JP2005313609A - 塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 鋼板の片面または両面に、中心核の表面に微細突起を有し、且つ平均粒径(r)が1μm以上10μm以下の導電性物質を5質量%以上35質量%以下含有する塗膜を有する塗装鋼板であって、前記塗膜は、塗膜厚(t)が0.5μm以上5.5μm以下、且つ前記塗膜厚(t)と前記平均粒径(r)は下式(1)を満足する。0.3r≦t≦1.2r+0.5…(1)
【選択図】図1
Description
導電性物質を含有させる方法として、特許文献3では平均粒径0.1〜50μmの異形状金属Niフィラーを固形分重量比で10〜70%複合添加し0.5〜5μmの高分子ポリエステル樹脂塗膜を形成させる方法
が開示されている。しかし、Niフィラー粒径、フィラー量、樹脂皮膜厚が電磁波シールド性に及ぼす影響が大きく、安定した電磁波シールド性を確保することは困難であった。
0.3r≦t≦1.2r+0.5…(1)
第2発明は、第1発明において、前記導電性物質がNiであることを特徴とする塗装鋼板である。
塗膜中に含有させる導電性物質は、電磁波シールド性の点からは、Ni、ステンレス、アルミニウム、鉄等の透磁率の高いものが好ましく、耐食性を考慮すると、Niが好適である。
そこで、本発明者等は、塗膜中に導電性物質として種々の形状、含有量のNi(金属Ni)を添加した塗装鋼板の導電性、電磁波シールド性を評価した。その結果、Ni形状・添加量がそれら性能に影響を及ぼすことがわかった。
核の表面に微細突起を有するNiの最適な粒径と樹脂膜厚とを検討した。
粒径を変更したNiを用い塗膜厚を変更して、導電性及び電磁波シールド性及びプレス加工性を評価した。図1はNi粒径、塗膜厚の導電性、電磁波シールド性に及ぼす影響を説明する図である。Ni粒径rと塗膜厚tが、t≦1.2r+0.5の関係を満足しないと、導電性及び電磁波シール性が劣り、t≦1.2r+0.5の関係を満足する領域では、塗膜厚tが5.5μm超では導電性が良好であっても電磁波シールド性が低下し、電磁波シールド性を良好にするには塗膜厚tを5.5μm以下とする必要のあることがわかった。そのため、導電性及び電磁波シールド性が良好となる領域は、t≦1.2r+0.5かつ塗膜厚tが5.5μm以下を満足する領域である。また、耐食性の観点から、塗膜厚tが0.5μm以上の塗膜を形成する必要がある。
塗膜中のNi添加量を変更し、導電性、電磁波シールド性及び加工性を評価した。Ni添加量が3%以下では導電性、電磁波シールド性ともに劣る。また、3%超5%未満では、導電性は良好になるものの、電磁波シールド性が不十分である。5%以上の添加により導電性、電磁波シールド性ともに良好となることがわかった。7%以上でより良好となる。また、Ni添加量が35%を超えると、塗膜の成膜性が劣化し、また、耐食性・加工性も劣化傾向にあるため35%以下とする必要がある。より好ましくは30%以下とする。
板厚0.5mmの下記めっき鋼板を脱脂後、必要に応じて下記化成処理液を塗布し到達板温100℃で乾燥を行い、皮膜付着量が0.1g/m2の化成処理皮膜を形成させた。その上にポリエステル系樹脂に種々の形状のNiを必要量添加した塗料組成物を所定の乾燥膜厚になるように塗布した後、焼付温度(到達温度)230℃、焼付時間60秒の焼付処理を行い、供試塗装鋼板を作製した。
溶融亜鉛めっき鋼板(付着量:30g/m2):GI
電気亜鉛めっき鋼板(付着量:20g/m2):EG
Zn−55%Alめっき鋼板(付着量:60g/m2):GL(いわゆるガルバリウム鋼板)
(化成処理液)
乾式又は湿式シリカ5質量%とZr化合物5質量%を含有する化成処理液
(塗料組成物作成方法)
形状、大きさの異なるNiを準備し、ポリエステル系樹脂に前記Niを必要量添加し、メカニカルスターラーで1時間の攪拌を行った。準備したNiの外観をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、その表面に微細突起の有無、微細突起のあるものは、突起形状を観察し、最も多く存在する突起形状を、当該Niの突起形状とした。
供試塗装板を、低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗値が10−4Ω以下になった時の荷重を測定し、導電性は10点測定の平均荷重で評価した。
○:500g以下
△:500g超え700g以下
×:700g超え
(電磁波シールド性評価方法)
