部がエステル化されたアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
このスルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、特公平7−69605号公報に記載のものが挙げられる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基(−CO−NH−SO2−)を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物の具体例としては、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。カルボン酸基を有する重合性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸類、が挙げられる。また、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリレート又はメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルエチルアクリレート又はメタクリレート等)のヒドロキシル基と、二塩基酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等)とのモノエステルである不飽和カルボン酸も好適なものとして挙げられる。
更に、本発明に用いることができるアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、活性イミド基を有する重合性モノマー、及びカルボン酸基を有する重合性モノマーのうちの2種以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用することができる。
上記アルカリ可溶性樹脂が前記酸性基(フェノール性水酸基、スルホンアミド基、活性イミド基、カルボン酸基)を有するモノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすい。
前記酸性基を有するモノマーと共重合させるモノマー成分としては、下記(m1)〜(m11)に記載のモノマーを挙げることができる。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
アルカリ水可溶性高分子化合物の共重合の方法としては、従来知られている、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
上記の酸性基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量は2,000以上が好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000である。
本発明における全てのアルカリ可溶性樹脂の合計添加量は、記録層の全固形分中、30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。このうち、ノボラック樹脂は、全てのアルカリ可溶性樹脂の30質量%以上が好ましく、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。この範囲で、良好な画像形成が得られる。
(光熱変換物質)
本発明に用いられる光熱変換物質としては、赤外線を吸収し、熱を発生する物質であれば特に制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザへの適合性の観点から、波長760nm〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収剤である染料または顔料が好ましく挙げられる。
係る赤外線吸収染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号、特開平9−96891号の各公報、米国特許第4,973,572号明細書等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号各公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号各公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
本発明において用いられる赤外線吸収性の顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの顔料又は染料は、記録層の全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の割合で添加することができる。この範囲内で良好な感度が得られる。
(その他の添加物)
上述された本発明の記録層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
例えば、記録層のアルカリ水可溶性樹脂の現像液への溶解阻止機能を向上させるいわゆる溶解抑止剤を添加することができる。中でも、露光前はアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させ、露光による熱で分解して現像性を向上させる分解性溶解抑止剤が好ましい。分解性溶解抑止剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩、およびo−キノンジアジド化合物が好ましく、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩のオニウム塩がより好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩の好適なものとしては、例えばS.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)の各文献、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書、特開平3−140140号、特開2002−229186号の各公報に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各文献及び各明細書に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)の各文献、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各文献及び明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
これらのオニウム塩の中でも、溶解阻止能や熱分解性の観点から、ジアゾニウム塩が特に好ましい。特に、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)で示されるジアゾニウム塩や特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が好ましく、可視光領域の吸収波長が小さい特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が最も好ましい。また、第4級アンモニウム塩としては、特開2002−229186号公報の段落番号[0020]及び[0021]に記載の(1)〜(10)に示される第4級アンモニウム塩が好ましい。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解によりバインダー樹脂の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物又は芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号明細書に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、および/または、o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは記録層の全固形分に対し、1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
