JPWO2002101042A1 - 核酸増幅又は検出反応用試薬の安定化方法ならびに保存方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、遺伝子工学分野並びに臨床分野において有用な標的核酸の増幅及び/又は検出方法のための反応用試薬の安定化ならびに保存方法に関する。
背景技術
遺伝子工学分野の研究においてDNAの合成は種々の目的に使用される。このうちオリゴヌクレオチドのような短鎖のDNAの合成を除けば、そのほとんどはDNAポリメラーゼを利用した酵素的方法により実施されている。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)があるが、それは米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号に詳細に記述されている。もう一つの例としては、トレンズ イン バイオテクノロジー(Trends in Biotechnology)第10巻、146〜152頁(1992)に記載の逆転写PCR法(RT−PCR法)が挙げられる。
さらに、別法としては、欧州第320,308号公開公報に記述されているリガーゼ連鎖反応(LCR;ligase chain reaction)法、あるいはPCR プロトコールズ(PCR Protocols,Academic Press.Inc.,1990)245〜252頁に記述されている転写増幅システム(TAS;transcription−based amplification system)法が挙げられる。上記4法は、次の増幅サイクルのための一本鎖標的分子を再生するために、高温から低温の反応を何回も繰り返す必要がある。このように温度によって反応が制約されるため、反応系は不連続な相またはサイクルで行なう必要がある。従って、上記の方法には広い温度範囲で、かつ、厳密な温度調整を経時的に行なうことのできる高価なサーマルサイクラーを使用することが必要となる。また、該反応は、2種類〜3種類の温度条件で行なうため設定温度にするために要する時間が必要であり、そのロス時間はサイクル数に比例して増大していく。
そこで、上記問題点を解決すべく等温状態で実施可能な核酸増幅法が開発された。例えば、特公平7−114718号に記載の鎖置換型増幅(SDA;strand displacement amplification)法、自立複製(3SR;self−sustained sequence replication)法、日本国特許番号第2650159号に記載の核酸配列増幅(NASBA;nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(transcription−mediated amplification)法、日本国特許番号第2710159号に記載のQβレプリカーゼ法、さらに米国特許番号第5,824,517号、国際公開第99/09211号パンフレット、国際公開第95/25180号パンフレットあるいは、国際公開第99/49081号パンフレット等に記載の種々の改良SDA法が挙げられる。米国特許番号第5,916,777号には等温状態でのオリゴヌクレオチドの酵素的合成方法が記載されている。これらの等温核酸増幅法またはオリゴヌクレオチド合成法の反応においては、プライマーの伸長や、一本鎖伸長生成物(または元の標的配列)へのプライマーのアニーリングや、それに続くプライマーの伸長は、一定温度で保温された反応混合物中で同時に起こる。
これらの等温核酸増幅法のうち最終的にDNAが増幅される系、例えば、SDA法は、DNAポリメラーゼと制限エンドヌクレアーゼを介する二本鎖の置換による、試料中の標的核酸配列(およびその相補鎖)の増幅法であるが、該方法では、増幅に使用するプライマーは4種類必要であり、その内の2種類は、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含むように構築する必要がある。また、該方法では、DNA合成のための基質として、修飾されたデオキシリボヌクレオチド3リン酸、例えばα位のリン酸基の酸素原子が硫黄原子(S)に置換された(α−S)デオキシリボヌクレオチド3リン酸を大量に用いる必要があり、ルーチンワークで反応を行なう遺伝子検査等においては、そのランニングコストが深刻な問題となってくる。さらに該方法では、増幅されたDNA断片中に上記の修飾ヌクレオチド、たとえば(α−S)デオキシリボヌクレオチドが含まれるため、例えば、増幅後のDNA断片を制限酵素長多型(RFLP;restriction enzyme fragment length polymorphism)解析に供しようとする場合に、該断片が制限酵素で切断できないことがある。
また、米国特許番号第5,824,517号記載の改良SDA法は、RNAとDNAから構成され、少なくとも3’末端にDNAが配置された構造を必須要件とするキメラプライマーを使用するDNA増幅方法である。また、国際公開第99/09211号パンフレットに記載の改良SDA法は、3’突出末端を生じさせる制限酵素が必要である。また、国際公開第95/25180号パンフレットに記載の改良SDA法は、少なくとも2組のプライマー対を必要とする。さらに、国際公開第99/49081号パンフレットに記載の改良SDA法は、少なくとも2組のプライマーと少なくとも1種類の修飾デオキシリボヌクレオチド3リン酸を必要とする。一方、米国特許番号第5,916,777号は、オリゴヌクレオチドを合成するために、3’末端にリボヌクレオチドを有するプライマーを使用してDNAを合成し、反応終了後にエンドヌクレアーゼによりプライマー伸長鎖中のプライマーと伸長鎖の間にニックをいれて分離させ、テンプレートを消化し、さらにプライマーを回収して再利用するというものである。該方法では、プライマーを再利用する際には反応系よりプライマーを単離したうえで鋳型を再度アニーリングさせる必要がある。また、国際公開第00/28082号パンフレットに記載のLAMP(Loop−mediated Isothermal Amplification)法は増幅に4種類のプライマーを必要とし、また、増幅産物は増幅の標的とされた領域が繰り返された、サイズの一定しないDNAである。
さらに、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを用いた等温核酸増幅方法として、国際公開第00/56877号パンフレットあるいは国際公開第02/7139号パンフレットに記載のICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法がある。
しかしながら、上記の方法に用いる反応用試薬は、室温では不安定なものが多く、当該試薬を使用する際には、氷上で保冷しながら作業をすることがほとんどであった。また、これらの反応用試薬は4℃以下あるいは−20℃以下で保存するものがほとんどであり、その保存方法にも厳重な注意が必要であった。そのため室温でも長時間安定であり、保存のための冷蔵庫あるいは冷凍庫を必要としない反応用試薬の安定化方法及び/又は保存方法が求められていた。
発明の目的
本発明の主な目的は、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用する試料中の標的核酸の高感度、特異的に増幅する標的核酸の増幅方法のための反応用試薬の安定化方法ならびに長期保存方法、さらに病原性微生物ならびにウイルスの高感度検出方法を提供することにある。
発明の概要
本発明者らは鋭意研究の結果、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、エンドリボヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼの存在下に目的とする領域のDNAを増幅する方法を用いたウイルスあるいは病原性微生物の高感度検出方法を見出した。さらに、上記目的とする領域のDNAを増幅する方法のための試薬の安定化方法ならびに長期保存法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および、
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程、
を包含することを特徴とする標的核酸の増幅及び/又は検出方法に用いられる反応用試薬の安定化方法であって、
(i)マグネシウム塩、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)からなる群より選択される少なくとも一つの試薬が他の試薬と反応前は分別されており、
(ii)分別された酵素含有の試薬においては塩濃度を上げることなく酵素濃度を上げており、分別した試薬を混合した後の増幅工程においての至適塩濃度条件を満たすように他の分別された試薬の塩濃度が調整されている、
ことを特徴とする反応用試薬の安定化方法に関する。
本発明の第1の発明において、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有する試薬と、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)、マグネシウム塩を含有する試薬の2種からなる反応用試薬であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の塩濃度が増幅工程においての至適塩濃度以下の塩濃度であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が増幅工程においての酵素濃度より高濃度であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が分別された試薬を混合後の増幅工程において至適酵素濃度となるように調整されていてもよい。
本発明の第2の発明は、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および、
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程、
を包含することを特徴とする標的核酸の増幅及び/又は検出方法に用いられる反応用試薬キットであって、
(i)マグネシウム塩、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)からなる群より選択される少なくとも一つの試薬が他の試薬と反応前は分別されており、
(ii)分別された酵素含有の試薬においては塩濃度を上げることなく酵素濃度を上げており、分別した試薬を混合した後の増幅工程においての至適塩濃度条件を満たすように他の分別された試薬の塩濃度が調整されている、
ことを特徴とする反応用試薬キットに関する。
本発明の第2の発明において、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有する試薬と、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)、マグネシウム塩を含有する試薬の2種からなる反応用試薬であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の塩濃度が増幅工程においての至適塩濃度以下の塩濃度であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が増幅工程においての酵素濃度より高濃度であってもよく、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が分別された試薬を混合後の増幅工程において至適酵素濃度となるように調整されていてもよく、分別された試薬混合物の塩濃度調整用試薬を包含してもよい。
本発明の第3の発明は、試料中の病原性微生物及び/又はウイルスの存在を検出するための方法であって、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程;および、
(c)(b)工程により増幅された標的核酸を検出する工程、
を包含し、
上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーは、下記一般式で表される病原性微生物検出用のキメラオリゴヌクレオチドプライマーであって、病原性微生物が結核菌、HCV、クラミジア、非定型抗酸菌、淋菌、HBV、HIV、黄色ブドウ球菌、マイコプラズマ又はMRSAからなる群から選択されることを特徴とするキメラオリゴヌクレオチドプライマーであることを特徴とする病原性微生物及び/又はウイルスの検出方法に関する。
一般式:5’−dNa−Nb−dNc−3’
(a:11以上の整数、b:1以上の整数、c:0または1以上の整数、dN:デオキシリボヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ、N:未修飾リボヌクレオチド及び/又は修飾リボヌクレオチド、なお、dNaの部位の一部のdNはNで置換されていてもよく、3’末端のヌクレオチドは当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないような修飾を有していてもよい)
本発明の第3の発明において、さらに鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相同な配列を有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有する反応混合物を使用しても良い。
本発明の第4の発明は、下記群から選択される病原性微生物及び/又はウイルスの検出のためのプライマーに関する。
(1)配列表の配列番号7、8、21、22、162、163、170又は171でそれぞれ表される核酸配列を有する結核菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(2)配列表の配列番号15、16、81〜86又は88〜91でそれぞれ表される核酸配列を有するHCV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(3)配列表の配列番号17〜20、121〜127、130〜135、166又は167でそれぞれ表される核酸配列を有するクラミジア検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(4)配列表の配列番号25〜31でそれぞれ表される核酸配列を有する非定型抗酸菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(5)配列表の配列番号38〜63、164又は165でそれぞれ表される核酸配列を有する淋菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(6)配列表の配列番号71〜78でそれぞれ表される核酸配列を有するHBV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(7)配列表の配列番号95〜103でそれぞれ表される核酸配列を有するHIV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(8)配列表の配列番号108〜117でそれぞれ表される核酸配列を有する黄色ブドウ球菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(9)配列表の配列番号139〜146でそれぞれ表される核酸配列を有するマイコプラズマ検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、及び
(10)配列表の配列番号152〜155でそれぞれ表される核酸配列を有するMRSA検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー。
本発明の第5の発明は、下記群から選択される病原性微生物及び/又はウイルスの検出のためのプローブに関する。
(1)配列表の配列番号11、12又は172でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される結核菌検出用プローブ、
(2)配列表の配列番号87又は92でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHCV検出用プローブ、
(3)配列表の配列番号128、136又は168でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるクラミジア検出用プローブ、
(4)配列表の配列番号32又は33でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される非定型抗酸菌検出用プローブ、
(5)配列表の配列番号64〜68でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される淋菌検出用プローブ、
(6)配列表の配列番号79又は80でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHBV検出用プローブ、
(7)配列表の配列番号104又は105でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHIV検出用プローブ、
(8)配列表の配列番号118又は119でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される黄色ブドウ球菌検出用プローブ、
(9)配列表の配列番号147〜149でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるマイコプラズマ検出用プローブ、及び
(10)配列表の配列番号156又は157でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるMRSA検出用プローブ。
本発明の第6の発明は、本発明の第3の発明の病原性微生物及び/又はウイルスの検出方法に使用されるキットであって、本発明の第9の発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有することを特徴とする病原性微生物及び/又はウイルスの検出用キットに関する。
本発明の第6の発明において、さらに本発明の第5の発明のプローブを含有する病原性微生物及び/又はウイルスの検出用キットであってもよい。
発明の詳細な説明
本明細書においてデオキシリボヌクレオチド(本明細書中ではdNとも記載する)とは、糖部分がD−2−デオキシリボースで構成されたヌクレオチドのことをいい、例えば、塩基部分にアデニン、シトシン、グアニン、チミンを有するものが挙げられる。さらに、7−デアザグアノシン等の修飾塩基を有するデオキシリボヌクレオチドやデオキシイノシンヌクレオチドのようなデオキシリボヌクレオチドアナログも上記のデオキシリボヌクレオチドに包含される。
本明細書においてリボヌクレオチド(本明細書中ではNとも記載する)とは、糖部分がD−リボースで構成されたヌクレオチドのことをいい、塩基部分にアデニン、シトシン、グアニン、ウラシルを有するものが挙げられる。さらに、当該リボヌクレオチドには修飾リボヌクレオチドが包含され、例えばα位のリン酸基の酸素原子を硫黄原子に置き換えた修飾リボヌクレオチド[(α−S)リボヌクレオチド、(α−S)Nとも記載する]やこの他の誘導体等も含まれる。
本発明に使用するキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、該プライマーの3’末端又は3’末端側にリボヌクレオチドを配置し、本発明の方法において核酸鎖が伸長でき、エンドヌクレアーゼで切断でき、鎖置換反応を行うことができるものであれば、いずれもが本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーに包含される。
本明細書において3’末端側とは、核酸、例えば、プライマーにおいてその中央より3’末端にかけての部分を指す。同様に5’末端側とは、核酸においてその中央より5’末端にかけての部分を指す。
上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーは、少なくともデオキシリボヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーである。該プライマーには未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含有するオリゴリボヌクレオチドプライマーも含まれる。
