JP2013193273A - 塗装鋼板およびこれを用いた筐体 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板表面に厚みが10μm以下の単層の着色塗膜を有する、1コート1ベークで経済的に量産可能な、筐体製造に適した塗装鋼板に、従来の下塗りと上塗りの2層塗膜を備える2コート2ベークの塗装鋼板と同等の加工性、耐食性、および隠蔽性を具備させる。
【解決手段】着色塗膜が、数平均分子量6000以上のポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とし、着色顔料としてカーボンブラックを5質量%以下の量で含有する、膜厚3μm以上10μm以下の焼付け硬化塗膜であり、前記ポリエステル系樹脂が、数平均分子量6000以上、ガラス転移点15℃以上のものであり、この塗膜の表面色調がJIS Z8729に規定されるL*、a*、b*表色系でL*≦40であり、かつ前記塗膜のJIS Z8741に規定される20°鏡面光沢度が3以上である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面に黒色系の着色塗膜を有する塗装鋼板とこれを用いた筐体とに関する。本発明の塗装鋼板は、表面の着色塗膜が隠蔽性に優れ、この着色塗膜が膜厚3〜10μmと薄い単層の塗膜であるにもかかわらず、深みのある黒色外観を呈し、かつ加工性及び耐食性にも優れている。従って、本発明の塗装鋼板は、例えば薄型テレビ用パネル、冷蔵庫、ファンヒータ、エアコン室外機などの家電製品、建材、自動車部品などの筐体または素材として好適に使用することができる。
本発明において、「塗装鋼板」とは、プレコート鋼板、すなわち、加工前に塗装が施された鋼板(一般的には鋼帯)を意味し、典型的には塗装は鋼板製造メーカにおいて行われる。「筐体」とは、製品またはその内部部品を収容する箱状体を意味する。
塗装鋼板(以下の説明では、亜鉛を含むめっき層を有する鋼板である亜鉛系めっき鋼板上に塗膜が形成された塗装鋼板である亜鉛系めっき塗装鋼板を具体例とする。)では、意匠面となる外面塗膜は、通常は下塗り塗膜、上塗り塗膜、または下塗り塗膜、中塗り塗膜、上塗り塗膜といった複数層の塗膜から形成される。かかる構成の塗膜では、各層毎に役割が存在する。下塗り塗膜は、下地となる鋼板との密着性の確保および耐食性の確保を担い、上塗り塗膜は、意匠性、耐汚染性、耐候性、耐傷つき性、耐薬品性といった性能を担っている。中塗り塗膜に関しては、下塗り、上塗り塗膜の各塗膜の役割を補充するために用いられることが多い。
下塗り塗膜の下層には、基材である亜鉛系めっき鋼板と下塗り塗膜との密着性を確保するために、通常は薄膜の塗装下地処理(以下では化成処理ともいう)。従って、塗装鋼板の製造にあたっては、前述した塗膜を形成するための塗装設備に加えて、さらに塗装下地処理のための設備が必要である。
このように、塗装鋼板は塗装や焼付けの際の工程数が多く、製造に要する時間も長くなるため、塗装作業の合理化や省資源化の観点から、工程数を減らす改善手段が望まれている。また、設備上、塗装と化成処理2工程しかできないラインでは、化成処理をしてから2コート2べ−ク(塗装2回、焼付け2回)で2層の塗膜を備えるような塗装鋼板を製造することができない。例えば、従来の溶融亜鉛または電気亜鉛めっきラインのめっきインラインのコーター設備では、化成処理と1コート1ベークの塗装設備程度しか備えていない設備が多い。また、このようなインラインコータ設備を2コート2ベークに対応可能なように改造しようとしても、スペースの都合上できないことが多い。
そこで、2コート2ベークの2層の塗膜を備える塗装鋼板と同等の性能を有しつつ、化成処理皮膜の上に1層の着色塗膜が形成された構成を備える塗装鋼板が望まれている。
しかし、着色塗膜が1層だけであると、その膜厚が10μm以下と薄い場合、下地の化成処理された基材を完全に隠蔽することが難しくなる。以下では、この下地の隠蔽性を、「基材の隠蔽性」とも称する。
さらに、従来の塗装鋼板用塗料をそのまま用いて単一塗膜を形成した場合、下塗り塗料のみを用いると加工性、耐薬品性などが不十分であり、上塗り塗料のみを用いると下地との密着性、耐食性などが不十分となる。液状体の塗料に代えて粉体塗料を用いることも考えられるが、粉体塗料は膜厚が厚く、硬化に時間がかかる難点がある。
従って、塗装作業の合理化、省資源化などを考慮した場合、効率よく基材を隠蔽可能であって、塗装鋼板の下塗り層と上塗り層との両方の機能を併せ持ち、かつ短時間で硬化可能な1層の着色塗膜の設計が必要となる。
プレコート鋼板として鋼板メーカから出荷される塗装鋼板には、高硬度、優れた耐汚染性、優れた耐薬品性、優れた耐水性、優れた耐食性など多くの性能が要求される。塗装鋼板は出荷先で何らかの加工が施されるため、加工性および加工部の塗膜密着性が良好であることが塗装鋼板にとって特に重要である。
