JPWO2003011603A1 - テーププリンタ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、テープ状の印刷媒体にドットパターンでライン印刷を施すためのテーププリンタに関する。
背景技術
巻回された長尺のテープを直流モータ(以下、DCモータと称す)によって巻き解きつつ走行させてこれにドットパターンでライン印刷を施すためのテーププリンタが知られている。かかるテーププリンタには、印刷位置の下流側にテープを切断するためのカッターが配置されたものがある。このようなテーププリンタを用いると、印刷後にテープを手動でまたは自動的に切断可能であるため、所望長さに切断された印刷済みテープを簡易に得ることができる。
上述したテーププリンタには、DCモータの回転量を知るために、円周方向に一定間隔で形成されたスリットを有し且つDCモータの出力軸などに接続された回転円板と、この回転円板の両側にそれぞれ発光素子及び受光素子が対向配置されたフォトセンサとを有するエンコーダが用いられることがある。エンコーダを用いる場合、DCモータが定速回転しているか否かに関係なく、受光素子の出力信号であるパルス信号に基づいて求められたDCモータの回転量が所定量増加するごとに印刷ヘッドが駆動されてテープに印刷が施される。これにより、常にテープの走行方向に均一なドット間隔で印刷が行われる。
このように、常にエンコーダの出力信号に基づいて印刷ヘッドの駆動タイミングを決定するようにした場合、DCモータの回転変動が大きくDCモータの回転速度が大きくなったときには印刷周期が非常に短くなる。そのため、高性能のハードウェアを使用しなければ、例えば、アウトラインフォントデータからビットマップデータへの展開、文字装飾、縦横変換などの印刷ヘッドの駆動休止期間に行っている印刷データのデータ処理時間を十分に確保することができなくなって、印刷ミスが生じるなど印刷品質が劣化してしまうという問題が生じている。
そこで、本発明の主な目的は、エンコーダを用いる場合にDCモータの回転数が大きくなったときでも印刷データの処理時間を十分に確保することができる印刷品質の優れたテーププリンタを提供することである。
発明の開示
上記目的を達成するために、本発明のテーププリンタは、テープ状の印刷媒体にドットパターンでライン印刷を施す印刷ヘッドと、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとの少なくともいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる送り機構とを備えたテーププリンタにおいて、前記送り機構の駆動源であるDCモータと、前記DCモータの正転量を検出するための正転検出手段と、前記DCモータへの電力供給が中断されてから前記DCモータの停止および前記DCモータへの電力供給の再開を経て前記DCモータが定速回転を開始するまでの少なくとも一部の期間においては、前記正転検出手段で検出された前記DCモータの正転量が所定量増加するごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるように、前記DCモータが定速回転している間においては、所定時間ごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるように前記印刷ヘッドの駆動タイミングを制御する印刷制御手段とを備えていることを特徴としている。
本発明によると、DCモータが定速回転している時はエンコーダの出力信号にかかわらず所定時間ごとに印刷が行われるので、印刷ヘッドの駆動休止期間(つまり隣接ドットの印刷間)に行うべきデータ処理のために十分な時間を確保することができる。また、DCモータが定速回転していない時はエンコーダの出力信号からDCモータの正転量に基づいて印刷タイミングを決定するので、例えばDCモータへの電力供給を中断してからの時刻に基づいて印刷タイミングを決定する場合などと比較して、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止することができる。
また、本発明のテーププリンタは、前記DCモータの逆転量を検出するための逆転検出手段をさらに備えており、前記印刷制御手段は、前記DCモータへの電力供給が中断されてから前記DCモータが停止するまでに前記逆転検出手段で検出された前記DCモータの逆転量が補償されるように、前記DCモータへの電力供給が再開された際の前記印刷ヘッドの駆動タイミングを制御することを特徴としている。
本発明によると、電力供給が中断されてから停止するまでのDCモータの逆転に起因した印刷ドットの位置ずれを抑制することができるので、隣接したドットがうまくつながった高品質の印刷結果が得られる。
さらに、本発明のテーププリンタは、前記DCモータの回転変動を小さくする変動低減手段をさらに備えていることを特徴としている。
本発明によると、DCモータの回転変動が小さくなって、定速回転時にはDCモータがほぼ同じ速度で走行するようになり、所定時間毎に印刷が行われた場合のドット間隔を一定に維持することができて印刷品質が向上する。
また、本発明のテーププリンタは、テープ状の印刷媒体に幅方向に配列されたドットパターンからなるライン毎に印刷を施す印刷ヘッドと、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとのいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる送り機構と、前記印刷ヘッドと前記モータとの駆動を制御する印刷制御手段と、を有し、前記送り機構は直流モータを含むテーププリンタであって、前記直流モータの正転量を検出する正転検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記モータへの電力供給が中断してから、前記モータの回転停止及び前記モータへの電力供給再開を経て、前記モータが定速回転状態に達するまでの期間は、前記正転検出手段で検出された正転量が所定量増加する毎に順次前記ラインを印刷し、前記モータが定速回転する期間は、所定時間毎に順次前記ラインを印刷することを特徴とする。
本発明によれば、DCモータが定速回転するときは、印刷制御手段に対して、印刷されるデータ処理のために十分な時間を確保できる。また、DCモータが定速回転しないときは、DCモータの所定角度の正転毎に印刷が行われるので、印刷されたドットの位置ずれを防止できる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
第1図に、本発明の一実施例であるテーププリンタ1を示す。第1図に示すように、テーププリンタ1は、本体2の上面に文字キーや制御キーなどの多数のキーを含むキーボード3を有している。また、テーププリンタ1には、第2図に示すように、内部にカセット収納部フレーム11が設けられ、このカセット収納部フレーム11にはテープ収納カセット30を着脱自在に装着できるようになっている。また、カセット収納部フレーム11には、テープ駆動印刷機構10と、テープを切断するためのカッター17が形成されている。本体2の側部には、テープの排出口5が形成され、テープ収納カセット30から引き出されて印刷されたテープがカッター17で切断された後に排出口5を経て本体2の外部に排出されるようになっている。さらに、本体2の内部には、キーボード3からの入力に応じてテープライタ1の印刷を制御する制御回路(図示せず)が設けられている。