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸の塩基配列の一部に実質的に相補的な塩基配列を有し、使用される条件において、DNA鎖の伸長に寄与することができ、さらに、その3’末端又は3’末端側にリボヌクレオチドが配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーである。当該プライマーは通常、増幅しようとする領域の上流、すなわち鋳型核酸上の増幅しようとする領域に対応する塩基配列の3’側部分に相補的に設計される。なお、ここで「実質的に相補的な塩基配列」とは、使用される反応条件において鋳型となるDNAにアニーリング可能な塩基配列を意味する。
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは1以上の修飾リボヌクレオチドを含有するものであってもよい。即ち、当該リボヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端又は3’末端側に配置され、エンドヌクレアーゼにより認識あるいは切断されるものであれば、未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドのいずれであってもよく、そのような未修飾あるいは修飾リボヌクレオチドのいずれもが包含される。すなわち、本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーには、当該プライマーの機能を失わない範囲で未修飾リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチドを使用することができ、さらにこれらを組合せて使用することができる。このような修飾リボヌクレオチドとしては、特に限定するものではないが、たとえば、リン酸基に結合する酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)リボヌクレオチドや、リボースの2位の水酸基がメトキシ基に置換されたリボヌクレオチドが挙げられる。さらに本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーはヌクレオチドアナログやその他の物質を含有するものであってもよい。即ち、本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーには、DNAポリメラーゼがその3’末端からポリメラーゼ伸長反応せしめる、プライマーの機能を失わない範囲で1以上のヌクレオチドアナログを含有させることができ、さらに、当該ヌクレオチドアナログは複数の種類のものを組合せて使用することができる。該ヌクレオチドアナログとしては、特に限定はされないが、例えば、デオキシイノシンヌクレオチド、デオキシウラシルヌクレオチドあるいは7−デアザグアニンのような修飾塩基を有するデオキシリボヌクレオチドアナログ、リボースの誘導体を有するヌクレオチドアナログ等を使用することができる。また、本発明に使用されるキメラオリゴヌクレオチドは、上記の機能を保持する範囲内で種々の修飾、例えば標識化合物等の付加がなされたデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチドアナログを含有してもよい。
ヌクレオチドアナログのプライマーへの導入は、プライマー自身の高次構造形成の抑制、鋳型とのアニーリング形成の安定化の観点からも有効である。さらに、同様の目的でリボヌクレオチドをプライマーに導入しても良い。特に限定するものではないが、非特異的なエンドヌクレアーゼ(RNase)によるプライマーの分解を防ぐ観点からは、例えば、(α−S)リボヌクレオチドのような修飾リボヌクレオチドが好適に使用できる。このような修飾リボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、米国特許第5,003,097号記載の硫化反応用試薬(グレンリサーチ社製)を用いた方法で調製した(α−S)リボヌクレオチド3リン酸、あるいは2−OMe−RNA−CE ホスホアミダイド試薬(グレンリサーチ社製)を用いて作製することができる。
また、エンドヌクレアーゼによる切断に耐性を付与するような性質の修飾リボヌクレオチドを含有し、本発明の増幅方法に使用できるキメラオリゴヌクレオチドプライマーを設計してもよく、この様なプライマーは、増幅反応工程におけるエンドヌクレアーゼの切断位置を制御し得る点において有用である。
本発明の方法において使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、特に限定するものではないが、約12ヌクレオチドから約100ヌクレオチドの長さのものが好ましい。さらに好ましくは、約15ヌクレオチドから約40ヌクレオチドの長さのプライマーである。その塩基配列は使用される反応条件において鋳型核酸にアニーリングするように、実質的に鋳型核酸に相補的な配列であることが好ましい。該プライマーは、後に示す段階で使用されるエンドヌクレアーゼにより認識される配列を3’末端又は3’末端側に含む。
本発明を何ら限定するものではないが、例えば、下記一般式で表す構造をもつオリゴヌクレオチドを本発明のDNA合成方法にプライマーとして使用することができる。
一般式:5’−dNa−Nb−dNc−3’
(a:11以上の整数、b:1以上の整数、c:0または1以上の整数、dN:デオキシリボヌクレオチド及び/又はヌクレオチドアナログ、N:未修飾リボヌクレオチド及び/又は修飾リボヌクレオチド、なお、dNaの部位の一部のdNはNで置換されていてもよく、3’末端のヌクレオチドは当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないような修飾を有していてもよい)
本発明に使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、該プライマーよりDNAポリメラーゼで伸長されたDNA鎖(プライマー伸長鎖)に含まれるリボヌクレオチド含有部位がエンドヌクレアーゼで認識あるいは切断されるような構造を有しており、当該リボヌクレオチドはその3’末端又は3’末端側に配置されている。本発明を特に限定するものではないが、例えば、鋳型核酸にアニーリングした、上記の一般式で表されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーよりDNAの伸長を行って生成した二本鎖DNAにRNaseHを作用させた場合には、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーのリボヌクレオチド部分が切断され、上記オリゴヌクレオチドプライマーと伸長により合成されたDNA鎖の間にニックの入った二本鎮DNAが生じる。さらに、該ニックの入った部位からDNAポリメラーゼにより鎖置換反応がおこる。従って、プライマーの3’末端から核酸鎖を伸長させることができ、エンドヌクレアーゼにより切断されることができ、そしてDNAポリメラーゼにより鎖置換反応ができるキメラオリゴヌクレオチドプライマーは全て本発明の方法に使用することができる。さらに、本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーには、その3’末端がDNAポリメラーゼによる伸長が不可能な形に修飾されており、エンドヌクレアーゼによる切断によって生じた3’末端からDNAの伸長が行われるものが包含される。
また、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側には、RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含んでいてもよい。該RNAポリメラーゼとしては、T7 RNAポリメラーゼあるいはSP6 RNAポリメラーゼが例示される。
これらのキメラオリゴヌクレオチドプライマーは、任意の核酸配列を持つように、例えばアプライド バイオシステムズ社(ABI社、Applied Biosystems Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いて、ホスホアミダイト法により合成できる。また、別法としてリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等があるが、いかなる方法で合成されたものであっても良い。
言い換えれば、鋳型核酸にアニーリングした上記のキメラオリゴヌクレオチドプライマーよりDNAの伸長を行って生成した二本鎖DNAに作用して、鎖置換反応が起こるように伸長鎖を切断しうるものであればよい。即ち、上記の二本鎖DNAのうちのキメラオリゴヌクレオチドプライマー部分にニックを生成しうる酵素である。特に限定されるものではないが、例えば、本発明にはリボヌクレアーゼが使用でき、特にDNAとRNAとから形成された二本鎖核酸のRNA部分に作用するエンドリボヌクレアーゼH(RNaseH)が好適に使用できる。また、該リボヌクレアーゼには、上記作用を有するものであれば、常温性から耐熱性のリボヌクレアーゼのいずれもが好適に本発明に使用できる。例えば、下記実施例に示すように、約50℃〜約70℃での反応では大腸菌(E.coli)由来のRNaseHが本発明の方法に使用することができる。また、本発明の方法においては、耐熱性のリボヌクレアーゼも好適に使用できる。該耐熱性リボヌクレアーゼとしては、特に限定はされないが、例えば市販のHybridaseTM Thermostable RNaseH(エピセンターテクノロジーズ社製)の他、好熱性バチルス属細菌、サーマス属細菌、ピロコッカス属細菌、サーモトガ属細菌、アルカエオグロバス属細菌、メタノコッカス属細菌、サーモコッカス属細菌等由来のRNaseH等も好適に使用できる。さらに、該リボヌクレアーゼは、天然体および変異体のいずれもが好適に使用できる。
また、上記RNaseHは、本発明の方法に使用できるものであれば特に限定はなく、例えば、種々のウイルス、ファージ、原核、真核生物由来のいずれであってもよい。さらに、細胞性RNaseHあるいはウイルス性RNaseHのいずれであってもよい。例えば、上記細胞性RNaseHとしては大腸菌RNaseHIが、ウイルス性RNaseHとしてはHIV−1由来RNaseHが例示される。本発明の方法においてRNaseHは、I型、II型、III型のいずれもが使用できる。特に限定はされないが、例えば大腸菌由来RNaseHI、ピロコッカス属細菌由来、アルカエオグロバス属細菌由来あるいはサーモコッカス属細菌由来のRNaseHIIが好適に使用できる。
また、本発明の方法に使用するエンドヌクレアーゼ、例えば、RNaseHの切断反応の効率は上記プライマーの3’末端近傍の塩基配列に左右され、所望のDNAの増幅効率に影響することが考えられるので、使用するRNaseHに最適なプライマーをデザインすることは当然のことである。
本明細書において使用されている「ニックを入れる」もしくは「ニッキング」という語は、二本鎖核酸の一方の鎖の内部を切断することを意味する。たとえば、RNaseHはDNAとリボヌクレオチドを含むDNAとのハイブリッド二本鎖核酸に作用し、二本鎖のうちのリボヌクレオチドを含む鎖のリボヌクレオチド部分を選択的に切断することにより、当該ハイブリッド二本鎖核酸にニックを入れる。
なお、DNAポリメラーゼの中には、特定の条件でエンドヌクレアーゼ活性、例えば、RNaseH活性を有するものが知られている。このようなDNAポリメラーゼを本発明の方法に用いることができる。すなわち、該DNAポリメラーゼをRNaseH活性が発現されるような条件下、例えばMn2+の存在下で使用する態様が挙げられる。該態様においては、上記RNaseHを添加することなく本発明の方法を実施することができる。すなわち、Mn2+を含有する緩衝液中で上記のBca DNAポリメラーゼは、RNaseH活性を示すことができる、上記の態様はBca DNAポリメラーゼに限定されるものではなく、RNaseH活性を併せ持つことが知られている公知のDNAポリメラーゼ、例えばサーマス サーモフィラス(Thermus thermophilus)由来のTth DNAポリメラーゼも本発明に使用することができる。
すなわち、上記のようにRNaseH活性を有するDNAポリメラーゼをRNaseH活性が発現するような条件で使用することができる。
当該方法では、伸長反応の基質となるヌクレオチド3リン酸としてPCR法等に使われるdNTP、すなわちdATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物が好適に使用できる。また、dUTPを基質として用いてもよい。さらに、当該dNTPは、使用されるDNAポリメラーゼの基質となる限りにおいては、dNTP(デオキシリボヌクレオチド3リン酸)のアナログ、たとえば7−デアザ−dGTP、dITPの3リン酸等を含んでいてもよい。また、dNTPあるいはdNTPアナログの誘導体を使用してもよく、官能基を有する誘導体、例えばアミノ基を有するdUTPを含んでいてもよい。当該方法では、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用するが、当該プライマーは、例えば、DNA合成機等を用いて通常の合成方法と同様に調製することができる。さらに、本発明の方法においては、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーと通常のオリゴヌクレオチドプライマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明の方法においては、使用される酵素の活性が反応中に低下するおそれのある場合には、反応の途中で当該酵素をさらに添加することができる。特に限定するものではないが、例えば、大腸菌由来のRNaseHを使用する反応の途中で該RNaseHをさらに添加してもよい。添加する酵素は、反応開始時に反応液中に含まれる酵素と同じものでもよいし、同じ作用を示す異なる種類の酵素であってもよい。すなわち、反応途中で添加することにより、検出感度の向上あるいは増幅産物量の増大等の効果が得られるならば、添加する酵素の種類及び該酵素の性質には何ら限定はない。
本明細書においてDNAポリメラーゼとは、DNA鎖を鋳型として新たなDNA鎖を合成する酵素のことを言い、天然型のDNAポリメラーゼの他、前記活性を有する変異体酵素も包含される。当該酵素としては、例えば鎖置換(Strand displacement)活性を有するDNAポリメラーゼ、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有していないDNAポリメラーゼ、逆転写酵素活性やエンドヌクレアーゼ活性を併せ持つDNAポリメラーゼが挙げられる。
本明細書において「鎖置換活性」とは、鋳型となる核酸配列に従ってDNA複製を行う際、DNA鎖を置き換えながら進行し、鋳型鎖にアニーリングしている相補鎖を遊離させる、即ち鎖置換(strand displacement)することができる活性のことをいう。また、本明細書においては、鎖置換により鋳型となる核酸配列から遊離したDNA鎖のことを「置換鎖」と称する。
上記のDNAポリメラーゼには、DNAの鎖置換(strand displacement)活性を有するDNAポリメラーゼを使用することができる。また、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有しないものが特に好適に使用することができる。
本発明に使用されるDNAポリメラーゼは、上記の鎖置換活性を有するものであれば特に限定はなく、例えば、バチルス カルドテナックス(Bacillus caldotenax、以下、B.caと称す)やバチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus、以下B.stと称す)等の好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した変異体や、大腸菌(以下、E.coliと称す)由来のDNAポリメラーゼIのラージ フラグメント(クレノウ断片)等が挙げられる。また、本発明に使用できるDNAポリメラーゼは、常温性から耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。
B.caは生育至適温度が約70℃である好熱性細菌であり、この細菌由来のBca DNAポリメラーゼは、DNA依存DNAポリメラーゼ活性、RNA依存DNAポリメラーゼ活性(逆転写活性)、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。上記の酵素は、その本来の起源より精製して取得されたもの、あるいは遺伝子工学的に生産された組み換え蛋白質の何れであっても良い。また、該酵素は、遺伝子工学的あるいはその他の手法によって置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであっても良く、このような酵素の例として、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠損させたBca DNAポリメラーゼであるBcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)等が挙げられる。
本明細書において、鋳型となる核酸、すなわちDNAまたはRNAは、当該核酸を含む可能性のあるあらゆる試料から調製、あるいは単離したものでもよい。さらに、上記試料を直接、本発明の核酸増幅反応に使用してもよい。このような核酸を含む試料には特に限定はないが、例えば、全血、血清、バフィーコート、尿、糞便、脳脊髄液、精液、唾液、組織(例えば、癌組織、リンパ節等)、細胞培養物(例えば、哺乳動物細胞培養物及び細菌培養物等)のような生体由来試料、ウイロイド、ウイルス、細菌、カビ、酵母、植物及び動物のような核酸含有試料、ウイルス又は細菌のような微生物が混入もしくは感染している可能性のある試料(食品、生物学的製剤等)、あるいは土壌、排水のような生物を含有する可能性のある試料が挙げられる。また、前記試料等を公知の方法で処理することによって得られる核酸含有調製物であっても良い。該調製物としては、例えば細胞破砕物やそれを分画して得られる試料、該試料中の核酸、あるいは特定の核酸分子群、例えば、mRNAを富化した試料等が本発明に使用できる。さらに上記試料中に含まれる核酸が公知方法で増幅されたDNAあるいはRNA等の核酸等も好適に使用できる。
これら材料からの核酸含有調製物の調製には特に限定はなく、例えば、界面活性剤による溶解処理、超音波処理、ガラスビーズを用いた振盪撹拌、フレンチプレスの使用等により行うことができる。幾つかの例においては、さらに操作を加えて核酸を精製することが有利である(例えば、内在性ヌクレアーゼが存在するとき)。これらの例において、核酸の精製はフェノール抽出、クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル電気泳動または密度勾配遠心分離等の公知方法により実施される。
RNA由来の配列を有する核酸を増幅したい場合には、当該RNAを鋳型とした逆転写反応によって合成されたcDNAを鋳型として本発明の方法を実施すればよい。本発明の方法に適用することができるRNAには、逆転写反応に使用されるプライマーが作製可能なものであれば特に制限はなく、試料中の全RNAの他、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA分子群、あるいは特定のRNA分子種が挙げられる。
上記方法により単離したゲノムDNAやPCRフラグメントのような二本鎖DNA、および全RNA若しくはmRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖DNAあるいはDNAとRNAのハイブリッド2本鎖のいずれもが本発明において鋳型となる核酸として好適に使用できる。上記二本鎖DNAの場合は、一本鎖DNAに変性する工程(デネーチャー)を施したものあるいは一本鎖DNAに変性する工程を施さないもののいずれもが好適に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の標的核酸の増幅又は検出方法のための反応用試薬の安定化方法ならびに長期保存方法
本発明の反応用試薬は、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを少なくとも1種類使用し、さらにエンドヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼを用いる標的核酸の増幅方法あるいは検出方法において使用することができる。