このような塗装鋼板の要求特性に対して、例えば、特許文献1には、硬度、耐汚染性および耐侯性に優れた塗膜を得ることを目的として、特定のポリエステル樹脂、メラミン樹脂(硬化剤)などを配合した塗料組成物及びこれを用いた塗装鋼板が提案されている。
特許文献2には、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂(硬化剤)、防錆顔料、有機高分子微粒子などを配合した塗料組成物を塗装することにより、1コートで加工性、耐食性、密着性、耐衝撃性、耐スクラッチ性、意匠性を満足させる塗装鋼板が提案されている。
さらに、特許文献3には、鋼板の両面に、亜鉛系めっき層およびクロムを含有しない化成皮膜を順次形成し、前記鋼板の一方の面の化成皮膜上に、架橋剤により硬化させたポリエステル系樹脂と、平均粒子径が3〜40μm、ガラス転移温度が70〜200℃でかつ前記ポリエステル系樹脂よりも高硬度である樹脂粒子とを含有する単一塗膜が提案されている。
特開昭63−7878号公報 特開昭63−114635号公報 特開2007−269010号公報(段落0048)
しかし、特許文献1および2に記載された塗装鋼板はいずれも、化成皮膜としてクロムを含有するクロメート系皮膜を用いることを想定しており、これは環境上好ましくない。また、意匠性や基材の隠蔽性については全く考慮されていない。
特許文献3に記載された塗装鋼板については、クロムを含有せず、かつ塗膜が1層ではあるものの、意匠性や基材の隠蔽性について十分に記載されているとは言えない。また、下塗り塗膜を形成することが好ましいことが記載されており、1層の塗膜で隠蔽性を確保することは意図していない。
そこで、本発明の目的は、上記のような従来技術の課題を解決し、薄膜であっても基材の隠蔽性に優れ、かつ従来の2層塗膜(化成処理皮膜が形成された金属材上に形成された下塗り層と上塗り層とを有する塗膜)と同等の加工性及び耐食性を有し、しかも製造する際の高速操業が可能である塗装鋼板およびそれを用いた加工品(例えば筐体)を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、着色塗膜が単層の構成でありながら優れた性能を有する塗装鋼板を得るために検討を重ねた結果、化成処理した亜鉛系めっき鋼板に、特定の1層の着色塗膜を形成することにより、基材の隠蔽性に優れ、かつ加工性と耐食性に優れる塗装鋼板が得られることを見出した。
このような知見に基づき完成した本発明は次の通りである。
(1)鋼板の少なくとも片面に単層の着色塗膜を備えた塗装鋼板であって、
前記着色塗膜は、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とし、着色顔料としてカーボンブラックを5質量%以下の量で含有する、膜厚3μm以上10μm以下の焼付け硬化塗膜であり、前記ポリエステル系樹脂が、数平均分子量6000以上、ガラス転移点15℃以上のものであり、前記塗膜の表面色調がJIS Z8729に規定されるL*、a*、b*表色系でL*≦40であり、かつ前記塗膜のJIS Z8741に規定される20°鏡面光沢度が3以上であることを特徴とする、塗装鋼板。
(2)前記鋼板が亜鉛系めっき鋼板であり、前記着色塗膜の下側にクロムを含有しない化成処理皮膜層を有する上記(1)記載の塗装鋼板。
(3)前記単層の塗膜が鋼板の片面に形成され、鋼板の反対側の面は塗膜を有しておらず、付着量が20mg/m2以上1000mg/m2以下のクロムを含有しない化成処理皮膜層を有している上記(1)または(2)記載の塗装鋼板。
(4)前記亜鉛系めっき層が、ニッケル含有量11質量%以上15質量%以下のニッケル−亜鉛合金めっき層である上記(2)または(3)に記載の塗装鋼板。
(5)前記焼付け硬化塗膜が硬化剤としてメラミン樹脂を使用した塗膜である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の塗装鋼板。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の塗装鋼板からなる筐体であって、この筐体の外面に前記着色塗膜を有する筐体。
本発明において「塗膜」とは、有機樹脂をバインダーの主成分とする皮膜を意味し、上記(3)における塗膜は、着色顔料を含有しないクリア塗膜をも包含する。
亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面に、本発明に従って1層の化成処理皮膜層および1層の着色塗膜を順次形成することにより、基材の隠蔽性、加工性及び耐食性に優れた塗装鋼板及びそれを用いた加工品、例えば筐体を提供することが可能になる。塗膜が単層であるため、例えば、化成処理と1コート1ベークにしか対応していない多くのめっきラインのインラインのコーター設備で効率よく製造可能である。また、塗膜が単層であるにもかかわらず、従来の2コート2ベークの塗装鋼板に匹敵しうる性能を示すことができる。