また別の添加剤として、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することができる。また、後述する界面活性剤、画像着色剤、および、可塑剤も使用可能な添加剤である。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、4,4´−ビスヒドロキシフェニルスルホン、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4',4''−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4',3'',4''−テトラヒドロキシ−3,5,3',5'−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類およびカルボン酸類などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類および有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
また、本発明に係る記録層には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950,517号公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることが出来る。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の記録層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、記録層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で記録層中に添加することができる。
また、記録層中には、記録層の溶解性をさらに加速させるため、少なくとも1つのメルカプト基(−SH)を有する化合物を添加することができる。
鎖状のメルカプト基を有する化合物としては、脂肪族炭化水素の側鎖或いは末端に−SHを有するものが挙げられる。これらの炭化水素化合物は、直鎖状であっても分岐鎖を有するものであってもよく、さらに水酸基、ハロゲン原子、アミノ基等の置換基を有するものであってもよい。また、炭化水素系化合物内のメチレン基は、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレア、チオウレア等の2価の有機基で置換されていてもよい。このような化合物としては、例えば、エタン、ブタン、ヘキサン、ノナン、デカン、ドデカン、オクタデカンなど炭素原子数2〜18程度の直鎖状炭化水素の片末端、或いは両末端に−SH基を導入した化合物、炭素原子数2〜18程度の炭化水素鎖内の炭素上に−SH基を導入した化合物、及びそれらの炭化水素鎖内のメチン基をエーテル結合、エステル結合で置換した化合物などが挙げられる。具体的な化合物としては特願2002−204418号明細書の段落[0018]〜[0019]に記載の化合物が挙げられる。
環状のメルカプト基を有する化合物としては、脂環炭化水素、芳香族炭化水素、縮合多環系炭化水素、さらには、ヘテロ環化合物などが挙げられる。また、分子内に互いに独立した2以上の環構造を有するものであってもよい。環状炭化水素系化合物においても、環構造に−SH基の他、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基などの置換基を有するものであってもよい。このような化合物としては、シクロヘキサン、ベンゼン、ナフタレン、などの環状炭化水素に−SH基を置換した化合物、環状炭化水素上のアルキル基などの置換基上に−SH基を置換した化合物、ヘテロ環に−SH基を置換した化合物などが挙げられる。具体的な化合物としては特願2002−204418号明細書の段落[0020]〜[0026]に記載の化合物が挙げられる。
これらの分子構造については、特に制限はないが、メルカプト化合物特有の臭気を抑制する観点から、分子量が高く、揮発性の低い化合物であることが好ましい。そのようなチオール化合物の分子量は、90以上であることが好ましく、110以上であることがより好ましい。また、複数のメルカプト基を有するチオール化合物及び芳香族チオール化合物も同様の観点から好ましい。添加量については、記録層全固形分中、0.2〜20質量%添加されることが好ましく、0.5〜10質量%添加されることがさらに好ましい。この範囲内で、塗膜の皮膜特性が低下することなく、優れた現像ラチチュード及び画像コントラストを有する良好な記録層の溶解性の加速が得られる。
更に、記録層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が用いられる。
本発明に係る記録層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本願出願人が先に提案した特願2001−261627号、特願2002−032904号、特願2002−165584号の各明細書に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることが出来る。添加量として好ましいのは、記録層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
(記録層の形成)
本発明の赤外線感光性平版印刷版における記録層は、通常上記各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
支持体上に塗布される記録層用塗布液中の、溶剤を除いた前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
記録層の乾燥後の塗布量としては、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜2.5g/m2の範囲である。この範囲内で良好な耐刷性、画像再現性及び感度が得られる。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる傾向がある。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
〔バックコート〕
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には必要に応じてバックコートを設けることができる。かかるバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物、および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物などの被覆層が挙げられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC25)4、Si(OC37)4、Si(OC49)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手しやすく、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており、特に好ましい。
〔製版〕
本発明の感熱性平版印刷版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
露光された本発明の感熱性平版印刷版は、現像処理及びフィニッシャーや保護ガムなどによる後処理を施されて印刷版となる。これらの処理には、公知の自動現像機などの処理機器を用いることができる。
本発明の感熱性平版印刷版の現像処理及び後処理に用いられる処理剤としては、公知の処理剤の中から適宜選択して用いることができる。
好適な現像液としては、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液には、従来から知られているアルカリ水溶液が使用できる。上記のアルカリ水溶液のうち、特に好適な現像液として、塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、従来良く知られている所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液、及び、特開平8−305039号、特開平11−109637号公報等に記載の、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」が挙げられる。