本発明の反応用試薬は、鋳型核酸に相補的なキメラオリゴヌクレオチドプライマーと、置換鎖に相補的なもう1種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーの2種のプライマーを使用して実施することができる標的核酸の増幅方法に使用できる。この場合、一方のプライマーは鋳型となるDNA鎖に結合して鎖置換反応を起し、そして他方のプライマーは上記の鎖置換反応によって遊離した置換鎖に結合し、新たな鎖置換反応を開始する。この態様を使用すると、各反応産物が他のプライマーのための鋳型として機能できることは明らかである。このように鋳型量が増加することにより、非直線的に増幅産物が増加していく。
さらに、別の態様としては、二本鎖の鋳型DNAと2種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用する方法のための反応用試薬が例示される。当該方法において、反応の条件等にもよるが、各プライマーから伸長反応中のそれぞれの鋳型−伸長鎖中間体の間で鋳型の交換が起こり、合成されたプライマー伸長鎖同士がアニーリングした二本鎖核酸を生成することがある。この二本鎖核酸は両端にキメラオリゴヌクレオチドプライマーを有しており、次いでその両端から再び鎖置換による相補鎖伸長反応を開始することができる。この反応の結果、一端にプライマーの配列を有する増幅産物が生成される。さらに、この反応中に鋳型の交換が起こった場合には前記と同様な二本鎖核酸が再度生成される。
本発明の反応用試薬は、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを使用し、鋳型交換反応を行う工程を包含する核酸の増幅方法に使用することができる。当該鋳型交換反応においては、鋳型となる二本鎖核酸と、それぞれの鎖の塩基配列に実質的に相補的な2種のキメラオリゴヌクレオチドプライマーと、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの存在下に、該鋳型に相補的な2種のプライマー伸長鎖が合成される。該プライマー伸長鎖の合成の途中において、プライマー伸長鎖のそれぞれの鋳型から他方のプライマー伸長鎖への鋳型の交換が起こる。
ここで、鋳型交換反応とは、2本鎖核酸の両側からの鎖置換反応による相補鎖の合成が行われる際に、DNAポリメラーゼがその鋳型を交換し、他方のDNAポリメラーゼが新規に合成してきた相補鎖をそれぞれ鋳型として、以降の相補鎖合成を行うことを言う。言い換えれば、鋳型となる2本鎖核酸をそれぞれのプライマー及び鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼで処理し、該鋳型に相補的な伸長鎖を生成せしめる反応において、該伸長鎖を合成中に、DNAポリメラーゼによってプライマー伸長鎖が当初の鋳型から、他方のプライマー伸長鎖へと能動的にスイッチングせしめる反応を言う。DNAポリメラーゼが鋳型交換反応を行う能力を有することは、特に限定するものではないが、たとえば後述の実施例中の参考例3に記載の方法によって確認することができる。
本発明には、鎖置換反応中に上記の鋳型交換反応を行う能力を有するDNAポリメラーゼが好適に使用でき、例えば、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失したBca DNAポリメラーゼの変異体酵素が特に好適に使用される。当該酵素はBcaBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)として市販されており、また、該酵素の遺伝子を含有する大腸菌、Escherichia coli HB101/pU1205(FERM BP−3720)より日本特許第2978001号に記載の方法によって調製することもできる。
本発明の反応用試薬を用いた標的核酸の増幅方法においては、増幅領域が連なった重合体を生成する場合がある。このような重合体は増幅領域が複数個、いずれも同じ向きに連なったものであり、電気泳動による増幅産物の解析ではラダー状のバンドとして確認される。当該重合体の生成は、増幅される領域、該領域のサイズ、その隣接領域、使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーの塩基配列あるいは反応の条件等により影響を受けることが考えられている。
上記の重合体は、増幅領域を複数個含むものである。当該重合体は、例えば適切なプローブとのハイブリダイゼーションによって多数のプローブとハイブリダイズし、当該重合体が強いシグナルを発生することから、増幅領域を含む核酸の検出を目的とする場合に有用である。また、制限酵素消化等を組み合わせて、重合体より増幅領域、またはその一部をモノマーとして得ることもできる。
本発明の核酸の増幅方法の1つの特徴としては、核酸の合成方法において温度を上げ下げする必要がないことにある。即ち、本発明は等温での核酸の合成方法を提供する。従来の多くの核酸増幅法は、温度を上下することにより合成鎖から標的物を解離する必要があり、例えばサーマルサイクラーのような特別な反応装置を必要とするが、本発明の方法においては一定温度を保持できる装置のみでも実施することができる。このように、本発明の方法は、単一の温度で実施することができる。好ましくは、プライマーの非特異的なアニーリングが低減され、かつ鋳型となる核酸にプライマーが特異的にアニーリングするように反応温度、ストリンジェンシーのレベルを設定して実施される。特に限定するものではないが、上記のように耐熱性の酵素を用いて本発明の方法を高温条件下で行う事ができる。さらに、反応の効率を高く保つ観点から、本発明の方法は使用する酵素の活性が十分に保持される適当な温度で行うことが好ましい。従って、使用する酵素にもよるが、好ましい反応温度は、約20℃〜約80℃であり、さらに好ましくは約30℃〜約75℃であり、特に好ましくは、約50℃〜約70℃である。特に高温条件下で反応を行う場合には、常温で反応を行う場合よりも鎖長の長いプライマーを使用することが好ましい。このように反応温度を上げることの効果としては、鋳型DNAの二次構造を解消できることが挙げられ、GC含量の高い鋳型核酸を使用した場合にも所望の核酸が増幅される。また、長鎖長の領域を増幅する場合においても同様の効果がある。該効果は、約60bp〜約20kbpの範囲で、さらに約60bp〜約1500bpの範囲で認められる。
さらに、鋳型となる核酸のGC含量に応じて反応温度を調節し、増幅効率を向上させることができる。例えば、鋳型となる核酸としてGC含量の低いものを使用する場合には、増幅する鎖長やプライマーのTm値にもよるが、50〜55℃で本発明の増幅反応を行うことができる。
また、本発明の方法において、逆転写酵素活性を持つDNAポリメラーゼ、例えば、BcaBEST DNAポリメラーゼを使用した場合、RNAからcDNAを調製する工程(逆転写反応)を含むRNA由来の核酸の増幅を1種類の酵素のみで簡便に実施することができる。また、RNAからcDNAを調製する工程を独立させて行い、その生成物(cDNA)を本発明の方法に鋳型DNAとして使用することもできる。
いずれの場合においても、本発明の方法においては、適当な方法、例えば酵素を失活させたり反応温度を低下させて反応を停止させるか、または基質のうちのいずれか一つが使い尽くされるかのいずれかまで繰り返される。
本発明の核酸の増幅方法は、核酸の増幅を利用した種々の実験操作、例えば核酸の検出、標識、塩基配列の決定に使用することができる。
また、本発明の核酸の増幅方法は、in situ核酸増幅方法、DNAチップのような固相担体上での核酸増幅方法あるいは多種類の領域を同時に増幅するマルチプレックス核酸増幅方法として使用することができる。
本発明の核酸の増幅方法において使用するプライマーの利用効率は、ほぼ100%であり、従来の方法、例えばPCR法の利用効率に比べて5倍〜10倍高くすることができる。
また、本発明の核酸増幅方法は、鋳型となる核酸の塩基配列に忠実に増幅産物を生成することができる。本発明の方法におけるDNA合成の誤りの頻度を得られた増幅産物の塩基配列を解析することによって確認したところ、高い忠実度で核酸を増幅できることが知られているLA−PCR法と本発明の方法のそれぞれで得られた増幅産物中に見出された誤りの頻度は同程度であった。すなわち、本発明の方法はLA−PCR法に匹敵する忠実度を有している。
本発明の標的核酸の検出方法は、核酸を含有する試料より直接、標的核酸を増幅することにより実施することができる。この場合、増幅される標的核酸の鎖長には、特に限定はないが、感度よく標的核酸を検出する観点からは、例えば200bp以下、さらに好ましくは150bp以下の領域が有効である。該増幅鎖長となるように本発明のキメラオリゴヌクレオチドプライマーを設定することにより、高感度に試料中の標的核酸を検出することができる。
さらに、本発明の検出方法では、ビシン、トリシン、ヘペス、リン酸塩あるいはトリス緩衝成分を含有する反応バッファー、及びスペルミジンやプロピレンジアミンを含有するアニーリング溶液の使用により、微量の核酸試料からもさらに高感度に標的核酸を検出することができる。この場合、使用するエンドヌクレアーゼとDNAポリメラーゼは特に限定はされないが、例えば大腸菌由来、ピロコッカス属細菌由来あるいはアルカエオグロバス属細菌由来RNaseH及びBcaBEST DNAポリメラーゼの組み合わせが好ましい。特に、上記エンドヌクレアーゼ及びDNAポリメラーゼはともにその種類によって好適に使用できるユニット数が異なる場合が予想されるが、その際には検出感度の向上あるいは増幅産物量の増加を指標にして、該バッファーの組成および酵素の添加量を調整すればよい。
本発明の検出方法においては、標的核酸の増幅の際に、dUTPを基質として取り込ませることができる。したがって、dUTPを基質に用いた場合には、ウラシル N−グリコシダーゼ(uracil N−glycosidase:UNG)を利用して増幅産物を分解し、増幅産物のキャリーオーバーコンタミネーションによる偽陽性を防止することができる。
標的核酸の検出には公知の核酸検出方法、例えば電気泳動により特定のサイズの反応産物を検出する方法や、プローブとのハイブリダイゼーションによる検出等を使用することができる。また、磁気ビーズ等を組み合わせた検出方法も好適に使用できる。さらに、標的核酸の増幅工程時に生成するピロリン酸をマグネシウム塩のような不溶性物質とさせた後に、その濁度を測定してもよい。さらに上記電気泳動による検出には、通常、エチジウムブロマイド等の蛍光物質が使用されるが、プローブとのハイブリダイゼーションを組み合わせてもよい。また、プローブは放射性同位元素による標識の他、ビオチンや蛍光物質のような非放射性の標識を施したものが使用できる。この他、検出工程において標識ヌクレオチドを使用することにより、増幅産物に標識ヌクレオチドを取り込ませて検出を容易にすることや該標識を利用した検出用シグナルの増強を行うことができ、さらに蛍光偏光法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)等を利用した検出を行うことも可能である。さらに、適切な検出系を構築することにより、標的核酸を自動的に検出することや、あるいは標的核酸の定量を行うことが可能である。また、ハイブリッドクロマト法による肉眼検出法も好適に使用できる。
消光状態になるような距離で配置された2種類以上の蛍光物質で標識されたリボヌクレオチド(RNA)プローブあるいはリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドで構成されるキメラオリゴヌクレオチドプローブのいずれもが本発明の検出方法に使用することができる。当該プローブは蛍光を発することはないが、これに相補的な標的核酸由来の増幅DNAにアニーリングした場合、RNaseHは該プローブを分解する。この結果、プローブ上の蛍光物質間の距離が増大して蛍光が発せられるようになり、標的核酸の存在を知ることができる。RNaseHを使用して本発明の核酸の増幅方法が実施された場合には、その反応液中に上記のプローブを添加するだけで標的核酸を検出することができる。当該プローブの標識に使用される蛍光物質としては、例えば、FRET則の標識対である6−FAM(6−carboxyfluorescein)とTAMRA(N,N,N’,N’−tetramethyl−6−carboxyrhodamine)との組み合わせ、あるいは非−FRET則の標識対である6−FAM(6−carboxyfluorescein)とDABCYL(4−(4’−dimethylaminophenylazo)benzoic acid)が好適に使用できる。
さらに、本発明は前記の標的核酸の検出方法に使用されるプローブを提供する。本発明のプローブは、上記の本発明の核酸の増幅方法により増幅された核酸に通常のハイブリダイゼーションの条件において標的核酸にハイブリダイズし得るものであれば特に限定はないが、増幅産物を特異的に検出する観点からは、例えば厳密な条件として当業者に知られている条件でハイブリダイズするものが好ましい。前記、厳密なハイブリダイゼーション条件は、例えば1989年、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T. Maniatis)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第2版(Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd ed.)に記載されている。具体的な厳密な条件としては、例えば以下の条件を挙げることができる。すなわち、0.5%SDS、5×デンハルツ[Denhardt’s、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400]及び100μg/mlサケ精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、使用するプローブのTm値より約25℃低い温度で4時間〜一晩保温を行う条件を言う。前記プローブは、標的核酸の検出を容易にするために上記のような標識を付されたものを使用することができる。
本発明の核酸の増幅方法の等温下における増幅方法においては、サーマルサイクラーのような装置を必要としない。また本発明の増幅方法では、使用するプライマーを1種類もしくは2種類と従来法よりも少なくすることができる。dNTPのような試薬もPCR等で用いられるものを流用できるため、ランニングコストを従来法よりも低くすることができる。そのため、ルーチンワークを行なっている遺伝子検査等の分野で好適に使用できる。さらに、本発明の方法はPCR法よりも短時間により多くの増幅産物を得られることから、簡便、迅速、高感度な遺伝子検出方法として利用することができる。
本発明の方法に用いる反応液を調製するための反応用試薬は、反応液に含有される各種構成成分をそれぞれ別のコンポーネントとして保存することができるが、操作の簡便性の観点からは、複数の構成成分があらかじめ混合されたプレミックス溶液とすることができる。該反応用試薬の場合、試薬の安定性の観点から、該溶液中のキメラオリゴヌクレオチドプライマーの本来のプライマーとしての機能を消失させる反応を抑制するような組成のプレミックス溶液が好ましい。特に限定はされないが、該キメラオリゴヌクレオチドプライマーの高分子化及び/又は分解が起こらないような組成のプレミックス溶液にすることが好ましい。本発明の方法の一態様としては、例えば、プレミックス溶液の本発明の方法で用いる核酸合成反応に必要な構成成分から、該反応にかかわるものを少なくとも一つを除くかあるいは可逆的に不活性化することが好ましい。特に限定はされないが、例えば、DNAポリメラーゼ、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、マグネシウム塩、dNTP混合物からなる群から選択される少なくとも一つを除くかあるいは不活性化することにより実施することができる。前記方法により、本発明の方法に用いる反応用試薬は、いずれの温度でも安定化させることができる。さらに、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)の失活を抑制するために酵素を分別してもよい。
すなわち、本発明には、前記分別された成分を含む溶液と、他の成分を含む溶液の2つのプレミックス溶液からなる反応用試薬が包含される。なお、所望により、3種類以上のプレミックス溶液からなる反応用試薬としてもよい。
本発明の方法に用いる反応用試薬の長期保存方法としては、上記安定化方法を利用することができる。長期保存形態としては特に限定はされないが、例えば反応用試薬をキメラオリゴヌクレオチドプライマー溶液と、酵素ならびにマグネシウム塩及びdNTP混合物を含む反応用緩衝液の2つに分別した形態にすることが好ましい。さらに本発明の長期保存方法の一態様としては、前記反応用緩衝液には、それぞれ塩を含有させることが好ましい。ここで、塩濃度とは、緩衝成分、マグネシウム塩、イオン強度を調整するための塩(例えば酢酸カリウム等)を含めた塩濃度を意味する。含有塩濃度は、使用するDNAポリメラーゼならびにRNaseHの種類によって適宜調整することができ、好ましくは、前記酵素が安定となるイオン強度を与えるように調整される。その場合、実施例4記載の方法をもちいて至適化することができる。特に限定はされないが、例えば酵素を含有する反応用緩衝液の含有塩濃度は、最終反応時の塩濃度付近、例えば最終反応時の塩濃度の5倍以下、好ましくは3倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下である。さらに最終反応時の塩濃度以下でもよい。
特に限定はされないが例えば、Bca DNAポリメラーゼ及びアルカエオグロバス属細菌由来RNaseHを用いる反応系の場合、ヘペス−水酸化カリウム緩衝液の濃度は、0mMを超えて160mMまでの範囲、好ましくは30mM〜120mMの範囲、特に好ましくは32mM〜102mMの範囲である。また、マグネシウム塩として、酢酸マグネシウムを用いる場合、その濃度は、0mMを超えて20mMの範囲、好ましくは3mM〜15mMの範囲、特に好ましくは4mM〜13mMの範囲である。
さらにイオン強度調整のために酢酸カリウムを用いる場合、その濃度は、0、mMを超えて500mMの範囲、好ましくは90mM〜360mMの範囲、特に好ましくは、100mM〜317mMの範囲である。さらに、必要に応じて塩濃度を調整するための塩濃度調整用試薬が分別されていてもよい。
また、前記キメラオリゴヌクレオチドプライマー溶液に反応液の塩濃度を調整するための塩を含有させてもよい。この場合には、2種類のプレミックス溶液を用いて反応液を調製することができる。
遺伝子増幅反応のための試薬を調製する際、通常プライマーは滅菌水またはTE緩衝液のような低塩濃度の溶液に溶解されており、その必要量が反応液調製に供されていた(モレキュラークローニング第2版、14.18参照)。
本発明において、プライマー溶液中に反応液の構成成分である塩を含有させることにより、酵素を含むプレミックス溶液の塩濃度を酵素の安定化に適したものとすることが可能となった。
本発明の長期保存方法の別態様としては、キメラオリゴヌクレオチドプライマー溶液と、酵素ならびにマグネシウム塩及びdNTP混合物を含む反応用緩衝液の2つに分ける形態の場合、反応用緩衝液の酵素含有濃度を高くすることが好ましい。該酵素含有濃度は、使用するDNAポリメラーゼならびにRNaseHの種類によって適宜調整することができる。その場合、実施例4記載の方法をもちいて至適化することができる。特に限定はされないが例えば、Bca DNAポリメラーゼ及びアルカエオグロバス属細菌由来あるいはサーモコッカス属細菌由来のRNaseHを用いる反応系の場合の酵素を含有する反応用緩衝液における含有酵素濃度は、含有酵素が失活しない範囲で高い方が好ましい。
また、鋳型となる核酸に応じて、プライマーを容易に変更できる反応用試薬の態様としては、前記プライマー溶液がプライマーを含まない、プライマー溶解用溶液とすることもできる。
さらに、別の態様としては、上記キメラオリゴヌクレオチドプライマーにかえて、dNTP混合物を他の成分と分別し、この2つのプレミックス溶液との間で酵素の安定性を考慮した塩濃度を設定することもできる。
本発明において、酵素を含むプレミックス溶液の酵素濃度と塩濃度の関係について、最終反応時の酵素濃度ならびに塩濃度を×1倍とすると、塩濃度濃縮率を×1倍周辺値に保ちつつ、酵素濃度濃縮率を×1を越える率にすることが好ましい。
上記酵素濃度の濃縮率と塩濃度の濃縮率は、酵素濃度の濃縮率(E)/塩濃度の濃縮率(S)は、1を超えることが好ましく、100≧E/S>1の範囲、さらに好ましくは、10≧E/S>1の範囲、特に好ましくは5≧E/S>1の範囲である。
さらに、本発明の方法において、反応用試薬に防腐剤あるいは防カビ剤を添加してもよい。当該防腐剤あるいは防カビ剤は、市販のものが利用でき、特に限定はされないが、アジ化ナトリウム、パラオキシ安息香酸あるいはその誘導体ならびにその塩、チメロサール又はプロクリン等が好適に使用できる。当該防腐剤あるいは防カビ剤の濃度は、反応用試薬に含有される酵素が試薬保存時及び反応時においても失活しない濃度範囲にすることは当然のことである。