亜鉛系めっき鋼板の両面に、同一構成の化成処理皮膜層および本発明に従った着色塗膜を形成すれば、両面が良好な耐食性を有しているため、屋外、半屋外等苛酷な環境に置かれる製品の筐体に適した、特に優れた耐食性を有する塗装鋼板が得られる。一方、亜鉛系めっき鋼板のうら面(本発明に従った着色塗膜が形成されない面)には塗膜を形成せず、導電性を確保しうる薄膜の化成処理皮膜層(20mg/m2以上1000mg/m2以下)だけを形成すれば、薄型TV用途等の屋内に設置される家電製品、電子・電気機器の筐体に適した塗装鋼板が得られる。
以下、基材である亜鉛系めっき鋼板の表面の化成処理皮膜とその上に形成された1層の着色塗膜とを備える塗装鋼板の態様を中心にして、本発明を説明する。本発明の塗装鋼板は、基材の隠蔽性と加工性及び耐食性とを高次元でバランスさせた点に特徴を有する。
1.着色塗膜
着色塗膜は、バインダー成分、顔料、および必要に応じて樹脂粒子などの他の成分から構成される。本発明では、着色塗膜は、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とし、着色顔料としてカーボンブラックを5質量%以下の量で含有する、膜厚3μm以上10μm以下の焼付け硬化塗膜である。焼付け硬化型ポリエステル系樹脂塗膜は、加工性と耐食性等とのバランスが良好であるため、従来より塗装鋼板の下塗りや上塗り塗膜に使用されてきた。
(1)バインダー成分
バインダー成分は、バインダー成分の主成分であるバインダー樹脂のほかに、硬化剤と、必要に応じて硬化触媒とから構成される。
A)バインダー樹脂
着色塗膜は、主として汚染性、意匠性、耐疵付き性、バリア性、加工性等を付与する点から、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とする塗膜とする。塗膜形成に使用する塗料は溶剤系であることが望ましい。溶剤系塗料は水系塗料に比べて、基材への濡れ性に優れるためである。これにより、塗装欠陥の少ない美麗な外観を得ることができる。
ポリエステル系樹脂は、従来より塗装鋼板に使用されてきたポリエステル樹脂(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)でよい。また、ポリエステル樹脂として各種の変性ポリエステル樹脂(例、エポキシ変性ポリエステル樹脂)を使用することもできる。
加工性と耐食性を両立させる観点から、ポリエステル系樹脂は、数平均分子量が6000以上、ガラス転移点が15℃以上とする。ガラス転移点は好ましくは40℃以上である。ポリエステル系樹脂の分子量が6000未満では加工性に劣り、ガラス転移点が15℃未満であると耐食性に劣る。
なお、少量(例、バインダー樹脂の30質量%以下)であれば、ポリエステル系樹脂以外のバインダー樹脂(例、ポリウレタン樹脂)を併用してもよい。
B)硬化剤
塗膜を焼付け硬化型とするために、ポリエステル系樹脂塗料に硬化剤を含有させる。硬化剤としては、メラミン樹脂及び/またはポリイソシアネート化合物を用いることが、プレス加工性とバリア性のバランスの点から好ましい。
メラミン樹脂の場合、添加量は、樹脂固形分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下とすることが好ましい。添加量が5質量部未満だと樹脂との十分な架橋反応が期待できず、塗膜としての性能が不十分となることが懸念される。一方、添加量が30質量部より多くなると、架橋反応が進みすぎて塗膜が過度に硬くなり、加工性の低下が懸念されるようになる。好ましい硬化剤の種類としては、塗膜加工性と塗膜硬度の両立の観点から、塗膜表面に濃化しやすい表面自由エネルギーの比較的小さい硬化剤を用いることが好ましい。具体的には、メチル化メラミンやブチル化メラミン等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の場合、添加量は、上と同様の理由で、樹脂固形分100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下とすることが好ましい。好ましい化合物としては、脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
C)硬化触媒
本発明に係るバインダー成分は、硬化触媒を含むことが好ましい。硬化触媒の役割の一つとして、硬化剤同士の自己縮合反応の促進や硬化剤と樹脂との架橋反応の促進等が挙げられる。
特に硬化剤が上述した表面自由エネルギーの小さなメチル化メラミンまたはブチル化メラミンである場合、着色塗膜の表面に硬化剤が濃化するので、硬化触媒による架橋反応と自己縮合反応が表面近傍でより促進される。その結果、表面近傍の着色塗膜は耐溶剤性および耐薬品性が特に向上する。