第2図に示すように、テープ収納カセット30には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等からなる透明な表層テープ31が巻装されたテープスプール32と、インクリボン33が巻装されたリボン供給スプール34と、使用済みのインクリボン33を巻き取る巻取りスプール35と、表層テープ31と同一幅で両面に接着剤層を有する両面接着テープの片面に剥離テープが貼り合わされた二重テープ36が剥離テープを外側にして巻装された基材供給スプール37と、二重テープ36と表層テープ31とを重ねて接合するための接合ローラ39とが、それぞれ所定の位置に回転自在に設けられている。
第2図に示すように、カセット収納部フレーム11には、軸20aを中心にして揺動可能となるようにアーム20が取り付けられている。アーム20の先端には、第2図及び第3図に示すように、共にゴムなどの可撓性部材を表面に有するプラテンローラ21及び送りローラ22が回動自在に取り付けられている。アーム20が最も時計回りに揺動した位置では、プラテンローラ21が表層テープ31及びインクリボン33を介してプレート12に配置されたサーマルヘッド13と圧接し、送りローラ22が表層テープ31及び二重テープ36を介して接合ローラ39と圧接する。
プレート12は、カセット収納部フレーム11から立設している。プレート12のプラテンローラ21側には、サーマルヘッド13が配置され、サーマルヘッド13には、多数の発熱素子がテープの走行方向に対して垂直方向に1列に配列されて構成されている。プレート12は、テープ収納カセット30がカセット収納フレーム11の所定位置に装着されたときに、テープ収納カセット30の凹部14にはめ込まれるようになっている。また、第3図に示すように、カセット収納部フレーム11からは、リボン巻取りローラ15及び接合ローラ駆動ローラ16が立設している。テープ収納カセット30がカセット収納フレーム11の所定位置に装着されると、リボン巻取りローラ15及び接合ローラ駆動ローラ16はそれぞれ巻取りスプール35及び接合ローラ39内に挿入される。
また、カセット収納部フレーム11にはテープ走行用のDCモータ2が取り付けられている。DCモータ2の出力軸41から取り出された回転駆動力は、カセット収納部フレーム11に沿って互いに噛み合うように配置された円板状のギア42、43、44、45、46、47、48並びにプラテンローラ21及び送りローラ22とそれぞれ直列に配置された円板状のギア24、25を介して、リボン巻取りローラ15、接合ローラ駆動ローラ16、プラテンローラ21及び送りローラ22にそれぞれ伝えられる。
そのため、DCモータ2に電力が供給されて出力軸41が回転すると、それに応じて巻取りスプール35、接合ローラ39、プラテンローラ21及び送りローラ22が回転し、これらの回転によって生じる駆動力によってテープ収納カセット30内の表層テープ31、インクリボン33及び二重テープ36が巻き解かれつつ下流側へと搬送される。表層テープ31及びインクリボン33は、互いに重ね合わされてからプラテンローラ21とサーマルヘッド13との間を通過する。表層テープ31及びインクリボン33は、プラテンローラ21とサーマルヘッド13とによって挟まれた状態で搬送されつつ、サーマルヘッド13に配列された多数の発熱素子に選択的かつ間欠的に通電が行われることにより、表層テープ31にインクリボン33のインクがドット単位で転写されてそこに所望のドット画像が鏡像で形成される。また、サーマルヘッド13を通過したインクリボン33はリボン巻取りローラ15によって巻き取られた後、表層テープ31が二重テープ36と重ねられて送りローラ22と接合ローラ39との間を通過する。これによって、ドット印刷済みの表層テープ31は、その印刷面側が二重テープ36と強固に重ね合わされる。
表層テープ31と二重テープ36とが重ね合わされた積層テープ38は、表層テープ31の印刷面とは反対側から印刷画像の正像を見ることができるものであって、送りローラ22の下流側に配置されたカッター17によって切断されてから排出口5から排出される。カッター17は、固定刃17aに対して回動刃17bが回動して切断対象物を剪断する鋏形式であり、回動刃17bは、カッター用モータ72(図示せぬ)によって支点を中心に往復揺動することにより積層テープ38を切断する。切断された積層テープ38は、剥離テープを剥がすことにより任意の場所に貼り付けることが可能な粘着ラベルとして用いることができる。
第3図に示すように、DCモータ2には、その回転量を検出するセンサとしてエンコーダ49が取り付けられている。エンコーダ49は、円周方向に一定間隔で形成されたスリットを有し且つDCモータ2の出力軸41が回転軸となるようにこれに接続された回転円板49aと、この回転円板49aの両側に発光素子及び受光素子が対向配置された2組のフォトセンサ49b、49c(第3図には、フォトセンサ49bのみを示す。フォトセンサ49cはフォトセンサ49bの後ろに位置する)とを有している。2つのフォトセンサ49b、49cの発光素子から出射された光線は、回転円板49aの回転に応じて、スリット間で遮蔽されたり、或いはスリットを通過して受光素子に到達する。
2つのフォトセンサ49b、49cの間隔及びスリットの間隔は、回転円板49aの回転方向が正転の場合と逆転の場合とで、一方のフォトセンサの出力信号に対する他方のフォトセンサの出力信号の位相が180°ずれるように設定されている。この点について、第4図に基づいて説明する。第4A図は、回転円板49aが回転している場合のフォトセンサ49bの出力信号である。これに対し、第4B図は、回転円板49aが正転している場合フォトセンサ49cの出力信号であり、第4C図は、回転円板49aが逆転している場合のフォトセンサ49cの出力信号になる。
フォトセンサ49b、49cの出力から分かるように、回転円板49aが正転しているときには、フォトセンサ49bの出力がロウからハイに変化する時刻においてフォトセンサ49cの出力は既にハイレベルにある。一方、回転円板49aが逆転しているときには、フォトセンサ49bの出力がロウからハイに変化する時刻において、フォトセンサ49cはロウレベルにある。従って、2つのフォトセンサ49b、49cの受光素子の出力信号を比較することによって、回転円板49aが正転しているか、逆転しているかを判断することができる。なお、第3図に示したように2つのフォトセンサ49b、49cを用いる代わりに、1つの2相フォトセンサを用いても同様の検出を行うことが可能である。