本発明の長期保存方法により約1ヶ月以上保存することができる。この場合、保存温度は特に限定されないが、例えば、50℃以下の範囲、好ましくは30℃以下の範囲である。
(2)本発明の病原性微生物及び/又はウイルスの検出方法に用いるプライマー
本発明の核酸の増幅方法を使用することにより、試料中の標的核酸の検出を行うことができる。当該検出方法は、
(a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程;および、
(c)(b)工程により増幅された標的核酸を検出する工程、
を包含する。
上記(a)行程において、RNAを鋳型とする場合は、逆転写反応と核酸増幅反応を1段階で行ってもよい。特に限定はされないが、逆転写酵素と鎖置換型DNAポリメラーゼの組み合わせとして例えば、AMV RTase、MMLV RTaseあるいはRAV−2 RTaseとBca DNAポリメラーゼの組み合わせが好適に使用できる。
さらに、本発明の標的核酸の検出方法により、標的核酸上の塩基配列の違いを判別することができる。この態様においては、使用されるキメラオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端部分が、標的とされる塩基配列の判別しようとする特定の塩基付近に位置するように、たとえば、該塩基とプライマーの3’末端の塩基とが水素結合を形成するようにプライマーが設計される。このようなキメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅反応を実施した場合、プライマーの3’末端部分の塩基配列と鋳型の塩基配列との間にミスマッチが存在する場合には標的核酸からの増幅が起こらず、増幅産物の生成が見られない。当該方法により、点突然変異、一塩基置換(Single nucleotide polymorphysm、SNP)のような遺伝子上の特定の塩基についての情報を得ることが可能である。
本発明の標的核酸の検出方法においては、特に限定はされないが例えば、下記群から選択される病原性微生物及び/又はウイルスの検出のためのプライマーが好適に使用できる。
(1)配列表の配列番号7、8、21、22、162、163、170又は171でそれぞれ表される核酸配列を有する結核菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(2)配列表の配列番号15、16、81〜86又は88〜91でそれぞれ表される核酸配列を有するHCV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(3)配列表の配列番号17〜20、121〜127、130〜135、166又は167でそれぞれ表される核酸配列を有するクラミジア検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(4)配列表の配列番号25〜31でそれぞれ表される核酸配列を有する非定型抗酸菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(5)配列表の配列番号38〜63、164又は165でそれぞれ表される核酸配列を有する淋菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(6)配列表の配列番号71〜78でそれぞれ表される核酸配列を有するHBV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(7)配列表の配列番号95〜103でそれぞれ表される核酸配列を有するHIV検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(8)配列表の配列番号108〜117でそれぞれ表される核酸配列を有する黄色ブドウ球菌検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、
(9)配列表の配列番号139〜146でそれぞれ表される核酸配列を有するマイコプラズマ検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー、及び
(10)配列表の配列番号152〜155でそれぞれ表される核酸配列を有するMRSA検出用キメラオリゴヌクレオチドプライマー。
さらに本発明の検出方法においては、下記群から選択される病原性微生物及び/又はウイルスの検出のためのプローブが好適に使用できる。
(1)配列表の配列番号11、12又は172でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される結核菌検出用プローブ、
(2)配列表の配列番号87又は92でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHCV検出用プローブ、
(3)配列表の配列番号128、136又は168でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるクラミジア検出用プローブ、
(4)配列表の配列番号32又は33でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される非定型抗酸菌検出用プローブ、
(5)配列表の配列番号64〜68でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される淋菌検出用プローブ、
(6)配列表の配列番号79又は80でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHBV検出用プローブ、
(7)配列表の配列番号104又は105でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるHIV検出用プローブ、
(8)配列表の配列番号118又は119でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択される黄色ブドウ球菌検出用プローブ、
(9)配列表の配列番号147〜149でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるマイコプラズマ検出用プローブ、及び
(10)配列表の配列番号156又は157でそれぞれ表される核酸配列を含有する領域から選択されるMRSA検出用プローブ。
(3)本発明のキット
本発明のキットは、上記(2)記載のキメラオリゴヌクレオチドプライマー及び/又はプローブを含有することを特徴とする。本発明のキットは、本発明の核酸の増幅方法、または上記の本発明の核酸の検出方法に使用されるキットを提供する。1つの実施態様において、該キットは、パッケージされた形態において、鎖置換反応におけるDNAポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼの使用のための指示書を含むことを特徴とする。さらに、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼならびに鎖置換反応用緩衝液を含むキットは本発明の方法に好適に使用される。あるいは、市販の鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼを指示書に従って選択し、使用してもよい。さらに、RNAを鋳型とする場合の逆転写反応用試薬を含んでもよい。DNAポリメラーゼは、上記の本発明に使用されるDNAポリメラーゼから選択することができる。また、エンドヌクレアーゼは、上記のエンドヌクレアーゼから選択することができる。さらに、該鎖置換反応用緩衝液は、ビシン、トリシン、ヘペス、リン酸塩あるいはトリス緩衝成分を含有する反応バッファー、及びアニーリング溶液が含まれていてもよい。さらに、修飾されたデオキシリボヌクレオチドあるいはデオキシヌクレオチド3リン酸のアナログを含有していてもよい。
上記「指示書」とは、当該キットの使用方法、例えば鎖置換反応用試薬液の調製方法、推奨される反応条件等を記載した印刷物であり、パンフレットまたはリーフレット形式の取り扱い説明書のほか、キットに添付されたラベル、キットが納められたパッケージ等に記載されたものを含む。さらに、インターネットのような電子媒体を通し、開示、提供された情報も含まれる。
また、標的核酸の検出方法に使用されるキットは、上記の指示書、増幅反応のための試薬類の他、標的核酸の増幅に適したキメラオリゴヌクレオチドプライマー、増幅された標的核酸を検出するための試薬、例えばプローブ等を含むものであってもよい。上記キットのコンポーネントは、本発明の反応用試薬の安定化方法ならびに長期保存方法に従って構築された反応用試薬により構成されたものが好適に使用できる。さらに、本発明のキットにおいて、偽陰性を判断するための内部コントロール(I.C.;Internal control)となる核酸を含んでいてもよい。特に限定はされないが、例えば、配列表の配列番号170及び171に記載の塩基配列を有するキメラオリゴヌクレオチドプライマー、配列表の配列番号172記載の塩基配列を有する結核菌検出用プローブ並びに内部コントロールとして配列表の配列番号169記載の塩基配列を含むプラスミドと配列表の配列番号173記載の塩基配列を有する内部コントロール検出用プローブを含むキットが例示される。他の病原性微生物及び/又はウイルスの検出においても同様の内部コントロールを含んだキットが例示される。
実施例
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1
(1)本発明の方法に使用される耐熱性RNaseHのユニット数は、次の方法により算出した。
ポリ(rA)及びポリ(dT)(ともにアマシャム ファルマシア バイオテク製)1mgをそれぞれ1mM EDTAを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)1mlに溶解し、ポリ(rA)溶液及びポリ(dT)溶液を調製した。
次に、4mM MgCl2、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロールを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)に、終濃度20μg/mlとなるポリ(rA)溶液、終濃度30μg/mlとなるポリ(dT)溶液を加え、37℃で10分間反応後、4℃に冷却し、ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液を調製した。このポリ(rA)−ポリ(dT)溶液100μlに任意に希釈した酵素液1μlを加え、40℃で10分間反応させ、0.5M EDTA 10μlを加えて反応を停止させた後、260nmの吸光度を測定した。対照として、上記反応液に0.5M EDTA 10μlを加えた後、40℃で10分間反応させ、吸光度を測定した。その後、EDTA非存在下で反応させ求めた吸光度から対照の吸光度を引いた値(吸光度差)を求めた。すなわち、酵素反応によってポリ(rA)−ポリ(dT)ハイブリッドから遊離したヌクレオチドの濃度を吸光度差から求めた。
単位(unit)=〔吸光度差×反応液量(ml)〕/0.0152×(110/100)×希釈率
参考例2 RNaseHの調製
本発明で用いるRNaseHは、国際公開第02/22831号パンフレット記載の方法で調製した。すなわち、以下の大腸菌組換体を培養し、該菌体から目的のRNaseHを調製した。
(1)ピロコッカス フリオサス由来RNaseH活性を有するポリペプチド
ピロコッカス フリオサス由来RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドpPFU220で形質転換された大腸菌JM109[Escherichia coli JM109/pPFU220と命名、表示され、平成12年9月5日(原寄託日)より日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7654として寄託されている。]を100μg/mlのアンピシリンを含む2リットルのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を66.0mlのソニケーションバッファー〔50mM トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mM フェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を60℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、61.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mM トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分60.0mlをバッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約150mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。このRNaseHII画分2.0mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、250μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mM トリス−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperdex200ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、17キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。参考例1に記載の方法により酵素活性を測定した結果、RNaseH活性が認められた。
(2)ピロコッカス ホリコシイ由来RNaseH活性を有するポリペプチド
ピロコッカス ホリコシイ由来RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドpPHO238で形質転換された大腸菌JM109[Escherichia coli JM109/pPHO238と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7692として寄託されている。]を100μg/mlのアンピシリンを含む1リットルのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を34.3mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を80℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、33.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分35.0mlををバッファーB〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2リットルを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液34.5mlをバッファーBで平衡化したRESOURSE Sカラム(ファルマシア ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約155mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
この画分4.0mlにNaCl濃度が50mMになるようにバッファーBを添加し、50mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約160mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分6.9mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、250μlの濃縮液を2回に分けて100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、24.5キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。参考例1に記載の方法により酵素活性を測定した結果、RNaseH活性が認められた。
(3)アルカエオグロバス フルギダス由来RNaseH活性を有するポリペプチド
アルカエオグロバス フルギダス由来RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドpAFU204で形質転換された大腸菌JM109[Escherichia coli JM109/pAFU204と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7691として寄託されている。]を100μg/mlのアンピシリンを含む2リットルのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を37.1mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、40.3mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
バッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Sカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分40.0mlを50mM NaClを含むバッファーB〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2リットルを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液40.2mlを50mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約240mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分7.8mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、約600μlの濃縮液を4回に分けて100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、30.0キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。参考例1に記載の方法により酵素活性を測定した結果、RNaseH活性が認められた。
(4)サーモコッカス リトラリス由来RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドpTLI204で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)[Escherichia coli HMS174(DE3)/pTLI204と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7693として寄託されている。]を100μg/mlのアンピシリンを含む10mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養し、培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を上記の方法で処理し、熱処理上清液を得た。該熱処理上清液を、参考例1に記載の方法により酵素活性を測定した結果、RNaseH活性が認められた。
(5)サーモコッカス セラー由来RNaseH活性を有するポリペプチド
サーモコッカス セラー由来RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドpTCE207で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)[Escherichia coli HMS174(DE3)/pTCE207と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国茨城県つくば市東1丁目1番地 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7694として寄託されている。]を上記(4)と同じ方法で培養、精製し、熱処理上清液を得た。該熱処理上清液について上記(4)と同様の方法で測定した結果、RNaseH活性が認められた。