さらに、表面に硬化剤が濃化することで、着色塗膜の表面部は硬質であるが塗膜内部は相対的に軟質となる構成が実現される。このため、塗膜硬度および加工性の両立が可能となることに加え、着色塗膜の表面部の硬質な部分において水分など着色塗膜の平面部耐食性を低下させる物質が塗膜内に進入することが抑制される結果、塗膜のバリア機能が向上する。また、プレス加工時に着色塗膜全体が基材の変形に追従しやすくなるので、局所的に着色塗膜に割れが発生することが抑制される。その結果、1層の着色塗膜でありながら、平面部耐食性、プレス加工性および塗膜硬度をバランスよく向上させることができる。
さらに、着色塗膜が後述する樹脂粒子を含有する場合には、表面に濃化した硬化剤によって塗膜表面の硬度が上昇し、プレス加工時に樹脂粒子が欠落しにくくなる。
硬化触媒としては、ドデシルベンゼンスルホン酸やパラトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸が適している。中でも、これらの触媒を揮発性アミンで中和したアミンブロック化触媒を用いることが、硬化剤をより表面濃化させる観点から特に好ましい。この種のアミンブロック化触媒は市販されている。
硬化触媒の添加量は、溶媒も含めた塗料100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下とすることが好ましい。添加量が過度に少ないと、硬化触媒としての効果、すなわち硬化の促進が十分に行われないことが懸念される。一方、添加量が過度に多いと、架橋等が進みすぎて外観の不具合が発生するなど新たな問題を生ずることが懸念される。
(2)顔料
着色塗膜は、顔料として少なくともカーボンブラックを含有する。塗膜に含有される顔料は、カーボンブラックに加え、他の着色顔料や、必要に応じ体質顔料、防錆顔料および光輝顔料等を含有しうる。
A)着色顔料
着色塗膜を特定の色調に調色するために添加する着色顔料として、安価、安全、耐水性、耐候性に優れる無機系の顔料を用いることが好ましい。
カーボンブラックは黒色顔料として有用であるが、溶剤系塗料の場合、塗膜(従って、塗料の固形分)に対して5質量%超のカーボンブラックを添加すると、塗料の粘度が著しく増大するため塗工性が低下し、塗料の安定性にも劣るようになる。従って、薄膜の場合、基材を十分に隠蔽可能なカーボンブラック量を確保することが困難な場合がある。
溶剤系塗料を用いた薄膜の単層塗膜で美麗な黒色塗膜とするには、表面色調がJIS Z8729のL*、a*、b* 表色系でL*≦40、かつJIS Z8741の20°鏡面光沢度が3以上であればよいことを本発明者らは見出した。理由は必ずしも明確ではないが、20°光沢が3以上であれば、色調に深みが感じられるようになるためと推定される。従って、カーボンブラックは、5質量%以下で、かつ上記の表面色調および20°光沢を塗膜に付与するのに必要な量で塗膜中に含有させる。
カーボンブラック単独では表面色調および/または20°光沢が不足する場合には、他の着色顔料を共存させてもよい。他の着色顔料の例としては、他の黒色顔料(例、鉄黒)のほかに、黒色系染料などが挙げられる。
着色塗膜が、カーボンブラックに加えて、白色顔料であるチタニアを含有していると、着色塗膜自体の熱放射性が向上する。したがって、熱放射性が求められる電気・電子機器の筐体に適用する場合には、チタニアをこれらの顔料を含有させることが好ましい。その場合のチタニアの量は、塗膜の0.5質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
塗膜加工性、薄膜での隠蔽性等を確保する上で、使用する着色顔料は、いずれも粒径が0.5μm以下のものであることが好ましい。
B)光輝顔料
メタリック調などの意匠性が求められる用途に適用する場合には、着色塗膜にマイカやアルミフレーク等の光輝顔料を添加することで、メタリック調の色調を発現させることができる。光輝顔料としては、平均粒径が塗膜厚の4倍以下程度のものが好ましい。添加量は、プレス加工性を確保する上で、光輝顔料と下記防錆顔料との合計量が、塗料固形分に対して15質量%以下になるようにすることが好ましい。添加量が多すぎると、塗装鋼板の加工性や平面部耐食性が低下することが懸念される。上記性能を確保するには、光輝顔料を含む粒径が0.5μm超の顔料の合計を塗料固形分に対して10質量%以下とすることが好ましい。
マイカの方がアルミフレークよりも熱放射性の相対的に高いので、放熱性を損なわない点ではマイカが適している。また、要求されるメタリック調の種類により、マイカとアルミフレークの2種類をブレンドして使用してもかまわない。
C)防錆顔料
防錆性を高めるために着色塗膜は防錆顔料を含有することが好ましい。使用する防錆顔料は特に限定されないが、非クロム系のものが好ましい。特に好ましい防錆顔料は、吸油量が50ml/100g以上1000ml/100g以下であって、平均粒径が10μm以下の多孔質シリカである。リン酸系防錆顔料、イオン交換シリカといった他の非クロム系防錆顔料を単独で用いた場合には、多孔質シリカと同じ量で添加すると得られる耐食性向上効果が低下し、多孔質シリカと同じような耐食性性能を発現するために大量に添加すると塗膜自体の加工性を損なうとともに、意匠性を損なうという問題がある。