本実施の形態のテーププリンタ1の制御回路は、第5図に示すように、CPU61、CG−ROM62、ROM64、RAM66、タイマ67、サーマルヘッド13のドライバ回路68、カッター用モータ72のドライバ回路69、DCモータのドライバ回路70を有する。CPU61は、CG−ROM62、ROM64、RAM66、タイマ67、ドライバ回路68〜70と接続されていると共に、エンコーダ49、キーボード3、接続インターフェイス67にも接続され、各種演算を行うと共に信号の入出力を管理する。なお、接続インターフェース67は、パーソナルコンピュータなどの外部機器78と有線または無線で接続されている。
CG−ROM62は、印刷される文字や記号の画像データをコードデータと対応させてドットパターンで記憶するキャラクタージェネレータ用メモリである。ROM64には、テーププリンタ1を動作させるための各種のプログラムやデータテーブル類が格納されている。RAM66は、キーボード3から入力されたデータや外部機器78から接続インターフェイス67を介して取り込まれたデータ、及び、CPU61での演算結果などを一時的に記憶する。タイマ67は、クロック信号に基づいて基準時刻からの経過時間をCPU61に通知する。
CPU61は、サーマルヘッド13での印刷を制御する印刷制御機能61aと、DCモータ2を制御するテープモータ制御部61bと、カッター用モータ72を制御するカッターモータ制御部61cとを含む。
ドライバ回路68は、印刷制御部61aからの制御信号に基づいてDCモータ2の駆動と同期するようにサーマルヘッド13に駆動信号を供給する。また、印刷制御部61aは、テープに印刷される印刷データをCG−ROM62のデータを参照してビットマップに展開し、展開されたビットマップを、テープの走行方向に対応する方向とは垂直な方向に沿って、1回のサーマルヘッド13の駆動により印刷されるドットパターンからなる印刷ラインに分割し、印刷ライン毎のデータを、印刷される順番に対応させてドライバ回路68に送るものである。
ドライバ69は、カッターモータ制御部61cからの制御信号に基づいてカッターモータ用モータ72に駆動信号を供給する。ドライバ回路70は、テープモータ制御部61bからの制御信号に基づいてDCモータ2に駆動信号を供給する。
さらに、CPU61は、エンコーダ49のフォトセンサ49b、49cの出力に基づいて、DCモータ2が正転または逆転していることを示す正転パルスまたは逆転パルスを、DCモータ2が所定角度を回転する毎に生成する。このCPU61には、正転パルスカウンタ73及び逆転パルスカウンタ74が接続され、このカウンタ73,74は、DCモータの回転に伴い生じた正転パルス及び逆転パルスの数をそれぞれカウントできる。また、CPU61には、印刷された印刷ライン数をカウントする印刷ラインカウンタ75も接続されている。印刷ラインカウンタ75のカウント値は、DCモータによって送られてサーマルヘッド13によって印刷される印刷ラインに対応する。
DCモータ2のドライバ回路70は、電子ガバナ回路及び電圧供給回路(図示せぬ)を含んでいる。電子ガバナ回路は、DCモータ2の比例電流制御用IC(定速制御用IC)を含んでおり、DCモータ2の逆起電力が一定になるように比例電流制御を行う。電子ガバナ回路の作用により、DCモータ2は、電力供給の開始からある程度の時間がたつと、電源電圧の大きさにかかわらず、一定の回転数で回転するようになる。これにより、DCモータ2の回転変動を非常に小さくすることができる。一方、電圧供給回路は、電源電圧を有する電源が接続される電源端子と、電源端子に接続された電源からDCモータ2への電力供給をオンオフするためのスイッチング素子であるトランジスタとを含んでおり、このトランジスタをオンオフさせることによりDCモータ2への電力供給もオンオフされる。
次に、本実施の形態によるテーププリンタ1の具体的な制御手順について、第6図乃至第14図を参照して説明する。
なお、第6A図および第6B図において、正転パルス、逆転パルス及びサーマルヘッド駆動信号は、すべてではなく代表的なものだけが描かれている。
本実施の形態のテーププリンタ1を用いて所望の画像をテープ印刷するには、キーボード3を操作して印刷したい文字や記号を入力したり、テーププリンタ1に接続された外部機器78から印刷したい図形を取り込む。このようにして入力されたり取り込まれたデータは、印刷データとしてRAM66の所定領域に格納される。そして、必要であれば適切な編集作業が行われる。
次に、キーボード3の印刷キーが押下されたり或いは外部機器78から印刷命令が与えられると、印刷が開始される。第7図に印刷制御手順を示す。第7図に示すように、ステップS1において、印刷制御部61aは、RAM66に格納された印刷データを、CG−ROM62に記憶されたコードデータと参照するなどしてビットマップのドットに展開して印刷ラインに分割し、印刷ライン総数NAを算出する。さらに、各印刷ラインを印刷される順番に対応させるとともに、この印刷ライン数NAをRAM66の所定領域にセットする。さらに、ステップS2において、印刷制御部61aは、サーマルヘッド13およびカッター17間の距離と、DCモータ2への電力供給を中断してからその停止までのテープ移動量を考慮して、テープの余白カット位置を求め、この余白カット位置をRAM66の所定領域にセットする。なお、余白カット位置は、余白部を切断する場合だけでなく、印刷データ量がメモリ容量を超えるためにテープの切断を伴うことなくDCモータを一旦停止させる場合にもセットされる。複数の画像が印刷される場合には、それぞれの画像について、印刷ライン数NAがセットされる。続いて、ステップS3において、ステップS1でセットされた印刷ライン数NAの印刷が終了したときの位置である印刷終了位置、またはステップS2でセットされた余白カット位置で、テープを切断するかどうかの設定フラグ(カットフラグ)がRAM66の所定領域にセットされる。
そして、ステップS4において、印刷ラインカウンタ75は、カウント値Nが「0」に初期化され、ステップS5に進む。ステップS5において、テープモータ制御部61bの制御に基づいてDCモータ2への電力供給が開始されてテープが走行し始める。次に、ステップS6にて、印刷周期、すなわち印刷サイクルがスタートする。
印刷周期は、所定間隔T0毎に入力データに応じてサーマルヘッド13を駆動してテープに印刷ライン毎に印刷を行う、テープの定速走行時におけるプリンタの動作である。この印刷周期の詳細を、第8図を参照しながら説明する。
ステップS11において、タイマ67が印刷周期タイマ67としてリセットされ計時を開始する。次に、ステップS12において、印刷周期タイマの時間がToになったかどうかを判別する。印刷周期タイマが時間Toを示す場合、ステップS13に進み、現在の位置が印刷ライン数NAに対応した印刷終了位置範囲に入ったかどうか、すなわち、印刷ラインカウンタのカウント値Nと印刷ライン数NAとの差が所定範囲α(αは任意の自然数)内に入ったかどうかを判断する。ステップS13にて、NとNAとの差が所定範囲αになければ(S13:NO)、ステップS14に進む。ステップS14で、現在の印刷ラインカウンタのカウント値NがステップS2でセットされた余白カット位置に相当するかどうかが判断される。余白カット位置に相当しないと判断されると(S14:NO)、ステップS15に進む。