参考例3
本発明の増幅方法について検討した。
(1)配列表の配列番号1および2記載の配列を有するpUC19 upper 150 PCRプライマー、pUC19 lower PCRプライマーを使用し、pUC19プラスミドDNA100pgを鋳型としてPCR反応を行った。得られた増幅断片は、マイクロコン−100で精製後、DNA blunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑末端化し、pUC19プラスミドのHincIIサイトにサブクローニングした。上記増幅断片の挿入されたプラスミドを用いて、大腸菌JM109を形質転換した。該形質転換体を培養し、その菌体よりQIAGEN plasmid mini kit(キアゲン社製)を用いてDNA挿入プラスミドpUC19−150を精製した。このDNA挿入プラスミドを鋳型にし、配列表の配列番号3及び4記載のMCS−F、MCS−Rプライマーを用いてPCRを行った後、マイクロコン−100(ミリポア社製)で精製し、534bpのPCR増幅断片を得た。上記PCR断片15ngに30pmolの5’末端を[γ−32P]ATPでリン酸化ラベルした配列表の配列番号5記載の塩基配列を有するMF2プライマー及び滅菌蒸留水で5μlとした反応液、さらに配列表の配列番号6記載の塩基配列を有するMR1プライマー30pmolを加えた反応液を用意した。これらの反応液を98℃、2分間熱変性後、55℃まで冷却した後、1UのBcaBEST DNAポリメラーゼを含む反応液(42.5mM トリシン緩衝液(pH8.7)、12.5mM 塩化カリウム、12.5mM 硫酸アンモニウム、0.0125%BSA、1.25%DMSO、5mM 酢酸マグネシウム、各0.625mMdNTP)20μlを添加し55℃で15分間反応した。反応終了後、5μlの反応液に2.5μlの反応停止液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノルブルー、0.5%キシレンシアノール)を加えて、94℃、3分間の熱変性を行った。この反応液1.6μlを8M 尿素を含む6%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動した後、BAS2000(フジックス社製)でシグナルを読みとり、MR1プライマーからの伸長産物を検出した。その結果を図1Aに示す。図1A中のシークエンスラダーは[γ−32P]ATPでリン酸化ラベルしたMF2プライマーを用いてM13mp18single strand DNA(宝酒造社製)を配列決定したものであり、伸長産物の長さを決定するのに使用した。さらに、レーン1はMF2及びMR1プライマーの組み合わせ、レーン2はMR1を用いた場合である。
図1Aに示したように上記鋳型にMR1プライマーのみを加えて伸長反応した場合はMR1プライマーより鋳型の末端まで伸長した448bpのバンドが検出されたが、さらにMF2プライマーを加えることにより、上記のバンドに加えて、MR1プライマーとMF2プライマーに挟まれた373bpのバンドが検出された。従って、最初、BcaBEST DNAポリメラーゼにより、PCR増幅断片を鋳型にしてMR1プライマーより伸長していたものが、途中、鋳型交換により、MF2プライマーからの伸長鎖を鋳型として伸長したことが確認できた。さらに、鎖置換活性を有する常温菌由来のDNAポリメラーゼとしてクレノウ DNAポリメラーゼを用いた場合について、上記と同様の条件で検討を行ったところ、鋳型交換が起こっていることが確認できた。一方、鎖置換活性を有さないタカラ Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)やPyroBEST DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いた場合には鋳型交換は確認できなかった。(2)上記鋳型交換反応に、プライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖について検討した。最初にMF2プライマー及びMR1プライマーがアニーリングできるDNA断片を以下のように調製した。pUC19プラスミドを鋳型にMCSFプライマーとRVプライマー(宝酒造社製)およびM4プライマー(宝酒造社製)とMCSRプライマーを用いてPCRを行い、マイクロコン−100で精製し、236bpと271bpのPCR増幅断片、MSCF−RV断片及びM4−MCSR断片を得た。この2つのPCR増幅断片の中でM4プライマーとRVプライマーにはさまれた領域は共通配列である。
次に、プライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖同士がアニーリングしていない形態の鋳型−プライマー(2)−1とプライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖同士がアニーリングしている形態の鋳型−プライマー(2)−2を以下のように作製した。
(2)−1
MCSF−RV断片、30ngに40pmolの5’末端を[γ−32P]ATPでリン酸化ラベルしたMF2プライマーとプロピレンジアミンを最終濃度0.01%になるよう添加し滅菌蒸留水で5μlとした反応液およびM4−MCSR断片 30ngに40pmolのMR1プライマーとプロピレンジアミンを最終濃度0.01%になるよう添加し、滅菌蒸留水で5μlとした反応液を別々に98℃、2分間熱変性後、55℃まで冷却した後、それぞれの反応液2.5μlずつ混合して鋳型−プライマーを調製した。
(2)−2
15ngのMCSF−RV断片、15ngのM4−MCSR断片、20pmolの5’末端を[γ−32P]ATPでリン酸化ラベルしたMF2プライマー、20pmolのMR1プライマー、及びプロピレンジアミンを最終濃度0.01%になるよう添加し、滅菌蒸留水で5μlとした反応液を98℃、2分間熱変性後、55℃まで冷却して鋳型−プライマーを調製した。
上記、鋳型−プライマー反応液5μlに1UのBcaBEST DNAポリメラーゼを含む反応液(42.5mMトリシン緩衝液(pH8.7)、12.5mM 塩化カリウム、12.5mM 硫酸アンモニウム、0.0125%BSA、1.25%DMSO、5mM 酢酸マグネシウム、各0.625mM dNTP)20μlを添加し55℃で15分間反応した。反応終了後、5μlの反応液に2.5μlの反応停止液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノルブルー、0.5%キシレンシアノール)を加えて、94℃3分間の熱変性を行った。この反応液1.6μlを8M尿素を含む6%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動した後、BAS2000(フジックス)でシグナルを読みとりMF2プライマーからの伸長産物を検出した。その結果を図1Bに示す。図1B中のシークエンスラダーは[γ−32P]ATPでリン酸化ラベルしたMR1プライマーを用いてM13mp18single strand DNAを配列決定したものであり、伸長産物の長さを決定するのに使用した。さらに、レーン1は鋳型DNA鎖がアニーリングしていない場合、レーン2は鋳型DNA鎖がアニーリングしている場合である。
図1Bに示したようにプライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖同士がアニーリングしていない形態の鋳型−プライマーの場合にはMF2プライマーより鋳型の末端まで伸長した161bpのバンドのみが検出されたが、プライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖同士がアニーリングしている形態の鋳型−プライマーの場合には、上記のバンドに加えて、MF2プライマーとMR1プライマーに挟まれた223bpのバンドが検出された。従って、プライマーがアニーリングしている鋳型DNA鎖同士がアニーリングしている場合は、鋳型交換反応が起こることが確認できた。
実施例1
結核菌を対象とした本発明の検出方法について検討した。まず、結核菌ゲノムのうち、比較的GC含量が低い領域を目的の増幅領域として、ジーンバンク登録番号AL123456記載の結核菌ゲノムの塩基配列に従って配列表の配列番号7及び8記載の塩基配列を有するK−F−1033−2及びK−F−1133−2プライマーをそれぞれ合成した。該プライマー対で挟まれる領域はプライマー部を含めて105bpである。次に、鋳型として、乾燥BCGワクチン(日本ビーシージー製造社製)より結核菌ゲノムを常法により抽出した。該ゲノムを滅菌水にて1μlあたり100fg〜10pgの範囲で段階希釈した。反応は、以下のようにして行った。即ち、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、各500μM dNTPs、各50pmolのK−F−1033−2及びK−F−1133−2プライマーの組み合わせ、9.375UのPfu由来RNaseHII、4.375UのAfu由来RNaseHIIあるいは4UのTli由来RNaseH、2.75UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、各鋳型量1μlを添加し滅菌水で最終容量を25μlにした。該反応液はあらかじめ62℃に設定したサーマルサイクラーパーソナルにセットし、60分間保持した。反応終了後、該反応液3μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果、いずれのRNaseHIIにおいてもゲノムDNAを鋳型とした場合において、100fg〜10pgのいずれの濃度においても検出できることを確認した。
実施例2
(1)RNAプローブを用いた標的核酸の検出方法を検討した。対象としては、結核菌を選択した。鋳型となるBCGゲノムDNAは実施例1で調製したものを用い、反応液50μlあたり1ngあるいは100pgを添加した。次に、使用するプライマーは配列表の配列番号162〜163に記載の塩基配列を有するMTIS2F及びMTIS2R、検出用プローブは配列表の配列番号11及び12に記載の塩基配列を有するRNAプローブMTIS及びMTIS−2をDNA合成機を用いて合成した。該プローブは5’末端に6−FAM(グレーンリサーチ社製)、3’末端にTAMRA(グレーンリサーチ社製)の蛍光標識を有している。反応条件は、4UのBcaBEST DNAポリメラーゼ及び18.75UのPfu RNaseHIIを用いる以外は、実施例1記載と同様にした。上記反応液には、5pmolのRNAプローブを添加し、最終液量を50μlにした。該反応液50μlのうち25μlを58℃のICAN反応に用いた。ICAN反応及び増幅産物の検出は、スマートサイクラー(宝酒造社製)を用いた。その結果を図2Aに示す。図2A、B、Cの縦軸は蛍光強度、横軸は時間を示す。図2Aに示すようにスマートサイクラーによる解析の結果、上記鋳型DNA 1ng及び100pgのいずれの場合でも目的の増幅断片のみをモニターリングすることができた。また、いずれのRNAプローブもリアルタイム検出に好適であることが確認できた。
(2)インターカレーターを用いたone−step RT−ICAN検出系について検討した。対象としてHCVゲノムを選択した。鋳型となるRNAは、以下のようにして調製した。インフォームド コンセントの得られたC型肝炎患者の血清300μlからトライゾール試薬(ライフテック社製)を使用して該試薬添付の説明書に従い調製し、最終的に注射用水(大塚製薬製)20μlに溶かした。このRNAサンプルを鋳型にRT−PCRを行なった。反応は以下のようにして行った。上記RNAサンプル2μlと配列表の配列番号13、14に記載のSP6−HCV−Fプライマー及びT7−HCV−Rプライマーのそれぞれ20pmolを用いてOne−Step RNA PCR kit(宝酒造社製)でマニュアル通りに反応液量50μlを調製した。サーマルサイクラーパーソナルにセットし、50℃ 15分、94℃ 2分反応後、94℃ 30秒、60℃30秒、72℃ 30秒を1サイクルとして40サイクル反応を行った。反応終了後、該反応液を2%SeaPlaque GTG アガロースゲルによる電気泳動に供し、目的増幅産物350bpを切り出した。その後、EASYTRAPVer.2(宝酒造社製)を用いて該キット添付の説明書に従いDNAを回収した。これを鋳型にCompetitive RNA Transcription キット(宝酒造社製)を用いて該キット添付の説明書に従いトランスクリプトRNAを合成した。これをOne−Step RT−ICANの検討用鋳型とした。
鋳型RNA量は、0、1×105、1×106及び1×107コピーになるように添加した。反応液組成は、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、500μM dNTPs、配列表の配列番号15と16に記載のプライマー各50pmol、5UのAfu由来RNaseHII、4UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、20UのRNase inhibitor、2.5UのAMV RTaseXL(宝酒造社製)、各コピー数のトランスクリプトRNA 1μl、さらにインターカーレーターとして原液のサイバーグリーン I(SYBR Green I nucleic acid Gel Stain、BioWhittaker Molecular Applications社製)を滅菌水で3000倍希釈したものを5μl添加し、最終液量を50μlにした。該反応液25μlを53℃のICAN反応に用いた。ICAN反応及び検出は、ABI PRISMTM 7700システム(Applied Biosystems社製)を用いた。その結果を図2Bに示す。図2Bに示したようにone−step RT−ICAN法においてもリアルタイムに標的核酸を検出できることが確認できた。
(3)インターカレーターを用いたICAN検出系について検討した。対象としてクラミジアゲノムを選択した。ジーンバンク登録番号X06707記載のクラミジア トラコーマ プラスミドの塩基配列に従って配列表の配列番号17、18記載の塩基配列を有するプライマーCT2Fプライマー、CT2Rプライマーをそれぞれ合成した。該プライマー対で挟まれる領域は、プライマー部分を含めて109bpである。さらに、クラミジア増幅用プライマーとして、配列表の配列番号19及び20記載の塩基配列を有するCT−FB19−3、CT−RB23−2プライマーも用いた。該プライマー対で挟まれる領域は、プライマー部分を含めて107bpである。反応液組成は、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、各500μM dNTPs、各50pmolのCT2F及びCT2RプライマーあるいはCT−FB19−3及びCT−RB23−2プライマー、35UのAfu由来RNaseHII、8UBcaBEST DNAポリメラーゼ、サンプル1μlを添加し滅菌水で最終容量を50μlにした。該反応液22.5μlを分注し、インターカーレーターとして原液を滅菌水で3000倍希釈した。サイバーグリーン Iを2.5μl添加し、55℃でICAN反応に供した。ICAN反応及び検出機器は、スマートサイクラーを用いた。その結果を図2Cに示す。図2Cに示したように、クラミジア検出系において、インターカレーターを用いた場合でもリアルタイムに標的核酸を検出できることが確認できた。
以上のことから、本発明の方法は標的核酸をリアルタイムで特異的に検出することができることを確認した。
実施例3
本発明の方法に用いる試薬の保存安定性について以下のように検討した。
(1)1.6mMのdNTP混合液、101mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝液(pH7.8)、317mM 酢酸カリウム、12.7mM 酢酸マグネシウム、0.03%ウシ血清アルブミン、3.2%ジメチルスルホキシド、0.56U/μlのAfu RNaseHII及び、0.35U/μlのBcaBest DNAポリメラーゼを含むICAN反応プレミックス溶液を作製し、4℃および30℃で約1ヶ月間保存した。
上記ICANプレミックス溶液 7.875μlに配列表の配列番号21及び22に記載の塩基配列を有する各50pmolの結核菌検出用プライマーK−F−1033(68)及びK−R−1133(68)を含む水溶液16.125μlを添加した。さらに、上記混合液に実施例1で調製した100pg/μlあるいは10pgl/μlの濃度のBCGゲノムDNAを含む水溶液1μlを添加し、64℃で1時間ICAN反応を行った。反応終了後、反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、増幅を確認した。この上記操作を適当な保存日数の間隔で繰り返し行い、電気泳動により得られたICAN増幅産物により、ICAN反応プレミックス溶液の安定性を評価した。その結果を図3に示す。すなわち、図3は、本発明の反応プレミックス溶液の保存安定性を示す電気泳動の結果を示す図であり、図3Aは4℃保存の場合であり、レーン1は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム100pgの場合、レーン2は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム10pgの場合、レーン3は反応プレミックス溶液調製9日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン4は反応プレミックス溶液調製9日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン5は反応プレミックス溶液調製18日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン6は反応プレミックス溶液調製18日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン7は反応プレミックス溶液調製28日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン8は反応プレミックス溶液調製28日後でBCGゲノム10pgの場合を示す。
図3Bは30℃保存の場合であり、レーン1は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム100pgの場合、レーン2は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム10pgの場合、レーン3は反応プレミックス溶液調製6日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン4は反応プレミックス溶液調製6日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン5は反応プレミックス溶液調製10日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン6は反応プレミックス溶液調製10日後でBCGゲノム10pgの場合を示す。
図3に示したように、4℃で保存した場合において、反応プレミックス溶液調製後28日以上の間、該反応液を用いて安定にICAN反応を行う事ができることを確認した。また、30℃で保存した場合において、反応プレミックス溶液調製後10日以上の間、該反応液を用いて安定にICAN反応を行う事ができることを確認した。すなわち、上記条件で反応プレミックス溶液を調製・保存することによりICAN法増幅試薬の長期間保存ができることを確認した。
さらに、Afu RNaseHIIの使用量を上記の3、10、30倍としたICANプレミックス溶液を調製し、上記の条件で保存試験を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
実施例4
本発明の方法に用いる試薬の安定性及び長期保存性について以下のように検討した。