また、上記現像液には、アニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤が含有されることが、現像促進及び滓の発生防止の点から好ましい。
本発明の平版印刷版をバーニング処理する場合は、バーニング整面液を用い、バーニングプロセサなどを用いて行う従来から知られている方法で行うことが好ましい。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
〔支持体の作製〕
(支持体1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウム濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解法としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行い、乾燥して、支持体1を作製した。
(支持体2の作製)
支持体1の作製で用いたものと同じアルミニウム板に以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして電気化学粗面化処理されたアルミニウム板に、支持体1の作製の場合と同様にして、陽極酸化処理、シリケート処理を行って支持体2を作製した。
(支持体3の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体3を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
(支持体4の作製)
下記(a)〜(k)の処理をこの順に行って支持体4を作製した。
(a)機械的粗面化処理
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。上記処理の電解槽にはラジアルセルタイプのものを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を行った。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/l(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)シリケート処理
支持体1の作製の場合と同様にシリケート処理を行った。シリケート付着量は3.5mg/m2であった。
〔本発明例1〜22〕
(1)中間層の形成
上記のように得られたシリケート処理済みの支持体上に、下記組成の中間層塗布液を塗布し、80℃で15秒間乾燥して、中間層塗膜を形成させた。中間層の乾燥被覆量は、支持体1、2及び4に対しては15mg/m2、支持体3に対しては17mg/m2のであった。
<中間層塗布液組成>
・表1に記載の化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
(2)記録層の形成
上記のように得られた中間層上に、下記の記録層塗布液1を乾燥塗布量が1.4g/m2となるように塗布して平版印刷版原版を作製した。乾燥はTABAI社製PERFECT OVEN PH200にてWIND Controlを7に設定して140℃で100秒間行った。
<記録層塗布液1>
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量7500、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.9g
・メタクリル酸/メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル共重合体
(36/32/32、重量平均分子量28000) 0.1g
・シアニン染料A(下記構造) 0.04g
・2,4,6−トリス(ヘキシルオキシ)ベンゼンジアゾニウム
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート
0.01g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.002g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・エチルバイオレット 0.015g
・メガファックF780−F(20質量%溶液)
(大日本インキ化学工業(株)製、面状改良フッ素系界面活性剤)
0.02g
・メチルエチルケトン 15g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7g
Figure 0004307928
〔平版印刷版原版の評価〕
このようにして得られた平版印刷版原版の感度と耐刷性について、下記のように評価した。
(感度の評価)
得られた平版印刷版用原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度2〜10Wの範囲、ドラム回転速度150rpmでベタ画像を描き込んだ後、下記組成の現像液1又は現像液2を表1に記載した組み合わせで仕込んだG&J社製自現機FLH−85Nを用い、液温を28℃に保ち、現像時間26秒で現像した。フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FP−2W(1:1で希釈したもの)を用いた。
現像後の版を25倍のルーペで観察し、実質上印刷汚れにならないレベルの残膜の有無を評価し、残膜が観測されないところの露光ビーム強度から、実際の露光エネルギーを下式により計算し、感度とした。露光エネルギーが小さいものほど高感度であると評価する。結果を表1に示した。
(感度)=(ビーム強度)×2580/150
<現像液1の組成>
ケイ酸カリウム(SiO2/K2O=1.1) 40g
ポリエチレングリコール400(重量平均分子量400) 0.8g
下記化合物1 0.15g
下記化合物2 0.3g
イオン交換水 1000g
<現像液2の組成>
D−ソルビトール 54.8g
KOH(48%水溶液) 60g
下記化合物3 1.0g
下記化合物1 0.45g
下記化合物2 0.36g
イオン交換水 910g
Figure 0004307928
(耐刷性の評価)
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetterにてビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、上記の感度評価と同じ条件で現像した。
製版された印刷版を(株)小森コーポレーション製リスロン40印刷機で、インキとして大日本インキ化学工業(株)製のValues・G墨N、湿し水として富士写真フイルム(株)製IF−102の4容量%水溶液を使用して印刷を行った。印刷5000枚毎に、繰り返し印刷版上の画像の一部を富士写真フイルム(株)製PSマルチクリーナーで拭いた後に、印刷物を抜き取った。マルチクリーナーで拭いていない部分と拭いた部分それぞれに対し、正常な印刷物が得られる枚数で耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004307928
表1から、本発明の平版印刷版原版は、良好な感度と耐刷性を有することが分かる。また、本発明の平版印刷版原版は、クリーナー拭きを繰り返した部分の耐刷性も非常に良好で、耐薬品性が顕著に向上したことが分かる。

Claims (2)

  1. 支持体上に、分子内にラクトン基とメタクリル基とを有するモノマーを重合することにより得られた重合体を含有する中間層と、アルカリ水可溶性樹脂としてノボラック樹脂と光熱変換物質とを含有する記録層と、を順次設けてなり、前記重合体の重量平均分子量が、500〜1,000,000である平版印刷版原版。
  2. 前記重合体が、前記分子内にラクトン基とメタクリル基とを有するモノマーと、酸基を有するモノマーとを共重合することにより得られたものである請求項1に記載の平版印刷版原版。
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