ステップS15では、RAM66に記憶された印刷データのうち、印刷ラインカウンタ75のカウント値に対応した印刷ラインのデータが、印刷制御部61aによってドライバ回路68に供給されることにより、サーマルヘッド13によって表層テープ31へのドット印刷が行われる。このとき、一定の印刷間隔となる時間T0は、上記ビットマップへの展開などのデータ処理に十分な時間が確保されるように決められたものである。
引き続いて、ステップS16において、印刷ラインカウンタ75のカウント値Nが1だけインクリメントされる。以降、印刷ラインカウンタ75のカウント値Nが印刷終了位置範囲に入るまで、或いは余白カット位置に達するまで、DCモータ2が定速回転し且つテープが定速走行しているとして、第6A図に示すように、時刻t0までは、時間T0ごとに表層テープ31へのライン印刷が実行される。S11〜S16の一連のステップを順次繰り返すことにより、表層テープ31上には、テープの走行方向に対して均一なドット間隔によりドットパターン印刷が施される。
ステップS13で現在の位置が印刷終了位置範囲にあると判断されると(S13:YES)、ステップS17に進む。ステップS17では、印刷終了フラグがオンになり、ステップS18に進む。また、ステップS14で、現在の位置が余白カット位置にあると判断された場合も(S14:YES)、ステップS18に進む。ステップS18にて、正転パルスカウンタ73及び逆転パルスカウンタ74のカウント値Rf、Rrがそれぞれ「0」にリセットされる。
次のステップS19において、エンコーダ49で印刷タイミングをとって印刷を行うエンコーダ割込み処理を開始するためのフラグがRAM66の所定領域にセットされ、続いて、ステップS20において、テープモータ制御部61bの制御によりDCモータ2への電力供給が停止されると共に印刷周期タイマ67が停止される。DCモータ2への電力供給の停止は、例えば第6A図の時刻t0に相当する。時刻t0以降、DCモータ2の回転数が減少し始め、これに伴いテープの走行速度も低下する。従って、ステップS21においてエンコーダ49が起動されて、ステップS22においてエンコーダ割込み処理に入る。これにより、エンコーダ49によって生成される正転パルス又は逆転パルスに基づいて、サーマルヘッド13による印刷が行われるようになる。すなわち、エンコーダ割込み時には、DCモータ2が定速で回転せず、よってテープが定速走行できないので、エンコーダ49の出力信号を用いてテープの走行方向においてほぼ同じドット間隔で印刷が行われるように制御を行うものである。
第9図に、エンコーダ割込みを示す。最初に、ステップS31において、タイマ67がDCモータオフ後タイマとしてリセットされ計時を開始する。ステップS32において、タイマの示す時間Tが100mSであるかどうかを判別する。タイマの示す時間Tが100mSでなければ(S32:NO)、ステップS33に進み、ステップS33にてエンコーダパルスカウント処理が行われる。エンコーダパルスカウント処理の詳細を第10図に示す。
エンコーダパルスカウント処理では、ステップS40にて、CPU61がエンコーダ49からエンコーダパルスが検出されたかどうかを判別する。エンコーダパルスが検出された場合(S40:YES)、ステップS41において、検出されたエンコーダパルスが正転パルスか或いは逆転パルスかを判断する。そして、検出されたパルスが逆転パルスであれば(S41:YES)、ステップS42に進み、逆転パルスカウンタ74のカウント値をインクリメントしてエンコーダパルスカウント処理を終了する。例えば、第6A図および第6B図では、時刻t4〜t5の間に逆転パルスが検出される。検出された逆転パルスをカウントすることによって、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2の回転が停止するまでのDCモータ2の逆転量を測定することが可能となっている。
一方、ステップS41にて検出されたエンコーダパルスが正転パルスであれば(S41:NO)、ステップS43に進み、逆転パルスカウンタ74のカウント値が0であるかどうかを判断する。その結果、逆転パルスカウンタ74のカウント値が0であれば(S43:YES)、ステップS44において正転パルスカウンタ73のカウント値を1だけインクリメントし、エンコーダパルスカウント処理を終了する。一方、逆転パルスカウンタ74のカウント値が0でなければ(S43:NO)、ステップS45において逆転パルスカウンタ74のカウント値を1だけデクリメントし、エンコーダパルスカウント処理を終了する。
エンコーダパルスカウントによって、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2の回転が停止するまでの間と、DCモータ2への電力供給が再開されてからテープが定速走行に達するまでの間との、DCモータ2の正転量および逆転量が測定できる。また、DCモータ2の回転停止前に生じた逆転量がDCモータ2への電力供給再開後の正転によって補償することが可能となっている。
第9図を再び参照すると、エンコーダ割込みでは、ステップS33のエンコーダパルスカウントが終了した後、ステップS35において、正転パルスカウンタ73のカウント値が5の倍数であるかどうかが判断される。その結果、5の倍数でなければ(S35:NO)、ステップS32に戻る。一方、5の倍数であれば(S35:YES)、ステップS36に進む。ここで、5パルスとは、DCモータ2が定速回転しているときにテープが時間T0の間に走行する距離と等しいDCモータ2の正転量に相当するものである。
ステップS36では、当該エンコーダ割込みでの印刷処理がDCモータ2への電力供給停止後2回目以降の印刷処理に係るものであるかどうかを判断する。そして、DCモータ2への電力供給停止後1回目の印刷処理に係るもの(つまり、第6A図に示すように、正転パルスカウンタ73のカウント値がDCモータ2電力供給停止後に最初に「5」となったとき:時刻t1)である場合(S36:NO)、ステップS37に進んでサーマルヘッド13による表層テープ31へ、印刷ラインカウンタのカウント値に対応した印刷ラインのドット印刷が行われる。引き続いて、ステップS38において、印刷ラインカウンタが1だけインクリメントされる。
そして、ステップS39において、DCモータ2への電力供給停止から既定時間が経過したかどうかを判断する。ここでいう既定時間とは、DCモータ2への電力供給停止(時刻:t0)からDCモータ2の回転停止および電力供給の再開を経てDCモータ2が定速回転状態(時刻:t15)に達するまでに必要とされる時間Taであり、ROM64に格納されている。その結果、既定時間が経過していないと判断される場合(S39:NO)は、ステップS32に戻り、既定時間が経過したと判断される場合(S39:YES)、当該エンコーダ割込みが終了する。