吸油量を50ml/100g以上1000ml/100g以下としたのは、50ml/100g未満の場合には十分な耐食性が得られず、1000ml/100gを越える場合には塗料粘度の上昇が著しくなってしまうためである。また、平均粒径が10μmを越えると、膜厚よりも大きすぎるために顔料の脱落の可能性が高まり、耐食性への悪影響を及ぼすことが懸念される。平均粒径の下限は特に限定されないが、一般に防錆顔料の平均粒径は1.5μmを超える。
多孔質シリカの適切な添加量は、塗料固形分に対して5質量%以上15質量%以下であり、より好ましい範囲は、塗料固形分に対して5質量%以上10質量%未満である。5質量%未満であると十分な耐食性効果は得られず、15質量%より多くなると、着色塗膜の加工性を損なうとともに塗膜中に添加可能な着色顔料の添加量が減少するため、意匠性、特に隠蔽性、色調安定性を損なう。
防錆顔料については、色調安定性、隠蔽性、プレス加工性等が確保できる範囲であれば、多孔質シリカ以外の非クロム系防錆顔料、例えば、リン酸系防錆顔料、イオン交換シリカ等の1種または2種以上を併用することも可能である。その場合でも、プレス加工性を確保する上で、防錆顔料を含む0.5μmよりも大きい顔料全体の量が塗料固形分の10質量%以下であることが好ましい。
(3)その他の成分
上記のバインダー成分および顔料以外に着色塗膜中に場合により含有させることができる成分として、レベリング剤、樹脂粒子、ワックス、溶接性や電磁波シールド性を向上させるための導電粉、耐候性を改善するのに有効な紫外線吸収剤および光安定剤、プレス加工性の改善に有効なワックス等が挙げられる。着色塗膜は、これらの1種または2種以上を必要に応じて適宜含有しうる。
これらの中でも、樹脂粒子を着色塗膜に含有させることが好ましい。樹脂粒子は、プレス加工時に着色塗膜と金型との接触面積を減らし、潤滑性を向上させる役割と、着色塗膜と金型とが直接接触して塗膜が傷つくことを抑制する役割とを果たすことができる。金型との潤滑性を向上させる手法として、樹脂粒子に加えて、ポリオレフィン系、マイクロクリスタリン等の低Tgのワックス粒子を添加しても良い。
樹脂粒子の種類としては、アクリル樹脂ビーズ、PTFE等が挙げられる。これら樹脂粒子は、主樹脂であるポリエステル系樹脂よりも硬度が高く、かつTgも高いために、連続プレス時に金型が高温になった際も安定した潤滑性と塗膜保護が可能である。
樹脂粒子の平均粒径は特に制限されないが、塗膜厚の2倍以内であることが好ましい。平均粒径が塗膜厚の2倍より大きいと、樹脂粒子がプレス加工時に欠落しやすくなる。このため、着色塗膜に傷を付ける可能性、および塗装時にロールギャップを通過しない可能性が高まる。プレス条件にもよるが、アクリル樹脂とPTFEの両方の樹脂粒子を着色塗膜に含有させることが好ましい。樹脂粒子の添加量は、好ましくは塗料固形分に対して0.5質量%以上15質量%未満であり、より好ましくは1質量%以上10質量%未満である。
アクリル樹脂ビーズのように透明な樹脂ビーズを添加すると、特に塗膜厚が比較的小さい場合、上記20°鏡面光沢度が低下することで塗膜の隠蔽性が低下することがある。したがって、その場合には、添加量または塗膜厚を調整して、本発明で規定するL*値および20°鏡面光沢度が得られるようにする。他の任意添加成分についても、添加量は本発明で規定するL*値および20°鏡面光沢度が得られる範囲内とする。
(4)塗膜厚
着色塗膜の膜厚は3μm以上10μm以下の範囲とする。3μm未満では、塗膜の隠蔽性が劣るほか、平面部の耐食性も低下することが懸念され、10μm以上だとコスト面において不利となる。好ましい膜厚の範囲は4μm以上8μm以下である。
2.基材
本発明の塗装鋼板の基材は、好ましくは亜鉛系めっき鋼板である。ただし、アルミニウムを含むめっき層を有するアルミニウム系めっき鋼板、さらには非めっき鋼板も使用可能である。
亜鉛系めっき鋼板の例は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(例えば、溶融亜鉛−55質量%アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−5質量%アルミニウム合金めっき鋼板)、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板、黒色化処理後のニッケル−亜鉛合金めっき鋼板などであるが、これらに限られない。
基材の亜鉛系めっき鋼板は、塗装鋼板の用途に応じて選定することができる。例えば、屋内で使用される家電製品の筐体に好ましいのは電気亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛合金めっき鋼板である。一方、屋外で使用される用途に好ましいのは、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板等である。