5面をAl板、1面を幅20mmのフランジを有する開口部とした100×100×100mmのAl製筐体の中に20MHzのデジタル発信器を内蔵させ、開口部に前述の種々の供試塗装鋼板を乗せ、荷重を1Kgとして外部に漏洩する20MHz〜1GHzの電磁波ノイズを測定した。受信用アンテナは筐体フランジ部から50mmの位置に設け、フランジと塗装鋼板の間には厚さ1mmのガスケットを用いた。また、電磁波シールド性は、最大10点のノイズの平均値に基き以下のように評価した。なお、めっきままの原板での最大10点のノイズの平均は54dB、導電性の無い塗膜を10μm塗布したものでは66dBである。
◎:57dB以下
○:57dB超え60dB以下
△:60dB超え63dB未満
×:63dB以上
(耐食性評価方法)
供試塗装鋼板の試験片の4辺をシールし、JIS−SSTにより平板部の評価を行った。48時間での白錆発生面積率を求め、白錆発生面積率に応じて以下のように評価した。
○:白錆発生面積率5%以下
△:白錆発生面積率5%超え20%以下
×:白錆発生面積率20%超え
(加工性評価方法)
供試塗装鋼板を50mmφの円筒ポンチを用い、絞り比2.0でカップ成形した。カップ外面を24×60mmテープにてテープ剥離を行い、皮膜剥離量を蛍光X線によるC量のカウント数に基づき以下のように評価した。
○: 10Kcps以下
△: 10Kcps超え30Kcps以下
×: 30Kcps超え
使用したNiの条件および評価結果を表1〜表3に記載する。
板厚0.5mmの下記めっき鋼板を脱脂後、必要に応じて下記化成処理液を塗布し到達板温100℃で乾燥を行い、皮膜付着量が0.1g/m2の化成処理皮膜を形成させた。その上にポリエステル系樹脂に種々の形状のNiを必要量添加した塗料組成物を所定の乾燥膜厚になるように塗布した後、焼付温度(到達温度)230℃、焼付時間60秒の焼付処理を行い、供試塗装鋼板を作製した。
溶融亜鉛めっき鋼板(付着量:30g/m2):GI
電気亜鉛めっき鋼板(付着量:20g/m2):EG
Zn−55%Alめっき鋼板(付着量:60g/m2):GL(いわゆるガルバリウム鋼板)
合金化溶融亜鉛めっき鋼板(付着量:30g/m2):GA
Zn-Ni黒化処理板:付着量20g/m2のZn−Niめっき板を以下の条件で陽極酸化し、黒化処理板とした。
陽極酸化条件:塩素酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムを含む溶液(塩素酸イオン濃度:80g/l、硫酸イオン:100g/l、pH1.0、温度50℃)中でニッケル電極を対極として電流密度40A/dm2で陽極酸化を行った。
乾式又は湿式シリカ5質量%とZr化合物5質量%を含有する化成処理液
(塗料組成物作成方法)
形状、大きさの異なるNiを準備し、ポリエステル系樹脂に前記Niを必要量添加し、メカニカルスターラーで1時間の攪拌を行った。準備したNiの外観をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、その表面に微細突起の有無、微細突起のあるものは、突起形状を観察し、最も多く存在する突起形状を、当該Niの突起形状とした。
京都電子工業(株)製の放射率計:D&S AERDを用い、波長3〜30μmでの放射率を測定した。
◎:0.7以上
○:0.5以上0.7未満
△:0.3以上0.5未満
×:0.3未満
使用したNiの条件および評価結果を表4に記載する。
Claims (5)
- 鋼板の片面または両面に、中心核の表面に微細突起を有し、且つ平均粒径(r)が1μm以上10μm以下の導電性物質を5質量%以上35質量%以下含有する塗膜を有する塗装鋼板であって、前記塗膜は、塗膜厚(t)が0.5μm以上5.5μm以下、且つ前記塗膜厚(t)と前記平均粒径(r)は下式(1)を満足することを特徴とする塗装鋼板。
0.3r≦t≦1.2r+0.5…(1) - 前記導電性物質がNiであることを特徴とする請求項1に記載の塗装鋼板。
- 前記微細突起の形状は、針状、スパイク状、粒状および球状のうちのいずれか1の形状、またはこれらのうちの2以上が混在する形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗装鋼板。
- 鋼板の片面または両面に、下層としてクロムを含有しない化成処理皮膜と、前記下層の上に上層として請求項1〜3のうちのいずれかの項に記載の塗膜を有することを特徴とする塗装鋼板。
- 鋼板が合金化溶融めっき鋼板又はZn−Niめっきの黒化処理板であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかの項に記載の塗装鋼板。
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