一方、ステップS36で当該エンコーダ割込みでの印刷処理がDCモータ2電力供給停止後2回目以降の印刷処理に係るもの(すなわち、第6A図に示すように、正転パルスカウンタ73のカウント値が最初に「10」となったとき:時刻t2)の場合(S36:YES)、ステップS40に進んで、DCモータ2への電力供給が停止されているか否かを判断する。DCモータ2への電力供給が停止されている場合(S40:YES)は、ステップS41に進む。ステップS41では、正転パルスカウンタ73のカウント値が1だけインクリメントされてから、ステップS37へと進み、印刷ラインカウンタ75のカウント値に対応した印刷ラインのドット印刷が行われる。ステップS41を行うことによって、エンコーダ割込みでの2回目以降の印刷は、正転パルスカウンタ73のカウント値が+4されるごとに行われる(第6A図の例では、正転パルスカウンタのカウント値「14」で印刷が行われる:時刻t3)。
一方、DCモータ2への電力供給が停止していない、すなわち本実施例においてはDCモータ2への電力供給が行われている場合(S40:NO)は、ステップS37に進む。
一方、ステップS32にて、タイマの示す時間Tが100mSであれば(S31:YES)、ステップS42にてDCモータオフ後割り込み処理が行われる。
第11図に、DCモータオフ後割込み処理を示す。最初に、ステップS51において、ステップS19でセットされた、エンコーダ49で印刷タイミングをとって印刷するフラグがリセットされる。続いて、ステップS52において、DCモータ2への電力供給が中断されてからの経過時間が100msであるかどうかを判断する。そして、経過時間が100msである(時刻t4)と判断された場合は(S52:YES)、ステップS53の1ライン印刷処理に進む。
第12図に、ステップS53の1ライン印刷処理を示す。まず、ステップS71において、前回印刷時からの正転パルスカウンタ73のカウント値増分が「3」未満であるかどうかを判断する。カウント値増分が「3」未満であれば(S71:YES)、ステップS72に進んで前回印刷時と同じ印刷ラインに係るデータを表層テープ31に印刷する。また、カウント値増分が「3」以上であれば(S71:NO)、ステップS73に進む。ステップS73では、前回印刷された印刷ラインの次の印刷ラインに係るデータが表層テープ31に印刷され、ステップS74に進む。ステップS74で、印刷ラインカウンタ75のカウント値が1だけインクリメントされ、1ライン印刷処理を終了する。
この点について、例えば、太さ1ドット分の細い傾いたラインが印刷される場合を例に、第14図に基づいて説明する。ここまでの段階で2つのドット101、102;201、202が印刷されているとすると、ステップS72のように同じラインが再度印刷される場合には、第14A図の(i)に示すように、直前に印刷されたドット102から副走査方向、すなわちテープの走行方向に0〜3パルス分ずれた位置(主走査方向、すなわちテープの幅方向には同じ位置)に新たなドット103が印刷される。一方、ステップS73のように次のラインが印刷される場合には、第14A図の(ii)に示すように、主走査方向には直前に印刷されたドット202から1ドット分ずれており且つ副走査方向には3〜5パルス分ずれた位置に新たなドット203が印刷される。
ステップS52で経過時間が100msでないと判断された場合には(S52:NO)、ステップS54に進む。ステップS54では、DCモータ2への電力供給を中断してからの経過時間が150ms、200msまたは250msのいずれかであるかどうかが判断される。そして、経過時間が150ms、200msまたは250msのいずれかである(時刻t5、t6、t7)と判断された場合には(S54:YES)、ステップS55に進む。
ステップS55では、前回印刷時に、前々回印刷時と同じラインに係るデータが表層テープ31に印刷されたかどうかが判断される。そして、前回印刷時に前々回印刷時と同じラインに係るデータが印刷されていた場合には(S55:YES)、ステップS56に進んでステップS53と同様に1ライン印刷処理が行われる。また、前回印刷時に前々回印刷されたラインの次のラインに係るデータが印刷されていた場合には(S55:NO)、ステップS57に進んで前回印刷時と同じ印刷ラインに係るデータを表層テープ31に印刷する。ステップS53、S55〜S57の処理を行うことにより、DCモータ2の電力供給停止後は、印刷される印刷ラインのデータが次々と変更される代わりに、50ms経過ごとの正転量に応じて、同じ印刷ラインに係るデータ、または次の印刷ラインに係るデータが選択的に印刷される。従って、DCモータ2への電力供給が止まりながらもテープが副走査方向において定速走行時のドット間隔未満の距離で進んだとしても、印刷画像が著しく幅の狭いものになるのを防止することができる。
ステップS54で経過時間が150ms、200msまたは250msのいずれでもないと判断された場合には(S54:NO)、ステップS58に進む。ステップS58では、DCモータ2への電力供給が中断されてからの経過時間が1000msであるかどうかが判断される。そして、経過時間が1000msでないと判断された場合には(S58:NO)、ステップS54に戻る。一方、経過時間が1000msである(時刻t8)と判断された場合には(S58:YES)、ステップS60に進む。
ステップS60では、DCモータオフ後タイマがストップされる。そして、ステップS61では、ステップS3でセットされたカットフラグがオンになっているかどうかが判断される。カットフラグがオフの場合(S61:NO)、そのまま何もせずにステップS63に進む。カットフラグがオンの場合(S61:YES)、ステップS62でテープカットを行い、ステップS63に進む。第6A図に示すように、テープがカットされると、テープはカッター17から力を受けて、距離L1だけ下流方向に搬送される。
ステップS63では、ステップS15において印刷終了フラグがオンとされているかどうかが判断される。印刷終了フラグがオンであれば(S63:YES)、印刷を終了する。また、印刷終了フラグがオフであれば(S63:NO)、ステップS65に進んで再印刷開始処理を行ってから当該割込みを終了する。
第13図に再印刷開始処理を示す。DCモータ2への電力供給を再開する際、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2の回転が停止するまでのDCモータ2の逆転量を補償した後、エンコーダ49で検出されたDCモータ2の正転パルスカウンタ73の「カウント値+(5−a)」(aは定数であって、DCモータ2の停止時にテープ切断が行われたときには1、行われないときには2である)が5増加するごとに順次次の印刷ラインに係るデータが印刷されるようにする。
まず、ステップS81において、DCモータ2オフ後割込み処理中の時刻t4、t5、t6、t7のすべての時刻、すなわち100ms、150ms、200msおよび250ms(或いは時刻t7、250msのみ。以下同様)において、前回印刷時と同じ印刷ラインに係るデータが印刷されたかどうかが判断される。すべての時刻で前回印刷時と異なる印刷ラインの印刷がされていた場合には(S81:NO)、ステップS82に進んで、第14B図の(ii)に示すように、ドット204を時刻t5に印刷されたドット、ドット205を時刻t6に印刷されたドットとして、前回印刷時(ドット206:時刻t7)と同じ印刷ラインに係るデータ(ドット207:時刻t9)を再び印刷する。これにより、テープカットが行われた場合はテープカットに起因したテープ移動量だけ副走査方向に伸びたドットが形成されるため、ドットピッチが連続して狭くなって印刷画像の線幅が著しく狭くなるのが抑制される。そして、ステップS83に進んで、正転パルスカウンタ73のカウント値を「2」だけインクリメントする。この増分は、DCモータ2停止前の逆転量を補償(ステップS44)するためにDCモータ2を駆動したことによる時刻t10から時刻t11でのテープ移動を考慮したものである。