(1)保存用プレミックス溶液の組成について検討した。すなわち、142mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、444mM 酢酸カリウム、0.044%ウシ血清アルブミン、4.44%ジメチルスルホキシド、0.8U/μl Afu RNaseHII、及び0.5U/μl BcaBest DNAポリメラーゼを含む溶液(I)を調製した。この溶液(I)5.625μlにさらに、100mM 酢酸マグネシウム 1μlと、dNTP混合液 1.25μlの割合で添加した割合で添加したプレミックス[A(プライマーなし)]、50pmol/μlの結核菌検出用プライマーK−F−1033(68)、K−R−1133(68)各1μlと、100mM 酢酸マグネシウム 1μlの割合で添加したプレミックス[B(dNTPなし)]、50pmol/μlのK−F−1033(68)、K−R−1133(68)各1μlと、10mM dNTP混合液 1.25μlの割合で添加したプレミックス[C(酢酸マグネシウムなし)]、50pmol/μlのK−F−1033(68)、K−R−1133(68)各1μl、100mM 酢酸マグネシウム 1μlと、10mM dNTP混合液 1.25μlの割合で添加したプレミックス[D]を調製した。該プレミックス溶液のそれぞれを30℃で2時間保存した後、プレミックス[A]7.875μlに50pmol/μlのK−F−1033(68)、K−R−1133(68)を各1μl、プレミックス[B]8.625μlに10mM dNTP混合液 1.25μl添加をしたもの、プレミックス[C]8.875μlに100mM 酢酸マグネシウム1μlを添加したもの、およびプレミックス[D]9.875μlをそれぞれ注射用水で24μlに調製した後、100pg/μlの濃度のBCGゲノムDNAを1μl添加して、64℃で1時間保持した。反応終了後、反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、増幅を確認した。その結果、プレミックス[A]、[B]あるいは[C]のような組成が試薬の安定化に好適であることが確認できた。
(2)ICAN反応に必要な全ての構成物質を含む保存用プレミックス溶液と、この溶液からプライマーまたはMg2+等を除いた保存用プレミックス溶液について保存中の変化について検討した。すなわち、69mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、215mM 酢酸カリウム、0.022%ウシ血清アルブミン、2.2%ジメチルスルホキシド、8.6mM 酢酸マグネシウム、1.1mM dNTP混合液、0.38U/μlのAfu RNaseHII、0.24U/μlのBcaBest DNAポリメラーゼ、80kBq/μlの[α−33P]−dATP(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)及び各5.2μMの結核菌検出用プライマーK−F−1033(68)、K−R−1133(68)を含むプレミックス(I)を調製した。さらに、プレミックス(I)からプライマーを除いたプレミックス(II)、プレミックス(I)から酢酸マグネシウムを除いたプレミックス(III)を調製し、これらのプレミックスを30℃で2時間、5時間、20時間保存した時点で、各プレミックス3μlをサンプリングして−20℃で凍結した。これらのサンプルを15%アクリルアミドゲル電気泳動に供して、1.5時間泳動した後、ゲルを乾燥し、オートラジオグラフィーを行った。その結果を図4に示す。図4は、オートラジオグラフィーの結果を示す図であり、レーン1はプレミックス(III)2時間保存の場合、レーン2はプレミックス(III)5時間保存の場合、レーン3はプレミックス(III)20時間保存の場合、レーン4はプレミックス(II)2時間保存の場合、レーン5はプレミックス(II)5時間保存の場合、レーン6はプレミックス(II)20時間保存の場合、レーン7はプレミックス(I)2時間保存の場合、レーン8はプレミックス(I)5時間保存の場合、レーン9はプレミックス(I)20時間保存の場合を示す。
図4に示したように、プレミックス(I)において検出されるような保存中に生成された高分子DNAは、プレミックス(I)からプライマーまたは酢酸マグネシウムを除いたプレミックス(II)および(III)の組成にすることにより、その生成が抑制されることが確認できた。すなわち、反応液中からキメラオリゴヌクレオチドプライマー、マグネシウム塩、dNTP混合物のいずれかを除くことにより、キメラオリゴヌクレオチドプライマー副反応を抑えることができ、試薬を安定化できることを確認した。
(3)プライマー以外のICAN反応に必要な全ての構成物質を含む保存用プレミックス溶液を作成した場合の、保存用プレミックス溶液の濃縮度合い(塩濃度)について検討した。すなわち、1.6mM dNTP混合液、102mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、317mM 酢酸カリウム、13mM 酢酸マグネシウム、3.2%ジメチルスルホキシド、0.03%ウシ血清アルブミン、0.556U/μl Afu RNaseHII及び、0.349U/μl BcaBest DNAポリメラーゼを含むICAN反応プレミックスA溶液、1mM dNTP混合液、64mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、200mM 酢酸カリウム、8mM 酢酸マグネシウム、2%ジメチルスルホキシド、0.02%ウシ血清アルブミン、0.35U/μl Afu RNaseHII及び、0.22U/μl BcaBest DNAポリメラーゼを含むICAN反応プレミックスB溶液、0.57mM dNTP混合液、36mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、114mM酢酸カリウム、4.5mM 酢酸マグネシウム、1.1%ジメチルスルホキシド、0.01%ウシ血清アルブミン、0.2U/μl Afu RNaseHII及び、0.125U/μl BcaBest DNAポリメラーゼを含む反応プレミックスC溶液を調製し、30℃で保存した。
プレミックスA溶液7.875μl、プレミックスB溶液12.5μl、プレミックスC溶液22μlに、各50pmolの結核菌検出用プライマーK−F−1033(68)、K−R−1133(68)を添加し、注射用水で24μlになるように調製した後、BCGゲノムDNA 100pg/μlまたは10pg/μlを含む水溶液1μlを添加し64℃で1時間ICAN反応を行った。反応終了後、反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、増幅を確認した。上記操作を適当な時間間隔をおいて行い、電気泳動の結果、得られたICAN増幅産物により反応プレミックス溶液の安定性を評価した。その結果を図5に示す。すなわち、図5は、本発明の反応プレミックスA、B及びC溶液の保存安定性を示す電気泳動の結果を示す図であり、レーン1はプレミックスA溶液調製13日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン2はプレミックスA溶液調製13日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン3はプレミックスB溶液調製13日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン4はプレミックスB溶液調製13日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン5はプレミックスC溶液調製13日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン6はプレミックスC溶液調製13日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン7はプレミックスB溶液調製18日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン8はプレミックスB溶液調製18日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン9はプレミックスC溶液調製18日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン10はプレミックスC溶液調製18日後でBCGゲノム10pgの場合を示す。
図5に示したように30℃保存では、プレミックスA溶液で約2週間、プレミックスB溶液で約3週間保存できることを確認した。さらに、プレミックスC溶液においては、調製後18日以上たっても安定にICAN反応を行なうことができた。
すなわち、酵素を含有する反応用緩衝液の含有塩濃度は、最終反応時の塩濃度値付近が好適であることが確認できた。従ってその範囲は、最終反応時塩濃度を×1と表した場合、1.5倍以下が好適であった。
(4)酵素を含む溶液を保存する場合、一般的に酵素濃度は高い方が安定である。そこで、保存用プレミックス中の酵素濃度を高濃度に保つために、保存プレミックス中の塩濃度を低濃度に設定し、ICAN反応に不足な分を反応直前に補うように設計した保存用プレミックスの安定性について検討した。すなわち、2.5mMのdNTP混合液、32mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、4mM 酢酸マグネシウム、0.05%ウシ血清アルブミン、0.875U/μlのAfu RNaseHII及び、0.55U/μlのBcaBest DNAポリメラーゼを含むICAN反応プレミックス溶液を調製し30℃で保存した。
上記ICANプレミックス溶液5μlに各50pmolの結核菌検出用プライマーK−F−1033(68)、K−R−1133(68)、33.64mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、105.22mM 酢酸カリウム、4.21mM 酢酸マグネシウム、1.32%ジメチルスルホキシドを含む水溶液19μlを添加した。上記混合液に100pg/μlあるいは10pg/μlの濃度のBCGゲノムDNAを含む水溶液1μlを添加し、64℃で1時間ICAN反応を行った。反応終了後、反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、増幅を確認した。
上記操作を適当な時間間隔をおいて行い、電気泳動の結果得られたICAN増幅産物により、本発明の反応プレミックス溶液の安定性を評価した。その結果を図6に示す。すなわち、図6は、本発明の反応プレミックス溶液の保存安定性を示す電気泳動の結果を示す図であり、レーン1は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム100pgの場合、レーン2は反応プレミックス溶液調製直後でBCGゲノム10pgの場合、レーン3は反応プレミックス溶液調製21日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン4は反応プレミックス溶液調製21日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン5は反応プレミックス溶液調製25日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン6は反応プレミックス溶液調製25日後でBCGゲノム10pgの場合、レーン7は反応プレミックス溶液調製32日後でBCGゲノム100pgの場合、レーン8は反応プレミックス溶液調製32日後でBCGゲノム10pgの場合を示す。
図6に示したように、30℃で保存した場合でも、反応プレミックス溶液調製後32日以上の間、該反応液を用いて安定にICAN反応を行う事ができることを確認した。すなわち、上記条件で反応プレミックス溶液を調製・保存することによりICAN法増幅試薬の長期間保存ができることを確認した。
また、上記(1)〜(4)についてBcaBEST DNAポリメラーゼとTli由来RNaseHの組み合わせについて検討をしたところ、同様の結果を得た。
すなわち、最終反応時の酵素濃度(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)ならびに塩濃度を×1としたときの濃縮度合の比、酵素濃縮率/塩濃縮率の比は、1超えると好適であることが確認できた。また当該比率は、5以下が好適であることが確認できた。
さらに上記(1)〜(4)について、使用するRNaseHを3、10、30倍量に増やして同様の実験を行ったところ、同じ結果が得られた。
実施例5
本発明の方法を用いた非定型抗酸菌の検出について検討した。まず、マイコバクテリウム アビウムとマイコバクテリウム イントラセルラーの陽性コントロールを作製した。まず74merの合成プライマー10本を用意し、バイオテクニクス(BioTechniques)Vol.9、No.3、p298〜p300(1990)記載の方法に従い、Ex Taq DNAポリメラーゼによる伸長反応とそれに続くPCR反応を行い、配列表の配列番号23と24記載の塩基配列を有するマイコバクテリウム アビウムとマイコバクテリウム イントラセルラー由来16s RNA遺伝子配列の一部である増幅産物560bpを得た。該増幅産物をpT7 Blue TベクターにDNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造社製)を用いて挿入し、E.coli JM109を形質転換し、アビウム陽性コントロールプラスミドとイントラセルラー陽性コントロールを調製した。次に配列表の配列番号25〜31記載の塩基配列を有するMyco−F−1、Myco−F−2、Myco−F−3、Myco−R−1、Myco−R−1−2、Myco−R−2I、Myco−R−2Aプライマーをそれぞれ合成した。反応は以下のようにして行った。すなわち、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、各500μM dNTP混合物、4.4UのAfu由来RNaseHIIあるいは4UのTli由来RNaseH、4UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、鋳型となるアビウム陽性コントロール105コピーまたはイントラセルラー陽性コントロール105コピー及び各25pmolの上流プライマーと下流プライマーを添加して最終容量を25μlにした。該反応液はあらかじめ55℃に設定したサーマルサイクラーにセットし、60分間保持した。アビウム陽性コントロールを鋳型にした場合、いずれのRNaseHを使用してもMyco−F−1とMyco−R−1、Myco−F−1とMyco−R−1−2、Myco−F−1とMyco−R−2A、Myco−F−2とMyco−R−1、Myco−F−2とMyco−R−1−2、Myco−F−2とMyco−R−2A、Myco−F−3とMyco−R−1、Myco−F−3とMyco−R−1−2、Myco−F−3とMyco−R−2Aの各プライマー対で、それぞれ101bp、96bp、96bp、101bp、96bp、96bp、106bp、101bp、101bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認できた。一方、Myco−F−1とMyco−R−2I、Myco−F−2とMyco−R−2I、Myco−F−3とMyco−R−2Iの各プライマー対については増幅産物は得られなかった。
また、イントラセルラー陽性コントロールを鋳型にした場合、いずれのRNaseHを使用してもMyco−F−1とMyco−R−1、Myco−F−1とMyco−R−1−2、Myco−F−1とMyco−R−2I、Myco−F−2とMyco−R−1、Myco−F−2とMyco−R−1−2、Myco−F−2とMyco−R−2I、Myco−F−3とMyco−R−1、Myco−F−3とMyco−R−1−2、Myco−F−3とMyco−R−2Iの各プライマー対のとき、それぞれ101bp、96bp、96bp、101bp、96bp、96bp、106bp、101bp、101bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認できた。一方、Myco−F−1とMyco−R−2A、Myco−F−2とMyco−R−2A、Myco−F−3とMyco−R−2Aの各プライマー対については増幅産物は得られなかった。
以上の結果からMyco−R−2IまたはMyco−R−2Aのプライマーを用いることにより、鋳型特異的に反応し、アビウムとイントラセルラーの識別が可能であることが確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号32及び33記載の塩基配列を有する5’末端がビオチン標識されたアビウム プローブ(avium−probe)あるいはイントラセルラープローブ(intracellulare−probe)を用いてドットハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションは以下の条件で行った。すなわち、98℃、5分間変性後、氷上にて急冷させた反応液1μlをHybond−NTM(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)にスポットし、UV照射後、ハイブリバックに入れ、0.5M リン酸水素二ナトリウム(pH7.2)、1mM エチレンジアミン四酢酸、7%ラウリル硫酸ナトリウムのハイブリ溶液10mlを添加し、42℃でプレハイブリダイゼーションを30分間行なった。次に10μlの上記avium−probe又はintracellulare−probe 100ng/μl溶液を熱変性後、プレハイブリダイゼーション反応系に添加した。42℃、60分間ハイブリダイゼーション後、66.6mM 塩化ナトリウム、66.6mM クエン酸三ナトリウム水和物、0.1%ラウリル硫酸ナトリウムの溶液で室温にて5分間2回洗浄し、洗浄バッファー(0.3M 塩化ナトリウム、17.3mM リン酸二水素ナトリウム二水和物,2.5mM EDTA溶液、0.1%ラウリル硫酸ナトリウム)6mlに5mg/mlのHorseradish peroxidase streptoavidin conjugate(PIERCE製)を2μl添加し、42℃、12分間インキュベート後、洗浄バッファーで、室温で2回洗浄した。その後、0.1M クエン酸バッファー(pH5.0)10ml室温で洗浄し、0.1M クエン酸バッファー5ml、3%過酸化水素5μl、2mg/mlテトラメチルベンジジンエタノール溶液(TMB、ナカライ社製)250μlの混合溶液で暗室にて約10分間反応させた。発色後、脱イオン水にて反応停止させた。
その結果、アビウム陽性コントロール由来増幅産物は5’末端ビオチン標識avium−probeのみでシグナルが確認でき、5’末端ビオチン標識intracellulare−probeではシグナルが得られなかった。一方、イントラセルラー陽性コントロール由来増幅産物は、5’末端ビオチン標識intracellulare−probeのみでシグナルが確認でき、5’末端ビオチン標識avium−probeではシグナルが得られなかった。このことから、これらのプローブを使用することによりアビウムとイントラセルラーの識別が可能であることが確認できた。
実施例6
本発明の方法を用いた淋菌の検出について検討した。すなわち、実施例5に記載の方法と同じ方法で、配列表の配列番号34〜37記載の塩基配列を有するナイセリア ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)由来CppB遺伝子、ナイセリア ゴノレア プラスミド pJD4遺伝子、及びナイセリア ゴノレアDNA cytosine methyltranferase(M.NgoMIII)遺伝子の各560bpの増幅断片を得た。また、ナイセリア ゴノレア N−4 Cytosine−specific methyltransferase遺伝子については、67merの合成プライマー10本を用意し、同じ方法で490bpの増幅断片を得た。この増幅産物をpT7Blue Tベクターに挿入し、陽性コントロールA、陽性コントロールB、陽性コントロールC及び陽性コントロールDとした。
次に配列表の配列番号38〜63、164〜165に記載の塩基配列を有するNEI−5103、NEI−5150、CppB−F1、CppB−F2、CppB−F3、CppB−R1、CppB−R2、CppB−R3、pJDB F−1、pJDB F−2、pJDB R−1、pJDB R−2、pJDB R−3、M.Ngo F−1、M.Ngo F−2、M.Ngo F−3、M.Ngo R−1、M.Ngo R−2、M.Ngo R−3、M.Ngo R−4、Cytosine F−1、Cytosine F−2、Cytosine F−3、Cytosine R−1、Cytosine R−2、Cytosine R−3、pJDB10F、ならびにpJDB10Rプライマーをそれぞれ合成した。実施例5に記載の条件と同じ条件下、上記陽性コントロールB 106コピーを鋳型にNEI−5103、NEI−5150プライマー対でICAN反応を行った。その結果、いずれのRNaseHを使用しても69bpの増幅断片をアガロース電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片をナイロンメンブレンにスポット後、配列表の配列番号64記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたNEI−5130probeにより実施例5記載の方法でドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルが確認できた。