亜鉛系めっき鋼板は、通常は両面にめっき皮膜を有する。めっき付着量は一般的なものでよく、通常は電気めっきの場合で3〜50g/m2、溶融めっきの場合で30〜150g/m2である。
3.化成処理皮膜
着色塗膜の密着性および塗装鋼板の耐食性を高めるために、塗装鋼板においては慣用となっている化成処理皮膜を基材の亜鉛系めっき鋼板の両面に形成することが好ましい。化成処理皮膜は、環境の観点より、クロムを全く含有しない化成処理皮膜とする。また、本発明に係る着色塗膜を基材の片面だけに形成する場合には、他面については化成処理皮膜を形成しなくてもよい。
化成処理皮膜上に1層の着色塗膜を形成する場合,基材の隠蔽性を向上させるために,化成処理皮膜に着色顔料や染料を添加することもできる。
化成処理皮膜は、基材の表面(基材が亜鉛系めっき鋼板の場合にはめっき層)と着色塗膜との密着性(めっき皮膜/化成処理皮膜界面、化成処理皮膜/着色皮膜界面)を確保するうえで、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤は、アルコキシ基が加水分解して水酸基となり、水酸基同士が縮合することで、架橋シロキサン結合を骨格とする皮膜を形成する。アルコキシ基が少ないと、架橋反応が遅延し、基体との密着性が低下することがある。一方、有機官能基が少ないと、上層の着色塗膜との密着性が低下することがある。これらの点から、シランカップリング剤はトリアルコキシル型のものが好ましい。本発明で使用するのに適したシランカップリング剤の具体例としては、これらに限定されないが、下記の化合物を例示することができる:ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびテトラメトキシシラン。
化成処理皮膜は、密着性、耐食性の観点から、無機化成処理皮膜または無機有機複合化成処理皮膜とすることが好ましい。シランカップリング剤以外の成分として、無機化成処理皮膜の場合には、シリカ微粒子、バナジウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、リン酸化合物などから選ばれる1種または2種以上が例示される。無機有機複合化成処理皮膜は、上記の無機化成処理皮膜に含有される化合物に加え、水溶性または水分散の有機樹脂を含有する。適当な樹脂の例としては、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが例示される。
シリカ微粒子としては、液相シリカ、気相シリカの2種類が存在するが、これらのいずれかを用いてもかまわない。
バナジウム化合物としては、バナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
チタン化合物としては、Tiアルコキシド、あるいは塩基性Ti炭酸塩、Tiフッ化物、Ti含有有機キレート、Ti含有カップリング剤(Tiアルコキシドにエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリロキシ基などの有機官能基が結合した化合物)等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウム化合物としては、Zrアルコキシド、あるいは塩基性Zr炭酸塩、Zrフッ化物、Zr含有有機キレート等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
リン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
化成処理皮膜の付着量は、着色塗膜の下層の化成処理皮膜、すなわち、おもて面に用いられる化成処理皮膜については、良好な密着性、耐食性を確保するために、20mg/m2以上1000mg/m2以下とすることが好ましい。付着量が過度に少ないと、めっき表面に化成処理皮膜が十分に存在しておらず、着色塗膜が優れた密着性を発現するのが困難になる。一方、付着量が過度に多いと、化成処理皮膜自体が凝集破壊してしまう可能性がある上、コストが高くなる。
うら面についても、めっき表面に化成処理皮膜が形成されていることが好ましい。うら面の化成処理皮膜の付着量は、次に示すように、用途に応じて適宜設定すればよい。
i)おもて面と同様に化成処理皮膜上に1層の着色塗膜を有する場合:この場合は、おもて面と同様の化成処理を施すことで、良好な密着性、耐食性を確保できる。すなわち、この場合の好ましい付着量は20mg/m2以上1000mg/m2以下である。
ii)化成処理皮膜のみの場合
導電性等が要求される場合にはうら面は化成処理皮膜のみとし、塗膜を形成しないことが好ましい。この場合も、良好な導電性および耐食性を確保するために好ましい化成処理皮膜の付着量は20mg/m2以上1000mg/m2以下である。付着量が過度に少ないと耐食性が不十分となる。一方、付着量が過度に多いと、導電性が低下する上、化成処理皮膜自体凝集破壊の可能性やコスト高という問題を生ずる。