一方、すべての時刻で前回印刷時と同じラインの印刷がされていた場合(第14B図の(i)に示すように、時刻t4に印刷されたドット103から時刻t5に印刷されたドット104、時刻t6に印刷されたドット105、時刻t7に印刷されたドット106までが主走査方向の位置が同じで副走査方向に0〜3パルス分ずれた位置にある)には(S81:YES)、ステップS84に進む。そして、ステップS84では、テープのカット動作が行われたかどうかが判断される。カット動作が行われた場合には(S84:YES)、ステップS85に進んで、上述した定数aが1とされ、正転パルスカウンタ61dが「4」だけ増分される。また、カット動作が行われなかった場合には(S84:NO)、ステップS86に進んで、上述した定数aが2とされ、正転パルスカウンタ61dが「3」だけ増分される。このようにテープ切断の有無に応じて定数aを変更するのは、切断によってテープが引き出されるためである。なお、第14B図の(ii)の場合にテープ切断の有無に応じて正転パルスカウンタ73の増分値を変更しないのは、ステップS82の印刷時に既にテープ切断によるテープ移動を考慮しているからである。
ステップS83、S85、S86が終了すると、ステップS87に進む。ステップS87では、エンコーダ49で印刷タイミングをとって印刷を行うエンコーダ割込み処理を開始するためのフラグがRAM66の所領域にセットされる。次に、ステップS89においてDCモータ2への電力供給が再開されてDCモータ2は回転し始め(時刻t10)、再印刷開始処理を終了する。
再印刷開始処理が終了した後は、DCモータOFF後割込が終了するので、エンコーダ割り込み処理に戻り、ステップS33において、エンコーダパルスカウント処理にはいる。本実施例では、時刻t10にて、DCモータ2の正転によるDCモータ2の停止直前の逆転量の相殺が開始される。そして、エンコーダパルスカウント処理により、DCモータ2の電力供給再開後、正転パルスが検出される度に、逆転パルスカウンタ74のカウント値が1づつデクリメントされ、停止直前のDCモータ逆転が補償される。なお、エンコーダパルスカウント処理において、ステップS45で逆転量を補償するためにDCモータ2を正転させると、実際には距離L2だけテープがずれて先行搬送される。ステップS34によって、逆転パルスカウンタ74のカウント値が0でない間は、エンコーダパルスカウントが行われるのみであって、サーマルヘッド13による印刷は行われない。ステップS34にて、逆転パルスカウンタ74のカウント値が0になり、すなわちモータの逆転が電力供給再開後の正転によって相殺された後、次にDCモータへの電力供給再開後に最初の正転パルスがステップS44でカウントされた時刻t11から、再び正転パルスのカウント値の増分に基づいて印刷ラインに係るデータの印刷タイミングが制御されることになる。時刻t11の時点で、正転パルスカウンタ73のカウント値は、ステップS83、S85、S86のいずれを経由したかに応じて2、3または4のいずれかの分だけ、5の倍数から増分している。従って、DCモータへの電力供給再開後最初に印刷が行われる時刻t12は、ステップS83を経由した場合は新たに3パルスの正転パルスをカウントしたとき、ステップS85を経由した場合は新たに2パルスの正転パルスをカウントしたとき、ステップS86を経由した場合は新たに1パルスの正転パルスをカウントしたとき(図6A図においては時刻t11)である。このとき印刷されるドット107、208を、第14C図の(i)、(ii)に示す。
そして、DCモータ2への電力供給再開後2回目の印刷は、エンコーダパルスカウントによって時刻t11以降正転パルスが5パルスカウントされた時刻t12に行われる。このとき印刷されるドット108、209を、第14D図の(i)、(ii)に示す。以降、ステップS39で、DCモータOFF後タイマが示す時間、すなわちDCモータ2への電力供給が停止されてからの時間が既定時間Taに達したと判断されるまで、正転パルスカウンタ73のカウント値が5だけ増分するごとに印刷が行われて、印刷ラインカウンタのカウント値が1ずつインクリメントされる(時刻t13,t14,t15)。そして、ステップS39にてDCモータ2への電力供給が停止されてから既定時間Taが経過したと判断された場合(時刻t15)は、エンコーダ割り込みを終了し、ステップS11に戻る。すなわち、本実施例においては、時刻t15にてDCモータ2が定速走行を始めたとして、印刷周期タイマが再びスタートすることにより所定時間T0ごとに印刷が行われる。
このように、本実施の形態のテーププリンタ1によると、エンコーダ49を用いてDCモータ2の逆転量を検出することに基づいた制御を行うことにより、DCモータへの電力供給が中断されてからDCモータの回転が停止するまでの間に生じたDCモータ2の逆転に起因したドット位置ずれを抑制することができるので、隣接したドットがうまくつながった高品質の印刷結果が得られる。また、エンコーダ49を用いてDCモータ2の正転量を検出することに基づいた制御を行うことにより、例えばDCモータへの電力供給を中断してからの経過時間に基づいて印刷タイミングを決定する場合などと比較して、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止することができる。
さらに、DCモータ2の回転停止寸前には正転パルスが5パルスではなく4パルス増分した時点で印刷を行っているので、テープの実際の移動量がDCモータ2の回転によってもたらされる移動量よりも大きくなるのを補償して、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止することができる。また、100ms経過時から250ms経過時までは、50ms経過ごとのDCモータ2の正転量に応じて印刷される印刷ラインのデータを連続して同じものにするか、或いは次の印刷ラインのデータを印刷するかを選しているので、印刷画像の線幅が極端に原画像よりも細くなったり太くなったりするのを抑制することができる。
また、250ms経過時に次の印刷ラインに係るデータが印刷された場合には、テープ切断後に同じ印刷ラインに係るデータが再度印刷されるので、印刷画像の線幅が著しく狭くなるのを抑制することができる。加えるに、DCモータ2への電力供給が再開された際の最初の印刷をDCモータ2の正転量が5パルス分よりも少ない段階で行うようにしているので、テープ切断に起因した印刷媒体の搬送方向への移動と、DCモータの逆転を補償するためにモータを駆動したときに送り機構の作動よりもテープの実際の移動が先行することと、に起因するズレによってホワイトラインが生じるのを防止することができる。この際、DCモータ2への電力供給が再開された際の最初の印刷は、テープ切断の有無を考慮しているので、ドットの位置ずれがほとんどないより高品質の画像が印刷できるようになる。