また、同様に陽性コントロールA 106コピーを鋳型にCppB−F1とCppB−R1、CppB−F1とCppB−R2、CppB−F1とCppB−R3、CppB−F2とCppB−R1、CppB−F2とCppB−R2、CppB−F2とCppB−R3、CppB−F3とCppB−R1、CppB−F3とCppB−R2、CppB−F3とCppB−R3の各プライマー対で実施例5と同じ条件下でICAN反応を行ったところ、全て60bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号65記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたNEI−CppBprobe−1を用いて実施例5に示す方法と同じ方法でドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルが確認できた。
さらに陽性コントロールA 106コピーを鋳型にpJDB F−1とpJDB R−1、pJDB F−1とpJDB R−2、pJDB F−1とpJDB R−3、pJDB F−2とpJDB R−1、pJDB F−2とpJDB R−2、pJDB F−2とpJDB R−3の各プライマー対で実施例5と同じ条件下でICAN反応を行ったところ、全て91bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認できた。また、pJDB10FとpJDB10Rのプライマー対で実施例5と同じ条件下でICAN反応を行ったところ、いずれのRNaseHを使用してもすべて71bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動で確認できた。上記増幅断片をナイロンメンブレンにスポット後、配列表の配列番号66に示した塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたNEI−CppBprobe−2を用いて実施例5記載の方法でドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルが確認できた。
また、上記と同様に陽性コントロールC 106コピーを鋳型にM.NgoF−1とM.Ngo R−1、M.Ngo F−1とM.Ngo R−2、M.Ngo F−1とM.Ngo R−3、M.Ngo F−1とM.Ngo R−4、M.Ngo F−2とM.Ngo R−1、M.Ngo F−2とM.Ngo R−2、M.Ngo F−2とM.Ngo R−3、M.Ngo F−2とM.Ngo R−4、M.Ngo F−3とM.Ngo R−1、M.Ngo F−3とM.Ngo R−2、M.Ngo F−3とM.Ngo R−3、M.Ngo F−3とM.Ngo R−4の各プライマー対で実施例5と同じ条件下でICAN反応を行ったところ、全て60bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認でき、さらに配列表の配列番号67記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたM.Ngo−probeを用いたドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルが確認できた。さらに同条件下、陽性コントロールD 106コピーを鋳型にCytosine F−1とCytosine R−1、Cytosine F−1とCytosine R−2、Cytosine F−1とCytosine R−3、Cytosine F−2とCytosine R−1、Cytosine F−2とCytosine R−2、Cytosine F−2とCytosine R−3、Cytosine F−3とCytosine R−1、Cytosine F−3とCytosine R−2、Cytosine F−3とCytosine R−3の各プライマー対で実施例5と同じ条件下でICAN反応を行ったところ、全て70bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認でき、配列表の配列番号68記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたCytosine−probeを用いたドットハイブリダイゼーションにおいても、目的のシグナルが確認できた。
実施例7
本発明の方法を用いたヒトB型肝炎ウイルスHBV検出について検討した。すなわち、実施例5記載の方法で、配列表の配列番号69及び70に示すHBV Xプロテイン遺伝子の一部560bpを増幅後、pT7Blue Tベクターに挿入し、それぞれHBV陽性コントロール1−T、HBV陽性コントロール1−Gとした。次に配列表の配列番号71〜78記載の塩基配列を有するHBV−F−1、HBV−F−2、HBV−F−3、HBV−F−4、HBV−R−1、HBV−R−2、HBV−R−3、HBV−R−4プライマーをそれぞれ合成した。実施例5の条件下、HBV陽性コントロール1−G 106コピーまたはHBV陽性コントロール1−T 106コピーを鋳型にHBV−F−1とHBV−R−1、HBV−F−1とHBV−R−2、HBV−F−2とHBV−R−1、HBV−F−2とHBV−R−2の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、それぞれ81bp、76bp、76bp、71bpの目的の増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。
また、実施例5と同じ条件下でHBV陽性コントロール1−T又は1−Gのそれぞれ106コピーを鋳型にHBV−F−3とHBV−R−3、HBV−F−3とHBV−R−4、HBV−F−4とHBV−R−3、HBV−F−4とHBV−R−4の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、それぞれ84bp、79bp、78bp、73bpの目的の増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。さらに、HBV−F−1とHBV−R−1、HBV−F−1とHBV−R−2、HBV−F−2とHBV−R−1、HBV−F−2とHBV−R−2の各プライマー対による増幅断片をナイロンメンブレンにスポット後、配列表の配列番号79記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたHBV−probe1を用いたドットハイブリダイゼーションを行なったところ、目的のシグナルが確認できた。同様に、HBV−F−3とHBV−R−3、HBV−F−3とHBV−R−4、HBV−F−4とHBV−R−3、HBV−F−4とHBV−R−4の各プライマー対による増幅断片についても、配列表の配列番号80記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたHBV−probe2を用いてドットハイブリダイゼーションを行なったところ、目的のシグナルが確認できた。
実施例8
本発明の方法を用いたHCV検出について検討した。最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸マグネシウム、1%ジメチルスルホキシド、0.01%BSA、4mM 酢酸マグネシウム、500μM dNTPs、配列表の配列番号81〜86、88〜91記載のHCV−A2−SとHCV−A2−A、HCV−A4−SとHCV−A4−A、HCV−A4−S19とHCV−A4−A19、HCV−F1とHCV−R1、HCV−F2とHCV−R2のそれぞれのプライマー対各50pmol、20UのAfu由来RNaseHIIあるいは4UのTli由来RNaseH、4UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、20UのRNase inhibitor、1.25UのAMV RTaseXL及び実施例2−(2)に記載のRNAトランスクリプト106コピーを鋳型として用い、最終容量を50μlにした。該反応液は、あらかじめ53℃に設定したサーマルサイクラーパーソナルにセットし、60分間保持した。反応終了後、該反応液3μlを3%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果、いずれのRNaseHを使用してもそれぞれ74bp、76bp、78bp、61bp、61bpの目的の増幅断片を確認した。さらにHCV−A2−SとHCV−A2−A、HCV−A4−SとHCV−A4−A、HCV−A4−S19とHCV−A4−A19の各プライマー対による増幅断片について、配列表の配列番号87記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたHCV−C probeを用いてドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルを確認できた。同様に、HCV−F1とHCV−R1、HCV−F2とHCV−R2の各プライマー対による増幅断片についても、配列表の配列番号92に示す塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたHCV−D probeを用いたドットハイブリダイゼーションを行ったところ、目的のシグナルが確認できた。
実施例9
本発明の方法において、One−Step RT−ICAN増幅方法への応用について検討した。対象は、HIVを選択した。
(1)トランスクリプトRNAの調製
まず、鋳型となるトランスクリプトRNAの調製をおこなった。HIV gag領域が挿入されたプラスミド(ATCC40829)を購入した。これを鋳型に配列表の配列番号93と94記載の塩基配列を有するSP6−HIV−F及びHIV−Rプライマー対、Ex Taq DNAポリメラーゼを用いてHIVのgag領域配列の一部である約1.4kbpのPCR増幅産物を得た。その後、このPCR増幅産物を鋳型にCompetitive RNA Transcriptionキット(宝酒造社製)を用いて該キットの説明書に従い、トランスクリプトRNAを合成した。これをOne−Step RT−ICANの検討用RNA鋳型とした。
(2)One−Step RT−ICANでのHIV検出用プライマーの検討
配列表の配列番号95〜103記載の塩基配列を有するHIV−F1、HIV−F2、HIV−F3、HIV−F4、HIV−R1、HIV−R2、HIV−R3、HIV−R4、HIV−R4Mプライマーをそれぞれ合成した。また、反応は以下のようにして行った。すなわち、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、7mM 酢酸マグネシウム、各500μMのdNTP混合物、2.2UのAfu由来RNaseHIIあるいは4UのTli由来RNaseH、5.5UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、0.625UのAMV RTaseXL、106コピーの上記トランスクリプトRNA及び各25pmolの上流プライマーと下流プライマーを添加して最終容量を25μlにした。該反応液はあらかじめ55℃に設定したサーマルサイクラーにセットし、60分間保持した。いずれのRNaseHを使用してもHIV−F1とHIV−R1、HIV−F2とHIV−R2、HIV−F2とHIV−R3、HIV−F2とHIV−R4、HIV−F2とHIV−R4M、HIV−F3とHIV−R2、HIV−F3とHIV−R3、HIV−F3とHIV−R4、HIV−F3とHIV−R4M、HIV−F4とHIV−R2、HIV−F4とHIV−R3、HIV−F4とHIV−R4、HIV−F4とHIV−R4Mの各プライマー対より、それぞれ100bp、74bp、76bp、72bp、72bp、72bp、74bp、70bp、70bp、76bp、78bp、74bp、74bpの目的の増幅断片がアガロース電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号104及び105に記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたHIV−A probe及びHIV−B probeを用いてドットハイブリダイゼーションを行った。その結果、5’末端ビオチン標識HIV−Aプローブの場合はHIV−F1とHIV−R1プライマー対による増幅産物、5’末端ビオチン標識HIV−Bプローブの場合はHIV−F2とHIV−R2、HIV−F2とHIV−R3、HIV−F2とHIV−R4、HIV−F2とHIV−R4M、HIV−F3とHIV−R2、HIV−F3とHIV−R3、HIV−F3とHIV−R4、HIV−F3とHIV−R4M、HIV−F4とHIV−R2、HIV−F4とHIV−R3、HIV−F4とHIV−R4、HIV−F4とHIV−R4Mプライマーによる増幅産物において目的のシグナルが確認できた。
実施例10
本発明の方法を用いた黄色ブドウ球菌の検出について検討した。目的とする増幅領域は、黄色ブドウ球菌由来コアギュラーゼ遺伝子から選択した。まず、配列表の配列番号106及び107記載の塩基配列を有するcoa−PCR−Fとcoa−PCR−Rプライマーを用いて黄色ブドウ球菌ゲノムを鋳型にEx Taq DNAポリメラーゼでPCR反応を行い、221bpの増幅産物を得た。該増幅断片をpT7 Blue Tベクターに挿入し、coa遺伝子陽性コントロールとした。
次に配列表の配列番号108〜117記載の塩基配列を有するcoa−F1、coa−F2、coa−F3、coa−F4、coa−F5、coa−R1、coa−R2、coa−R3、coa−R4、coa−R5プライマーをそれぞれ合成した。実施例5記載の条件下、coa遺伝子陽性コントロール 106コピーを鋳型にcoa−F1とcoa−R1、coa−F1とcoa−R2、coa−F2とcoa−R1、coa−F2とcoa−R2、coa−F3とcoa−R3、coa−F3とcoa−R4、coa−F3とcoa−R5、coa−F4とcoa−R3、coa−F4とcoa−R4、coa−F4とcoa−R5、coa−F5とcoa−R3、coa−F5とcoa−R4、coa−F5とcoa−R5の各プライマー対でICAN反応を行ったところ、いずれのRNaseHを使用してもそれぞれ59bp、69bp、75bp、85bp、95bp、101bp、98bp、89bp、95bp、92bp、107bp、113bp、110bpの目的の増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。さらに、coa−F1とcoa−R1、coa−F1とcoa−R2、coa−F2とcoa−R1、coa−F2とcoa−R2の各プライマー対による増幅産物について、配列表の配列番号118に示す配列を有し、5’末端がビオチン標識されたcoa−A probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行ったところ、すべてのスポットで目的のシグナルが確認できた。同様に、coa−F3とcoa−R3、coa−F3とcoa−R4、coa−F3とcoa−R5、coa−F4とcoa−R3、coa−F4とcoa−R4、coa−F4とcoa−R5、coa−F5とcoa−R3、coa−F5とcoa−R4、coa−F5とcoa−R5の各プライマー対による増幅産物について、配列表の配列番号119に示す配列を有し、5’末端がビオチン標識されたcoa−B probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行ったところ、すべてのスポットで目的のシグナルが確認できた。
実施例11
(1)本発明の方法を用いたクラミジアの検出について検討した。まず、実施例5記載の方法で、配列表の配列番号120に示すクラミジア遺伝子の一部である560bpを増幅後、pT7 Blue Tベクターに挿入し、クラミジア陽性コントロールとした。次に配列表の配列番号121〜127記載の塩基配列を有するCT−FB19,CT−FB19−3,CT−FB−19−3−21,CT−FB19−3−23,CT−RB21,CT−RB23−2,CT−RB23−2−24プライマーをそれぞれ合成した。次に実施例5記載の条件下、クラミジア陽性コントロール 106コピーを鋳型にCT−FB19とCT−RB21、CT−FB19とCT−RB23−2、CT−FB19−3とCT−RB21、CT−FB19−3とCT−RB23−2、CT−FB19−3とCT−RB23−2−24、CT−FB−19−3−21とCT−RB23−2、CT−FB−19−3−21とCT−RB23−2−24、CT−FB19−3−23とCT−RB23−2、CT−FB19−3−23とCT−RB23−2−24の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、いずれのRNaseHを使用してもそれぞれ125bp、116bp、116bp、107bp、107bp、107bp、107bp、107bp、107bpの増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号128記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたCT−probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行なったところ、全てのスポットで目的のシグナルが確認できた。
(2)さらに、別の領域をターゲットとしたクラミジアの検出について検討した。上記(1)と同じ方法で、配列表の配列番号129に示すクラミジア クリプティック遺伝子の一部である560bpを増幅後、pT7 Blue Tベクターに挿入し、クラミジア陽性コントロール2とした。次に配列表の配列番号130〜135、166〜167記載の塩基配列を有するCT−F1212−20、CT−F1212−21、CT−F1212−22、CT−R1272−20、CT−R1272−21、CT−R1272−22、CT−F1215−4R−22、ならびにCT−R1267−3R−18プライマーをそれぞれ合成した。上記(1)記載と同条件下、クラミジア陽性コントロール2 106コピーを鋳型にCT−F1212−20とCT−R1272−20、CT−F1212−20とCT−R1272−21、CT−F1212−20とCT−R1272−22、CT−F1212−21とCT−R1272−20、CT−F1212−21とCT−R1272−21、CT−F1212−21とCT−R1272−22、CT−F1212−22とCT−R1272−20、CT−F1212−22とCT−R1272−21、CT−F1212−22とCT−R1272−22の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、いずれのRNaseHを使用してもすべて61bpの目的の増幅産物がアガロース電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号136記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたCT−1234probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行なったところ、全てのスポットで目的のシグナルが確認できた。また、CT−F1215−4R−22とCT−R1267−3R−18のプライマー対でICAN反応を行ったところ、いずれのRNaseHを使用しても53bpの目的の増幅産物がアガロース電気泳動により確認できた。さらに上記増幅断片について、配列表の配列番号168記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたCT−1236probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行なったところ、全てのスポットで目的のシグナルが確認できた。
実施例12