化成処理皮膜のみの場合には、耐食性を高めるために、化成処理皮膜が着色塗膜について上述した防錆顔料を含有することが好ましい。また、プレス性を向上させるために、化成処理皮膜にワックスまたは樹脂粒子等を含有させることも可能である。
4.製造方法
本発明に係る塗装鋼板の製造方法は特に限定されないが、通常は次のようにして製造することができる。
まず、常法にしたがって、基板に化成処理を施す。基材の亜鉛系めっき鋼板を、上述した成分を含有する化成処理液を接触させ、引き続いて焼付け又は乾燥して化成処理皮膜をめっき鋼板の両面に形成する。基板と化成処理液との接触は、浸漬、スプレー、ロールコートなどにより実施できる。例えば、うら面に塗膜を形成しない場合のように、おもて面とうら面とで異なる化成処理液を使用する場合には、ロールコートで接触を行うことが好都合である。
次に、着色塗膜について述べた成分を適当な有機溶媒に溶解または分散させて得た着色塗料を、化成処理皮膜が形成された金属板の上に所定の厚さで塗布し、引き続いて焼付けを行って、化成処理皮膜上に着色塗膜が形成された塗装鋼板を得る。適当な有機溶媒の例は、ケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素、セロソルブ類、カルビトール類、エステル類、エーテル類などである。溶媒は塗布に適した塗料粘度が得られる量で使用する。
塗布手段としては、浸漬、スプレー、ロールコート、ドクターブレード塗布が例示される。焼付けは、溶媒の揮発とバインダー成分の硬化に十分な温度で行う。硬化触媒がアミンブロック化触媒である場合には、焼付け温度はブロック化に用いたアミンの解離に必要な温度とする。
化成処理皮膜および着色塗膜の焼付け温度は、化成処理液と着色塗料の組成や求められる特性に応じて最適な温度に選択すればよい。
化成処理皮膜の焼付け温度は、PMT(基板の最高到達温度)で80℃以上である。化成処理皮膜は、皮膜が乾燥すれば、一般には十分な耐食性、導電性、塗膜密着性等の要求性能を満足する。
着色塗膜の焼付け温度は、PMTで170℃以上とすることが好ましい。170℃以下であると、塗膜の架橋開始温度に十分に達していないため着色塗膜が未硬化な状態になる可能性がある。
焼付け時間は、焼付け温度との兼ね合いで適宜選択すればよい。
本発明の塗装鋼板上に、設備上または工程上可能であれば、さらに付加機能を有するクリア塗料および/または着色塗料を塗布してもよい。そのような塗料を塗布することで、従来の2コート2ベークや3コート3ベークの塗装工程で、従来の塗装鋼板の性能を有し、かつ新たな性能を有する塗装鋼板を安価で製造することが可能となる。付加機能としては、光触媒機能等を有する耐汚染性、防臭、消臭性等が挙げられるが、これらに限られない。
以下に本発明を例示する目的で実施例を示す。実施例中、%は特に指定しない限り質量%である。
1.鋼板サンプルの作成
(1)めっき鋼板
基材の亜鉛系めっき鋼板として、表1に示す両面電気亜鉛めっき鋼板(EG)、両面亜鉛−ニッケル合金電気めっき鋼板(SZ)を使用した。鋼板サイズはいずれも250×300mmであった。
Figure 2013193273
各基材めっき鋼板の両面に、常法に従ってアルカリ脱脂及び水洗を行った後、下記に示す工程を行い、塗装鋼板を作成した。
(2)化成処理液
使用した化成処理液は、クロムを含有しない市販の化成処理液(日本ペイント社製EC2330)であった。この化成処理液は、シランカップリング剤、気相シリカ、バナジウム化合物、ジルコニウム化合物、ウレタン樹脂等を含む無機有機複合化成処理液である。
(3)着色塗料
バインダー樹脂として使用したポリエステル系樹脂は、表2に記載の数平均分子量(表2には「分子量」と記載)とガラス転移点(表2には「Tg」と記載)を有する3種類のものであった。いずれも市販のポリエステル樹脂であった。
Figure 2013193273
各ポリエステル樹脂にメラミン系硬化剤(住友化学社製スミマールM−50W、メチル化メラミン)を固形分比で15%添加したベースクリア塗料(溶媒はシクロヘキサノン、固形分40%)を作成し、これにカーボンブラック(平均粒径24nm)を塗膜に対して4質量%添加して着色塗料を作成した。さらに、光沢調整のためにアクリル樹脂ビーズ(平均粒径2μm)を塗料固形分に基づいて5%の量で添加した着色塗料も作成した。作成した各着色塗料には、塗料質量に対して0.2%の硬化触媒(三井サイテック社製キャタリスト4050)を添加した。塗料の固形分組成(塗膜組成)を表3に示す。表3には記載がないが、各塗膜組成は上記硬化剤および硬化触媒を含有する。
(3)おもて面(意匠面)のサンプル作成