また、DCモータ2が定速回転している時はエンコーダ49の出力にかかわらず所定時間T0ごとに印刷が行われるので、DCモータ2が大きな回転数で定速走行する場合であっても、サーマルヘッド13の駆動休止期間に行うべきデータ処理のために十分な時間を確保することができる。従って、印刷ミスが生じることがなく、高品質の画像を印刷できるようになる。また、本実施の形態では、電子ガバナ回路を用いてDCモータ2の回転変動を低減させているので、DCモータ2が定速走行にほぼ同じ速度で走行するようになり、所定時間T0毎に印刷が行われた場合のドット間隔を一定に維持することができて印刷品質がさらに向上する。
上述した実施の形態で例示したパルス数などは一例に過ぎず、具体的な装置構成や使用されるテープ種類などに応じて適宜変更されるべきものである。なお、上述した実施の形態に係るテーププリンタ1のROM64には、上記実施の形態で例示したパルス数の組を複数有するテーブルが記憶されていることが好ましい。これにより、使用するテープ種類を変更したときや環境条件などに応じて、特定の組を選択するだけで常に最適な印刷結果が得られるようになる。
上述のように、本発明は以下の効果を有する。
本実施の形態のテーププリンタ1において、サーマルヘッド13は、DCモータ2の定速回転時には所定時間ごとに駆動されて印刷を行う。そのため、ROM64には、テープが定速走行している間におけるサーマルヘッド13への通電間隔(T0)のデータが格納されている。このように、DCモータ2の定速走行時に所定時間ごとにサーマルヘッド13が駆動されるようにすることにより、DCモータ2が大きな回転数で定速回転する場合であってもサーマルヘッド13の駆動休止期間に行われる印刷データのデータ処理時間(例えば、アウトラインフォントデータからビットマップデータへの展開、文字装飾、縦横変換)を十分に確保することができるようになり、印刷ミスが生じるなど印刷品質が劣化してしまうことがなくなる。
他方、サーマルヘッド13は、DCモータ2の定速回転時以外(つまり、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2の回転が停止するまで、及び、DCモータ2への電力供給が再開されてからDCモータ2が定速回転を開始するまで)には、原則として、エンコーダ49のフォトセンサ49b、49cの出力信号に基づいてDCモータ2の正転量が所定量増加するごとに印刷が行われる。このように定速走行時以外にはエンコーダ49を用いてサーマルヘッド13の駆動タイミングを決定することにより、DCモータ2への電力供給を中断してからの時間に基づいて印刷タイミングを決定する場合などと比較して、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止することができる。
また、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2の回転が停止するまでの間にDCモータが逆転した場合にはエンコーダ49によって逆転量が検出され、DCモータ2への電力供給が再開された際にその逆転量が補償されるようにサーマルヘッド13の駆動タイミングが制御される。つまり、DCモータ2が停止直前に逆転した場合には電力供給再開時に最初に逆転量と同じ角度だけモータが正転するのを待ってから、原則として正転量が所定量増加するごとにサーマルヘッド13が駆動される。これにより、DCモータ2への電力供給が中断されてから停止するまでのDCモータ2の逆転に起因した印刷ドットの位置ずれを抑制することができるので、隣接したドットがうまくつながった高品質の印刷結果が得られる。
その他、本実施の形態のテーププリンタ1では、DCモータ2の一時停止前後で良好な印刷結果が得られるように、次のような制御が行われる。
(a)DCモータ2への電力供給が中断された後、エンコーダ49で検出される正転パルスが10パルス目までは5パルスごとにサーマルヘッド13を駆動するが、その後は4パルスごとにサーマルヘッド13を駆動する。これによると、DCモータ2の停止寸前においてテープの移動量がDCモータ2の移動量よりも大きくなるのを補償して、印刷ドットの位置ずれを高い精度で防止することができる。
(b)DCモータ2への電力供給が中断された後、100ms、150ms、200ms、250ms経過したときの正転パルスの増分が(i)3未満の場合には前回の印刷時と同じ印刷ラインに係るデータがその時刻に再度印刷され、(ii)3以上の場合には前回印刷された印刷ラインの次の印刷ラインに係るデータがその時刻に印刷されるようにサーマルヘッド13を駆動する。これによると、一定時間経過ごとの正転量に応じて同じ印刷ラインに係るデータまたは次の印刷ラインに係るデータを印刷することで、DCモータが止まっても印刷媒体が進むことによって印刷画像の線幅が極端に原画像とは異なったものになるのを抑制することができる。
(c)DCモータ2への電力供給が中断されてから250ms経過時のDCモータ2の正転パルスの増分が(ii)3以上であって次のラインに係るデータが印刷された場合には、テープ切断後に当該次のラインに係るデータが再度印刷されるようにサーマルヘッド13を駆動し、(i)3未満の場合にはテープ切断後に何もしない。このように、250ms経過時に次のラインに係るデータが印刷された後に当該次のラインに係るデータがテープ切断に起因してテープが搬送方向に移動した位置で再度印刷されるので、正規の量(5パルス)移動しないで次のデータを印刷したためにピッチが狭くなることに対して切断してテープが進んだ分ドットが大きくなるので両者が相殺され、印刷画像の線幅が著しく狭くなるのを抑制することができる。なお、250ms経過時に同じラインに係るデータが再度印刷された場合には、ドットピッチは大きくなるため、このような措置は行われない。
(d)DCモータ2への電力供給が再開された際、DCモータへの電力供給停止後250ms時に(i)のように同じデータが印刷された場合には、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2が停止するまでのDCモータ2の逆転量を補償した後、エンコーダ49で検出されたDCモータ2の正転量+(5−a)(aは定数であって、DCモータ2の停止時にテープ切断が行われたときには1、行われないときには2である)が5増加するごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるようにサーマルヘッド13を駆動する。また、DCモータへの電力供給停止後250ms時に(ii)のように次のデータが印刷された場合には、DCモータ2への電力供給が中断されてからDCモータ2が停止するまでのDCモータ2の逆転量を補償した後、エンコーダ49で検出されたDCモータ2の正転量が3パルス増加してから次のラインに係るデータを印刷する。以後正転量が5パルス増加するごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるようにサーマルヘッド13を駆動する。これによると、DCモータ2への電力供給が再開された際の最初の印刷をDCモータ2の正転パルスの増分が5よりも少ない段階で行うことで、テープ切断に起因したテープの搬送方向への移動(第6A図に示すL1)と、逆転分を補償するためにDCモータ2を駆動したときにテープの実際の移動と、のズレ(第6A図に示すL2)によってホワイトラインが生じるのを抑制して、DCモータ2への電力供給の再開前後における印刷画像のつながりを改善することができる。また、定数aの値をDCモータ2の停止時にテープ切断が行われた否かに応じて変更しているために、切断に起因したテープの搬送方向への移動を考慮して適切な位置に印刷ドットを形成することができるようになる。