本発明の方法を用いたマイコプラズマ ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)の検出について検討した。まず、実施例5記載の方法で、配列表の配列番号137〜138記載の塩基配列を有するマイコプラズマニューモニエ由来ATPaseオペロン遺伝子の一部である560bpを増幅後、pT7 Blue Tベクターに挿入し、それぞれマイコプラズマ ニューモニエ陽性コントロールA、マイコプラズマ ニューモニエ陽性コントロールBとした。次に配列表の配列番号139〜146記載の塩基配列を有するMyco−140、Myco140−22、Myco−706、MPF−910、Myco−190、Myco−190−22、Myco−850、MPR−1016プライマーをそれぞれ合成した。実施例5記載の条件下、マイコプラズマ ニューモニエ陽性コントロールA 106コピーを鋳型にMyco−140とMyco−190、Myco140−22とMyco−190、Myco140−22とMyco−190−22、Myco−140とMyco−190−22の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、いずれのRNaseHを使用してもすべて63bpの目的の増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。また実施例5記載の条件下でマイコプラズマ ニューモニエ陽性コントロールB 106コピーを鋳型にMyco−706とMyco−850、MPF−910とMPR−1016の各プライマー対でICAN反応を行なったところ、いずれのRNaseHを使用してもそれぞれ85bp、107bpの目的の増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。さらにMyco−140とMyco−190、Myco140−22とMyco−190、Myco140−22とMyco−190−22、Myco−140とMyco−190−22の各プライマー対による増幅断片について、配列表の配列番号147記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたMyco−170−probeを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行なったところ、全てのスポットで目的のシグナルが確認できた。同様に、Myco−706とMyco−850のプライマー対による増幅断片についても、配列表の配列番号148記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたMyco−730−probeを用いて同様にドットハイブリダイゼーションを行なったところ、目的のシグナルが確認できた。さらに、MPF−910とMPR−1016のプライマー対による増幅断片についても、配列表の配列番号149記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたMyco−952−probeを用いたドットハイブリダイゼーションを行なったところ、目的のシグナルが確認できた。
実施例13
本発明の方法を用いたMRSA(Methicillin−resistant Staphylococcus aureus)検出について検討した。目的とする増幅領域は、Mec A遺伝子を選択した。実施例5記載の方法で、配列表の配列番号150及び151記載のMecA遺伝子の一部、MecA−A、MecA−B、560bpを増幅後、pT7BlueTベクターに挿入し、それぞれMecA陽性コントロールA、MecA陽性コントロールBとした。次に配列表の配列番号152〜155記載の塩基配列を有するMecA−S525、MecA−A611、MecA−S1281、MecA−A1341プライマーを合成した。実施例5記載の条件下、MecA陽性コントロールA 106コピーを鋳型にMecA−S525とMecA−A611のプライマー対、また、MecA陽性コントロールB 106コピーを鋳型にMecA−S1281とMecA−A1341のプライマー対でICAN反応を行った。その結果、いずれのRNaseHを使用してもそれぞれ106bpあるいは83bpの増幅断片がアガロースゲル電気泳動により確認できた。
さらに、MecA−S525とMecA−A611プライマー対により増幅断片が得られたICAN反応液1μlをナイロンメンブレン ハイボンドNにスポットした後、配列表の配列番号156記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識されたMecA−A probeにより実施例5に示す方法と同じ方法でドットハイブリダイゼーションを行った。また、MecA−S1281とMecA−A1341プライマー対による増幅断片を同様にナイロンメンブレンにスポットした後、配列表の配列番号157に示す配列を有し、5’末端がビオチン標識されたMecA−B probeを用いてドットハイブリダイゼーションを行った。その結果、いずれのプローブを用いた場合においても、シグナルを確認することができ、目的の増幅領域を増幅できることを確認した。
実施例14
本発明の方法に使用できるRNaseHについて検討した。
(1)ベクタープラスミドpDON−AI(宝酒造社製)のパッケージング領域の塩基配列に従って、配列表の配列番号158及び159記載の塩基配列を有するpDON−AI−1(22)及びpDON−AI−2(23)プライマーをそれぞれ合成した。次に、10fgのpDON−AI DNA 1μlあるいは陰性対照の水1μlとこれに上記各100pmolのプライマー、0.5mM dNTP混合液、32mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、4.0mM 酢酸マグネシウム、0.01%ウシ血清アルブミン、1.0%ジメチルスルホキシド、2.64UのBca DNAポリメラーゼ及びRNaseHIIとして8.75、4.38、2.19、1.09、0.55、0.27UのAfu由来RNaseHIIあるいは4.69、2.34、1.17、0.59、0.29、0.15、0.07UのPfu由来RNaseHIIあるいは14、7、3.5、1.75、0.875、0.438UのPho由来RNaseHIIのそれぞれを含む全液量25μlの反応液を調製し、サーマルサイクラーで64℃で1時間保時した。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロース電気泳動により分析した。その結果、Afu由来RNaseHIIにおいてはいずれのU数においても目的の増幅産物が確認できた。また、Pfu由来RNaseHIIにおいては特に4.69〜0.59Uの範囲で、Pho由来RNaseHIIにおいては特に14〜1.75Uの範囲で目的の増幅産物が確認できた。このことから、上記耐熱性RNaseHIIのいずれもが本発明の方法に好適に使用できることを確認した。
(2)マウス誘導型NO合成酵素(iNOS)のmRNAの塩基配列に従って、すなわち、配列表の配列番号160及び161に記載の塩基配列を有する各50pmolのプライマーと市販のマウス由来細胞より常法で調製したcDNA 1μl(RNAとして50ng相当)を含む10×Ex Taqバッファー(宝酒造社製) 5μl、1.25U タカラ Exタック DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)、0.2mM dNTP混合物を含む全液量50μlの反応液をサーマルサイクラーを用い、94℃ 2分間を1サイクル、次に94℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 30秒を1サイクルとする30サイクル、さらに72℃ 5分間の1サイクルのプログラムで反応を行った。得られたマウス(iNOS)cDNA由来PCR増幅断片をプラスミドベクターpT7 Blue T−vector(Novagen製)にクローニングし、本発明の方法の鋳型として使用した。10fgの上記プラスミドDNAを含む鋳型溶液1μlあるいは陰性対照の水1mlと、これに配列表の配列番号9及び10に記載の塩基配列を有するNS5及びNS6プライマー各100pmol、0.5mM dNTP混合液、32mM ヘペス−水酸化カリウム緩衝溶液(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、4.0mM 酢酸マグネシウム、0.01%ウシ血清アルブミン、1.0%ジメチルスルホキシド、2.64UのBca DNAポリメラーゼ、RNaseHIIとして各10、5、2.5、1.25、0.25、0.125Uのメタノコッカス・ヤナシ(Mja:Methanococcus jannashi)由来RNaseHII、Tce由来RNaseHIIあるいはTli由来RNaseHIIをそれぞれ含む全液量25μlの反応液を調製し、サーマルサイクラーで62℃、1時間保持した。なお、Mja由来RNaseHIIは、ストラクチャー(Structure)、第8巻、第897〜904頁に記載の方法で調製した。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロース電気泳動により分析した。その結果を図7に示す。すなわち図7は、3種類のRNaseHを用いた場合の増幅産物のアガロース電気泳動を示す図であり、図7Aはメタノコッカス・ヤナシ由来RNaseHII、図7Bはサーモコッカス セラー由来RNaseHII、図7Cはサーモコッカス リトラリス由来RNaseHIIを用いた結果である。それぞれ、レーン1は10UのRNaseHIIを使用した場合、レーン2は10UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合、レーン3は5UのRNaseHIIを使用した場合、レーン4は5UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合、レーン5は2.5UのRNaseHIIを使用した場合、レーン6は2.5UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合、レーン7は1.25UのRNaseHIIを使用した場合、レーン8は1.25UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合、レーン9は0.25UのRNaseHIIを使用した場合、レーン10は0.25UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合、レーン11は0.125UのRNaseHIIを使用した場合、レーン12は.0125UのRNaseHIIを使用した陰性対照の場合を示す。
図7に示したように、Mja由来RNaseHIIにおいては0.125〜10Uの範囲、Tce由来RNaseHIIにおいては1〜5Uの範囲、Tli由来RNaseHIIにおいて0.125〜5Uの範囲で特に目的の増幅産物のが確認できた。このことから、上記耐熱性RNaseHIIのいずれもが本発明の方法に好適に使用できることを確認した。
(3)さらに、RNaseHの種類、使用量が異なる以外は、実施例5記載の反応条件下で本発明の方法について検討した。RNaseHは、1Uのサーモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis)由来RNaseHIIあるいは8.75Uのサーモコッカス セラー(Thermococcus celer)由来RNaseHIIを使用した。鋳型にはHBV陽性コントロール1−T 106コピーを使用し、実施例7で調製したHBV−F−2とHBV−R−1のプライマー対で増幅反応を行った。その結果、いずれのRNaseHにおいてもアガロースゲル電気泳動により76bpの目的の増幅断片が確認できた。以上のことから、上記RNaseHIIのいずれもが本発明に好適に使用できることを確認した。
実施例15
本発明の検出方法において、内部コントロール(Internal Control)を含んだ反応系の場合について検討した。まず、結核菌用内部コントロールを実施例5に記載の方法に従って作製した。まず60merの合成プライマー4本を用意し、バイオテクニクス(BioTechniques)Vol.9、No.3、p298〜p300(1990)記載の方法に従い、Ex Taq DNAポリメラーゼによる伸長反応とそれに続くPCR反応を行い、配列表の配列番号169記載の塩基配列を有する増幅産物169bpを得た。該増幅産物をpT7 Blue TベクターにDNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ)を用いて挿入し、E.coli JM109を形質転換し、得られたプラスミドを結核菌内部コントロールとした。次に配列番号170、171に記載の塩基配列を有するMTIS2F16とMTIS2RAACをそれぞれ合成した。該プライマー対で増幅される領域は、プライマー部を含めて98bpである。
反応は以下のようにして行った。すなわち、最終濃度32mM ヘペス−水酸化カリウムバッファー(pH7.8)、100mM 酢酸カリウム、1%DMSO、0.01%BSA、0.1%プロピレンジアミン、4mM 酢酸マグネシウム、各500μM dNTPs、各25pmolのMTIS2F16及びMTIS2RAACプライマー対、結核菌内部コントロール103コピー、2.2UのAfu由来RNaseHIIまたは8UのTli由来RNaseHII、11UのBcaBEST DNAポリメラーゼ、各鋳型量1μlを添加し滅菌水で最終容量を25μlにした。鋳型は実施例1で使用のBCGゲノムDNA無添加、1pg、あるいは10pgを用いた。該反応液は予め60℃に設定したサーマルサイクラーパーソナルにセットし、60分間保持した。これらのICAN反応後サンプル液をナイロンメンブレンにスポット後、配列番号172に記載の塩基配列を有し、5‘末端がビオチン標識された結核菌検出用プローブMTIS−S−PROBE、または配列番号173に記載の塩基配列を有し、5’末端がビオチン標識された内部コントロール検出用プローブINTER−PROBEを用いて実施例5と同様にドットハイブリダイゼーションを行った。その結果、BCGゲノムDNA無添加のICAN反応後サンプル液をスポットした場合、MTIS−S−PROBEによるシグナルは得られず、INTER−PROBEによるシグナルは得られた。BCGゲノムDNA1pgのICAN反応後サンプル液をスポットした場合、MTIS−S−PROBE,INTER−PROBEともにシグナルが得られた。BCGゲノムDNA 10pgのICAN反応後サンプル液をスポットした場合、MTIS−S−PROBEによるシグナルは得られ、INTER−PROBEによるシグナルは得られなかった。以上のことから、ターゲットであるBCGゲノムが増幅しているときは、MTIS−S−PROBEでシグナルが得られることが確認でき、内部コントロールが増幅しているときは、INTER−PROBEによるシグナルが得られることを確認した。すなわち、本発明の方法において内部コントロールが存在しても標的核酸を特異的に検出できることを確認した。
産業上の利用の可能性
本発明により、キメラオリゴヌクレオチドプライマーを使用するDNA合成反応により標的核酸の塩基配列中の特異的増幅に適した領域を増幅することを特徴とする標的核酸の増幅方法あるいは当該増幅方法で得られた標的核酸の増幅断片を検出する工程を包含することを特徴とする標的核酸の検出方法のための反応用試薬の安定化方法ならびに長期保存方法が提供される。また、本発明によりウイルス、細菌、カビ、酵母などの微生物、特に病原性微生物等の高感度、特異的検出、定量のための標的核酸の検出方法及び該方法のためのキメラオリゴヌクレオチドプライマー及びプローブが提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1:本発明の方法により増幅された増幅DNA断片のポリアクリルアミド電気泳動の結果を示す図である。
図2:本発明の方法により増幅された増幅DNA断片のリアルタイム検出を示すチャートである。
図3:本発明の方法に用いる試薬の保存・安定試験結果を示すアガロース電気泳動の結果を示す図である。
図4:本発明の方法に用いる試薬の保存・安定試験結果を示すラジオオートグラフィーの結果を示す図である。
図5:本発明の方法に用いる試薬の保存・安定試験結果を示すアガロース電気泳動の結果を示す図である。
図6:本発明の方法に用いる試薬の保存・安定試験結果を示すアガロース電気泳動の結果を示す図である。
図7:本発明の方法により増幅された増幅DNA断片のアガロース電気泳動の結果を示す図である。
Claims (11)
- (a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および、
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程、
を包含することを特徴とする標的核酸の増幅及び/又は検出方法に用いられる反応用試薬の安定化方法であって、
(i)マグネシウム塩、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)からなる群より選択される少なくとも一つの試薬が他の試薬と反応前は分別されており、
(ii)分別された酵素含有の試薬においては塩濃度を上げることなく酵素濃度を上げており、分別した試薬を混合した後の増幅工程においての至適塩濃度条件を満たすように他の分別された試薬の塩濃度が調整されている、
ことを特徴とする反応用試薬の安定化方法。 - キメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有する試薬と、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)、マグネシウム塩を含有する試薬の2種からなる反応用試薬である請求項1記載の反応用試薬の安定化方法。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の塩濃度が増幅工程においての至適塩濃度以下の塩濃度である請求項1記載の反応用試薬の安定化方法。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が増幅工程においての酵素濃度より高濃度である請求項1記載の反応試薬の安定化方法。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が分別された試薬を混合後の増幅工程において至適酵素濃度となるように調整されている請求項4記載の反応用試薬の安定化方法。
- (a)鋳型となる核酸、デオキシリボヌクレオチド3リン酸、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、少なくとも1種類のプライマー、およびRNaseHを混合して反応混合物を調製する工程;ここで該プライマーは、鋳型となる核酸の塩基配列に実質的に相補的であり、少なくともデオキシリボヌクレオチド及びヌクレオチドアナログから選択されるものとリボヌクレオチドとを含有し、該リボヌクレオチドは該プライマーの3’末端又は3’末端側に配置されたキメラオリゴヌクレオチドプライマーであり;および、
(b)反応産物を生成するのに充分な時間、反応混合物をインキュベートし、標的核酸を増幅する工程、
を包含することを特徴とする標的核酸の増幅及び/又は検出方法に用いられる反応用試薬キットであって、
(i)マグネシウム塩、キメラオリゴヌクレオチドプライマー、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)からなる群より選択される少なくとも一つの試薬が他の試薬と反応前は分別されており、
(ii)分別された酵素含有の試薬においては塩濃度を上げることなく酵素濃度を上げており、分別した試薬を混合した後の増幅工程においての至適塩濃度条件を満たすように他の分別された試薬の塩濃度が調整されている、
ことを特徴とする反応用試薬キット。 - キメラオリゴヌクレオチドプライマーを含有する試薬と、酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)、マグネシウム塩を含有する試薬の2種からなる反応用試薬である請求項6記載の反応用試薬キット。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の塩濃度が増幅工程においての至適塩濃度以下の塩濃度である請求項6記載の反応用試薬キット。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が増幅工程においての酵素濃度より高濃度である請求項6記載の反応用試薬キット。
- 酵素(DNAポリメラーゼ及び/又はRNaseH)含有試薬の酵素濃度が分別された試薬を混合後の増幅工程において至適酵素濃度となるように調整されている請求項9記載の反応用試薬キット。
- 分別された試薬混合物の塩濃度調整用試薬を包含する請求項6記載のキット。
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