上記の化成処理薬液を、基材のめっき鋼板の片面にバーコーターを用いて塗布し、10秒で、板の最高到達温度(PMT)が80℃になるように加熱し、おもて面の化成処理皮膜を形成した。化成処理皮膜の付着量が50mg/m2になるように、バーコーターの番手および希釈率を調整した。
次に、化成処理皮膜が形成された鋼板サンプルに、着色塗料をバーコーターにより塗布し、板の到達温度が50秒で230℃となるように加熱し、おもて面の上塗り塗膜を形成した。溶剤の添加、バーコーター番手変更をすることで膜厚調整した。
使用した基材、化成処理液、着色塗料の記号と着色塗膜の成分および塗膜厚を表3に示す。
2.評価方法
得られた塗装鋼板のおもて面サンプルを試験片として用い、下記の特性を評価した。評価結果も表3に併せて示す。参考のために、いずれもポリエステル樹脂系の下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する市販の2コート2ベーク型の標準的なプレコート鋼板における試験結果も併せて示す。
(1)曲げ加工性
50mm×200mmサイズの試験片を用いて塗装面を外側に向けて0T折り曲げ試験(23℃)を行った。形成された180°密着曲げ塗膜を10倍ループで観察して、クラック発生の有無を調査した。評価基準は下記の通りであった。◎と○が合格である:
◎:クラックなし、
○:基材に達するクラックなし、
×:基材に達するクラックあり。
(2)耐食性
70mm×150mmサイズの試験片の4辺と塗装されていないうら面をシールし、JIS Z 2371に指定された条件で塩水噴霧試験を240時間実施し、120時間後と240時間後の試験片の塗装面の平面部腐食面積率を求めて、下記判定基準で評価した。◎および○が合格である:
◎:240時間後白錆発生無し、
○:120時間後白錆発生無し、240時間後白錆発生有り、
△:120時間後白錆発生有り(点状)、
×:120時間後赤錆発生有り、全面白錆発生有り。
(3)外観
目視により外観を下記基準で評価した:
○:色調に深みが感じられ、基材の隠蔽性に優れる、
△:色調に深みが感じられず、基材の隠蔽性に劣る。
Figure 2013193273
表3に示すように、本発明に従った塗装鋼板は、着色塗膜が塗膜厚10μm以下の薄い単層塗膜であって、1コート1ベークで製造されたものであるにもかかわらず、2層塗膜(2コート2ベーク)を有するNo.11の塗装鋼板に匹敵する優れた基材の隠蔽性、加工性及び耐食性を示す。No.7は、単層塗膜を15μmの厚みで形成した塗装鋼板であり、もちろん、この場合も性能は優れているが、コスト高になる。
No.1は、塗膜厚が2μmと薄かったために、L*値および20°鏡面光沢度がいずれも本発明の条件を満たさなかった。No.3は、塗膜厚みが3μmであったが、塗膜がアクリルビーズを含有しているため、20度鏡面光沢度が低くなった。これらの比較例ではいずれも外観が悪く、隠蔽度に劣っていた。No.9では、使用したポリエステル樹脂の分子量が小さすぎたため、加工性が不芳となった。

Claims (6)

  1. 鋼板の少なくとも片面に単層の着色塗膜を備えた塗装鋼板であって、
    前記着色塗膜は、ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂とし、着色顔料としてカーボンブラックを5質量%以下の量で含有する、膜厚3μm以上10μm以下の焼付け硬化塗膜であり、前記ポリエステル系樹脂が、数平均分子量6000以上、ガラス転移点15℃以上のものであり、前記塗膜の表面色調がJIS Z8729に規定されるL*、a*、b*表色系でL*≦40であり、かつ前記塗膜のJIS Z8741に規定される20°鏡面光沢度が3以上であることを特徴とする、塗装鋼板。
  2. 前記鋼板が亜鉛系めっき鋼板であり、前記着色塗膜の下側にクロムを含有しない化成処理皮膜層を有する請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 前記単層の塗膜が鋼板の片面に形成され、鋼板の反対側の面は塗膜を有しておらず、付着量が20mg/m2以上1000mg/m2以下のクロムを含有しない化成処理皮膜層を有している、請求項1または2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記亜鉛系めっき層が、ニッケル含有量11質量%以上15質量%以下のニッケル−亜鉛合金めっき層である、請求項2または3に記載の塗装鋼板。
  5. 前記焼付け硬化塗膜が硬化剤としてメラミン樹脂を使用した塗膜である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗装鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の塗装鋼板からなる筐体であって、この筐体の外面に前記着色塗膜を有する筐体。
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