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。また、上述の実施の形態では、印刷ヘッドとしてサーマルヘッドが用いたが、サーマルヘッド以外の印刷ヘッドを用いてもよい。また、上述の実施の形態では、印刷中断中にテープを切断する場合について説明したが、本発明は、印刷データサイズが大きいために印刷を一旦中断し、その間に残りの印刷データをメモリに取り込むような場合にも適用可能である。
また、上述の実施の形態では、DCモータが定速走行していない間であって特にDCモータの回転数が小さいと考えられる時刻t3〜t11の間はエンコーダを用いないで印刷タイミングを決定しているが、時刻t3〜t11間を含んで印刷媒体が定速走行していない間(時刻t0〜t15)は常にエンコーダの出力パルスに基づいて印刷タイミングを決定するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態は印刷ヘッドが固定でDCモータによってテープが搬送されるものであるが、これとは逆にテープが固定でDCモータによって印刷ヘッドが移動するものであってもよい。また、使用されるテープは二重テープなどのほかのテープと重ね合わされて積層テープとされる必要は必ずしもなく、単に表層テープに印刷が施されて表層テープがそのまま排出されてもよい。さらに、正転及び逆転を検出するには、エンコーダ以外の公知のものをいずれも用いることができる。
産業上の利用可能性
本発明は、DCモータによって駆動される適宜のテーププリンタに対して有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施の形態によるテーププリンタの外観斜視図である。
第2図は、第1図に示すテーププリンタの内部に配置されたテープ駆動印刷機構及びテープ収納カセットの構造を示す平面図である。
第3図は、第2図のテープ駆動印刷機構をテープ収納カセットがない状態において矢印A方向から見た側面図である。
第4図は、第1図に示すテーププリンタの内部に配置されたエンコーダの出力信号のうち、第4A図は、フォトセンサ49bの出力、第4B図は、エンコーダの回転円板が正転した場合のフォトセンサ49cの出力、第4C図は、エンコーダの回転円板が逆転した場合のフォトセンサ49cの出力を示すタイミングチャートである。
第5図は、第1図に示すテーププリンタのブロック図である。
第6A図は、印刷途中に行われるテープ切断前後におけるテープ移動量及びDCモータ回転量(テープ移動量に換算したもの)の時間変化を描いたグラフである。
第6B図は、第6A図に示したテープ移動量に対応させてDCモータ駆動信号、正転パルス、逆転パルス、サーマルヘッド駆動信号、DCモータの回転状態の時間変化を描いたグラフである。
第7図は、第1図に示すテーププリンタの印刷制御手順の一例を描いたフローチャートである。
第8図は、印刷周期を説明するフローチャートである。
第9図は、エンコーダ割り込みを説明するフローチャートである。
第10図は、エンコーダパルスカウントを説明するフローチャートである。
第11図は、DCモータOFF後割込を説明するフローチャートである。
第12図は、1ライン印刷を説明するフローチャートである。
第13図は、再印刷開始を説明するフローチャートである。
第14A乃至第14D図は、第1図に示すテーププリンタでの印刷例を描いた模式図である。
Claims (4)
- テープ状の印刷媒(31)にドットパターンでライン印刷を施す印刷ヘッド(13)と、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとの少なくともいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる送り機構(2,10)とを備えたテーププリンタにおいて、
前記送り機構の駆動源であるDCモータ(2)と、
前記DCモータの正転量を検出するための正転検出手段(49)と、
前記DCモータへの電力供給が中断されてから前記DCモータの停止および前記DCモータへの電力供給の再開を経て前記DCモータが定速回転を開始するまでの少なくとも一部の期間においては、前記正転検出手段で検出された前記DCモータの正転量が所定量増加するごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるように、前記DCモータが定速回転している間においては、所定時間ごとに順次次のラインに係るデータが印刷されるように前記印刷ヘッドの駆動タイミングを制御する印刷制御手段(61)とを備えていることを特徴とするテーププリンタ。 - 請求の範囲第1項に記載のテーププリンタであって、
前記DCモータ(2)の逆転量を検出するための逆転検出手段(49)をさらに備えており、
前記印刷制御手段(61)は、前記DCモータへの電力供給が中断されてから前記DCモータが停止するまでに前記逆転検出手段で検出された前記DCモータの逆転量が補償されるように、前記DCモータへの電力供給が再開された際の前記印刷ヘッドの駆動タイミングを制御することを特徴とするテーププリンタ。 - 請求の範囲第1項又は第2項に記載のテーププリンタであって、
前記DCモータ(2)の回転変動を小さくする変動低減手段をさらに備えていることを特徴とするテーププリンタ。 - テープ状の印刷媒体(31)に幅方向に配列されたドットパターンからなるライン毎に印刷を施す印刷ヘッド(13)と、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとのいずれか一方を他方に対して相対的に移動させる送り機構(2,10)と、前記印刷ヘッドと前記モータとの駆動を制御する印刷制御手段(61)と、を有し、前記送り機構は直流モータを含むテーププリンタであって、
前記直流モータの正転量を検出する正転検出手段(49)をさらに有し、
前記制御手段は、前記モータへの電力供給が中断してから、前記モータの回転停止及び前記モータへの電力供給再開を経て、前記モータが定速回転状態に達するまでの期間は、前記正転検出手段で検出された正転量が所定量増加する毎に順次前記ラインを印刷し、前記モータが定速回転する期間は、所定時間毎に順次前記ラインを印刷することを特徴とするテーププリンタ。
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